JP2005322810A - 希土類磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気特性の劣化が十分に抑制された希土類磁石を提供すること。
【解決手段】 希土類元素を含有する磁石素体3と、その磁石素体3の表面上に形成されたポリカルボシランを含有する保護層5とを備えることを特徴とする希土類磁石1。
【選択図】 図2

Description

本発明は、希土類磁石、特に表面上に保護層が形成された希土類磁石に関するものである。
近年、25MGOe以上の高エネルギー積を示す永久磁石として、いわゆる希土類磁石(R−Fe−B系磁石;Rはネオジム(Nd)などの希土類元素を示す。以下、同様。)が開発されている。このような希土類磁石としては、例えば、特許文献1では焼結により形成されるものが、また特許文献2では高速急冷により形成されるものが開示されている。
この希土類磁石は高エネルギー積を示すものの、主成分として比較的容易に酸化される希土類元素及び鉄を含有するため耐食性が比較的低い。
このような希土類磁石の耐食性を改善することを目的として、保護層を形成することが提案されている。この中でも、特許文献3では、エポキシ樹脂やアクリル樹脂を含む塗布液を用いて希土類磁石の保護層を形成する技術が開示されている。
特開昭59−46008号公報 特開昭60−9852号公報 特開昭60−63901号公報
しかしながら、上記特許文献3の耐酸化性樹脂層が形成された希土類磁石では、腐食性環境下で長期間使用すると磁気特性が劣化することが明らかになった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、磁気特性の劣化が十分に抑制された希土類磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の希土類磁石は、希土類元素を含有する磁石素体と、その磁石素体の表面上に形成されたポリカルボシランを含有する保護層とを備えることを特徴とする。
本発明の希土類磁石は、ポリカルボシランを含有する上記特定の保護層を備えることから、長期間使用した場合であっても磁気特性の劣化が十分に抑制されたものとなる。上記特定の保護層を備えることで、磁気特性の劣化が十分に抑制される理由については定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、上記特定の保護層は、ポリカルボシランを含有することで、ピンホールなどの欠陥が抑制された緻密な被膜となる。したがって、腐食性物質に対するバリア性が向上し耐食性が優れたものとなり、磁気特性の劣化が十分に抑制されると考えられる。
また、上記特定の保護層は、高温条件下(例えば、150℃以上)においても安定であり、また磁石素体に対する密着性も優れており、磁石素体から剥離し難い。さらに、本発明の希土類磁石は、上述した各効果が相乗的に発揮されることで、高温条件下においても磁気特性の劣化が生じ難く、所望の磁気特性を十分に発揮できる。
さらに、本発明の希土類磁石は、特に、ATF(オートマティック・トランスミッション・フルード)オイルなどから発生する硫化物(例えば、硫化水素)等に対する耐腐食性が高く、かかる硫化物が存在する環境においても磁気特性の劣化が十分に抑制されることから、自動車等の部品としての用途に好適である。
また、本発明の希土類磁石は、ポリカルボシランが下記一般式(I)及び/又は(II)で示される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2005322810
[上記式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。]
Figure 2005322810
[上記式(II)中、Mは、チタン、ジルコニウム、モリブデン及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。]
上記ポリカルボシランが一般式(I)及び/又は(II)で示される構造単位を有する場合には、保護層の安定性がさらに向上し、磁気特性の劣化をより十分に抑制することが可能となる。一般式(II)中、Mはチタンであることがより好ましい。
また、本発明の希土類磁石においては、上記保護層がさらにシリコーン樹脂及び/又は無機充填剤を含有することが好ましい。上記特定の材料を保護層が含有することで、高温条件下における保護層の安定性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明の希土類磁石において、上記磁石素体は酸洗浄が施されたものであることが好ましい。かかる処理により、磁石素体と保護層との密着性が向上し、磁石素体から保護層の剥離を十分に抑制することが可能となる。したがって、かかる磁石素体を用いて得られる希土類磁石は、磁気特性の劣化がより十分に抑制されたものとなる。
本発明によれば、磁気特性の劣化が十分に抑制された希土類磁石を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本発明の希土類磁石の一実施形態を示す模式斜視図であり、図2は図1の希土類磁石をI−I線により切断した際に現れる断面を模式的に表した図である。図1及び2から明らかなとおり、本実施形態の希土類磁石1は磁石素体3と、その磁石素体3の表面の全体を被覆して形成される保護層5とから構成されるものである。
(磁石素体)
磁石素体3は、希土類元素を含有する永久磁石である。この場合、希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素のことをいう。なお、ランタノイド元素には、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。
磁石素体3の構成材料としては、上記希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせて含有させたものが例示できる。この場合、希土類元素としては、Nd、Sm、Dy、Pr、Ho及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が好ましく、これらの元素にLa、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb及びYからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含有したものであるとより好適である。
また、希土類元素以外の遷移元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が好ましく、Fe及び/又はCoがより好ましい。
より具体的には、磁石素体3の構成材料としては、R−Fe−B系やR−Co系のものが例示できる。前者の構成材料においては、RとしてはNdを主成分とした希土類元素が好ましく、また後者の構成材料においては、RとしてはSmを主成分とした希土類元素が好ましい。
磁石素体3の構成材料としては、特に、R−Fe−B系の構成材料が好ましい。このような材料は実質的に正方晶系の結晶構造の主相を有しており、また、この主相の粒界部分に希土類元素の配合割合が高い希土類リッチ相、及びホウ素原子の配合割合が高いホウ素リッチ相を有している。これらの希土類リッチ相及びホウ素リッチ相は磁性を有していない非磁性相であり、このような非磁性相は通常、磁石構成材料中に0.5〜50体積%含有されている。また、主相の粒径は、通常1〜100μm程度である。
このようなR−Fe−B系の構成材料においては、希土類元素の含有量が8〜40原子%であると好ましい。希土類元素の含有量が8原子%未満である場合、主相の結晶構造がα鉄とほぼ同じ結晶構造となり、保持力(iHc)が小さくなる傾向にある。一方、40原子%を超えると希土類リッチ相が過度に形成されてしまい、残留磁束密度(Br)が小さくなる傾向にある。
また、Feの含有量は42〜90原子%であると好ましい。Feの含有量が42原子%未満であると残留磁束密度が小さくなり、また、90原子%を超えると保持力が小さくなる傾向にある。さらに、Bの含有量は2〜28原子%であると好ましい。Bの含有量が2原子%未満であると菱面体構造が形成されやすく、これにより保持力が小さくなる傾向にあり、また28原子%を超えると、ホウ素リッチ相が過度に形成されて、これにより残留磁束密度が小さくなる傾向にある。
上述した構成材料においては、R−Fe−B系におけるFeの一部が、Coで置換されていてもよい。このようにFeの一部をCoで置換すると、磁気特性を低下させることなく温度特性を向上させることができる。この場合、Coの置換量は、Feの含有量よりも大きくならない程度とすることが望ましい。Co含有量がFe含有量を超えると、磁石素体3の磁気特性が小さくなる傾向にある。
また上記構成材料におけるBの一部は、炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)又は銅(Cu)等の元素により置換されていてもよい。このようにBの一部を置換することによって、磁石素体3の製造が容易となるほか、製造コストの低減も図れるようになる。このとき、これらの元素の置換量は、磁気特性に実質的に影響しない量とすることが望ましく、構成原子総量に対して4原子%以下とすることが好ましい。
さらに、保持力の向上や製造コストの低減等を図る観点から、上記構成に加え、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)、ハフニウム(Hf)等の元素を添加してもよい。これらの添加量も磁気特性に影響を及ぼさない範囲とすることが好ましく、構成原子総量に対して10原子%以下とすることが好ましい。また、その他、不可避的に混入する成分としては、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、カルシウム(Ca)等が考えられ、これらは構成原子総量に対して3原子%程度以下の量で含有されていても構わない。
このような構成を有する磁石素体3は、粉末冶金法によって製造することができる。この方法においては、まず鋳造法やストリップキャスト法等の公知の合金製造プロセスにより所望の組成を有する合金を作製する。次に、この合金をジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いて10〜100μmの粒径となるように粉砕した後、更にジェットミル、アトライター等の微粉砕機により0.5〜5μmの粒径となるように粉砕する。こうして得られた粉末を、好ましくは600kA/m以上の磁場強度を有する磁場のなかで、0.5〜5t/cmの圧力で成形する。
その後、得られた成形体を、好ましくは不活性ガス雰囲気又は真空下中、1000〜1200℃で0.5〜10時間焼結させた後に急冷する。さらに、この焼結体に、不活性ガス雰囲気又は真空中、500〜900℃で1〜5時間の熱処理を施し、必要に応じて焼結体を所望の形状に加工して、磁石素体3を得る。
なお、後述する保護層5の密着性を良好にする観点からは、保護層5を形成する前に磁石素体3の表面に所定の処理を施しておくことが望ましい。所定の処理としては、例えば、酸溶液による洗浄(酸洗浄)が挙げられる。すなわち、保護層を形成する前段において磁石素体3の表面に対して酸洗浄が施されることが好ましい。これにより清浄な表面を有する磁石素体3が得られ、磁石素体3と保護層5との密着性が向上する。
酸洗浄で使用する酸としては、硝酸を用いることが好ましい。一般の鋼材にメッキ処理を施す場合、塩酸、硫酸等の非酸化性の酸が用いられることが多い。しかし、本実施形態での磁石素体3のように、磁石素体3が希土類元素を含む場合には、これらの酸を用いて処理を行うと、酸により発生する水素が磁石素体3の表面に吸蔵され、吸蔵部位が脆化して多量の粉状未溶解物が発生する。この粉状未溶解物は、表面処理後の面粗れ、欠陥および密着不良を引き起こすため、上述した非酸化性の酸を酸洗浄処理液に含有させないことが好ましい。したがって、水素の発生が少ない酸化性の酸である硝酸を用いることが好ましい。
このような酸洗浄による磁石素体3の表面の溶解量は、表面から平均厚みで5μm以上、好ましくは10〜15μmとするのが好適である。磁石素体3の表面の加工による変質層や酸化層を完全に除去することで、後述する熱処理により、所望の酸化膜をより精度よく形成することができる。
酸洗浄に用いられる処理液の硝酸濃度は、好ましくは1規定以下、特に好ましくは0.5規定以下である。硝酸濃度が高すぎると、磁石素体3の溶解速度が極めて速く、溶解量の制御が困難となり、特にバレル処理のような大量処理ではバラツキが大きくなり、製品の寸法精度の維持が困難となる傾向がある。また、硝酸濃度が低すぎると、溶解量が不足する傾向がある。このため、硝酸濃度は1規定以下とすることが好ましく、特に0.5〜0.05規定とすることが好ましい。また、処理終了時のFeの溶解量は、1〜10g/l程度とする。
酸洗浄を行った磁石素体3の表面から少量の未溶解物、残留酸成分を完全に除去するため、超音波を使用した洗浄を実施することが好ましい。この超音波洗浄は、磁石素体3の表面に錆を発生させる塩素イオンが極めて少ない純水中で行うのが好ましい。また、上記超音波洗浄の前後、及び酸洗浄の各過程で必要に応じて同様な水洗を行ってもよい。
(保護層)
保護層5は、ポリカルボシランを含有して構成される。かかるポリカルボシランとしては、特に限定されないが、下記一般式(I)及び/又は(II)で示される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2005322810
ここで、上記式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基(炭素数1〜5のアルキル基)又はアリール基(より好ましくはフェニル基)を示す。
Figure 2005322810
ここで、上記式(II)中、Mは、チタン、ジルコニウム、モリブデン及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種を示し、チタンであることが好ましい。なお、Mは、場合により各元素の少なくとも一部分が側鎖基として低級アルコキシ基又はフェノキシ基を有していてもよい。
本発明に係るポリカルボシランは、上述した構造単位の他に、ケイ素−ケイ素結合を有する構造単位を有していてもよい。かかる構造単位においては、ケイ素原子に上述したRと同様の置換基が結合していてもよい。本発明に係るポリカルボシランは、一般式(II)で示される構造単位を有する場合には、ポリメタロカルボシランとも呼ばれる。また、一般式(II)においてMがチタンである場合には、ポリチタノカルボシランとも呼ばれる。
上記ポリカルボシランは、一般式(I)及び/又は(II)で示される構造単位を有していることが好ましいが、一般式(I)及び(II)で示される構造単位が主鎖骨格中でランダムに結合した重合体、又は一般式(I)で示される構造単位のケイ素原子の少なくとも一部が一般式(II)で示される構造単位のMと酸素原子を介して結合し、これらによって一般式(I)で示される構造単位の連鎖により得られるポリカルボシラン部分が一般式(II)で示される構造単位によって架橋された重合体がより好ましい。
上記重合体においては、一般式(I)で示される構造単位のモル数と一般式(II)で示される構造単位のモル数との比率が1:1〜10:1の範囲にあることが好ましく、また数平均分子量が400〜50000であることが好ましい。このような重合体としてはは、主鎖骨格が主として一般式(I)で示される構造単位よりなるポリカルボシランと一般式(II)で示される構造単位の金属アルコキシドから誘導される高分子共重合体がある。
また、上記保護層5は、さらにシリコーン樹脂及び/又は無機充填剤を含有することが好ましい。かかるシリコーン樹脂としては、ポリオルガノシロキサン、シリコンオイル、シリコンワニス及びシリコンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、無機充填剤としては、酸化物、ホウ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ケイカ物、窒化物、ホウ化物及び炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。より具体的には、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、カドミウム、スズ、アンチモン、バリウム、タングステン、鉛、ビスマス等の酸化物、炭化物及び窒化物、または、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等のホウ酸塩、リン酸塩及びケイ酸塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
保護層5は、上述した各構成材料を用いて形成される。すなわち、上述した各構成材料を有機溶剤に溶解または分散させ保護層形成用塗布液を調製する。なお、有機溶剤としては、一般的なものが使用される。
上記塗布液においては、シリコーン樹脂を含有する場合には、ポリカルボシラン100質量部に対して、シリコーン樹脂を10〜900質量部含有することが好ましく、50〜500質量部含有することがより好ましい。シリコーン樹脂の含有量が、上記下限値未満であると、保護層5の可とう性が低下する傾向があり、他方、上記上限値を越えると、シリコーン樹脂の分解温度以上の高温での耐熱性が低下する傾向がある。
また、上記塗布液においては、無機充填剤を含有する場合には、ポリカルボシラン100質量部に対して、無機充填剤を10〜900質量部含有することが好ましく、50〜500質量部含有することがより好ましい。無機充填剤の含有量が、上記下限値未満であると、磁石素体3に対する保護層5の密着性が低下する傾向があり、他方、上記上限値を越えると、保護層5の可とう性が低下する傾向がある。
磁石素体3上に保護層5を形成する際には、先ず、上記保護層形成用塗布液を用いてディップコーティング法等の公知の方法で、磁石素体3上に塗布液を塗布して乾燥する。次に、塗膜が形成した磁石素体3に加熱処理を施すことにより、保護層5は形成する。なお、加熱処理は、150℃以上で行われることが好ましい。
保護層5の膜厚は、0.1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。保護層5の膜厚が上記上限値を超えると、磁気特性が低下する傾向があり、他方、上記下限値未満であると、耐食性の効果が不十分となる傾向がある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
粉末冶金法によって作製した14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子百分率を表す。)の組成をもつ焼結体に対し、アルゴン雰囲気中で600℃にて2時間の熱処理を施した。その後、かかる焼結体を20×10×2(mm)の大きさに加工し、磁石素体3を得た。次に、この磁石素体3に対して、酸洗浄を行った後、超音波水洗を行った。なお、酸洗浄は、得られた磁石素体を2%HNO水溶液中に2分間浸漬することで行った。
次に、ポリカルボシランを含有する保護層形成用塗布液を調製した。すなわち、先ず、ジメチルジクロロシランからポリジメチルシランを合成した。さらに加熱処理することによりポリカルボシランを合成した。このポリカルボシランは、上記一般式(I)で示される構造単位と、ケイ素−ケイ素結合とからなる有機ケイ素ポリマーであった。
次に、得られた有機ケイ素ポリマーとチタンテトライソプロポキシドとを反応させ、シリコンとチタンとを含有する有機金属架橋重合体(ポリチタノカルボシラン)を得た。かかる重合体は、上記一般式(I)で示される構造単位と、上記一般式(II)で示される構造単位とを有する重合体であった。
得られたポリチタノカルボシランのキシレン50%溶液30質量部、メチルフェニルシリコンオイルのキシレン50%溶液(東芝シリコン社製TSR−116)30質量部、及び炭化ケイ素40質量部を混合して、保護層形成用塗布液を調製した。
得られた保護層形成用塗布液を、磁石素体に対してディップコーティング法により塗布し、300℃で10分間熱処理を行うことにより、保護層を形成した。保護層の膜厚を電子顕微鏡観察により測定したところ、平均膜厚は30μmであった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、磁石素体を得た。得られた希土類磁石表面に市販の1液型エポキシ樹脂溶液を塗布し、170℃で20分間熱処理を行うことにより、保護層を形成した。保護層の膜厚を電子顕微鏡観察により測定したところ、平均膜厚は30μmであった。
(耐食性試験)
実施例1及び比較例1の希土類磁石に対して、121℃2気圧の飽和水蒸気中で耐食性加速試験を行った。その結果、実施例1の希土類磁石では、試験開始から100時間たっても外観上の変化は見られなかった。これに対して、比較例1の希土類磁石では、試験開始から100時間経過後には、全面で塗膜(保護層)の剥離が見られ、腐食が進行していることが確認された。
(耐ATF試験)
次に、実施例1及び比較例1の希土類磁石に対して、耐ATF試験を行った。すなわち、着磁した実施例1及び比較例1の希土類磁石を市販のATFオイルに浸漬し、密閉容器中150℃で1000時間保持した。試験終了後、再着磁して試験前からの永久減磁率を評価した。その結果、実施例1の希土類磁石では、永久減磁率が0.1%であったのに対し、比較例2の希土類磁石では永久減磁率が3.2%であった。
以上説明したように、本発明の希土類磁石は、磁気特性の劣化が十分に抑制されたものであり、長期間使用した場合でも磁気特性の劣化が十分に抑制されることがわかった。また、本発明の希土類磁石は、高温条件下でも安定で且つ耐食性にも優れており、ATFオイルに対しても高い耐食性を有することが確認された。
本発明の希土類磁石の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の希土類磁石の一実施形態を示す概略断面図である。
符号の説明
1…希土類磁石、3…磁石素体、5…保護層。

Claims (7)

  1. 希土類元素を含有する磁石素体と、その磁石素体の表面上に形成されたポリカルボシランを含有する保護層と、を備えることを特徴とする希土類磁石。
  2. 前記ポリカルボシランが下記一般式(I)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石。
    Figure 2005322810
    [上記式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はアリール基を示す。]
  3. 前記ポリカルボシランがさらに下記一般式(II)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類磁石。
    Figure 2005322810
    [上記式(II)中、Mは、チタン、ジルコニウム、モリブデン及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。]
  4. 前記一般式(II)中、Mがチタンであることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の希土類磁石。
  5. 前記保護層がさらにシリコーン樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか一項に記載の希土類磁石。
  6. 前記保護層がさらに無機充填剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか一項に記載の希土類磁石。
  7. 前記磁石素体が、酸洗浄が施されたものであることを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか一項に記載の希土類磁石。
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