JP2012027779A - 運転支援車載装置及び路車間通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】交差点へ到達するために推奨される走行方法に対して実際の運転結果が沿わないときに適切な運転支援を実施する。
【解決手段】車載装置1は、交通信号機2から受信した信号情報と、位置特定部10や加速度センサ31、車速センサ32により取得した走行状況情報とに基づき、進行信号の現示期間中に交差点に到達できるようにするための減速調整の可否と、その推奨走行条件を決定する。そして、運転者の減速操作による減速度と推奨走行条件において必要な減速度とを比較し、推奨走行条件において必要な減速度に対して現在の減速度が不足する場合、その不足を補うための減速介入を実施する。
【選択図】 図1
【解決手段】車載装置1は、交通信号機2から受信した信号情報と、位置特定部10や加速度センサ31、車速センサ32により取得した走行状況情報とに基づき、進行信号の現示期間中に交差点に到達できるようにするための減速調整の可否と、その推奨走行条件を決定する。そして、運転者の減速操作による減速度と推奨走行条件において必要な減速度とを比較し、推奨走行条件において必要な減速度に対して現在の減速度が不足する場合、その不足を補うための減速介入を実施する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、交通信号機に付随する路側通信装置と、道路を走行する車両との路車間通信により情報を送受信する路車間通信システムに関する。
従来、道路を走行中の車両が、進行方向前方にある交差点に設置された交通信号機から信号の切替タイミングを示す信号情報を路車間通信により受信し、その受信した信号情報に基づいて、車両が交差点をスムーズに通過できるようにするための様々な運転支援を行う技術が発明されている。
この種の運転支援として、例えば、車両の進行方向前方にある交差点に設置された交通信号機が現在停止信号(黄又は赤信号)を現示している状況において、減速をすることで交差点に到達する前に停止信号の現示期間をやり過ごし、次の進行信号(青信号)で交差点を無停止で通過できるようにするものがある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、路車間通信により交通信号機側から信号の切替タイミングや交差点の位置情報等を示す信号情報を受信し、その信号情報に基づいて適切な減速走行の方法を演算して運転者に指示することで、交差点を停車せずに通過できるように運転者を支援する。
しかしながら、運転者の運転に関する嗜好、習慣、癖等の要因により減速の仕方には個人差があるため、運転支援による減速指示に完全に沿った走行をすることが難しい場合がある。例えば、上記した交差点を無停止で通行するための運転支援の事例では、運転支援に基づく減速方法よりも緩やかな減速をした場合、交差点の信号が進行信号に切替わる前に交差点に到達してしまい、停止を余儀なくされることがある。反対に、運転支援に基づく減速方法よりも急な減速をした場合、速く減速し過ぎることで低速走行する距離が長くなったり、交差点の信号が進行信号に切替わってから交差点に到達するまでに余分な時間がかかってしまい、運転者がいらだたしく感じることがある。
上述のように、運転支援に従った走行をしようとする意図があっても、実際には運転支援で推奨提示される走行方法に完全に沿った運転をすることが難しいという問題がある。また、このような問題は、上記した交差点を無停止で通行するための運転支援に限らず、信号情報に基づいて行う速度調整の案内を伴う様々な運転支援全般に当てはまる。
本発明の目的は、交差点へ到達するために推奨される走行方法に対して実際の運転結果が沿わないときに適切な運転支援を実施することで、この問題を解決することである。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の運転支援車載装置は、次のような特徴を有する。推奨走行条件決定手段は、信号情報取得手段により取得した信号情報に基づき、当該交差点における信号の現示パターンに応じた目標時期に合わせてこの交差点に到達できるようにするための推奨走行方法に関する推奨走行条件を決定する。運転支援制御手段は、走行状況取得手段により取得した情報で示される自車両の走行状況と、推奨走行条件決定手段により決定した推奨走行条件とを比較し、その比較の結果、現在の走行状況が推奨走行条件に適合しない場合、推奨走行条件を満たすように自車両の走行状態を補正する所定の運転支援を実施する。
このような構成によれば、前方交差点における信号の現示パターンに応じて推奨される走行方法に対して、運転者の嗜好、習慣、癖等の要因により実際の運転結果が沿わない場合に、その不一致を補正するための運転支援を実施できる。なお、ここでいう運転支援とは、例えば、推奨走行条件で示される速度や速度変化率(加速度、減速度)に対する過不足を運転者に通知する情報案内や、それらを自動的に補正するためのアクセル・ブレーキ制御といった車両制御が挙げられる。
交差点へ至るための運転を対象とする運転支援の具体例として、自車両が現在の速度よりも減速することで目標とする時期に交差点に到達できるように、自車両の減速調整を支援するものがある。このような運転支援により、例えば、現在の速度を維持したままでは停止信号の現示期間中に交差点に到達してしまい停止を余儀なくされるところを、交差点の手前で予め減速することで交差点に到達する前に停止信号の現示期間をやり過ごし、次の進行信号で交差点を無停止で通過するといった走行方法が実現する。しかしながら、目標時期に交差点に到達するために推奨される減速方法に対して実際の減速度合に過不足がある場合、交差点への到達時期にずれが生じ、運転支援の意図するタイミングで交差点に到達することができない。
そこで、上記のような運転支援を採用する場合は、請求項2に記載のように構成するとよい。すなわち、推奨走行条件決定手段は、推奨走行条件として、目標時期に当該交差点に到達するために適当な減速過程を含んだ走行方法の条件を決定する。走行状況取得手段は、自車両の減速度合を示す情報を取得する。運転支援制御手段は、自車両の減速度合と推奨走行条件において必要な減速度合とを比較し、その比較の結果、現在の減速度合が推奨走行条件において必要な減速度合に対して過不足する場合、自車両の減速度合の過不足を低減するための運転支援を実施する。
このように構成することで、車両が適切な減速をすることで目標時期に交差点に到達できる状況下において、運転操作による実際の減速度合が不足する場合には減速度を補い、減速度合が大き過ぎる場合には減速度を軽減することができ、それにより目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。
あるいは、交差点へ至るための運転を対象とする運転支援の具体例として、自車両が現在の速度よりも加速することで目標時期に交差点に到達できるように、自車両の加速調整を支援することも考えられる。このような運転支援により、例えば、現在の速度を維持したままでは交差点に到達するのが目標時期に間に合わないところを、交差点の手前で適度に加速することで目標時期に到達する走行方法が実現する。しかしながら、目標時期に交差点に到達するために推奨される加速方法に対して実際の加速度合に過不足がある場合、交差点への到達時期にずれが生じる。その結果、運転支援の意図するタイミングで交差点に到達することができない。加えて、加速度合が大き過ぎると速度超過を招きかねない。
そこで、上記のような運転支援を採用する場合は、請求項3に記載のように構成するとよい。すなわち、推奨走行条件決定手段は、推奨走行条件として、目標時期に当該交差点に到達するために適当な加速過程を含んだ走行方法の条件を決定する。走行状況取得手段は、自車両の加速度合を示す情報を取得する。運転支援制御手段は、自車両の加速度合と推奨走行条件において必要な加速度合とを比較し、その比較の結果、現在の加速度合が推奨走行条件において必要な加速度合に対して過不足する場合、自車両の減速度合の過不足を低減するための運転支援を実施する。
このように構成することで、車両が適切な加速をすることで目標時期に交差点に到達できる状況下において、運転操作による実際の加速度合が推奨走行条件に適合しない場合に、これを補正することができ、それにより目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。また、許容する最大の加速度合を推奨走行条件に加えることで、安全走行に配慮することができる。
つぎに、請求項4に記載の運転支援車載装置は、推奨走行条件に対応する走行方法を所定の情報提示手段を使って運転者に対して提示し、つぎに、その提示した走行方法に対応した所定の運転操作が行われている状況下において現在の走行状況が推奨走行条件に適合しないと判断した場合、所定の運転支援を実施することを特徴とする。
このような構成によれば、提示された走行方法に沿って運転者が運転しようとする意思を確認してから運転支援を実施することができる。例えば、推奨走行条件に基づく減速方法を運転者に対して案内した後で、運転者がアクセルをオフあるいは緩めたりブレーキをかけたりといった減速を招く所定の運転操作した条件下において、減速度合の過不足を判断し、必要に応じて減速を補う等の運転支援を行うといった運用が考えられる。このようにすることで、運転者に減速しようとする意思があるときに限り減速調整のための運転支援が行われることになる。すなわち、運転者の意思に沿った的確な運転支援が実現する。
つぎに、請求項5に記載の運転支援車載装置は、推奨走行条件として、目標時期に当該交差点に到達するために適当な推奨速度を含んだ走行方法の条件を決定し、自車両の速度がその推奨速度に到達した場合、この推奨速度で定速走行をするための速度維持に関する運転支援を実施することを特徴とする。このように構成することで、加速や減速のための運転支援だけでなく、加速や減速の過程が終わった後の定速走行の段階において推奨速度の維持を支援できる。それにより目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。
ところで、運転支援による制御下で走行している最中に急な周辺状況の変化が発生した場合には、それに対応すべく運転支援による推奨走行条件とは異なる運転操作をする必要に迫られる可能性がある。このような状況では、状況変化に対応するために行われた運転者の操作を運転支援よりも優先する必要がある。
そこで、上記のような状況を考慮して請求項6に記載のように構成するとよい。すなわち、運転支援制御手段は、運転支援を実施している最中に走行状況取得手段により取得した情報から規定量以上の加速又は減速のための操作を検知した場合、当該実施中の運転支援を中止する。このようにすることで、運転支援の実施下において運転者が急な状況変化に対応するために行った規定量以上の操作が検出されたときには、運転支援による介入が行われず、運転者の操作が優先される。
ところで、交差点へ至るための運転を対象とする運転支援として何からかの速度調整を行う際には、自車両の前方や後方を走行する他車両にも配慮し、自車両と他車両とが互いに支障とならいようにすることが肝要である。例えば、交差点との間に自車両の進路前方を走行する先行車両が存在する場合、推奨走行条件に沿って交差点に到達しようとしても、この先行車両によって進路が塞がれて推奨走行条件に沿って走行できない場合がある。あるいは、自車両の進路後方を走行する後続車両が存在するときには、運転支援に基づく減速をすることで後続車両の不意の接近を誘発するおそれがある。このように、自車両周辺の先行車両や後続車両の存在状況によっては、互いの走行の支障とならないようにするために運転支援を実施しない方が好ましい状況もある。
そこで、上記のような状況を考慮して請求項7に記載のように構成するとよい。すなわち、自車両の前方又は後方の所定範囲内に運転支援の実施の支障となる他車両が存在するか否かを判断し、その判断の結果、運転支援の実施の支障となる他車両が存在すると判断した場合、運転支援の不実施を決定する。そして、運転支援制御手段は、運転支援の不実施が決定された場合、運転支援を実施しない。このような構成によれば、自車両の前方や後方を走行する他車両の存在により運転支援の実施に適さない状況下では運転支援を実施しないことで、自車両と他車両とが互いに支障となるのを回避できる。
つぎに、請求項8に記載の路車間通信システムは、請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の運転支援車載装置と、交差点に設置された特定の交通信号機の信号現示の予定に関する情報を少なくとも含む信号情報を車両に対して送信する信号情報送信手段を備える路側通信装置とを備えるものである。このように構成された路車間通信システムによれば、本発明の運転支援車載装置を搭載した車両と、路側通信装置等の交通インフラとの間の路車間通信に基づいて、上述の効果と同様の効果を得られる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[路車間通信システムの構成の説明]
まず、図1に基づいて実施形態の路車間通信システムの構成を説明する。路車間通信システムは、道路を走行する車両に搭載される車載装置1(特許請求の範囲の運転支援車載装置に相当)と、交差点に設置された交通信号機2(特許請求の範囲の路側通信装置に相当)とからなる。
[路車間通信システムの構成の説明]
まず、図1に基づいて実施形態の路車間通信システムの構成を説明する。路車間通信システムは、道路を走行する車両に搭載される車載装置1(特許請求の範囲の運転支援車載装置に相当)と、交差点に設置された交通信号機2(特許請求の範囲の路側通信装置に相当)とからなる。
車載装置1は、位置特定部10、外部機器接続部11、表示部12、音声出力部13、光ビーコン通信部14、無線通信部15、及び制御部16等を備えている。
このうち、位置特定部10は、加速度センサ31や、車速センサ32、GPS受信機等による検出信号に基づいて車両の現在地や進行方向を特定し、その特定したデータを制御部16に入力するためのものである。外部機器接続部11は、車両に搭載されている加速度センサ31、車速センサ32、作動制御部33、レーダ・カメラ34等、他のECU(Electronic Control Unit)等の各種機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されてくるデータを制御部16に入力する。加速度センサ31は、自車両の加速度及び減速度を検知するための装置である。車速センサ32は、自車両の速度を検出するための装置である。作動制御部33は自車両の各部(アクセル、ブレーキ、方向指示器等の被制御部)の作動制御を行うための装置である。レーダ・カメラ34は、自車両周辺に存在する他車両を検知するためのレーダや、自車両の前方及び後方の路上風景を撮像するためのカメラを備えた装置である。
このうち、位置特定部10は、加速度センサ31や、車速センサ32、GPS受信機等による検出信号に基づいて車両の現在地や進行方向を特定し、その特定したデータを制御部16に入力するためのものである。外部機器接続部11は、車両に搭載されている加速度センサ31、車速センサ32、作動制御部33、レーダ・カメラ34等、他のECU(Electronic Control Unit)等の各種機器との間で通信を行うためのインタフェースであり、各機器から送信されてくるデータを制御部16に入力する。加速度センサ31は、自車両の加速度及び減速度を検知するための装置である。車速センサ32は、自車両の速度を検出するための装置である。作動制御部33は自車両の各部(アクセル、ブレーキ、方向指示器等の被制御部)の作動制御を行うための装置である。レーダ・カメラ34は、自車両周辺に存在する他車両を検知するためのレーダや、自車両の前方及び後方の路上風景を撮像するためのカメラを備えた装置である。
表示部12は、画像を表示する液晶パネル等の表示面を備えた表示装置であり、制御部16からの制御に基づいて各種の運転支援画像を表示する。画像を表示する表示面は、車両の運転席から視認可能な場所に配置される。音声出力部13は、音声を出力するスピーカ等を備えた音声出力装置であり、制御部16からの制御に基づいて運転支援に関する各種の音声メッセージを出力する。
光ビーコン通信部14は、道路近傍に設置された光ビーコンとの間で近赤外線通信技術を利用した双方向通信を行うための通信装置である。この光ビーコン通信部14は、光ビーコンから提供される各種の交通情報を受信し、その受信データを制御部16に入力する。
無線通信部15は、信号交差点に設置された交通信号機2との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行ったり、通信装置を搭載する周辺車両との間で無線通信(車車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式としては、例えばETC(登録商標)システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、VICS(登録商標)等で用いられる電波ビーコン等の技術を用いることが考えられる。あるいは、日本国において、2011年(予定)のアナログテレビ放送の終了後に利用区分が再編される予定の700MHz帯の電波を利用することも考えられる。この700MHz帯の電波は、DSRCで用いられる5.8GHz帯の電波と比較して波長が長いため、回折を起こし易い。そのため、建築物が密集する都市部において、建物の影からでも良好に通信が行うことができる。
制御部16は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のコンピュータ装置で構成されており、車載装置1の各部を統括制御する。この制御部16は、ROM等に記憶されたプログラムに従って路車間通信や運転支援に関する処理を実行する。なお、本実施形態では、路車間通信により取得した信号情報や、自車両の走行状況、各種センサ類を使って把握した周辺車両状況に基づき、適切な減速によって前方の交差点を無停止で通過できるようにするための減速指示や減速介入といった運転支援を実施する。この運転支援を実施するための処理についての詳細な説明は後述する。
一方、交通信号機2は、無線通信部21、信号制御部22、光ビーコン23及び信号表示部24を備える。
このうち、無線通信部21は、道路を走行する車両に搭載された車載装置1との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式は、上述の車載装置1のものと同様である。
このうち、無線通信部21は、道路を走行する車両に搭載された車載装置1との間で双方向の無線通信(路車間通信)を行うための通信装置である。この路車間通信に用いる通信様式は、上述の車載装置1のものと同様である。
また、光ビーコン23は、指向性の高い近赤外線を利用した双方向通信機能と車両感知機能とを併せ持つ装置であり、交通信号機2が設置された交差点に接続する道路の交差点手前側に設置される近赤外線の投受光器と制御装置からなる。この光ビーコン23は、当該交差点に向かって走行する車両を感知したり、信号制御部22から供給される情報を車両に送信すると共に、車両の感知情報や双方向通信により車両から受信した情報を信号制御部22へ出力する。
信号制御部22は、CPU,ROM,RAM等からなる周知のコンピュータ装置で構成されており、交通信号機2の各部を統括制御し、信号交差点を通行する車両に対して信号を表示するための信号灯器である信号表示部24が備える青、黄、赤の各信号灯の点灯及び消灯を制御する。
さらに、信号制御部22は、自己が制御する信号の現示の予定に関する情報や、交差点の位置情報等を含む信号情報を、無線通信部21を使って一定間隔(例えば100msごと)で車両に対して送信する。信号の現示予定に関する情報は、現在の信号の現示状況や、今後の信号灯色の表示順序、各信号灯色の現示期間(開始時刻、終了時刻等)を示す情報である。
また、信号制御部22は、光ビーコン23を使って、光ビーコン23の投受光器の設置位置から交差点までの走行距離を示す距離情報を、光ビーコン23で感知した車両に対して送信する。
[車載装置1のメイン処理の説明]
つぎに、車載装置1の制御部16が実行するメイン処理の手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、自車両の進路前方に本実施形態の交通信号機2による信号情報の送信が実施された交差点がある場合に実行される処理である。
つぎに、車載装置1の制御部16が実行するメイン処理の手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、自車両の進路前方に本実施形態の交通信号機2による信号情報の送信が実施された交差点がある場合に実行される処理である。
車載装置1の制御部16は、まず、無線通信部15を使って進路前方の交差点に設置された交通信号機2から信号情報を受信する(S101)。この信号情報には、当該交通信号機2における信号の現示予定に関する情報や、当該前方交差点の位置情報等が含まれる。
つぎに、S101で受信した信号機情報や、自車両の走行状況を示す走行状況情報、当該前方交差点での自車両の進行方向、自車両と同じ道路を走行している自車両近辺の周辺車両に関する周辺車両情報等に基づいて、運転支援の実施下による当該前方交差点の通過可否の判断と推奨走行条件の決定とを行う通過可否判断処理を実行する(S102)。
なお、自車両の走行状況情報は、位置特定部10や加速度センサ31、車速センサ32、光ビーコン通信部14等を使って取得した自車両の速度変化率(加速度、減速度)、速度、現在地、交差点までの残り距離等を示す情報である。また、周辺車両情報は、レーダ・カメラ34や、無線通信部15を使った車車間通信や路車間通信により取得した周辺車両の位置、速度、交差点までの残り距離、当該前方交差点での進行方向等を示す情報である。
本実施形態では、前方交差点において現在停止信号(黄や赤信号)が現示されている状況を対象に、自車両が適切な速度に減速することで当該前方交差点に到達する前に停止信号の現示期間をやり過ごし、次の進行信号(青信号や矢印信号)で交差点を無停止で通過できるようにするための運転支援を想定している。その運転支援内容としては、当該交差点を無停止で通過できるようにするための減速調整の支援がある。そして、S102の通過可否判断処理では、減速調整によって交差点を無停止で通過することの実現可否が判断されると共に、通過可能である場合の推奨速度、減速過程を含む交差点までの走行方法等の推奨走行条件が決定される。なお、この通過可否判断処理の詳細な手順については後述する。
つぎに、S103では、S102の処理結果に基づき、減速調整によって当該前方交差点を無停止で通過できるか否かを判定する。ここで、減速調整によって当該前方交差点を無停止で通過できると判定した場合(S103:YES)、S104の処理へ進み、通過できないと判定した場合(S103:NO)、本処理を終了する。
減速調整によって当該前方交差点を無停止で通過できると判断した場合に進むS104では、S102で算出した推奨速度に基づいて減速指示を実施する。この減速指示は、減速を指示する旨のメッセージを表示部12による画像表示や音声出力部13による音声案内によって運転者に対して報知することで行う。
ここで、S104で行う減速指示の具体的内容を図4に基づいて説明する。減速指示を表示で行う場合、現在速度(図4の事例では50km/h)と、減速後に定速走行をする際の推奨速度(図4の事例では30km/h)とを表示すると共に、それらの間に現在速度から推奨速度へ向かう矢印を表示する。このような表示により、現在速度から推奨速度まで減速する旨の指示を行う。
なお、表示する推奨速度は、S102で決定した推奨走行条件を満たす範囲で最小の減速度で減速した条件を想定した定速走行時の速度とするとよい。このようにすることで、更に減速できる余裕を残しつつ、自車両を速やかに推奨速度に到達させることができる。また、表示する現在速度や推奨速度は、減速状況に応じて小刻みに数値を変更することはせず、大まかに(例えば、5km/h単位)で数値を切替えるようにするとよい。
一方、減速指示を音声で行う場合、「減速してください」等といった減速を促すための音声メッセージを出力する。この場合、音声による減速指示は上記の表示による減速指示と併用すると効果的である。
図2のフローチャートの説明に戻る。つぎに、S105では、減速を招く所定の運転操作が行われている条件下で、現在の減速度とS102で決定した推奨走行条件の減速過程において必要な減速度とを比較し、現在の減速度が必要な減速度に対して不足しているか否かを判定する。なお、ここでいう「減速を招く所定の運転操作」とは、例えば、減速指示の報知後にアクセルを緩めたりオフにする操作や、ブレーキをかける操作等を指す。これらの運転操作の情報は、外部機器接続部11を使って作動制御部33から取得する。また、この判断において比較対象として用いる推奨走行条件の減速度は、例えば、この推奨走行条件において必要な最小の減速度とすることが考えられる。
減速を招く所定の運転操作が行われている条件下において減速度が不足している場合(S105:YES)、S106の処理へ進み、減速度が不足していない場合、あるいは減速を招く所定の運転操作が行われていない場合(S105:NO)、S102の処理へ戻る。
減速を招く所定の運転操作が行われている条件下で減速度が不足している場合に進むS106では、不足する減速度を補うための減速介入を行う。ここでは、例えば推奨走行条件において必要な最小の減速度になるように、作動制御部33を使ってアクセル開度やブレーキ強度を自動制御して減速度を調整する。また、減速介入を開始する際には、表示や音声により自動制御による減速介入を行う旨を運転者に対して通知する。
つづいて、減速介入の実施下において運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出したか否かを判定する(S107)。ここでは、推奨走行条件で許容される減速度の上限値を超える規定値(例えば、0.2G)以上の強い減速度を発生させるブレーキ操作を行った場合や、アクセルをOFFからONにする操作を行った場合、肯定判定をする。減速介入の実施下において運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出した場合(S107:YES)、S109の処理に進み、運転者による規定以上のブレーキ操作及びアクセル操作の何れも検出していない場合(S107:NO)、S108の処理へ進む。
運転者による規定以上のブレーキ操作及びアクセル操作の何れも検出していない場合に進むS108では、減速介入による走行の支障となる先行車両又は後続車両が存在するか否かを判定する。ここでは、レーダ・カメラ34や、無線通信部15を使った車車間通信あるいは路車間通信により、自車両の周辺を走行する他車両の速度や、現在地、交差点までの距離等の周辺車両情報を取得し、これに基づいて先行車両及び後続車両の存否を判断する。
具体的には、図6に示す検知条件に該当する他車両を減速介入による走行の支障となる先行車両又は後続車両として検知する。図6(a)に示す先行車両検知条件では、自車両の進路前方の前方交差点までの範囲(先行車両検出範囲)を先行している他車両が先行車両として検知される。さらに、この検知条件の他にも、自車両と先行車両との車間距離が規定値未満であることや、自車両との相対速度が規定範囲内(例えば、自車両の速度未満)であることを検知条件に加えてもよい。一方、図6(b)に示す後続車両検知条件では、例えば自車両の進路後方30m以内の範囲(後続車両検出範囲)で自車両に追従し、かつ、自車両との相対速度が規定範囲内(例えば、自車両の速度以上)である他車両が後方車両として検知される。
図3のフローチャートの説明に戻る。S108では、減速介入による走行の支障となる先行車両又は後続車両が存在する場合(S108:YES)、S109の処理へ進み、先行車両及び後続車両の何れも存在しない場合(S108:NO),S110の処理へ進む。
S107で運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出した場合、あるいは、S108で減速介入による走行の支障となる先行車両又は後続車両が存在すると判定した場合に進むS109では、それまで実行していた減速介入を中止して本処理を終了する。
一方、S108で減速介入による走行の支障となる先行車両及び後続車両の何れも存在しないと判定した場合に進むS110では、自車両の現在の速度が推奨走行条件における定速走行時の推奨速度に到達したか否かを判定する。自車両の速度が推奨速度に到達した場合(S110:YES)、S111の処理へ進み、未到達の場合(S110:NO)、S106の処理へ戻って減速介入を行う。
推奨速度に到達した場合に進むS111では、現在の推奨速度のままで定速走行をするための定速走行制御を実施する。ここでは、現在の推奨速度を維持するように、作動制御部33を使ってアクセル開度等を自動制御する。また、定速走行制御を開始する際には、表示や音声により、現在の速度が推奨速度に到達したことを示すメッセージや、定速走行制御による介入を行う旨のメッセージを運転者に対して通知する。
つづいて、定速走行制御の実施下において運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出したか否かを判定する(S112)。ここでは、定速走行制御の開始以降に運転者がブレーキ又はアクセルを踏み込む量を増加させた場合(ブレーキやアクセルを踏んでいなかった場合はそれらを踏んだ場合)、肯定判定をする。定速走行制御の実施下において運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出した場合(S112:YES)、S115の処理に進み、規定以上のブレーキ操作及びアクセル操作の何れも検出していない場合(S112:NO)、S113の処理へ進む。運転者による規定以上のブレーキ操作又はアクセル操作を検出した場合に進むS115では、実施中の定速走行制御を中止し、本処理を終了する。
一方、運転者による規定以上のブレーキ操作及びアクセル操作の何れも検出していない場合に進むS113では、定速走行制御の支障となる先行車両が存在するか否かを判定する。ここでは、レーダ・カメラ34や、無線通信部15を使った車車間通信あるいは路車間通信により、自車両の周辺を走行する他車両の速度や、現在地、交差点までの距離等の周辺車両情報を取得し、これに基づいて先行車両の存否を判断する。なお、先行車両の検知条件は、上記S108の処理における検知条件と同様である。定速走行制御の支障となる先行車両が存在する場合(S113:YES)、S115の処理へ進み、先行車両が存在しない場合(S113:NO),S114の処理へ進む。先行車両が存在する場合に進むS115では、実施中の定速走行制御を中止し、本処理を終了する。
一方、先行車両が存在しない場合に進むS114では、自車両の現在地情報に基づいて当該前方交差点を通過したか否かを判定する(S114)。前方交差点を通過した場合(S114:YES)、S115の処理へ進み、前方交差点を未だ通過していない場合(S114:NO)、S111の処理へ戻り定速走行制御を継続する。前方交差点を通過した場合に進むS115では、実施中の運転支援を終了し、本処理を終了する。
[通過可否判断処理の説明]
つぎに、上述のメイン処理のS102で実行される通過可否判断処理の手順について、図3のフローチャート及び図5の説明図を参照しながら説明する。
つぎに、上述のメイン処理のS102で実行される通過可否判断処理の手順について、図3のフローチャート及び図5の説明図を参照しながら説明する。
車載装置1の制御部16は、まず、減速調整の実施によって、前方交差点で進行信号が現示されている期間内に当該前方交差点に到達できるか否かの状況判断を行う(S201)。具体的には、まず、交通信号機2から受信した信号情報から、現在停止信号を現示中であることを検出する。つぎに、信号情報に基づく直近の進行信号の現示期間(開始時刻及び終了時刻)、自車両の現在速度(減速前車速:V0)、現在地情報や光ビーコン通信部14により取得した位置情報から特定した前方交差点までの距離を用いて、以下の(1)〜(4)の判断条件に基づいて減速調整による無停止での到達の可否を判断する。
(1)減速度条件
必要な減速度が、下限値(例えば、0.05G)以上で、かつ、上限値(例えば、0.15G)以下であること。この条件(1)では、緩やかな減速を遠方から延々と実施するのは運転者にとって困難で煩わしいため、これを避ける目的で減速度に下限値を設定している。また、急激過ぎる減速は乗り心地や安全性の面で好ましくないため、これを避ける目的で減速度に上限値を設定している。
必要な減速度が、下限値(例えば、0.05G)以上で、かつ、上限値(例えば、0.15G)以下であること。この条件(1)では、緩やかな減速を遠方から延々と実施するのは運転者にとって困難で煩わしいため、これを避ける目的で減速度に下限値を設定している。また、急激過ぎる減速は乗り心地や安全性の面で好ましくないため、これを避ける目的で減速度に上限値を設定している。
(2)到達時間余裕条件
信号が停止信号から進行信号に切替わった時点から交差点に到達するまでの時間(余裕時間:Tb)が、規定時間(例えば、3秒間)以上であること。自車両が交差点に到達する直前まで停止信号のままであると、運転者が不安を感じてブレーキをかけてしまうおそれがある。これを避けるため、この条件(2)では、進行信号に切替わってから十分な余裕を持って交差点に到達するための余裕時間に下限値を設定している。
信号が停止信号から進行信号に切替わった時点から交差点に到達するまでの時間(余裕時間:Tb)が、規定時間(例えば、3秒間)以上であること。自車両が交差点に到達する直前まで停止信号のままであると、運転者が不安を感じてブレーキをかけてしまうおそれがある。これを避けるため、この条件(2)では、進行信号に切替わってから十分な余裕を持って交差点に到達するための余裕時間に下限値を設定している。
(3)定速走行時間条件
交差点に到達する前に推奨速度までの減速を終了し、その時点から推奨速度のまま定速走行して交差点に到達するまで時間(定速走行時間:Tc)が規定時間(例えば、3秒以上)であること。減速しながら交差点に進入すると運転者が不安を感じるおそれがある。これを避けるため、この条件(3)では、交差点手前で減速を終了してから交差点に到達するまでの定速走行時間に下限値を設定している。
交差点に到達する前に推奨速度までの減速を終了し、その時点から推奨速度のまま定速走行して交差点に到達するまで時間(定速走行時間:Tc)が規定時間(例えば、3秒以上)であること。減速しながら交差点に進入すると運転者が不安を感じるおそれがある。これを避けるため、この条件(3)では、交差点手前で減速を終了してから交差点に到達するまでの定速走行時間に下限値を設定している。
(4)定速走行車速条件
減速終了後の定速走行過程における速度(定速走行車速:V1)が規定値(例えば、30km/h)以上であること。あまりにも遅い速度にまで減速して走行させると、運転者が煩わしく感じるおそれがある。これを避けるため、この条件(4)では、減速後の定速走行車速に下限値を設定している。
減速終了後の定速走行過程における速度(定速走行車速:V1)が規定値(例えば、30km/h)以上であること。あまりにも遅い速度にまで減速して走行させると、運転者が煩わしく感じるおそれがある。これを避けるため、この条件(4)では、減速後の定速走行車速に下限値を設定している。
なお、上記判断条件(1)〜(4)における下限値又は上限値は、走行時の安全性や快適性を考慮してメーカ等により予め設定された値を用いるようにしてもよいし、ユーザの運転嗜好に応じてユーザが任意に設定できるようにしてもよい。また、上記判断条件(1)〜(4)に係る距離や時間、速度等の計算は、運転者に対する減速指示を実施した時点から規定時間後(例えば、2秒後)に減速を開始すると想定して、この規定時間分の遅れを加味して行う。これは、運転者の認知、判断、操作の一連の挙動にある程度の遅れがあることを考慮したものである。
上記判断条件(1)〜(4)を全て満たす減速度(a)や定速走行車速(V1)、減速時間(Ta)、定速走行時間(Tb)等の各走行方法が成立する場合、減速調整によって進行信号の現示期間中で交差点到達が可能であると判断する。それと共に、上記判断条件(1)〜(4)を全て満たすこれらの走行方法の範囲を推奨走行条件として決定する。一方、上記判断条件(1)〜(4)の何れかの1つでも満たせない場合は、到達不可能であると判断する。
ここで、推奨走行条件の具体例について図5を参照しながら説明する。図5は、横軸に交差点からの距離L、縦軸に信号の現示時間Tをとって自車両の走行軌跡を表したグラフである。このグラフでは、走行軌跡の傾きが自車両の速度に相当し、傾きが小さいほど速度が大きいことを示している。なお、横軸は交差点の位置を原点とし、縦軸は、自車両が減速を開始すると想定した時刻を原点とする。また、縦軸においては、停止信号(赤信号)の現示期間(時間:0〜T1)を黒い帯で示し、進行信号(青信号)の現示期間(時間:T1〜)を白い帯で示している。
今、自車両が交差点からの距離L0の地点を速度V0で走行しているとする。もし、自車両がこの速度V0を維持したまま交差点まで走行したと仮定すると、交差点に到達する時点では赤信号の現示期間中であり、交差点を無停止で通過できない。一方、距離L0の地点から一定の減速度aで減速時間Taだけ減速をし、その後、定速走行車速V1で交差点に到達するまで走行する場合では、交差点に到達する時点では青信号の現示期間中になっている。このとき、時間Taの時点で減速を終了してから定速走行により交差点に到達するまでの時間が定速走行時間Tcである。また、赤信号から青信号に切替わる時点から、自車両が交差点に到達する時点までの時間が余裕時間Tbである。このような推奨走行条件は、図5に記載の決定要件に示すとおり、上記判断条件(1)〜(4)を全て満たすことを条件に、〈a〉〜〈h〉の数値又は数式によって算出することができる。
図3のフローチャートの説明に戻る。S202では、S201での状況判断の結果において、進行信号の現示期間内に前方交差点に到達できると判断した否かに応じて処理を分岐する。進行信号の現示期間内に前方交差点に到達できると判断した場合(S202:YES)、S203の処理へ進む。S203では、さらに、自車両の進路前方に減速調整の支障となる先行車両が存在するか否かを判定する。なお、先行車両の検知条件は、上記メイン処理のS108における検知条件(図6(a)参照)と同様である。減速調整の支障となる先行車両が存在しない場合(S203:NO)、さらに、自車両の進路後方に減速調整の支障となる後続車両が存在するか否かを判定する(S204)。なお、後続車両の検知条件は、上記メイン処理のS108における検知条件(図6(b)参照)と同様である。減速調整の支障となる後続車両が存在しない場合(S204:NO)、「減速調整により通過可能」(すなわち、運転支援実施可能)との判断結果を確定し(S205)、本処理を終了する。
一方、S202で進行信号の現示期間内に前方交差点に到達できないと判定した場合(S202:NO)や、S203で減速調整の支障となる先行車両が存在すると判定した場合(S203:YES)、あるいは、S204で減速調整の支障となる後続車両が存在すると判定した場合(S204:YES)、「通過不可」(すなわち、運転支援実施不可)との判断結果を確定し(S206)、本処理を終了する。
[変形例]
(1)上記実施形態のメイン処理では、現在の減速度が推奨走行条件の減速過程において必要な減速度に対して不足しているときに、不足する減速度を補う減速介入を行うものとした。しかし、これに限らず、現在の減速度と、推奨走行条件の減速過程において必要な減速度とを比較し、現在の減速度が必要な減速度に対して過剰である場合にも、現在の減速度が規定範囲内である場合に限り、適正な減速度になるように減速度を軽減する介入を行うように構成してもよい。なお、減速度を軽減する介入を行うのは、車間距離や相対速度が規定範囲内にある先行車両が存在しない場合に限る。また、現在の減速度が規定以上に大きい場合は、交差点通過のための減速調整以外の外的要因でブレーキをかけている可能性が高いため、減速度を軽減する介入をしない。
(1)上記実施形態のメイン処理では、現在の減速度が推奨走行条件の減速過程において必要な減速度に対して不足しているときに、不足する減速度を補う減速介入を行うものとした。しかし、これに限らず、現在の減速度と、推奨走行条件の減速過程において必要な減速度とを比較し、現在の減速度が必要な減速度に対して過剰である場合にも、現在の減速度が規定範囲内である場合に限り、適正な減速度になるように減速度を軽減する介入を行うように構成してもよい。なお、減速度を軽減する介入を行うのは、車間距離や相対速度が規定範囲内にある先行車両が存在しない場合に限る。また、現在の減速度が規定以上に大きい場合は、交差点通過のための減速調整以外の外的要因でブレーキをかけている可能性が高いため、減速度を軽減する介入をしない。
(2)上記実施形態では、前方交差点において現在停止信号が現示されている状況を対象に、自車両が適切な減速をすることで当該前方交差点に到達する前に停止信号の現示期間をやり過ごし、次の進行信号で交差点を無停止で通過できるようにするための運転支援を実行する事例について説明した。しかし、これに限らず、別の内容の運転支援を実行する場合においても、本発明を適用可能である。その一例として、自車両が適切な加速をすることで目標時期に交差点に到達できるように、自車両の加速調整を支援することが考えられる。つまり、現在の速度を維持したままでは交差点に到達するのが目標時期に間に合わないところを、交差点の手前で適度に加速することで目標時期に到達させるための運転支援である。
このような運転支援を行う場合、目標時期(例えば、進行信号の現示期間)に交差点に到達するための、加速過程を含む推奨走行条件を決定する。なお、推奨走行条件において必要とする加速度合は、速度規制や安全性、快適性を損なわない適切な範囲内となるように設定されることが肝要である。そして、推奨走行条件において必要な加速度に対して実際の加速度に過不足がある場合、適切な加速度になるように加速度を自動的に加減する介入を行うことができる。なお、加速度を補う介入を行うのは、車間距離や相対速度が規定範囲内にある先行車両が存在しない場合に限る。具体的な制御方法については、図2,3のフローチャートに示す手順で適用される諸条件を、加速調整の実施によって目標時期に交差点に到達するための運転支援に対応した内容に変更したものを採用できる。
[効果]
上記実施形態の路車間通信システムによれば、次の効果を奏する。
(1)車両が適切な減速をすることで進行信号の現示期間中に交差点に到達できる状況下において、運転操作による実際の減速度合が不足する場合に減速介入によって減速度を補うことができる。このように、推奨走行条件に対して、運転者の嗜好、習慣、癖等の要因により実際の運転結果が沿わない場合に、その不一致を補正するための運転支援を実施ことで、目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。
上記実施形態の路車間通信システムによれば、次の効果を奏する。
(1)車両が適切な減速をすることで進行信号の現示期間中に交差点に到達できる状況下において、運転操作による実際の減速度合が不足する場合に減速介入によって減速度を補うことができる。このように、推奨走行条件に対して、運転者の嗜好、習慣、癖等の要因により実際の運転結果が沿わない場合に、その不一致を補正するための運転支援を実施ことで、目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。
(2)まず初めに運転者に対して減速指示を報知し、その後で運転者が減速のための運転操作をしている条件下において減速度の不足を検出するように構成したことで、運転者に減速しようとする意思があると確認できるときに限り、減速介入を行うことができる。これにより、運転者の意思に沿った的確な運転支援が実現する。
(3)減速走行の終了後に定速走行制御を実施することで、推奨速度の維持を支援でき、それにより目標とする時期に正確に交差点へ到達することが容易になる。
(4)減速介入や定速走行制御の実施下で走行しているときに、運転者が急な状況変化に対応するために行った規定量以上の操作が検出された場合、運転支援による介入が行われず、運転者の操作を優先することができる。
(4)減速介入や定速走行制御の実施下で走行しているときに、運転者が急な状況変化に対応するために行った規定量以上の操作が検出された場合、運転支援による介入が行われず、運転者の操作を優先することができる。
(5)減速介入や定速走行制御の実施の支障となる先行車両や後続車両を検知した場合、これらの運転支援を不実施とすることで、自車両と他車両とが互いに支障となるのを回避できる。
[実施形態の構成と特許請求の範囲に記載の構成との対応]
上記実施形態の路車間通信システムの各部構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。
上記実施形態の路車間通信システムの各部構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。
車載装置1の無線通信部15及び制御部16が、特許請求の範囲における信号情報取得手段に相当する。また、位置特定部10、外部機器接続部11、及び制御部16が、走行状況情報取得手段に相当する。また、外部機器接続部11、無線通信部15及び制御部16が、周辺車両状況取得手段に相当する。また、表示部12及び音声出力部13が情報提示手段に相当する。また、制御部16が、推奨走行条件決定手段、運転支援制御手段及び実施可否判断手段に相当する。
一方、交通信号機2の無線通信部21及び信号制御部22が、特許請求の範囲における信号情報送信手段に相当する。
1…車載装置、10…位置特定部、11…外部機器接続部、12…表示部、13…音声出力部、14…光ビーコン通信部、15…無線通信部、16…制御部、2…交通信号機、21…無線通信部、22…信号制御部、23…光ビーコン、24…信号表示部、31…加速度センサ、32…車速センサ、33…作動制御部、34…レーダ・カメラ。
Claims (8)
- 自車両の進路前方の交差点に設置された交通信号機の信号現示の予定に関する情報を含む信号情報を取得する信号情報取得手段と、
前記信号情報取得手段により取得した信号情報に基づき、当該交差点における信号の現示パターンに応じた目標時期に合わせてこの交差点に到達できるようにするための推奨走行方法に関する推奨走行条件を決定する推奨走行条件決定手段と、
自車両の所定の走行状況に関する情報を取得する走行状況取得手段と、
前記走行状況取得手段により取得した情報で示される走行状況と、前記推奨走行条件決定手段により決定した推奨走行条件とを比較し、その比較の結果、現在の前記走行状況が前記推奨走行条件に適合しない場合、前記推奨走行条件を満たすように自車両の走行状態を補正する所定の運転支援を実施する運転支援制御手段とを備えること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1に記載の運転支援車載装置において、
前記運転支援は、自車両が現在の速度よりも減速することで前記目標時期に交差点に到達できるように、自車両の減速調整を支援するものであって、
前記推奨走行条件決定手段は、前記推奨走行条件として、前記目標時期に当該交差点に到達するために適当な減速過程を含んだ走行方法の条件を決定し、
前記走行状況取得手段は、自車両の減速度合を示す情報を取得し、
前記運転支援制御手段は、自車両の減速度合と前記推奨走行条件において必要な減速度合とを比較し、その比較の結果、現在の減速度合が前記推奨走行条件において必要な減速度合に対して過不足する場合、自車両の減速度合の過不足を低減するための運転支援を実施すること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1に記載の運転支援車載装置において、
前記運転支援は、自車両が現在の速度よりも加速することで前記目標時期に交差点に到達できるように、自車両の加速調整を支援するものであって、
前記推奨走行条件決定手段は、前記推奨走行条件として、前記目標時期に当該交差点に到達するために適当な加速過程を含んだ走行方法の条件を決定し、
前記走行状況取得手段は、自車両の加速度合を示す情報を取得し、
前記運転支援制御手段は、自車両の加速度合と前記推奨走行条件において必要な加速度合とを比較し、その比較の結果、現在の加速度合が前記推奨走行条件において必要な加速度合に対して過不足する場合、自車両の減速度合の過不足を低減するための運転支援を実施すること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の運転支援車載装置において、
前記運転支援制御手段は、まず、前記推奨走行条件決定手段により決定した推奨走行条件に対応する走行方法を所定の情報提示手段を使って運転者に対して提示し、つぎに、その提示した走行方法に対応した所定の運転操作が行われている状況下において現在の前記走行状況が前記推奨走行条件に適合しないと判断した場合、前記所定の運転支援を実施すること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の運転支援車載装置において、
前記推奨走行条件決定手段は、前記推奨走行条件として、前記目標時期に当該交差点に到達するために適当な推奨速度を含んだ走行方法の条件を決定し、
前記運転支援制御手段は、自車両の速度が前記推奨走行条件における推奨速度に到達した場合、この推奨速度で定速走行をするための速度維持に関する運転支援を実施すること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の運転支援車載装置において、
前記運転支援制御手段は、前記運転支援を実施している最中に前記走行状況取得手段により取得した情報から規定量以上の加速又は減速のための操作を検知した場合、当該実施中の運転支援を中止すること
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の運転支援車載装置において、
さらに、自車両の前方又は後方を走行する他車両に関する周辺車両情報を取得する周辺車両情報取得手段と、
前記周辺車両情報取得手段により取得した周辺車両情報に基づいて、自車両の前方又は後方の所定範囲内に前記運転支援の実施の支障となる他車両が存在するか否かを判断し、その判断の結果、前記運転支援の実施の支障となる他車両が存在すると判断した場合、前記運転支援の不実施を決定する実施可否判断手段とを備え、
前記運転支援制御手段は、前記実施可否判断手段により前記運転支援の不実施が決定された場合、前記運転支援を実施しないこと
を特徴とする運転支援車載装置。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の運転支援車載装置と、
交差点に設置された特定の交通信号機の信号現示の予定に関する情報を含む信号情報を車両に対して送信する信号情報送信手段を備える路側通信装置とを備えること
を特徴とする路車間通信システム。
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