JP4166969B2 - モノカルボン酸3級−アルキルエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノカルボン酸3級−アルキルエステル、例えばt−ブトキシカルボニル置換ノルボルネン誘導体を工業的に容易に、収率よく製造する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、一般に、製造が困難な、3級アルコールのモノカルボン酸エステルを、モノカルボン酸と3級アルコールより、一段の反応工程で、高収率で製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モノカルボン酸とアルコールとのエステル化反応は、酸触媒の存在下に、直接エステル化する方法、カルボン酸をハロゲン化した後、アルコールと反応させる方法、或いは、酸性または塩基性触媒の存在下に、エステル交換する方法等により得られることが知られている。しかしながら、これらのエステル化反応は、1級ないし2級アルコールの場合は、容易に進むが、3級アルコールの場合は、置換基による立体障害のためエステル化反応が進みにくく、またそのカルボカチオンが安定であるため、生成したエステルの解離反応が生じやすい等のため、通常用いられエステル化方法においては、反応が容易に進まず、極めて低収率で、困難である。
【0003】
一方、近年、モノカルボン酸3級−アルキルエステルは、電子材料等の分野で注目されてきている。例えばt−ブトキシカルボニル置換テトラシクロドデセン類である、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5 1.7,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸t−ブチルエステルは、高集積回路用、特にArFエキシマレーザー等の真空紫外領域の露光に好適なレジスト用樹脂の原料として、近年注目されてきている。
従来、t−ブトキシカルボニル置換テトラシクロドデセン類の製造方法としては、t−ブチルアクリレートとジシクロペンタジエン類のデイールス・アルダー反応により、得られることが知られている。(K.D.AhnJ.Photopolym.Sci.Technol.,Vol.11,No.3,499-503(1998))。
【0004】
しかしながら、t−ブチルアクリレートを原料とする上記の製造方法では、t−ブトキシカルボニル置換ノルボルネン類が、t−ブチルアクリレートとシクロペンタジエン類からデイールス・アルダー反応により容易に高収率で得られるのと異なり、そのデイールス・アルダー反応は、加圧下で、しかも180〜200℃の高い反応温度での条件が必要であるという問題点がある。
また、そのため、反応により生成したt−ブトキシカルボニル置換テトラシクロドデセン類からt−ブチル基が離脱したカルボン酸置換テトラシクロドデセン類ができやすく、またこれが副反応を起こす原因となることもあり、各種のt−ブトキシカルボニル置換ノルボルネン類の副生物が生成するために、収率が低く、また反応生成物から高純度の目的物を得るためには精密蒸留も必要であるという問題点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、モノカルボン酸3級−アルキルエステルの製造の困難性、例えばt−ブトキシカルボニル置換テトラシクロドデセン類の製造方法に於ける上述したような状況に鑑み、3級アルコールとモノカルボン酸を原料として、工業的に実施容易な製造条件で、しかも高収率、高純度のモノカルボン酸3級−アルキルエステル、例えばt−ブトキシカルボニル置換テトラシクロドデセン類及びt−ブトキシカルボニル置換ビシクロヘプトエン類等のモノカルボン酸3級−アルキルエステル等の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、モノカルボン酸と、3級アルコールよりなる混合液中に、3級アミド類触媒の存在下、下記一般式2で示されるハロゲン化芳香族スルホニルであるエステル化剤を逐次添加することを特徴とする一般式1で示されるモノカルボン酸3級-アルキルエステルの製造方法が提供される。
【化1】
一般式1
(式中、R1は炭化水素基を表し、R2は3級飽和炭化水素基を表す。)
【化2】
一般式2
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Arはベンゼン環又は炭素数1〜3のアルキル置換ベンゼン環を表す。)
【0007】
【化3】
一般式1
(式中、R1は炭化水素基を表し、R2は3級飽和炭化水素基を表す。)
【0008】
本発明の製造法において用いられる、出発原料であるモノカルボン酸としては、炭化水素モノカルボン酸であり、テトラシクロドデセン環、ノルボルネン環等の架橋環炭化水素モノカルボン酸、例えば、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−メチル−3−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸等が挙げられる。
【0009】
同様に、フェニル環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環等の芳香環炭化水素モノカルボン酸、例えば安息香酸、P−イソプロピル安息香酸、メチル安息香酸、3−ビフェニルカルボン酸、α―ナフトエ酸、β―ナフトエ酸、2−メチルー1−ナフトエ酸、アントラセンー2−カルボン酸等が挙げられる。
また、シクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、シクロナフタレン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、スピロ[4,5]デカン環、等の脂環炭化水素モノカルボン酸、例えばシクロヘキサンカルボン酸、2−メチルシクロヘキサンカルボン酸、スピロ[4,5]デカンー1−カルボン酸、ヒドロインダンー1−カルボン酸、デカリンー1−カルボン酸等が挙げられる。
さらに、炭素数2〜12の脂肪族飽和炭化水素のモノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリル酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0010】
本発明の製造方法において用いられる3級アルコールとしては、脂肪族飽和炭化水素3級アルコールであり、具体的には、t-ブチルアルコール、t-ペンチルアルコール、t−ヘキシルアルコール、1,1,3,3−テトラメチルブチルアルコール等の脂肪族3級アルコール、1−メチルー1―シクロヘキシルアルコール、1−エチルー1−シクロヘキシルアルコール、1−メチルエチルー1−シクロヘキシルアルコール、1−メチルエチルー1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)アルコール等の脂環3級アルコール、1−アダマンチルアルコール、2−メチルー2−アダマンチルアルコール等の架橋環3級アルコール等が挙げられる。
【0011】
したがって、本発明の目的物である下記一般式1で示されるモノカルボン酸3級−アルキルエステルとしては、以下の化合物がある。
【0012】
【化4】
一般式1
(式中、R1は炭化水素基を表し、R2は3級飽和炭化水素基を表す。)
【0013】
例えばテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸−t−ブチルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−メチル−3−カルボン酸−t−ブチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−t−ブチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸−t−ブチルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸−t−ペンチルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−メチル−3−カルボン酸−t−ペンチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−t−ペンチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸−t−ペンチルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸−t−1−エチルシクロヘキシルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−メチル−3−カルボン酸−t−1−エチルシクロヘキシルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−t−1−エチルシクロヘキシルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸−t−1−エチルシクロヘキシルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸−1−アダマンチルエステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−メチル−3−カルボン酸−1−アダマンチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−1−アダマンチルエステル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸−1−アダマンチルエステル、安息香酸t−ブチルエステル、ナフタレン2−カルボン酸t−ブチルエステル、3−ビフェニルカルボン酸t−ブチルエステル、シクロヘキサンカルボン酸t−ブチルエステル、酢酸t−ブチルエステル、プロピオン酸t−ブチルエステル、ラウリル酸t−ブチルエステル等が挙げられる。
【0014】
本発明の、一般式1で表されるモノカルボン酸3級−アルキルエステルの製造方法においては、モノカルボン酸と、3級アルコールの混合液中に、触媒の存在下、3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化剤を逐次添加し反応させることにより、本発明の目的物である一般式1で示されるモノカルボン酸3級-アルキルエステルを収率良く得ることができる。
【0015】
【化5】
一般式1
(式中、R1は炭化水素基を表し、R2は3級飽和炭化水素基を表す。)
【0016】
本発明の製造方法においては、モノカルボン酸と、3級アルコールの混合液中に、3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化剤を逐次添加して反応を行う。
逐次添加方法としては、例えば、モノカルボン酸と、3級アルコールの混合液中に、上記エステル化剤を、例えば0.5〜10時間程度かけて、連続して又は分割して添加する。
このことは、下記反応式3に示すように、本発明の主たる反応と推測される反応は、まず、原料のモノカルボン酸に、例えば下記一般式2で示される3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化剤が反応し、3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化物が生成する。
【0017】
【化6】
一般式2
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Arはベンゼン環又は炭素数1〜3のアルキル置換ベンゼン環を表す。)
【0018】
この場合、本発明の反応条件下においては、上記一般式2で示されるエステル化剤は、混合液中に共存する3級アルコールとは殆ど反応しない。次いで、この生成した上記エステル化物と、もう一方の原料である、混合液中に共存する3級アルコールとが、エステル交換反応し、2つの反応が選択的に同時に非平衡的に進行するために、本発明の目的物である前記一般式1で示されるモノカルボン酸3級-アルキルエステルが、見かけ上、一工程で、高い収率で得られるものと推測される。
【0019】
【化7】
反応式3
(式中、R1、R2は一般式1のそれと同じであり、X,Arは一般式2のそれと同じである。)
【0020】
本発明の製造方法において、使用する原料のモノカルボン酸は、精製品でも、粗製品でもよいが、好ましくは純度95%程度のものが好ましい。
本発明の製造方法においては、反応に際し、特定の触媒の共存下に反応を行う事が好ましい。
【0021】
使用される触媒としては、3級アミド類であり、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、N―メチルピロリドン等が例示できる。これらの中では、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましく、特にジメチルアセトアミドが好ましい。使用量は、モノカルボン酸に対して0.01〜30重量部の範囲程度、好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。
【0022】
本発明の製造方法においては、3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化剤としては、例えばスルホニル基、アセチル基又はトリフルオロアセチル基などの一価の酸基を有するエステル化剤であり、具体的には、メタンスルホニルクロライドなどの脂肪族スルホニルクロライド、P−トルエンスルホン酸クロライドで例示される芳香族スルホニルクロライドなどの下記一般式2で示されるハロゲン化芳香族スルホニル、無水酢酸又はトリフルオロ無水酢酸などが挙げられる。これらの中では、下記一般式2で示されるハロゲン化芳香族スルホニルか好ましく、P−トルエンスルホン酸クロライドが特に好ましい。
【0023】
【化8】
一般式2
(式中、Xはハロゲン原子を、Arはベンゼン環又は炭素数1〜3のアルキル置換ベンゼン環を表す)
【0024】
上記エステル化剤の使用量は、通常、原料のモノカルボン酸に対して100〜500モル%、好ましくは100〜200モル%が用いられる。
本発明の製造方法においては、エステル化反応に際して、通常、3級アルコールとエステル交換し得る一価の酸基を有するエステル化剤から発生する酸を補足する為に、塩基が用いられる。塩基としては、特に限定はされないが、例えばトリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム等が例示でき、これらのうちではピリジンが好ましい。塩基の使用量は、モノカルボン酸に対して2.0〜50モル倍の範囲、中でも2.0〜30モル倍が好ましい。
反応温度は、30〜80℃の範囲、好ましくは40〜60℃の範囲である。
反応圧力は、特に制限はないが、通常100〜1000kpaの範囲、好ましくは100〜300kpaである。このような反応条件のもとで、反応は、通常1〜20時間程度で終了する。
また、エステル化反応の終点は液体クロマトグラフィー(HPLC)分析あるいは、ガスクロマトグラフィー分析等により確認することができる。
【0025】
本発明の製造方法においては、通常、モノカルボン酸と3級アルコールの混合液に、温度40〜60℃の加温下において、エステル化剤を、例えば滴下等の方法により逐次添加し、その後さらに反応させることにより行われる。この場合、ジメチルアセトアミド等の触媒は、モノカルボン酸と3級アルコールの混合液ないしエステル化剤の、いずれか一方に全部又は両者に分割添加してもよい。同様に、塩基についても、モノカルボン酸と3級アルコールの混合液ないしエステル化剤の、いずれか一方に全部又は両者に分割添加してもよい。
本発明の製造方法においては、原料モノカルボン酸に対する目的物の収率は、通常、40〜90モル%程度である。
本発明の製造方法においては、反応に際し、溶媒を用いてもよい。溶媒としてはアルコール以外の有機溶媒が好ましく、例えばトルエン等の芳香族溶媒、ケトン類溶媒、エーテル類溶媒等を挙げることが出来る。また、前記の、ジメチルアセトアミド等の触媒あるいはピリジン等の塩基を溶媒として用いても良い。
【0026】
本発明の製造方法においては、反応終了後の反応混合物は、例えば、苛性ソーダなどのアルカリ水溶液により中和し、水層を分液除去した後、残った油層中の溶媒を蒸留などで留去することにより、本発明の目的物であるモノカルボン酸t-アルキルエステルの精製物、例えば前記例示化合物のt−ブトキシカルボニル−テトラシクロドデセンを得ることができる。
【0027】
次に、本発明の製造方法について、実施例でさらに詳細に説明する。
なお、実施例中の目的物の純度及び収率は、ガスクロマトグラフィー分析乃至液体クロマトグラフィー分析により算出した。また目的物は、質量分析およびプロトンNMR分析により、同定確認を行った。
【0028】
【実施例1】
ノルボルネンカルボン酸t−ブチルエステルの製造
【0029】
【化9】
式4
【0030】
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた1Lの四ツ口フラスコにビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸69g(0.5mol)とピリジン118.5g(1.5mol)及びt−ブタノール74g(1.0mol)を仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド190g(1.0mol)をジメチルアセトアミド204gに溶解した溶液を1.5Hrかけて滴下し、その後さらに同温度で2Hr撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物にトルエン204g、水204gを加え、撹拌後水層を分液除去する。次に、残つた油層に16%NaOH水溶液102gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去する。得られた油層中のトルエン等を減圧蒸留によって留去することにより、目的物のビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−t−ブチルエステル78gを純度99.5%(ガスクロマトグラフィー分析)の微黄色液体として得た。(原料カルボン酸に対する収率80%)
【0031】
【実施例2】
テトラシクロドデセンカルボン酸t−ブチルエステルの製造
【0032】
【化10】
式5
【0033】
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた2Lの四ツ口フラスコに、テトラシクロ[4.4.0.12.5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸を102g(0.5mol)と、ピリジン118.5g(1.5mol)及びt−ブタノール74g(1.0mol)を仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し、撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながらp−トルエンスルホニルクロライド190g(1.0mol)をジメチルアセトアミド204gに溶解した溶液を1.5Hrかけて滴下し、その後、さらに同温度で2時間撹拌し、目的物を含む反応混合物を得た。反応終了後、得られた反応混合物にトルエン204g、水204gを加え、1時間撹拌した後、水層を分液除去する。
次に、残った油層に16%NaOH水溶液102gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去する。得られた油層中のトルエン等を減圧蒸留で留去することにより、目的物のテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデセ−8−エン−3−カルボン酸t−ブチルエステル111gを純度99.3%(ガスクロマトグラフィ分析)の微黄色液体として得た。(原料カルボン酸に対する収率85%)
【0034】
【実施例3】
ノルボルネンカルボン酸―エチルシクロヘキシルエステルの製造
【0035】
【化11】
式6
【0036】
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた2Lの四ツ口フラスコにビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸193.7g(1.4モル)と1−エチルシクロヘキサノール215g(1.68モル)及びN、N―ジメチルアセトアミド58gを仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、55℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド320.4g(1.68モル)をピリジン320gに溶解した溶液を3時間かけて滴下し、その後さらに同温度で一晩撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物にトルエン580g、水590gを加え、撹拌後水層を分液除去し、次に、残った油層に16%NaOH水溶液420gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去する。得られた油層中のトルエン等を減圧蒸留によって留去することにより目的物のビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−1−エチルシクロヘキシルエステル243gを純度98.8%(液体クロマトグラフィー分析)の微黄色液体として得た。(原料カルボン酸に対する収率68.1%)
【0037】
【実施例4】
ノルボルネンカルボン酸―t−ペンチルエステルの製造
【0038】
【化12】
式7
【0039】
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた5Lの四ツ口フラスコにビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸553g(4.0モル)とt−ペンチルアルコール425g(4.82モル)及びN、N―ジメチルアセトアミド165.6gを仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド915.4g(4.8モル)をピリジン915gに溶解した溶液を4時間かけて滴下し、その後さらに同温度で一晩撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水1660gを加え、撹拌後水層を分液除去し、次に、残った油層に16%NaOH水溶液600gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去する。得られた油層を減圧蒸留によって留去することにより目的物のビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−t−ペンチルエステル709gを純度99.1%(ガスクロマトグラフィー分析)の無色透明液体として得た。(原料カルボン酸に対する収率85.3%)
【0040】
【実施例5】
ノルボルネンカルボン酸―アダマンチルエステルの製造
【0041】
【化13】
式8
【0042】
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた1Lの四ツ口フラスコにビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸3.9g(0.028モル)と1−アダマンタノール4.5g(0.0296モル)、N、N―ジメチルアセトアミド1.2g及びピリジン6.6gを仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド5.6g(0.0294モル)をピリジン6.6gに溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、その後さらに同温度で一晩撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物にトルエン30g、水30gを加え、撹拌後水層を分液除去し、次に、残った油層に16%NaOH水溶液2.1gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去する。得られた油層中のトルエン等を減圧蒸留によって留去し、その残留物をメタノールで晶析することにより、目的物のビシクロ(2,2,1)ヘプト−5−エン−2−カルボン酸−1−アダマンチルエステル5.3gを純度92.3%(液体クロマトグラフィー分析)の白色結晶として得た。(原料カルボン酸に対する収率64.4%)
【0043】
【実施例6】
安息香酸t−ブチルエステルの製造;
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた1Lの四ツ口フラスコに安息香酸12.2g(0.1モル)とt−ブチルアルコール8.9g(0.12モル)、N、N―ジメチルアセトアミド3.7gを仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド22.9g(0.12モル)をピリジン22.2gに溶解した溶液を1時間かけて滴下し、その後さらに同温度で2時間撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水50gを加え、撹拌後水層を分液除去し、次に、残った油層に16%NaOH水溶液12gを加え、更に水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去した。得られた油層を減圧蒸留し、その残留物をメタノールで晶析することにより、目的物の安息香酸t−ブチルエステル13.3gを純度98.7%(ガスクロマトグラフィー分析)の白色結晶として得た。(原料安息香酸に対する収率74.9%)
【0044】
【実施例7】
プロピオン酸t−ブチルエステルの製造;
撹拌機、温度計、滴下ロート及び還流コンデンサーを備えた1Lの四ツ口フラスコにプロピオン酸7.4g(0.1モル)とt−ブチルアルコール8.9g(0.12モル)、N、N―ジメチルアセトアミド2.2gを仕込み、フラスコ内を窒素ガス置換した後、60℃に加温し撹拌溶解させた。
次いで、同温度を保ちながら、p−トルエンスルホニルクロライド22.9g(0.12モル)をピリジン22.2gに溶解した溶液を1時間かけて滴下し、その後さらに同温度で2時間撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物に水50gを加え、撹拌後水層を分液除去し、次に、残った油層に16%NaOH水溶液12gを加え、更に水と4.4%塩酸水を追加添加して撹拌した後、水層を分液除去した。残った油層を更に水洗し、水層を分液除去して、得られた油層を、減圧蒸留し、目的物のプロピオン酸t−ブチルエステル6.1gを純度99.9%(ガスクロマトグラフィー分析)の透明液体として得た。(原料プロピオン酸に対する収率46.9%)
【0045】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、出発原料のモノカルボン酸と3級アルコールより、工業的に実施容易な反応条件で、1工程の反応で各種のモノカルボン酸3級−アルキルエステルを製造することが出来る。
また、原料及び生成物共に熱的に安定な化合物であり、反応条件も、熱分解を起こすことのない穏和な条件であり、工業的に容易に、高純度、高収率でモノカルボン酸3級−アルキルエステルを製造することができる。
Claims (2)
- モノカルボン酸と、3級アルコールよりなる混合液中に、3級アミド類触媒の存在下、下記一般式2で示されるハロゲン化芳香族スルホニルであるエステル化剤を逐次添加することを特徴とする一般式1で示されるモノカルボン酸3級-アルキルエステルの製造方法。
(式中、R1は炭化水素基を表し、R2は3級飽和炭化水素基を表す。)
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Arはベンゼン環又は炭素数1〜3のアルキル置換ベンゼン環を表す。) - 塩基を共存させてなる、請求項1記載のモノカルボン酸3級−アルキルエステルの製造方法。
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