JP5348110B2 - 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 - Google Patents
希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5348110B2 JP5348110B2 JP2010242448A JP2010242448A JP5348110B2 JP 5348110 B2 JP5348110 B2 JP 5348110B2 JP 2010242448 A JP2010242448 A JP 2010242448A JP 2010242448 A JP2010242448 A JP 2010242448A JP 5348110 B2 JP5348110 B2 JP 5348110B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protective layer
- rare earth
- magnet
- atoms
- earth magnet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
- Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
Description
[第一の希土類磁石]
図1及び2に示すように、本実施形態に係る第一の希土類磁石100は、磁石素体10と、磁石素体10の表面を被覆する第1保護層20と、第1保護層20の表面を被覆する第2保護層22と、を備える。第1保護層20は、必ずしも磁石素体10の表面を完全に被覆している必要はないが、表面を完全に被覆していることが好ましい。第1保護層20が磁石素体10の表面を完全に被覆していることにより、希土類磁石100の耐食性を一層向上させることができる。
図3(A)、図3(B)及び図3(C)に示すように、本発明の他の実施形態に係る第二の希土類磁石100は、磁石素体10と、磁石素体10の表面を被覆する第1保護層20と、第1保護層20の表面を被覆する第2保護層22と、第2保護層22の表面を被覆する第3保護層24と、を備える。つまり、第二の希土類磁石100は、第3保護層24を更に備える第一の希土類磁石に相当する。第3保護層24は、第2保護層22の表面の少なくとも一部を被覆していればよい。少なくとも一部を被覆していれば、希土類磁石100の耐食性を十分に向上させることができる。なお、第2保護層22の表面を完全に被覆していてもよい。以下では、第一の希土類磁石と第二の希土類磁石とに共通する事項についての説明を省略する。
本実施形態に係る希土類磁石の製造方法は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含むR−T−B系の磁石素体の表面にAl偏平粉を付着させる付着工程と、Al偏平粉を付着させた磁石素体を540〜630℃で加熱し、30℃/分以上の冷却速度で急冷する加熱工程と、を少なくとも備える。以下、各工程の詳細について説明する。
磁石素体表面にAl偏平粉を付着させると、素地に平行になった状態で積層される傾向がある。この磁石素体を加熱することにより、磁石素体中の粒界相に存在する希土類元素R(特に、軽希土類元素)を含むRリッチ相が液相化し、磁石素体表面に染み出し、磁石素体とAl偏平粉の間の隙間に充填される。このように磁石素体とAl偏平粉の隙間に充填されたRリッチ相とAl偏平粉の全てが反応して、磁石素体の表面に第2保護層が形成される。第2保護層の一部と磁石素体とが反応し、磁石素体と第2保護層との間に第1保護層が形成される。なお、Rリッチ相とは、相を構成する元素の中で最も濃度(原子数の比率)が高い元素がRである相である。
表面にAl偏平粉を付着させた磁石素体を加熱することにより、磁石素体中の粒界相に存在する希土類元素R(特に、軽希土類元素)を含むRリッチ相が液相化し、磁石素体表面に染み出し、磁石素体とAl偏平粉の間に充填される。このように磁石素体とAl偏平粉の隙間に充填されたRリッチ相とAl偏平粉の一部が反応して、磁石素体とAl偏平粉との間に第2保護層が形成される。第2保護層の一部と磁石素体とが反応し、磁石素体と第2保護層との間に第1保護層が形成される。さらに、第2保護層の一部とAl偏平粉の残部との反応により、第2保護層上に第3保護層が形成される。
図4は、本実施形態の回転機(永久磁石回転機)の内部構造を示す説明図である。本実施形態の回転機200は、永久磁石同期回転機(SPM回転機)であり、円筒状のロータ50と該ロータ50の内側に配置されるステータ30とを備えている。ロータ50は、円筒状のコア52と円筒状のコア52の内周面に沿ってN極とS極が交互になるように複数の希土類磁石100が設けられている。ステータ30は、内周面に沿って設けられた複数のコイル32を有している。このコイル32と希土類磁石100とは互いに対向するように配置されている。
粉末冶金法により、組成が22.5重量%Nd−5.2重量%Pr−2.7重量%Dy−0.5重量%Co−0.3重量%Al−0.07重量%Cu−1.0重量%B−残部Feである鋳塊を作製した。鋳塊を粗粉砕して得た粗粉末を不活性ガス中でジェットミルにより粉砕して、平均粒径が約3.5μmの微粉末を得た。微粉末を金型内に充填し、磁場中で加圧成形して成形体を得た。成形体を真空中で焼成した後、時効処理を施して焼結体を得た。焼結体を切り出し加工し、13mm×8mm×2mmの寸法を有する磁石素体を作製した。
実施例2及び3では、磁石素体表面に形成した塗膜中に含まれるAlの総量を、磁石素体全体に対して、表1に示す値(塗布量)に調整した。実施例2及び3では、塗膜を有する磁石素体をAr雰囲気において、表1に示す温度(拡散温度)で加熱した。また実施例2及び3では、塗膜を有する磁石素体を加熱する時間(拡散時間)を、表1に示す時間に調整した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法で、実施例2及び3の希土類磁石を作製した。
磁石素体の表面のエッチング以降の工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で比較例1の希土類磁石を作製した。つまり、Al偏平粉を用いることなく比較例1の希土類磁石を作製した。
比較例2では、磁石素体表面に形成した塗膜に含まれるAlの総量を、磁石素体全体に対して、0.12重量%に調整した。比較例2では、拡散温度を680℃とした。これらの事項以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の希土類磁石を作製した。
各実施例及び比較例の希土類磁石を切断し、切断面をクロスセクションポリッシャーで研磨した。研磨面をSEMで観察したところ、実施例1の希土類磁石では、磁石素体の表面を被覆する第1保護層と、第1保護層の表面の一部を被覆する第2保護層と、第2保護層の表面の一部を被覆する第3保護層が形成されていることが確認された。図5に、実施例1の希土類磁石の切断面のSEM写真を示す。なお、図5に記載された実線は、磁石素体と保護層との界面、及び保護層間の各界面を示すものである。実施例2及び3の希土類磁石では、磁石素体の表面を被覆する第1保護層と、第1保護層の表面の一部を被覆する第2保護層が形成されていることが確認された。実施例2及び3の希土類磁石では、第3保護層が形成されていなかった。一方、比較例1の希土類磁石は、磁石素体の表面に保護層は確認されなかった。比較例2の希土類磁石では、磁石素体の表面に1層の保護層のみが形成されていることが確認された。
各実施例及び比較例の希土類磁石を切断し、磁石素体及び各保護層における元素組成をEPMAで確認した。EPMAの装置としては、JEOL社製のJXA−8800を用いた。全実施例及び比較例の磁石素体はいずれも、鋳塊と同様に、Nd,Pr,Dy,Co,Al,Cu,B及びFeを含有することが確認された。各実施例及び比較例2の各保護層の元素組成を表2に示す。表2中の数値は、各保護層全体に対する各保護層中の各元素の含有量(単位:原子%)を示す。なお、Rの含有量とは、Ndの含有量とPrの含有量とを合計したものである。
各実施例及び比較例の希土類磁石の耐食性を、JIS K5600−7−1に準拠する塩水噴霧試験により評価した。塩水噴霧試験では、35℃の環境下で各希土類磁石に5%の塩水を24時間噴霧した。試験後の各希土類磁石の表面において赤錆が発生した部分の面積の割合(錆面積率)を算出した。錆面積率とは、各希土類磁石の表面全体に対する値(単位:%)である。錆面積率は、試験後の各希土類磁石の写真を画像処理することにより算出した。表3に各希土類磁石の錆面積率を示す。
Claims (11)
- 希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含むR−T−B系の磁石素体と、該磁石素体の表面を被覆する第1保護層と、該第1保護層の表面を被覆する第2保護層と、前記第1保護層と前記第2保護層の界面と、を備え、
前記磁石素体が、TとしてFeを含み、
前記第1保護層が、R、Fe及びAlを含み、
前記第2保護層が、R及びAlを含み、
前記第1保護層における総原子数に対するFe原子数の比率が、前記第2保護層における総原子数に対するFe原子数の比率よりも高い、
希土類磁石。 - 前記第1保護層における総原子数に対するFe原子数の比率が、前記第2保護層における総原子数に対するFe原子数の比率の5倍以上である、請求項1に記載の希土類磁石。
- 前記第2保護層の表面を被覆する第3保護層を更に備え、
前記第3保護層は、Alを含み、
前記第3保護層における総原子数に対するAl原子数の比率が、前記第2保護層における総原子数に対するAl原子数の比率よりも高い、請求項1又は2に記載の希土類磁石。 - 前記第1保護層の総原子数に対する前記第1保護層中のRの原子数の比率は、前記第2保護層の総原子数に対する前記第2保護層中のRの原子数の比率よりも低い、請求項1〜3のいずれか一項に記載の希土類磁石。
- 前記第1保護層の総原子数に対する前記第1保護層中のAlの原子数の比率は、前記第2保護層の総原子数に対する前記第2保護層中のAl原子数の比率よりも低い、請求項1〜4のいずれか一項に記載の希土類磁石。
- 前記磁石素体におけるRの含有割合が、前記磁石素体全体に対して、8〜40重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の希土類磁石。
- 前記第1保護層の厚みは0.1〜30μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の希土類磁石。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の希土類磁石を備える回転機。
- 希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含むR−T−B系の磁石素体の表面にAl偏平粉を付着させる工程と、
前記Al偏平粉を付着させた前記磁石素体を540〜630℃で加熱し、30℃/分以上の冷却速度で急冷する工程と、を備え、
前記磁石素体は、TとしてFeを含む、
希土類磁石の製造方法。 - 前記磁石素体に付着させるAl偏平粉の量が、前記磁石素体全体に対して、0.01〜5重量%である、請求項9に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記磁石素体におけるRの含有割合が、前記磁石素体全体に対して、8〜40重量%である、請求項9又は10に記載の希土類磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010242448A JP5348110B2 (ja) | 2010-10-28 | 2010-10-28 | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010242448A JP5348110B2 (ja) | 2010-10-28 | 2010-10-28 | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012094767A JP2012094767A (ja) | 2012-05-17 |
JP5348110B2 true JP5348110B2 (ja) | 2013-11-20 |
Family
ID=46387769
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010242448A Active JP5348110B2 (ja) | 2010-10-28 | 2010-10-28 | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5348110B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101368617B1 (ko) * | 2013-04-16 | 2014-03-25 | 성림첨단산업(주) | 내식성 희토류 소결 영구자석 및 이를 위한 제조 방법 |
CN104651783B (zh) * | 2015-02-12 | 2017-09-01 | 烟台首钢磁性材料股份有限公司 | 一种永磁钕铁硼磁钢表面镀铝的方法 |
CN104674169A (zh) * | 2015-02-12 | 2015-06-03 | 烟台首钢磁性材料股份有限公司 | 一种永磁钕铁硼磁钢表面电镀复合镀层的方法 |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FI861898A (fi) * | 1986-05-07 | 1987-11-08 | Outokumpu Oy | Foerfarande foer hantering av metallstycken. |
JPH0945567A (ja) * | 1995-07-27 | 1997-02-14 | Hitachi Metals Ltd | 希土類−鉄−ボロン系永久磁石の製造方法 |
JP3834707B2 (ja) * | 1997-02-19 | 2006-10-18 | 株式会社ダイドー電子 | 希土類磁石の防錆処理方法 |
DE10025458B4 (de) * | 2000-05-23 | 2005-05-12 | Vacuumschmelze Gmbh | Magnet und Verfahren zu dessen Herstellung |
KR100877875B1 (ko) * | 2001-06-14 | 2009-01-13 | 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 | 내식성 희토류 자석 및 그 제조 방법 |
JP2004356328A (ja) * | 2003-05-28 | 2004-12-16 | Neomax Co Ltd | 耐食性希土類系永久磁石およびその製造方法 |
JP2006049864A (ja) * | 2004-06-30 | 2006-02-16 | Shin Etsu Chem Co Ltd | 耐食性希土類磁石及びその製造方法 |
WO2007077809A1 (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Hitachi Metals, Ltd. | 希土類磁石およびその製造方法 |
JP4173893B2 (ja) * | 2006-03-17 | 2008-10-29 | Tdk株式会社 | 希土類磁石及びその製造方法 |
JP4224072B2 (ja) * | 2006-03-17 | 2009-02-12 | Tdk株式会社 | 希土類磁石及びその製造方法 |
WO2007114336A1 (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-11 | Hitachi Metals, Ltd. | 希土類系永久磁石の製造方法 |
JP5326730B2 (ja) * | 2009-03-26 | 2013-10-30 | 日立金属株式会社 | 耐塩水性に優れた希土類系永久磁石の製造方法 |
JP5293662B2 (ja) * | 2010-03-23 | 2013-09-18 | Tdk株式会社 | 希土類磁石及び回転機 |
-
2010
- 2010-10-28 JP JP2010242448A patent/JP5348110B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012094767A (ja) | 2012-05-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5408340B2 (ja) | 希土類焼結磁石及びその製造方法、並びにモータ及び自動車 | |
JP5293662B2 (ja) | 希土類磁石及び回転機 | |
US10395822B2 (en) | Rare-earth magnet, method of manufacturing rare-earth magnet, and rotator | |
JP2008061333A (ja) | 永久磁石回転機 | |
JP5494056B2 (ja) | 希土類焼結磁石、回転機及び往復動モータ | |
JP2018174323A (ja) | 永久磁石及び回転機 | |
JP4276631B2 (ja) | 希土類磁石及びその製造方法 | |
JP4919109B2 (ja) | 永久磁石回転機及び永久磁石回転機用永久磁石セグメントの製造方法 | |
JP5348110B2 (ja) | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 | |
JP5682416B2 (ja) | 希土類磁石及びその製造方法、並びに回転機 | |
JP2012074470A (ja) | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 | |
JP2007207936A (ja) | 希土類磁石 | |
JP2020095992A (ja) | 焼結磁石及び回転機 | |
JP5471678B2 (ja) | 希土類磁石及び回転機 | |
JP3993613B2 (ja) | 磁石及びその製造方法 | |
JP5348109B2 (ja) | 希土類磁石、希土類磁石の製造方法及び回転機 | |
JP4457726B2 (ja) | 希土類磁石の製造方法及び希土類磁石 | |
JP5885907B2 (ja) | 希土類焼結磁石及びその製造方法、並びにモータ及び自動車 | |
JP4760811B2 (ja) | 希土類磁石及びその製造方法 | |
JP5012942B2 (ja) | 希土類焼結磁石及びその製造方法、並びに回転機 | |
JP4276636B2 (ja) | 磁石及び複合体 | |
JP2006156853A (ja) | 希土類磁石 | |
JP4899928B2 (ja) | 希土類磁石の製造方法 | |
JP2005285832A (ja) | 希土類磁石及びその製造方法 | |
JP2005285795A (ja) | 希土類磁石及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120914 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121016 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130723 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130805 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5348110 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |