JP4163274B2 - アリールアミンの調製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に光導電性作像体に用いるのに有用なアリールアミンの調製方法に関し、より特定的には、本発明は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製に関する。実施の形態において、本発明は、アリールアミン等の正孔輸送分子の調製のための改良された方法であって、銅触媒が選択され、実施の形態においては低温で行われる方法に関する。本発明の方法のために選択される触媒は、配位結合された銅塩、より特定的には銅(I)塩を含み、配位子は、1,10−フェナントロリン、ピリジン等の単座第三級アミンおよび二座第三級アミンであることを特徴とする。本発明の方法で得られる、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン等の生成物は、光発生層、電荷輸送層、および支持基板を備えた層状の光導電性作像体に正孔輸送分子として組み込むことができ、例えば米国特許第4,265,990号を参照されたい。上述の層状の光導電性作像体は、光発生層が電荷輸送層と基板との間に配置されるときには負に帯電でき、電荷輸送層が光発生層と支持基板との間に配置されるときには正に帯電できる。層状の光導電性作像体は、特に、負または正に帯電された画像が適切な電荷のトナー組成物で可視像にされるゼログラフィ作像およびプリントプロセスなどの電子写真作像プロセス等を含む既知の作像およびプリントプロセスならびにデジタル処理に用いることができる。一般に、作像体は約500ないし約850ナノメートルの波長帯において敏感であるため、光源としてダイオードレーザーを選択することができる。
【0002】
【従来の技術】
電荷輸送分子の調製方法は、いくつか知られており、例えば、米国特許第4,299,983号、第4,485,260号、第4,240,987号、第4,764,625号、第4,299,983号を参照されたい。上記のおよび他の従来技術は、高温、例えば160℃での3−メチルジフェニルアミンおよびジヨードビフェニルのウルマン縮合を例示しており(第4,764,625号特許を参照されたい)、酸化銅(I)触媒等の銅触媒が選択される。これらの方法では、発生される粗製の電荷輸送分子が、本発明の方法で得られる電荷輸送分子よりも、品質が劣り、純度も低い。粗製の状態での純度が高くなると精製プロトコルの選択の幅もかなり広がる。一般に、高温での反応はやっかいな不純物を生みやすく、大がかりな精製を必要とする。このことは、層状の光導電性ゼログラフィ作像体における電荷輸送分子として用いる場合などの電子グレード純度の高い生成物が要求される場合には特に重要となる。米国特許第4,265,990号を参照されたい。
【0003】
欧州特許公報EP0 617 005 A2は、アリールアミン、特に式(I)のトリアクリルアミンを開示している。このアリールアミンは、3,4−キシリデンをアセチル化し、その後アセチル化された生成物をハロゲン化されたアリール化合物と縮合させて、N−(3,4−ジメチルフェニル)−N−アリールアミンを形成し、次に式Ar2Xのハロゲン化されたアリール化合物とジアリールアミン化合物を縮合させることによって調製することができ、金属銅粉末、硫酸銅、酸化銅(I)、ヨウ化銅、硝酸銅の銅触媒が選択される。この公報ではまた、縮合温度は200℃と高く、反応にはたとえば30時間というかなりの時間がかかり得ることが示唆されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
対照的に、本発明ではその実施の形態において、市販の原料からビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンをかなり緩やかな条件のもとで調製する方法が提供され、この方法においては配位子触媒が選択されるが、この触媒は上記特許公報では例示されていないと思われる。さらに、本発明においては、その実施の形態において、選択された銅配位子触媒によってアミン生成物の合成の反応時間が短縮され、所望の生成物の純度が、たとえば純度95%と高く、この生成物を電子グレード(electronic grade)約99.7%以上にさらに精製することが容易に可能である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、ウルマン縮合反応によって電荷輸送成分を調製し、銅の有機配位子が触媒アジュバントまたは触媒促進剤として選択される方法にある。
【0006】
本発明の別の目的は、アリールアミン、特に、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンを迅速に、高い純度で、かつ優れた収率をもたらすように調製するための経済的にコストを削減できる方法を提供することである。
【0007】
さらに、本発明のさらに別の目的は、以下のような正孔輸送分子の調製方法を提供することであって、すなわち、反応温度が、市販の正孔輸送アリールアミンの調製で現在用いられている約160ないし約220℃を下回る温度であり、より特定的には、本発明の反応は実施の形態においては、たとえば200℃よりも80℃低い温度で、さらに特定的には125℃で達成でき、1,10−フェナントロリンキレート化剤や、塩化銅(I)等の生成物などの新規な触媒が触媒として選択される方法を提供することである。上述のように、温度がより低く、反応条件がより緩やかに、かつ、反応時間がより短くなることによって、方法がより簡単なものとなり、純粋な、すなわち、例えば電子グレードの高い、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンのアリールアミンの調製プロトコルがより効率の良いものとなると考えられる。
【0008】
本発明は、その実施の形態において、アリールアミンの調製方法に関し、より具体的には、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法に関し、上記アミンを層状の光導電性作像体における電荷輸送分子として選択することができる。米国特許第4,764,625号を参照されたい。本発明の実施の形態における方法は、ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン等の適切なアミンとヨードビフェニル、特に4−ヨードビフェニルとを配位結合された銅触媒の存在下で反応させることを含み、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択される。N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン等の適切なアミンは、E.I.DuPont 社等のいくつかの化学系企業から入手できるとともに、既知のゴールドバーグアリール化反応によって調製することもできる。
【0009】
本発明の実施の形態は、例えば、アリールアミンの調製方法を含み、より特定的には、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法を含み、この方法は、ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとジアルキル、好ましくはジメチル、ヨードベンゼンとの反応を含み、この反応は配位結合された銅触媒の存在下で行われ、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択される。好ましくは、このビス(3,4−ジメチルフェニル)アミン反応物は、ジアルキルベンゼン、好ましくは4−ヨード−o−キシレンと、ジアルキル、好ましくは3,4−ジメチルベンゼンアセトアミドとの反応によって調製される。反応は、例えば摂氏約120℃ないし約150℃、好ましくは約120℃ないし約140℃、より好ましくは約125℃の低温で行うことができ、触媒は、1,10−フェナントロレート(phenanthrolato)銅(I)(一価)クロライド、ジピリジノ銅(I)クロライド、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイド、ジピリジノ銅(I)ブロマイド、1,10−フェナントロレート銅(I)クロライド、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイド、またはジピリジノ銅(I)ブロマイドである。選択される触媒は重要であり、実施の形態においては、有機配位子を含む銅を含み、配位子は、ここで示されるような単座第三級アミンと二座第三級アミンからなる群から選択され、より具体的には、(1,10−フェナントロレート)Cu(X)およびビス(ピリジナート(pyridinato))Cu(X)等の銅触媒または化合物であって、ここでXはクロライド(塩化物)等のハロゲン化物である。銅塩の配位結合は、触媒の効率を大幅に向上させ、これによって反応が起こるのが非常に速くなり、一般により低温で、数時間で起こることとなる。
【0010】
本発明の方法のために選択される重要な触媒はここで例示されるようなものであり、実施の形態においては、クロライド、ブロマイド(臭化物)、ヨウ化物、およびフッ化物等のハロゲン化物の塩を含む配位結合された銅塩、特に銅(I)を含み、配位子は、1,10−フェナントロリンまたはピリジン等の単座第三級アミン、または二座第三級アミンである。選択される触媒の量は様々であってもよく、一般的には、触媒はその有効量が用いられ、たとえば、反応物の約1ないし約20モルパーセント、好ましくは制限反応物の約5ないし約12モルパーセントが用いられる。配位子銅触媒に求められる構造式の例は同時係属中の出願に例示されるようなものであり、以下を含む。
【0011】
【化1】
実施の形態においては、触媒は1,10−フェナントロレート銅(I)クロライド、ジピリジノ銅(I)クロライド、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイド、ジピリジノ銅(I)ブロマイド等を含む。
【0012】
触媒はここで例示するように調製することができ、より具体的には、1,10−フェナントロリン等の適切な配位子とハロゲン化物(たとえば塩化銅(I))等の銅塩の反応によって調製することができ、この反応は、たとえば約70℃から約125℃の加熱で達成される。反応混合物は冷却され、生成された触媒は、濾過などによって分離されてもよいと考えられる。好ましくは、触媒は、インシトゥ(in situ)で調製、または生成される。
【0013】
実施の形態において、本発明はアリールアミンの調製方法に関し、より具体的には、配位子銅触媒の存在下でのN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルの反応を含む、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法に関し、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択され、反応は、好ましくは約120℃ないし約150℃の温度で加熱して行われる。ヨードビフェニルは、4−ヨードビフェニルであり、加熱後、冷却して、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン生成物が単離される。ここで、温度は約120℃ないし約140℃であり、至適には約125℃である。配位結合される銅触媒の約0.01ないし約0.1モル当量が選択され、ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンの量は、約0.95ないし約1.1モル当量であり、ヨードビフェニルの量は1モル当量である。ここで、反応は、300ないし400ミリリットルのトルエンまたはキシレン等の不活性炭化水素溶媒の存在下で行われ、触媒は、1,10−フェナントロレート銅(I)(一価)クロライドと、ジピリジノ銅(I)クロライドと、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイドと、ジピリジノ銅(I)ブロマイドと、1,10−フェナントロレート銅(I)クロライドとからなる群から選択される。このように、本発明は、配位子銅触媒の存在下でのN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルの反応を含む、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法であって、配位子が単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択される方法を提供する。
【0014】
本発明の実施の形態は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法に関し、この方法は、配位子銅触媒の存在下でのN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルの反応を含み、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択され、この反応は、約120℃ないし約150℃の温度で行われる。ここで、ヨードビフェニルは4−ヨードビフェニルであり、加熱後、冷却を行って、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン生成物が高い収率かつ優れた純度で単離され、温度は好ましくは約120℃ないし約140℃であり、至適には、温度は約125℃である。約0.01ないし約0.1モル当量の配位結合された銅触媒が選択され、選択されるビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンの量は、約0.95ないし約1.1モル当量であり、選択されるヨードビフェニルの量は、約1モル当量であり、反応は、トルエンまたはキシレンの有機溶媒等の炭化水素溶媒の存在下で行われる。銅は銅(I)であり、配位子は、1,10−フェナントロリンピリジンとピリジンからなる群から選択される。ここで、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンの式は以下の通りである。
【0015】
【化2】
さらに、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン生成物の式は以下の通りである。
【0016】
【化3】
さらに、ヨードビフェニルの式は以下の通りである。
【0017】
【化4】
より好ましくは、温度は約120℃ないし約130℃であり、加熱後、冷却が行われ、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン生成物が単離される。このように、本発明は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法を提供し、この方法は、配位子銅触媒の存在下でのビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンと4−ヨードビフェニルの反応を含み、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択され、反応は有効温度で行われた後、冷却され、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン生成物を単離する。この方法において、温度は約120℃ないし約130℃であり、触媒は、1,10−フェナントロレート銅(I)(一価)クロライドと、ジピリジノ銅(I)クロライドと、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイドと、ジピリジノ銅(I)ブロマイドと、1,10−フェナントロレート銅(I)クロライドとからなる群から選択され、以下の式のいずれかを有する。
【0018】
【化5】
ここで、Xは、クロライド、ブロマイド、ヨウ化物、またはフッ化物等のハロゲン化物、好ましくはクロライドである。このように、本発明は、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法を提供し、この方法は、配位子銅触媒の存在下でのN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルとの反応によるものであり、配位子は、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択される。
【0019】
本発明の一実施形態は、以下のようなN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの合成を含む。機械攪拌子、不活性ガスパージング装置、ディーン・スターク(Dean-Stark)トラップ、および還流冷却器を取り付けた適切な反応フラスコに以下の順に物質を入れる。すなわち、約0.05モルの4−ヨードビフェニルと、約0.45ないし約0.06モル、好ましくは0.55モルのN,N−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)アミンと、約0.001ないし約0.005モル、好ましくは0.0025モルの塩化銅(I)と、約0.001ないし約0.005、好ましくは0.0025モルの1,10−フェナントロリンと、約0.3ないし約0.6モル、好ましくは約0.4モルの薄片状の水酸化カリウムと、約20ミリリットルのトルエン溶媒とを入れる。反応混合物を急速に加熱し、還流させ、クロマトグラフィ分析によって反応が完了したことが明らかになるまで120℃に保つ。共沸蒸留によって、反応水を回収する。典型的には、反応が完了するまでには3ないし4時間を要する。室温まで冷却した後、反応混合物を、約200ミリリットルのトルエンと150ミリリットルの脱イオン水とに分配させる。結果として得られる層を分離し、有機相を水の共沸蒸留によって乾燥させる。その後、トルエン溶液を約10グラムの酸洗浄クレー「Filtrol-24」(登録商標)、約10グラムの「Alcoa CG-20」アルミナで処理し、おおむね脱色する。トルエン溶液を濾過し、溶媒の蒸発、および生成物の再結晶化によって生成物を回収することができる。高性能液体クロマトグラフィ等の分析法によって識別できる生成物は、ここで示すように実施の形態において高い純度、具体的にはHPLC(高性能液体クロマトグラフィ)で約97ないし約99パーセントの純度を示した。
【0020】
本発明の方法で生成される電荷輸送アミンを含有した層状の光応答性(photoresponsive)作像体は、様々な形態で提供することが可能である。実施の形態において、層状の光応答性作像体は、支持基板と、特に本発明の方法で得られるアリールアミン正孔輸送を含む電荷輸送層と、その間に配置される光発生層とを含み、光発生層の例としては、フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(特にタイプV)、チタニルフタロシアニン、ペリレン(特にBZP)、セレン(特に三方晶系セレン)、セレン合金や、他の有効な既知の光発生顔料を含むものなどが挙げられる。さらに、支持基板と、電荷輸送層、特にアリールアミン正孔輸送層と、上層のオーバーコート層としての光発生層とを含む、正に帯電される層状の光応答性または光導電性作像体が開示される。さらに、支持基板と、薄い接着層と、ポリマー樹脂結合剤に分散される光発生層と、ポリマー樹脂結合剤に分散される上層のアリールアミン正孔輸送分子とを含む、負に帯電される光応答性作像体が提供され、上記アリールアミン分子は本発明の方法で得ることができる。
【0021】
作像体のために選択される基板層は、不透明であっても良いし、または実質的に透明であっても良く、必要とされる機械的特性を有していればいかなる適切な材料を含んでも良い。従って、基板は、市販のポリマーである「MYLAR」(登録商標)、チタン含有「MYLAR」等の無機または有機ポリマー材料を含む絶縁材料層、酸化インジウムスズ(ITO)等の半導体表面層またはその上に塗布されたアルミニウムを有する有機または無機材料層、または、アルミニウム、クロム、ニッケル、真鍮等の導電材料層を含んでも良い。
【0022】
一般に、光発生層の厚さは、他の層の厚さや、その層に含まれる光発生材料の量等のいくつかの要因に依存する。従って、この層は、光発生組成層が約5体積パーセントないし約100体積パーセントの量で存在する場合には、約0.05ミクロンないし約10ミクロンの厚さであろう。光発生結合樹脂は、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、フェノキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン等のいくつかの既知のポリマーから選択されても良い。これらの結合剤または樹脂を溶解する溶媒はその特定の樹脂に依存する。実施の形態においては、装置の他のコート層に影響を及ぼさない溶媒を選択することが望ましい。有用な溶媒の例としては、ケトン、アルコール、芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素、エーテル、アミン、アミド、エステル等が挙げられる。
【0023】
光発生顔料分散体のコーティングは、約40℃ないし約150℃で約5分ないし約90分乾燥させた後で電荷発生層の最終の乾燥した厚さが約0.01ないし約30ミクロン、好ましくは約0.1ないし約15ミクロンとなるように、スプレーコーティング、ディップコーティング、ワイヤーバーコーティング法で行うことができる。
【0024】
通常、接着層は支持基板と接するため、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリウレタン、およびポリアクリロニトリルを含む様々な既知の物質を選択することができる。この層は、約0.05ミクロンないし約1ミクロンの厚さである。必要に応じて、この層は、酸化亜鉛、二酸化チタン、窒化シリコン、カーボンブラック等の導電性および非導電性粒子を含んでもよく、それによって、本発明の実施の形態においては、例えば、望ましい電気的および光学的特性を与えるようにしてもよい。
【0025】
電荷輸送層のために選択される絶縁性が高く、かつ透明の樹脂材料または非活性の結合剤は、米国特許第3,121,006号に記載されるような結合剤を含む。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの合成
機械攪拌子、ディーン・スタークトラップ、および還流冷却器を取り付けた500ミリリットルの丸底フラスコに、12.39グラム(0.055モル)のビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンと、14グラム(0.050モル)の4−ヨードビフェニルと、0.25グラム(0.0025モル)の塩化銅(I)と、0.45グラム(0.0025モル)の1,10−フェナントロリンと、22.44グラム(0.4モル)の薄片(フレーク)状の水酸化カリウムと、20ミリリットルのトルエン溶媒とを入れた。反応物を急速に還流温度120℃まで加熱し、この温度に4時間保った後、クロマトグラフィ分析で反応が完了したことを確認した。反応物を室温、約25℃まで冷却し、200ミリリットルのトルエンと150ミリリットルの脱イオン水に分配させた。結果として得られる有機層を分離し、ディーン・スタークトラップをつけた状態で溶媒の共沸蒸留によって水を除去した。生成物をスラリーによって脱色し、トルエン溶液を10グラムの酸洗浄クレー「Filtrol-24」(登録商標)、および10グラムの「Alcoa CG-20」アルミナで処理した。還流で3時間攪拌した後、溶液を保温漏斗にかけてクレーとアルミナを除去し、室温まで冷却した。溶液の蒸発とオクタンにより再結晶化させ、上述の生成化合物を収率10.2グラム(76パーセント)で得たとともに、この生成物は113.8℃で融解した。このN,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの生成物は、従来の手段によりさらに精製するのに適しており、約99パーセントの電子グレード純度を示した。上記の反応の所要時間は計4時間と、短縮された。
【0027】
上述の合成は、銅配位子触媒や反応物の量が異なっても、または上記のものよりわずかに高いまたは低い温度で行っても、繰り返しほぼ同じ結果を得ることができると考えられ、生成物の純度は例えば95ないし99パーセントと高く、関連の従来技術で200℃であった温度が80℃低い、例えば120℃から150℃の温度を選択できると考えられる。

Claims (3)

  1. N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製方法であって、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルとを配位子銅触媒の存在下で反応させるステップを含み、配位子が、単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択され、反応が、約120℃ないし約150℃の温度で行われることを特徴とする調製方法
  2. 請求項1に記載の調製方法であって、触媒が、1,10−フェナントロレート銅(I)(一価)クロライドと、ジピリジノ銅(I)クロライドと、1,10−フェナントロレート銅(I)ブロマイドと、ジピリジノ銅(I)ブロマイドと、1,10−フェナントロレート銅(I)クロライドとからなる群から選択されることを特徴とする調製方法
  3. N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミンの調製プロセスであって、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アミンとヨードビフェニルを配位子銅触媒の存在下で反応させるステップを含み、配位子が単座第三級アミンと二座第三級アミンとからなる群から選択されることを特徴とする調製方法
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