JP4166934B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料に対して微細な操作力を加えるマイクロマニュピレータを備えた電子顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査電子顕微鏡を用いて生物試料(微小試料)を観察する場合、針状の棒を微細操作してその操作力を加えることで、試料の表面を観察するだけではなく、内部の組織を表面に引き出して観察することが行われている。
【0003】
電子顕微鏡における試料に対する今までの微細操作は、特公昭55−21981号公報に記載のように、試料を割ったり、切りさくなどの操作であり、微小な試料(例えば細胞等)を掴んだり、移動させる機構を備えていなかった。
【0004】
一方、微小対象物を複数(例えば2本)の指の機能を有するいわゆる指片を微細操作してハンドリングする技術,いわゆるマイクロマニピュレーションは、マイクロエレクトロニクス,バイオテクノロジー,医療などの分野で、特に光学顕微鏡を使用して行われている。
【0005】
本発明者らは、先に、特開平8−132363号(特許番号第2560262号)等において、小型で指の機能を果たす箸状の2本の指片(手先片)を備えたマイクロハンド機構(マニュピレータ)を提案している。この箸状の指片を備えたマイクロハンド機構は、光学顕微鏡下では数μm程度の微小物体を把持、持ち上げ、回転、移動、開放することを実現している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来行われていた光学顕微鏡に代わって、更に小さな微小試料(微小対象物)を電子顕微鏡で観察しながら、マイクロマニュピレータを操作できれば、試料をより緻細に観察したり、マイクロマシンの組立等の実現も可能になる。このような技術には、上記したような2本指機能を有するマニュピレータを用いることが望ましいが、試料室が真空状態におかれるために、光学顕微鏡のように単純に大気圧環境の下で試料を観察しながら微細操作を行わせるだけの発想では、その実現を図ることができない。
【0007】
例えば、2本指機能を有するマニュピレータを試料室内に導入する場合には、アクチュエータが電気駆動型である場合には、その電源や電気信号の引き出しリードをどのようにして試料外に引き出すかとか、その他にも、次のような、課題が残されている。
【0008】
一つは、電子顕微鏡は光学顕微鏡と違い焦点深度が深く、箸状の2本の指片の先端を合せようとしたとき数μmのZ軸(指片の先端合わせ方向)のずれがあっても、焦点が合ってしまうため、その位置ずれを認識できないことである。このように指片同士の先端位置合わせが数μmずれていては、微小物体を掴むことができない。
【0009】
二つめは、指片は、その加工製作の容易性及びコストの面から、ガラス針を使用しているが、導電性がないので電子線を照射するとチャージアップする問題がある。
【0010】
三つめは、指片を駆動させる機構(例えばリンク)を電気的アクチュエータに作動させる場合、そのアクチュエータに電圧を掛けると電界が発生し、電界によって電子線に影響を与え正常な電子線像が得られないことである。
【0011】
本発明は以上の種々の課題を解決して、電子顕微鏡のような真空下、電子線照射の下でもマニュピレータを用いて支障なく、微小対象物を掴んだり、移動させたり、回転させたり、開放動作を行い、今まで以上の微小物の観察や組立等を可能にする電子顕微鏡を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、基本的には、次のように構成した。
【0013】
一つは、電子顕微鏡において、真空の試料室内で複数の指片により微小試料を掴んで微小な回動,移動,開放動作が可能なマニュピレータと、前記指片に上記微小な動きをさせるための駆動機構と、前記駆動機構への電力供給用及び電気信号検出用のリード線を試料室の内から外へ気密性を保持して引き出す手段と、前記駆動機構を電気的に制御する制御手段と、試料室外からの操作により前記マニュピレータを光軸に対して位置合わせする位置調整機構と、試料台に載置された試料からの電子線情報による観察像を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
その他に、電子顕微鏡において、上記したように、真空の試料室内で複数の指片により微小試料を掴んで微小な回動,移動,開放動作が可能なマニュピレータを備えるほかに、前記指片同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段を備えたり、マニュピレータに電子線によるチャージアップ防止手段を設けたり、マニュピレータのアクチュエータには、該アクチュエータから生じる電界をシールドするためのシールド手段を設けたものを提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例に係る電子顕微鏡(ここでは、走査型電子顕微鏡を例示するが透過型電子顕微鏡であってもよい)の縦断面図であり、図2はそれに用いる2本指マイクロハンド機構(マイクロマニュピレータ)10の構成を示す斜視図、図3はその一部を示す説明図である。
【0017】
図1において、対物レンズ1の下部にある試料室2は、その隔壁(壁体)2Aにより内部に真空室が得られるように密室状に形成されている。
【0018】
隔壁2Aには、後述するマニュピレータ10を試料室外から光軸に対して位置合わせする位置調整機構5が気密性を保持するように取付けられている。
【0019】
位置調整機構5は、隔壁2Aにシール部材41を介して取付けた外筒3と、その外筒3の内側に球面のすべり対偶42及びシール部材43を介して挿入された内筒6と、内筒6の内側にシール部材44を介して挿入した中空軸状の回転体7と、回転体7の中空孔にシール部材45を介して挿入したマニュピレータ支持軸8を主な構成部材としている。
【0020】
内筒6は、その一端に外筒3側の球形内面にすべり対偶により係合する球形部4があり、このすべり対偶は隔壁位置にあって、このすべり対偶位置を中心に内筒6がフリーな状態では自在な首振運動を行い得るようにしてある。
【0021】
外筒3の一端側(すべり対偶と反対側の一端)には、マニュピレータ支持軸8をX軸とみた場合に、それと直交するZ軸及びY軸方向に前記内筒6の傾きを固定する傾き調整ねじ46、及びその調整ねじを後退移動させたときに内筒6をその後退動作に追従移動させるための戻しばね付き押圧ピン47が設けられている。
【0022】
この調整ねじ46及び戻しばね付き押圧ピン47と上記すべり対偶機構により、内筒6ひいてはマニュピレータ10のチルト機構を構成する。
【0023】
回転体7と支持軸8は、溝48及びピン49の係合により相対的に回り止めされている。
【0024】
回転体7は、内筒6の内側を通って試料室2の外部から内部へと貫通している。
【0025】
支持軸8は、回転体7の中空孔内を貫通して、その先端部が試料室2内に導かれ、支持軸8先端にマニュピレータ(マイクロハンド機構)10が固着され、支持軸8後端に雌ねじ付きのつまみ9が設けられ、このつまみ9の雌ねじに支持軸8後端に設けた雄ねじ50が螺子嵌合して、つまみ9の操作により支持軸8の直線運動(進退動作)を可能にしている。
【0026】
ここで、2本指のマイクロハンド機構(マニュピレータ)を図2,図3を用いて説明する。本実施例におけるマニュピレータの基本構造は、先に提案した特開平8−132363号(特許番号第2560262号)と同一であるが、本実施例では、電子顕微鏡に搭載するために、種々の配慮がなされている。
【0027】
マニュピレータ10は、その駆動機構が、第1のパラレルリンク機構11と第2のパラレルリンク機構12とを結合させた簡便な機構をなし、パラレルリンク機構11,12の中心軸線が一致するように対向配置されている。
【0028】
パラレルリンク機構11は、中心孔13aのある円板形状の基体13およびこの基体13に対向配置された円板形状の中間部材14を備え、この基体13と中間部材14とを、6本のリンク18(図では作図の便宜上4本が示されている)により連結してなる。
【0029】
一方、パラレルリンク機構12は、上記パラレルリンク機構11の構成部材を兼ねる中間部材14およびこの中間部材14に対向配置された円板形状のベース部材17を備え、この中間部材14とベース部材17とを、6本のリンク19により連結してなる。
【0030】
基体13の一面(リンク18の接続側と反対側の一面)には、第1の指片15の基端部となる支柱15aが固着されている。支柱15aには、ねじより固定されたホルダー15bが支柱15aと直交して取り付けられている。
【0031】
ホルダー15bは、その先端位置でボールジョイント15cを保持し、図3に示すように、ジョイント15cのボール15dには、図3に示すように支持ピン15gを介して第1の指片15となるニードル15fの支持筒(筒体)15eが設けられ、筒体15eにニードル15fが出し入れ加減を調整できるようにねじ止めされている。
【0032】
ニードル15fは、そのボールジョイント15cにより第2の指片16(ニードル16b)に対する所望の傾き角度が予め決定され、その後、ボール15dが図示されないねじにより固定されて、ニードル15fの傾き角度が固定される。
【0033】
一方、上記中間部材14においては、基体13より大きい円板の中心位置に、第2の指片16の基端部16aが固着され、その先端部は、基体13の中心孔13aを貫通して外方に延出させている。この第2の指片16は、基端部を形成する支柱16aと、この支柱16aの端部に止着された先端部のニードル16bとを備え、この第2の指片16と前記第1の指片15のそれぞれの先端部、即ち、ニードル16bとニードル15fとが、両者の先端間に微小な相対運動を生じさせるように対向配置されている。指片15,16の材質はガラス針で、その表面全周に導電処理(例えば導電被膜)が施されている。
【0034】
例えば、ニードル16bとニードル15fは、市販の専用加工器で直径1mmの中空パイプを加熱引っ張り加工することで得られ、先端部を曲率1μm以下の尖状とし、さらに直径1mmの基端部と先端部の全周囲に導電処理を施している。
【0035】
このように指片(ニードル及び基端部)15,16に導電処理を施すのは、仮りに導電処理を施さない場合には、マニュピレータ10を試料室で使用した場合、電子顕微鏡によって照射される電子線により指片がチャージアップし、その静電気力でマニュピレータの動作に支障が生じるため、これを防止するために、導電処理を施して、アースするものである。符号の24′,24は、チャージアップ防止用(アース用)のリード線である。
【0036】
図2に示すように、第1の指片15を支持する筒体15e,ピン15g,ボールジョイント15c,ホルダー15b,支柱15a及び基体13は導電材料で構成されることで、リード線24′の一端が、これらの要素のうち動作に支障のない部品、例えば基体13に接続されている。
【0037】
また、第2の指片16を支持する中間部材14は、導電材で形成され、基体13は絶縁されているために、この基体13にリード線24の一端が接続されている。リード線24は、後述する電磁シールド51のアース用リード線も兼用する。
【0038】
これらのアース線24,24′は、ハーメチックシール端子25,25′を介して外部に導き出される。試料外のアースの具体的回路構造にについては、後述する。
【0039】
基体13と中間部材14とは、前述のように、6本のリンク18により連結され、これらのリンク18によって形成されるリンク機構は、主として指片15と指片16とに、箸の動きに似せた微小な相対運動を生じさせるものである。
【0040】
中間部材14とベース部材17とは、前述のように、6本のリンク19により連結され、これらのリンク19によって形成されるリンク機構は、主として、広い作業空間にある対象物に対する指片15および指片16の位置決め機能を果たすものである。
【0041】
第1のパラレルリンク機構11を構成する6本のリンク18は、その3本ずつをそれぞれ1群として、各群のリンク18の基体13および中間部材14との接続点を、基体13と中間部材14との中心軸線の周りの円周上にほぼ等分に配し、且つ両群のリンク18を互いに反対方向に傾斜させて配設し、更に詳細には、基体13において一方の群の接続点と他方の群の接続点とは、上記中心軸線の周りのほぼ同じ位置に、また、中間部材14において一方の群の接続点と他方の群の接続点とは、上記中心軸線の周りのほぼ同じ位置に配設され、これによって、両群の互いに隣接するリンク18は、所定の傾斜角をなすように配設している。
【0042】
第2のパラレルリンク機構12を構成する6本のリンク19もまた、その3本ずつをそれぞれ1群として、各群のリンク19の中間部材14およびベース部材17との接続点を中心軸線の周りにほぼ等分に配し、且つ両群のリンク19を互いに反対方向に傾斜させて配設している。
【0043】
リンク18,19のそれぞれには、それらを伸縮するためのアクチュエータ20,21がそれぞれ設けられ、それらのアクチュエータによって第1のパラレルリンク機構(指片駆動機構)11の動作を制御する第1の制御手段、および第2のパラレルリンク機構12の動作を制御する第2の制御手段を構成している。
【0044】
上記各リンク18,19に設けるアクチュエータとしては、例えば、積層型のピエゾ圧電素子などを用いることができる。この場合ピエゾ圧電素子に電圧を掛けると電界が発生し電子線に悪い影響を与えるので、仮想線51に示すようにリンク18,19のピエゾ圧電素子をアルミニウム等の導電材でカバーし、この導電材51をアースすることで電磁シールドが施されている。
【0045】
このうち、リンク18側の電磁シールド51は、既述した中間部材14及びリード線24を介してアースされるものであり、リンク19側の電磁シールド51は、導電材であるベース19,支持軸8,回転体7,内筒6,外筒3を介して試料室の壁体にアースされている。
【0046】
パラレルリンク機構12に用いられているアクチュエータ21は、広い作業空間にある対象物に対する位置決め制御を行うため、必要に応じて、パラレルリンク機構11のアクチュエータ20に比べて伸縮量の大きいものを用いるのが望ましい。
【0047】
また、上記アクチュエータ20、21として用いるピエゾ圧電素子は、応答が速く、微小変位と高出力が得られるものの、ヒシテリシスが非常に大きく、駆動電圧のみによるオープンループ制御では、正確な位置決めを行うことが困難であるため、変位量を測定してフィードバック制御することが望ましく、この場合には、特に、コンパクトな変位測定手段とサーボ駆動系が要求される。
【0048】
このような変位測定手段としては、図2に示すように、歪みゲージ22、23を圧電素子からなるアクチュエータ20,21に伸縮方向に直接貼り付けて、それら圧電素子の微小な変位を検出する態様がある。また、上記圧電素子のサーボ系としては、符号60に示すように計算機を用いたソフトウエアサーボや演算増幅器を用いたアナログサーボ等を採用することができる。サーボ系制御回路60の指令信号は、図示されないリード線及び既述したハーメチックシール端子(隔壁2Aに設けたもの)を介してアクチュエータ(圧電素子)20,21に送られる。
【0049】
アクチュエータ20,21および歪みゲージ22,23からのリード線(電源供給用及び信号検出用のリード線であり図示は省略してある)と、指片15,16からのリード線24,24’は、それぞれハーメチックシール端子25,25’,…(図ではハーメチックシール端子は、作図の便宜上2本しか示していないが、実際には各リード線、すなわちアクチュエータへの電力供給線,歪ゲージ信号検出線,アース線等種々のリード線の数に対応した数だけの端子が備わっている)を介して大気側へ導びかれている。ハーメチックチックシール端子は端子ホルダー25Aを介して隔壁2Aに取り付けられている。
【0050】
ここで、図4に示す回路について説明する。
【0051】
図4は、上記したリード線24,24′の試料室外のアース構造と、指片15,16の先端合わせを行う場合の位置ずれの有無を検出する回路構造の一例を示すものである。
【0052】
ハーメチックシール端子25,25′の大気側では、切り替えスイッチ26により、指片16,15をリード線24,24′を介してアースに落としておく回路(切替接点26′側の回路)と、指片16,15の先端が接触した時(先端合わせの位置ずれがない時)に電気信号を検出する回路(ブザー28及びその電源27を備えた回路)との切り替えが行えるようになっている。
【0053】
初期の指片16,15の先端合わせ調整を行う場合にのみ、切替スイッチ26は電気信号検出回路側に接続されており、それ以外が切替スイッチ26をアース接点26′側に接続しておく。
【0054】
電気信号を検出する回路は電源27とブザー28が接続されており、第1指片15と第2指片16の各々先端が接触したとき、ブザー28で知らせてくれる。
【0055】
それによって、焦点深度の深い電子顕微鏡の画像からは、指片15,16同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出し難い場合であっても、先端合わせがなされているときはブザー音で容易に認識することができる。
【0056】
試料室の光軸の位置には試料台29が設置されており、試料台29には試料30が載置されている。
【0057】
次に、このマニュピレータ(2本指マイクロハンド機構)10における制御動作を説明する。
【0058】
マニュピレータ10を走査電子顕微鏡の試料室2に挿入し所定の手順を経て像を出し、走査電子顕微鏡の試料微動装置によって所望の視野を選び、生物試料の場合次のような微細操作を行う。
【0059】
回転体7のつまみ9とチルト機構5により試料30のどの部分に微細操作を行うか、おおよその位置を決めてから、指片15と指片16の各々、先端を接触させZ軸方向(先端合わせ方向)のずれをなくする。Z軸方向が一致した場合ブザー28で確認することができる。所定の対象物をハンドリングする場合は、アクチュエータ21による6本のリンク19により、パラレルリンク機構12を制御し、指片15と指片16とを上記対象物に対して位置決めし、且つ、アクチュエータ20による6本のリンク18により、パラレルリンク機構11を制御し、指片15と指片16とに微小な相対運動を生成させる。
【0060】
即ち、まず、6本のリンク19のアクチュエータ21を駆動してそれらリンク19を所定量だけ伸縮させ、指片15と指片16とを広い作業空間にある対象物に対し位置決めするが、この位置決めは、歪みゲージ22から各リンク19の変位量を検出し、この変位量からサーボ制御回路60が指片15および指片16の現位置を算出し、これをフィードバックして所定の位置決め指令値と比較し、その偏差量がなくなるまでアクチュエータ21をサーボ駆動することにより行う。
【0061】
そして、位置決めされた第1の指片15に対し、6本のリンク18のアクチュエータ20を駆動してこれらリンク18を所定量だけ伸縮させ、指片15および指片16とに微小な相対運動を生成させる。この相対運動の生成は、上述の位置決めの場合と同様に、歪みゲージ22から各リンク18の変位量を検出して、この変位量から指片15および指片16の相互の相対位置を算出し、指片15および指片16に所定の相対運動を生成させるようにアクチュエータ20をサーボ駆動することにより行う。次に、例えば、対象物を指片15と指片16とにより掴んで所定の場所に移動させる場合には、パラレルリンク機構12を制御するだけでよい。
【0062】
このように、パラレルリンク機構11、12にそれぞれ上記機能をそれぞれ分担させることにより、動作領域が広く、しかも広い動作領域内で微小な相対運動を生成して、容易に対象物をハンドリングすることができる。なお、上述した二本指マイクロハンド機構は、真空中、電子線下で数μm程度の微小物体(例えば細胞等)を対象とし2本指でそれを掴んで、並進、回転移動による位置決め、把持、押付け、切断、引き伸ばし、圧搾、穴明け、かき混ぜ、はね飛ばし等を行うために有効なものである。
【0063】
本実施例によれば、光学顕微鏡で行えたことと同じことが、真空中、電子線下でもチャージアップ無く観察でき、電界による影響を受けずに電子線情報を得て微細操作を行うことができる。更に、電子顕微鏡の持つ高い倍率と高い分解能の特性を生かすことにより、マイクロマニピュレーションの技術がレベルアップされ、マイクロエレクトロニクス、バイオテクノロジー、医療の分野により貢献することが可能となる。
【0064】
図5及び図6は本発明の他の実施例に係わるものであり、先の実施例と異なる点は、指片15及び16の先端合わせの位置ずれの有無の検出の仕方及び指片のアース構造である。
【0065】
本実施例では、指片15,16の先端合わせ時に、電子線照射の下でマニュピレータ10の向きを回転体7及び支持軸8を回動させることで軸回り方向に変えて、そのマニュピレータの向きの異なる画像が映しだされる電子顕微鏡画像から位置ずれを検出可能にした。例えば、図6の(a),(b)及び(c),(d)は、指片15,16の先端合わせをSEM画像により90°回転変位させた時に2画像であり、(a)及び(c)は指片15,16の先端合わせを側面からとらえた画像、(b)及び(d)は、(a),(c)の状態からマニュピレータ10を90°回転させたときの画像(先端合わせ方向からみた画像)であり、(a)及び(b)のように画像条件が揃えば指片15,16の先端合わせに位置ずれが生じてない状態であり、(c)及び(d)の画像は先端合わせに位置ずれが生じている状態である。この先端の位置ずれは10μm程度である。したがって、少なくとも上記のような2画像から指片15,16の微小な位置ずれの有無を検出できる。
【0066】
このような位置ずれの有無検出方式を採用した場合には、先の実施例で述べたような図4のブザー回路は不要となり、切替スイッチ26も不要となる。
【0067】
したがって、この場合には、図5に示すように指片15側のアース線24′を基体13と中間部材14とに接続し、また、指片16のアース兼用リンク機構18の電磁シールド51のアース線24を、中間部材14とベース部材17に接続することで、指片15及び16及び電磁シールド51を支持軸8,回転体7,内筒6,外筒3を介して隔壁(アース)に接続することができ、アース構造の単純化を図ることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電子顕微鏡のような真空下、電子線照射の下でもマニュピレータを用いて支障なく、微小対象物を掴んだり、移動させたり、回転させたり、開放動作を行い、今まで以上の微小物の観察や組立等を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる走査電子顕微鏡の縦断面図。
【図2】図1のマニュピレータ(マイクロハンド機構)を拡大した外観斜視図。
【図3】図2のA部詳細を示す要部断面図。
【図4】上記実施例に用いるマニュピレータのアース構造及び指片の位置ずれ防止の有無を検出する電気回路図。
【図5】本発明の他の実施例に用いるマニュピレータを拡大した外観斜視図。
【図6】上記マニュピレータの指片を先端合わせした時の位置ずれの有無の検出方式の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1…対物レンズ、2…試料室、10…マニュピレータ(マイクロハンド機構)、11,12…パラレルリンク機構、15…第1の指片、16…第2の指片、20,21…アクチュエータ(駆動機構)、22,23…歪みゲージ、24,24′…リード線(アース線)、25…ハーメチックシール端子、28…ブザー、29…試料台、30…試料。

Claims (9)

  1. 電子顕微鏡において、真空の試料室内で複数の指片により微小試料を掴んで微小な回動,移動,開放動作が可能なマニュピレータを備え、前記マニュピレータのアクチュエータには、該アクチュエータから生じる電界をシールドするためのシールド手段を設け、前記指片同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段を備え、前記指片同士の先端合わせは、指片同士を接触させて行い、前記先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段は、前記指片同士が接触したときに電気信号を発生させる手段により構成したことを特徴とする電子顕微鏡。
  2. 電子顕微鏡において、真空の試料室内で複数の指片により微小試料を掴んで微小な回動,移動,開放動作が可能なマニュピレータを備え、前記マニュピレータのアクチュエータには、該アクチュエータから生じる電界をシールドするためのシールド手段を設け、前記指片同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段を備え、前記指片同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段は、電子線照射の下で前記マニュピレータの向きを軸回り方向に変えて、そのマニュピレータの向きの異なる画像が映しだされる電子顕微鏡画像から前記位置ずれを検出可能にしたことを特徴とする電子顕微鏡。
  3. 前記指片同士の先端合わせの位置ずれの有無を検出する手段は、電子線照射の下で前記マニュピレータの向きを軸回り方向に変えて、そのマニュピレータの向きの異なる画像が映しだされる電子顕微鏡画像から前記位置ずれを検出可能にした請求項1記載の電子顕微鏡。
  4. 前記アクチュエータは、ピエゾ圧電素子であり、そのピエゾ圧電素子を導電材でカバーし、その導電材をアースすることで前記シールド手段を構成した請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子顕微鏡。
  5. 前記マニュピレータは、互いに中心軸線が一致するように対向配置された第1のパラレルリンク機構と第2のパラレルリンク機構とを結合させた機構をなし、
    前記第1のパラレルリンク機構は、中心孔のある円板形状の基体及びこの基体に対向配置された円板形状の中間部材を備え、前記基体と前記中間部材とを6本のリンクにより連結してなり、
    前記第2のパラレルリンク機構は、前記中間部材及びこの中間部材に対向配置された円板形状のベース部材を備え、前記中間部材と前記ベース部材とを6本のリンクにより連結してなり、
    前記第1のパラレルリンク機構側のシールド手段は前記中間部材及びリード線を介してアースされ、前記第2のパラレルリンク機構側のシールド手段は前記ベース及びそれを支持する位置調整機構を介してアースされている請求項記載の電子顕微鏡。
  6. 前記アクチュエータへの電力供給用及び電気信号検出用のリード線を試料室の内から外へ気密性を保持して引き出す手段と、前記アクチュエータを電気的に制御する制御手段と、試料室外からの操作により前記マニュピレータを光軸に対して位置合わせする位置調整機構と、試料台に載置された試料からの電子線情報による観察像を表示する表示手段とをさらに備えた請求項1乃至のいずれか1項記載の電子顕微鏡。
  7. 前記リード線を試料室の内から外へ引き出す手段は、前記試料室の壁体に設けたマニュピレータに関するハーメチックシール端子により構成されている請求項記載の電子顕微鏡。
  8. 前記マニュピレータは、電子線の下で試料に微細な操作力を加える構成とし、このマニュピレータに電子線によるチャージアップ防止手段を設けた請求項1乃至7のいずれか1項記載の電子顕微鏡。
  9. 前記指片は、ガラス針で構成され、前記チャージアップ防止手段は、前記ガラス針の表面に導電処理を施してアースすることで構成されている請求項記載の電子顕微鏡。
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