JP7279963B2 - コネクター兼用モルタル保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、型枠の内側に架設されたセパボルトと、型枠の外側に配置された横端太材保持用フォームタイ(登録商標)に挿通された型枠締付用ボルトとを連結するコネクターとして機能すると共に、躯体コンクリートの表面に塗着された硬化後のモルタルを保持するコネクター兼用モルタル保持具に関する。
コンクリート構造物は、通常、次のようにして造られる。まず、コンクリートの打設スペースを空けて2枚の型枠を配置し、その間に一定間隔で多数のセパボルトを配置し、上記2枚の型枠をセパボルトに固定する。次に型枠間に形成された打設スペースにコンクリートを流し込み、該打設スペースを充填する。そして、コンクリートが硬化した後、セパボルトをコンクリート内に残置したまま型枠を取り外す。
型枠を外した後の打ち放し状態の躯体コンクリートの表面には多数の様々な形状の穴が現れ、そのままでは外観が悪いため、一般的には表面仕上げとしてモルタルが一定厚さに塗着される。しかし、後からに塗着されたモルタルは、躯体コンクリートと異なり亀裂を生じ、そこから雨水が浸透し、更にはその凍結と融解の繰り返しによってその塗着面において躯体コンクリートの表面との間に部分的に膨れや剥離を生じやすい。そして、建物に掛かる振動や風・地震などの外力や経時劣化により該剥離が次第に拡大して行く。そして遂には剥離部分に周囲に亀裂が生じ、最終的にはその剥離部分が躯体コンクリートの表面から剥落する。タイル張りの場合は剥離モルタルとそれに接着したタイルが一体となって剥落する。このような剥落事故は非常に危険なため、従来からこのような剥落事故を防止する対策が種々提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載のコネクター兼用モルタル保持具は上記モルタルの剥落事故防止対策の1つで、セパボルトに装着して使用されるコネクターをモルタル保持具として兼用したもので、躯体コンクリートの表面部分に一定間隔で埋設されて使用される。このコネクター兼用モルタル保持具の表面は、躯体コンクリートの表面に露出しており、この露出面であるモルタル塗布面にループ状の係止部が多数設けられている。
モルタル塗布時には、モルタルがループ状の係止部内に入り込んで、係止部がモルタルに一体的に埋設されることでアンカー効果を果たし、モルタルの剥落を防止している。そして、経年劣化で躯体コンクリートの表面と一部のモルタルとの間に隙間が発生し、上記のようにモルタルの一部に剥離が発生しても、該剥離部分においてモルタルに埋設されている係止部がこれを支え、剥離部分の剥落を回避している。
特開2000―160836号公報
剥離部分の剥落を回避しているのは、剥離部分のモルタル内に埋設されている多数の係止部であるが、この係止部には剥離部分のモルタル(更にはタイル)の重量や、隙間に滲入した結露水の凍結による膨張力、建物に加わる様々な外力(即ち、引っ張り方向の力や剪断方向の力)が加わる。
そして、この剥離部分の係止部の脚部の基部は、常時、外気に曝されているために躯体コンクリート内に埋設されている本体部分より経年劣化が早く、且つ細い直径のループで形成されているために上記引っ張り方向の力や剪断方向の力によって切れやすい。特に、経年劣化が進むとこの係止部は次々と切れ、最後には、剥離部分を支え切れなくなって該剥離部分のモルタルが落下する。剥離が大きくなるとその傾向が高まる。
本発明は、躯体コンクリートの表面に塗着されたモルタルの保持力を飛躍的に高めると共に、仮に係止部が劣化して切れても剥離モルタルの落下を防ぐことが出来るコネクター兼用モルタル保持具を提供することを課題とする。
本発明は、型枠71内にセットされるセパボルト70に連結され、且つ躯体コンクリート60内に埋設されて前記躯体コンクリート60の表面61に塗布されたモルタル63を保持するコネクター部1と、前記コネクター部1に取り付けられ、前記型枠71の内面に当接し、前記内面と前記内面に対する前記コネクター部1の対向面6との間の空間を囲繞して閉空間Hとする支持枠30とで構成されたコネクター兼用モルタル保持具Aであって、
前記コネクター部1の、前記モルタル63が塗布される前記対向面6に凹溝20が形成され、
前記凹溝20の開口幅Wを狭くするように前記凹溝20の内周面のほぼ全長にわたって凸部21が形成されていることを特徴とする(図12)。
請求項2のコネクター兼用モルタル保持具Aは上記請求項1において、前記凸部21の前記凹溝20側の入隅22が鋭角に形成されている特徴とする(図7(b))
請求項3のコネクター兼用モルタル保持具Aは上記請求項1又は2において、前記支持枠30の内周面に前記コネクター部1の対向面6から離間した位置に内鍔部31が突設されていることを特徴とする。
請求項4のコネクター兼用モルタル保持具Aは上記請求項1~3のいずれかにおいて、塗着された前記モルタル63内に埋設される第1係止部10が前記コネクター部1の前記対向面6に更に設けられていることを特徴とする。
請求項5のコネクター兼用モルタル保持具Aは上記請求項4において、前記第1係止部10は前記凹溝20を跨ぐように設置されていること特徴とする(図8(a)(b))。
請求項6のコネクター兼用モルタル保持具Aは上記請求項4又は5において、前記閉空間H内で、支持枠30から前記第1係止部10の周囲を取り囲むように、塗着された前記モルタル63内に埋設されるフック状の第2係止部50が設けられていることを特徴とする(図1、図11)。
本発明のコネクター兼用モルタル保持具Aは、埋設されて躯体コンクリート60と一体となったコネクター部1の凹溝20の内周面に、凹溝20の開口幅Wを狭くする凸部21が形成されているので、凹溝20の全体に入り込んだモルタル63の全体がアンカーの役目を果たし、この部分のモルタル63破損しない限り抜けず、従来の保持具に比べて本発明の保持具Aのモルタル保持力を更に大幅に高める。
この凸部21が凹溝20の内周面のほぼ全長にわたって設けられておれば、更には、凸部21の入隅22を鋭角に形成されておれば、凹溝20の全体に入り込んだモルタル63の全体がアンカーの役目を果たし、本発明の保持具Aのモルタル保持力を更に大幅に高める。加えて、凸部21は凹溝20の内周面に設けられているので、躯体コンクリート60の表面61から剥離した剥離モルタル63からの剪断力を受けない。なお、凸部21のみで第1、2係止部10、50を設けない場合は、第1、2係止部10、50を設ける場合と比較して保持具Aの高さを第1、2係止部10、50の分だけ低くすることが出来、躯体コンクリート60の欠損量をその分だけ小さく出来る。
塗着されたモルタル63内に埋設される第1係止部10をコネクター部1に、更に第1係止部10の周囲を取り囲むように第2係止部50を支持枠30の内周面に突設された内鍔部31に更に設けておけば、凹溝20の凸部21との相乗効果、更には内鍔部31を加えた相乗効果で本発明の保持具Aのモルタル保持力を更に大幅に高めることが出来るし、細かい破片の剥落も防止できる。
凹溝20を跨ぐように第1係止部10を設置しておけば、凹溝20内に入り込んだ硬化モルタル63を抱持状態で保持することができ、この部分の硬化モルタル63の破断を大幅に緩和出来る。
本発明の一実施例のコネクター兼用モルタル保持具の斜視図である。 図1の斜め上から見た分解斜視図である。 図1の斜め下から見た分解斜視図である。 図1の縦断面図である。 本発明のコネクターの平面図である。 図5の正面図である。 本発明の第1係止部の断面形状を示す例で、(a)は第1係止部の断面が四角形であること、(b)は三角形であること、(c)は半円形であることを例示する図面である。 は第1係止部の配列状態を示す部分拡大斜視図例で、(a)は千鳥配列、(b)は一列に配列された状態の例示図である。 本発明の支持枠の平面図である。 図9の縦断面図である。 図10の丸で囲った部分の部分拡大図である。 (a)本発明の他の実施例のコネクター兼用モルタル保持具の平面図、(b)は縦部分断面図である。 本発明のモルタル保持具の施工手順を示す図面で、(a)は型枠の組み立て状況を示す縦断面図、(b)は脱型したときの縦断面図、(c)はモルタルを塗布した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1に示すコネクター兼用モルタル保持具Aは、コネクター部1と支持枠30、連結ナット40とで構成されている。コネクター部1と支持枠30は樹脂の射出成形物であり、連結ナット40は金属製(例えば、ステンレス製)である。連結ナット40は必ずしも必要ではなく、連結ナット40を用いない場合はコネクター部1に直接、ねじ穴が刻設される。本発明では、連結ナット40を使用しない場合も、使用する場合もコネクター部1とする。ここでは連結ナット40を用いるものとする。
図5、図6に示すコネクター部1は、本体部分2、リブ7及び第1係止部10とで構成され、これらは樹脂で一体的に形成されている。
本体部分2は、円板状の部分3と、この円板状の部分3の前面側に円形台状に設けられ、モルタル63が塗着される台状部分4、及び円板状の部分3の背面側に設けられた円筒状の部分5とで一体的に構成されている。
円板状の部分3は台状部分4より直径が大であって円板状の部分3と台状部分4の境界には段差が形成されている。
円筒状の部分5は円板状の部分3より直径がかなり小さく、円筒状の部分5と円板状の部分3の背面のコーナー部分には円板状の部分3の補強とコネクター部1の廻り止めとなる直角三角形のリブ7が一体的に設けられている。本実施例では、リブ7は円筒状の部分5の周囲に等角度で6本形成されている。なお、リブ7の本数は限定されない。
また、円板状の部分3の外周の前面側には支持枠30を取り付けるための段部8が全周にわたって形成されている。
本体部分2のモルタル63が塗着される面をモルタル塗着面6とする。更に後述するようにこの面は、型枠71の内面に対向する面でもあるから、分かりやすくするために同じ面であるが対向面6とも称することがある。
なお、上記コネクター部1と後述する支持枠30の平面形状は円形であるが非円形にすることも可能である。非円形断面形状としては、特に限定されるものではなく、三角形以上の多角形、花形、星形など、いずれであってもよい。
コネクター部1の中心には、本体部分2を貫通する通孔9が形成され、後述する連結ナット40が嵌め込まれている。連結ナット40はコネクター部1の射出成形時にインサート成形されるか、別工程で通孔9に圧入される。
台状部分4の対向面(即ち、モルタル塗着面)6には、台状部分4の一方の側面から他方の側面に貫通する凹溝20が等間隔で複数条刻設されている。中央部分の複数の凹溝20は通孔9に交差して円形に切り取られている。凹溝20の横断面形状は、本実施例ではコネクター部1の中心軸に平行な方向に伸びた半円状又は半楕円状に形成されている(図7参照)。そして、凹溝20の間の部分を畝状部4aとする。なお、凹溝20の横断面形状は上記に限られず、図示していないが、矩形その他の形状とすることが出来る。
凹溝20の内周面に凸部21が形成されている。図6の凸部21は、台状部分4のモルタル塗着面6に開く凹溝20の開口に沿って一体的に突設されている。図の実施例では、凹溝20の開口の両側に凸部21が設けられているが、一方だけでもよい。
また、図示していないが、凸部21の形成位置はモルタル塗着面6の開口縁に沿う内周面でなく、開口縁から奥に入った凹溝20の内側でも良い。また、図の実施例では、凸部21は凹溝20の全長に亙って形成されるようになっているが、成形可能な限り、凹溝20の一部としてもよい。
凸部21の横断面形状は、図7(a)に示すように、四角形や、同図(b)に示すように、凹溝20の入隅22を鋭角に切り込んでもよいし、同図(c)に示すように、凹溝20と第1係止部10とに跨る境界部分に凸部21を設けてもよい。この場合は、第1係止部10の脚部11が太くなるので、この部分の強度を高めることができる。本発明の保持具Aは、図12(a)(b)に示すように、上記凹溝20に凸部21を設けただけのものでも良いが、次に述べる第1係止部10を更に設けることも出来る。ここでは第1係止部10を設けた事例で説明する。
第1係止部10(後述する第2係止部50も同様)としては、未硬化のモルタル63内に深く侵入できる剛性(換言すれば、未硬化のモルタルの流れ込みに屈しない剛性)と、硬化後のモルタル63を支持するだけの破断強度と、且つ硬化後のモルタル63から抜け出ない形状を有するものであれば特に限定されない。
図6の実施形態の第1係止部10はループ形状であるが、例えば、キノコ形フック(脚部の直径より大きい直径の円錐台状の頭部が脚部の先端に設けられているフック)、又は図11に示すような球状フック(脚部51の直径より大きい直径の頭部52が脚部51の先端に設けられているフック)でもよい。ここではループ形状とする。ループの正面形状はモルタル塗布面6から外側に伸びた半円状または半楕円形である。ループの場合は、ループの長軸方向に向けて大きな荷重が掛ったとしても第1係止部10は切れにくい。
ループ形状の第1係止部10の横断面形状は、図7(a)~(c)のような内周面側が平面となった四角形や三角形、或いは半円形などが考えられる。第1係止部10の内周面側が平面となっておれば、引っ張り力が加わった場合、内周面全面に力が分散して第1係止部10が切れにくい。また、図示していないが第1係止部10の太さ全体を同じ太さで形成してもよいし、脚部11の太さを基部に近づくほど漸増するようにしてもよい。後者の場合、引っ張り力が加わった場合、脚部11が基部から切れにくくなる。
ループ形状の第1係止部10は、凹溝20を跨ぐように形成される。これにより、第1係止部10と凹溝20とで、中央に凸部21が出っ張った円形又は楕円形空間が形成され、この空間内にモルタル63が入り込む。第1係止部10を半楕円形することで、第1係止部10に加わった引っ張り力が脚部11に垂直に加わるようになりループが切れにくくなる。
第1係止部10の配列は、図8(a)のように千鳥状、又は同図(b)のように一列に配列して突設されている。
千鳥状の配列とは、隣接する第1係止部10が、隣り合う2つの凹溝20を交互に跨ぐように配列される状態であり、列状の配列とは、隣接する第1係止部10が、同じ凹溝20を跨ぐように配列される状態である。
ループ状の第1係止部10を千鳥状に並べると、隣接する第1係止部10の前後する脚部11が同じ畝状部4aに連なるように設けることができるので、同一面積内では列状に配列する場合に比べてより多くの第1係止部10を設けることができる。
ループ状の第1係止部10と凹溝20で構成された係止空間はこの部分にモルタル63が塗り込まれて硬化した時、この部分のモルタル63を抱持することになるので、係止するためのアンカー効果を強くする。
連結ナット40は、上記のようにインサート成形や圧入で、コネクター部1の通孔9に嵌め込まれて使用されるが、連結ナット40には躯体コンクリート60側の端面にセパボルト70に螺合させるためのネジ孔43が設けられ、モルタル63側の端面に、型枠締付用ボルト72を螺合させるためのネジ孔42が設けられている。これら二つのネジ孔43・42は、仕切壁41を挟んで同軸に設けられている。なお、連結ナット40は、前端部分に外鍔部45が設けられており、コネクター部1に装着された状態で外鍔部45が台状部分4のモルタル塗布面6に接触した状態となる。
上記仕切壁41は必ずしも必要とするものではなく、両ネジ孔43、42が互いに連通していてもよい。仕切壁41を設けておくと、セパボルト70と型枠締付用ボルト72のいずれか一方が他方のネジ孔まで侵入することにより他方のボルトのネジ孔長を不足させたり、またセパボルト70に対するコネクター部1の固定位置を設定し難くする問題を解消することができる。
支持枠30は環状の部材で、内周面の全周にわたって内鍔部31が一体的に突設されている。そしてこの内鍔部31には第1係止部10と同方向に多数の第2係止部50が一定間隔で設けられている。第2係止部50も上記のように未硬化のモルタル63内に深く侵入できる剛性を有し、かつ硬化後のモルタル63を支持するだけの破断強度を有し、且つ硬化後のモルタル63から脱落しない形状を有するものであれば特に限定されない。ここでは、脚部51より直径が大で球状の頭部52を有する球状フックが用いられている。球状フック型の第2係止部50の脚部51は、図10から分かるように、支持枠30の中心方向に向けて湾曲している。これにより、モルタル63の塗着時の圧力によって中心方向に変形することになるので、保持具Aの中心方向(換言すれば、第1係止部10)に向かってモルタル63が充填されやすくなる。なお、第2係止部50も必須ではなく、必要に応じて設けられる。
支持枠30の前端面には断面三角形状の環状当接部34が支持枠30の全周にわたって形成されている。環状当接部34の型枠71への当接面積は支持枠30の前端面の面積より小さい。そして、内鍔部31から環状当接部34までの高さは第2係止部50の高さより大きく形成されている。第2係止部50と第1係止部10との関係は後述する。
支持枠30の後端内周部分は段状に形成されており、この部分をコネクター部1に対する嵌め込み段部32とする。また、内鍔部31の内側に形成された大孔を内鍔孔部33とする。
上記モルタル保持具Aの製造方法であるが、コネクター部1と支持枠30とが既述のように別体で射出成形法により樹脂で成形され、コネクター部1の円板状の部分3の外周の段部8に支持枠30の嵌め込み段部32が圧入或いは嵌め込まれて接着により一体化される。
ここで、支持枠30の内鍔部31から下の側壁部分は、台状部分4の側面から離れて、且つ前記内鍔部31は台状部分4の表面であるモルタル塗布面6から離れ、台状部分4と支持枠30の内鍔部31から下の部分に台状部分4の全周にわたって隙間35を形成する。モルタル塗布時には、この隙間35にもモルタル63が入り込んで、この部分でも内鍔部31が硬化したモルタル63に係止する。
コネクター部1に支持枠30を嵌め込んだ状態では、支持枠30の内鍔部31はコネクター部1の台状部分4より前方側(モルタル側)に位置し、第1係止部10の全体が内鍔孔部33の内側でこれに囲まれた状態となり、更に第2係止部50が第1係止部10の全体をその周囲から囲むようになる。この時、第2係止部50は第1係止部10より高く、第2係止部50の頭部52が最外周の第1係止部10の上端より上に位置し、これに被さるようになる。従って、第1係止部10は支持枠30の前端の環状当接部34より低い位置にある。
モルタル保持具Aにおいて、凸部21、内鍔部31、及び第1、2係止部10、50は、モルタル63に対するアンカー効果を発生する手段である。支持枠30は、モルタル保持具Aをコネクターとして使用するとき、型枠71の締付圧を受け止める支持面として作用し、第1、2係止部10、50が型枠71の締付圧により押し潰されないように保護する。
図13(a)~(c)は、上述した本発明のコネクター兼用モルタル保持具Aを型枠71のコネクターとして使用し、然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する際のモルタル保持具として使用される場合の工程を示したものである。
まず、図13(a)では、本発明のコネクター兼用モルタル保持具Aが、型枠71の組み立てにおいて、セパボルト70と型枠締付用ボルト72のコネクターとして使用されている状態を示す。一般にセパボルト70の本数としては、コンクリートの単位表面積当たり4本/m2の割合が配置されている。
セパボルト70毎に、コネクター兼用モルタル保持具Aのネジ孔43をセパボルト70の端部の雄ねじ部分に螺合させ、反対側のネジ孔42に型枠締付用ボルト72を螺合させて両ボルト70,72を連結状態にする。次いで、型枠締付用ボルト72に型枠71の通孔を通し、その型枠71の外側に一対の横端太材73およびフォームタイ74を重ね、最後に型枠締付用ボルト72の端部に締付けナット75を螺合させて締め付ける。
上記のように型枠71を締付けナット75で締め付け固定すると、型枠71から各コネクター兼用モルタル保持具Aの支持枠30に作用する締付圧は200kg/cm2以上にもなる。しかし、コネクター部1の外周には第1係止部10、第2係止部50と同等以上の高さを持ち、円板状の部分3の段部8に嵌め込まれてバックアップされた支持枠30が存在するので、この支持枠30が型枠71の締付圧を支えて第1係止部10、第2係止部50を保護するため、第1係止部10、第2係止部50が押し潰されることはない。
なお、型枠71の内面に直接接触するのは、支持枠30の前端面に設けられた幅の狭い環状当接部34であり、これが型枠71の締付圧により変形して型枠71の当接部分に対する傷付きを緩和している。
このようにして型枠71の組み付けが終了すると、前後の型枠71内の打設用空間にコンクリートを打設する。コンクリートが打設用空間に満杯状態に充填されると、未硬化のコンクリートはセパボルト70と共にコネクター兼用モルタル保持具Aを埋設した状態となる。この時、支持枠30は上記のように型枠71の内面に接してその内側を閉空間Hとしているので、打設されたコンクリートは支持枠30の外側を埋めるが、閉空間Hになっている環状の支持枠30の内側まで流入しない。
打設されたコンクリートが硬化し、躯体コンクリート60が形成されると、次に脱型作業に移る。脱型作業は締付けナット75、フォームタイ74、横端太材73、型枠71を順次撤去し、最後に型枠締付用ボルト72を回動させて離脱することで行われる。この脱型作業において型枠締付用ボルト72を回動させて離脱させるとき、コネクター部1の躯体コンクリート60内に埋設されたリブ7により、モルタル保持具Aの供回りが阻止され、円滑に離脱させることができる。
この脱型作業において、本発明のモルタル保持具Aは、セパボルト70と連結されており、更に支持枠30の外周部分の段状に形成された外鍔により、躯体コンクリート60の表面61から抜け落ちることがなく、図13(b)に示すように、セパボルト70に連結された状態で躯体コンクリート60内に残置される。
脱型すると、躯体コンクリート60の表面61にモルタル保持具Aの第1係止部10及び第2係止部50を含むモルタル塗着面6が外部に露出する(図13(b))。然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する(図13(c))。この場合、モルタル施工だけでも良いし、更にその上にタイルTを施工してもよい。
モルタル保持具Aの埋設部分では、塗布されたモルタル63の一部は支持枠30の内側の凹溝20の全長及び台状部分4と支持枠30との間の隙間35に入り込み、且つ第1係止部10及び第2係止部50をモルタル63内に取り込んで硬化する(図13(c))。凹溝20内においては、凸部21の入隅22内にモルタル63が更に入り込む。上記隙間35に入り込んで硬化したモルタル63は、支持枠30の内周全周において、嵌め殺し状態となる。
第1係止部10の内側に入り込んで(或いは第1係止部10を取り込んで)硬化したモルタル63は、凹溝20の全長に入り込んだモルタル63と一体化し、第1係止部10が当該部分のモルタル63の全体を抱きかかえるような状態となる。そして、凹溝20内に侵入したモルタル63は、凹溝20内に設けられた凸部21がネックとなって嵌め殺し状態となり、凹溝20内で硬化したモルタル63の侵入部分が凸部21の全長に亙って係止され、凸部21内で固まったモルタル63が凹溝20内から脱落しない。そしてこの凸部21は凹溝20の内周面にコネクター部1の一部として設けられているので、モルタル塗布面6から突き出た第1係止部10と異なり、モルタル63の荷重による剪断力を受けないので破損しにくく、モルタル保持力を飛躍的に高める。換言すれば、凸部21と第1係止部10との相乗効果で従来の保持具より、少なくとも2.6倍の高いアンカー効果を発揮する。仮に、第1係止部10が切断しても凸部21による係止は残り、これだけでも高いアンカー効果を発揮する。
これに加えて、上記隙間35に入り込んで硬化したモルタル63は、支持枠30の内周全周において、内鍔部31に係止し、且つ支持枠30の内周面に全周にわたって接触しているので、モルタル63を躯体コンクリート60から引き剥がす方向の引張力、及びモルタル63を躯体コンクリート60の表面から剥落させる、躯体コンクリート60の表面に平行な方向の剪断力に対して強い抵抗力を示す。
第2係止部50は、頭部52が脚部51より直径が大であるから、硬化したモルタル63に頭部52と脚部51を埋設した状態となる。この部分が埋設されている部分のモルタル63が細かく割れて小さな破片となった場合、直径の大きな頭部52が割れた破片から抜けず、これを壁面からぶら下げるような形となり、モルタル破片の剥落も防止できるようになる。
なお、本発明の保持具Aは、図12(a)(b)に示すように、第1、2係止部10、50を設けず、上記凹溝20に凸部21を設けただけのものでも良い。この場合は、第1、2係止部10、50の高さの分だけ保持具Aの厚みを薄く出来、躯体コンクリート60の欠損量を減らすことができる。
なお、本発明のモルタル保持具Aに使用される樹脂としては、射出成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましいが、必要により熱硬化性樹脂であってもよい。例えば熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド(変性PPO)、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどを例示することができる。しかし、コンクリートはアルカリ性であるので、これらのうちでも耐アルカリ性に優れ、かつ耐熱性に優れているPPS樹脂やナイロン樹脂が特に好ましい。
また、これらの樹脂には、ガラス繊維、炭素繊維などの短繊維状の補強繊維を混入させた繊維強化樹脂を使用してもよい。繊維強化樹脂の場合は、モルタルの接着力を一層向上させ、剥落防止性能をさらに向上させることができる。
(実施例:本発明のコネクター兼用モルタル保持具の性能判定)
試験条件
図1から4に示す本発明のコネクター兼用モルタル保持具と比較例として特許文献1に記載の保持具を用いた。
両保持具のモルタル塗布面が露出するように試験用のコンクリートブロック(躯体コンクリートに相当)に埋設し、両保持具の強度を測定するためにモルタル接着面だけにモルタルを塗着した。
特許文献1に記載の保持具ではリング状の係止部内にモルタルが十分入り込むようにした。
本発明の保持具では、支持枠内にモルタルを塗布した。塗布されたモルタルはモルタル塗布面に凹設された凹溝の凸部を越えて凹溝内に、そして支持枠の内鍔部を越えてその下側の隙間にモルタルが十分入り込むようにした。更に第1係止部と第2係止部がモルタル内に十分埋設するように塗布した。
モルタルの厚みは、いずれもコンクリートブロックの表面から5mmの厚みとした。
この試験片に埋設された保持具1個の引っ張り強度と剪断強度を下記測定機で測定した。
引っ張り強度は、保持具1個に塗着したモルタルをコンクリートブロックの埋設面に対して垂直に引張した時の保持具の破壊強度であり、剪断強度は、コンクリートブロックの埋設面に対して平行に力を掛けた時の保持具の破壊強度である。
測定機は島津製作所の万能試験機である。
(型式AG-50KND 定速ひずみ方式 最大荷重5t 載荷速度 1mm/分)
試験は、試験片作成(モルタル塗り付け)後、14日目に実施した。
判定基準から保持具1個に塗着したモルタルの引っ張り強度は629N以上、剪断強度は123N以上であることが要求される。
(試験結果)
本発明の保持具は、引っ張り強度が1236N(安全率197%)、剪断強度は7199N(安全率5449%)であり、十分な強度を示すことが認められた。
本発明の保持具の引っ張り強度は、比較例より1.3倍高い値が得られた。
また、本発明の保持具は、引っ張り試験において、最大引っ張り強度を示した後も支持枠や第1、2係止部が変形しつつも強度を保ち、モルタルの破壊後も主として第2係止部によって破壊されたモルタル片を保持する粘り強い特性が見られた。
剪断試験に付いては、最大剪断荷重に達した後も、剪断強度は徐々に低下し、最終的にモルタルが小片となって段階的に剥がれ落ちたが、剪断試験においても上記同様の粘り強い特性が見られた。
A:(コネクター兼用モルタル)保持具、H:閉空間、T:タイル、W:開口幅、1:コネクター部、2:本体部分、3:円板状の部分、4:台状部分、4a:畝状部、5:円筒状の部分、6:対向面(モルタル塗布面)、7:リブ、8:段部、9:通孔、10:第1係止部、11:脚部、20:凹溝、21:凸部、22:入隅、30:支持枠、31:内鍔部、32:嵌め込み段部、33:内鍔孔部、34:環状当接部、35:隙間、40:連結ナット、41:仕切壁、42:(型枠締付用ボルトの)ネジ孔、43:(セパボルト用の)ネジ孔、45:外鍔部、50:第2係止部、51:脚部、52:頭部、60:躯体コンクリート、61:表面、63:モルタル、70:セパボルト、71:型枠、72:型枠締付用ボルト、73:横端太材、74:フォームタイ、75:締付けナット

Claims (6)

  1. 型枠内にセットされるセパボルトに連結され、且つ躯体コンクリート内に埋設されて前記躯体コンクリートの表面に塗布されたモルタルを保持するコネクター部と、前記コネクター部に取り付けられ、前記型枠の内面に当接し、前記内面と前記内面に対する前記コネクター部の対向面との間の空間を囲繞して閉空間とする支持枠とで構成されたコネクター兼用モルタル保持具であって、
    前記コネクター部の、前記モルタルが塗布される前記対向面に凹溝が形成され、
    前記凹溝の開口幅を狭くするよう前記凹溝の内周面のほぼ全長にわたって凸部が形成されていることを特徴とするコネクター兼用モルタル保持具。
  2. 前記凸部の前記凹溝側の入隅が鋭角に形成されている特徴とする請求項1に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  3. 請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具おいて、前記支持枠の内周面に前記コネクター部の対向面から離間した位置に内鍔部が突設されていることを特徴とするコネクター兼用モルタル保持具。
  4. 塗着された前記モルタル内に埋設される第1係止部が前記コネクター部の前記対向面に更に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  5. 前記第1係止部は前記凹溝を跨ぐように設置されていること特徴とする請求項4に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  6. 前記閉空間内で、支持枠から前記第1係止部の周囲を取り囲むように、塗着された前記モルタル内に埋設されるフック状の第2係止部が設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
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