JP7399483B2 - コネクター兼用モルタル保持具 - Google Patents

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Description

本発明は、型枠の内側に架設されたセパボルトと、型枠の外側に配置された横端太材保持用の固定部材に挿通された型枠締付用ボルトとを連結するコネクターとして機能すると共に、対経年劣化(例えば、塩害や酸性雨)、耐火性に優れ、火事の後でも躯体コンクリートの表面に塗布された硬化後のモルタルを保持するコネクター兼用モルタル保持具に関する。
コンクリート構造物は、通常、次のようにして造られる。まず、コンクリートの打設スペースを明けて2枚の型枠を配置し、その間に一定間隔で多数のセパボルトを配置し、上記2枚の型枠をセパボルトに固定する。次に型枠間に形成された打設スペースにコンクリートを流し込み、該打設スペースを充填する。そして、コンクリートが硬化した後、セパボルトをコンクリート内に残置したまま型枠を取り外す。
型枠を外した後の打ち放し状態の躯体コンクリートの表面には多数の様々な形状の穴が現れ、そのままでは外観が悪いため、一般的には表面仕上げとしてモルタルが一定厚さに塗布される。しかし、後から塗布されたモルタルは、躯体コンクリートと異なり亀裂を生じ、そこから雨水が浸透し、更にはその凍結と融解の繰り返しによってその塗布面において躯体コンクリートの表面との間に部分的に膨れや剥離を生じやすい。そして、建物に掛かる振動や風・地震などの外力や経時劣化により該剥離が次第に拡大して行く。そして遂には剥離部分に周囲に亀裂が生じ、最終的にはその剥離部分が躯体コンクリートの表面から剥落する。タイル張りの場合は剥離モルタルとそれに接着したタイルが一体となって剥落する。このような剥落事故は非常に危険なため、従来からこのような剥落事故を防止する対策が種々提案されている(特許文献1、2)。
特許文献1に記載のコネクター兼用モルタル保持具は上記モルタルの剥落事故防止対策の1つで、セパボルトに装着して使用されるコネクターをモルタル保持具として兼用したもので、躯体コンクリートの表面部分に一定間隔で埋設されて使用される。このコネクター兼用モルタル保持具の表面は、躯体コンクリートの表面に露出しており、この露出面であるモルタル塗布面にループ状の係止部が多数設けられている。
モルタル塗布時には、モルタルがループ状の係止部内に入り込んで、係止部がモルタルに一体的に埋設されることでアンカー効果を果たし、モルタルの剥落を防止している。そして、経年劣化(例えば、台風などによる海水の飛散による海岸近くの建物のコンクリートの劣化、即ち、塩害や酸性雨)で躯体コンクリートの表面と一部のモルタルとの間に隙間が発生し、上記のようにモルタルの一部に剥離が発生しても、該剥離部分においてモルタルに埋設されている係止部がこれを支え、剥離部分の剥落を回避している。
特許文献2に記載のモルタル保持具は、金属板をプレス成形したもので、中心にねじ孔を有する円形基板と、円形基板より直径の大きい係合リングと、基板から放射状に延びて係合リングに繋がっている複数の短冊片状の接続片とを備えている。このモルタル保持具によるモルタル施工は、硬化した躯体コンクリートの表面に所定の間隔で装着穴をあけ、モルタル保持具の円形基板のねじ孔にネジを挿入し、このモルタル保持具を躯体コンクリートの表面にネジ締着し、最後に生モルタルを躯体コンクリートの表面に塗布してモルタル保持具を生モルタル内に埋設させ、生モルタルを硬化させることによって行われる。
特開2000―160836号公報 特開2018―091058号公報
特許文献1において、剥離部分の剥落を回避しているのは、上記のように剥離部分のモルタル内に埋設されている多数の係止部である。処がこのモルタル保持具は全体が樹脂製であるため、例えば火事のように建物の外壁が長時間、高温に曝されるとモルタル保持具が焼失してしまい、モルタル保持能力を失う。しかも火事に会うとモルタルも劣化し、亀裂や膨れが発生し、剥落しやすくなる。
特許文献2では、モルタル保持具が金属製であるから、樹脂と異なり耐火性に優れている。しかしながら、このモルタル保持具は、後付のため、硬化した躯体コンクリートの表面に所定間隔で装着穴を設け、ネジで躯体コンクリートの表面にネジ固定するという作業が必要となる。
加えて、躯体コンクリートは表面から酸性雨や塩害により経年劣化していくため、躯体コンクリートの表面に設けた装着穴の周囲も内部に比べて経年劣化により崩れやすく、ネジ固定では長期のモルタル保持には問題が生じる。更に、特許文献2では、モルタル保持具が金属製であるから、上記のように耐火性に優れているとしても、建物が火事に遭遇すると窓から立ち上る炎によってモルタルや躯体コンクリートの表面が高温に曝され、躯体コンクリートの内部に比べて劣化が進む。その結果、大きな面積でモルタル亀裂やモルタル剥離が発生すると共に多数の装着穴が崩れてネジに対する保持力が低下し、モルタルが埋設されたモルタル保持具ごと大きな塊で剥落する恐れもある。
本発明は、躯体コンクリートの表面に塗布されたモルタルの保持力を飛躍的に高めると共に、躯体コンクリートの経年劣化は勿論、耐火性にも優れ、火災発生後もモルタル保持力を失わないコネクター兼用モルタル保持具を提供することを課題とする。
本発明の第1実施形態(請求項1:図1~図5)は、
コンクリート打設用の型枠71内にセットされるセパボルト70に連結される金属製のスキンキャッチャー40と、
前記スキンキャッチャー40が取り付けられて躯体コンクリート60内に埋設され、前記型枠71に対する対向面6が躯体コンクリート60の表面61に露出する樹脂製のコネクター部1と、
前記コネクター部1に取り付けられ、前記型枠71の内面に当接し、前記内面と前記内面に対する前記コネクター部1の対向面6との間の空間を囲繞して閉空間Hとする支持枠30と、
前記閉空間H内にてスキンキャッチャー40から延出し、前記躯体コンクリート60の表面61に塗布されたモルタル63を保持する金属係止部50とで構成されたコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、
モルタル63が塗布されるコネクター部1の対向面6に凹溝20が形成され、
前記凹溝20の開口に沿って、前記凹溝20の開口縁又は開口縁から奥に入った前記凹溝20の内面に凸部21が形成され
前記支持枠30の内周面の全周にわたって内鍔部31が一体的に突設され、前記内鍔部31は前記コネクター部1の前記対向面6より前方側に位置し、内周に内鍔孔部33が形成されているコネクター兼用モルタル保持具Aである。
請求項2は、請求項1に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、金属係止部50にモルタル63を保持するモルタル係止孔52が穿設されていることを特徴とする。
請求項3は(図2(a))、請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、
金属係止部50は、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aから一体的に延出された外鍔状の延出部分であることを特徴とする。
請求項4は(図2(b)・図3)、請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、
金属係止部50は、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aとは別体に形成され、前記ナット本体部分40aに溶接されて前記ナット本体部分40aから一体的に延出されている外鍔状の延出部分であることを特徴とする。
請求項5は(図4)、請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、
金属係止部50は、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aとは別体に形成され、前記金属係止部50に穿設した取付孔53aに前記ナット本体部分40aが圧入されて前記ナット本体部分40aから一体的に延出されている外鍔状の延出部分であることを特徴とする。
請求項6は(図6)、請求項1~5のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、前記コネクター部1の前記対向面6に塗布された前記モルタル63内に埋設される第1係止部10が前記対向面6に更に設けられていることを特徴とする。
請求項7は(図7)、請求項6に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、第1係止部10が、前記凹溝20を跨ぐように設けられていることを特徴とする。
請求項8(図6)は、請求項6又は7に記載のコネクター兼用モルタル保持具Aにおいて、前記閉空間H内で、支持枠30から前記第1係止部10の周囲を取り囲むように、塗布された前記モルタル63内に埋設されるフック状の第2係止部35が設けられていることを特徴とする。
本発明の金属係止部50は金属製のスキンキャッチャー40から延出している。前記スキンキャッチャー40は躯体コンクリート60内に埋設されたセパボルト70に連結されている。前記金属係止部50は躯体コンクリート60の表面61に塗布された硬化したモルタル63内に埋設されこれを保持する。
通常時では、この金属係止部50によってモルタル63が保持されており、仮にモルタル63に部分的な剥離Kや膨れ、亀裂が発生しても部分的な剥落を生じることがない。
仮に建物が火事に遭った場合、コネクター部1や支持枠30のような樹脂部分は焼損しても、セパボルト70や、これに螺着されているスキンキャッチャー40、及びスキンキャッチャー40から延出している金属係止部50が焼損するようなことがなく、火災後もモルタル63を堅固に保持し続けることが出来る。金属係止部50を含む金属製のスキンキャッチャー40の材質を例えば、ステンレスとすることで塩害に対してより優れた効果を発揮する。
本発明のモルタル保持具Aに第1係止部10を更に設ければ、更に第1係止部10の周囲を取り囲むように第2係止部35を支持枠30に設けておけば、金属係止部50とこれらが協働して通常時のモルタル保持力を更に大幅に高めることが出来るし、細かい破片の剥落も防止できる。
また、凹溝20とこの凹溝20を跨ぐように第1係止部10を設けることで、凹溝20内に入り込んだ硬化モルタル63を第1係止部10によって抱持状態で保持することができ、この部分の硬化モルタル63の破断を大幅に緩和出来る。
加えて、凹溝20の内面に凸部21が設けておけば、凹溝20の開口幅Wが狭くなるため、凹溝20の全体に入り込んだモルタル63の全体がアンカーの役目を果たし、この部分のモルタル63破損しない限り抜けず、従来の保持具に比べて本発明の保持具Aのモルタル保持力を更に大幅に高める。
これに加えて、フック状の第2係止部35を設けることで、小片に破砕したモルタル63を吊り下げ状で保持できるようになる。
本発明の第1実施形態のコネクター兼用モルタル保持具の斜視図である。 (a)は金属係止部が一体的に形成された金属製のスキンキャッチャーを使用した図1の保持具を斜め上から見た分解斜視図、(b)は金属係止部が別体である金属製のスキンキャッチャーを使用した図1の保持具を斜め上から見た分解斜視図である。 本発明の金属係止部をスキンキャッチャーの本体部分に溶接一体化した縦断面図である。 本発明の金属係止部をスキンキャッチャーの本体部分に圧入一体化した縦断面図である 本発明の第1実施形態のモルタル保持具の施工手順を示す図面で、(a)は型枠の組み立て状況を示す縦断面図、(b)は脱型したときの縦断面図、(c)はモルタルを塗布した状態を示す縦断面図、(d)は火事で樹脂部分が焼失した状態を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態のコネクター兼用モルタル保持具の斜視図である。 金属係止部が別体であるスキンキャッチャーを使用した図6の保持具を斜め上から見た分解斜視図である。 図6の斜め下から見た分解斜視図である。 図6の縦断面図である。 本発明の第2実施形態の樹脂コネクターの変形例1(凸部なし)の平面図である。 図10の正面図と円で囲んだ部分の拡大図である。 図10の凹溝に凸部を設けない場合で、第1係止部の配列状態を示す部分拡大斜視図例で、(a)は千鳥配列、(b)は一列に配列された状態の例示図である。 本発明の樹脂コネクターの変形例2(凸部あり)の正面図である。 本発明の第1係止部の断面形状を示す例で、(a)は第1係止部の断面が四角形であること、(b)は三角形であること、(c)は半円形であることを例示する。 凹溝に凸部を設けた場合で、第1係止部の配列状態を示す部分拡大斜視図例で、(a)は千鳥配列、(b)は一列に配列された状態の例示図である。 本発明の第2係止部を設けた支持枠の平面図である。 図16の縦断面図である。 図17の丸で囲った部分の部分拡大図である。 本発明の第2実施形態のモルタル保持具の施工手順を示す図面で、(a)は型枠の組み立て状況を示す縦断面図、(b)は脱型したときの縦断面図、(c)はモルタルを塗布した状態を示す縦断面図、(d)は樹脂部分が消失した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。コネクター兼用モルタル保持具Aには、図1に示すように金属係止部50だけを使用する場合(第1実施形態)と、図6に示すように金属係止部50と第1,2係止部10・35、凹溝20(凸部21)のいずれか又はその全てを併用する場合(第2実施形態)とがある。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する部分は第1実施形態の記載を援用する。
(第1実施形態)
図1に示すコネクター兼用モルタル保持具Aは、コネクター部1、支持枠30、スキンキャッチャー40、及び金属係止部50とで構成されている。コネクター部1と支持枠30は樹脂の射出成形物であり、スキンキャッチャー40と金属係止部50とは金属製(例えば、ステンレス製)である。
図2(a)に示すコネクター部1は、コネクター本体部分2及びリブ7とで構成され、これらは樹脂で一体的に形成されている。
コネクター本体部分2は、円板状の部分3と、この円板状の部分3の前面側に円形台状に設けられ、モルタル63が塗布される台状部分4、及び円板状の部分3の背面側に設けられた円筒状の部分5とで一体的に構成されている。
円板状の部分3は台状部分4より直径が大であって円板状の部分3と台状部分4の境界には段差が形成されている。
円筒状の部分5は円板状の部分3より直径がかなり小さく、円筒状の部分5と円板状の部分3の背面のコーナー部分には円板状の部分3の補強とコネクター部1の廻り止めとなる直角三角形のリブ7が一体的に設けられている。本実施例では、リブ7は円筒状の部分5の周囲に等角度で6本形成されている。
また、円板状の部分3の外周の前面側には支持枠30を取り付けるための段部8が全周にわたって形成されている。
コネクター本体部分2のモルタル63が塗布される面をモルタル塗布面6とし、更に後述するように型枠71の内面に対向する面でもあるから分かりやすくするために同じ面であるが対向面6とする。
なお、上記コネクター部1と後述する支持枠30の平面形状は円形であるが非円形にすることも可能である。非円形断面形状としては、特に限定されるものではなく、三角形以上の多角形、花形、星形など、いずれであってもよい。
コネクター部1の中心には、コネクター本体部分2を貫通する通孔9が形成され、後述するスキンキャッチャー40が嵌め込まれている。スキンキャッチャー40はコネクター部1の射出成形時にインサート成形されるか、別工程で通孔9に圧入される。台状部分4の対向面(即ち、モルタル塗布面)6は、この場合、単なる平面に仕上げられている。
スキンキャッチャー40は、(イ)図2(a)のように、金属製のナット本体部分40aと金属係止部50とが一体的に製造される場合、(ロ)図3のように金属製のナット本体部分40aの一端に設けられた外鍔部45に金属係止部50を溶接一体化する場合、
(ハ)図4のように金属製のナット本体部分40aに金属係止部50を圧入する場合がある。また、図3、図4の場合、金属係止部50が1つの場合と図2(b)に示すように直径や高さの異なる2以上の金属係止部50a、50bを多重に設ける場合とがある。
(イ)の場合について説明する。このスキンキャッチャー40は、円筒状の金属製のナット本体部分40aとその上端に例えばフォーミング加工にて鍔状に設けられた金属係止部50となる延出部分とで構成される。この延出部分である金属係止部50にはモルタル63の塗布時に未硬化のモルタル63が通過すると共に充填されて硬化するモルタル係止孔52が1乃至複数個穿設されている。モルタル係止孔52の形状は丸でも四角でも扇形でもよく、未硬化のモルタル63が通過可能で硬化したモルタル63が係止できるならばその形状は問わない。
なお、図2(a)の金属係止部50の外周環状部分をリング部分54とし、ナット本体部分40aとリング部分54とを結ぶ部分を連結アーム部分55とする。
リング部分54はナット本体部分40aより直径が大で、連結アーム部分55はナット本体部分40aの端部から放射状に広がってリング部分54に接続している。ナット本体部分40aの母線と連結アーム部分55のなす角度αは鈍角(例えば、135°±20°)である。
(ロ)の場合について説明する。この場合は、金属製のスキンキャッチャー40と金属係止部50とが別体で、金属板(ステンレス製板)をプレス成形したものである。図2(b)、図3はその一例で、篭状にプレス成形したものであるが、これに限られず、硬化したモルタル63が係止できるようなモルタル係止孔52が設けられておれば足る。図の実施例の金属係止部50は、中心に取付孔53aを有する円形の取付部53と、取付部53より直径の大きいリング部分54と、取付部53から放射状に延びてリング部分54に繋っている複数の短冊片状の連結アーム部分55とを備えている。図3は1つの金属係止部50を用い、図2(b)は2つ(或いはそれ以上)の金属係止部50a、50bを用いている。図2(b)の場合は、内側の金属係止部50aに対して外側の金属係止部50bの直径が大きく(更には、高さも高く)大きさの異なるものを重ねて使用することになる。溶接は取付部53の取付孔53aにスキンキャッチャー40のナット本体部分40aを挿入し、ナット本体部分40aの外鍔部45に行われる。これにより、金属係止部50とスキンキャッチャー40のナット本体部分40aとが一体化される。
(ハ)の場合について説明する。この場合は、(ロ)と同様で、1つの金属係止部50、又は2つ(或いはそれ以上)の金属係止部50a、50bを用い、取付部53の取付孔53aにスキンキャッチャー40のナット本体部分40aを圧入して一体化する。
図4のように、圧入リング56を更にナット本体部分40aに圧入し、圧入リング56と外鍔部45で取付部53を押圧挟持するようにしてもよい。
スキンキャッチャー40のナット本体部分40aには躯体コンクリート60側の端面にセパボルト70に螺合させるためのネジ孔43が設けられ、モルタル63側の端面に型枠締付用ボルト72を螺合させるためのネジ孔42が設けられている。これら二つのネジ孔43・42は、仕切壁41を挟んで同軸に設けられている。
仕切壁41は必ずしも必要とするものではなく、両ネジ孔43、42が互いに連通していてもよい。仕切壁41を設けておくと、セパボルト70と型枠締付用ボルト72のいずれか一方が他方のネジ孔まで侵入することにより他方のボルトのネジ孔長を不足させたり、またセパボルトに対するコネクター部1の固定位置を設定し難くする問題を解消することができる。
支持枠30は環状の部材で、必要に応じて内周面の全周にわたって内鍔部31が一体的に突設されている。図1は内鍔部31を設けない例であり、図2は内鍔部31を設けた例である。
内鍔部31を設けた例では、後述するように、内鍔部31に第1係止部10と同方向(型枠71方向)に多数の第2係止部35が一定間隔で設ける場合と、第2係止部35を設けない場合とがあり、図2では第2係止部35を設けない場合とする。
支持枠30の前端面には断面三角形状の環状当接部34が支持枠30の全周にわたって形成されている。環状当接部34の型枠71への当接面積は支持枠30の前端面の面積より小さい。
支持枠30の後端内周部分は段状に形成されており、この部分をコネクター部1に対する嵌め込み段部32とする。また、内鍔部31の内側に形成された大孔を内鍔孔部33とする。
上記モルタル保持具Aの製造方法であるが、コネクター部1と支持枠30とが既述のように別体で射出成形法により樹脂で成形され、コネクター部1の円板状の部分3の外周の段部8に支持枠30の嵌め込み段部32が圧入或いは嵌め込まれて接着により一体化される。
内鍔部31が設けられている場合では、コネクター部1に支持枠30を嵌め込んだ状態で、支持枠30の内鍔部31はコネクター部1の台状部分4の対向面6より前方側(モルタル側)に位置する。
モルタル保持具Aにおいて、金属係止部50(50a・50b)は、モルタル63に対するアンカー効果を発生する手段である。支持枠30は、モルタル保持具Aをコネクターとして使用するとき、型枠71の締付圧を受け止める支持面として作用し、金属係止部50が型枠71の締付圧により押し潰されないように保護する。
図5(a)~(c)は、上述した第1実施形態のモルタル保持具Aを型枠71のコネクターとして使用し、然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する際のモルタル保持具として使用される場合の工程を示したものであり、図5(d)は、建物が火災に遭遇し、樹脂部分であるコネクター部1と支持枠30とが焼失した状態を示す。
まず、図5(a)では、モルタル保持具Aが、型枠71の組み立てにおいて、セパボルト70と型枠締付用ボルト72のコネクターとして使用されている状態を示す。一般にセパボルト70の本数としては、コンクリートの単位表面積当たり4本/m2の割合が配置されている。
セパボルト70毎に、コネクター兼用モルタル保持具Aのネジ孔43をセパボルト70の端部の雄ねじ部分に螺合させ、反対側のネジ孔42に型枠締付用ボルト72を螺合させて両ボルト70,72を連結状態にする。次いで、型枠締付用ボルト72に型枠71の通孔を通し、その型枠71の外側に一対の横端太材73および固定部材74を重ね、最後に型枠締付用ボルト72の端部に締付けナット75を螺合させて締め付ける。
上記のように型枠71を締付けナット75で締め付け固定すると、型枠71から各コネクター兼用モルタル保持具Aの支持枠30に作用する締付圧は200kg/cm2以上にもなる。しかし、コネクター部1の外周には円板状の部分3の段部8に嵌め込まれてバックアップされた支持枠30が存在するので、この支持枠30が型枠71の締付圧を支えて金属係止部50を保護するため、これが押し潰されることはない。
なお、型枠71の内面に直接接触するのは、支持枠30の前端面に設けられた幅の狭い環状当接部34であり、これが型枠71の締付圧により変形して型枠71の当接部分に対する傷付きを緩和している。
このようにして型枠71の組み付けが終了すると、前後の型枠71内の打設用空間にコンクリートを打設する。コンクリートが打設用空間に満杯状態に充填されると、未硬化のコンクリートはセパボルト70と共にコネクター兼用モルタル保持具Aを埋設した状態となる。この時、支持枠30は上記のように型枠71の内面に接してその内側を閉空間Hとしているので、打設されたコンクリートは支持枠30の外側を埋めるが、閉空間Hになっている環状の支持枠30の内側まで流入しない。
打設されたコンクリートが硬化し、躯体コンクリート60が形成されると、次に脱型作業に移る。脱型作業は締付けナット75、固定部材74、横端太材73、型枠71を順次撤去し、最後に型枠締付用ボルト72を回動させて離脱することで行われる。この脱型作業において型枠締付用ボルト72を回動させて離脱させるとき、コネクター部1の躯体コンクリート60内に埋設されたリブ7により、モルタル保持具Aの供回りが阻止され、円滑に離脱させることができる。
この脱型作業において、本発明のモルタル保持具Aのスキンキャッチャー40は、セパボルト70に連結されており、更に支持枠30の外周部分の外鍔により、躯体コンクリート60の表面61から抜け落ちることがなく、図5(b)に示すように、セパボルト70に連結された状態で躯体コンクリート60内に残置される。
脱型すると、躯体コンクリート60の表面61にモルタル保持具Aの金属係止部50を含むモルタル塗布面6が外部に露出する(図5(b))。然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する。モルタル保持具Aの埋設部分では、塗布されたモルタル63の一部は支持枠30の内側に入り込み、金属係止部50のモルタル係止孔52を通過し、金属係止部50全体をモルタル63内に取り込んで硬化する(図5(c))。これにより、高いアンカー効果を発揮する。
(図5(d))は、建物が火災に遭遇し、モルタル保持具Aの樹脂部分であるコネクター部1と支持枠30とが高熱のために炭化或いは焼失した状態を示す。この状態において、スキンキャッチャー40は躯体コンクリート60内に埋設されているセパボルト70に螺着された状態を保つ。
金属係止部50は、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aの端部に設けられた外鍔部45にその取付孔53aが係止され、スキンキャッチャー40から脱落しない。そして、モルタル保持具Aの周囲において、モルタル63に亀裂Kや剥離が発生し、当該部分において躯体コンクリート60からモルタル63が浮いたとしても、そして上記のように樹脂部分の炭化や焼失した状態であったとしても、スキンキャッチャー40の外鍔部45に係止されてスキンキャッチャー40から脱落しない金属係止部50がモルタル63の剥離部分Kを保持することになる。
図2(a)は、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aと金属係止部50が一体物であるから、上記のように樹脂部分が炭化したりや焼失して空洞Vになって金属係止部50を固定することができなくなったとしても、金属係止部50はナット本体部分40aに対してぐらぐらすることはない。
図3のように外鍔部45に金属係止部50の取付部53が溶接により一体化されている場合、或いは、図4のように、スキンキャッチャー40のナット本体部分40aが金属係止部50の取付部53の取付孔53aに圧入され、更にはスキンキャッチャー40のナット本体部分40aに圧入リング56が圧入され、外鍔部45と圧入リング56とで金属係止部50の取付部53を押圧挟持するようにしておけば、上記一体化と同様の効果を持つ。
なお、金属係止部50は、1個でもよいが、図2(b)に示すように、直径の異なる複数の金属係止部50a・50bを重ねるようにしてもよい。これにより、モルタル保持具が向上する。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明する。図6に示すコネクター兼用モルタル保持具Aは、第1実施形態と同様、コネクター部1と支持枠30、スキンキャッチャー40、金属係止部50とで構成されている。第2実施形態と第1実施形態との相違点は、コネクター部1と支持枠30にある。以下、相違点を中心に説明する。
第2実施形態の基本形は、図6、図7に示す金属係止部50と第1,2係止部10、35及び凹溝20(凸部21)を併用する場合であるが、第1,2係止部10、35及び凹溝20の内の1又は複数を選択することができる。凸部21は後述するように凹溝20の内周面に設けられるものであるから,凸部21だけを選択することができず、凹溝20に付随して選択される。
このコネクター部1は、図6、図7に示すようにコネクター本体部分2の台状部分4の対向面(即ち、モルタル塗布面)6に第1係止部10が設けられている場合である。第1係止部10(後述する第2係止部35も同様)としては、未硬化のモルタル63内に深く侵入できる剛性(換言すれば、未硬化のモルタルの流れ込みに屈しない剛性)と、硬化後のモルタル63を支持するだけの破断強度と、且つ硬化後のモルタル63から抜け出ない形状を有するものであれば特に限定されない。
図6の実施形態の第1係止部10はループ形状であるが、例えば、キノコ形フック(脚部の直径より大きい直径の円錐台状の頭部が脚部の先端に設けられているフック)、又は図18に示すような球状フック(脚部36の直径より大きい直径の頭部37が脚部36の先端に設けられているフック)でもよい。ここではループ形状とする。ループの正面形状はモルタル塗布面6から外側に伸びた半円状または半楕円形である。
ループ形状の第1係止部10の横断面形状は、図14(a)~(c)のような内周面側が平面となった四角形や三角形、或いは半円形などが考えられる。第1係止部10の内周面側が平面となっておれば、引っ張り力が加わった場合、内周面全面に力が分散して第1係止部10が切れにくい。また、図示していないが第1係止部10の太さ全体を同じ太さで形成してもよいし、脚部11の太さを基部に近づくほど漸増するようにしてもよい。後者の場合、引っ張り力が加わった場合、脚部11が基部から切れにくくなる。
ループ形状の第1係止部10は、第1実施形態の図2に示すコネクター本体部分2のモルタル塗布面6のように平坦な面に形成してもよいが、図7、図11、図13に示すような凹溝20が形成されているモルタル塗布面6に設けてもよい。
台状部分4の対向面(即ち、モルタル塗布面)6に設けられた凹溝20は、台状部分4の一方の側面から他方の側面に貫通し、且つ等間隔で複数条刻設されている。中央部分の複数の凹溝20は通孔9に交差して円形に切り取られている。凹溝20の横断面形状は、本実施例ではコネクター部1の中心軸に平行な方向に伸びた半円状又は半楕円状に形成されている。そして、凹溝20の間の部分を畝状部4aとする。なお、凹溝20の横断面形状は上記に限られず、図示していないが、矩形その他の形状とすることが出来る。
ループ形状の第1係止部10は、図に示する実施例では凹溝20を跨ぐように形成される。これにより、第1係止部10と凹溝20とで略円形又は楕円形空間が形成され、この空間内にモルタル63が入り込む。第1係止部10を半楕円形することで、第1係止部10に加わった引っ張り力が脚部11に垂直に加わるようになりループが切れにくくなる。
第1係止部10の配列は、図12(a)のように千鳥状、又は同図(b)のように一列に配列して突設されている。
千鳥状の配列とは、隣接する第1係止部10が、隣り合う2つの凹溝20を交互に跨ぐように配列される状態であり、列状の配列とは、隣接する第1係止部10が、同じ凹溝20を跨ぐように配列される状態である。
ループ状の第1係止部10を千鳥状に並べると、隣接する第1係止部10の前後する脚部11が同じ畝状部4aに連なるように設けることができるので、同一面積内では列状に配列する場合に比べてより多くの第1係止部10を設けることができる。
ループ状の第1係止部10と凹溝20で構成された係止空間はこの部分にモルタル63が塗り込まれて硬化した時、この部分のモルタル63を抱持することになるので、係止するためのアンカー効果を強くする。
凹溝20の内周面に凸部21を更に形成してもよい。図13の凸部21は、台状部分4のモルタル塗布面6に開く凹溝20の開口に沿って一体的に突設されている。図の実施例では、凹溝20の開口の両側に凸部21が設けられているが、一方だけでもよい。
また、図示していないが、凸部21の形成位置はモルタル塗布面6の開口縁に沿う内周面でなく、開口縁から奥に入った凹溝20の内側でも良い。また、図の実施例では、凸部21は凹溝20の全長に亙って形成されるようになっているが、成形可能な限り、凹溝20の一部としてもよい。
凸部21の横断面形状は、図14(a)に示すように、四角形や、同図(b)に示すように、凹溝20の入隅22を鋭角に切り込んでもよいし、同図(c)に示すように、凹溝20と第1係止部10とに跨る境界部分に凸部21を設けてもよい。この場合は、第1係止部10の脚部11が太くなるので、この部分の強度を高めることができる。第2実施形態の保持具Aは、上記凹溝20に凸部21を設けただけのものでも良いが、上記の第1係止部10を更に設けることも出来る。ここでは第1係止部10を設けた事例で説明する。
第1係止部10と金属係止部50との関係は、図6、図9に示すように、金属係止部50の収納領域を空けるように通孔9の周囲に第1係止部10が設けられない部分がモルタル塗布面6に設けられ、この部分に金属係止部50が設置される。そして、当該部分に設置された金属係止部50の周囲を取り囲むように第1係止部10が設けられる状態となる。図の実施例では金属係止部50は1個であるが、スペースが許せば複数個の金属係止部50a・50bを設置することができる。
第2実施形態の支持枠30は、第1実施形態と同様、内鍔部31を設けない例と、内鍔部31を設けた例がある。内鍔部31を設けた例では、内鍔部31に第1係止部10と同方向に多数の第2係止部35が一定間隔で設ける場合と、第2係止部35を設けない場合とがある。図6、図7では第2係止部35を設けた場合でこれを代表例とする。
内鍔部31には第1係止部10と同方向に多数の第2係止部35が一定間隔で設けられている。第2係止部35も上記のように未硬化のモルタル63内に深く侵入できる剛性を有し、かつ硬化後のモルタル63を支持するだけの破断強度を有し、且つ硬化後のモルタル63から脱落しない形状を有するものであれば特に限定されない。ここでは、脚部36より直径が大で球状の頭部37を有する球状フックが用いられている。球状フック型の第2係止部35の脚部36は、図18から分かるように、支持枠30の中心方向に向けて湾曲している。これにより、モルタル63の塗布時の圧力によって中心方向に変形することになるので、保持具Aの中心方向(換言すれば、第1係止部10)に向かってモルタル63が充填されやすくなる。
第2実施形態のモルタル保持具Aの製造方法も第1形態と同様である。即ち、コネクター部1に支持枠30を嵌め込んだ状態では、支持枠30の内鍔部31はコネクター部1の台状部分4より前方側(モルタル側)に位置し、第1係止部10の全体が内鍔孔部33にて内側に囲まれた状態となり、第1係止部10の全体をその周囲から第2係止部35が囲むようになる。この時、第2係止部35は第1係止部10より高く、第2係止部35の頭部37が最外周の第1係止部10の上端より上に位置し、これに被さるようになる。従って、第1係止部10は支持枠30の前端の環状当接部34より低い位置にある。
図19(a)~(c)は、上述した第2実施形態のモルタル保持具Aを型枠71のコネクターとして使用し、然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する際のモルタル保持具として使用される場合の工程を示したもので、手順は第1実施形態と同じである。
第2実施形態では、金属係止部50の他に第1係止部10、第2係止部35、(凸部21を有する凹溝20)を設けてある。第2実施形態のモルタル保持具Aには金属係止部50、第1係止部10、第2係止部35と同等以上の高さを持ち、円板状の部分3の段部8に嵌め込まれてバックアップされた支持枠30が存在するので、この支持枠30が型枠71の締付圧を支えて第1係止部10、第2係止部35、金属係止部50を保護するため、第1係止部10、第2係止部35、金属係止部50が押し潰されることはない。
型枠71の組み付けが終了すると、前後の型枠71内の打設用空間にコンクリートを打設する。打設されたコンクリートは支持枠30の外側を埋めるが、閉空間Hになっている環状の支持枠30の内側まで流入しない。そして、打設コンクリートが硬化し、躯体コンクリート60が形成されると、次に脱型作業に移り、第2実施形態のモルタル保持具Aは、セパボルト70と連結された状態で躯体コンクリート60内に残置される。
脱型すると、躯体コンクリート60の表面61にモルタル保持具Aの第1係止部10及び第2係止部35、金属係止部50、(凸部21を有する凹溝20)を含むモルタル塗布面6が外部に露出する(図19(b))。
然る後、躯体コンクリート60の表面61にモルタル63を塗布する。モルタル保持具Aの埋設部分では、塗布されたモルタル63の一部は、凹溝20が設けられている場合には、支持枠30の内側の凹溝20の全長に入り込み、且つ第1係止部10及び第2係止部35、金属係止部50をモルタル63内に取り込んで硬化する(図19(c))。
凸部21を設けている場合には、凹溝20内において、凸部21の入隅22内にモルタル63が更に入り込む。
第1係止部10の内側に入り込んで硬化したモルタル63は、凹溝20の全長に入り込んだモルタル63と一体化して当該部分のモルタル63の全体を抱きかかえるような状態となる。そして、凹溝20内に侵入したモルタル63は、凸部21が存在する場合、凹溝20内に設けられた凸部21がネックとなり、凹溝20内で硬化したモルタル63の侵入部分が凸部21の全長に亙って係止され、凸部21内で固まったモルタル63が凹溝20内から脱落しない。そしてこの凸部21は凹溝20の内周面にコネクター部1の一部として設けられているので、細いループ状の第1係止部10と異なり、破損しにくく、しかも剪断力を受けないのでモルタル保持力を飛躍的に高める。換言すれば、凸部21と第1係止部10との相乗効果で従来の保持具より、少なくとも2.6倍の高いアンカー効果を発揮する。仮に、第1係止部10が切断しても凸部21による係止は残り、これだけでも高いアンカー効果を発揮する。
第2係止部35は、頭部37が脚部36より直径が大であるから、硬化したモルタル63に頭部37と脚部36を埋設した状態となる。この部分が埋設されている部分のモルタル63が細かく割れて小さな破片となった場合、直径の大きな頭部37が割れた破片から抜けず、これを壁面からぶら下げるような形となり、モルタル破片の剥落も防止できるようになる。
(図19(d))は、第1実施形態と同様、建物が火災に遭遇し、モルタル保持具Aの樹脂部分であるコネクター部1と支持枠30とが高熱のために炭化或いは焼失した状態を示す。この状態における金属係止部50の作用効果については、第1実施形態の記載を援用する。
なお、本発明のモルタル保持具Aに使用される樹脂としては、射出成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましいが、必要により熱硬化性樹脂であってもよい。例えば熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド(変性PPO)、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマーなどを例示することができる。しかし、コンクリートはアルカリ性であるので、これらのうちでも耐アルカリ性に優れ、かつ耐熱性に優れているPPS樹脂やナイロン樹脂が特に好ましい。
また、これらの樹脂には、ガラス繊維、炭素繊維などの短繊維状の補強繊維を混入させた繊維強化樹脂を使用してもよい。繊維強化樹脂の場合は、モルタルの接着力を一層向上させ、剥落防止性能をさらに向上させることができる。
A:コネクター兼用モルタル保持具、H:閉空間、K:剥離(膨れ、亀裂)、V:空洞、W:開口幅、1:コネクター部、2:コネクター本体部分、3:円板状の部分、4:台状部分、4a:畝状部、5:円筒状の部分、6:対向面(モルタル塗布面)、7:リブ、8:段部、9:通孔、10:第1係止部、11:脚部、20:凹溝、21:凸部、22:入隅、30:支持枠、31:内鍔部、32:嵌め込み段部、33:内鍔孔部、34:環状当接部、35:第2係止部、36:脚部、37:頭部、40:スキンキャッチャー、40a:ナット本体部分、41:仕切壁、42:(型枠締付用ボルトの)ネジ孔、43:(セパボルト用の)ネジ孔、45:外鍔部、50:金属係止部、52:モルタル係止孔、53:取付部、53a:取付孔、54:リング部分、55:連結アーム部分、56:圧入リング、60:躯体コンクリート、61:表面、63:モルタル、70:セパボルト、71:型枠、72:型枠締付用ボルト、73:横端太材、74:固定部材、75:締付けナット

Claims (8)

  1. コンクリート打設用の型枠内にセットされるセパボルトに連結される金属製のスキンキャッチャーと、
    前記スキンキャッチャーが取り付けられて躯体コンクリート内に埋設され、前記型枠に対する対向面が躯体コンクリートの表面に露出する樹脂製のコネクター部と、
    前記コネクター部に取り付けられ、前記型枠の内面に当接し、前記内面と前記内面に対する前記コネクター部の対向面との間の空間を囲繞して閉空間とする支持枠と、
    前記閉空間内にてスキンキャッチャーから延出し、前記躯体コンクリートの表面に塗布されたモルタルを保持する金属係止部とで構成されたコネクター兼用モルタル保持具において、
    モルタルが塗布されるコネクター部の対向面に凹溝が形成され、
    前記凹溝の開口に沿って、前記凹溝の開口縁又は開口縁から奥に入った前記凹溝の内面に凸部が形成され
    前記支持枠の内周面の全周にわたって内鍔部が一体的に突設され、前記内鍔部は前記コネクター部の前記対向面より前方側に位置し、内周に内鍔孔部が形成されていることを特徴とするコネクター兼用モルタル保持具。
  2. 金属係止部にモルタルを保持するモルタル係止孔が穿設されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  3. 金属係止部は、スキンキャッチャーのナット本体部分から一体的に延出された外鍔状の延出部分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  4. 金属係止部は、スキンキャッチャーのナット本体部分とは別体に形成され、前記ナット本体部分に溶接されて前記ナット本体部分から一体的に延出されている外鍔状の延出部分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  5. 金属係止部は、スキンキャッチャーのナット本体部分とは別体に形成され、前記金属係止部に穿設した取付孔に前記ナット本体部分が圧入されて前記ナット本体部分から一体的に延出されている外鍔状の延出部分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  6. 前記コネクター部の前記対向面に塗布された前記モルタル内に埋設される第1係止部が前記対向面に更に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  7. 第1係止部が、前記凹溝を跨ぐように設けられていることを特徴とする請求項6に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
  8. 前記閉空間内で、支持枠から前記第1係止部の周囲を取り囲むように、塗布された前記モルタル内に埋設されるフック状の第2係止部が設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のコネクター兼用モルタル保持具。
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