JP7133895B2 - プロセスチーズ類、プロセスチーズ類の製造方法、および製造装置 - Google Patents
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なお、一般的にスモークチーズと称されるチーズの燻製が流通しているが、これは燻煙によってチーズ表面が褐色になったものであり、焦げ目とは異なる。
ここで、「プロセスチーズ類」とは、プロセスチーズの規格に属するものの他、チーズフードの規格や乳等を主要原料とする食品の規格に属するものを含む。また、「焦げ目」とは、メイラード反応などによりシート状チーズ自身が茶色または黒色になることであり、特に黒い焦げ目は多くなり過ぎると焦げ感が増す。
本発明のプロセスチーズ類によれば、例えば工場での製造にあたって表面に焦げ目を付けることで、消費者が購入後に調理しなくとも、購入した時点で既にチーズ本来の美味しさに香ばしさが付与されているプロセスチーズ類を提供することができる。
溶融チーズを単にシート状チーズに成形し、このシート状チーズをオーブンやグリル、または鉄板等で焼くことで焦げ目を付けようとすると、シート状チーズは、チーズ全体に伝達された熱で溶けてしまったり、溶けないまでも、製造工程間の搬送に耐え得ない程に軟化したりして、製造が困難であることがわかった。
そこで本発明のプロセスチーズ類では、溶融チーズを冷却しながら引き出してシート状チーズを成形することとし、高熱源を用いた短時間加熱により搬送に耐え得ない程に軟化したりすることを抑制しながら、焦げ目を付与することができる。
本発明のプロセスチーズ類では、シート状チーズの厚さが1mmから15mmとされているため、例えば厚さが1mmあるいはそれに近い比較的薄いシート状チーズであれば、シュレッド状に切断しやすく、ピザやグラタン等に用いられる好適なプロセスチーズ類として提供することができる。厚さが15mmあるいはそれに近い比較的厚いシート状チーズであれば、ダイス状に切断しやすく、一口サイズで気軽に食することができるプロセスチーズ類を提供することができる。また、これらを複数枚積層して積層チーズとすれば、初めから切れ目の入ったプロセスチーズ類の積層チーズを容易に提供することができるし、厚さが薄めの場合では、より小さいシート状に成形することで、トーストやサンドイッチ等に用いられる所謂スライスチーズと称するプロセスチーズ類として提供することができる。
本発明のプロセスチーズ類では、見た目上、質感に優れたプロセスチーズ類に仕上げることができる。
例えばチーズを焼いたような香ばしい風味の香料を添加した場合、本発明のプロセスチーズ類では、香ばしさを香料にて補うことができるため、焦げ目をより低温で付けた場合でも、十分な焼成風味を出すことができるうえ、焦げ目を付与する際の熱影響を少なくして、保形性をさらに向上させることができる。
一方、ハムなどのような香料を添加した場合、本発明のプロセスチーズ類では、ローストしたハムとチーズの風味を出すことができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法によれば、例えば工場での製造工程として焦げ目付与工程を設ける。そして、焦げ目付与工程にて表面に焦げ目を付けることで、消費者が購入後に調理しなくとも、購入した時点で既にチーズ本来の美味しさに香ばしさが付与されているプロセスチーズ類を提供することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法では、シート状チーズへの成形工程において、溶融チーズを冷却するので、引き出されるシート状チーズの温度を低くすることができ、焦げ目付与工程中にチーズ全体が即座に溶けてしまったり、搬送に耐え得ない程に軟化したりすることを抑制することができ、シート状チーズの形状が良好に維持されて、焦げ目を確実に付けることができる。また、切断工程を設けるため、ピザやグラタン用、おつまみ用、トーストやサンドイッチ用など、消費者の用途に応じた形態のプロセスチーズ類を容易に製造することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法では、シート状チーズの表面の糖分によるメイラード反応により、表面の広範囲にわたってより均一な焦げ目を付与することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法では、積層構造を有する積層チーズや、より小さなシート状のプロセスチーズ類を得る基材として短冊状の切断チーズを成形することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造方法では、焦げ目を付与している間にも別の面を冷却することで、シート状チーズの保形性を一層向上させることができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置によれば、例えば工場での製造装置として焦げ目付与部を設置する。そして、焦げ目付与部にて表面に焦げ目を付けることで、消費者が購入後に調理しなくとも、購入した時点で既にチーズ本来の美味しさに香ばしさが付与されているプロセスチーズ類を提供することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、シート状チーズへの成形部において、溶融チーズを冷却するので、引き出されるシート状チーズの温度を低くすることができ、焦げ目付与部にてチーズ全体が即座に溶けてしまったり、搬送に耐え得ない程に軟化したりすることを抑制することができ、シート状チーズの形状が良好に維持されて、焦げ目を確実に付けることができる。また、切断工程を設けるため、ピザやグラタン用、おつまみ用、トーストやサンドイッチ用など、消費者の用途に応じた形態のプロセスチーズ類を容易に製造することができる。
配置されていることが好ましい。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、焦げ目付与部で付与される焦げ目によってシート状チーズの表面がある程度硬化するから、その後に切断部によってシート状チーズを切断した場合の保形性を良好にすることができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、シート状チーズの表面の塗布した糖分によるメイラード反応により、表面の広範囲にわたってより均一な焦げ目を付与することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、それらの熱源を有した焼成機によって焦げ目を確実に付与することができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、焦げ目付与部で焦げ目を付与している間を含め、製造装置内を搬送中に冷却機構によって冷却でき、保形性を向上させることができる。
本発明のプロセスチーズ類の製造装置では、焦げ目を付与する際に生じる煙を排気装置で確実に排気でき、製造環境を良好にすることができる。
なお、後述する第2、第3実施形態の説明において、第1実施形態と同一構成要素または同一機能要素については同一符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
(製造装置の概略全体)
図1は、本実施形態に係るプロセスチーズ類PCの製造装置1を示す模式図である。
図1において、本実施形態の製造装置1は、焦げ目が付与されたプロセスチーズ類PCを製造する装置であって、上流から下流に向けて順に、溶融部11、成形部12、焦げ目付与部13、および切断部14を備えている。また、製造装置1には、例えばベルトコンベア式の搬送装置15が設けられている。搬送装置15による搬送方向を図中に白抜き矢印で示してある。
溶融部11は、所定の大きさに砕いたナチュラルチーズを加熱溶融し、添加された溶融塩によって乳化するように構成されている。この溶融部11では、溶融チーズMCを得ることが可能である。
成形部12は、例えば内向きに回転する一対の回転式冷却装置121と複数段の回転式冷却装置122,123等で構成される。図1において、回転式冷却装置121,122,123を実線で示し、成形途中のチーズを点線で示してある。具体的に成形部12では、所定間隔で対向配置された一対の回転式冷却装置121間に溶融部11からの溶融チーズMCが供給され、当該所定間隔によって決定される厚さを有したシート状に溶融チーズMCを成形し、その成形された溶融チーズMCをより下段の回転式冷却装置122,123によってさらに冷却しながら、最終的に連続的に引き出してシート状チーズSCを成形する。ただし、成形部12としては、両面を冷却可能な冷却ベルト式や、片面を冷却可能な冷却ベルト式であってもよい。シート状チーズSCの厚さとしては、1mmから15mmである。成形部12では、その範囲を含んで厚さを任意に設定可能である。
焦げ目付与部13は、シート状チーズSCを加熱することで当該シート状チーズSCの表面である上面の少なくとも一部に焦げ目を付与する機能を有している。この焦げ目付与部13は、熱源131を有する焼成機132と、熱源131の周囲を覆うように設置された排気装置133を含んで構成されている。
一方、ランプヒータやレーザーの場合はレンズによる集光や、表面の色を白系から黒系にし、光の反射率を下げることでより低いワット数で焦げ目を付与することができる。さらに、集光したスポット径を5mm以下、好ましくは2mm以下程度に調整し、そのスポット径を均一にチーズ表面に照射することで、焦げ目を均一に付与することも可能である。具体的には、同心円状のスポットを走査する方法やライン状のスポットとし、チーズシートを搬送しながら均一に照射する方法などが可能である。
切断部14は、シート状チーズSCを搬送方向に沿って複数列連続して切断することで、所定の幅寸法を有した平面視で帯状の複数の切断チーズCC(図2(A)参照)に切断したり、切断チーズCCに切断することなく、シュレッド状のプロセスチーズ類PC(図2(C)参照)に切断したりするように構成されている。この際の切断チーズのCCの切断幅は、任意に設定可能である。切断部14で用いられる具体的な装置としては、スリッターや、ワイヤカッター、円板カッター、魚籠式抜き型などである。
図2(A)には、シート状チーズSCを搬送方向に沿って切断することで得られる複数の帯状の切断チーズCCが示されている。このような切断チーズCCの厚さは、1mmから15mmの間で様々である。
搬送装置15は、コンベアベルトとして機能する冷却機構としての冷却ベルト151が用いられ、冷却ベルト151を冷却する冷却装置152を有している。冷却装置152としては、低温の冷却媒体を循環させる形式や熱電素子を用いた形式のものなど、形式は任意である。冷却されて全体として低温とされた冷却ベルト151上には、成形部12から引き出されたシート状チーズSCが載せられる。
以下には、プロセスチーズ類PCの製造方法を図4をも参照して説明する。
プロセスチーズ類PCの製造方法としては、工程順に説明すると、溶融部11による溶融工程、成形部12による成形工程、焦げ目付与部13による焦げ目付与工程、および切断部14による切断工程を有する。
成形工程では、溶融チーズMCを冷却しながらシート状に引き延ばし、シート状チーズSCに成形して搬送装置15上に供給する。
焦げ目付与工程では、焼成によりシート状チーズの上面に焦げ目を付与するとともに、この際に生じる煙を排気する。
切断工程では、シート状チーズSCを短冊状、ダイス状、シュレッド状、より小さなシート状等に切断する。
以上に説明した実施形態によれば、工場での製造にあたってシート状チーズSCの上面に焦げ目を付けるので、消費者が購入後に調理しなくとも、購入した時点で既にチーズ本来の美味しさに香ばしさが付与されているプロセスチーズ類PCを提供することができるという効果がある。
(製造装置の概略全体)
図5は、本実施形態に係るプロセスチーズ類PCの製造装置1を示す模式図である。
図5において、本実施形態の製造装置1では、シート状チーズSCの搬送方向にて焦げ目付与部13の上流側には、シート状チーズSCの表面、すなわち、焦げ目が付与されることとなる上面に糖類を含む液体を塗布する液体塗布部16が配置されている。その他の構成は、前記第1実施形態と同じである。
液体塗布部16は、1流体ノズルや2流体ノズルといった噴霧式のスプレーノズル、あるいはディスペンサなど、適宜な塗布装置161を有している。塗布される糖類としては、キシロース、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アミノ糖、および糖誘導体の中から選択的に用いられる。糖類を含む液体は、可能な限り濃い濃度で少量塗布されることが好ましい。
本実施形態での製造工程としては、図6に示すように、焦げ目付与工程より前に、液体塗布部16による工程、つまり、シート状チーズSCの上面に糖類を含む液体を塗布する液体塗布工程を有している。糖類を含む液体をシート状チーズSCの上面に塗布することで、糖分によるメイラード反応が促進されるため、シート状チーズSCの上面の広範囲にわたってより均一な焦げ目を付与することが可能である。
(製造装置および製造方法)
図7は、本実施形態に係るプロセスチーズ類PCの製造装置1を示す模式図である。
図7において、本実施形態の製造装置1としては、前述の第1実施形態と同じである。ただし、溶融部11では、図7中に2点鎖線で示すように、溶融チーズMCの中に糖類、および香ばしさを付与する香料が添加される。従って、図8に示す製造方法では、溶融工程として、糖類の添加および香料の添加を実施することになる。糖類の添加量は、好ましくは0.1重量%以上、0.9重量%以下程度である。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形例等は、本発明に含まれる。
例えば前記各実施形態では、シート状チーズSCに焦げ目を付与した後に当該シート状チーズSCを切断していたが、プロセスチーズ類PCの最終的な形状などによっては、シート状チーズSCを切断した後に焦げ目を付与してもよい。
この場合、積層チーズLCとしては、図3、図11に示すようなものに限らず、シート状チーズSCを切断工程にて所定の大きさの帯状の切断チーズCCに切断した後に、それらの切断チーズCCをさらに別な切断工程にて幅方向に切断して短冊状に形成し、これを複数枚積層したものであってもよい。
Claims (13)
- プロセスチーズ類の製造方法において、
冷却機構で冷却しながら、プロセスチーズ類の焦げ目を付与する表面を加熱することで当該表面の少なくとも一部に焦げ目を付与する焦げ目付与工程を有する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。 - 請求項1に記載のプロセスチーズ類の製造方法において、
溶融チーズを冷却しながら連続的に引き出してシート状チーズを成形する成形工程と、
前記冷却機構で冷却しながら、前記シート状チーズの焦げ目を付与する表面を加熱することで当該表面の少なくとも一部に焦げ目を付与する前記焦げ目付与工程と、
前記シート状チーズを切断する切断工程とを有する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。 - 請求項2に記載のプロセスチーズ類の製造方法において、
前記溶融チーズ中に糖類を添加する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。 - 請求項2に記載のプロセスチーズ類の製造方法において、
前記焦げ目付与工程より前に、前記シート状チーズの焦げ目を付与する表面に糖類を含む液体を塗布する液体塗布工程を有する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造方法において、
焦げ目を付与する表面とは別の面を冷却しながら、当該焦げ目を付与する表面を加熱する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。 - プロセスチーズ類の製造装置において、
冷却機構で冷却しながら、プロセスチーズ類の焦げ目を付与する表面を加熱することで当該表面の少なくとも一部に焦げ目を付与する焦げ目付与部を有する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項6に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
溶融チーズを冷却しながら連続的に引き出してシート状チーズを成形する成形部と、
前記冷却機構で冷却しながら、前記シート状チーズの焦げ目を付与する表面を加熱することで当該表面の少なくとも一部に焦げ目を付与する前記焦げ目付与部と、
前記シート状チーズを切断する切断部とを有する
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項7に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記焦げ目付与部は、前記シート状チーズの搬送方向に対し前記切断部よりも上流側に配置されている
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項7または請求項8に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記シート状チーズの搬送方向にて前記焦げ目付与部よりも上流側には、前記シート状チーズの焦げ目を付与する表面に糖類を含む液体を塗布する液体塗布部が配置されている
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記焦げ目付与部は、熱源を有する焼成機を含んで構成される
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項10に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記熱源は、ガスバーナ、レーザー、ランプヒータ、セラミックヒータ、熱風ヒータ、
電熱線のいずれかである
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項6ないし請求項11のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記冷却機構を有した搬送装置が設けられ、
前記冷却機構で冷却する際、焦げ目を付与する表面とは反対側の面が前記冷却機構に載置される
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。 - 請求項6ないし請求項12のいずれか一項に記載のプロセスチーズ類の製造装置において、
前記焦げ目付与部には、排気装置が設けられている
ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造装置。
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