JP2018154592A - α−ハロアクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

α−ハロアクリル酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重合性の不純物が混入し難く、且つ、製造容易性に優れている、α−ハロアクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】2,3−ジハロゲノプロピオン酸およびアルコールを反応させて2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを得る工程(A)と、2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素を脱離させてα−ハロアクリル酸エステルを得る工程(B)とを含む、α−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、α−ハロアクリル酸エステルの製造方法に関するものである。
従来、α−クロロアクリル酸メチルなどのα−ハロアクリル酸エステルが、有用なモノマーとして様々な重合体の製造に利用されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、α−クロロアクリル酸エステルの製造方法としては、塩素化触媒の存在下においてアクリル酸エステルを気体状塩素で塩素化して2,3−ジクロロプロピオン酸エステルを得た後、脱塩酸触媒の存在下においてアルカリ性化合物で2,3−ジクロロプロピオン酸エステルを脱塩酸してα−クロロアクリル酸エステルを得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特公平8−3636号公報 国際公開第2006/054549号
しかし、上記従来のα−クロロアクリル酸エステルの製造方法には、生成物中に重合性の不純物(例えば、アクリル酸エステル等)が混入するという点において問題があった。また、ハンドリングし難いガスである気体状塩素を使用する必要がある上記従来のα−クロロアクリル酸エステルの製造方法には、製造容易性を高めるという点においても改善の余地があった。
そこで、本発明は、α−クロロアクリル酸エステルなどのα−ハロアクリル酸エステルについて、重合性の不純物が混入し難く、且つ、製造容易性に優れている製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、下記式(I):
Figure 2018154592
〔式(I)中、Xは、ハロゲン原子であり、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕で表されるα−ハロアクリル酸エステルの製造方法であって、下記式(II):
Figure 2018154592
〔式(II)中、Xは、ハロゲン原子である。〕で表される2,3−ジハロゲノプロピオン酸と、式(III):ROH〔式(III)中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕で表されるアルコールとを反応させて、下記式(IV):
Figure 2018154592
〔式(IV)中、Xは、ハロゲン原子であり、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕で表される2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを得る工程(A)と、前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素を脱離させてα−ハロアクリル酸エステルを得る工程(B)とを含むことを特徴とする。
このように、2,3−ジハロゲノプロピオン酸をエステル化して得た2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを脱ハロゲン化水素反応させてα−ハロアクリル酸エステルを製造すれば、アクリル酸エステル等の重合性の化合物が生成物中に混入するのを防止することができる。また、ハンドリングし難いハロゲンガスを使用することなく、α−ハロアクリル酸エステルを容易に製造することができる。
ここで、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、前記工程(A)において、前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸と前記アルコールとをジアリールアンモニウム塩からなるエステル化触媒の存在下で反応させることが好ましい。ジアリールアンモニウム塩からなるエステル化触媒を使用すれば、2,3−ジハロゲノプロピオン酸を効率的にエステル化することができるからである。
なお、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法では、前記ジアリールアンモニウム塩としてジアリールアンモニウムアレーンスルホナートを用いることが好ましい。ジアリールアンモニウムアレーンスルホナートからなるエステル化触媒を使用すれば、2,3−ジハロゲノプロピオン酸を更に効率的にエステル化することができるからである。
また、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、前記工程(A)において、前記アルコール1モル当たり前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸を1モル超使用することが好ましい。生成物中からアルコールを除去する操作は煩雑であるところ、アルコールとの反応当量よりも多い量の2,3−ジハロゲノプロピオン酸を使用すれば、未反応のアルコールが生成物中に残留するのを抑制することができるからである。
更に、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、前記Xが塩素原子であることが好ましい。Xが塩素原子であるα−ハロアクリル酸エステル(α−クロロアクリル酸エステル)は、重合体の製造に利用されるモノマー等として特に有用だからである。
そして、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、前記Rが架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有することが好ましい。架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有するα−ハロアクリル酸エステルは、重合体の製造に利用されるモノマー等として特に有用だからである。
本発明によれば、生成物中への重合性の不純物の混入を抑制しつつ、α−ハロアクリル酸エステルを容易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」を意味する。
ここで、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法を用いて製造されるα−ハロアクリル酸エステルは、特に限定されることなく、例えば重合体の製造に利用されるモノマー等として有利に用いることができる。具体的には、α−ハロアクリル酸エステル、特にα−クロロアクリル酸エステルは、例えば、主鎖切断型のポジ型レジストとして好適に使用し得る、電子線などの電離放射線や紫外線などの短波長の光の照射により主鎖が切断されて低分子量化する重合体の製造等に有利に用いることができる。
(α−ハロアクリル酸エステルの製造方法)
本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法は、2,3−ジハロゲノプロピオン酸とアルコールとを反応させて2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを得る工程(A)と、工程(A)で得た2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素を脱離させてα−ハロアクリル酸エステルを得る工程(B)とを含むことを特徴とする。
そして、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法によれば、α−ハロアクリル酸エステルを含む生成物中に重合性の不純物が混入するのを抑制することができる。従って、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法を用いて製造したα−ハロアクリル酸エステルは、重合体の製造に利用されるモノマーとして好適に用いることができる。
また、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法では、ハンドリングし難いハロゲンガスを使用する必要が無い。従って、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法によれば、ハロゲンガスを使用する従来の製造方法と比較し、α−ハロアクリル酸エステルを容易に製造することができる。
更に、本発明のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法によれば、α−ハロアクリル酸エステルの収率を高めることもできる。
<工程(A)>
工程(A)では、2,3−ジハロゲノプロピオン酸とアルコールとを、任意にエステル化触媒の存在下において反応させて、2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを得る。
[2,3−ジハロゲノプロピオン酸]
ここで、工程(A)で使用し得る2,3−ジハロゲノプロピオン酸は、下記式(II)で表される化合物である。
Figure 2018154592
なお、式(II)中、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子である。そして、式(II)中の2つのXは、互いに同一でも異なっていてもよい。中でも、Xは、互いに同一であることが好ましく、2つとも塩素原子であることがより好ましい。
即ち、工程(A)で使用し得る2,3−ジハロゲノプロピオン酸としては、特に限定されることなく、例えば、2,3−ジフルオロプロピオン酸、2,3−ジクロロプロピオン酸、2,3−ジブロモプロピオン酸、2,3−ジヨードプロピオン酸などが挙げられ、中でも、2,3−ジクロロプロピオン酸が好ましい。2,3−ジクロロプロピオン酸を使用すれば、α−ハロアクリル酸エステルとして、重合体の製造に利用されるモノマー等として特に有用なα−クロロアクリル酸エステルを得ることができるからである。
[アルコール]
また、工程(A)で使用し得るアルコールは、下記式(III)で表される化合物である。
R−OH ・・・(III)
ここで、式(III)中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。
そして、Rの炭化水素基としては、特に限定されることなく、例えば、1価の飽和炭化水素基および1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。中でも、重合体の製造に利用されるモノマー等として特に有用なα−ハロアクリル酸エステルを得る観点からは、Rの炭化水素基は、アルキル基、または、架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有する炭化水素基であることが好ましく、架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有する炭化水素基であることがより好ましい。
なお、上記アルキル基としては、特に限定されることなく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、上記架橋環式飽和炭化水素環とは、飽和炭化水素環の互いに隣接しない2以上の炭素を連結する架橋基(例えば、メチレン基等のアルキレン基など)を1つ以上有する環構造を指す。そして、架橋環式飽和炭化水素環としては、特に限定されることなく、例えば、ノルボルナン環およびアダマンチル環が挙げられる。
更に、上記芳香環としては、特に限定されることなく、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環およびピラントレン環が挙げられる。
そして、架橋環式飽和炭化水素環を有する炭化水素基としては、特に限定されることなく、ノルボルニル基、アダマンチル基、ノルボルニルアルキル基およびアダマンチルアルキル基が挙げられる。中でも、架橋環式飽和炭化水素環を有する炭化水素基は、ノルボルニル基、アダマンチル基またはアダマンチルメチル基であることが好ましい。
また、芳香環を有する炭化水素基としては、特に限定されることなく、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。中でも、芳香環を有する炭化水素基は、ベンジル基であることが好ましい。
更に、架橋環式飽和炭化水素環および芳香環を有する炭化水素基としては、特に限定されることなく、フェニルノルボルニル基、ノルボルニルフェニル基、アダマンチルフェニル基およびフェニルアダマンチル基が挙げられる。
また、上述した炭化水素基の置換基としては、特に限定されることなく、アルキル基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基などの1価の置換基、並びに、スルホニル基、カルボニル基、−O−および−C(=O)−O−などの2価の置換基が挙げられる。なお、2価の置換基は、通常、炭化水素基に結合して環を形成している。
ここで、1価の置換基となり得るアルキル基としては、特に限定されることなく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、1価の置換基となり得るハロゲン原子としては、特に限定されることなく、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
更に、1価の置換基となり得るハロゲン化アルキル基としては、特に限定されることなく、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などのフッ化アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
そして、置換基を有していてもよい炭化水素基であるRは、以下に示す(III−1)〜(III−7)の何れか、または、メチル基であることが好ましく、(III−1)〜(III−7)の何れかであることがより好ましく、(III−1)〜(III−5)の何れかであることが更に好ましい。
Figure 2018154592
〔式(III−1)〜(III−7)中、(*)は結合手であることを表す。〕
即ち、工程(A)において用いるアルコールは、2−アダマンタノール、1−アダマンタノール、1−アダマンタンメタノール、イソボルネオール、ヒドロキシノルボルナラクトン、ベンジルアルコール、α,α−ビストリフルオロメチルフェニルメタノールまたはメタノールであることが好ましく、2−アダマンタノール、1−アダマンタノール、1−アダマンタンメタノール、イソボルネオール、ヒドロキシノルボルナラクトン、ベンジルアルコールまたはα,α−ビストリフルオロメチルフェニルメタノールであることがより好ましく、2−アダマンタノール、1−アダマンタノール、1−アダマンタンメタノール、イソボルネオールまたはヒドロキシノルボルナラクトンであることが更に好ましい。
[エステル化触媒]
また、工程(A)において任意に使用し得るエステル化触媒としては、特に限定されることなく、任意のエステル化触媒を用いることができる。
中でも、2,3−ジハロゲノプロピオン酸を効率的にエステル化する観点からは、エステル化触媒としては、ジアリールアンモニウム塩を用いることが好ましく、ジアリールアンモニウムアレーンスルホナートを用いることがより好ましく、ジアリールアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートを用いることが更に好ましい。
具体的には、エステル化触媒としては、ジメシチルアンモニウムトリフラート、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、ジメシチルアンモニウムトシレート、N−メシチル−N−2,6−ジイソプロピルフェニルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、4−(N−メシチルアミノ)ポリスチレンペンタフルオロベンゼンスルホナートなどのジアリールアンモニウム塩を用いることが好ましく、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、ジメシチルアンモニウムトシレート、N−メシチル−N−2,6−ジイソプロピルフェニルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、4−(N−メシチルアミノ)ポリスチレンペンタフルオロベンゼンスルホナートなどのジアリールアンモニウムアレーンスルホナートを用いることがより好ましく、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、N−メシチル−N−2,6−ジイソプロピルフェニルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート、4−(N−メシチルアミノ)ポリスチレンペンタフルオロベンゼンスルホナートなどのジアリールアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートを用いることが更に好ましい。
これらのエステル化触媒を用いれば、上記アルコールのRが架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有する炭化水素基などの嵩高い基である場合であっても、エステル化反応を効率的に進めることができる。
[反応条件]
そして、工程(A)における2,3−ジハロゲノプロピオン酸とアルコールとの反応(エステル化反応)は、特に限定されることなく、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、トルエン、キシレン、アセトニトリルなどの有機溶媒中で、エステル化反応により生成する水を留去しながら行うことができる。
なお、エステル化反応の温度は、特に限定されることなく、40℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることより好ましく、250℃以下とすることが好ましく、180℃以下とすることより好ましい。エステル化反応の温度が低すぎる場合には反応速度が低下するからである。また、エステル化反応の温度が高すぎる場合には副反応が起こる可能性があるからである。
また、2,3−ジハロゲノプロピオン酸とアルコールとを反応させる時間は、特に限定されることなく、1分以上5000分以下とすることができる。
更に、工程(A)では、アルコールに対して過剰量の2,3−ジハロゲノプロピオン酸を反応させることが好ましい。即ち、工程(A)では、アルコール1モル当たり、2,3−ジハロゲノプロピオン酸を1モル超使用することが好ましく、1.1モル以上使用することがより好ましい。未反応のアルコールが残留した場合、目的物であるα−ハロアクリル酸エステルと残留したアルコールとは、分液などの簡便な分離操作で分離することが困難だからである。一方、2,3−ジハロゲノプロピオン酸は、残留した場合であっても、分液を用いてα−ハロアクリル酸エステルを含む生成物から容易に分離することができるからである。
また、工程(A)においてエステル化触媒を使用する場合、使用するエステル化触媒の量は、アルコール1モルに対し、0.0001モル以上とすることが好ましく、0.001モル以上とすることがより好ましく、1モル以下とすることが好ましく、0.1モル以下とすることがより好ましい。触媒の使用量を上記下限値以上にすれば、反応時間を短くすることができるからである。また、触媒の使用量を上記上限値以下にすれば、触媒の除去を容易にすることができるからである。
[2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステル]
そして、工程(A)では、下記式(IV)で表される化合物である2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルが得られる。
Figure 2018154592
なお、式(IV)中、Xは、式(II)と同じ意味を表し、Rは、式(III)と同じ意味を表す。そして、X並びにRの具体例および好適例は、それぞれ、式(II)のX並びに式(III)のRの具体例および好適例として上述したものと同じである。
<工程(B)>
工程(B)では、例えば塩基を使用して、2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素(HX)を脱離させることによりα−ハロアクリル酸エステルを得る。
[塩基]
ここで、工程(B)において使用し得る塩基としては、特に限定されることなく、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、メチルピリジンなどのアミン化合物が挙げられる。中でも、トリエチルアミンが好ましい。
[反応条件]
そして、工程(B)における脱ハロゲン化水素反応は、特に限定されることなく、例えば、工程(A)で得られた反応生成物に対して塩基を添加することにより行うことができる。
なお、脱ハロゲン化水素反応の温度は、特に限定されることなく、−10℃以上とすることが好ましく、0℃以上とすることより好ましく、100℃以下とすることが好ましく、80℃以下とすることより好ましい。脱ハロゲン化水素反応の温度が低すぎる場合には反応速度が低下するからである。また、脱ハロゲン化水素反応の温度が高すぎる場合には副反応が進行する恐れがあるからである。
また、2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素(HX)を脱離させる時間は、特に限定されることなく、1分以上5000分以下とすることができる。
更に、工程(B)において塩基を使用する場合、使用する塩基の量は、2,3−ジハロゲノプロピン酸エステル1モルに対し、1モル以上とすることが好ましく、1.2モル以上とすることがより好ましく、5モル以下とすることが好ましく、2モル以下とすることがより好ましい。塩基の使用量を上記下限値以上にすれば、反応時間を短くすることができるからである。また、塩基の使用量を上記上限値以下にすれば、過剰な塩基の除去が容易になるからである。
[α−ハロアクリル酸エステル]
そして、工程(B)では、下記式(I)で表される化合物であるα−ハロアクリル酸エステルが得られる。
Figure 2018154592
ここで、式(I)中、Xは、式(II)および(IV)と同じ意味を表し、Rは、式(III)および(IV)と同じ意味を表す。そして、X並びにRの具体例および好適例は、それぞれ、式(II)のX並びに式(III)のRの具体例および好適例として上述したものと同じである。
なお、工程(B)において得られたα−ハロアクリル酸エステルは、特に限定されることなく、分液、再結晶、カラムクロマトグラフィー、蒸留などの分離操作を用いて反応生成物から分離・回収することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、得られたα−ハロアクリル酸エステルの構造は核磁気共鳴(NMR)法を用いて確認した。また、得られたα−ハロアクリル酸エステル中の重合性の不純物の量は、下記の方法で評価した。
<重合性の不純物の量>
得られたα−ハロアクリル酸エステルを重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴スペクトル測定装置(ブルカー・バイオスピン社製、AVANCE III500)を用いてH−NMRスペクトルの測定を行った。
そして、得られたスペクトル中の5〜7ppmの範囲に現れるオレフィンのピークを積分し、下記式に従って重合性の不純物の量を求めた。
重合性の不純物の量=(不純物由来のオレフィンのピークの積分値/オレフィンのピークの全積分値)×100%
(実施例1)
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに、窒素気流下、2,3−ジハロゲノプロピオン酸としての2,3−ジクロロプロピオン酸56.3g(0.39モル)、アルコールとしての1−アダマンタノール50.0g(0.33モル)、エステル化触媒としてのジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1.9g(0.0039モル)および有機溶媒としてのトルエン200mLを加えて120℃まで昇温し、生成する水を留去しながら、24時間反応させた(工程(A))。
得られた反応液を室温まで冷却後、ヘキサン300mLを加えて0℃に冷却した。その後、塩基としてのトリエチルアミン50g(0.49モル)をゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った(工程(B))。
析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン50mLで2回洗浄した。ろ液および洗浄液を、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。また、得られた濃縮物にヘキサンを加え、60℃に加温して溶解させた後、0℃に冷却し、桐山ロートでろ過する操作(再結晶)を3回繰り返した。得られた結晶を桐山ロートでろ過し、室温で24時間減圧乾燥することで、α−クロロアクリル酸−1−アダマンチルを得た(収率:55.8モル%)。得られた生成物をH−NMRで分析したところ、重合性の不純物は検出されなかった。
(実施例2)
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに、窒素気流下、2,3−ジハロゲノプロピオン酸としての2,3−ジクロロプロピオン酸56.3g(0.39モル)、アルコールとしての2−アダマンタノール50.0g(0.33モル)、エステル化触媒としてのジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1.9g(0.0039モル)および有機溶媒としてのトルエン200mLを加え、80℃で12時間、110℃で5時間、生成する水を留去しながら、17時間反応させた(工程(A))。
得られた反応液を室温まで冷却後、ヘキサン300mLを加えて0℃に冷却した。その後、塩基としてのトリエチルアミン50g(0.49モル)をゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った(工程(B))。
析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン50mLで2回洗浄した。ろ液および洗浄液を、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。また、得られた濃縮物にヘキサンを加え、60℃に加温して溶解させた後、0℃に冷却し、桐山ロートでろ過する操作(再結晶)を3回繰り返した。得られた結晶を桐山ロートでろ過し、室温で24時間減圧乾燥することで、α−クロロアクリル酸−2−アダマンチルを得た(収率:92.0モル%)。得られた生成物をH−NMRで分析したところ、重合性の不純物は検出されなかった。
(実施例3)
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに、窒素気流下、2,3−ジハロゲノプロピオン酸としての2,3−ジクロロプロピオン酸25.3g(0.18モル)、アルコールとしての1−アダマンタンメタノール24.5g(0.15モル)、エステル化触媒としてのジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート0.7g(0.0015モル)および有機溶媒としてのトルエン100mLを加え、80℃で12時間、130℃で4時間、生成する水を留去しながら、16時間反応させた(工程(A))。
得られた反応液を室温まで冷却後、ヘキサン150mLを加えて0℃に冷却した。その後、塩基としてのトリエチルアミン22.5g(0.22モル)をゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った(工程(B))。
析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン25mLで2回洗浄した。ろ液および洗浄液を、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。また、得られた濃縮物に少量のヘキサンを加えて桐山ロートでろ過した。得られた結晶を室温で24時間減圧乾燥することで、α−クロロアクリル酸−1−アダマンチルメチルを得た(収率:85.0モル%)。得られた生成物をH−NMRで分析したところ、重合性の不純物は検出されなかった。
(実施例4)
ディーンスターク装置を取り付けた3つ口フラスコに、窒素気流下、2,3−ジハロゲノプロピオン酸としての2,3−ジクロロプロピオン酸27.8g(0.19モル)、アルコールとしてのヒドロキシノルボルナラクトン25.0g(0.16モル)、エステル化触媒としてのジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート1.0g(0.0019モル)および有機溶媒としてのトルエン150mLを加えて130℃まで昇温し、生成する水を留去しながら、24時間反応させた(工程(A))。
得られた反応液を室温まで冷却後、ジエチルエーテル150mLを加えて0℃に冷却した。その後、塩基としてのトリエチルアミン24.6g(0.24モル)をゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った(工程(B))。
析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をヘキサン25mLで2回洗浄した。ろ液および洗浄液を、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。また、得られた濃縮物を少量のテトラヒドロフランに溶解させた後、大量のヘキサンを投入することで析出物を得た。得られた析出物を桐山ロートでろ過し、得られた結晶を室温で24時間減圧乾燥することで、α−クロロアクリル酸ノルボルナンラクトンを得た(収率:76.0モル%)。得られた生成物をH−NMRで分析したところ、重合性の不純物は検出されなかった。
(比較例1)
ジムロート冷却器を取り付けた3つ口フラスコに、アクリル酸−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−2−イル31.2g、ジクロロメタン50mL、N,N−ジメチルホルムアミド0.93gを加えた後、温度を25〜30℃に保ちながら、10.6gの塩素ガスを吹き込み、6時間反応を行った。
次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後にろ過し、エバポレーターで濃縮した。得られた濃縮物にテトラヒドロフラン200mLを加えて0℃に冷却した。その後、トリエチルアミン22.7gをゆっくり滴下し、室温まで昇温して5時間反応を行った。
析出した塩を桐山ロートでろ過し、塩をテトラヒドロフラン25mLで2回洗浄した。ろ液および洗浄液を、1M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、分液操作を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えた後にろ過を行い、ろ液をエバポレーターで濃縮した。また、得られた濃縮物を少量のテトラヒドロフランに溶解させた後、大量のヘキサンを投入することで析出物を得た。得られた析出物を桐山ロートでろ過し、得られた結晶を室温で24時間減圧乾燥することで、α−クロロアクリル酸ノルボルナンラクトンを得た(収率:70.0モル%)。得られた生成物をH−NMRで分析したところ、重合性の不純物が1.2%含まれていた。
本発明によれば、生成物中への重合性の不純物の混入を抑制しつつ、α−ハロアクリル酸エステルを容易に製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記式(I):
    Figure 2018154592
    〔式(I)中、Xは、ハロゲン原子であり、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕
    で表されるα−ハロアクリル酸エステルの製造方法であって、
    下記式(II):
    Figure 2018154592
    〔式(II)中、Xは、ハロゲン原子である。〕
    で表される2,3−ジハロゲノプロピオン酸と、式(III):ROH〔式(III)中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕で表されるアルコールとを反応させて、下記式(IV):
    Figure 2018154592
    〔式(IV)中、Xは、ハロゲン原子であり、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基である。〕
    で表される2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルを得る工程(A)と、
    前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸エステルからハロゲン化水素を脱離させてα−ハロアクリル酸エステルを得る工程(B)と、
    を含む、α−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
  2. 前記工程(A)において、前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸と前記アルコールとをジアリールアンモニウム塩からなるエステル化触媒の存在下で反応させる、請求項1に記載のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
  3. 前記ジアリールアンモニウム塩がジアリールアンモニウムアレーンスルホナートである、請求項2に記載のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
  4. 前記工程(A)において、前記アルコール1モル当たり前記2,3−ジハロゲノプロピオン酸を1モル超使用する、請求項1〜3の何れかに記載のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
  5. 前記Xが塩素原子である、請求項1〜4の何れかに記載のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
  6. 前記Rが架橋環式飽和炭化水素環および芳香環の少なくとも一方を有する、請求項1〜5の何れかに記載のα−ハロアクリル酸エステルの製造方法。
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