JP4035305B2 - アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類とその(メタ)アクリル酸付加物とそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類とその(メタ)アクリル酸付加物とそれらの製造方法に関する。
【0002】
本発明によるこのようなテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類は、耐湿性、耐熱性、光学特性等にすぐれた嵩高い有橋環式炭化水素骨格に1つのアルキル基と1つのカルボン酸エステル基とを有し、同様に、このテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類への(メタ)アクリル酸付加物は、耐湿性、耐熱性、光学特性等にすぐれた嵩高い有橋環式炭化水素骨格に1つのカルボン酸エステル基と(メタ)アクリロイル基を有し、かくして、例えば、半導体微細加工用等の感光性レジスト原料、光学材料用樹脂原料等として有用である。
【0003】
【従来の技術】
近年、感光性レジストや光学材料用樹脂に要求される性能は益々多様化、高度化しつつあり、例えば、感光性レジストにおいては、短波長レーザーに対応した微細加工性能等の向上が、また、光学材料用樹脂においては、光学特性、耐熱性、機械的強度の向上等が強く求められている。
【0004】
テトラシクロドデセンカルボン酸誘導体は、上記感光性レジストや光学材料用樹脂の重合体成分としたとき、微細加工性、透明性、耐湿性、耐熱性等の特性を向上することができることが知られており、そのため、テトラシクロドデセンカルボン酸誘導体に要求される性能も、近時、益々高度化、多様化している。
【0005】
テトラシクロドデセンカルボン酸誘導体としては、例えば、特開昭48−49753号公報には、シクロペンタジエンとアクリル酸メチルとから8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンが得られることが記載されている。特開平4−198154号公報には、ジシクロペンタジエンとメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルとのディールス・アルダー反応によって、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エンが得られることが記載されている。
【0006】
また、特開平10−307400号公報には、ヒドロキシ−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカンと塩化メタクリロイルとからt−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデカニルメタクリレートが得られること記載されている。更に、特開2001−11122号公報には、メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデシルメタクリレートが記載されている。
【0007】
しかしながら、従来、8−アルコキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン骨格の不飽和環にアルキル基を有する化合物や、この化合物への(メタ)アクリル酸付加物、即ち、(メタ)アクリロイル基を有する8−アルコキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデカン類は知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、テトラシクロドデセンカルボン酸誘導体における上述した事情に鑑みてなされたものであって、例えば、半導体微細加工用等の感光性レジスト原料、光学材料用樹脂原料等として有用である新規なテトラシクロドデセンカルボン酸誘導体、特に、新規なテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類とその(メタ)アクリル酸付加物とそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。)
で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類が提供される。
【0012】
更に、本発明によれば、一般式(II)
【0013】
【化8】
【0014】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、一般式(III)
【0016】
【化9】
【0017】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
で表されるアルキルシクロペンタジエンと一般式(IV)
【0018】
【化10】
【0019】
(式中、R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。)
で表されるノルボルネンカルボン酸エステルとをディールス・アルダー反応させることを特徴とする上記一般式(I)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の製造方法が提供される。
【0020】
更に、本発明によれば、上記一般式(I)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類と(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下に反応させることを特徴とする上記一般式(II)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物の製造方法が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を意味するものとし、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味するものとする。
【0022】
本発明によるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類は、一般式(I)
【0023】
【化11】
【0024】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。)
で表される。
【0025】
上記一般式(I)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類において、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基を示す。プロピル基とブチル基は直鎖状、分岐状いずれであってもよい。しかし、本発明において、上記アルキル基R1 は、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
【0026】
R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、具体的には、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、置換又は非置換の炭素原子数5〜7のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基やシクロヘキシル基等、置換又は非置換の炭素原子数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナンスリル基等、置換又は非置換の炭素原子数7〜14の有橋環式炭化水素基、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−2−イル基、アダマンチル基等を挙げることができる。しかし、本発明において、上記炭化水素基R2 は、好ましくは、アルキル基である。
【0027】
従って、本発明によるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステルの好ましい具体例として、例えば、
(1)メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0028】
【化12】
【0029】
(2)エチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0030】
【化13】
【0031】
(3)メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0032】
【化14】
【0033】
(4)プロピル−8−ネオペンチルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0034】
【化15】
【0035】
(5)メチル−8−シクロペンチルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0036】
【化16】
【0037】
(6)メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0038】
【化17】
【0039】
(7)メチル−8−フェニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0040】
【化18】
【0041】
(8)メチル−8−(2−ナフチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0042】
【化19】
【0043】
(9)メチル−8−(1−アダマンチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0044】
【化20】
【0045】
(10)メチル−8−(2−メチル−2−アダマンチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0046】
【化21】
【0047】
等を挙げることができる。
【0048】
また、本発明による上記アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物、即ち、アルキル−8−アルコキシカルボニルテトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート類は、一般式(II)
【0049】
【化22】
【0050】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示し、R2 は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表される。
【0051】
上記一般式(II)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物において、アルキル基R1 と炭化水素基R2 は前記と同じである。R3 は水素原子又はメチル基を示す。
【0052】
従って、本発明によるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物の好ましい具体例として、例えば、
(11)メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0053】
【化23】
【0054】
(12)エチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0055】
【化24】
【0056】
(13)メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12, 5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0057】
【化25】
【0058】
(14)プロピル−8−ネオペンチルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0059】
【化26】
【0060】
(15)メチル−8−シクロペンチルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0061】
【化27】
【0062】
(16)メチル−8−シクロヘキシルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0063】
【化28】
【0064】
(17)メチル−8−フェニルオキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0065】
【化29】
【0066】
(18)メチル−8−(2−ナフチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0067】
【化30】
【0068】
(19)メチル−8−(1−アダマンチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート
【0069】
【化31】
【0070】
(20)メチル−8−(2−メチル−2−アダマンチル)オキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデカニルアクリレート
【0071】
【化32】
【0072】
等を挙げることができる。
【0073】
前記一般式(I)で表されるアルキル置換アルコキシカルボニルテトラシクロドデセン類は、本発明に従って、一般式(III)
【0074】
【化33】
【0075】
(式中、R1 は前記と同じである。)
で表されるアルキルシクロペンタジエンと一般式(IV)
【0076】
【化34】
【0077】
(式中、R2 は前記と同じである。)
で表されるノルボルネンカルボン酸エステルとをディールス・アルダー反応させることによって得ることができる。
【0078】
上記一般式(III) で表されるアルキルシクロペンタジエンにおいて、R1 は前記と同じであり、従って、その具体例として、例えば、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン等を挙げることができる。しかし、なかでも、メチルシクロペンタジエンが好ましく用いられる。これらのアルキルシクロペンタジエンに代えて、熱分解によってそのアルキルシクロペンタジエンを生成するアルキル置換ジシクロペンタジエンも同様に用いることができる。
【0079】
上記一般式(IV)で表されるノルボルネンカルボン酸エステルにおいて、R2 は前記と同じであり、従って、その具体例としては、例えば、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロペンチルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ナフチルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−アダマンチル)オキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(2−メチル−2−アダマンチル)オキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
等を挙げることができる。
【0080】
上記アルキルシクロペンタジエンと上記ノルボルネンカルボン酸エステルとのディールス・アルダー反応において、ノルボルネンカルボン酸エステルは、アルキルシクロペンタジエン1モル部に対して、通常、0.15〜5モル部、好ましくは、0.2〜2モル部、特に好ましくは、0.3〜0.7モル部の範囲で用いられる。
【0081】
上記原料ノルボルネンカルボン酸エステルの純度は、副生物の生成によってアルキルシクロペンタジエンの反応利用効率が大幅に低下するのを抑えるためには、95%以上であることが好ましい。
【0082】
反応温度は、80〜250℃の範囲、好ましくは、130〜220℃の範囲であり、特に好ましくは、180〜200℃の範囲である。また、反応時間は、0.5〜20時間程度であり、好ましくは、1〜10時間程度であり、特に好ましくは、2〜4時間程度である。反応圧力は、0.5〜40MPa、好ましくは3〜30MPaの範囲である。
【0083】
上記アルキルシクロペンタジエンと上記ノルボルネンカルボン酸エステルとのディールス・アルダー反応は、バッチ方式、連続方式、いずれによってもよい。バッチ方式の場合には、例えば、オートクレーブ中に所定量のアルキルシクロペンタジエンとノルボルネンカルボン酸エステルを一括して仕込み、加熱加圧下に反応させればよい。
【0084】
反応に際しては、副生成物の生成を抑制するために、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール等、従来より知られている熱重合禁止剤を反応系に共存させてもよい。また、原料や反応生成物の凝固を防止するために、必要に応じて、トルエン等の芳香族溶媒を反応溶媒として用いてもよい。
【0085】
ディールス・アルダー反応によって得られた反応生成物は、必要に応じて、精製される。例えば、反応終了後、得られた反応混合物を未反応原料と副生した重合物とから分離できる温度、例えば、40〜80℃程度で減圧下に蒸留すれば、反応生成物を含む留分、即ち、反応生成物の精製品を得ることができる。これを更に精製するには、この留分を副生物と分離することができるより高い温度、例えば、120〜130℃の温度で再度、減圧蒸留することによって、反応生成物を高い濃度で含む精製品を得ることができる。このようにして得られた精製品の純度は、ガスクロマトグラフィーによる分析によれば、通常、90%以上である。また、アルキルシクロペンタジエンに対する収率は、通常、40%以上である。
【0086】
本発明によれば、このようにして、アルキルシクロペンタジエンとノルボルネンカルボン酸エステルとのディールス・アルダー反応によって得られるアルキル置換アルコキシカルボニルテトラシクロドデセン類は、上記アルキル基の置換位置の異なる異性体の混合物である。更に、異性体としては、前記置換位置異性体に加えて、各々の置換位置異性体の立体位置異性体をも含む多成分異性体混合物である。例えば、本発明によるアルキル−8−アルコキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン類は、
(Ia)3位アルキル置換体
【0087】
【化35】
【0088】
(Ib)2位アルキル置換体
【0089】
【化36】
【0090】
(Ic)11位アルキル置換体
【0091】
【化37】
【0092】
からなる置換位置異性体の混合物である。但し、上記式(Ia)、(Ib)及び(Ic)において、片括弧は、アルコキシカルボニル基の置換位置が8位又は9位であることを示す。
【0093】
本発明による前記一般式(II)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物は、本発明に従って、前記一般式(I)で表されるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類と(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下に反応させて、アルキル置換8−アルコキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン類の3位の不飽和結合(二重結合)に付加反応させることによって得ることができる。
【0094】
この付加反応において、(メタ)アクリル酸は、アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル1モル部に対して、通常、0.05〜1.0モル部、好ましくは、0.1〜0.3モル部の範囲で用いられる。
【0095】
上記酸触媒としては、濃硫酸、ナフィオン(パーフルオロスルホン酸ポリマー、デュポン社登録商標)、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等、従来より知られている触媒が用いられる。なかでも、濃硫酸やナフィオン(デュポン社登録商標)が好ましく用いられる。このような酸触媒は、アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類1重量部に対して、通常、0.05〜0.4重量部、好ましくは、0.1〜0.3重量部の範囲で用いられる。
【0096】
上記付加反応の温度は、通常、10〜80℃の範囲であり、好ましくは、20〜40の範囲である。反応は、常圧下でも、加圧下でも行うことができ、このような反応条件下において、反応は、通常、1〜12時間程度で終了する。
【0097】
上記付加反応において、反応溶媒は、通常、必要としないが、しかし、必要に応じて、例えば、芳香族炭化水素等を反応溶媒として用いてもよい。また、反応に際して、ヒドロキノンやメトキシフェノール等の熱重合禁止剤を共存させてもよい。
【0098】
上記付加反応も、バッチ方式でも、連続方式でも、実施することができる。
バッチ方式の場合には、例えば、アルキル置換8−アルコキシカルボニルテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類、(メタ)アクリル酸及び酸触媒を反応容器に一括して仕込み、加熱下に反応させればよい。
【0099】
アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類と(メタ)アクリル酸との付加反応による反応生成物も、必要に応じて、精製される。例えば、反応終了後、得られた反応混合物に冷水とトルエン等の有機溶媒を加えて、油層中に反応生成物を抽出して、反応混合物から分離した後、この反応生成物を含む油層を水洗、分離、減圧濃縮して、反応生成物の精製品を得る。更に、必要に応じて、得られた精製品をカラム分離精製をすることによって、一層の精製品を得ことができる。
【0100】
このようにして得られるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物の精製品は、ガスクロマトグラフィー分析によれば、通常、90%以上の純度を有する。また、アルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステルに対する収率は、通常、30%以上である。
【0101】
このようにして得られるアルキル置換テトラシクロドデセンカルボン酸エステル類の(メタ)アクリル酸付加物も、アルキル基の置換位置が異なると共に、(メタ)アクリロイル基の置換位置が3位又は4位である異性体の混合物である。更に、異性体としては、前記置換位置異性体に加えて、各々の置換位置異性体の立体位置異性体をも含む多成分異性体混合物である。例えば、本発明によれば、前記一般式(II)で表されるアルキルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン類への(メタ)アクリル酸付加物、即ち、アルキル−8−アルコキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル(メタ)アクリレート類は、
(IIa)3−アルキル−4−(メタ)アクリロイル置換体
【0102】
【化38】
【0103】
(IIb)4−アルキル−4−(メタ)アクリロイル置換体
【0104】
【化39】
【0105】
(IIc)2−アルキル−4−(メタ)アクリロイル置換体
【0106】
【化40】
【0107】
(IId)5−アルキル−4−(メタ)アクリロイル置換体
【0108】
【化41】
【0109】
(IIe)11−アルキル−4−(メタ)アクリロイル置換体
【0110】
【化42】
【0111】
からなる置換位置異性体の混合物である。但し、上記式(IIa)から(IIe)において、片括弧は、アルコキシカルボニル基の置換位置が8位又は9位であることを示す。
【0112】
【発明の効果】
本発明によるテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類とこのテトラシクロドデセンカルボン酸エステル類への(メタ)アクリル酸付加物は、嵩高い有橋環式炭化水素骨格にアルキル基と共に、カルボン酸エステル基又は(メタ)アクリロイル基を有するので、例えば、半導体微細加工用等の感光性レジスト原料、光学材料用樹脂原料等として有用である。
【0113】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0114】
実施例1
(メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(1)の製造)
200mL容量のガラス製耐圧容器にメチルシクロペンタジエンダイマー(試薬級)42.2gと5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(ガスクロマトグラフィー分析による純度97.1%、endo 型及び exo 型の混合物)40.1gを仕込み、温度190℃において3時間反応を行った。
【0115】
反応終了後、得られた反応混合物を約60℃の温度で130〜260Paの減圧下に蒸留して、未反応のメチルシクロペンタジエンダイマーと5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを留去した。得られた残留物を、再度、約120℃の温度で130〜260Paの減圧下に蒸留して、目的物を含む主留分を得た。この主留分を更に約130℃の温度で270〜670Paの減圧下に蒸留して、留分27.4gを得た。
【0116】
この留分は、目的とするメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンであって、ガスクロマトグラフィー分析による純度は94%であり、メチルシクロペンタジエンに対する収率は45%であった。
【0117】
分子量:232(質量分析法による)
1H−NMRスペクトル(400MHz、溶媒CDCl3 、δ(ppm)):図1に示す。
【0118】
実施例2
(メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレート(11)の製造)
200mL容量のガラス製容器に実施例1で得られたメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン10gとアクリル酸14.8mLと濃硫酸0.46mLとを仕込み、温度30℃で6時間反応を行った。
【0119】
反応終了後、得られた反応混合物に氷水とトルエンを加えて撹拌し、反応生成物を含む油層を水層から分離した。この油層を飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液で、次いで、飽和食塩水溶液で洗浄した後、分液して、得られた油層を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。この後、上記油層を減圧蒸留し、トルエンを留去して、目的物を含む油状粗製品を得た。
【0120】
この粗製物を酢酸エチルとヘキサンを用いてカラム分離して、目的物を含む油状精製品2.6gを得た。この油状精製品は、目的とするメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデカニルアクリレートであり、ガスクロマトグラフィー分析による純度は95%であり、メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンに対する収率は20%であった。
分子量:304(質量分析法による)
1H−NMRスペクトル(400MHz、溶媒CDCl3 、δ(ppm)):図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明によるメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンの 1H−NMRスペクトルである。
【図2】は、本発明によるメチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニルアクリレートの 1H−NMRスペクトルである。
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