JP5376172B2 - 削り節風チーズ食品の製造方法 - Google Patents

削り節風チーズ食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5376172B2
JP5376172B2 JP2010103698A JP2010103698A JP5376172B2 JP 5376172 B2 JP5376172 B2 JP 5376172B2 JP 2010103698 A JP2010103698 A JP 2010103698A JP 2010103698 A JP2010103698 A JP 2010103698A JP 5376172 B2 JP5376172 B2 JP 5376172B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cheese
food
food material
processed
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010103698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011229473A (ja
Inventor
隆 松原
Original Assignee
隆 松原
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 隆 松原 filed Critical 隆 松原
Priority to JP2010103698A priority Critical patent/JP5376172B2/ja
Publication of JP2011229473A publication Critical patent/JP2011229473A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5376172B2 publication Critical patent/JP5376172B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、削り節風チーズ食品の製造方法、さらに詳しくは、他の加熱調理食品の具材として混ぜ合せたり、あるいは他の加熱調理食品に載せ置き又は振り掛けて使用した場合、加熱によってチーズが溶融することがなく、チーズ本来の旨味や風味、香り、食感や視覚的な趣向を添えて加熱調理食品の味わいと食欲を増進させることができきるいわゆる「花かつお」のような形態を有する削り節風のチーズ食品の製造方法に関する。
適宜の厚さのチーズの両面にシート状の加工食品を積層して加熱密着させ、適宜形状に裁断したチーズ食品は、一体に密着されたチーズとシート状加工食品の良好な旨味、風味、香りが相乗されており、飲酒時のおつまみやおやつとして簡便に食することができることとも相俟って、市場において広く受け入れられ多様な製品が提供されている。
この種のチーズ食品において、チーズと一体に密着させるためのシート状の加工食品としては、任意に選択できるが、多くは鱈などの魚肉の擂り身に澱粉や調味料などを添加して混練し、適宜厚さの薄板状に成形した後に加熱して乾燥させて製造された魚肉シートが用いられており、和食の出汁の主材ともなる魚肉とチーズと組み合わせることによって醸し出される良好で固有な旨味、風味、香り、さらには水分含有量の調整で生み出される独特の食感(口当たりや歯触り)が、殊のほか評価されて多くの人に賞味されている。
このように、チーズ食品が高く評価されていることを考えれば、チーズ食品それ自体を単独で食するばかりではなく、他の調理食品の具材として混ぜ合わせ、あるいは他の調理食品に載せ置いたり振り掛けて利用した場合にも、チーズ食品の良好な旨味、風味、香りが調理食品に加わって味を引き立て、固有な食感が調理食品にアクセントを与え、さらには載せ置き、もしくは振り掛けたチーズ食品の形状によって、その視覚的な趣向も添えて調理食品の魅力と食欲を増進するものと当然予想され要請されるところであるが、加熱調理食品への利用を試みる場合、従来提案されているチーズ食品では、この予想と要請に応えることができなかった。
すなわち、チーズ食品の製造方法に関する従来技術に徴すると、主として求める食感を実現するために水分含有率の調整が行われており、所望の食感を得るための水分含有率との関係で乾燥工程の有無が分かれる上に、異なる内容種類の乾燥方法が採用されており、特段の乾燥処理を施さないもの、常温空気との接触による自然乾燥に委ねるもの、常温を超えた高温条件による乾燥処理を施すもの、の三種類に大別することができる。
上記の第一番目に挙げた特段の乾燥処理を施さないものは、全体が柔軟板状に一体に積層し密着させたチーズと魚肉シートを、そのまま裁断して製品としており、乾燥を避けてチーズ本来の水分含有率(利用頻度が高いプロセスチーズで44%程度)に近い水分含有率を保持することにより、チーズ本来の風味やソフトな食感を確保しようとしているものと考えられる。(特開平5−2689145号、特開平8−214844号、特開平9−212号)なお、本明細書で水分含有率として表示する「%」とは以下、全て「重量%」を意味するものである。
この種のチーズ食品の製造においても、チーズと魚肉シートを一体に密着させる工程で加熱処理を施すものが多く、この加熱によってチーズ中の食品成分との結合が非常に弱い自由水分の一部が乾燥した魚肉シートに移動して蒸発するものの、蒸発する水分量はわずかなものに止まっており、従来例におけるチーズ食品としての水分含有率は37%〜44%程度に調整されている。
これら従来例は、チーズ本来の旨味、風味、香りが魚肉シートと相俟って醸す良好な特徴を有しているが、製品の水分含有率が高く、加温加熱下では残余の含有水分が蒸発するまでチーズの溶融が進行してしまうため、加熱調理食品に利用した場合には簡単に溶けてしまい、チーズ食品に固有の良好な旨味、風味、香りが加熱調理食品中に拡散してチーズ食品を利用する意味が失われると共に、固有な食感も奪われてしまい、さらには溶けて形状が保持されないため、視覚的な趣向を与えることもできないなど、上記した要請には全く応えることができない。
次に、上記第二番目の常温空気との接触による自然乾燥に委ねるものは、チーズ内の自由水分やその一部の蒸発を図り、水分含有率を低下させることにより、チーズ食品の食感に一定の固さ(パリパリ感)を与えようとしているものと考えられ、固有な食感の付与によって良好な製品特徴が強められていると共に、自然乾燥に委ねられる限り、チーズ内で自由に移動する自由水分が蒸発するに止まり、タンパク質、炭水化物や脂質などチーズ中の食品成分分子と固く結合した結合水分までは蒸発させることはできないから、結合水分の強制的な蒸発によって起こることの多い食品成分分子の破壊と旨味、風味、香りの変質劣化や毀損は生じていない。(特開昭59−85273号、特開平8−214844号)
この点で、第二番目に大別されるチーズ食品も他の調理食品への利用に値する良好な旨味、風味、香りや食感を備えていると言えるが、自然乾燥によりチーズ内の自由水分を蒸発させて含水量を低下させるに止まるため、乾燥後の水分含有率は30%程度にまで及び、加熱調理食品に利用した場合には、この場合にもチーズが調理食品中に溶けてしまうことは避けられないから、第一番目のチーズ食品と同様に加熱調理食品の具材として混ぜ合わせたり、加熱調理食品に載せ置きあるいは振り掛けてチーズ食品自体の固有な旨味、風味、香りや食感を賞味し、さらに載せ置きもしくは振り掛けた状態を視覚的に楽しむことができない。
これに対して、第三番目の常温を超えた高温の乾燥処理を施すものは、加熱乾燥、熱風乾燥、焙焼乾燥など高温条件の乾燥処理を施すことによって、チーズ内の自由水分のみならず、チーズ内で成分分子と固く結合した結合水分まで強制的に蒸発させて製品の水分含有率を極めて低いものとし、これにより独特の極めて固い食感を与えており、加熱乾燥によりチーズ部分の水分含有率を約3〜15%に調整する例(特開平5−252867号)や、連続式マイクロ波加熱装置の加熱処理で製品全体の水分含有率を10%以下にする例(特開平6−105674号)、加熱乾燥によって水分含有量を10%〜18%とした中間製品を切断してさらに焙焼乾燥及び/又は熱風乾燥を施して水分含有量を5%以下にする例(特開2008−54558号)などを挙げることができる。
この種のチーズ食品は、高温条件の乾燥処理によって製品の水分含有率を15%以下にまで低下させているため、加熱調理食品に利用した場合、チーズが溶ける前に含有水分が蒸発し、その外形形状が溶けることなく保持されると考えられるが、次に挙げる二つの点で加熱調理食品の具材として混ぜ合わせたり、あるいは加熱調理食品に載せ置きもしくは振り掛けて利用する場合には適合せず、馴染まないものと言わざるを得ない。
すなわち、これらチーズ食品では、高温条件の乾燥処理により、水分含有率を大きく低減させることで、極めて固くて噛み応えのある特有の食感を得ているが、この特有の食感は、焼きスルメなどの固い珍味類に照らせば明らかなように、嗜好食品として食する限りにおいて許容され賞味されている製品特性であって、本発明で想定している加熱調理食品に利用した場合には、その食味にアクセントを添えるというより、違和感と抵抗感を与える要素として機能してしまい、一般飲食者に広く受け入れられるものとはなり得ない。
また、加熱乾燥、熱風乾燥、焙焼乾燥など高温条件の乾燥処理でチーズ内の結合水分を強制的に蒸発させた場合には、チーズ中のタンパク質、炭水化物や脂質など結合水分と固く結合していた成分分子の破壊を避けることができず、その旨味、風味、香りが大きく損なわれてしまうので、これを加熱調理食品一般に利用しても、良好な旨味、風味、香りを与えることにはならず、かえって加熱調理食品の味わいを損ね、魅力を減じてしまう恐れさえある。
以上に記載の通り、従来のチーズ食品を前提に置いて考える限り、加熱調理食品の味を引き立てアクセントを添える特性を持つチーズ食品は、加熱調理食品に用いてもチーズが簡単に溶けてしまっては、その用をなさず、また、加熱調理食品に使用した場合に溶けるところのないチーズ食品は、嗜好食品ならではの特性が強すぎるため、加熱調理食品に用いてその魅力を引き立てる役には立たないなど、加熱調理食品の具材として混ぜ合わせたり、或いは加熱調理食品に載せ置きもしくは振り掛けることで良好な旨味、風味、香りを添えて引き立てると共に、好適な食感でアクセントを与え、さらには視覚的な趣向も付与することのできるチーズ食品は未だ提案も提供もされていない。
特開昭59−85273号公報 特開平5−252867号公報 特開平5−2689145号公報 特開平6−105674号公報 特開平8−214844号公報 特開平9−212号公報 特開2008−54558号公報
本発明は、チーズ食品としてそれ自体単独で食することができるばかりでなく、他の加熱調理する食品(料理)の具材として混ぜ合せたり、あるいは他の加熱調理食品に載せ置き又は振り掛けて利用した場合でも、加熱調理食品中にチーズ部分が溶融することがなく、チーズ食品の良好な旨味、風味、香りを添えて加熱調理食品の味わいを引き立て、固有な食感で好適なアクセントを与え、さらには食品に載せ置きもしくは振り掛けたチーズ食品の形状によって視覚的な趣向も増すことができる新規な削り節風のチーズ食品の製造方法を提供するところにある。
まず、本発明は、適宜厚さの固形のプロセスチーズの両面に魚肉シート等の適宜素材からなるシート状の加工食品を積層したものをロースター等の加熱鉄板で上下から加熱圧着してプロセスチーズとシート状の加工食品を密着させた柔軟な板状の第一次食品素材を形成する第一工程と、前記第一次食品素材に常温以下の冷風を吹き付ける冷風乾燥を施して所定の水分含有率に調整された板状の第二次食品素材を形成する第二工程と、前記第二次食品素材を適宜形状に薄くスライスしてチーズ食品となす第三工程とからなる、ことを特徴とする削り節風チーズ食品の製造方法である。
なお、上記第二工程における第二次食品素材の水分含有率は18〜27%に調整するのが好ましい。上記上限値以上の水分含有率を有する場合には、加熱調理の際に最終製品の削り節風チーズ食品のチーズ部分が融解して溶出するおそれがあり、また上記下限値以下の水分含有率の場合には、食感が必要以上に固くなり、チーズ本来の旨味や風味等も悪くなってしまう。
また、前記第三工程において、前記第二次食品素材は厚さ0.3〜0.5mmの切片にスライスしてチーズ食品とする。この厚さは、いわゆる「花かつお」と同程度の厚さである。ただし、このスライスする厚さには、格別の制約はなく、それ以上の厚さ、あるいはそれ以下の厚さであってもよい。
また、前記第一工程において、前記シート状の加工食品としては、例えば鱈等の魚肉の擂り身に澱粉、調味料などを加えて混練し加熱して乾燥させた魚肉シートであり、前記ロースター等の加熱鉄板が70℃〜100℃に加熱されており、前記固形板状のプロセスチーズを用いた場合の第一次食品素材の水分含有率は37〜42%に調整される。
なお、本発明の他の方法として、第一工程において、上記した第一次食品素材を形成する方法として、固形板状のプロセスチーズを用いるのではなく、加熱溶解して乳化したプロセスチーズを使用し、ロール状に巻かれていて連続的に繰り出されて来る魚肉シート等のシート状加工食品の上にこの溶解したプロセスチーズを流し込みながら、更にこの溶解したプロセスチーズ上に連続的に繰り出されて来る別の魚肉シート等のシート状加工食品を乗せて該チーズに加圧密着させ、上下をシート状加工食品によって挟まれたプロセスチーズの3層の連続体を形成し、この連続体を常温又は冷温下で放冷してから、これを適宜の長さに裁断して板状の第一次食品素材を形成する方法を第一工程としてもよく、これによっても、前記した固形板状のプロセスチーズを用いたものと同等の板状の第一次食品素材を形成することができる。
以上のように、本発明に係る削り節風チーズ食品の製造方法にあっては、プロセスチーズの両面にシート状の加工食品を積層して加熱密着させた第一次食品素材に冷風乾燥を施すことで第二次食品素材を得ており、この冷風乾燥がプロセスチーズの中で自由に移動する自由水分のみならず、食品成分と固く結合した結合水分をも食品成分分子の破壊を伴わずに蒸発させて所望の水分含有率まで低減させることを可能にしているから、最終製品である削り節風チーズ食品を加熱調理食品に利用した場合でも、プロセスチーズ部分が溶融せず、好適な食感を保持する水分含有率に容易に調整できると共に、水分含有率をこのように低減させた場合であっても、この削り節風チーズ食品に固有の良好な旨味、風味、香りが損なわれる恐れはない。
加えて、本発明によれば、加熱調理食品への利用に際しても、プロセスチーズが溶融することなく、その外形形状を保持した状態の削り節風チーズ食品を製造することができるから、加熱調理食品への載せ置きや振り掛けに適した外形形状を与えたチーズ食品を製造して、視覚的な趣向をさらに高めることもできる。
以下、本発明にかかるチーズ食品の製造方法の一実施例について説明する。
まず、本実施例においては、シート状の加工食品として、鱈の擂り身に澱粉や調味料などを加えて混練し、これを薄板状に成形して加熱し乾燥させた魚肉シート(例えば厚さ0.5〜1mm)を用い、この魚肉シートを適宜厚さに成形された板状のプロセスチーズ(厚さ5〜10mm)の両面に積層し、魚肉シートでプロセスチーズをサンドして載置した後に、70℃〜100℃に加熱したロースター等の加熱スチール板で上下から加熱圧着し、プロセスチーズの上下表面を溶融させて積層した魚肉シートの当接面に食い込ませると共に、さらにこれを冷却することで、積層された魚肉シートとプロセスチーズとを当接面において一体に密着させた柔軟な板状の第一次食品素材を得る。(第一工程)
第一次食品素材を得た上記の第一工程においては、プロセスチーズに対する何らの乾燥処理も施しておらず、ロースターによる加熱圧着に際してプロセスチーズから魚肉シートへ移動して蒸発する自由水分を除き、含有水分の特段の蒸発はないので、第一次食品素材の水分含有率はプロセスチーズ本来の水分含有率(44%程度)と大きな違いを持たない37%〜42%の範囲に調整されている。
次に、上記の第一次食品素材を適宜処理台に載置し、大型扇風機によって常温又はそれ以下温度の風を吹き付ける強制冷風乾燥を施すことで、水分含有率が18〜27%に大きく低減された乾燥状態に調整された板状の第二次食品素材を得る。(第二工程)
しかる後に、上記の冷風乾燥工程によって水分含有率が18〜27%まで低減された板状の第二次食品素材をその断面方向に高速スライス機によって厚さ0.3〜0.5mmの薄い切片にスライスし、あたかも「花かつお」のような削り節を思わせる外形形状のチーズ食品とし、その所定量を脱酸素剤と共にプラスチックフィルム袋等の気密性部材からなる包装体に充填し、開口部を密封した。(第三工程)
本発明に係る削り節風のチーズ食品の一実施例は以上に説明の通りであり、上下に積層された魚肉シートとプロセスチーズを加熱圧着して一体に密着させた第一次食品素材を形成する第一工程においては、含有水分の蒸発量が抑制され、第一次食品素材の水分含有率が37%〜42%に調整されているから、魚肉シートとプロセスチーズの相乗効果によって醸し出される良好な旨味、風味、香りが、基礎素材となる第一次食品素材の中に好適に保持されていることが明らかである。
次に、第二工程においては、第一次食品素材を冷風乾燥することにより水分含有率が18〜27%にまで調整された乾燥状態の第二次食品素材を得ているが、第二次食品素材の水分含有率をこのレベルまで低減できれば、加熱調理食品の具材として混ぜ合わせても、あるいは加熱調理食品に載せ置きもしくは振り掛けても、プロセスチーズの溶融を招くことなく、その外形形状を保持したチーズ食品とすることができ、本発明の課題が基本的に解決されると共に、本実施例の第三工程において板状の第二次食品素材を薄い切片にスライスして「花かつお」のような削り節を思わせる外形形状に形成することが、加熱調理食品への利用に好適な食感(口当たりや歯触りの良い適度な固さ)を与え、視覚的な趣向を増す効果を奏することとなる。
ここで、本実施例の第二次食品素材が示す水分含有率(18〜27%)は、上記した冷風乾燥によって、プロセスチーズ内における食品成分との結合が非常に弱く容易に移動もしくは蒸発する自由水分と共に、栄養成分分子と固く化学結合した結合水分までもが蒸発して乾燥していることを意味している。
通常、結合水分の蒸発は、強固に結合した成分分子の破壊を伴うことが多く、特に加熱乾燥、熱風乾燥、焙焼乾燥など常温を超えた高温条件での乾燥処理で結合水分を蒸発させると、成分分子の破壊を避けることが難しいが、本実施例における冷風乾燥では、結合水分まで蒸発させて水分含有率を大きく低減させているにもかかわらず、そのような成分分子の破壊は認められなかった。
すなわち、次の表1は冷風乾燥前の第一次食品素材と冷風乾燥後の第二次食品素材におけるプロセスチーズの主要成分を測定して比較対照したものであるが、含有水分の蒸発に伴ってチーズ単位重量(約100g)当たりの各栄養成分重量は増加しているものの、各栄養成分相互の重量相対比率はほとんど変化しておらず、冷風乾燥による結合水分の蒸発によって成分分子が破壊されていないことが明確に示されている。

Figure 0005376172
このように、本実施例における冷風乾燥によって、プロセスチーズ内の結合水分が蒸発し、水分含有率が大きく低減しながら、その成分分子の破壊が起こっていない理由については、プロセスチーズに積層されて密着した魚肉シートが多孔質に形成されその表面に微小な凹凸面を有するため、冷風乾燥の下においてはプロセスチーズ内の自由水分と結合水分を毛管現象によって魚肉シート表面へと継続的に浮き出させており、これが円滑で良好な水分の蒸発を可能にしているものと考えられる。
本発明者は、上記実施例で説明した製造方法で得られた削り節風チーズ食品を、チャーハンの具材として用い、ピザのトッピング材料としても使用してみたが、いずれの場合においても、プロセスチーズの溶融は見受けられず、その外形が良好に保持され、チーズ食品本来の良好な旨味、風味、香りがいささかも薄れることなく、加熱調理食品(料理)の味わいを引き立たせると共に、プロセスチーズの残余水分の蒸発によって、適度にパリパリとした食感が調理食品に好適なアクセントを添えることができた。
また、この削り節風チーズ食品を、たこ焼きや焼きそばに振り掛けた場合には、このチーズ食品がその外形形状を保持したまま適度な捻れを呈し、上記のチャーハンやピザにおけると同様に、良好な旨味、風味、香りと好適な食感を楽しむことができた上に、振り掛けられたチーズ食品が視覚的な楽しさを与えることができ、味わいと食欲を一段と増進させた。また、この削り節風チーズ食品を、ドレッシングをかける新鮮野菜のサラダや、各種漬物、パスタ類、その他種々の和・洋・中華料理に混ぜたり、振り掛けてもチーズ本来の風味を有する趣向ある食品となる。
なお、本実施例では板状のプロセスチーズを上下からサンドして密着させるシート状の加工食品として、鱈の擂り身を主材とする魚肉シートを用いたが、鱈のほか、ほっけ、あるいは鱈とほっけとの混合物を主材とした擂りみを使用した魚肉シートでもよく、本発明において用いるシート状の加工食品に材料の制約はなく、例えば卵をシート状にしたもの等、任意に選択することができる。ただし、冷風乾燥による良好で円滑な含有水分の蒸発を確保するため、本発明で用いるシート状の加工食品は乾燥状態にあり、プロセスチーズ中の自由水分のみならず結合水分も毛細管現象によって表面に吸い出すことのできるものであるものが好ましい。
また、本実施例では、利用時の視覚的な趣向を考え、冷風乾燥によって得られた第二次食品素材を厚さ0.3〜0.5mmという、花かつおのような削り節を思わせる薄い切片にスライスしたものを、最終製品であるチーズ食品としたが、その厚さや形状に関し、シート状の加工食品の素材や利用目的を勘案して自由に選択することを妨げない。
さらに、本発明の製造方法によって得られる削り節風チーズ食品は、冷風乾燥によってプロセスチーズ内の成分分子を破壊することなく水分含有率を低減させ、固有で好適な食感といささかも損なわれるところのないチーズ本来の良好な旨味、風味、香りの確保に成功したもので、その優れた特性が加熱調理食品への利用時ばかりでなく、前記したようにチーズ食品として単独で食する場合は勿論のこと、サラダなど常温の調理食品や冷やし素麺など冷製の調理食品に利用する場合でも遺憾なく発揮されることは、言を待たないところである。

Claims (4)

  1. 適宜厚さのプロセスチーズの両面に魚肉シートを積層したものを上下から加熱圧着してプロセスチーズと魚肉シートを密着させた板状の第一次食品素材を形成する第一工程と、該第一次食品素材に常温以下の冷風を吹き付ける冷風乾燥を施して水分含有率18〜27%に調整して第二次食品素材を形成する第二工程と、該第二次食品素材をその断面方向に薄くスライスして削り節状に形成されたチーズ食品とする第三工程と、からなることを特徴とする削り節状チーズ食品の製造方法。
  2. ロール状に巻かれて連続的に繰り出されて来る魚肉シートの上に加熱溶解したプロセスチーズを流し込みながら、更にこの溶解したプロセスチーズ上に同じく連続的に繰り出されて来る別の魚肉シートを乗せて該チーズに加圧密着させ、上下を魚肉シートによって挟まれたプロセスチーズの3層の連続体を形成し、これを適宜の長さに裁断して板状の第一次食品素材を形成する第一工程と、該第一次食品素材に常温以下の冷風を吹き付ける冷風乾燥を施してプロセスチーズを水分含有率18〜27%に調整して第二次食品素材を形成する第二工程と、該第二次食品素材をその断面方向に薄くスライスして削り節状に形成されたチーズ食品とする第三工程と、からなることを特徴とする削り節状チーズ食品の製造方法。
  3. 前記第三工程において、前記第二次食品素材を厚さ0.3〜0.5mmの切片にスライスしたチーズ食品とする請求項1又は2記載の削り節状チーズ食品の製造方法。
  4. 前記第一工程において、前記魚肉シートが魚肉の擂り身に澱粉、調味料などを加えて混練し加熱乾燥させたシートであり、上下から加熱圧着するためのロースターが70〜100℃に加熱されており、前記第一次食品素材の水分含有率は37〜42%に調整されてなる請求項1記載の削り節状チーズ食品の製造方法。
JP2010103698A 2010-04-28 2010-04-28 削り節風チーズ食品の製造方法 Active JP5376172B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010103698A JP5376172B2 (ja) 2010-04-28 2010-04-28 削り節風チーズ食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010103698A JP5376172B2 (ja) 2010-04-28 2010-04-28 削り節風チーズ食品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011229473A JP2011229473A (ja) 2011-11-17
JP5376172B2 true JP5376172B2 (ja) 2013-12-25

Family

ID=45319485

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010103698A Active JP5376172B2 (ja) 2010-04-28 2010-04-28 削り節風チーズ食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5376172B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5985273A (ja) * 1982-11-04 1984-05-17 Natori Shokai:Kk 嗜好食品の製造法
JPH03195474A (ja) * 1989-12-26 1991-08-27 Hakodate Tokusan Shokuhin Kogyo Kyodo Kumiai 魚肉・チーズ加工食品の製造方法
JPH069486B2 (ja) * 1990-03-05 1994-02-09 やまなか食品工業株式会社 合わせチーズサンドの製造法
JPH06113738A (ja) * 1992-09-29 1994-04-26 Meiji Milk Prod Co Ltd 硬質チーズのフレーク製造方法及び装置
JP3887100B2 (ja) * 1998-04-08 2007-02-28 六甲バター株式会社 薄片状チーズの製造方法
US20060040027A1 (en) * 2004-08-17 2006-02-23 Kraft Foods Holdings, Inc. Process for manufacture of grated cheese and uses thereof
JP4627512B2 (ja) * 2006-04-11 2011-02-09 雪印乳業株式会社 乾燥チーズおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011229473A (ja) 2011-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4629103B2 (ja) 膨張構造のもろい酪農製品の製造方法
JP5697530B2 (ja) 魚切り身様練り製品の製造方法
CN102726483B (zh) 带馅油炸食品
KR101804140B1 (ko) 두리안 깻잎 치즈 돈까스 및 그 제조방법
JP5376172B2 (ja) 削り節風チーズ食品の製造方法
WO2014173416A2 (en) An aerated cheese product
EP3009003B1 (en) Filled cheese product
JPS59102377A (ja) 多層状魚肉加工食品
JPH069486B2 (ja) 合わせチーズサンドの製造法
FR3015183A1 (fr) Produit alimentaire fromager sec de type snack et son procede de fabrication
JP2002315505A (ja) スライススモークチーズ及びその製造法
JP3207185U (ja) 巻層構造体を含む食品
JP2005198556A (ja) チーズ付板海苔の製造方法およびその製品
JP6117962B1 (ja) シート状食品及びその製造方法並びにシュガーペースト及び調味料ペースト
JP6224131B2 (ja) 乾燥チーズ加工品
GB2532020A (en) Socca chips
JP3012061B2 (ja) 即席卵とじ
JP2007306833A (ja) 麺加工食品及びその製造方法
JP6117962B6 (ja) シート状食品及びその製造方法並びにシュガーペースト及び調味料ペースト
JP3202573U (ja) 加工食品
JP3151814U (ja) 鯨肉含有可食シートを使った珍味食品
JP3196609U (ja) 馬肉ラーメン饅
JP3111763U (ja) 珍味食品
JPH05153920A (ja) おにぎりおよびその製造方法
JP3165795B2 (ja) 芋加工保存食品及び芋加工食品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120816

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130410

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130903

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5376172

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250