JP4156178B2 - 魚肉練り製品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、笹蒲鉾等の名称で知られる笹の葉状の偏平な蒲鉾、そのほか各種の形状の魚肉練り製品を製造する方法に関するものであり、特に魚肉すり身を笹の葉状等の所定の形状に成形した後の加熱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
魚肉練り製品の代表的なものである蒲鉾の一種として、笹の葉状の偏平な蒲鉾、すなわち所謂笹蒲鉾がある。この笹蒲鉾を連続的に製造する方法としては、従来一般的には次のような方法が適用されている。
【0003】
すなわち、先ず調味料や副原料を添加して調整した魚肉のすり身を、成形機により順次笹の葉状に成形する。この成形時には、ステンレス鋼等からなる串状部材を成形機の型内に順次挿入して、その串状部材の周囲ですり身を成形し、串状部材が刺し込まれた状態の成形体が得られるようにするのが通常である。次いでその成形機から、串状部材に刺し込まれた状態の成形体を順次一定の間隔で送り出し、そのまま串状部材に刺し込まれた状態で加熱装置(焼炉)へ連続的に移送する。このとき、通常はチェーンコンベヤに所定間隔を置いて多数のホルダを付設しておき、各ホルダに串状部材の下端を刺し込んだ状態で串状部材を全体に垂直に保持して、すなわち成形体を垂直に保持して、チェーンの移動により多数の串刺し成形体を加熱装置内へ順次連続的に搬入するのが一般的である。加熱装置としては、従来はニクロム線等を用いた電気ヒータや、プロパンガス等を用いたガスバーナなどを用いるのが通常であり、これらのヒータやバーナによって加熱装置内の雰囲気を所定の温度に保っておき、順次移送されて来る成形体をその外面側から加熱するように構成される。このようにして加熱装置内において所定時間加熱された成形体は、順次加熱装置から送り出され、その後串状部材から抜き取られて、包装工程等へ送られる。なおここですり身成形体の加熱は、殺菌を行なうとともにすり身の固化(ゲル化)を進行させ、さらには表面を焼いて焼色を付与するために行なわれる。
【0004】
ところで従来の電気ヒータやガスバーナを用いた加熱装置では、成形体の内部、特に串状部材が刺し込まれた部分を充分に加熱することが困難であるという問題があった。すなわち、成形体に刺し込まれた串状部材はステンレス鋼等によって作られているが、このような串状部材はその熱伝導率がすり身の部分と比較して格段に高いため、せっかく電気ヒータやガスバーナによって成形体をその外面側から加熱しても、成形体に刺し込まれた串状部材によって熱が外部へ持ち出されてしまい、そのため特に串状部材の近くの部分が充分に高温とならず、殺菌が充分に行なわれないことがあり、これをそのまま製品化すれば、串状部材が刺し込まれた部分付近から早期に腐敗が進行してしまうおそれがあった。これを解決するためには、加熱装置の全長を長くして、長時間加熱を行えば良いが、その場合は製造ラインの全長が著しく長くなって、広い設置スペースを要するとともに製造コストも高くなり、また生産性も低下する等の問題がある。
【0005】
ところで最近では、笹蒲鉾等の魚肉練り製品の製造について、すり身成形体に直接通電して、すり身の有する電気抵抗によって発熱させる通電加熱(ジュール加熱)を適用する方法が例えば特公平7−114658号において提案され、その実用化が進められている。
【0006】
上記提案の通電加熱による笹蒲鉾の製造方法は、チタン等の導電性材料からなる串状部材が刺し込まれた笹の葉状の偏平な多数のすり身成形体について、串状部材の一端部(すり身成形体から外部へ突出している部分の先端部)をチェーンコンベヤ等の支持部材によって支持し、その状態で順次所定の移送系路に沿って順次移送させ、かつその移送系路の両側(左右両側もしくは上下両側)からすり身成形体を例えばキャタピラ状あるいはベルト状の一対の電極によって挟み、その一対の電極の間に電圧を加えて、すり身成形体に電流を流し、抵抗発熱(ジュール発熱)によってすり身成形体を温度上昇させ、加熱するものである。
【0007】
このような通電加熱を笹蒲鉾の製造に適用すれば、すり身成形体自体がその内部から発熱するため、すり身成形体の内部、特に串状部材が刺し込まれた部分付近をも早期に高温に加熱することができ、その結果加熱時間の短縮とラインの短縮化を図ることができる。
【0008】
但し、一般に笹蒲鉾は、表面がきつね色の焼色を有するものとされており、通電加熱単独では表面に焼色を付与することができないため、通電加熱のみで製品に仕上げてしまうことは少なく、一般には通電加熱の後、従来と同様な加熱装置、すなわち電気ヒータやガスバーナを用いた加熱装置(焼炉)内に搬入して、改めてすり身成形体をその外面側から加熱するのが通常である。なおこの場合、一般には加熱装置内の雰囲気温度が350〜400℃程度となるようにして加熱するのが通常であり、このような高温まで加熱することが、焼色を与えるために必須であるとされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
最近、食品に対する一般の消費者の嗜好としては、生に近い風味、食感を有するものが好まれるようになっており、加熱・加工食品についても著しい加熱処理を行なった印象を与えるような食品や、表面が固い食品は嫌われることが多くなっている。
【0010】
笹蒲鉾についても、従来のものは前述のように表面がきつね色の焼色を呈するように加熱して、表面がある程度固くなった製品が一般的であったが、このような従来の笹蒲鉾製品は、前述のような消費者の好みの変化から、需要が頭打ち状態となっている。そこで本発明者等は、従来の笹蒲鉾とは異なり、生に近い風味、食感を有する製品を開発することを考えた。すなわち、表面が焼色を呈さず、かつ比較的軟質な表面を有する笹蒲鉾、すなわち生風味を有する笹蒲鉾の開発に取組んでいる。
【0011】
このような笹蒲鉾を製造する方法としては、前述のような従来の通電加熱を適用した製造方法における通電加熱後の電気ヒータやガスバーナによる加熱装置(焼炉)における雰囲気温度を、表面に焼色が付かない程度、例えば200〜350℃程度まで下げることが考えられる。しかしながら、単純に雰囲気温度を下げただけでは、温度むらによって部分的に殺菌が不充分となったり、また逆に部分的に表面に焼色が付いてしまうなどの問題があり、全体的に均一な性状の生に近い風味、食感を有する笹蒲鉾を、確実かつ安定して得ることは困難であった。
【0012】
すなわち、通電加熱においては、一般に一対の電極間にすり身成形体を挟んで通電することにより加熱するが、この場合すり身成形体の表面の部分のうち、電極から外れた部分、例えばすり身成形体の先端部や幅方向の縁部などは、温度が上昇しないことが多く、このように通電加熱によって温度が上昇しなかった部分は、通電加熱後のすり身成形体を直ちに200〜350℃程度の雰囲気温度の加熱装置(焼炉)内に搬入しても、短時間では充分に殺菌されず、また長時間加熱保持すれば、表面の水分が蒸発して固くなってしまい、生に近い風味、食感が得られなくなるおそれがある。
【0013】
また通電加熱においては、すり身の成分が不均一な場合や電極との接触状態が均一でない場合などに、局部的に電流の集中が生じて、その部分が過度に温度上昇し、過加熱されてしまうことがある。このように通電加熱によって過加熱された部分は、通電加熱後のすり身成形体を200〜350℃程度の雰囲気温度の加熱装置(焼炉)内に搬入すれば、局部的に著しく高温となって焼色が生じてしまったり、固くなったりして、生に近い風味、食感が得られなくなるおそれがある。
【0014】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、局部的な加熱不足による殺菌不良や局部的な過加熱により部分的に焼色が与えられたりしてしまうことなく、焼色がなく、しかもべたつかない程度の軟質な表面を有している生に近い風味、食感を示す笹蒲鉾等の魚肉練り製品を、確実かつ安定して得る方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述のような課題を解決するべく、本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、すり身成形体を通電加熱により加熱した後、すり身成形体の全体の温度を均一化するための均温工程として、最終的なあぶりのための雰囲気温度よりも低い特定の温度域の雰囲気において、特定の時間だけ保持し、その後にあぶり工程として、従来の一般的な笹蒲鉾の製造における最高到達温度よりも低い温度域において加熱することにより、充分に殺菌されていてしかも表面がべたつかない程度の軟質な生に近い風味、食感を有する魚肉練り製品を確実かつ安定して得られることを見出し、この発明をなすに至ったのである。
【0016】
具体的には、請求項1の発明は、成形された魚肉すり身を加熱して魚肉練り製品を製造する方法において、予め成形された魚肉すり身成形体に通電して、すり身成形体の内部温度が65〜95℃の範囲内の温度に到達するまで通電加熱する通電加熱工程と、通電加熱工程終了後のすり身成形体を120℃以上200℃未満の範囲内の温度の雰囲気に曝して30〜80秒保持する均温工程と、均温工程終了後のすり身成形体を200〜350℃の範囲内の温度の雰囲気に曝して60〜150秒間保持するあぶり工程、とを有してなることを特徴とするものである。
【0017】
このような請求項1の発明の魚肉練り製品の製造方法においては、先ず通電加熱工程ではすり身成形体が通電加熱によりその内部から発熱して、すり身成形体の内部が65〜95℃の範囲内の温度に到達するまで加熱され、加熱殺菌が遂行されるとともに、すり身の固化(ゲル化)が進行する。ここで、加熱到達温度が65℃未満では殺菌を充分に行なうことができず、一方95℃を越えれば局部的な過加熱を招いたりするおそれがある。
【0018】
このようにして通電加熱工程においてすり身成形体の内部温度が65〜95℃の範囲内に到達した後、すり身成形体は均温工程において120℃以上200℃未満の範囲内の温度の雰囲気に30〜80秒曝される。この均温工程では、すり身成形体の温度が全体に均一化される。すなわち、通電加熱工程では、すり身成形体の表面、特に通電加熱用の電極から外れた位置の表面で、温度がさほど上昇しないこと、すなわち加熱不足が生じることがあり、一方すり身成形体の内部や通電加熱用電極に接している部分では、局部的に電流集中が生じて局部的に過加熱されることもあるが、この均温工程においては、通電加熱工程で加熱不足の部分の温度は上昇し、一方通電加熱工程で過加熱となった部分の温度は下降し、その結果全体的に温度が均一化される。ここで、均温工程における雰囲気温度が120℃未満では、通電加熱工程において加熱不足となった部分の温度を充分に上昇させることが困難となり、一方200℃以上の場合は、通電加熱工程において過加熱となった部分の温度を下降させることが困難となり、いずれの場合もすり身成形体の全体の温度を均一化することが困難となる。また均温工程における保持時間が30秒未満でも、すり身成形体の全体の温度を均一化することが困難であり、一方保持時間が80秒を越える長時間の保持を行なうことは、生産性を阻害するばかりでなく、すり身成形体の表面から水分が失われはじめて、最終的に生に近い風味、食感を有する製品を得ることが困難となってしまうおそれがある。
【0019】
均温工程に続いてすり身成形体は、あぶり工程において200〜350℃の範囲内の温度の雰囲気に60〜150秒間曝される。このあぶり工程では、すり身成形体の表面から水分が適度な量だけ蒸発して、表面がべたつかない程度となる。但し、この発明の方法は、飽くまで生に近い風味、食感を有する製品を得ることを目的としているから、あぶり工程でも、従来の笹蒲鉾製造における焼色付与とは異なり、表面に焼色が付いたり、硬くなったりしてしまうことは避けなければならない。ここで、あぶり工程の雰囲気温度が200℃未満では表面の水分の蒸発が少ないため、べたつきが残ってしまい、一方350℃を越えれば表面に焼色が付いたり、硬くなったりしてしまって、目標とする生風味を有する製品を得ることが困難となる。また200〜350℃の範囲内の温度の雰囲気中に保持する時間が60秒未満では、表面からの水分の蒸発が不足し、一方150秒を越えれば表面からの水分の蒸発が過剰となって表面が乾燥した状態となり、目標とする生風味を有する製品を得ることが困難となる。
【0020】
次に請求項2は、生風味を有する魚肉練り製品を順次連続的に製造する方法を開示したものである。
【0021】
すなわち請求項2の発明は、成形された複数の魚肉すり身を順次連続的に移送しつつ加熱して魚肉練り製品を製造する方法において、予め成形された魚肉すり身成形体を連続的に移送しつつ、各すり身成形体に順次通電して、各すり身成形体の内部温度が65〜95℃の範囲内の温度に到達するまで通電加熱する通電加熱工程と、通電加熱工程終了後の各すり身成形体を120℃以上200℃未満の範囲内の雰囲気温度に保持された均温ゾーンに順次連続的に移送して、その均温ゾーン内において連続的に移送しつつ30〜80秒保持する均温工程と、均温工程終了後の各すり身成形体を200〜350℃の範囲内の雰囲気温度に保持されたあぶりゾーンに順次連続的に移送して、そのあぶりゾーン内において連続的に移送しつつ60〜150秒間保持するあぶり工程、とを有してなることを特徴とするものである。
【0022】
このような請求項2の発明の方法によれば、多数のすり身成形体を順次連続的に加熱処理することができ、実際的な量産ラインで生風味を有する魚肉練り製品を製造することができる。なお請求項2の発明の方法における各工程でのすり身成形体に対する加熱の作用、効果、および温度・時間の限定理由は、請求項1の発明について述べたと全く同様である。
【0023】
さらに請求項3は、笹蒲鉾を製造する場合の如く、すり身成形体に串状部材を刺し込んだ状態で順次移送しつつ連続的に加熱する方法について開示したものである。
【0024】
すなわち請求項3の発明は、請求項2に記載の魚肉練り製品の製造方法において、すり身成形体を、予め導電性を有する串状部材が刺し込まれた状態としておき、前記通電加熱工程においては、串状部材の一端を支持部材によって保持しつつ、すり身成形体を一対の電極間に挟みながら所定の系路に沿って移送させ、かつその間に前記一対の電極の間で通電することによりすり身成形体を通電加熱し、また前記均温工程およびあぶり工程においては、前記支持部材によって支持しながら均温ゾーン内およびあぶりゾーン内を連続的に移送させることを特徴とするものである。
【0025】
このような請求項3の発明の方法においては、すり身成形体は串状部材に刺し込まれて、その串状部材に支持された状態で通電加熱され、かつそのまま均温ゾーン、あぶりゾーンで均温工程、あぶり工程が実行されることになる。したがって笹蒲鉾等の魚肉練り製品を円滑に連続製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明の方法、特に請求項2、請求項3で規定する連続製造方法を笹蒲鉾の製造に適用する場合の原理的な装置構成の一例を示す。
【0027】
図1において、成形機2は、魚肉すり身を串状部材が刺し込まれた状態で所定の形状、例えば笹の葉状の偏平な形状に成形するためのものである。そのすり身成形体の一例を図2に示す。
【0028】
図2において、すり身成形体(以下単に“成形体”と記す)1は笹の葉の形状をなすように偏平に成形されており、この成形体1には、その一端から長さ方向に沿って断面が偏平な串状部材3が刺し込まれている。この串状部材3としては、導電性材料からなるものであれば良いが、通常はチタンもしくはチタン合金を用いることが望ましい。
【0029】
上述のように串状部材3に刺し込まれた成形体1は、例えばチェーンコンベヤなどの支持部材5によって串状部材3の一端(すり身成形体1から突出した部分の端部)が支持された状態で、通電加熱装置7へ送り込まれ、さらにその通電加熱装置7から、均温ゾーン9およびあぶりゾーン11を区分形成した外部加熱装置13内に送り込まれる。
【0030】
図3に、前記支持部材5としてチェーンコンベヤを用いた例を示す。このチェーンコンベヤを構成するチェーン5Aには、適当な間隔を置いてホルダ5Bが取付けられており、このホルダ5Bには、串状部材3の一端が刺し込まれる挿入室5Cが開口形成されている。なおホルダ5Bは、この実施例では合成樹脂等の絶縁材によって作られている。
【0031】
図4、図5に、前記通電加熱装置7の一例を示す。
【0032】
図4、図5において、串状部材3に刺し込まれた状態の成形体1は、チェーン5Aにより所定の移送系路15に沿い連続的に移送されて通電加熱装置7内に送り込まれる。すなわち、既に述べたように、チェーン5Aに設けられたホルダ5Bに串状部材3の下端が刺し込まれ、串状部材3が垂直に保持された状態で、すなわち成形体1自体も垂直に保持された状態で、移送系路15に沿ってのチェーン5Aの移動に伴なって一定の速度で通電加熱装置7内に送り込まれる。
【0033】
通電加熱装置7は、成形体1をその両側から挟む平行一対の無端環状のキャタピラ電極17A,17Bを有する構成とされている。これらのキャタピラ電極17A,17Bはチタンもしくはチタン合金からなるものであり、それぞれプーリ19A,21A;19B,21Bにエンドレスに巻き架けられ、図示しないモータ等の駆動装置により回巡せしめられるようになっている。ここで、キャタピラ電極17A,17Bは、その表面が直接成形体1に接するようにしても良いが、この実施例の場合には、キャタピラ電極17A,17Bの外周上にセロハン等の透水性フィルムあるいは含水性クッション材料からなるシート状のクッション材23が巻き架けられていて、この透水性フィルムもしくはクッション材23を介してキャタピラ電極17A,17Bが成形体1に接するように構成されている。なおこの透水性フィルムもしくはクッション材23には、キャタピラ電極17A,17Bの背後の位置においてスプレー装置25により水や食塩水が吹き掛けられるようになっている。したがってこの透水性フィルムもしくはクッション材23は、水や食塩水を含ませることにより導電性が与えられ、しかもキャタピラ電極17A,17Bと成形体1との間の緩衝材としても機能する。
【0034】
上述のような通電加熱装置7においては、成形体1は、串状部材3に刺し込まれた状態で垂直状態を維持したまま、チェーン5Aにより移送系路15に沿って移送され、一対のキャタピラ電極17A,17Bの間に至る。そして中間に透水性フィルムもしくはクッション材23を介在させた状態でキャタピラ電極17A,17Bによって成形体1が挟まれる。なお透水性フィルムもしくはクッション材23は既に述べたように水や食塩水を含ませことによって導電性が与えられている。キャタピラ電極17A,17Bの間には予め所定の電圧が加えられており、そのため透水性フィルムもしくはクッション材23を介して成形体1に電流が流れ、成形体1の有する抵抗によって抵抗発熱、すなわちジュール発熱し、成形体1の温度が上昇する。
【0035】
ここで、通電加熱による成形体1の加熱においては、既に述べたように成形体1の内部の到達温度が65〜95℃の範囲内の温度となるように制御する。そのためには、キャタピラ電極17A,17B間の電圧を適切に調整したり、キャタピラ電極17A,17B間での成形体1の滞在時間を適切に調整すれば良い。なお通電加熱工程では、前述のように成形体1の内部の到達温度が65〜95℃の範囲内となるように制御するが、実際には、成形体1の表面におけるキャタピラ電極17A,17Bに接していない部分において、65℃未満の低い温度までしか到達しないことがあり、逆にキャタピラ電極17A,17Bに接している表面や内部では、局部的な電流集中によって95℃を越える高温に過加熱されることがある。
【0036】
通電加熱装置7からチェーンコンベヤなどの支持部材5によって支持された状態で送り出された成形体1は、次いで外部加熱装置13に送り込まれる。この外部加熱装置13は、成形体1をその外側の加熱雰囲気によって加熱(外部加熱)するためのものであり、内部の雰囲気温度を120℃以上200℃未満の範囲内に保った均温ゾーン9と、同じく内部の雰囲気温度を200〜350℃の範囲内に保ったあぶりゾーン11とに区分されている。これらの各ゾーン9,11は、それぞれ電気ヒータやガスバーナ等を設置して、前述の各範囲内の温度に制御するようにしても良いが、あぶりゾーン11のみに電気ヒータやガスバーナを設けておいて、あぶりゾーン11から若干温度が低下した雰囲気(ガスまたは蒸気)が均温ゾーン9に流れ込むようにしても良い。
【0037】
外部加熱装置13内に送り込まれた成形体1は、串状部材3が刺し込まれたまま、支持部材5によって支持された状態で先ず均温ゾーン9を通過し、その間120℃以上200℃未満の雰囲気に30〜80秒間曝されて、既に述べたように成形体1の全体の温度が均一化される。すなわち、通電加熱工程において加熱不足であった部分は温度が上昇して確実に殺菌され、また通電加熱工程において過加熱となった部分は逆に温度降下する。
【0038】
次いで成形体1はあぶりゾーン11を通過し、その間200〜350℃の雰囲気に60〜150秒間曝されて、既に述べたように成形体1の表面の水分が適度に蒸発し、表面のべたつきが除去される。なおこのあぶりゾーン11におけるあぶり工程では、その前の均温ゾーン9における均温工程で成形体1の全体の温度が均一化されているため、局部的に温度が高くなって局部的に焼色が付いてしまったり、局部的に硬くなってしまったりすることを有効に防止できる。
【0039】
以上のように、通電加熱後、均温ゾーンにおいてすり身成形体の全体の温度を均一化してから、あぶりゾーンにおいて加熱することによってすり身成形体の全体を確実に殺菌し、しかも表面がべたつかない程度に全体的に軟質でかつ局部的な焼色発生もない、生に近い風味、食感を有する笹蒲鉾等の魚肉練り製品を確実かつ安定して製造することができる。
【0040】
なお前述の説明では、通電加熱装置7内において、串状部材3および偏平なすり身成形体1を垂直に支持した状態で移送しながら、成形体1をその左右両側からキャタピラ電極17A,17Bにより挟む構成としているが、場合によっては串状部材3および偏平なすり身成形体1を水平もしくは傾斜状に支持した状態で移送しながら、その上下両側からキャタピラ電極17A,17Bによって挟む構成としても良い。さらに通電加熱工程は、2段階に分けて行なっても良く、その場合、いずれか一方の段階では水平もしくは傾斜状に支持して通電し、他方の段階では垂直に支持して通電しても良い。またキャタピラ電極17A,17Bの代りに、導電性を有する無端環状ベルトからなるベルト電極を用いることもできる。いずれにしても、この発明において通電加熱工程は、従来から知られている種々の方法を適用することができる。
【0041】
また前述の説明では串状部材が刺し込まれた状態となるように魚肉すり身を成形して、串状部材を支持しながら移送・加熱する構成としているが、場合によっては串状部材を用いず、所定の形状に成形された魚肉すり身をベルトコンベヤ等に載置して移送しながら加熱する構成としても良い。
【0042】
【実施例】
魚肉すり身をチタンからなる串状部材3に刺し込まれた状態で逐次偏平な笹の葉状に成形し、その成形体1を図1に示すように通電加熱装置7に順次送り込んで通電加熱を行なった。通電加熱装置7では、高周波によって成形体の内部温度が85℃に到達するまで加熱した。一方外部加熱装置13としてはあぶりゾーン11内にのみ電気ヒータを設置したものを用い、均温ゾーン9内の雰囲気の平均温度が150℃、あぶりゾーン11内の雰囲気の平均温度が250℃となるように調整しておき、通電加熱装置7から出た各成形体1を順次外部加熱装置13内に送り込み、均温ゾーン9を50秒間で通過させ、あぶりゾーン11を90秒間で通過させた。
【0043】
得られた笹蒲鉾状の練り製品について調べたところ、ほぼ完全に殺菌されており、かつ表面に局部的な焼色、焦げ色がないとともに、表面全体がべたつかない程度に均一に適度に軟質であって、生に近い風味、食感を均一に有していることが確認された。
【0044】
【発明の効果】
前述の説明で明らかなように、この発明の方法によれば、確実かつ充分に殺菌され、かつ全体的に表面がべたつかない程度に軟質でしかも焼色、焦げ色のない、生に近い風味、食感を有する全体的に均一な性状を持つ魚肉練り製品を、確実かつ安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施するための装置の全体構成の一例を原理的に示す略解図である。
【図2】この発明で適用されるすり身成形体の一例を示す正面図である。
【図3】すり身成形体の移送手段の一例を示す正面図である。
【図4】この発明の方法における通電加熱工程を実施するための通電加熱装置の一例を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線における正面図である。
【符号の説明】
1 すり身成形体
3 串状部材
5 支持部材
7 通電加熱装置
9 均温ゾーン
11 あぶりゾーン
13 外部加熱装置

Claims (3)

  1. 成形された魚肉すり身を加熱して魚肉練り製品を製造する方法において、
    予め成形された魚肉すり身成形体に通電して、すり身成形体の内部温度が65〜95℃の範囲内の温度に到達するまで通電加熱する通電加熱工程と、
    通電加熱工程終了後のすり身成形体を120℃以上200℃未満の範囲内の温度の雰囲気に曝して30〜80秒保持する均温工程と、
    均温工程終了後のすり身成形体を200〜350℃の範囲内の温度の雰囲気に曝して60〜150秒間保持するあぶり工程、
    とを有してなることを特徴とする魚肉練り製品の製造方法。
  2. 成形された複数の魚肉すり身を順次連続的に移送しつつ加熱して魚肉練り製品を製造する方法において、
    予め成形された魚肉すり身成形体を連続的に移送しつつ、各すり身成形体に順次通電して、各すり身成形体の内部温度が65〜95℃の範囲内の温度に到達するまで通電加熱する通電加熱工程と、
    通電加熱工程終了後の各すり身成形体を120℃以上200℃未満の範囲内の雰囲気温度に保持された均温ゾーンに順次連続的に移送して、その均温ゾーン内において連続的に移送しつつ30〜80秒保持する均温工程と、
    均温工程終了後の各すり身成形体を200〜350℃の範囲内の雰囲気温度に保持されたあぶりゾーンに順次連続的に移送して、そのあぶりゾーン内において連続的に移送しつつ60〜150秒間保持するあぶり工程、
    とを有してなることを特徴とする魚肉練り製品の製造方法。
  3. すり身成形体を、予め導電性を有する串状部材が刺し込まれた状態としておき、前記通電加熱工程においては、串状部材の一端を支持部材によって保持しつつ、すり身成形体を一対の電極間に挟みながら所定の系路に沿って移送させ、かつその間に前記一対の電極の間で通電することによりすり身成形体を通電加熱し、また前記均温工程およびあぶり工程においては、前記支持部材によって支持しながら均温ゾーン内およびあぶりゾーン内を連続的に移送させることを特徴とする請求項2に記載の魚肉練り製品の製造方法。
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