以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
(実施形態1)
図1に示す安全運転支援システム100は、自車の進行方向に存在する信号機の灯色が青の間にサービス対象交差点に極力到達できるように運転支援を行うDSSS(Driving Safety Support Systems)に適用されるものであって、路側機1及び車載装置2を含んでいる。
まず、路側機1の構成について図2を用いて説明する。路側機1は、通信機11及び制御装置12を備え、例えば車両用信号機(以下、信号機)が設けられた交差点や交差点の進入路に設置される。路側機1が設置される交差点を以下では設置交差点と呼ぶ。
通信機11は、公知のアンテナを有して構成されており、道路を走行する車両に搭載された車載装置2との間で路車間通信を行う。この路車間通信には、例えばETC(登録商標)システム等で用いられる狭域通信(DSRC)や、VICS(登録商標)等で用いられる電波ビーコンおよび光ビーコンの技術を用いることができる。他にも、700MHz帯の電波や5.9GHz帯の電波を利用してもよい。
路側機1は、交差点の進入路に設けられてスポット通信を行う光ビーコンや電波ビーコンであってもよいし、交差点に設けられて半径数百m程度の範囲に情報を送信する装置であってもよいが、本実施形態では路側機1は光ビーコンであるものとして以降の説明を行う。
制御装置12は、公知のCPU及び内蔵メモリを有して構成されるコンピュータであり、そのCPUが、内蔵メモリに予め記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現する。具体的には、制御装置12は、交差点情報を、通信機11から逐次送信させる。交差点情報は、例えば100msecごとに送信させるなどすればよい。
交差点情報には、「道路線形情報」やDSSSで用いる周知の「システム情報」、「信号情報」、「信号事象表現情報」、「障害物検知情報」、「障害物検知事象表現情報」等がある。「システム情報」は、路側機1から提供される全サービスに共通の情報であって、提供時刻や提供サービスの内容等の情報である。
「道路線形情報」は、設置交差点を含んだ設置交差点位置周辺の道路の線形的構造を表す情報であって、設置交差点の位置の情報も含んでいる。例えば、「道路線形情報」は、衛星測位システムの測位結果としての設置交差点の中心位置(緯度・経度)や設置交差点の中心位置を基点とした所定の構造変化点までの距離や道路線形の寸法等の情報であるものとする。なお、ここで言うところの所定の構造変化点とは、交差点、行き止まり、カーブ入口や道路形状の変化点等の道路の方向が変化する方向変化点である。
また、「信号情報」は、設置交差点や設置交差点周辺の交差点の信号制御情報であって、信号機の灯色状態、灯色の表示順序、信号1周期のサイクル長、1サイクルで各灯色に与えられる時間の比率、残りの予定秒数等の情報である。
「信号情報」には、設置交差点位置周辺の交差点の信号機の信号制御情報として、設置交差点の信号機との青開始時間のずれであるオフセットを含む構成としてもよい。「信号情報」にオフセットを含む構成とするのは、設置交差点の信号機及び設置交差点位置周辺の交差点の信号機が、例えば系統制御と呼ばれる周知の制御方式で制御が行われている場合に限る構成とすればよい。
「信号事象表現情報」は、設置交差点の停止線位置を表す情報であって、停止線の位置座標や対象交差点からの道程距離であるものとする。「信号事象表現情報」には、設置交差点位置周辺の交差点の停止線位置を表す情報も含む構成としてもよい。以降では、「信号情報」と「信号事象表現情報」とを合わせて信号機情報と呼ぶ。
なお、設置交差点以外の交差点の信号機の信号機情報も、図示しない交通管制センタのサーバから取得して、設置交差点の信号機情報とともに送信する構成としてもよい。
続いて、車載装置2の構成について図3を用いて説明する。車載装置2は、自動車等の車両に固定、或いは、持ち運び可能に搭載されるものであって、車輪速センサ3、ジャイロスコープ4、舵角センサ5、ウインカースイッチ6と電子情報のやり取り可能に接続されている。例えば本実施形態では、車載装置2、車輪速センサ3、ジャイロスコープ4、舵角センサ5は、CAN(controller area network)などの通信プロトコルに準拠した車内LAN7で各々接続されているものとする。
なお、車輪速センサ3、ジャイロスコープ4、舵角センサ5、ウインカースイッチ6が車内LAN7を介して車載装置2に接続される構成に限らず、ジカ線で接続される構成としてもよいのは言うまでもない。
車輪速センサ3は、各転動輪の回転速度から自車の速度を逐次検出するセンサであり、検出した自車速を車内LAN7に出力する。ジャイロスコープ4は、自車の鉛直方向周りの角速度を逐次検出するセンサであり、検出した角速度を車内LAN7に出力する。舵角センサ5は、自車のステアリングの操舵角の情報を逐次検出するセンサであり、検出した操舵角の情報を車内LAN7に出力する。
ウインカースイッチ6は、ドライバによる方向指示器のランプ点灯操作(つまり、ウインカーランプの点灯操作)を検出するためのスイッチであって、左右のウインカーランプの点灯操作をそれぞれ検出するように設けられている。そして、ウインカーランプの点灯操作が行われた場合に、点灯操作が行われたウインカースイッチ6がオン状態であることを示す信号を車内LAN7へ出力する。
車載装置2は、無線通信部21、インターフェース部(I/F部)22、位置特定部23、表示部24、音声出力部25、データベース26、及び制御部27を備えている。
無線通信部21は、公知のアンテナを備え、路側機1から送信される交差点情報を受信する。つまり、路側機1との間で路車間通信を行う。また、無線通信部21は、路側機1から受信した交差点情報を、制御部27に入力する。
本例では、無線通信部21は、光ビーコン受信機であって、交差点手前に配置された光ビーコンとしての路側機1の下を通過した際に、路側機1から運転支援の対象となる交差点(以下、サービス対象交差点)までの距離の情報や現在位置(具体的には路側機1の位置)の情報、交差点情報等を受信する。路側機1の位置は、例えば緯度・経度の座標で表されるものとする。
なお、自車にGPS受信機等の衛星測位システムの受信機を搭載している場合には、現在位置をGPS受信機を用いて測位する構成としてもよい。
I/F部22は、車両に搭載されている車輪速センサ3、ジャイロスコープ4、舵角センサ5、ウインカースイッチ6等の各種センサや各種機器との間で通信を行うためのインターフェースである。
位置特定部23は、車輪速センサ3やジャイロスコープ4、無線通信部21等による検出信号に基づいて自車の現在位置や進行方向を特定し、その特定したデータを制御部27に入力する。
表示部24は、テキストや画像を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等を用いて構成することができる。音声出力部25は、スピーカ等から構成され、制御部27の指示に従って音声を出力する。
データベース26は、路側機1から受信した交差点情報を記憶するための記憶装置であり、フラッシュメモリやハードディスクドライブ等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置が用いられる。データベース26に記憶されている交差点情報は、その交差点情報に該当する信号機を通過する際に実行する運転支援制御に用いられる。
制御部27は、主にマイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。なお、制御部27が請求項の運転者支援装置に相当する。制御部27は、ROM等に記憶されたプログラムに従って、自車の進行方向に存在する信号機の灯色が青の間にサービス対象交差点に極力到達できるようにする運転支援(以下、グリーンウェーブ走行支援)に関する処理を実行する。よって、制御部27が請求項の支援手段に相当する。
以降では、自車からサービス対象交差点の所定位置までの距離を交差点距離と呼ぶ。なお、サービス対象交差点の所定位置とは、サービス対象交差点の中心位置であってもよいし、サービス対象交差点の自車進入側の停止線位置であってもよい。本実施形態では、サービス対象交差点の所定位置をサービス対象交差点の自車進入側の停止線位置とした場合を例に挙げて説明を行う。
グリーンウェーブ走行支援の一例について、図1を用いて説明を行う。図1のHVが自車を示しており、S1及びS2がサービス対象交差点の信号機を示している。以下では、S1の信号機が設置された交差点をS1交差点、S2の信号機が設置された交差点をS2交差点と呼ぶ。また、S1交差点が自車進路上の直近の交差点であって、S2交差点が自車進路上の2番目の交差点であるものとする。
グリーンウェーブ走行支援では、車載装置2を搭載した自車がS1交差点に進入しようとする際に、自車が光ビーコンとしての路側機1からS1交差点及びS2交差点についての信号機情報を受信し、S1交差点及びS2交差点を極力停車せずに通過できるように適切な目標速度を報知する処理を行う。
具体的には、現在の自車速でS1交差点やS2交差点に到達すると信号機の灯色が赤の状態となる場合には、表示部24を用いて自車の加速や減速を促し、灯色が青の状態のときにS1交差点やS2交差点に到達できるようにする。また、S1交差点及びS2交差点のいずれについても灯色が青の状態で通過できる速度があればその速度で走行できるよう促す。図1の例では、S1交差点及びS2交差点の2つの交差点について説明を行ったが、3つ以上の交差点について同様にグリーンウェーブ走行支援を行う構成としてもよい。
続いて、図4のフローチャートを用いて、安全運転支援システム100の制御部27でのグリーンウェーブ走行支援に関する処理についての説明を行う。図4のフローは、自車が基点位置に達した場合に開始され、その後、所定の周期で(例えば100〜500ms毎に)繰り返し実行される処理であるものとする。
例えば、光ビーコンとしての路側機1の下を通過したことを検知した際に、基点位置に達したと判定する構成とすればよい。光ビーコンとしての路側機1の下を通過したことの検知は、無線通信部21で路側機1から情報を受信した場合に行う構成とすればよい。また、自車にGPS受信機等の衛星測位システムの受信機を搭載している場合には、所定の測位位置の座標に達した際に、基点位置に達したと判定する構成としてもよい。他にも、支援開始を指示するための図示しない操作スイッチ群へのユーザからの操作入力が行われた際に、基点位置に達したと判定する構成としてもよい。
なお、図4のフローは、支援対象となる路線上の最後の交差点の入口側の停止線位置に達した場合や当該交差点の出口側の停止線位置を越えた場合に終了する構成としてもよいし、支援対象となる路線を途中逸脱した場合に終了する構成としてもよい。上記途中逸脱については、自車の現在位置から「道路線形情報」により決定される道路線形までの垂直距離と閾値とを用いて行う構成とすればよい。
まず、ステップS1では、基点交差点間距離決定処理を行う。基点交差点間距離決定処理では、基点位置からサービス対象交差点までの距離(以下、基点交差点間距離)を決定する。例えば、光ビーコンからサービス対象交差点までの距離の情報を、光ビーコンとしての路側機1から無線通信部21を介して取得できる場合には、取得した当該距離をこの光ビーコンからサービス対象交差点までの基点交差点間距離とする構成とすればよい。
他にも、路側機1から取得した交差点情報のうちの「道路線形情報」や「信号事象表現情報」に含まれる交差点中心の位置や停止線位置と、路側機1から取得した光ビーコンとしての路側機1の位置との直線距離を算出し、算出した距離を基点交差点間距離とする構成としてもよい。
また、路側機1が光ビーコンでなく、例えば半径数百mの範囲に情報を送信する装置である構成とした場合には、路側機1から取得した交差点情報のうちの「道路線形情報」や「信号事象表現情報」に含まれる交差点中心の位置や停止線位置と、衛星測位システムによって測位した基点位置との直線距離を算出し、算出した距離を基点交差点間距離とする構成とすればよい。
他にも、光ビーコンからサービス対象交差点までの距離の情報を、光ビーコンとしての路側機1から無線通信部21を介して取得し、基点交差点間距離を車載装置2で算出する一方、「信号事象表現情報」は、光ビーコン以外の路側機1(例えば半径数百mの範囲に情報を送信する装置)から車載装置2が逐次取得する構成としてもよい。
よって、基点交差点間距離が請求項の固定距離に相当し、光ビーコンからサービス対象交差点までの距離の情報、交差点情報のうちの「道路線形情報」や「信号事象表現情報」が請求項の固定距離決定用情報に相当する。また、制御部27が請求項の路側情報取得手段に相当し、ステップS1の処理が請求項の固定距離決定手段に相当する。
基点交差点間距離は、サービス対象交差点が支援対象とする路線に複数存在する場合には、各サービス対象交差点について算出する構成とする。例えば、サービス対象交差点が前述のS1交差点及びS2交差点であった場合には、S1交差点及びS2交差点について算出する。
ステップS2では、走行距離積算処理を開始し、ステップS3に移る。走行距離積算処理では、自車の走行距離を、車輪速センサ3から逐次得られる自車速と走行時間とを用いて逐次算出して積算していくことで、基点位置からの自車の走行距離を算出する。よって、このステップS2の処理が請求項の走行距離算出手段に相当する。走行時間については、図示しない計時手段によってカウントする構成とすればよい。
ステップS3では、変数nを1に設定し、ステップS4に移る。ここで、変数nは、自車の進行方向側における何番目に近い交差点(信号機が配置されたものに限る)であるかを示す。つまり、n=1の交差点は、自車の進行方向側における直近の交差点を示す。
ステップS4では、n番目の交差点についての信号機情報の有無を判定する。一例としては、交差点情報としてn番目の交差点についての信号機情報がデータベース26に記憶されている場合に信号機情報ありと判定し、記憶されていない場合に信号機情報なしと判定する。そして、信号機情報ありと判定した場合(ステップS4でYES)には、ステップS5に移る。一方、信号機情報なしと判定した場合(ステップS4でNO)には、フローを終了する。
ステップS5では、交差点距離算出処理を行って、ステップS6に移る。交差点距離算出処理では、基点交差点間距離決定処理で決定したn番目の交差点についての基点交差点間距離から、基点位置からの自車の走行距離を差し引くことで、n番目の交差点までの交差点距離を算出する。よって、このステップS5の処理が請求項の交差点距離算出手段に相当する。
ステップS6では、交差点到達時間算出処理を行って、ステップS7に移る。交差点到達時間算出処理では、予め設定された自車の上限速度Vmaxでn番目の交差点に到達するまでの到達時間tnmaxと、予め設定された自車の下限速度Vminでn番目の交差点に到達するまでの到達時間tnminとを算出する。よって、このステップS6の処理が請求項の到達残り時間算出手段に相当する。
t
nmaxは、以下の式1で算出することができ、t
nminは、以下の式2で算出することができる。式1及び式2のd
nはn番目の交差点までの交差点距離であり、n=1の場合はd
1となる。
ここで、上限速度Vmaxには、自車が走行する道路の制限速度を設定し、下限速度Vminには、交通流を妨げない程度の速度(例えば30km/h)を制御部27が予め設定する構成とすればよい。なお、先行車が存在する場合に、先行車の速度と自車が走行する道路の制限速度とのうちの遅い方の速度を上限速度Vmaxに設定する構成としてもよい。
自車が走行する道路の制限速度は、交差点情報とともに路側機1から取得できる場合には、路側機1から取得する構成とすればよいし、道路の制限速度も含む地図データを車載ナビゲーション装置等から取得できる場合には、車載ナビゲーション装置等から取得する構成とすればよい。
先行車の速度については、公知の車車間通信によって先行車の速度を先行車から取得できる場合には、先行車から取得する構成とすればよいし、自車に設けたレーダ等によって先行車の相対速度が検出できる場合には、レーダ等で検出した先行車の相対速度と自車速とから算出することで取得する構成とすればよい。
ステップS7では、灯色時間算出処理を行って、ステップS8に移る。灯色時間算出処理では、路側機1から受信してデータベース26に記憶されているn番目の交差点についての信号機情報を読み出し、この信号機情報のうちの「信号情報」と、この「信号情報」を受信してからの経過時間とから青の灯色時間を算出する。よって、制御部27が請求項の信号機情報取得手段に相当し、このステップS7が灯色時間算出手段に相当する。
青の灯色時間は、n番目の交差点で信号機が青になる時間(以下、tGnstart)から、n番目の交差点で信号機の青が終了する時間(以下、tGnend)までの時間とする。tGnstartは、n=1の場合はtG1startとなり、tGnendは、n=1の場合はtG1endとなる。
なお、ここで言うところの青の灯色時間には、信号機がいわゆる青信号の状態にある時間に限らず、信号機の赤の灯色と直進を示す青の矢印とが点灯している状態にある時間も含む構成としてもよい。
また、「信号情報」が前述のオフセットである場合には、この「信号情報」を受信してからの経過時間と、基準となる交差点の青の灯色時間と、オフセットとからn番目の交差点の青の灯色時間を算出する構成とすればよい。
ステップS8では、進路変更推定処理を行って、ステップS9に移る。このステップS8の処理が請求項の進路変更推定手段に相当する。進路変更推定処理では、自車の運転操作状況から自車の進路変更を推定する。
一例としては、自車のステアリングの正位置を基準とした自車の操舵角の絶対値が閾値以上となったことに加え、ウインカースイッチ6がオンになっている場合に、自車の進路変更を推定する構成とすればよい。
ここで言うところの閾値は、任意に設定可能な値であって、例えば進路変更時にステアリングを正位置から左右いずれかに操舵する際に取り得る最低限の操舵角程度の値を設定すればよい。操舵角は、正位置から左方向の操舵角が正の値、右方向の操舵角が負の値をとるものとする。また、制御部27は、操舵角の閾値判定については舵角センサ5から取得した値を用いて行い、ウインカースイッチ6のオンオフ判定についてはウインカースイッチ6から取得した信号を用いて行う。
これによれば、自車の操舵角の絶対値が閾値以上となったことに加え、ウインカースイッチ6がオンになっていることも条件とすることで、どちらか一方のみを条件とする場合に比べて、進路変更の推定の精度を高めることができる。
例えば進路変更推定処理では、所定の周期で繰り返し実行される本フローの前回の処理が終わってから、今回の進路変更推定処理が開始されるまでの間の自車の運転操作状況から自車の進路変更を推定する構成とすればよい。
また、進路変更推定処理では、自車のステアリングの正位置を基準とした自車の操舵角の絶対値が閾値以上となったと判定したことのみをもって、進路変更を推定する構成(以下、変形例1)としてもよい。他にも、ウインカースイッチ6がオンになったと判定したことのみをもって、進路変更を推定する構成(以下、変形例2)としてもよい。
ステップS9では、進路変更推定処理で進路変更ありと推定した場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に移る。一方、進路変更ありと推定しなかった場合(ステップS9でNO)には、ステップS11に移る。
ステップS10では、時間補正処理を行って、ステップS11に移る。時間補正処理では、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を減算する補正を行う。例えば、tGnstartはそのままとして、tGnendを減算することで青の灯色時間を減算する構成とすればよい。
時間補正処理では、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を減算するのではなく、交差点到達時間算出処理で算出した到達時間に加算する補正を行う構成としてもよい。例えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminのいずれにも加算することで補正を行う構成としてもよいし、到達時間tnmaxのみに加算することで補正を行う構成としてもよい。このステップS10の処理が請求項の第1補正手段に相当する。
また、灯色残り時間算出処理で算出した青の灯色時間から減算する補正量と、交差点到達時間算出処理で算出した到達時間に加算する補正量は同一とすればよい。例えば、補正量は、0.5秒などの予め定めた固定値とする構成とすればよい。
ステップS11では、到達時間tnmaxから到達時間tnminまでの時間の少なくとも一部がn番目の交差点の青の灯色時間の範囲内に含まれているか否かを判定する。一例としては、tnmax<tGnend、及びtnmin>tGnstartの関係を満たすか否かを判定する。ここでのtGnend、tnmax、tnminの値は、時間補正処理で補正が行われた場合には、補正後の値を用いるものとする。
そして、上記関係を満たすと判定した場合(ステップS11でYES)には、自車がn番目の交差点を停車することなく通過可能である(つまり、交差点に到達時の灯色が青である)と推定し、ステップS12に移る。
一方、上記関係を満たさないと判定した場合(ステップS11でNO)には、自車がn番目の交差点を停車することなく通過することは不可能である(つまり、交差点に到達時の灯色が青でない)と推定し、フローを終了する。この場合、前述したように、表示部24や音声出力部25を用いて、n番目の交差点の停止線位置での停車を促す構成とすればよい。
ステップS12では、目標速度算出処理を行って、ステップS13に移る。目標速度算出処理では、まず、n=1の場合には、以下の式3、式4によって、目標速度V
1max、V
1minを算出する。そして、算出したV
1maxを複数のサービス対象交差点の共通の目標速度上限値V
ajustmaxの初期値、算出したV
1minを複数のサービス対象交差点の共通の目標速度下限値V
ajustminの初期値とする。
なお、式3については、カンマ「,」で区切られた前の項と後の項とのうちの小さいほうの値をV1maxとして採用することを意味し、式4ついては、カンマ「,」で区切られた前の項と後の項とのうちの大きいほうの値をV1minとして採用することを意味する。
次に、n=2以降の場合には、以下の式5、式6によって、目標速度V
nmax、V
nminを算出する。
ここで、式5、式6は、自車がn番目の交差点のみを通過する場合の目標速度であるから、ステップS13では、算出した目標速度が(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内か否かを判定する。一例としては、Vnmax<Vajustmax、及びVnmin>Vajustminの関係を満たすか否かを判定する。この関係が満たされなければn番目の交差点を一定の速度で走行して通過できないことを意味する。
そして、上記関係を満たすと判定した場合(ステップS13でYES)には、一定速度でn番目までの交差点の通過が可能である(つまり、(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内)であるものとして、ステップS14に移る。一方、上記関係を満たさないと判定した場合(ステップS13でNO)には、S210の処理にて、(n−1)番目に設定した目標速度の範囲内でなければ、一定速度でn番目までの交差点の通過は不可能であるものとして、フローを終了する。
ステップS14では、以下の式7、式8によってV
ajustmax及びV
ajustminを選択する。そして、過去に演算された目標速度を今回の処理で選択した目標速度で上書きして更新し、ステップS15に移る。
ステップS15では、変数nをインクリメントして、ステップS4のフローに戻り、(n+1)番目の交差点に対してステップS4以降の処理を繰り返す。
なお、図4のフローの処理が終了するたびに前回の処理において算出された目標速度が破棄されるものとする。従って、今回の処理において新たな目標速度が算出されれば、その目標速度が保持され、今回の処理において新たな目標速度が算出されなければ、目標速度が存在しない状態となる。
図5(a)や図6(a)に示すように、自車が車線変更したり障害物を回避したりして進路変更した場合には、サービス対象交差点に近付いていっていないのにも関わらず基点位置からの積算走行距離は増加し、固定距離である基点交差点間距離と積算走行距離とをもとに算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなってしまう。
算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなってしまうと、上限速度Vmax及び下限速度Vminと算出された交差点距離dnとから算出される到達時間tnmax及び到達時間tnminも、実際よりも小さく算出されてしまう。
そして、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出されると、サービス対象交差点の青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できないのにも関わらず、到達できるものとして運転支援が行われてしまう。
これに対して、実施形態1の構成では、自車が進路変更したと推定した場合には、時間補正処理によって、到達時間tnmax及び到達時間tnminのうちの少なくとも到達時間tnmaxに固定値を加算する補正、若しくは青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を固定値だけ減算する補正を行う。この補正は、進路変更が行われるごとに行われるので、進路変更の回数が多いほど、補正量は増加していく。
到達時間tnmaxや到達時間tnminに固定値を加算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、そのずれを抑えるように補正することができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
また、青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を固定値だけ減算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、青の灯色時間内のうちの自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できない時間範囲を、到達できる時間範囲に含めてしまうずれを抑えることができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
本実施形態では、時間補正処理での補正量を固定値とする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車輪速センサ3から得られた自車速が増加するのに応じて補正量を小さく設定する構成(以下、変形例3)としてもよい。
変形例3の一例としては、所定の周期で繰り返し実行される本フローの前回の処理が終わってから、今回の進路変更推定処理が開始されるまでの間の自車速の平均値が大きくなるほど、少ない補正量を設定する構成とすればよい。例えば、自車速の平均値が40km/hだった場合に補正量を0.5秒とし、自車速の平均値が60km/hだった場合に補正量を0.3秒とするなどとすればよい。
算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなってしまう場合であっても、自車速が大きいほど、算出される到達時間tnmax及び到達時間tnminの実際の値とのずれは小さくなる。変形例3の構成によれば、自車速が増加するのに応じて補正量を小さく設定するので、算出される到達時間tnmax及び到達時間tnminの実際の値とのずれに応じた分だけ補正を行うことが可能になる。よって、予め定めた固定値分だけ補正を行う構成に比べ、精度よく補正を行うことができる。
他にも、自車の操舵角と自車速と走行時間(つまり、経過時間)とから、道なりに直進した場合の走行距離と実際の走行距離との差分を算出し、その差分に相当する距離の走行に要する時間を補正量とする構成(以下、変形例4)としてもよい。上記差分に相当する距離の走行に要する時間は、前述の自車速の平均値と上記差分とから算出する構成とすればよい。上記差分の算出例を詳しく説明すると以下の通りである。
まず、自車の操舵角と自車速と経過時間とから、直進で進んだ場合の自車の走行距離(l1とする)と、進路変更して進んだ場合の自車の走行距離(l2)との差分を算出する。具体的には、ステアリングの切り始め(このときの操舵角をθ1とする)から、ステアリングの切り戻し開始(このときの操舵角をθ2とする)までの時間に実際に走行した距離を走行距離l2として算出する。
操舵角θ1は、自車の操舵角が上述の閾値判定における閾値に到達したときの値を用いる構成とすればよく、操舵角θ2は、自車の操舵角の変化をもとに決定する構成とすればよい(図5(a)〜図6(b)参照)。なお、図5(a)及び図6(a)のHVが自車、図6(a)のOVが駐車車両とする。また、図5(b)は図5(a)に示す場合の操舵角の変化を示す図であり、図6(b)は図6(a)に示す場合の操舵角の変化を示す図である。
続いて、走行距離l2に相当する線分を直角三角形の斜辺とし、操舵角θ2から操舵角θ1を差し引いた角度の絶対値(|θ2−θ1|)を、走行距離l1に相当する線分と走行距離l2に相当する線分とで挟まれた鋭角とし、三角関数を用いて走行距離l1を算出する(図7参照)。そして、算出した走行距離l1と走行距離l2との差分を算出する。
変形例4の構成によれば、直進で進んだ場合の自車の走行距離と、進路変更して進んだ場合の自車の走行距離との差分を算出し、その差分に相当する距離の走行時間分だけ補正を行うので、予め定めた固定値分だけ補正を行う構成に比べ、精度よく補正を行うことができる。
時間補正処理としては、他にも、自車のウインカースイッチ6がオンになったと判定した時点からのウインカースイッチ6がオンになっている継続時間が増加するのに応じて、補正量を増加させる構成(変形例5)としてもよい。
また、自車のウインカースイッチ6がオンになったと判定した時点からのウインカースイッチ6がオンになっている継続時間から制御部27が車線変更数を推定し、推定した車線変更数が増加するのに応じて、補正量を増加させる構成(変形例6)としてもよい。よって、制御部27が請求項の車線変更数推定手段に相当する。
車線変更数については、例えば、継続時間が第1の所定時間未満の場合に0車線、第1の所定時間以上且つ第2の所定時間未満の場合に1車線、第2の所定時間以上且つ第3の所定時間未満の場合に2車線、第3の所定時間以上の場合に3車線と推定する構成とすればよい。第1の所定時間、第2の所定時間、第3の所定時間は、ウインカースイッチ6をオンにしてから1車線、2車線、3車線のそれぞれの車線変更に要する時間を実験やシミュレーション等によって求めて設定する構成とすればよい。
また、無線通信部21を介して取得した「道路線形情報」から走行中の道路の車線数が決定できる場合には、決定した車線数に応じた処理を行う構成としてもよい。例えば、車線数が1の場合には、車線変更数を推定する処理を行わない構成としたり、車線数が2の場合には、第2の所定時間以上であれば2車線と推定する構成としたりすればよい。
変形例5及び変形例6の構成によれば、自車の操舵角の情報を用いなくても、ウインカースイッチ6がオンになっている継続時間から、直進で進んだ場合の自車の走行距離と、進路変更して進んだ場合の自車の走行距離との差分に大まかに相当する距離を推定して、この距離の走行時間分だけ補正を行うことが可能になる。よって、予め定めた固定値分だけ補正を行う構成に比べ、精度よく補正を行うことができる。
さらに、前述の時間補正処理に加え、自車の操舵角の単位時間あたりの変化率が閾値以上であった場合に、制御部27で急ハンドルと判定し、補正量をさらに増加させる構成(以下、変形例7)としてもよい。よって、制御部27が請求項の急ハンドル判定手段に相当する。
これは、急ハンドル時には、車両のぶれによってオーバーシュートが生じて、直進で進んだ場合の自車の走行距離と、進路変更して進んだ場合の自車の走行距離との差分がさらに大きくなる可能性があるためである。ここで言うところの閾値とは、任意に設定可能な値であって、急ハンドル時の操舵角の単位時間あたりの変化率を考慮して設定されるものとする。
急ハンドルと判定した場合に、積算走行距離をさらに減じて算出する方法としては、走行距離補正処理で積算走行距離から減算する距離に所定の係数を掛けて、減算する距離を多めにする構成とすればよい。他にも、前述の走行距離l2に所定の係数を掛けて、減算する距離を多めにする構成としてもよいし、前述の走行距離l2から前述の走行距離l1を差し引いた差分に所定の係数を掛けて、減算する距離を多めにする構成としてもよい。
ここで言うところの係数は、任意に設定可能な値であって、急ハンドル時の車両のぶれによる余分な走行距離を考慮して設定する構成とすればよい。変形例7の構成によれば、急ハンドル時の車両のぶれによる余分な走行距離も考慮して補正することが可能になるので、さらに精度良く補正を行うことができる。
また、自車速が大きいほど、急ハンドル時の車両のぶれは大きくなるため、急ハンドルと判定した場合に、自車速が大きいほど上述の係数を大きくして、補正量をさらに増加させる構成(以下、変形例8)としてもよい。自車速については、車輪速センサ3から取得する構成とすればよい。変形例8の構成によれば、急ハンドル時の車両のぶれ及び自車速に応じた余分な走行距離も考慮して補正することが可能になるので、さらに精度良く補正を行うことができる。
他にも、自車のステアリングの切り始めから切り戻しまでの時間が、所定の数値範囲を超えて短い場合若しくは長い場合に、補正量をさらに増加させる構成(変形例9)としてもよい。これは、ステアリングの切り始めから切り戻しまでの時間が長すぎる場合には、斜めに進んだ距離が長くなり、直進で進んだ場合の自車の走行距離と、進路変更して進んだ場合の自車の走行距離との差分がより大きくなるためである。ステアリングの切り始めから切り戻しまでの時間が短い急ハンドル時については、前述した通りである。
自車のステアリングの切り始めから切り戻しまでの時間は、前述の操舵角θ1と操舵角θ2を利用して制御部27で算出する構成とすればよい。よって、制御部27が請求項の操舵時間算出手段に相当する。また、ここで言うところの所定の数値範囲は、任意に設定可能な値である。変形例9の構成によれば、自車のステアリングの切り始めから切り戻しまでの時間が短すぎたり長すぎたりした場合の余分な走行距離も考慮して補正することが可能になるので、さらに精度良く補正を行うことができる。
また、自車の加速度が所定値以上となる回数が増加するほど、補正量をさらに増加させる構成(変形例10)としてもよい。これは、一定速度で走行するよりも、頻繁に加速を繰り返した場合の方が、同一距離をより早く走行すると考えられるためである。自車の加速度は、車輪速センサ3で得られる車速を微分することで求める構成としてもよいし、図示しない加速度センサから得る構成としてもよい。
なお、変形例3と変形例5〜10とを組み合わせる場合には、自車速の大きさに応じて補正量をまず仮に設定し、この仮に設定した補正量に加算していく構成とすればよい。
(実施形態2)
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態2も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この実施形態2について図8を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態2の安全運転支援システム100は、車載装置2の制御部27でのグリーンウェーブ走行支援に関する処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の安全運転支援システム100と同様である。より詳しくは、実施形態2の安全運転支援システム100は、自車の進路変更を推定した場合に補正を行う代わりに、基点位置からの走行距離が長くなるのに応じて補正を行う点が実施形態1の安全運転支援システム100と異なっている。
ここで、図8のフローチャートを用いて、実施形態2の車載装置2の制御部27でのグリーンウェーブ走行支援に関する処理の説明を行う。フローの開始及び終了の条件は実施形態1と同様である。
まず、ステップS101〜ステップS107の処理は、前述のステップS1〜ステップS7の処理と同様である。よって、ステップS101が請求項の固定距離決定手段、ステップS102が請求項の走行距離算出手段、ステップS105が請求項の交差点距離算出手段、ステップS106が請求項の到達残り時間算出手段、ステップS107が請求項の点灯時間算出手段に相当する。
ステップS107に続くステップS108では、時間補正処理を行ってステップS109に移る。ステップS108の時間補正処理では、積算走行距離に応じて補正量を決定し、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を上記補正量だけ減算する補正を行う。例えば、tGnstartはそのままとして、tGnendを減算することで青の灯色時間を減算する構成とすればよい。
時間補正処理では、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を減算するのではなく、交差点到達時間算出処理で算出した到達時間に上記補正量だけ加算する補正を行う構成としてもよい。例えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminのいずれにも加算することで補正を行う構成としてもよいし、到達時間tnmaxのみに加算することで補正を行う構成としてもよい。このステップS108の処理が請求項の第2補正手段に相当する。
積算走行距離に応じた補正量の決定方法としては、例えば一定の走行距離ごとに所定の固定値を補正量として決定する構成とすればよい。例えば100mごとに0.5秒とするなどすればよい。他にも、一定の走行距離ごとに係数を掛けて推定した余分な走行距離と、上記一定の走行距離における自車速の平均値とから、余分な走行距離の走行に要する時間を算出し、算出した時間を補正量として決定する構成としてもよい。例えば係数は、100mに対して0.1などとすればよい。
ステップS109〜ステップS113の処理は、前述のステップS11〜ステップS15の処理と同様である。
基点位置からの自車の積算走行距離が長くなるほど、進路変更や蛇行や走行距離の算出誤差により、固定距離である基点交差点間距離と積算走行距離とをもとに算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなっていく確率及び量が増していってしまう。算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなってしまうと、前述したように、上限速度Vmax及び下限速度Vminと算出された交差点距離dnとから算出される到達時間tnmax及び到達時間tnminも、実際よりも小さく算出されてしまう。
そして、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出されることで、サービス対象交差点の青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できないのにも関わらず、到達できるものとして運転支援が行われてしまう。
これに対して、実施形態2の構成では、積算走行距離が長くなるのに応じて、時間補正処理によって、到達時間tnmax及び到達時間tnminのうちの少なくとも到達時間tnmaxに、積算走行距離に応じた値を加算する補正、若しくは青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を積算走行距離に応じた値だけ減算する補正を行う。
到達時間tnmaxや到達時間tnminに積算走行距離が長くなるのに応じた大きさの値を加算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、そのずれを抑えるように補正することができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
また、青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を積算走行距離が長くなるのに応じた大きさの値だけ減算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、青の灯色時間内のうちの自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できない時間範囲を、到達できる時間範囲に含めてしまうずれを抑えることができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
実施形態2では、積算走行距離が長くなるのに応じた大きさの値だけ補正する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、積算走行距離をもとに推定する基点位置からの通過交差点数が増加するのに応じた大きさの値だけ補正する構成(以下、変形例11)としてもよい。
変形例11の一例としては、交差点情報のうちの「道路線形情報」と基点位置の座標とをもとに、支援対象となる路線上の各交差点までの距離を制御部27で算出する。続いて、算出した各交差点までの距離と積算走行距離とをもとに、基点位置からの通過交差点数を推定する。例えば、積算走行距離よりも基点位置からの距離が短い交差点の数をカウントすることで通過交差点数を推定する。そして、通過交差点数が増加するのに応じて補正量を決定し、時間補正処理で補正を行う。よって、制御部27が請求項の通過数推定手段に相当する。
変形例11における補正量は、通過交差点数が増加するほど大きい値を設定するものとする。例えば、通過交差点数が増加するごとに所定の固定値を補正量として決定する構成とすればよい。通過交差点数1箇所ごとに1秒とするなどすればよい。
また、通過交差点の大きさに応じて補正量を決定する構成としてもよい。例えば、「道路線形情報」から得られる交差点の車線数、方路数、専用レーンの有無、高架下か否か等の情報をもとに、交差点の大きさを大、中、小などの複数段階に分類し、交差点の大きさが大きいものほど補正量を大きくする構成とすればよい。
これによれば、「道路線形情報」からは、交差点間の距離として、各交差点中心間を結んだ距離でなく、各交差点の停止線位置間を結んだ距離しか求められず、交差点内の直進距離が交差点の大きさに関わらず一律に算出される場合にも、通過交差点の大きさに応じた補正を行うことが可能になる。
他にも、「道路線形情報」から交差点の種別が歩行者専用の交差点か否かを制御部27で判別できる場合には、通過交差点数から歩行者専用の交差点を除外する構成としてもよい。歩行者専用の交差点としては、例えば歩行者専用信号機しかない交差点が挙げられる。
なお、実施形態2や変形例11の構成に、前述の変形例7や変形例8や変形例9や変形例10を組み合わせる構成としてもよい。
(実施形態3)
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態3も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この実施形態3について図9を用いて説明を行う。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施形態3の安全運転支援システム100は、車載装置2の制御部27でのグリーンウェーブ走行支援に関する処理の一部が異なる点を除けば、実施形態1の安全運転支援システム100と同様である。より詳しくは、実施形態3の安全運転支援システム100は、自車の進路変更を推定した場合に補正を行う代わりに、カーブ路の走行を推定した場合に補正を行う点が実施形態1の安全運転支援システム100と異なっている。
ここで、図9のフローチャートを用いて、実施形態3の車載装置2の制御部27でのグリーンウェーブ走行支援に関する処理の説明を行う。フローの開始及び終了の条件は実施形態1と同様である。
まず、ステップS201〜ステップS207の処理は、前述のステップS1〜ステップS7の処理と同様である。ステップS207に続くステップS208では、カーブ推定処理を行って、ステップS209に移る。
カーブ推定処理では、例えば交差点情報のうちの「道路線形情報」からカーブ路の存在を推定する。例えば、「道路線形情報」のうちの道路形状の変化点(以下、形状点)の座標をもとに推定する構成とすればよい。具体例としては、形状点を順番に直線で結んだ場合の各直線の傾きの変化が、所定の閾値以上となってから閾値未満となるまでの区間をカーブ路と推定する構成とすればよい。
例えばカーブ路推定処理では、所定の周期で繰り返し実行される本フローの前回の処理が終わってから、今回の進路変更推定処理が開始されるまでの間に走行したと積算走行距離から推定される区間の形状点からカーブ路の存在を推定する構成とすればよい。他にも、カーブ路推定処理を、隣接するサービス対象交差点間の区間につき1度だけ行い、積算走行距離から次の区間に移ったと判断するまでは再度の実施をしない構成としてもよい。
また、カーブ路推定処理では、例えば舵角センサ5から得られる自車の操舵角をもとに、カーブ路の存在を推定する構成としてもよい。例えば、自車の操舵角が所定の閾値以上となる状態が一定時間以上継続した後、操舵角が所定の閾値未満となった場合にカーブ路の存在を推定する構成としてもよい。
ステップS209では、カーブ推定処理でカーブ路ありと推定した場合(ステップS209でYES)には、ステップS210に移る。一方、カーブ路ありと推定しなかった場合(ステップS209でNO)には、ステップS211に移る。
ステップS210では、時間補正処理を行って、ステップS211に移る。ステップS210の時間補正処理では、補正量を決定し、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を上記補正量だけ減算する補正を行う。例えば、tGnstartはそのままとして、tGnendを減算することで青の灯色時間を減算する構成とすればよい。
時間補正処理では、灯色時間算出処理で算出した青の灯色時間を減算するのではなく、交差点到達時間算出処理で算出した到達時間に上記補正量だけ加算する補正を行う構成としてもよい。例えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminのいずれにも加算することで補正を行う構成としてもよいし、到達時間tnmaxのみに加算することで補正を行う構成としてもよい。
補正量の決定方法としては、例えばカーブ路ありと推定した場合に所定の固定値を補正量として決定する構成としてもよいし、推定したカーブ路の数が増加するのに応じて補正量を大きく決定する構成としてもよい。また、推定したカーブ路の大きさが大きいほど大きい補正量を決定する構成としてもよい。ここで言うところのカーブ路の大きさは、例えば推定したカーブ路内の形状点を結んだ距離であるものとする。
他にも、推定したカーブ路内を実際に走行した走行距離と、そのカーブ路の形状点を結んだ各直線の距離の総和との差分に応じて、補正量を決定する構成としてもよい。
例えば、自車の操舵角が所定の閾値以上となる状態が一定時間以上継続した後、操舵角が所定の閾値未満となった場合にカーブ路の存在を推定する構成においては、以下のようにして補正量を決定する構成としてもよい。
推定したカーブ路内を実際に走行した走行距離(以下、カーブ内実走行距離)は、自車の操舵角が所定の閾値以上となる状態が一定時間以上継続してから操舵角が所定の閾値未満となるまでの走行距離を自車速及び走行時間から算出することで求める。また、推定したカーブ路の形状点を結んだ各直線の距離の総和(以下、カーブ内形状点間距離)は、各形状点の座標をもとに各形状点を結ぶ直線の距離を算出して求める。
そして、算出したカーブ内実走行距離と算出したカーブ内形状点間距離との差分と、推定したカーブ路内での自車速の平均値とから、この差分の距離の走行に要する時間を算出し、算出した時間を補正量として決定する。
カーブ内実走行距離をL、カーブ路の形状点を結んだ各直線をl3、l4、l5とした場合には、上記差分はL−(l3+l4+l5)の式で算出することになる(図10参照)。なお、図10のAが基点位置、B、C、D、E、F、Gが形状点を示しており、形状点CD、E、Fがカーブ路の形状点に該当する。
なお、カーブ内実走行距離は、カーブ路の入口位置の形状点(図10のC参照)の通過を制御部27で判定してから、カーブ路の出口位置の形状点(図10のF参照)の通過を制御部27で判定するまでの走行距離を算出することで求める構成としてもよい。
カーブ路の入口位置の形状点の通過判定は、衛星測位システムによる測位位置の座標が、カーブ路の入口位置の形状点の座標から所定範囲内となったときに行う構成とすればよい。他にも、基点位置の座標からカーブ路の入口位置の形状点の座標までの直線距離に、積算走行距離が達したときに、カーブ路の入口位置の形状点の通過判定を行う構成としてもよい。
また、カーブ路の出口位置の形状点の通過判定は、衛星測位システムによる測位位置の座標が、カーブ路の出口位置の形状点の座標から所定範囲内となったときに行う構成とすればよい。他にも、カーブ路の入口位置の形状点の通過判定を行った後、自車の操舵角が所定の閾値未満となったときに、カーブ路の出口位置の形状点の通過判定を行う構成としてもよい。
ステップS211〜ステップS215の処理は、前述のステップS11〜ステップS15の処理と同様である。
基点交差点間距離が、基点位置とサービス対象交差点の所定値との直線距離であったり、隣接する形状点を結んだ直線の距離の総和であったりすると、基点位置からサービス対象交差点までの間にカーブ路を含む場合に、自車が道なりに走行しとしても基点交差点間距離と実際の走行距離との間にずれが生じる。
よって、固定距離である基点交差点間距離と積算走行距離とをもとに算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短く算出されてしまう。算出される交差点距離dnが実際の交差点距離よりも短くなってしまうと、前述したように、上限速度Vmax及び下限速度Vminと算出された交差点距離dnとから算出される到達時間tnmax及び到達時間tnminも、実際よりも小さく算出されてしまう。
そして、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出されることで、サービス対象交差点の青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できないのにも関わらず、到達できるものとして運転支援が行われてしまう。
これに対して、実施形態3の構成では、カーブ路が存在する場合に、時間補正処理によって、到達時間tnmax及び到達時間tnminのうちの少なくとも到達時間tnmaxに加算する補正、若しくは青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を減算する補正を行う。
到達時間tnmaxや到達時間tnminに加算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、そのずれを抑えるように補正することができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
また、青の灯色時間(tGnstart〜tGnend)を減算する補正を行えば、到達時間tnmax及び到達時間tnminが実際よりも小さく算出された場合でも、青の灯色時間内のうちの自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できない時間範囲を、到達できる時間範囲に含めてしまうずれを抑えることができる。従って、青の灯色時間内に自車がサービス対象交差点の所定位置に到達できるか否かをより精度良く決定することが可能になり、サービス対象交差点に到達した時点の灯色のずれが生じにくくなる。
なお、実施形態3の構成に、前述の変形例7や変形例8や変形例9や変形例10を組み合わせる構成としてもよい。
前述の実施形態では、信号機情報を路側機1から無線通信部21を介して制御部27が取得する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車載装置2のデータベース26等の不揮発性のメモリに、信号機情報を予め格納しておき、このメモリから読み出すことで制御部27が取得する構成としてもよい。
一例としては、サービス対象交差点の座標、サービス対象交差点に配置された信号機の所定時刻での灯色状態(灯色、灯色の残り予定秒数など)、灯色の表示順序、信号1周期のサイクル長、1サイクルで各灯色に与えられる時間の比率の情報を予め格納しておく構成とすればよい。
また、前述の実施形態では、算出した目標速度を報知する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、算出した目標速度となるように図示しないブレーキアクチュエータやスロットルアクチュエータを自動で制御する構成としてもよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。