JP4168654B2 - ディスク装置 - Google Patents
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- Feeding And Guiding Record Carriers (AREA)
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD−ROM、CD−R、DVD等の光ディスクを再生、または記録/再生するディスク装置としては、光ディスクをほぼ水平に置かれたディスクトレイ上の凹部に収納する横置き状態での使用の他、ディスクトレイが垂直となる縦置き状態での使用も可能な縦横両用タイプのものが知られている。
【0003】
図11は、縦置き状態で使用可能な従来の光ディスク装置を示す平面図、図12は、図11に示す光ディスク装置の部分断面側面図(ディスクトレイを排出位置へ移動させている状態)、図13は、従来の光ディスク装置の他の構成例を示す部分断面側面図である。
【0004】
図11に示すように、この縦置き状態でも使用可能な従来のディスク装置900は、光ピックアップ装置等からなるディスク装置用ユニット(図示せず)が内部に設置された装置本体920と、この装置本体920に対し光ディスクDを装填する位置(装填位置)と排出する位置(排出位置)とに移動可能なディスクトレイ910とを有している。
【0005】
装置本体920は、筐体922と、蓋体923と、前方に設けられたフロントベゼル940とを備え、フロントベゼル940には、開口941が形成されている。この開口941を介して、ディスクトレイ910が排出位置と装填位置とに出し入れされる。
【0006】
ディスクトレイ910には、光ディスクDが収納される凹状のディスク収納部911が形成されており、このディスク収納部911の周囲にはディスク収納部911側に突出するように複数の爪部913が設けられている。この爪部913は、従来のディスク装置900が縦置き状態で用いられた場合に、光ディスクDを面外方向から遊嵌状態で保持するためのものである。
【0007】
ここで、このような爪部913がディスクトレイ910に設けられていると、光ディスクDをディスク収納部911に収納する際に、誤って爪部913の上に光ディスクDの一部を載せてしまい(図11参照)、ディスクトレイ910を装填位置へ移動させると、光ディスクDがディスク収納部911に対して傾斜した状態(光ディスクDの一部がディスク収納部911から突出した状態)で装置本体920内に搬送されてしまう。そして、この場合、ディスクトレイ910を排出位置へ移動させようとしても、光ディスクDが開口941付近(フロントベゼル940の上側後端)に引っかかり移動させることができない(図12参照)。
【0008】
そこで、このような爪部913を設ける場合には、従来、図13に示すように、蓋体923の開口941近傍に、直方体形状の凸部930を設けることが行われている。この凸部930が設けられていると、爪部913に光ディスクDの一部が載った状態で、ディスクトレイ910を装填位置へ移動させた場合であっても、凸部930が光ディスクDをディスク収納部911に向かって押圧し、光ディスクDと爪部913とをディスク収納部911の底面側に撓ませることができるので、ディスクトレイ910を排出位置へ移動させる際に、光ディスクDが開口941付近に引っかかるのを防止して、ディスクトレイ910を排出位置へ移動させることができる。
【0009】
しかしながら、直方体形状の凸部930が蓋体923に設けられていると、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)が、この凸部930近傍で急激に変化し、光ディスクDをディスク収納部911に向かって(図13中、下向きに)押し付けてしまう。これにより、光ディスクDの記録面が光ピックアップからのレーザ光の焦点位置からズレ、記録再生特性に悪影響をおよぼす。さらに、光ディスクDを回転駆動するためのスピンドルモータが特定の回転数に到達すると、スピンドルモータの振動と光ディスクDが共振するという現象が見られるようになる。この場合、前述したような下向きの力が光ディスクDに加わると、光ディスクDの傾きがより一層大きくなり、光ディスクDの記録再生特性が大きく損なわれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光ディスクの良好な記録再生特性が得られるディスク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)、(2)の本発明により達成される。
【0012】
(1) 筐体と該筐体の上部を覆う蓋体とを備えた装置本体と、
光ディスクが収容されるディスク収容部を有し、前記装置本体の前面に形成された開口を介して、前記装置本体に対し移動可能に設置させたディスクトレイと、
前記装置本体の内部に設けられ、前記光ディスクを支持するターンテーブルと前記光ディスクを前記ターンテーブルとの間で狭持するためのディスククランパと前記ターンテーブルを回転させるためのスピンドルモータとを備え、前記光ディスクを前記ターンテーブルと前記ディスククランパとの間で狭持し、前記スピンドルモータを回転させることで前記ターンテーブルを回転させ、それに伴い前記光ディスクを回転させる光ディスク回転駆動機構と、
前記光ディスクの高速回転により前記装置本体の内部に発生する気流を整流する整流部材として機能し、前記装置本体の内部に向けて突出するように前記蓋体と一体的に形成され、前記ディスクトレイを前記装置本体内に挿入したときに、前記光ディスク収容部に対応する領域内であって前記光ディスクの外周縁付近に前記光ディスクの半径方向に沿って延在するように設けられ、前記蓋体の内側から見た平面視にて、長円状の輪郭を有する底部、該底部の内側に位置し前記光ディスクの半径方向に延在する先端部および前記底部と前記先端部との間に位置する周面を備える少なくとも1つの凸部とを有し、
前記長円状の輪郭を有する底部は、前記凸部の延在方向と平行な1対の直線部と、前記各直線部の両端のうちの前記光ディスクの中心から近位に位置する端同士を連結する湾曲部と、前記各直線部の両端のうち前記光ディスクの中心から遠位に位置する端同士を連結する湾曲部とで規定され、
前記周面が傾斜面を構成するように、前記凸部の横断面積が前記底部から前記先端部に向けて漸減し、前記周面の前記各直線部と前記先端部とで規定される面がそれぞれ平坦な傾斜面をなし、前記光ディスクの回転により発生する前記光ディスクの周方向に流動する気流を前記平坦な傾斜面に沿わせて、前記先端部と前記光ディスクとの間の空間に導くように構成されていることを特徴とするディスク装置。
【0013】
(2) 前記先端部は、前記蓋体と平行な平坦面をなしている上記(1)に記載のディスク装置。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のディスク装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0033】
<第1実施形態>
まず、本発明のディスク装置の第1実施形態について説明する。
【0034】
図1は、本発明のディスク装置の第1実施形態を示す平面図、図2は、図1に示すディスク装置における天板を装置本体の内側から見た平面図、図3は、図1に示すディスク装置における天板を取り外した状態を示す平面図、図4および図5は、それぞれ、図1に示すディスク装置を示す断面側面図、図6は、図1に示すディスク装置のディスクトレイに光ディスクを誤って収納した状態(誤収納状態)を示す平面図、図7は、図6に示す状態で、ディスクトレイを装填位置から排出位置へ移動させている状態を示した断面側面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3、図6中の上方および図4、図5、図7中の右方を「後」または「後方」、図1〜図3、図6中の下方および図4、図5、図7中の左方を「前」または「前方」と言う。
【0035】
これらの図に示すディスク装置1は、音楽用CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD等の光ディスクに記録された情報を再生する機能(または記録/再生する機能)を有する装置である。
【0036】
図1ないし図5に示すように、ディスク装置1は、装置本体2と、光ディスクを載置(収納)し、装置本体2に対し前後方向(水平方向)に移動するディスクトレイ11と、装置本体2内に設置されたスレッドメカユニット(ディスク装置用ユニット)3とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0037】
装置本体2は、フレーム21と、フレーム21の下部および側部を覆うケーシング(筐体)22と、フレーム21(ケーシング22)の上部を覆う天板(蓋体)23と、前方に設けられたフロントベゼル24とを有している。
【0038】
また、フロントベゼル24には、開口240が形成されている。すなわち、装置本体2の前面には、開口240が形成されている。この開口240を介して、ディスクトレイ11が装置本体2に対し移動可能に設置されている。
【0039】
フレーム21には、ディスクトレイ11およびその駆動機構(図示せず)、スレッドメカユニット3、メイン回路基板12等が搭載されている。
【0040】
フレーム21には、ケーシング22が例えばビス止めにより固定されており、フレーム21の下部は、ケーシング22の底板221により覆われている。
【0041】
また、フレーム21の上部には、天板23が例えばビス止めにより固定され、フレーム21と天板23との間にディスクトレイ11を収納する空間が形成される。
【0042】
なお、フレーム21およびディスクトレイ11は、それぞれ、樹脂材料(プラスチック)で構成されたものである。
【0043】
また、ケーシング22および天板23は、それぞれ、金属板をプレス成形等により所定に変形させてなる板状部材であり、天板23には、図2に示すように、後述する凸部231が一体的に形成されている。
【0044】
メイン回路基板12には、ディスク装置1の諸動作を制御する回路が形成されているとともに、マイクロプロセッサ、メモリ、モータドライバなどの各種ICや、抵抗、コンデンサ、スイッチなどの各種電子部品が搭載されている。
【0045】
ディスクトレイ11は、浅い凹状のディスク収納部111を有しており、光ディスクは、このディスク収納部111に収納された状態で搬送される。
【0046】
また、このディスクトレイ11には、図1に示すように、ディスク収納部111の外周部に、爪部113が4カ所に設けられている。各爪部113は、それぞれ、軸114を中心として回転(回動)可能になっており、ディスク装置1を縦置き状態で使用する場合には、ディスク収納部111に突出した状態(図1に示す状態)とされ、収納された光ディスクをディスク収納部111から脱落しないように、面外方向から遊嵌状態で保持する。
【0047】
これらの爪部113は、それぞれ、樹脂材料等の可撓性を有する材料で構成されている。
【0048】
ディスクトレイ11は、フレーム21に搭載された駆動機構(図示せず)により駆動され、開口240を介して、装置本体2に対し前後方向に移動(摺動)する。すなわち、ディスクトレイ11は、開口240を介して、装置本体2に対し光ディスクを装填する装填位置(以下、「装填状態」とも言う。)と、光ディスクを排出する排出位置(以下、「排出状態」とも言う。)との間で移動可能になっている。
【0049】
このディスクトレイ11は、装填位置(図5に示す状態)では、その全体が装置本体に収納された状態となり、排出位置(図1、図3および図4に示す状態)では、その大半が装置本体2の前方側に排出(突出)された状態となる。
【0050】
図3ないし図5に示すように、装置本体2の内部には、スレッドメカユニット3を支持する枠部材13が設置されている。枠部材13は、ほぼ長方形の枠状をなしており、その後端部には、軸131が両側にそれぞれ突出形成されている。軸131は、フレーム21に形成された受け部に回動可能に支持されている。これにより、枠部材13は、装置本体2に対し軸131を中心として回動可能になっている。
【0051】
枠部材13は、図示しない駆動機構の駆動により、装填状態では天板23および底板221とほぼ平行な姿勢となり、排出状態ではその前方側が下方向に変位して天板23および底板221に対し傾斜した姿勢となるように変位する。
【0052】
枠部材13の内側には、スレッドメカユニット3が位置している。スレッドメカユニット3は、振動を吸収する4個のゴムブッシュ(弾性部材)14を介して、枠部材13に支持されている。
【0053】
スレッドメカユニット3は、主に、シャーシ(基台)4と、シャーシ4上に設置(搭載)された光ディスク回転駆動機構5、光ピックアップ(光学ヘッド)6および光ピックアップ移動機構7とで構成されている。
【0054】
光ディスク回転駆動機構5は、スピンドルモータ51と、該スピンドルモータ51のロータに固定されたターンテーブル52とを有している。光ディスク回転駆動機構5は、ターンテーブル52に光ディスクを装着(載置)して、この光ディスクを回転駆動するものである。
【0055】
光ピックアップ6は、対物レンズ61と、該対物レンズ61を光軸方向(フォーカシング)および光ディスクの半径方向(トラッキング)に駆動するアクチュエータ62と、レーザ光源と、集光光学系と、ビームスプリッタ(またはハーフミラー)と、情報検出用およびフォーカシング信号、トラッキング信号検出用の受光素子と、これらを支持する支持部材63とを備え、光ディスクの記録面へ照射されたレーザ光の反射光を、対物レンズ、ビームスプリッタ(またはハーフミラー)等を介して受光素子へ導く構成のものである。
【0056】
対物レンズ61は、装填状態では、ディスクトレイ11に形成された開口112よりディスク収納部111に露出し、光ディスクの記録面と対面する。
【0057】
支持部材63は、例えばダイキャストで製造されるような金属材料で構成されている。支持部材63の図3中の左側には、ガイドシャフト76を挿通する孔が形成された一対の摺動部64が形成されている。また、支持部材63の図3中の右側には、ガイドシャフト77に係合し、このガイドシャフト77に沿って摺動する摺動部65が形成されている。
【0058】
光ピックアップ移動機構7は、正転/逆転可能なスレッドモータ71と、該スレッドモータ71の回転軸に固定されたウォーム72と、該ウォーム72に噛合する大径ギア73と、大径ギア73に固定されかつ同軸で回転する小径ギア74と、支持部材63に固定され、小径ギア74と噛合するラックギア75と、支持部材63の移動経路を規定し、これを案内する一対のガイドシャフト76および77とで構成されている。
【0059】
スレッドモータ71が駆動すると、その回転力がウォーム72、大径ギア73、小径ギア74およびラックギア75に順次伝達され、支持部材63がガイドシャフト76、77に沿って光ディスクの径方向(半径方向)に所定の移動範囲内で移動する。この場合、スレッドモータ71の回転方向により、支持部材63は、光ディスクの回転中心に接近する方向または回転中心から遠ざかる方向に移動する。
【0060】
シャーシ4(スレッドメカユニット3)は、枠部材13と共に装置本体2に対し回動する。この回動中心である軸131は、シャーシ4の後端(一端)付近に位置する。すなわち、シャーシ4の後端は、回動中心となり装置本体2に対しほぼ変位しない回動端41であり、シャーシ4の前端(他端)は、装置本体2に対しほぼ上下方向に変位する変位端42になっている。
【0061】
このような構成により、シャーシ4(スレッドメカユニット3)は、装填状態では変位端42側が上昇した位置(以下、単に「上昇位置」と言う。)にあり(図5参照)、排出状態では変位端42側が下降した位置(以下、単に「下降位置」と言う。)にある(図4参照)。
【0062】
シャーシ4は、上昇位置では天板23および底板221にほぼ平行な姿勢になり、下降位置では、天板23および底板221に対し傾斜した姿勢になる。
【0063】
シャーシ4が上昇位置にあるときには、ターンテーブル52は、開口112よりディスク収納部111内に突出(露出)し、これにより、装置本体2内に装填された光ディスクがターンテーブル52に装着(載置)される。この状態では、天板23の内側に回転可能に設置されたディスククランパ15がターンテーブル52に設置された磁石に吸着され、これにより、光ディスクがターンテーブル52とディスククランパ15との間で挟持される(図5参照)。
【0064】
シャーシ4が下降位置にあるときには、ターンテーブル52や光学ヘッド6の一部等と、排出位置に移動するディスクトレイ11とが干渉しないようになっている(図4参照)。
【0065】
以上のようにして、ディスクトレイ11の排出位置で、ディスク収納部111に正常に収納された光ディスクは、ディスクトレイ11の装填位置への移動により装置本体2内に搬送され、ターンテーブル52に装着される。
【0066】
しかし、図6に示すように、例えば光ディスクDの一部を誤ってディスクトレイ11の爪部113上に載せた状態、すなわち、ディスクトレイ11の前方側において、光ディスクDがディスク収納部111から突出した状態(以下、この状態を「誤収納状態」と言う。)で、ディスクトレイ11を装填位置へ移動させて、光ディスクDを装置本体2内に搬送した場合には、光ディスクDをターンテーブル52に装着することができない。このため、この場合、ディスクトレイ11を排出位置へ移動させて、光ディスクDを装置本体2から排出しなければならない。
【0067】
本発明では、天板23には、図5および図7に示すように、ディスクトレイ11を装置本体2へ挿入したとき(ディスクトレイ11を装填位置へ移動させたとき)のディスク収納部111に対応する領域内に、装置本体2の内側に向かって突出する凸部231が設けられている。本実施形態では、凸部231は、天板23の前記領域内であり、開口240近傍に設けられている。この凸部231は、光ディスクDの姿勢を規制し得る機能、すなわち、光ディスクDが開口240付近(フロントベゼル24の上側後端)に引っかかるのを防止し得る機能を有するものである。したがって、光ディスクDを誤収納状態(誤装着状態)でディスクトレイ11を装填位置へ移動させた場合であっても、ディスクトレイ11を排出位置へ向かって移動させる際に、フロントベゼル24の上側後端に引っかかるのを防止することができ、ディスクトレイ11を排出位置に円滑に移動させることができる。
【0068】
具体的には、誤収納状態で、ディスクトレイ11を装填位置へ移動させた場合(光ディスクDが装置本体2内に誤挿入された場合)、凸部231は、光ディスクDのディスク収納部111から突出した部分(図7中、左側)をディスク収納部111に向かって押圧し、爪部113と光ディスクDをディスク収納部111の底面側に撓ませる。これにより、ディスクトレイ11を排出位置へ移動させる際に、光ディスクDが開口240付近に引っかかるのを防止することができる。
【0069】
さて、本発明では、図2に示すように、凸部231は、図2の平面視(つまり、天板23の内側から見た平面視)にて、長円状の輪郭を有する底部と、その底部の内側に位置し光ディスクDの半径方向に延在する先端部233と、底部と先端部233との間に位置する周面232とを備えている。
そして、長円状の輪郭を有する底部は、凸部231の延在方向と平行な1対の直線部と、各直線部の両端のうちの光ディスクDの中心から近位に位置する端同士を連結する湾曲部と、各直線部の両端のうち光ディスクDの中心から遠位に位置する端同士を連結する湾曲部とで規定されている。
また、凸部231の周面232が傾斜面を構成するように、凸部231の横断面積が底部から先端部233に向けて漸減し、周面232の、底部の輪郭を規定する各直線部と先端部233とで規定される面がそれぞれ平坦な傾斜面をなしている。
このような凸部231によれば、光ディスクDの回転により発生する光ディスクDの周方向に流動する気流を平坦な傾斜面に沿わせて、先端部233と光ディスクDとの間の空間に導くことができる。
【0070】
ここで、仮に、例えば直方体形状等の凸部、すなわち、その横断面積が先端に向かって変化しない形状(周面が天板23に対してほぼ垂直をなす形状)の凸部が天板23に設けられていると、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)が、この凸部近傍で急激に変化し、光ディスクDをディスク収納部111に向かって(下向きに)押し付けてしまう。これにより、光ディスクDの記録面が光ピックアップからのレーザ光の焦点位置からズレ、記録再生特性に悪影響をおよぼす。さらに、光ディスクDを回転駆動するためのスピンドルモータ51が特定の回転数に到達すると、スピンドルモータ51の振動と光ディスクDが共振するという現象が見られるようになる。この場合、前述したような下向きの力が光ディスクDに加わると、光ディスクDの傾きがより一層大きくなり、光ディスクDの記録再生特性が大きく損なわれる。
【0071】
これに対し、凸部231を前述したような形状とすることにより、空気が凸部231の表面に沿うように流れるので、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)が凸部231近傍で急激に変化する(気流の凸部231近傍における変化量が増大する)のを抑制(防止)することができる。これにより、気流の凸部231近傍における変化量の増大(気流の乱れ)に起因する光ディスクDの記録再生特性の低下を抑制(防止)することができる。
【0072】
この場合、周面232と天板23とのなす角度(図4中、角度θ1)は、特に限定されないが、110〜150°程度であるのが好ましく、125〜135°程度であるのがより好ましい。角度θ1を前記範囲とすることにより、前記効果がより向上する。
【0073】
また、凸部231は、その横断面形状が長円形をなしている。これにより、空気がより円滑に凸部231の表面に沿うように流れるようになり、凸部231近傍で気流が急激に変化する(気流が乱れる)のをより効率よく抑制(防止)することができる。
【0074】
また、凸部231は、その先端面233が平坦面を構成しており、そして、ディスクトレイ11を装填位置へ移動させたとき、先端面233とディスク収納部111の底面とは、ほぼ平行となるように構成されている。凸部231をこのような構成とすることにより、空気がより円滑に凸部231の表面に沿うように流れるようになり、凸部231近傍で気流が乱れるのをより効率よく抑制(防止)することができる。また、誤収納状態の光ディスクDは、ディスクトレイ11を装填位置から排出位置へ向かって移動させる際に、その上面が凸部231に接触しつつ摺動するが、凸部231をこのような構成とすることにより、光ディスクDの凸部231に対する摺動抵抗を低減することができ、また、光ディスクDの上面が傷つくのを防止することもできる。
【0075】
また、本実施形態では、凸部231が天板23と一体的に形成されている。このため、ゴム片等で構成される別部材を天板23に固着(固定)する場合と比較して、ディスク装置1の製造工程数や部品点数を削減することができ、ディスク装置1の生産性を向上させることができる。
【0076】
このような凸部231の形成方法は、特に限定されないが、プレス加工または絞り加工を用いるのが好ましい。このような塑性加工によれば、凸部231を容易に形成することができる。
【0077】
なお、凸部231の形状は、図示のものに限定されない。例えば、凸部231の横断面形状は、三角形、四角形、菱形、六角形等の多角形、円形等とすることもできる。
【0078】
また、凸部231は、天板23と一体的に形成されたものに限定されず、例えば、ゴム片等で構成される別部材を天板23に接着剤等により固着(固定)したものであってもよい。
【0079】
<第2実施形態>
次に、本発明のディスク装置の第2実施形態について説明する。
【0080】
図8は、第2実施形態のディスク装置が備える天板を内側から見た平面図、図9は、第2実施形態のディスク装置を示す断面側面図である。
【0081】
以下、第2実施形態のディスク装置について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0082】
第2実施形態のディスク装置1では、天板23に凸部231と凸条234とが設けられ、それ以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0083】
すなわち、第2実施形態の天板23には、図9に示すように、ディスクトレイ11を装置本体2へ挿入したとき(ディスクトレイ11を装填位置へ移動させたとき)のディスク収納部111に対応する領域内に、前記第1実施形態と同様の構成の凸部231と、円弧状の装置本体2の内側に向かって突出する凸条234とが、それぞれ、設けられている。
【0084】
具体的には、凸条234は、光ディスクD(ディスククランパ15)の回転中心をほぼ中心として、円弧状に設けられている。
【0085】
この凸条234は、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)を調整する機能(整流作用)を有するものであり、本実施形態では、凸条234は、凸部231とともに、整流手段(気流調整手段)を構成している。
【0086】
また、凸条234の高さは、凸部231の高さより低く設定されている。これにより、凸条234と凸部231とによる整流手段としての機能が好適に発揮される。
【0087】
また、凸条234は、その横断面積が先端に向かって漸減する形状をなしている。本実施形態では、凸条234は、その周面235が傾斜面を構成している。凸条234をこのような形状とすることにより、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流をより効率よく調整(制御)することができる。これにより、気流の乱れに起因する光ディスクDの記録再生特性の低下をより確実に抑制(防止)することができる。
【0088】
この場合、周面235と天板23とのなす角度(図9中、角度θ2)は、特に限定されないが、100〜150°程度であるのが好ましく、135〜145°程度であるのがより好ましい。角度θ2を前記範囲とすることにより、前記効果がより向上する。
【0089】
また、凸条234は、その先端面236が平坦面を構成しており、そして、ディスクトレイ11を装填位置へ移動させたとき、先端面236とディスク収納部111の底面とは、ほぼ平行となるように構成されている。凸条234をこのような構成とすることにより、気流をより効率よく調整することができる。
【0090】
この凸条234の先端面236とディスク収納部111の底面との距離(図9中、長さL)は、特に限定されないが、8〜10mm程度であるのが好ましく、8.5〜9.5mm程度であるのがより好ましい。前記長さLを前記範囲とすることにより、凸条234による整流作用が特に効果的に発揮される。
【0091】
また、本実施形態では、凸条234は、天板23と一体的に形成されている。凸条234を天板23と一体的に成形することにより、ゴム片等で構成される別部材を天板23に固着(固定)する場合と比較して、ディスク装置1の製造工程数や部品点数を削減することができる。このため、ディスク装置1の生産性を向上させることができる。
【0092】
このような凸条234の形成方法は、特に限定されないが、プレス加工または絞り加工を用いるのが好ましい。このような塑性加工によれば、凸条234を容易に形成することができる。
【0093】
なお、凸条234の横断面形状は、光ディスクDが回転する際に発生する気流を調整することができる形状であれば、図示のものに限定されない。また、凸条234は、一つの繋がったものでなく、例えば、複数の凸条が間隔をおいて設けられたものであってもよい。
【0094】
また、凸部231および凸条234は、天板23と一体的に形成されたものに限定されず、これらの一方または双方は、例えば、ゴム片等で構成される別部材を天板23に接着剤等により固着(固定)したものであってもよい。
【0095】
この第2実施形態のディスク装置1によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0096】
また、凸部231は、必要に応じて(例えばディスク装置1の種類等に応じて)、省略することもできる。すなわち、本発明のディスク装置1では、凸条234のみ天板23に設けられたものであってもよい。なお、この場合であっても、凸条234は、前述したような整流作用を好適に発揮する。
【0097】
<第3実施形態>
次に、本発明のディスク装置の第3実施形態について説明する。
【0098】
図10は、第3実施形態のディスク装置が備える天板を内側から見た平面図である。
【0099】
以下、第3実施形態のディスク装置について、前記第1および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0100】
第3実施形態のディスク装置1では、凸部231と凸条234とは、それらの一部が繋がっており、それ以外は、前記第2実施形態と同様である。
【0101】
これにより、凸条234の形成領域を増大させることができるので、光ディスクDが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)をより確実に調整(整流)することができ、その結果、光ディスクDの記録再生特性の低下をより確実に防止することができる。
【0102】
この第3実施形態のディスク装置1によっても、前記第1および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0103】
以上、本発明のディスク装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ディスク装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0104】
また、各前記実施形態では、凸部は、光ディスクの誤挿入防止機能を有するものとして説明したが、凸部は、これに代わり、他の任意の機能を有するものや、光ディスクの誤挿入防止機能と他の機能との2種以上の機能を併有するものであってもよい。これらの場合、凸部の設置位置は、ディスクトレイを装置本体内に挿入したときのディスク収納部に対応する領域内であれば、蓋体の開口近傍に限定されるものではない。
【0105】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、光ディスクが回転(高速回転)する際に発生する気流(空気の流れ)が乱れるのを抑制(防止)することができる。
また、本発明によれば、この気流を調整(整流)することもできる。
【0106】
このようなことから、本発明によれば、光ディスクの記録再生特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスク装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すディスク装置における天板を装置本体の内側から見た平面図である。
【図3】図1に示すディスク装置における天板を取り外した状態を示す平面図である。
【図4】図1に示すディスク装置を示す断面側面図(排出状態)である。
【図5】図1に示すディスク装置を示す断面側面図(装填状態)である。
【図6】図1に示すディスク装置のディスクトレイに光ディスクを誤って収納した状態(誤収納状態)を示す平面図である。
【図7】図6に示す状態で、ディスクトレイを装填位置から排出位置へ移動させている状態を示した断面側面図である。
【図8】第2実施形態のディスク装置が備える天板を内側から見た平面図である。
【図9】第2実施形態のディスク装置を示す断面側面図である。
【図10】第3実施形態のディスク装置が備える天板を内側から見た平面図である。
【図11】縦置き状態で使用可能な従来の光ディスク装置を示す平面図である。
【図12】図11に示す光ディスク装置の部分断面側面図(ディスクトレイを排出位置へ移動させている状態)である。
【図13】従来の光ディスク装置の他の構成例を示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
1 ディスク装置
11 ディスクトレイ
111 ディスク収納部
112 開口
113 爪部
114 軸
12 メイン回路基板
13 枠部材
131 軸
14 ゴムブッシュ
15 ディスククランパ
2 装置本体
21 フレーム
22 ケーシング
221 底板
23 天板
231 凸部
232 周面
233 先端面
234 凸条
235 周面
236 先端面
24 フロントベゼル
240 開口
3 スレッドメカユニット
4 シャーシ
41 回動端
42 変位端
43 シャーシ本体
44 ゴムブッシュ装着部
45 スピンドルモータ固定部
5 光ディスク回転駆動機構
51 スピンドルモータ
52 ターンテーブル
6 光ピックアップ
61 対物レンズ
62 アクチュエータ
63 支持部材
64、65 摺動部
7 光ピックアップ移動機構
71 スレッドモータ
72 ウォーム
73 大径ギア
74 小径ギア
75 ラックギア
76、77 ガイドシャフト
81 ガイドシャフト高さ調整機構
91 ホルダー部材
D 光ディスク
900 従来のディスク装置
910 ディスクトレイ
911 ディスク収納部
913 爪部
920 装置本体
922 筐体
923 蓋体
930 凸部
940 フロントベゼル
941 開口
Claims (2)
- 筐体と該筐体の上部を覆う蓋体とを備えた装置本体と、
光ディスクが収容されるディスク収容部を有し、前記装置本体の前面に形成された開口を介して、前記装置本体に対し移動可能に設置させたディスクトレイと、
前記装置本体の内部に設けられ、前記光ディスクを支持するターンテーブルと前記光ディスクを前記ターンテーブルとの間で狭持するためのディスククランパと前記ターンテーブルを回転させるためのスピンドルモータとを備え、前記光ディスクを前記ターンテーブルと前記ディスククランパとの間で狭持し、前記スピンドルモータを回転させることで前記ターンテーブルを回転させ、それに伴い前記光ディスクを回転させる光ディスク回転駆動機構と、
前記光ディスクの高速回転により前記装置本体の内部に発生する気流を整流する整流部材として機能し、前記装置本体の内部に向けて突出するように前記蓋体と一体的に形成され、前記ディスクトレイを前記装置本体内に挿入したときに、前記光ディスク収容部に対応する領域内であって前記光ディスクの外周縁付近に前記光ディスクの半径方向に沿って延在するように設けられ、前記蓋体の内側から見た平面視にて、長円状の輪郭を有する底部、該底部の内側に位置し前記光ディスクの半径方向に延在する先端部および前記底部と前記先端部との間に位置する周面を備える少なくとも1つの凸部とを有し、
前記長円状の輪郭を有する底部は、前記凸部の延在方向と平行な1対の直線部と、前記各直線部の両端のうちの前記光ディスクの中心から近位に位置する端同士を連結する湾曲部と、前記各直線部の両端のうち前記光ディスクの中心から遠位に位置する端同士を連結する湾曲部とで規定され、
前記周面が傾斜面を構成するように、前記凸部の横断面積が前記底部から前記先端部に向けて漸減し、前記周面の前記各直線部と前記先端部とで規定される面がそれぞれ平坦な傾斜面をなし、前記光ディスクの回転により発生する前記光ディスクの周方向に流動する気流を前記平坦な傾斜面に沿わせて、前記先端部と前記光ディスクとの間の空間に導くように構成されていることを特徴とするディスク装置。 - 前記先端部は、前記蓋体と平行な平坦面をなしている請求項1に記載のディスク装置。
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