JP3887100B2 - 薄片状チーズの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は硬質のプロセスチーズを薄く削り各種の食品、例えば、お好み焼き、焼きそば、スパゲティ等にトッピング用とし使用することができる新規なチーズの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
室温下における保存性とピッツアパイ用チーズとして必要な溶融性及び溶融後の糸を曳くようなテクスチャーを併せて具備したナチュラルチーズをその使用及び保存に際して簡便な形態で提供するピッツアパイ用細切りチーズ及びピッツアパイの製造方法(特開昭54−95769)、また、チーズを鱗片状に乾燥することにより主としてふりかけの原料に好適な鱗片状乾燥チーズの製造方法(特公昭40−21227)が開示されている。しかしながら、これら従来技術ではいずれもチーズを薄片状又は鱗片状とした後に流動層又は乾燥機で乾燥して薄片状又は鱗片状のチーズを得るもので、水分が極端に低くなり、風味、食感とも通常のチーズとは著しく異なるものである(前者の水分は18〜21.5重量%、後者は10重量%以下)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常のチーズの風味と食感を持った薄片状チーズを得るため、本発明は、チーズを薄く削る際に、チーズが刃に付着せず、かつお節様のチーズを安定して生産することができ、また、かつお節様の袋詰め工程で変形や折れもなく、更に、製品の輸送や保存中もチーズ同士が結着しない安定した形状を保持する薄片状チーズの製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、脂肪含量の少ない原料配合チーズに安定剤やpH調整剤を添加し、常法により乳化溶融したプロセスチーズを冷却固化して、乾燥した後、切削処理することによるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は原料チーズに対して溶融塩2.5〜3.5重量%、安定剤0.5〜1.5重量%、pH調整剤を最終製品のpHが5.3〜5.4になるように添加して常法により乳化溶融し、冷却固化して、水分が42重量%以下になる様乾燥した後、切削処理して薄片状チーズとし、該チーズに微結晶セルロースを0.5〜2.5重量%混合してチーズ同士の結着を防止したものである。
【0006】
本発明において、チーズを非常に薄い薄片状(厚さ0.1mm)に切削し、かつお削り節のように料理にトッピングできる製品を得るために、まず、原料チーズは、脂肪含量と蛋白質含量の比率が2:3〜1:1となるように配合する必要がある。脂肪の含量が蛋白質含量より多くなると薄片状に削った場合にチーズが刃に付着してきれいに削れなくなり、また、これ以上蛋白質が多くなると削った後薄片状チーズが崩れやすくなるからである。
溶融塩は、通常プロセスチーズに使用されるクエン酸塩、オルソリン酸塩、ポリリン酸塩の単品若しくはこれらを組み合わせたものを原料チーズに対して2.5〜3.5重量%添加する。これ以上多くなると削った後薄片状チーズが崩れやすくなり、また、これ以下では薄片状に削った場合にチーズが削刃に付着してきれいに削れなくなる。
【0007】
安定剤は、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチンの単品若しくはこれらを組み合わせたものを最終製品に対して0.5〜1.5重量%添加する。これ以下では薄片状に削った場合にチーズが削刃に付着してきれいに削れなくなり、また、これ以上多くなると溶融したプロセスチーズの粘性が高くなり充填成形が困難になる。
pH調整剤は、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸の単品若しくはこれらを組み合わせたものを最終製品のpHが5.2〜5.5好ましくは5.3〜5.4となるように加える。これ以上pHが高くなると薄片状に削った場合にチーズが削刃に付着してきれいに削れなくなり、また、これ以下となると削った後薄片状チーズがもろくなり崩れやすくなる。
【0008】
次に、上記の配合のチーズ及び添加物を用いて、常法により乳化溶融し、充填成形し、冷却固化したプロセスチーズを得、種々の大きさにピアノ線で切断し、切断したサンプルを55℃の温風乾燥室で7時間まで乾燥し、ついで、かつお節等の製造機である回転式カッター刃を有する(株)ニックー社製の「IKASAMA」を使用して厚さおよそ0.1mmの薄片状のチーズを作成した。その結果、未乾燥の水分の高いサンプルは刃に付着して削りにくく、また、チーズ内部の水分が42重量%を超える乾燥サンプルは削れるが薄片チーズにしわができて好ましい状態のものは得られなかった。しかし、チーズ内部の水分を42重量%以下に乾燥すれば、いずれのサンプルもきれいに削れることがわかった(表1および表2)。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
なお、切断機として回転式カッターの他に、薄片状に切断できる上下に運動するナイフを有するチーズ用カッターを用いてもよい。また、薄片状のチーズのサイズは乾燥時のチーズの大きさ及びその切断機のサイズにより任意に決めることができる。ただし、切断機で切削した薄片状チーズは、かつお削り節のように種々の食品にトッピングできる特性のある0.2mm以下の厚みが適当である。厚みが0.2mm以上になるとかつお削り節の特性が無くなる。
また、チーズの乾燥は温風乾燥室で行っているが、この方法に限定するものではなく、50〜60℃の乾燥温度を維持できる乾燥機を使用してもよい。
【0012】
厚さおよそ0.1mmの薄片状に削ったチーズは時間が経つにつれて、チーズ同士が結着してダンゴ状になってくるので、チーズ同士が結着するのを防ぐために乾燥して削った厚さおよそ0.1mmの薄片状のチーズに微結晶セルロース(商品名「アビセル」 旭化成工業(株)製)をチーズ表面にまぶして、ポリエチレン製の袋に充填包装して冷蔵で輸送してその結着防止の効果を調べた。その結果、未処理の薄片状のチーズはチーズ同士が結着してダンゴ状になり、また、添加量が多すぎると見栄えが悪く、粉っぽい食感となる。薄片状のチーズに対して微結晶セルロースを0.5〜2.5重量%好ましくは1.0〜2.0重量%混合すればチーズ同士は結着せずサラサラの状態を保つことができ、外観上も食感も良好なものが得られることがわかった(表3)。
【0013】
【表3】
【0014】
以上の処理を行った本発明のかつお節様の薄片状チーズは、袋詰め工程で変形や折れもなく、更に、製品の輸送や保存中もチーズ同士が結着しない安定した形状を保持するものであった。
【0015】
【実施例1】
スキムチーズ1.7Kg、固形分中脂肪45重量%チェダーチーズ11.7Kg、ノーマルチェダーチーズ1.5Kgにポリリン酸ナトリウム0.5Kg、乳酸0.1Kg、水2.2Kgを溶融釜に入れ85℃処理をして溶融チーズを作り20リットルの直方体のポリエチレン製コンテナに充填して冷却固化した。この冷却固化したチーズをピアノ線で25×25×400mmの直方体となるように切断し、55℃の温風乾燥室にて5時間乾燥させた。この乾燥させたチーズを産業用に使われているかつお節削り機にて厚さ0.1mmの薄片状に削ったところ良好な薄片状チーズを得ることができた。この薄片状チーズに対して1.5重量%微結晶セルロースをまぶしポリエチレン製の袋に充填包装し冷蔵で輸送テストしたところサラサラの状態で崩れることもなく良好であった。
【0016】
【実施例2】
スキムチーズ1.7Kg、固形分中脂肪45重量%チェダーチーズ11.7Kg、ノーマルチェダーチーズ1.5Kgにポリリン酸ナトリウム0.5Kg、グアーガム0.17Kg、乳酸0.1Kg、水2.0Kgを溶融釜に入れ85℃処理をして溶融チーズを作り20リットルの直方体のポリエチレン製コンテナに充填して冷却固化した。この冷却固化したチーズをピアノ線で25×100×400mmの直方体となるように切断し、55℃の温風乾燥室にて5時間乾燥させた。この乾燥させたチーズを産業用に使われているかつお節削り機にて厚さ0.1mmの薄片状に削ったところ良好な薄片状チーズを得ることができた。この薄片状チーズに対して1.5重量%微結晶セルロースをまぶしポリエチレン製の袋に充填包装し冷蔵で輸送テストしたところサラサラの状態で崩れることもなく良好であった。
【0017】
【実施例3】
スキムチーズ1.5Kg、固形分中脂肪45重量%チェダーチーズ9.8Kg、ノーマルチェダーチーズ3.2Kgにポリリン酸ナトリウム0.45Kg、乳酸0.1Kg、水2.4Kgを溶融釜に入れ85℃処理をして溶融チーズを作り20リットルの直方体のポリエチレン製コンテナに充填して冷却固化した。この冷却固化したチーズをピアノ線で25×25×400mmの直方体となるように切断し、55℃の温風乾燥室にて7時間乾燥させた。この乾燥させたチーズを産業用に使われているかつお節削り機にて厚さ0.15mmの薄片状に削ったところ良好な薄片状チーズを得ることができた。この薄片状チーズに対して1.0重量%微結晶セルロースおよびカレーパウダーをまぶして味付けし、ポリエチレン製の袋に充填包装して冷蔵で輸送テストしたところサラサラの状態で崩れることもなくカレー風味も良好であった。
【0018】
【実施例4】
スキムチーズ1.7Kg、固形分中脂肪45重量%チェダーチーズ11.7Kg、ノーマルチェダーチーズ1.5Kgにポリリン酸ナトリウム0.5Kg、グアーガム0.12Kg、キサンタンガム0.05Kg、乳酸0.1Kg、水2.2Kgを溶融釜に入れ85℃処理をして溶融チーズを作り、直径30mmの円筒状のポリ塩化ビニル製包装材に充填して冷却固化した。この冷却固化したチーズを包装材より取り出し、55℃の温風乾燥室にて5時間乾燥させた。この乾燥させたチーズを産業用に使われているかつお節削り機にて厚さ0.1mmの薄片状に削ったところ良好な薄片状チーズを得ることができた。この薄片状チーズに対して1.5重量%微結晶セルロースをまぶしポリエチレン製の袋に充填包装し冷蔵で輸送テストしたところサラサラの状態で崩れることもなく良好であった。
【0019】
【実施例5】
スキムチーズ1.7Kg、固形分中脂肪45重量%チェダーチーズ11.7Kg、ノーマルチェダーチーズ1.5Kgにポリリン酸ナトリウム0.5Kg、グアーガム0.17Kg、乳酸0.1Kg、カレーパウダー0.15Kg、β−カロチン0.006Kg、水2.2Kgを溶融釜に入れ85℃処理をして溶融チーズを作り20リットルの直方体のポリエチレン製コンテナに充填して冷却固化した。この冷却固化したチーズをピアノ線で25×25×400mmの直方体となるように切断し、60℃の温風乾燥室にて5時間乾燥させた。この乾燥させたチーズを産業用に使われているかつお節削り機にて厚さ0.1mmの薄片状に削ったところ良好な薄片状チーズを得ることができた。この薄片状チーズに対して2.0重量%微結晶セルロースをまぶしポリエチレン製の袋に充填包装し冷蔵で輸送テストしたところサラサラの状態で崩れることもなくカレー風味も良好であった。
【0020】
【発明の効果】
本発明により、チーズを乾燥することによって、チーズを薄く削る際に、チーズが刃に付着せず、既存のかつお節削り機で、かつお節様のチーズを安定して生産することができ、また、かつお節様の袋詰め工程で変形や折れもなく、製品の輸送や保存中もチーズ同士が結着しない安定した形状を保持する薄片状のチーズを得ることができる。該薄片状チーズは各種の食品、例えば、お好み焼き、焼きそば、スパゲッティ等にトッピング用として使用する他、スナックフードとしても利用できる。
Claims (1)
- 脂肪含量:蛋白質含量の比率が2:3〜1:1である原料チーズに対して溶融塩、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチンの単品若しくはこれらを組み合わせた安定剤、最終製品のpHが5.2〜5.5好ましくは5.3〜5.4となるようpH調整剤を添加し、さらに、調味料を添加し又は添加せず、乳化溶融し、冷却固化して、切断したチーズの水分を34〜42重量%に乾燥した後、切削処理して得られる厚みが0.2mm以下である薄片状チーズに対して、微結晶セルロースを0.5〜2.5重量%好ましくは1.0〜2.0重量%混合することを特徴とする薄片状チーズの製造方法。
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JP13417798A JP3887100B2 (ja) | 1998-04-08 | 1998-04-08 | 薄片状チーズの製造方法 |
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JPH11289975A JPH11289975A (ja) | 1999-10-26 |
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JP13417798A Expired - Lifetime JP3887100B2 (ja) | 1998-04-08 | 1998-04-08 | 薄片状チーズの製造方法 |
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