JP4163486B2 - 車両の屈曲路走行支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車の前方にある屈曲路を安定して通過するために、車両運転者への警報を含む減速支援を行なうようにした車両の屈曲路走行支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屈曲路の進入前に、該屈曲路を適切に通過するための適正速度まで自動的に減速するようにしたものが既に知られている(たとえば特許文献1等参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−312799号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両運転者は、前方に屈曲路があることに気付いている場合に、どの程度の速度で屈曲路を通過するかを考えてブレーキ操作(タイミング・操作量)を行なうものであり、減速操作を促す警報が出されてからも車両運転者の技量や状態によって警報に対する反応が異なることが予測され、警報後も直ぐには車両運転者が減速を望まないこともある。しかるに上記従来のものでは、屈曲路に進入する前に減速が必要か否かを判断し、必要時には目標速度まで自動減速するようにしており、車両運転者の運転意思とは無関係に減速支援が行なわれてしまい、車両運転者によっては過剰制御となることもある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、車両運転者の運転意思を反映した減速支援を行なうようにした車両の屈曲路走行支援装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、道路データを記憶する道路データ記憶手段と、前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段と、自車速を検出する自車速検出手段と、前記道路データおよび前記自車位置に基づいて自車の前方の屈曲路形状を判定する屈曲路形状判定手段と、該屈曲路形状判定手段で判定した前記屈曲路形状に基づいて屈曲路を通過する際の適正車速を決定する通過適正速度決定手段とを備え、前記通過適正速度決定手段で決定した適正車速を前記自車速検出手段で検出した自車速が超えているときに車両運転者への警報を含む減速支援動作を実行可能とした車両の屈曲路走行支援装置において、車両運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、車両運転者のブレーキ操作入力に対して車輪ブレーキが発揮するブレーキ力を非アシスト時に比べて増大させ得るブレーキアシスト手段と、前記警報の出力開始から所定時間が経過するまでの間に前記ブレーキ操作検出手段がブレーキ操作を検出した場合にのみ前記ブレーキアシスト手段を作動せしめるようにしてブレーキアシスト手段の作動を制御するブレーキアシスト制御手段とを含むことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、屈曲路に進入する前に通過適正速度決定手段で決定した適正車速を自車速が超えるのに応じて車両運転者への警報を含む減速支援動作が実行されたときに、その警報作動開始から車両運転者のブレーキ操作開始までの反応時間が所定時間内の比較的短い時間であった場合にのみ、ブレーキアシスト手段を作動せしめるので、警報の出力に応じて直ちにブレーキ操作が行なわれたことをもって減速支援を求めたものと判断し、減速支援に対する運転者の反応を確認して減速支援制御を実行することができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキアシスト制御手段が、前記自車速検出手段で検出した自車速と、前記通過適正速度決定手段で決定した適正車速との偏差に基づいて、前記ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とし、かかる構成によれば、ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキ力増大量が自車速および適正車速の偏差に応じて定まるので、運転者に違和感を与えることなく、屈曲路への進入速度を滑らかかつ安全に減速することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキアシスト制御手段が、前記自車位置検出手段で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離に基づいて、前記ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とし、かかる構成によれば、ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキ力増大量が、自車位置から屈曲路の入口までの距離に基づいて定まるので、屈曲路に進入するまでに充分に減速することが可能である。
【0010】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキアシスト制御手段が、前記自車速検出手段で検出した自車速と前記通過適正速度決定手段で決定した適正車速との偏差、及び、前記自車位置検出手段で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離の両方に基づいて、前記ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とし、かかる構成によれば、自車速検出手段で検出した自車速と、通過適正速度決定手段で決定した適正車速との偏差に加味して上記自車位置から屈曲路の入口までの距離を考慮してブレーキアシスト量を決定できるので、屈曲路に進入するまでに適正車速まで速やかに減速することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、アクセル操作を検出するアクセル操作検出手段を含み、前記ブレーキアシスト制御手段は、前記アクセル操作検出手段がアクセル操作の非検出状態にあることを条件としてブレーキアシストを実行することを特徴とし、かかる構成によれば、運転者の意志とブレーキアシスト制御とが干渉するのを防止することができる。すなわちブレーキ操作およびアクセル操作が検出されるのは、車両運転者が、たとえばブレーキおよびアクセル操作を同時操作するヒールアンドトウ状態にある等のことが想定され、車両運転者の覚醒度が高い状態であり、ブレーキアシスト手段を作動させると運転者の意志およびブレーキアシスト制御が干渉することになるが、ブレーキアシストを実行しないことにより、そのような干渉が生じるのを防止することができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ブレーキアシスト制御手段は、前記ブレーキアシスト手段の作動によるブレーキアシスト開始後に、2回目以降のブレーキ操作を前記ブレーキ操作検出手段が検出したときには前記ブレーキアシストを禁止するように前記ブレーキアシスト手段の作動を制御することを特徴とし、かかる構成によれば、同一屈曲路におけるブレーキアシスト手段の作動を1回に制限することで、ブレーキアシストのオンオフが繰り返されることによるぎくしゃく感の発生や、車両挙動の乱れが生じるのを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1〜図10は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図、図2は屈曲路走行支援装置の構成を示すブロック図、図3は屈曲路形状の判断手法を説明するための図、図4は同一屈曲路と判断する手法を説明するための図、図5は屈曲路の平均半径に対する適正速度の変化を示す図、図6は警報手段の制御手順を示すフローチャート、図7は警報手段の制御にあたって用いられる距離を説明するための図、図8は車速偏差に対する付与ブレーキ圧の関係を示す図、図9は車速偏差に対するアシストゲインの変化を示す図、図10は屈曲路走行支援を行なうための制御手順を示すフローチャートである。
【0015】
先ず図1において、たとえば四輪車両に搭載されるマスタシリンダ1には、負圧ブースタ2を介してブレーキペダル4からブレーキ操作力が入力される。このマスタシリンダ1は、タンデム型に構成されるものであり、たとえば左前輪用車輪ブレーキBFおよび右後輪用車輪ブレーキBRに対応した第1出力ポート5と、たとえば右前輪用車輪ブレーキ(図示せず)および左後輪用車輪ブレーキ(図示せず)に対応した第2出力ポート6とを備え、第1および第2出力ポート5,6には出力液圧路7,8がそれぞれ個別に接続される。
【0016】
前記第1出力ポート5側のブレーキ装置と、前記第2出力ポート6側のブレーキ装置とは同一の構成を有するものであり、以下、第1出力ポート5側のブレーキ装置に関する部分だけについて説明し、第2出力ポート6側のブレーキ装置に関する部分についての説明を省略する。
【0017】
前記マスタシリンダ1の出力液圧は、吸入弁11および吐出弁12を備えるとともにモータ9で駆動されるポンプ10で増圧可能であり、該ポンプ10の吐出側すなわち吐出弁12は液圧路13に接続される。
【0018】
前記液圧路13および両車輪ブレーキBF,BR間には調圧手段14が設けられており、この調圧手段14は、左前輪用車輪ブレーキBFおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁15と、右後輪用車輪ブレーキBRおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁16と、各車輪ブレーキBF,BR側から前記液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容して両常開型電磁弁15,16にそれぞれ並列に接続される一対の一方向弁17,18と、両車輪ブレーキBF,BRに共通である単一のリザーバ19と、各車輪ブレーキBF,BRおよびリザーバ19間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁20,21とを備え、リザーバ19は、ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11にチェック弁22を介して接続される。
【0019】
このような調圧手段14は、常開型電磁弁15,16を開弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより液圧路13の液圧を各車輪ブレーキBF,BRにそれぞれ作用せしめる状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより各車輪ブレーキBF,BRにのブレーキ液圧を保持する状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を開弁することにより各車輪ブレーキBF,BRのブレーキ液圧をリザーバ19に解放する状態とを切換可能であり、各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉を制御することにより液圧路13の液圧を制御して車輪ブレーキBF,BRに作用せしめることができる。
【0020】
出力液圧路7は常閉型電磁弁23を介して前記ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11およびチェック弁22間に接続されるとともに、常開型電磁弁24を介して前記液圧路13に接続される。
【0021】
常開型電磁弁24には、出力液圧路7から液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容する一方向弁26が並列に接続されるとともに、液圧路13の液圧がリリーフ圧よりも高いときに開弁して液圧路13から出力液圧路7側に液圧を解放するリリーフ弁27が並列に接続されており、該リリーフ弁27のリリーフ圧は調節可能である。
【0022】
前記常閉型電磁弁23、常開型電磁弁24、一方向弁26およびリリーフ弁27は、共働してブレーキアシスト手段28を構成するものであり、このブレーキアシスト手段28においては、常閉型電磁弁23を開くとともに常開型電磁弁24を閉じた状態で、リリーフ弁27のリリーフ圧を調節することにより、車両運転者のブレーキ操作入力に対するブレーキ出力の比であるブレーキ出力ゲイン{(液圧路13のブレーキ液圧/ブレーキペダル4の操作力)または(車両減速度/ブレーキペダル4の操作力)}を変更することを可能として、車輪ブレーキBF,BRに作用せしめるブレーキ圧、すなわち車輪ブレーキが発揮するブレーキ力を調節することができる。
【0023】
前記ポンプ10を駆動するモータ9のオン・オフ作動、前記調圧手段14における各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉作動、前記ブレーキアシスト手段28における常閉型電磁弁23および常開型電磁弁24の開閉作動、ならびに前記リリーフ弁27のリリーフ圧は、ブレーキアシスト制御手段として機能するブレーキ制御ECU29により制御されるものであり、このブレーキ制御ECU29には、自車速を検出する自車速検出手段30、車両運転者によるブレーキペダル4の踏込み操作を検出するブレーキ操作検出手段31、マスタシリンダ1の出力圧である出力液圧路7の液圧を検出するブレーキマスタ圧検出手段32、車輪ブレーキBF,BRのブレーキ圧を検出する車輪ブレーキ圧検出手段33,34、ならびにアクセル操作を検出するアクセル操作検出手段35の各検出信号が入力される。
【0024】
図2を併せて参照して、車両が自車の前方にある屈曲路を安定して通過するにあたって減速が必要であるときには、車両運転者のブレーキ操作に応じてブレーキアシスト手段28の作動がブレーキ制御ECU29により制御されるのであるが、このブレーキ制御ECU29には、屈曲路進入前の減速支援が必要であるか否かの判断を示す信号がナビゲーションシステムECU36から入力される。
【0025】
ナビゲーションシステムECU36には、前記自車速検出手段30およびブレーキ操作検出手段31からの検出信号が入力されるとともに、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段37およびGPSアンテナ38等からの信号も入力され、音声やブザー音で警報を発する警報手段39の警報作動がナビゲーションシステムECU36によって制御される。
【0026】
ナビゲーションシステムECU36は、道路データを予め記憶するCD−ROM等の道路データ記憶手段40と、道路データ記憶手段40から読み出した道路データ上の自車位置をGPSアンテナ38で受信した自車位置データを重ね合わせて前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段41と、前記道路データおよび前記自車位置に基づいて自車の走行経路を予測する走行経路予測手段42と、予測した走行経路上で自車の前方にある屈曲路形状を判定する屈曲路形状判定手段43と、該屈曲路形状判定手段43で判定した屈曲路形状に基づいて屈曲路を通過する際の適正車速Vsを決定する通過適正速度決定手段44と、該通過適正速度決定手段44で決定した適正車速Vsを前記自車速検出手段30で検出した自車速VOが超えているときに前記警報手段39を作動せしめるようにして前記適正車速Vsおよび自車速VOに基づいて警報手段39を作動せしめるか否かを判断する警報出力判断手段45とを備える。
【0027】
屈曲路形状判定手段43では、図3で示すように、自車の前方の道路上に複数のノード点N1,N2…Nnを設定し、ノード点Nnのリンク交差角をθn(ラジアン)、ノード点Nnの両側のリンク長さをL(n−1)、Lnとしたときに、ノード点Nnにおける半径Rnが第(1)式に基づいて算出される。
【0028】
Rn=〔{L(n−1)/θn}+{Ln/θn}〕/2
={L(n−1)+Ln}/2θn……(1)
ここで減速支援の対象として検出すべき屈曲路の半径の最大値をRmaxとしたときに、屈曲路形状判定手段43は、第(1)式で算出した半径RnがRmax以上となる領域は制御対象の屈曲路ではないものと判断し、1/Rn>1/Rmaxである状態が連続する区間、すなわち図4の斜線部で示す範囲に連続して存在する区間を同一の屈曲路として判断する。
【0029】
通過適正速度決定手段44は、屈曲路形状判定手段43で判断した屈曲路形状の平均半径RAを、同一屈曲路に存在するノード点の数をkとしたときに、次の第(2)式もしくは第(3)式に基づいて算出し、
Ra=ΣRk/k……(2)
Ra=(屈曲路長さ)/屈曲路深さ(旋回角)
=屈曲路長さ/Σθk……(3)
その平均半径RAを用いて屈曲路を適切に通過するための適正速度Vsを算出する。これにより通過適正速度決定手段44からは、屈曲路の平均半径RAに対して図5で示すように変化する適正速度Vsが出力されることになる。
【0030】
このようなナビゲーションシステムECU36による警報手段39の制御手順について図6を参照しながら説明すると、ステップS1ではGPSアンテナ38により検出した現在の自車位置を読み込み、ステップS2では道路データ記憶手段40から読み出した道路データおよび前記自車位置に基づいて自車の走行経路を予測した走行経路上で自車の前方にある屈曲路を検出し、ステップS3で自車速VOを読み込み、さらにステップS4では屈曲路形状判定手段43で判定した屈曲路形状から該屈曲路を通過する際の適正車速Vsを通過適正速度決定手段44出算出する。
【0031】
次のステップS5では、自車速VOが適正車速Vsを超えているか否かを判定し、Vs<VOであるときにステップS6に進み、このステップS6で屈曲路形状から減速対象地点たとえば屈曲路の入口を推定する。
【0032】
ステップS7では、図7で示すように、自車位置から減速対象地点すなわち屈曲路の入口までの距離Lを算出し、ステップS8で必要減速距離LBを算出し、ステップS9で必要警報距離LAを算出する。而して必要減速距離LBは現在の自車速VOから最適車速Vsまで0.2〜0.4G程度の所定減速度で減速するのに必要な距離として算出されるものであり、必要警報距離LAは、警報開始から減速開始点までの距離であり、警報で減速を開始するにあたって警報に対する車両運転者の反応時間および空走距離を考慮して算出されるものである。
【0033】
ステップS10では警報出力距離Lwを(Lw=LA+LB)として算出し、自車位置から減速対象地点までの距離Lが警報出力距離Lw未満(L<Lw)となったことをステップS11で確認することにより、ステップS12において警報手段39による警報作動がなされることになる。
【0034】
但し、警報手段39の作動開始にあたっては、車両運転者の非ブレーキ操作時であることが必要であり、車両運転者によるブレーキペダル4の踏込み操作がブレーキ操作検出手段31で検出されていないことを条件としてナビゲーションシステムECU36は警報手段39を警報作動させる。
【0035】
再び図2において、ブレーキ制御ECU29には、警報出力がなされたことを示す信号および適正車速VsがナビゲーションシステムECU36から入力されるものであり、該ブレーキ制御ECU29は、警報手段39の警報作動開始から車両運転者のブレーキ操作が開始されるまでの反応時間を検出するブレーキ反応時間検出手段46と、ブレーキアシスト手段28によるブレーキアシスト量を定めるブレーキアシスト量決定手段47と、ブレーキアシスト手段28の作動による減速支援を実行するか否かを判断するブレーキアシスト実行判断手段48と、該ブレーキアシスト実行判断手段47の判断に基づいてブレーキアシスト量決定手段47で定められたブレーキアシスト量が得られるようにブレーキアシスト手段28を駆動するアクチュエータ駆動手段49とを備える。
【0036】
ブレーキアシスト量決定手段47は、自車速VOおよび適正車速Vsの偏差ΔVに応じて、図8で示すように、ブレーキマスタ圧に加算する付与圧ΔPを定めるか、もしくは図9で示すように、ブレーキアシストを実行しないときのブレーキゲインに対して増加するようにアシストゲインを定めるものである。
【0037】
ブレーキアシスト実行判断手段48は、ブレーキ操作検出手段31およびアクセル操作検出手段35の検出結果に基づいてブレーキアシストの可否を判断するものであり、アクセル操作がない状態で警報手段39の警報作動開始から車両運転者のブレーキ操作が開始されるまでの反応時間が所定時間未満であり、しかもブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキアシスト開始後にブレーキ操作が解除されたことをブレーキ操作検出手段31が検出しないことを条件として、ブレーキアシスト実行判断手段48は、ブレーキアシストを実行するための信号をアクチュエータ駆動手段49に与えることになる。
【0038】
このようなブレーキ制御ECU29による屈曲路走行支援制御は、図10で示す手順に従って実行されるものであり、ステップS21で警報手段39の警報作動が開始されたか否かを判定し、警報開始状態であると判定したときにステップS22で警報開始からの経時時間をカウントし、ステップS23で、自車速VOおよび適正車速Vsの偏差ΔV(=VO−Vs)を算出した後、ステップS24では、前記偏差ΔVに基づいてブレーキアシスト量を前記図8もしくは図9に従って決定する。
【0039】
ステップS25では、車両が屈曲路に進入する前であるか否かを判定し、屈曲路に進入する前であることを確認した後に、ステップS26〜S29を経過することでブレーキアシストを実行するか否かを判断する。すなわちステップS26では、アクセル操作がなされていないことを確認し、ステップS27ではブレーキ操作がなされたことを確認し、ステップS28では警報開始後の経過時間が所定時間内であることを確認し、さらにステップS29では初回のブレーキ操作であるか否かを確認する。
【0040】
このようなステップS26〜S29によって、非アクセル操作状態であって警報開始から所定時間が経過するまでに1回のブレーキ操作が行なわれたことを確認したときには、ステップS29からステップS30に進んでブレーキアシスト制御を実行することになる。また非アクセル操作状態であっても警報開始から所定時間が経過した後にブレーキ操作が検出されたことをステップS28で確認したとき、ならびに非アクセル操作状態であって警報開始から所定時間が経過する前のブレーキ操作であってもそれが2回目以降のブレーキ操作であることをステップS29で確認したときには、ステップS31に進み、ブレーキ操作に応じた通常ブレーキを実行することになる。
【0041】
次にこの実施例の作用について説明すると、屈曲路に進入する前に通過適正速度決定手段43で決定した適正車速Vsを自車速検出手段30で検出した自車速VOが超えるのに応じて警報手段39が警報作動した後に、その警報開始から所定時間が経過するまでに車両運転者のブレーキ操作をブレーキ操作検出手段31で検出した場合にのみ、ブレーキ操作入力に対して車輪ブレーキBF,BRが発揮するブレーキ力を非アシスト時に比べて増大させ得るブレーキアシスト手段28を作動せしめるようにブレーキ制御ECU29がブレーキアシスト手段28の作動を制御するので、警報の出力に応じて直ちにブレーキ操作が行なわれたことをもって減速支援を車両運転者が求めたものと判断し、減速支援に対する運転者の反応を確認して減速支援制御を実行することができる。
【0042】
またブレーキ制御ECU29は、自車速検出手段30で検出した自車速VOと、通過適正速度決定手段44で決定した適正車速Vsとの偏差ΔVに基づいて、ブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキアシスト量を決定するものであるので、運転者に違和感を与えることなく、屈曲路への進入速度を滑らかかつ安全に減速することができる。
【0043】
またブレーキ制御ECU29は、アクセル操作検出手段35がアクセル操作の非検出状態にあることを条件としてブレーキアシストを実行するので、運転者の意志とブレーキアシスト制御とが干渉するのを防止することができる。すなわちブレーキ操作およびアクセル操作が検出されるのは、車両運転者が、たとえばブレーキおよびアクセル操作を同時操作するヒールアンドトウ状態にある等のことが想定され、車両運転者の覚醒度が高い状態であり、ブレーキアシスト手段28を作動させると運転者の意志およびブレーキアシスト制御が干渉することになるが、ブレーキアシストを実行しないことにより、そのような干渉が生じるのを防止することができる。
【0044】
しかもブレーキ制御ECU29は、ブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキアシスト開始後に、2回目以降のブレーキ操作をブレーキ操作検出手段31が検出したときにはブレーキアシストを禁止するようにブレーキアシスト手段28の作動を制御するので、同一屈曲路におけるブレーキアシスト手段28の作動を1回に制限することで、ブレーキアシストのオンオフが繰り返されることによるぎくしゃく感の発生や、車両挙動の乱れが生じるのを防止することができる。
【0045】
本発明の他の実施例として、ブレーキ制御ECU29のブレーキアシスト量決定手段48が、自車位置検出手段41で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離に基づいて、ブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキアシスト量を決定するようにしてもよく、そうすれば、ブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキ力増大量が、自車位置から屈曲路の入口までの距離に基づいて定まるので、屈曲路に進入するまでに充分に減速することが可能である。
【0046】
この際、自車速検出手段31で検出した自車速VOと前記通過適正速度決定手段44で決定した適正車速Vsとの偏差ΔV、及び、前記自車位置検出手段41で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離の両方に基づいて、前記ブレーキアシスト手段28の作動によるブレーキアシスト量を決定すれば、即ち、自車速検出手段30で検出した自車速VOと、通過適正速度決定手段44で決定した適正車速Vsとの偏差ΔVに加味して上記自車位置から屈曲路の入口までの距離を考慮してブレーキアシスト量を決定するようにすれば、屈曲路に進入するまでに適正車速まで速やかに減速することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、警報の出力に応じて直ちにブレーキ操作が行なわれたことをもって減速支援を求めたものと判断し、減速支援に対する運転者の反応を確認して減速支援制御を実行することができる。
【0049】
また請求項2記載の発明によれば、運転者に違和感を与えることなく、屈曲路への進入速度を滑らかかつ安全に減速することができる。
【0050】
請求項3記載の発明によれば、屈曲路に進入するまでに充分に減速することが可能である。
【0051】
請求項4記載の発明によれば、屈曲路に進入するまでに適正車速まで速やかに減速することができる。
【0052】
請求項5記載の発明によれば、運転者の意志とブレーキアシスト制御とが干渉するのを防止することができる。
【0053】
請求項6記載の発明によれば、ブレーキアシストのオンオフが繰り返されることによるぎくしゃく感の発生や、車両挙動の乱れが生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図である。
【図2】 屈曲路走行支援装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 屈曲路形状の判断手法を説明するための図である。
【図4】 同一屈曲路と判断する手法を説明するための図である。
【図5】 屈曲路の平均半径に対する適正速度の変化を示す図である。
【図6】 警報手段の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】 警報手段の制御にあたって用いられる距離を説明するための図である。
【図8】 車速偏差に対する付与ブレーキ圧の関係を示す図である。
【図9】 車速偏差に対するアシストゲインの変化を示す図である。
【図10】 屈曲路走行支援を行なうための制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
28・・・ブレーキアシスト手段
29・・・ブレーキアシスト制御手段としてのブレーキ制御ECU
30・・・自車速検出手段
31・・・ブレーキ操作検出手段
35・・・アクセル操作検出手段
40・・・道路データ記憶手段
41・・・自車位置検出手段
43・・・屈曲路形状判定手段
44・・・通過適正速度決定手段
BF,BR・・・車輪ブレーキ
Claims (6)
- 道路データを記憶する道路データ記憶手段(40)と、前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段(41)と、自車速を検出する自車速検出手段(30)と、前記道路データおよび前記自車位置に基づいて自車の前方の屈曲路形状を判定する屈曲路形状判定手段(43)と、該屈曲路形状判定手段(43)で判定した前記屈曲路形状に基づいて屈曲路を通過する際の適正車速を決定する通過適正速度決定手段(44)とを備え、前記通過適正速度決定手段(44)で決定した適正車速を前記自車速検出手段(30)で検出した自車速が超えているときに車両運転者への警報を含む減速支援動作を実行可能とした車両の屈曲路走行支援装置において、車両運転者のブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段(31)と、車両運転者のブレーキ操作入力に対して車輪ブレーキ(BF,BR)が発揮するブレーキ力を非アシスト時に比べて増大させ得るブレーキアシスト手段(28)と、前記警報の出力開始から所定時間が経過するまでの間に前記ブレーキ操作検出手段(31)がブレーキ操作を検出した場合にのみ前記ブレーキアシスト手段(28)を作動せしめるようにしてブレーキアシスト手段(28)の作動を制御するブレーキアシスト制御手段(29)とを含むことを特徴とする車両の屈曲路走行支援装置。
- 前記ブレーキアシスト制御手段(29)が、前記自車速検出手段(31)で検出した自車速と、前記通過適正速度決定手段(44)で決定した適正車速との偏差に基づいて、前記ブレーキアシスト手段(28)の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とする請求項1記載の車両の屈曲路走行支援装置。
- 前記ブレーキアシスト制御手段(29)が、前記自車位置検出手段(41)で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離に基づいて、前記ブレーキアシスト手段(28)の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とする請求項1記載の車両の屈曲路走行支援装置。
- 前記ブレーキアシスト制御手段(29)が、前記自車速検出手段(31)で検出した自車速と前記通過適正速度決定手段(44)で決定した適正車速との偏差、及び、前記自車位置検出手段(41)で検出した自車位置から自車の前方の屈曲路までの距離の両方に基づいて、前記ブレーキアシスト手段(28)の作動によるブレーキアシスト量を決定することを特徴とする請求項1記載の車両の屈曲路走行支援装置。
- アクセル操作を検出するアクセル操作検出手段(35)を含み、前記ブレーキアシスト制御手段(29)は、前記アクセル操作検出手段(35)がアクセル操作の非検出状態にあることを条件としてブレーキアシストを実行することを特徴とする請求項1記載の車両の屈曲路走行支援装置。
- 前記ブレーキアシスト制御手段(29)は、前記ブレーキアシスト手段(28)の作動によるブレーキアシスト開始後に、2回目以降のブレーキ操作を前記ブレーキ操作検出手段(31)が検出したときには前記ブレーキアシストを禁止するように前記ブレーキアシスト手段(28)の作動を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の屈曲路走行支援装置。
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