JP4161169B2 - 耐食性希土類磁石の製造方法 - Google Patents

耐食性希土類磁石の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、R−T−M−B(RはNd又はNdとY、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれる少なくとも一種との組合せである希土類元素、TはFe又はFe及びCo、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5質量%≦R≦40質量%、50質量%≦T≦90質量%、0質量%≦M≦8質量%、0.2質量%≦B≦8質量%)で表記されるNd−Fe−B系希土類永久磁石の耐食性を向上させた耐食性希土類磁石製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
希土類永久磁石は、その優れた磁気特性のため、各種電気製品やコンピュータの周辺機器等、幅広い分野で多用されており、重要な電気、電子材料である。特に、Nd−Fe−B系永久磁石は、Sm−Co系永久磁石に比べて主要元素であるNdがSmより豊富に存在すること、Coを多量に使用しないことから原材料費が安価であり、磁気特性もSm−Co系永久磁石をはるかにしのぐ極めて優れた永久磁石である。このため、近年ますますNd−Fe−B系永久磁石の使用量は増大し、用途も広がりつつある。
【0003】
しかし、Nd−Fe−B系永久磁石は、主成分として希土類元素及び鉄を含有するため、湿度をおびた空気中で短時間の内に容易に酸化するという欠点を持っている。このため、磁気回路に組み込んだ場合には、これらの酸化により磁気回路の出力が低下したり、錆が機器周辺を汚染する問題がある。
【0004】
特に最近は、自動車用モータやエレベータ用モータなどのモータ類にもNd−Fe−B系永久磁石が使われはじめているが、これらは高温かつ湿潤な環境での使用を余儀なくされる。また、塩分を含んだ湿気に曝されることも想定しなくてはならず、より高い耐食性を低コストで実現することが要求されている。更に、これらのモータ類は、その製造工程において短時間ではあるが磁石が300℃以上に加熱されることがあり、このような場合には耐熱性も併せて要求される。
【0005】
Nd−Fe−B系永久磁石の耐食性を改善するため、多くの場合、樹脂塗装、Alイオンプレーティング、Niメッキ等の各種表面処理が施されるが、上記のような厳しい条件にこれらの表面処理で対応することは現段階の技術では難しい。例えば、樹脂塗装は耐食性が不足する上、耐熱性がない。Niメッキにはピンホールがわずかながら存在するため、塩分を含んだ湿気中では錆が発生する。イオンプレーティングは耐熱性、耐食性が概ね良好であるが、大掛かりな装置を必要とし、低コストを実現するのは困難である。
【0006】
本発明は、上記のような過酷な条件での使用に耐えるNd磁石等のR−T−M−B希土類永久磁石を提供するためになされたもので、該磁石に耐食性、耐熱性を有する皮膜を付与した、耐食性希土類磁石製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、R−T−M−B(RはNd又はNdとY、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれる少なくとも一種との組合せである希土類元素、TはFe又はFe及びCo、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5質量%≦R≦40質量%、50質量%≦T≦90質量%、0質量%≦M≦8質量%、0.2質量%≦B≦8質量%)で表記されるNd−Fe−B系希土類永久磁石を、該永久磁石より卑な電位を持つ金属又は合金であって、Al、Mg、Ca、Zn、Si、Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種であるフレーク状微粉末とシリコーン樹脂とを含む処理液に浸漬、又は該磁石に該処理液を塗布した後、加熱することにより、該フレーク状微粉末とシリカ等の上記シリコーン樹脂酸化物とが複合した、平均厚みが1〜40μmであり、フレーク状微粉末の含有量 が40質量%以上95質量%以下である複合皮膜を該磁石表面に形成することにより、高耐食性希土類磁石を提供できることを知見し、諸条件を確立して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本発明は、R−T−M−B(RはNd又はNdとY、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれる少なくとも一種との組合せである希土類元素、TはFe又はFe及びCo、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5質量%≦R≦40質量%、50質量%≦T≦90質量%、0質量%≦M≦8質量%、0.2質量%≦B≦8質量%)で表記されるNd−Fe−B系希土類永久磁石を、Al、Zn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の上記永久磁石より卑な電位を持つフレーク状微粉末とシリコーン樹脂とを含む処理液で処理した後、200℃以上350℃未満の温度で加熱して、平均厚みが1〜40μmであり、フレーク状微粉末の含有量が40質量%以上95質量%以下である複合皮膜を形成することを特徴とする耐食性希土類磁石の製造方法を提供する。
【0009】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において、希土類永久磁石としては、Nd−Fe−B系永久磁石等のR−T−M−B(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種、好ましくはNd又は主成分としてのNdと他の希土類元素の組み合わせ、TはFe又はFe及びCo、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5質量%≦R≦40質量%、50質量%≦T≦90質量%、0質量%≦M≦8質量%、0.2質量%≦B≦8質量%)で表記される希土類永久磁石を使用する。
【0010】
ここで、RはYを含む希土類元素、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、特にNdを含むものが好適に用いられ、その含有量は5質量%≦R≦40質量%、好ましくは10質量%≦R≦35質量%である。
【0011】
また、TはFe又はFe及びCoであり、その含有量は50質量%≦T≦90質量%、好ましくは55質量%≦T≦80質量%である。
【0012】
一方、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であり、その含有量は0質量%≦M≦8質量%、好ましくは0質量%≦M≦5質量%である。
【0013】
更に、上記焼結磁石は、Bを0.2質量%≦B≦8質量%、好ましくは0.5質量%≦B≦5質量%含有する。
【0014】
本発明に用いられるNd−Fe−B系永久磁石等のR−T−M−B系永久磁石を製造するにあたっては、まず原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中で溶解して作製する。原料金属は純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、更にはこれらの合金等を使用するが、工業生産において不可避な各種不純物、代表的にはC、N、O、H、P、S等は含まれるものとする。得られた合金はR2Fe14B相の他にαFe、Rリッチ相、Bリッチ相などが残る場合があり、必要に応じて溶体化処理を行う。その時の条件は真空又はAr等の不活性雰囲気下700〜1,200℃の温度で1時間以上熱処理すればよい。
【0015】
次に、作製された原料金属は粗粉砕、微粉砕と段階的に粉砕される。平均粒径は0.5〜20μmの範囲がよい。0.5μm未満では酸化され易く、磁気特性が低下してしまう場合がある。また、20μmを超えると焼結性が悪くなる場合がある。
【0016】
微粉は磁場中成形プレスによって所定の形状に成形され、続いて焼結を行う。焼結は900〜1,200℃の温度範囲で真空又はAr等の不活性雰囲気下にて30分以上行う。焼結後、更に焼結温度以下の低温で30分以上時効熱処理する。
【0017】
磁石を製造する方法としては、上記の方法だけでなく、2種類の組成の異なる合金粉末を混合、焼結して高性能Nd磁石を製造する、いわゆる2合金法を用いてもよい。特許第2853838号、特許第2853839号公報、特開平5−21218号、特開平5−21219号、特開平5−74618号、特開平5−182814号公報には、磁性体構成相の種類、特性等を考慮して2種類の合金の組成を決定し、これらを組み合わせることにより、高残留磁束密度と高保磁力、更に高エネルギー積を有するバランスのとれた高性能Nd磁石を製造する方法が提案されており、本発明はこれらの製造法を採用することができる。
【0018】
本発明における前記永久磁石には、工業生産において不可避な不純物元素、代表的にはC、N、O、H、P、S等が含まれるが、その総和は2質量%以下であることが望ましい。2質量%を超えると永久磁石中の非磁性成分が多くなって、残留磁束密度が小さくなるおそれがある。また、希土類元素がこれら不純物に消費されてしまい、焼結不良になり、保磁力が低くなるおそれがある。不純物の総和は低ければ低いほど残留磁束密度、保磁力ともに高くなり、好ましい。
【0019】
本発明においては、前記永久磁石の表面にフレーク状微粉末とシリコーン樹脂とを含む処理液の処理膜を加熱することによって得られる複合皮膜を形成する。
【0020】
ここで、フレーク状微粉末としては、Al、Zn及びこれらの合金から選ばれる少なくとも一種が使用できる。また、本発明にて使用するフレーク状微粉末の形状は、平均長径が0.1〜15μm、平均厚さが0.01〜5μmであって、かつアスペクト比(平均長径/平均厚さ)が2以上のものが好ましい。より好ましくは平均長径が1〜10μm、平均厚さが0.1〜0.3μmであって、かつアスペクト比(平均長径/平均厚さ)が10以上のものである。平均長径が0.1μm未満では、フレーク状微粉末が素地に平行に積層せず、密着力が不足するおそれがある。平均長径が15μmを超えると、加熱焼付けの時、蒸発した処理液の溶媒によりフレークが持ち上げられ、素地に平行に積層せず、その結果密着の悪い皮膜になってしまうおそれがある。また、皮膜の寸法精度上、平均長径は15μm以下が望ましい。平均厚さが0.01μm未満のものは、フレークの製造段階でフレーク表面が酸化してしまい、膜が脆くなって耐食性が悪化する場合がある。平均厚さが5μmを超えると、前記処理液中でのフレークの分散が悪くなって沈降し易くなり、処理液が不安定になって、その結果耐食性が悪くなる場合がある。アスペクト比が2未満だとフレークが素地に平行に積層しにくく密着不良になるおそれがある。アスペクト比の上限はないが、あまり大きいものはコスト的に好ましくない。通常、アスペクト比の上限は、100である。
【0021】
一方、シリコーン樹脂としては、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンなどのシリコーンレジンや、シリコーンを様々な有機樹脂で変性した変性シリコーンレジン、例えばシリコーンポリエステルやシリコーンエポキシ、シリコーンアルキッド、シリコーンアクリル等の各種シリコーンレジンを用いることができ、これらはシリコーンワニス等の形態で用いることができる。なお、これらのシリコーン樹脂乃至シリコーンワニスは、市販品を使用することができる。
【0022】
前記処理液の溶媒としては、水や有機溶剤が使用し得、処理液中のフレーク状微粉末及びシリコーン樹脂の配合量は後述する複合皮膜中のフレーク状微粉末含有量が達成されるように選定される。
【0023】
この処理液を作製するにあたっては、その性能改善のため、分散剤、沈降防止剤、増粘剤、消泡剤、皮張り防止剤、乾燥剤、硬化剤、たれ防止剤などの各種添加剤を最大10質量%添加してもよい。
【0024】
本発明においては、前記処理液に磁石を浸漬又は該磁石に該処理液を塗布後、加熱処理を行って硬化させる。浸漬及び塗布方法については、特に限定するものではなく、公知な方法で上記処理溶液により皮膜を形成させればよい。また、加熱温度は200℃以上350℃未満にて30分以上、真空、大気、不活性ガス雰囲気等で維持することが望ましい。200℃未満では硬化が不十分で、密着力も耐食性も悪くなるおそれがある。また、350℃以上にすると、下地の磁石がダメージを受け、磁気特性劣化の原因になる場合がある。なお、加熱時間の上限は特に制限されないが、通常1時間である。
【0025】
本発明における皮膜の形成にあたっては、繰り返して重ね塗りと加熱処理を行ってもよい。
【0026】
上記処理液による処理膜は、フレーク状微粉末がシリコーン樹脂により結合された構造となる。本発明の複合皮膜が高い耐食性を示す理由は定かではないが、微粉末がフレーク状であるため、これが素地に概ね平行にそろい、よく磁石を被覆し、遮蔽効果を持つものと考えられる。また、フレーク状微粉末として永久磁石より卑な電位を持つ金属あるいは合金を用いたときは、これらが先に酸化され、下地の磁石の酸化を抑制する効果があると考えられる。更に、生成された皮膜は無機物を多く含み、有機皮膜に比べて耐熱性が高いという特徴も有する。
【0027】
なお、シリコーン樹脂は、前記加熱処理により徐々に分解、蒸発してシリカに変化していくものと考えられる。従って、複合皮膜は、前記フレーク状微粉末とシリコーン樹脂の酸化に由来するシリコーン樹脂酸化物及び/又は残存シリコーン樹脂から本質的になる複合皮膜と考えられる。なお、上記シリコーン樹脂酸化物はシリカ乃至はシリカ前駆物質(シリコーン樹脂の部分酸化物)である。
【0028】
本発明で形成される複合皮膜において、フレーク状微粉末の含有量は4質量%以上であり、その上限は、95質量%以下である。40質量%未満では微粉末が少なすぎて磁石素地を十分に被覆しきれないので耐食性が低下するおそれがある。
【0029】
本発明における皮膜の平均厚さは1〜40μm、好ましくは5〜25μmの範囲である。1μm未満では耐食性が不足し、40μmを超えると、密着力低下や層間剥離を起こし易くなる場合があり、更に、皮膜を厚くすると外観形状が同一であっても、使用できるR−Fe−B系永久磁石の体積が小さくなるため、磁石使用上不利が生じる場合がある。
【0030】
また、本発明では磁石の表面に前処理を施してもよい。前処理としては酸洗浄、アルカリ脱脂、ショットブラストの中から選ばれる少なくとも一種類の方法を挙げることができ、具体的には(1)酸洗浄、水洗、超音波洗浄、(2)アルカリ洗浄、水洗、(3)ショットブラスト等から選ばれる少なくとも一種類の処理を行う。(1)で使用する洗浄液としては、硝酸、塩酸、酢酸、クエン酸、蟻酸、硫酸、フッ化水素酸、過マンガン酸、蓚酸、ヒドロキシ酢酸、燐酸の中から選ばれる少なくとも一種以上を合計で1〜20質量%含む水溶液を用い、これを常温以上80℃以下の温度にして希土類磁石を浸漬する。酸洗浄を行うことにより、表面の酸化皮膜を除去することができ、前記皮膜の密着力を向上させる効果がある。(2)で用いることができるアルカリ洗浄液は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、シアン化ナトリウム、キレート剤などの少なくとも一種以上を合計で5〜200g/L含む水溶液であり、これを常温以上90℃以下の温度にして希土類磁石を浸漬すればよい。アルカリ洗浄は磁石表面に付着した油脂類の汚れを除去する効果があり、前記皮膜と磁石の間の密着力を向上させる。(3)のブラスト材としては、通常のセラミックス、ガラス、プラスチック等を用いることができ、吐出圧力2〜3kgf/cm2にて処理すればよい。ショットブラストは磁石表面の酸化皮膜を乾式で除去でき、やはり密着性を上げる効果がある。
【0031】
【実施例】
以下、実施例比較例及び参考例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0032】
[実施例、比較例、参考例
Ar雰囲気の高周波溶解により質量比で32Nd−1.2B−59.8Fe−7Coなる組成の鋳塊を作製した。この鋳塊をジョウクラッシャーで粗粉砕し、更に窒素ガスによるジェットミルで微粉砕を行って平均粒径が3.5μmの微粉末を得た。次に、この微粉末を10kOe磁界が印加された金型内に充填し、1.0t/cm2の圧力で成形した。次いで真空中1,100℃で2時間焼結し、更に550℃で1時間時効処理を施して永久磁石とした。得られた永久磁石から径21mm×厚み5mm寸法の磁石片を切り出し、バレル研磨処理を行った後、超音波水洗を行い、これを試験片とした。
【0033】
一方、皮膜形成のための処理液として、アルミニウムフレークと亜鉛フレークをシリコーンワニスに分散させたものを準備した。この場合、処理液は、硬化した複合皮膜中のアルミニウムフレーク(平均長径3μm、平均厚さ0.2μm)が8質量%、亜鉛フレーク(平均長径3μm、平均厚さ0.2μm)が80質量%で、硬化皮膜中のアルミニウム、亜鉛の合計量が88質量%になるように調整した。この処理液を所定の膜厚になるようにスプレーガンにて前記試験片に吹き付けた後、熱風乾燥炉で300℃にて大気中で30分加熱して皮膜を形成した。硬化した複合皮膜中のアルミニウム、亜鉛の含有量は上記の通りであり、また残部は、上記シリコーンワニスが完全に酸化されることにより生成されるシリカ及びシリコーンワニスの部分酸化物であった。このようにして作成した試験片を以下のような性能試験に供した。性能試験法は以下の通りである。
(1)碁盤目密着性試験
JIS−K−5400碁盤目試験に準ずる。カッターナイフで皮膜に1mmのマス100個ができるように碁盤目状の切り傷を入れた後、セロファンテープを強く押しつけ、45度の角度に強く引いて剥がし、残った碁盤目の数で密着性を評価する。
(2)塩水噴霧試験
JIS−Z−2371中性塩水噴霧試験法による。5%食塩水を35℃にて連続噴霧し、茶錆が発生するまでの時間で評価した。
【0034】
実施例1,2、比較例1〜4
ここで、複合皮膜の膜厚は10μmになるようにスプレーガンにて吹付けを行った。実施例1では、信越化学工業(株)製ストレートシリコーンワニスKR−271を、実施例2では信越化学工業(株)製ポリエステルシリコーンワニスKR−5230を用いた。
【0035】
比較のため、前記試験片に膜厚を10μmに調整したAlイオンプレーティング、Niメッキ、エポキシ樹脂塗装を施したサンプルも作製し、塩水噴霧試験を行った。また、350℃にて4時間加熱した後の皮膜の外観変化を目視にて調べた。これらの結果を併せて表1に示す。本発明に記載の永久磁石は、他の表面処理を施した永久磁石と比べて、耐食性と耐熱性を併せ持っていることがわかる。
【0036】
【表1】
Figure 0004161169
【0037】
実施例3〜5、参考例1,2
ここでは膜厚を変えたサンプルを作製し、碁盤目密着性試験と塩水噴霧試験を行った。処理液には実施例1で使用したものと同じものを使用した。結果を表2に示す。これより、膜厚が薄すぎると耐食性が不足し、厚すぎると密着性が劣る場合がある。
【0038】
【表2】
Figure 0004161169
【0039】
実施例6,7、参考例3
ここでは複合皮膜中におけるフレーク状微粉末の含有割合を変えた以外は実施例1と同様のサンプルを作製し、塩水噴霧試験を行った。処理液に含まれるフレーク状微粉末には、フレーク状アルミニウム粉末、フレーク状亜鉛粉末(ともに平均長径3μm、平均厚さ0.2μm)を質量比で1:10の割合で混合した混合粉末を用いた。処理液中に占める混合粉末の質量比は、複合皮膜中のフレーク状微粉末の含有割合が表3に記載した値になるように調整して決定した。なお、複合皮膜中のフレーク状微粉末以外の残部はシリカ及びシリコーンワニス部分酸化物であった。また、膜厚は10μmになるように調整した。結果を表3に示す。これより、皮膜中のフレーク状微粉末の含有割合が少なすぎると、耐食性が悪くなる場合がある。
【0040】
【表3】
Figure 0004161169
【0041】
実施例8〜20
ここでは使用するフレーク状微粉末の形状を変えた以外は実施例1と同様のサンプルを作製し、碁盤目密着性試験と塩水噴霧試験を行った。膜厚は10μmになるようにした。結果を表4に示す。実施例12より、平均長径が短すぎても長すぎても密着が悪い場合があることがわかる。また、実施例1317より平均厚さが薄すぎても厚すぎても耐食性が悪くなる場合がある。実施例1820より、アスペクト比が小さすぎると密着不良になる場合がある。
【0042】
【表4】
Figure 0004161169
【0043】
実施例21〜24
実施例1において、下記の前処理を施した後、アルミニウムフレークと亜鉛フレークを分散させたシリコーンワニスによる被覆を行い、350℃にて30分加熱した以外は、実施例1と同様に永久磁石を得た。
[酸洗浄]
組成:硝酸10%(v/v)、硫酸5%(v/v)
50℃にて30秒間浸漬
[アルカリ洗浄]
組成:水酸化ナトリウム10g/L、メタケイ酸ナトリウム3g/L、燐酸三
ナトリウム10g/L、炭酸ナトリウム8g/L、界面活性剤2g/L
40℃にて2分間浸漬
[ショットブラスト]
#220の酸化アルミニウムを用い、吐出圧力2kgf/cm2にて処理
【0044】
前記皮膜を形成した磁石に120℃,2気圧,200時間のプレッシャークッカー試験を施し、この試験後磁石に対して碁盤目密着性試験を行った。試験内容はJIS−K−5400碁盤目試験に準じ、カッターナイフで皮膜に1mmのマス100個ができるように碁盤目状の切り傷を入れた後、セロファンテープを強く押しつけ、45度の角度に強く引いて剥がし、残った碁盤目の数で密着性を評価した。結果を表5に示す。前処理を行うことにより、密着力が向上していることがわかる。
【0045】
【表5】
Figure 0004161169
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、希土類永久磁石の表面に、該永久磁石より卑な電位を持つ金属又は合金であって、Al、Mg、Ca、Zn、Si、Mn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種であるフレーク状微粉末とシリコーン樹脂由来の酸化物の複合した密着性の高い皮膜を付与することにより、耐食性永久磁石を安価に提供することができ、産業上その利用価値は極めて高い。

Claims (3)

  1. R−T−M−B(RはNd又はNdとY、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれる少なくとも一種との組合せである希土類元素、TはFe又はFe及びCo、MはTi、Nb、Al、V、Mn、Sn、Ca、Mg、Pb、Sb、Zn、Si、Zr、Cr、Ni、Cu、Ga、Mo、W、Taから選ばれる少なくとも一種の元素であって、各元素の含有量がそれぞれ5質量%≦R≦40質量%、50質量%≦T≦90質量%、0質量%≦M≦8質量%、0.2質量%≦B≦8質量%)で表記されるNd−Fe−B系希土類永久磁石を、Al、Zn及びこれらの合金の中から選ばれる少なくとも一種の上記永久磁石より卑な電位を持つフレーク状微粉末とシリコーン樹脂とを含む処理液で処理した後、200℃以上350℃未満の温度で加熱して、平均厚みが1〜40μmであり、フレーク状微粉末の含有量が40質量%以上95質量%以下である複合皮膜を形成することを特徴とする耐食性希土類磁石の製造方法。
  2. 前記希土類永久磁石の表面を酸洗浄、アルカリ脱脂、ショットブラストの中から選ばれる少なくとも一種の前処理を施した後、前記処理液による処理を行うようにした請求項記載の耐食性希土類磁石の製造方法。
  3. 複合皮膜を構成するフレーク状微粉末の形状が、平均長径で0.1〜15μm、平均厚さ0.01〜5μm、アスペクト比(平均長径/平均厚さ)が2以上であるものである請求項1又は2記載の耐食性希土類磁石の製造方法。
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