JP4162822B2 - コネクター兼用モルタル接着補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート型枠内のスペーサボルトと型枠締付用ボルトとを連結するコネクターとして機能すると共に、硬化後の躯体コンクリートの表面にモルタルを塗布するときの接着補助具とてしも機能するコネクター兼用モルタル接着補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート構造物は、前後2枚の型枠の間を複数本のスペーサボルトを介在させて一定間隔に保持し、その型枠間に生コンクリートを打設して硬化させ、その硬化後に上記型枠を取り外すことにより建造される。このように型枠を外した後の躯体コンクリートの表面は、そのままでは外観が悪いため、一般に表面仕上げとしてモルタルを一定厚さに塗布するようにしている。しかし、後から塗布したモルタルは、経時変化により躯体コンクリートの表面から剥落することがあり、そのためこのモルタルの剥落防止のため、従来から種々の提案がされている。
【0003】
図9および図10は、その提案の一例を示す。図9は、コンクリート型枠内のスペーサボルトと型枠締付用ボルトとの間を連結するコネクターを除去した後に、その躯体コンクリート表面にコーン跡ができる過程を示す。また、図10は、このコーン跡にモルタル接着補助具を埋め込むことにより、モルタルの剥落を防止する対策例を示している。
【0004】
まず、図9(A)はコンクリート型枠が組み付けられた後、コンクリートが打設された状態を示す。20は躯体コンクリート、21はスペーサボルト、24は型枠、25はコネクター、26は型枠締付用ボルトであって、型枠締付用ボルト26はコネクター25に一体に連結されている。
【0005】
スペーサボルト21は、前後2枚の型枠24(図では片側のみを図示)の間にコンクリート打設用の空間を形成するように挿入され、その両端部にコネクター25が螺合されている。このコネクター25から延長する型枠締付用ボルト26に型枠24を貫通させ、その型枠24の内面をコネクター25の外側端面に当接させると共に、その外側に一対の横端太材27,27を型枠締付用ボルト26を挟むように配置し、さらにフォームタイ28で抑え、ナット29で締め付けることにより組み付けが完成する。
【0006】
型枠24,24間の空間にコンクリート20を打ち込み、それが硬化したのち脱型する。一連の脱型作業は、ナット29、フォームタイ28、横端太材27、型枠24を撤去し、最後にコネクター25を抜去するが、そのコネクター24の除去跡に、図9(B)に示すようなコーン跡22が形成される。ここで除去後のコネクター25は良好な形状を保持しているものは再使用されるが、変形や破損したものは廃棄される。一般には数回の使用が限度とされている。
【0007】
図10において、30がモルタル接着補助具である。モルタル接着補助具30は、樹脂から埋栓部31に多数のループ状の係止部32が一体成形されるように構成され、かつ埋栓部31の底部にスペーサボルト21の端部を嵌入させる挿入孔33が形成されている。
【0008】
打設後硬化した躯体コンクリート20の表面にモルタルを塗布するとき、まず図10(A)のように、モルタル接着補助具30の埋栓部31の周囲に接着剤34を塗布し、それを躯体コンクリート20の表面に形成されたコーン跡22の中に埋設し、図10(B)のように係止部32だけを表面に露出させた状態にする。次いで、図10(C)のように、モルタル接着補助具30とコンクリート20との両表面に渡るようにモルタル23を一定の厚さに塗布する。
【0009】
このようにモルタルを塗布すると、未硬化の生モルタル23が上記モルタル接着補助具30の係止部32の中に深く侵入するので、その状態でモルタルが硬化すると、モルタルに対して高いアンカー効果を発揮し、モルタルの剥落を防止する。
【0010】
しかし、上記のようにモルタル接着補助具30を利用するためには、型枠セットに使用されたコネクターをいったん取り外す手間が必要であり、また取り外したコネクターは1乃至数回の使用後には廃棄されるため、廃棄物による環境汚染問題を生ずる。また、コネクターの取り外し作業を終えた後に、新たにモルタル接着補助具を取り付ける作業が必要であるので、必ずしも作業性が良好であるとはいえなかった。
【0011】
上記問題の対策として、コネクターとモルタル接着補助具をコネクターとを同一物にして兼用させることが考えられる。しかし、モルタル接着補助具をコネクターとして兼用させると、型枠をセットする際に係止部が型枠の締付け圧によって押し潰された状態になったり、また生コンクリートを打設するときに生コンクリートが係止部の上面を覆ったりする。したがって、このように潰れた係止部やコンクリートで覆われた係止部の上にモルタルを塗布したとしても、モルタルに対する係止部のアンカー機能は発揮されず、モルタル接着補助具としては機能しなくなるという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のコネクター取外し作業を不要にすることにより、コネクターを廃材にすることなく、確実なモルタルの剥落防止処理を可能にするコネクター兼用モルタル接着補助具を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、モルタル接着補助具をコネクター兼用に使用するようにしても、係止部がアンカー機能を喪失しないようにするコネクター兼用モルタル接着補助具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、躯体コンクリートの表面に塗布されるモルタルの接着補助具であって、コンクリート型枠内にセットされるスペーサボルトに連結するコネクター部の前記躯体コンクリート表面側端面に、前記モルタルに係合する多数の係止部と、これら係止部の外側を取り囲むように配置した可変形連結部とを樹脂で一体成形し、該可変形連結部の上縁に前記コンクリート型枠の内面に当接させる枠状支持突起を一体に連結したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具は、上記構成になっているため、型枠のセット時に型枠により枠状支持突起を軸方向に押圧すると、可変形連結部を屈曲変形させて枠状支持突起自体が係止部を取り囲むように移動して密閉空間を形成するため、コンクリート打設時に生コンクリートが係止部に浸入しないようにする。また、枠状支持突起により型枠の押圧力を支持するため、係止部が圧潰されないようにする。したがって、モルタル塗布する時まで係止部をコンクリートに埋設されないように維持するため、その係止部上面からモルタルを塗布することにより係止部による高いアンカー効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具は、上記作用によりコネクターとして型枠のセットに使用した後は、そのまま取り外すことなくモルタル接着補助具として継続使用することができるため、コネクターを廃材にする環境汚染問題を生ずることがなく、またコネクターの取外し作業や新たな取付け作業を繰り返す必要がないため作業性を向上することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の実施形態からなるコネクター兼用モルタル接着補助具を示す。
【0018】
図1および図2に示すように、本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具10は、樹脂から一体に射出成形され、本体となるコネクター部1が円盤状に形成されている。このように一体成形されたコネクター部1の表面側(上面側)端面の中央部には、型枠締付ボルトを螺合させるネジ孔1mが、また裏面側(下面側)端面の中央部には、スペーサボルトに螺合させるネジ孔1sが互いに同軸に連通するように設けられている。
【0019】
ネジ孔1mが設けられた部分には、その外側周囲にリング状の凹溝7が設けられ、その開口側端部に六角ナット7aが形成されている。この六角ナット7aの部分は、ネジ孔1sをスペーサボルトに螺合させるときレンチ等の締付工具を係合させる部分になる。二つのネジ孔1s,1mの端部同士が当接する境界部は、図示のように互いに貫通していてもよいが、仕切壁により互いに連通しないようにしてもよい。仕切壁を設けた場合は、スペーサボルトおよび型枠締付ボルトのいずれか一方が他方のネジ孔に入り過ぎることにより、他方のボルトが螺合するネジ孔長を不足させたり、またはスペーサボルトに対するコネクター部1の固定位置を不安定にする等の問題がなくなる。
【0020】
コネクター部1の表面側の端面には、多数の半円弧状ループからなる係止部2が列状に突設されている。また、これら多数の係止部2の内側に半円弧状底面に形成された凹溝3が形成されている。これら係止部2は、表面に塗布されたモルタルの中に没入することによりアンカー効果を生ずる。凹溝3は必ずしも必要とするものではないが、この凹溝3を設けた場合には、係止部2のアンカー効果を更に増大することができる。
【0021】
コネクター部1の表面側に設けられた多数の係止部2の周囲には、これら係止部2の全数を筒状に取り囲むように薄肉の可変形連結部5が、コネクター部1に一体連結するように設けられ、さらにこの可変形連結部5の上縁側に厚肉筒状の枠状支持突起4が一体に連結されている。
【0022】
可変形連結部5は、高さbを係止部2の高さと同一にするか、またはそれ以上を有するように形成されており、かつ側面に複数の孔9が貫通するように設けられている。これらの孔9は、コネクター兼用モルタル接着補助具10の成形金型において、多数配列した係止部2の内径面と凹溝3の底面とをピン中子で一体成形する場合、そのピン中子を成形用金型から出し入れする挿入孔に対応するものである。また、可変形連結部5は、厚さが0.05〜0.5mmの薄肉に形成され、型枠セット時の型枠を押圧して枠状支持突起4を軸方向の移動させると容易に屈曲変形するようになっている。これに対して枠状支持突起4の方は、厚さが0.5〜4mm、好ましくは1〜4mmであって、型枠の押圧によって容易には屈曲変形しない剛性を有している。
【0023】
可変形連結部5の外周面の下縁から距離aだけ下方に離れた位置には、コネクター部1の側面から横方向に突出するフランジ状の受面8が形成されている。この受面8は、上記のように型枠を押圧して枠状支持突起4を可変形連結部5を屈曲変形させながら軸方向に移動させるとき、その枠状支持突起4の下端側を受け止めるストッパーの役目をする。また、枠状支持突起4を係止したとき、その上縁側を係止部2の上端と同等にするか、またはそれ以上の高さに保持する。
【0024】
上記のようなストッパーとして作用する受面8は、外径を少なくとも枠状支持突起4の内径(内周面)よりも大きくする必要がある。さらに好ましくは枠状支持突起4の外径(外周面)よりも大きく外側へ突出させるとよい。また、上記距離aは、可変形連結部5の高さbよりも短くする方がよく(a<b)、かつ枠状支持突起4の高さを上記距離aと高さbとの和(a+b)と同等か、またはそれ以上にするとよい。
【0025】
上記のように枠状支持突起4のストッパーになる受面8は、枠状支持突起4の外径(外周面)よりも大きく突出させた場合には、コネクター兼用モルタル接着補助具10の躯体コンクリート20から素抜けしないように抜け止め作用させることができる。このような抜け止め作用は、コネクター部1の外周面に、半径方向の高さが厚み方向に沿って変化する凹凸を形成するようにしても達成することができる。
【0026】
さらにコネクター部1の裏面側には、ネジ孔1sを中心にして複数個のリブ6が放射状に形成されている。これらのリブ6は、必ずしも必要とするものではないが、これらリブ6を設けた場合は、コネクター兼用モルタル接着補助具の軸周りの回転を防止するので、コンクリートに埋設させた状態で型枠締付ボルトを離脱させるとき、コネクター兼用モルタル接着補助具が共回りしないようにすることができる。このような作用を行うリブ6の数は、必ずしも複数個である必要はなく、1個だけであってもよい。また、リブ6を複数個設ける場合は、ネジ孔1sを中心に等間隔(等角度)に配置するとよい。
【0027】
上記コネクター兼用モルタル接着補助具10は、コンクリート打設用の型枠をセットするとき、図3および図4に示すように、次のようにして使用される。
【0028】
図3に示すように、コネクター兼用モルタル接着補助具10をネジ孔1sを介してスペーサボルト21に連結すると共に、その外側のネジ孔1mに型枠締付ボルト26を連結する。次いで、型枠締付ボルト26に型枠24を貫通させ、その外側から横端太材27、フォームタイ28を介してナット29の螺合により内側へ向け締め付けを行う。
【0029】
型枠24に発生する押圧力により、コネクター兼用モルタル接着補助具10の枠状支持突起4は、可変形連結部5を屈曲変形させながら下方の受面8に当接するまで移動する。このとき可変形連結部5は反転して屈曲変形しながら、枠状支持突起4の内周面とコネクター部1の外周面との間に挟まれていき、最後に枠状支持突起4の下端が受面8に当接すると、枠状支持突起4の内周面とコネクター部1の外周面との間にクサビ状になり、枠状支持突起4をコネクター部1の本体に固定状態にする。この型枠24の押圧するときの締付圧は、約200kgf/cm2 (19.6MPa)以上にもなるが、この押圧力は枠状支持突起4に支えられるため、係止部2が圧潰されることはない。
【0030】
次いで、セット後の型枠内にコンクリート20を打設すると、コネクター兼用モルタル接着補助具10は枠状支持突起4を型枠24に密着させ、その枠状支持突起4の内側に密閉空間を形成するため、その密閉空間に生コンクリートが侵入することがなく、係止部2を生コンリートの埋没から保護する。
【0031】
打設した生コンクリートが硬化して躯体コンクリート20になると、次に脱型作業が行われる。脱型作業は、ナット29、フォームタイ28、横端太材27、型枠24を順次撤去し、最後に型枠締付用ボルト26を離脱する。この型枠締付用ボルト26を回動させて離脱させるとき、コネクター部1のコンクリート埋設側にはリブ6が形成されていると、このリブ6の抵抗によってモルタル接着補助具10が共回りすることがない。また、受面8の外径が枠状支持突起4よりも大きく突出していると、躯体コンクリート20から抜け出すことがない。
【0032】
脱型後の躯体コンクリート20の表面は、図4(A)に示すようになり、コネクター兼用モルタル接着補助具10は係止部2を露出状態にしている。このように係止部2が露出した躯体コンクリート20の表面にモルタル23を塗布すると、図4(B)のように液状のモルタル23が係止部2の内側へ侵入し、硬化後にモルタル23に対して大きなアンカー効果を発揮する。このアンカー効果は、係止部2と共に凹溝3を設けることにより一層強化することができる。
【0033】
図5は、本発明のさらに他の実施形態からなるコネクター兼用モルタル接着補助具を示すものである。
【0034】
この実施形態のコネクター兼用モルタル接着補助具10は、枠状支持突起4の内面に多数本のフィラメント部12が内側空間に延長するように設けられている点で、図1及び2の実施形態と異なっており、他の部分についてはほぼ同じ構成になっている。このようなフィラメント部12を枠状支持突起4の内面に延長した状態で、モルタル内に埋設されることにより、モルタルに対して更に大きなアンカー効果を発揮する。
【0035】
フィラメント部12が設けられる位置は、枠状支持突起4の内面である限り、特に限定されない。例えば、図6に例示するように、枠状支持突起4の上縁を段差状に形成し、その内側の低い段部の面に設けられるものであってもよい。また、複数本のフィラメント部12は、互いに同一の長さであっても、或いは異なる長さであってもよい。複数本のフィラメント部12の枠状支持突起4内での配列状態は、整然と並んでいても、ランダムであってもよい。フィラメント部12の太さは、好ましくは0.05〜5.0mmがよく、また長さは2mm以上、枠状支持突起4の内径と同等以下であるのがよい。
【0036】
本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具において、係止部の形状としては、未硬化のモルタル内に深く侵入できる程度の剛性を有し、かつ硬化後のモルタルを支持するだけの破断強度を有するものであれば特に限定されない。図1,2や図5の実施形態では、係止部2の形状をループ状にしたが、例えば図7(A)〜(D)に示すようなフック(鉤)状であってもよく、図7(E)のようなフィラメント状であってもよい。
【0037】
図7(A)の係止部2は円弧状フック、同(B)の係止部2はL形フック、同(C)の係止部2はT形フック、同(D)の係止部2はキノコ形または球状フックである。また、図7(E)の係止部2はフィラメント状であるが、その形状はストレート状であっても、ウェーブ状であってもよい。いずれの場合も、列状に並べた状態の内面側をピン中子によって成形され、または延伸を加えるように成形される。
【0038】
また、係止部2の配列としては、図1や図5の実施形態では、多数の係止部2の列を平行に配列したが、例えば図6の実施形態のように、放射状に配置したものであってもよい。
【0039】
本発明において、図1や図5でそれぞれ例示したコネクター兼用モルタル接着補助具10では、コネクター部1が円盤状に形成されているが、多角形状に形成されていてもよい。また、コネクター部1のネジ孔1s,1mは、樹脂に一体成形されているが、これをネジ孔を設けた金属インサートを挿入するようにしてもよい。このように金属インサートにした場合は、ボルトの螺合時に金属インサートがコネクター部1に対して空回りしないように、キー溝で係止するとか、圧入等によって固定するなどの締結構造を設けるとよい。
【0040】
また、前述した通り、凹溝3やリブ6は本発明において必ずしも必須ではないが、凹溝3を設けた場合には、モルタルに対するアンカー効果を一層向上することができ、またリブ6を設けた場合には、型枠締付ボルトを離脱させるときのコネクター兼用モルタル接着補助具の共回りを防止することができる。
【0041】
上述した本発明に係るコネクター兼用モルタル接着補助具10の製造方法は、特に限定されるものではないが、好ましくはコネクター部1と共に、係止部2、枠状支持突起4、可変形連結部5、リブ6などの付属構造を樹脂から一体に射出成形するのがよい。射出成形法では、多数の係止部2を列状に並べ、内径面を凹溝3と共にピン中子の挿入によって成形するようにするとよい。ピン中子は金型から抜出し可能にするため、その挿入孔に相当する部分が可変形連結部5に孔9として形成される。
【0042】
本発明のモルタル接着補助具に使用される樹脂としては、射出成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましいが、必要により熱硬化性樹脂であってもよい。
【0043】
例えば熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド(変性PPO)、ポリアミドエラストマー(例えば、東レ(株)製“ペバックス”など)、ポリエステルエラストマー(例えば、東レ・デュポン(株)製“ハイトレル”など)などを例示することができる。しかし、コンクリートはアルカリ性であるので、これらのうちでも耐アルカリ性に優れ、かつ耐熱性に優れているPPS樹脂やナイロン樹脂が特に好ましい。
【0044】
また、これらの樹脂には、ガラス繊維、炭素繊維などの短繊維状の補強繊維を混入させた繊維強化樹脂を使用してもよい。繊維強化樹脂の場合は、モルタルの接着力を一層向上させ、剥落防止性能をさらに向上させることができる。
【0045】
本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具の接着力は、スペーサボルトの単位面積当たりの使用個数にもよるが、一般には50kgf/個(490Pa/個)以上になるように設計することが好ましい。このような特性を満足させるため、係止部の寸法としては、ループ形状の場合は、ループ太さ(直径)を0.05〜5.0mm、ループ径を1.0〜10.0mmにすることが好ましい。また、フック形状またはフィラメント形状の場合は、フック部またはフィラメント部の太さ(直径)を0.05〜5.0mmにすることが好ましい。
【0046】
また、1個のモルタル接着補助具当たりに設ける係止部の数としては、製品形状によって異なり、特に限定されるものではないが、非強化樹脂製の場合には20〜100個、繊維強化樹脂製の場合には5〜70個にすることが好ましい。
【0047】
【発明の効果】
上述したように、本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具によれば、コネクター部に係止部を樹脂で一体成形したので、コネクターとして型枠のセットに使用した後は、そのまま取り外すことなくモルタル接着補助具としても継続使用するので、廃材として取り外す必要がなくなり、環境汚染の問題は生じない。また、取外し作業や新たな取付け作業を繰り返す必要がないため作業性を向上することができる。
【0048】
また、型枠のセット時に型枠により枠状支持突起を軸方向に押圧すると、可変形連結部を屈曲変形させて枠状支持突起自体が係止部を取り囲むように移動して密閉空間を形成するため、コンクリート打設時に生コンクリートが係止部に浸入しないようにする。また、枠状支持突起により型枠の押圧力を支持するため、係止部が圧潰されないようにする。したがって、モルタル塗布する時まで係止部をコンクリートに埋設されないように維持するため、その係止部上面からモルタルを塗布することにより係止部による高いアンカー効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具を示し、(A)は平面図、(B)は図(A)におけるX−X矢視断面図、(C)は半底面図である。
【図2】図1のコネクター兼用モルタル接着補助具の正面図である。
【図3】本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具をコネクターとして使用したときの縦断面図である。
【図4】本発明のコネクター兼用モルタル接着補助具をモルタル接着補助具として使用する状態を示し、(A)はモルタル塗布前の縦断面図、(B)はモルタル塗布後の縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態からなるコネクター兼用モルタル接着補助具を示し、(A)は平面図、(B)は図(A)におけるY−Y矢視断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態からなるコネクター兼用モルタル接着補助具の枠支持突起部分を拡大して示す縦断面である。
【図7】(A)〜(E)は、それぞれ本発明の適用される係止部の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態からなるコネクター兼用モルタル接着補助具を示す平面図である。
【図9】従来のコンクリート型枠の組み立て状況を示す説明図であり、(A)は組み立て時の縦断面図、(B)は脱型したときの縦断面図である。
【図10】先願で提案したモルタル接着補助具の使用例を示し、(A)はモルタル接着補助具の装着前を示す縦断面図、(B)は同モルタル接着補助具の装着後の縦断面図、(C)は更にモルタルを塗布した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 コネクター部
1s (スペーサボルト用の)ネジ孔
1m (型枠締付用ボルトの)ネジ孔
2 係止部
3 凹溝
4 枠状支持突起
5 可変形連結部
10 コネクター兼用モルタル接着補助具
12 フィラメント部
20 躯体コンクリート
21 スペーサボルト
22 コーン跡
23 モルタル
24 型枠
26 型枠締付用ボルト
29 ナット
Claims (9)
- 躯体コンクリートの表面に塗布されるモルタルの接着補助具であって、コンクリート型枠内にセットされるスペーサボルトに連結するコネクター部の前記躯体コンクリート表面側端面に、前記モルタルに係合する多数の係止部と、これら係止部の外側を取り囲むように配置した可変形連結部とを樹脂で一体成形し、該可変形連結部の上縁に前記コンクリート型枠の内面に当接させる枠状支持突起を一体に連結したコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記枠状支持突起の内面に該枠状支持突起内に延長する多数のフィラメント部を一体成形した請求項1に記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記枠状支持突起を前記可変形連結部が屈曲変形するように移動し、該枠状支持突起の端部が前記コネクター部に形成した受面に当接したときの該枠状支持突起の高さを、前記係止部の高さと同一以上にした請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記コネクター部に設けた受面を、前記枠状支持突起の内周面よりも外方へ突出させるように形成した請求項3に記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記コネクター部の外周面に、半径方向に高さが変化した凹凸を厚み方向に沿って形成した請求項1,2,3又は4に記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記可変形連結部に、前記係止部を成形するピン中子が挿入される貫通孔を形成した請求項1〜5に記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記コネクター部の躯体コンクリート表面側に型枠締付用ボルトを螺合させるネジ孔を設け、躯体コンクリート埋設側に前記スペーサボルトを螺合させるネジ孔を設けた請求項1〜6のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記コネクター部の躯体コンクリート埋設側に少なくとも1個のリブを形成した請求項1〜7のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
- 前記係止部をループ状、フック状またはフィラメント状に形成した請求項1〜8のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル接着補助具。
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