JPH11299446A - 焼いも製造方法とその装置 - Google Patents

焼いも製造方法とその装置

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JPH11299446A
JPH11299446A JP10117322A JP11732298A JPH11299446A JP H11299446 A JPH11299446 A JP H11299446A JP 10117322 A JP10117322 A JP 10117322A JP 11732298 A JP11732298 A JP 11732298A JP H11299446 A JPH11299446 A JP H11299446A
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temperature
heating
heat
potato
preheating
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JP10117322A
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Susumu Kiyokawa
清川  晋
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  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料となるいもの大きさや品質を問わず、甘
味のある味の良い焼いもを製造する方法とその装置を提
供する。 【解決手段】 生いも14を加熱装置10内の支持体1
7上に支持させ、両面より輻射熱を照射加熱して焼いも
を製造する方法において、焼いもの焼成温度より低い温
度範囲の予熱温度で加熱する工程と、この予熱温度より
高温の焼成温度で加熱する工程と、更に前記焼成温度よ
り低い熟成温度で加熱する工程とからなることを特徴と
する焼いも製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼いも、特に薩摩
いもの焼いもを大量に製造する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薩摩いもを原料とする焼いもは、特に日
本人には秋から冬にかけて好んで食べられる食品であ
る。この焼いもを製造する古典的な方法としては、壺形
の焼いも釜の内壁面に沿って複数本の薩摩いもを配列
し、その釜の下部で木炭を燃焼させて発生する燃焼ガス
と輻射熱によって加熱し、所定時間経過したならば、そ
の釜の中の薩摩いもの1個あるいは複数個に棒を挿通し
て手応えで焼け具合を確認し、所定の焼け具合を感じた
なったならば一斉に焼いもを釜の中から取出すようにし
ている。
【0003】従来の焼いもの製造方法は、焼いもを店頭
で少量販売する程度であるために、焼いも釜の内壁面に
沿って1列に並べて加熱する、いわゆるバッチ式で処理
されるのが普通である。このバッチ式の場合は、生いも
から一様に焼き上がるまで温度変化をあまり与えない状
態で加熱するのが普通である。
【0004】次に、生いもの大きさの問題であるが、生
いもの大きさに大小があっては当然、焼け具合が異なる
ので、原料の薩摩いもは所定の大きさのものが選定され
なければならない。また、焼いもは1本ものを加熱する
のが原則であるから形状や大きさの揃ったものが選定さ
れることになる。逆に、前記大きさの範囲にならないも
のは焼いも原料として使用できないことになる。
【0005】次に、従来の焼いもの製造方法において
は、1本のいもをそのまま釜に入れて熱処理しなければ
ならない。従って、例えば、半割りや多数に分割にした
ものを釜に入れた場合は切断面が焼けこげたり、その切
断面からの水分が多量に蒸発することから、焼いも独特
の加熱によって酵素の作用によって糖度が増加する前に
乾燥してしまい、十分な糖度が得られないか、あるいは
焼けた部分とそうでない部分が混在して食することが困
難なものとなるか、更に全体が焼けこげてしまうことに
なり、半割り等に分割したものは到底、焼いもとするこ
とができなかった。
【0006】従来のバッチ式の焼いもの製造方法におい
ては、釜の構造等から、燃焼室の炭火の火力の程度を殆
んど調整せず、また、調整しようとしても釜の構造から
簡単に、しかも必要とする温度範囲に正確に調節ができ
るものではない。更に、従来の焼いもの製造方法におい
ては、木炭が主たる燃料であり、石焼いもの場合は木材
等を使用している。一方、ガスや電熱を使用した場合は
火力が強過ぎて良好なやきいもを得ることが困難であっ
た。
【0007】このように、従来の焼いもの製造方法には
各種の問題があるが、これをまとめると次の通りであ
る。第一に、従来の焼いも釜では連続的に製造すること
ができない。第二に、焼いもの原料である薩摩いもの太
さや大きさに制限を受け、大きさの関係から、半割り、
その他多数に切断したものは熱処理に適さず、1本もの
しか処理できない。
【0008】第三に、火加減を目的の温度範囲に調節す
ることができず、火力が適している高価な木炭を必要と
すること。第四に、火加減の調整が容易でないことか
ら、酵素の作用を最大限に活かし、糖度を増加させるよ
うな、あるいはパンを焼くような所定のプログラムで加
熱処理することができないこと。
【0009】第五に、従来の焼いもの製造方法は比較的
長い加熱時間を必要とした。第六に、以上のような欠点
が起因して、焼いもは一般に菓子よりも高価な食品とな
って、庶民の口から遠ざかる状態にある。本発明者は、
前記焼いも釜の持つ諸問題点を解消するために、加熱炉
の熱源を木炭や木材を使用せず、その代わりに温度調節
が極めて容易な、ガスあるいは電気を使用して所定の温
度で所定の時間加熱処理する方法を提供することにあ
る。
【0010】本発明の方法によれば、調理コストが安価
で、糖度を増し、甘味を十分に醸成することができ、一
様に熱が通って軟度に不均一な部分がなく、美味な焼い
もの製造方法とその装置を提供することにある。また、
原料である薩摩いもの太さや大きさに関係なく、更に、
半割りその他多数の切断したものでも1本ものと同様に
熱処理することができる焼いも製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0011】本発明は、原料である生いもが加熱される
温度と、その熱処理時間と、更にこの加熱温度と時間的
な変化によって焼いもの甘味やうま味に大きな影響があ
ることの知見を得て、完成したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記知見に基
づいて得られたものであって、次のように構成されてい
る。 1)生いもを加熱装置内の支持体上に支持させ、両面よ
り輻射熱を照射加熱して焼いもを製造する方法におい
て、焼いもの焼成温度より低い温度範囲の“予熱温度”
で加熱する工程と、この予熱温度より高温の“焼成温
度”で加熱する焼いも製造方法である。
【0013】2)生いもを加熱装置内の支持体上に支持
させ、両面より輻射熱を照射加熱して焼いもを製造する
方法において、焼いもの焼成温度より低い温度範囲の
“予熱温度”で加熱する工程と、この予熱温度より高温
の“焼成温度”で加熱する工程と、更に前記焼成温度よ
り低い“熟成温度”で加熱する工程とからなる焼いも製
造方法である。
【0014】3)前記予熱温度と焼成温度と熟成温度
と、それぞれの温度で処理する時間は次の通りである。 予熱温度:50〜70℃・・・・予熱時間:15〜30分 焼成温度:300〜350℃・・焼成時間:10〜20分 熟成温度:160〜180℃・・熟成時間:40〜50分 好ましくは、前記加熱温度帯域および加熱時間帯域の中
間値において熱処理されるように各部を調整するのが良
い。そのために個々の加熱帯域における被処理物の移送
速度が調節できる構造の装置を使用することが必要であ
る。
【0015】4)1個の生いもを半割り、あるいはそれ
以上の複数個に分割した生いもを加熱装置内の支持体上
に支持させ、両面より輻射熱を照射加熱して焼いもを製
造する方法において、焼いもの焼成温度より低い温度範
囲の“予熱温度”で加熱する工程と、この予熱温度より
高温の“焼成温度”で加熱する工程と、更に前記焼成温
度より低い“熟成温度”で加熱する工程とからなり、前
記焼成温度で加熱する工程は、生いもの切断面に焼け皮
を形成し、その皮によって水分の蒸発量を抑制する機能
を与えるものである。
【0016】半割りの生いもの場合は切断面を処理が重
要であって、この面がそのままであると蒸発量が多く、
焼いもが完成する前に水分の大部分が乾燥して乾燥いも
の中途半端なものになってしまい、到底製品とすること
ができない。そこで本発明においてはこの切断面に蒸発
抑制処理を行って他の部分との蒸発に関して差異がない
ように処理するものである。
【0017】5)焼いも製造装置は、原料である薩摩い
も等の生いもを載置して所定の速度で移送する移送装置
と、この移送装置の上下に配置された上部加熱源と下部
加熱源とからなり、前記上部加熱源は表面にセラミック
ス層を形成した放熱板と、この放熱板の背後を加熱する
電熱線を有し、下部加熱源は表面にセラミックス層を形
成した放熱板と、この放熱板を加熱するガスバーナある
いは電熱線で構成されている。そして前記移送装置は多
孔板や金属棒を所定間隔をあけた設けた装置のように多
孔質体で形成され、個々の温度帯域のものはそれぞれ移
送速度が調節できて熱処理時間を調節できるように構成
されている。
【0018】6)上部加熱源と下部加熱源は、予熱工程
と焼成工程と、更に熟成工程にそれぞれ設けてあり、そ
して各工程の加熱源はそれぞれ温度を調節可能に構成さ
れている。本発明において重要である点は、少なくとも
温度の低い予熱工程と、この温度よりかなり高い焼成工
程によって原料であるいもを熱処理することにある。
【0019】この二段階の熱処理工程においては後段の
焼成工程は熟成工程を含んだ温度範囲に調節する必要が
ある。そして好ましくは、温度の低い予熱工程と、この
予熱工程の温度よりかなり高い焼成工程と、更にこの焼
成工程の温度より低い温度の熟成工程の組合わせからな
る熱処理工程によって三段階で処理することが重要であ
る。
【0020】第一工程である予熱工程は、生いもに含ま
れている酵素を十分に作用させて糖分を増加させ、製品
である焼いもに甘味を増すためのものである。第二工程
である焼成工程は、主として表面にこげ目を付けて急速
な水分の蒸発を抑制するための工程であり、特に、半割
りの生いもを熱処理する場合は、このこげ目ないし被膜
を形成することが重要であり、このこげ目がないと甘味
が強くて良好な食感や滑らかさを与え、更に程良く水分
を含有した焼いもを製造することは困難である。従っ
て、この工程の時間はさほど長くはない。
【0021】第三工程である熟成工程は、糖度を上昇さ
せて甘味を増すと共に滑らかさを増して製品の品質を向
上させ、歯ざわりや舌ざわりを良好にして、ほんのりと
した味わいのあるものに仕上げるためのものである。本
発明が従来の焼いもの製造方法と本質的に異なる点は、
いもの内部構成が酵素が作用して糖度が増す条件と、表
面にカサブタ状の薄膜を形成する条件(温度と時間)
と、更に糖度を増し、内部を均一に仕上げる条件をプロ
グラム的に変化を与える点に第一の特徴があり、更に従
来技術のように表面だけ加熱するのではなく、遠赤外線
によっていもの内部まで熱を貫通させながら加熱する点
に第二の特徴がある。
【0022】次に、本発明の焼いもの製造方法の特徴を
分説する。 A.生いもを両面から加熱する。焼いもの原料とする生
のさつまいもは、従来と同様に1本ものを採用できる上
に、生いもの大きさや加熱処理速度、あるいは食品とし
て好まれる形状から半割り状、更には小片に切断したも
のであっても良好に焼いもとする熱処理することができ
る。
【0023】そしてこの原料を両面から加熱すること
は、この原料を熱源に対して回転したり、位置を変える
なく両面ないし周囲から熱を与え、この原料の外面から
内部に至るまで均一に加熱することを意味する。前記の
ように原料を両面から加熱することによって、小さな加
熱空間であっても十分に加熱効果を与えることになる。
従って、従来の焼いも釜のように、大きな密閉された空
間を必要とせず、例え小型の装置であっても最大の加熱
効果が得られることである。
【0024】B.熱源として電気あるいはガス、更には
これらを組合わせたものであって、発熱量を調節できる
ものを使用する。従来の木炭による加熱は、灰や燃焼ガ
スを大量に発生する上に、焼いも釜の場合、生いもは燃
焼ガスにさらされる位置に置くことが必要である上に温
度調節も容易ではない。更に薪による加熱はその薪の種
類により煙の匂いが付着するという問題がある。そして
熱を原料に伝達するよりも表面を高温に加熱して焦がし
たり、表皮を燃焼させたり、表面を極度に乾燥させたり
することから、到底、焼いもを製造することが困難であ
る。
【0025】本発明においては、敢えて電熱あるいはガ
スを熱源とすることによって温度調節が容易に、しかも
正確にできる手段を採用している。
【0026】C.焼け具合によって温度制御する。木炭
や薪では被加熱体の両面から加熱することができない上
に、発熱量を焼け具合に合わせて、必要とする正確な温
度と時間で、しかも迅速に調節することが困難であり、
特にコンピュータ制御によってプログラムされた温度と
時間から必要とする熱量を発生することは困難である。
本発明は、前記木炭や薪による加熱では到底得ることが
できない加熱条件で熱処理することを特徴としている。
【0027】D.間接加熱方式を採用する。前記のよう
に熱源として電気あるいはガス、更にはこれらを組合わ
せて使用することが必須の要件であるが、実際にはこれ
らが発生する熱は高温で、いもの表面を過度に加熱する
ために焼いも製造には適していない。
【0028】即ち、燃料がガスの場合は、高温の燃焼ガ
スを発生するために原料であるさつまいもの表面を必要
以上に極端に加熱する。そして表面が燃焼するような状
態で加熱されても、その内部まで十分に加熱することが
できない。このことから、この方法では到底、焼いも釜
のいものように美味な焼いもを得るための加熱ができな
い。
【0029】これに対して電熱は温度調節が容易であ
る。しかし、この熱源より得られる熱は焼いも製造に適
した遠赤外線の量が少ない上に、ガスの場合と同様に被
加熱体の表面から内部に至るまで均一に熱を与えること
ができなく、得られた焼いもは乾燥程度が高く、更に内
部に硬い部分が残ったり、この場合も焼いも釜のように
甘味を増しながら舌ざわりの良い滑らかさを出すための
加熱は到底できない。
【0030】本発明は、このような欠点を解消するため
に、ガスあるいは電熱の熱を直接に被加熱体であるさつ
まいも原料に与えることなく、間接加熱を採用してい
る。この間接加熱には、その表面にセラミックス層をプ
ラズマ溶射等で形成した金属板、耐熱ガラス、あるいは
セラミックス焼成品を使用するが、何れにしても焼いも
の製造に必要な遠赤外線を多量に放射できる性能を持つ
ものを使用する。
【0031】セラミックス層の原料となるセラミックス
は、例えばアルミナ、シリカ、β−スポジメン、ジルコ
ン、ジルコニア等、6〜15ミクロンを主波長とする熱
線を放射できる材料を使用するのが良い。
【0032】E.プログラム加熱を行う。被加熱体であ
る生いもが焼いもに加熱処理される工程における加熱温
度範囲と時間を段階的に行うことは、焼いもの甘味を醸
成する上で重要である。
【0033】従って、本発明においては生いもの始めか
ら焼き上がりまでの間、一定の温度を保つ必要はなく、
少なくともA)予熱処理、2)焼成処理からなる2段階
は必要である。更に、前記A)とB)からなる二工程
(前処理工程)に、更にC)熟成処理からなる三段階、
更に多段階の調整された熱処理を考慮する。
【0034】前記三段階の熱処理は、工場的に焼いもを
大量生産する連続的処理装置に適用して優れた効果を奏
するものであるが、バッチ式装置、あるいは卓上式調理
装置にも応用できるものである。なお、二段階処理工程
における焼成処理は、三段階の熱処理工程のように明確
に他の工程と区別できるメリハリのあるものではなく、
三段階の熱処理における焼成工程と熟成工程を適宜組合
わせて加熱を行うことになる。
【0035】F.発熱層の外表面にセラミックス層を使
用する。セラミックス層を表面に有しない放熱板を持つ
加熱源と、表面に前記セラミックス層を形成した放熱板
を持つ加熱源によって被加熱体である生いもを加熱した
場合の実験を行なった結果、興味のあるデータが得られ
たので、これを説明しておく。
【0036】試料として、品種が「コウケイ」の薩摩い
もを使用し、そのいもの中央部を切断して45ミリ角の
棒状体を作り、更にこれを切断して45ミリ角のサイコ
ロ状のものを準備する。加熱装置1は、図1に概要を示
しているように、直線状に形成したガスバーナ2と、こ
れの上方に配置した断面が半円形状(竹を半割りにした
状態)の放熱板3からなる加熱体4を配置し、前記ガス
バーナ2の熱をこの放熱板3で受けてこれを加熱して輻
射熱を放射すると共に、燃焼ガスを上方に流すように構
成している。
【0037】そして加熱体4の上方に網状ないし多孔板
状の支持体5を配置し、更にこれの上方にカバー体6
(下面と前面が解放されている)を載置し、このカバー
体6の内部の支持体5の上に試料pを載置した。この試
料pは、図2に示すように側面の中央部に熱電対式温度
センサーSを差し込み、その感温部tを試料pの中心部
に位置させており、この感温部tによる起電力は温度計
Tに伝達し、これによって試料pの温度変化の状態を時
間の経過と共に表示するようになっている。
【0038】試料pをAの熱処理方法用とBの熱処理方
法用に、それぞれ60個を準備して下記の昇温状態を測
定した。 A)第一の方法は、放熱板3として断面が半円弧状の耐
熱ガラス成形体の内外面に遠赤外線を多量に放射するセ
ラミックス層をプラズマ処理によって形成したものを使
用した。
【0039】ガスバーナ2に点火し、前記放熱板3で囲
まれた室内が所定の温度に加熱されたならば、温度セン
サーSを中央部に差し込んだ試料pをカバー体6の内部
の支持体5上に挿入してこの試料pの内部の温度変化を
測定した。 B)第二の方法は、放熱板3として断面が半円弧状の透
明な耐熱ガラス成形体を使用し、前記のようにガスバー
ナ2に点火し、前記放熱板3が囲まれた室内が所定の温
度に加熱されたならば、温度センサーSを中央部に差し
込んだ試料pをカバー体6の内部の支持体5上に挿入し
てこの試料pの内部の温度変化を測定した。
【0040】なお、実際には複数個並んだガスバーナの
半分をA)のように耐熱ガラスにセラミックス層を形成
した放熱板3を使用し、残りのガスバーナにB)のよう
に耐熱ガラス成形体を使用し、それぞれの放熱板3の群
にカバー体6を配置して前記実験を行った。 C)第三の方法は、放熱板を使用せず、試料pを直接に
ガスバーナ2の燃焼ガスにさらして加熱しながら温度セ
ンサーSを中央部に差し込んだ試料pを支持体5に載置
してこの試料pの内部の温度変化を測定した。
【0041】前記三方法の内、第三の方法は、試料pが
サイコロ状に切断されており、この切断面にガスバーナ
2から放出される高温の燃焼ガスが接触するので、表面
が短時間に乾燥して炭化する現象が発生し、この試料p
を食することができる程度に加熱処理することが困難で
あったので、温度変化の測定を途中で中止した。第一の
熱処理方法(本発明の基礎実験)と第二の熱処理方法
(対比方法)による試料pの中心部における温度測定結
果を図3に示している。この測定結果によると、次のこ
とが分かった。
【0042】イ)第一の熱処理方法による加熱初期の温
度上昇カーブAは、第二の熱処理方法による温度上昇カ
ーブBより低く、そして約19分経過した時点(約80
℃)の交差点Dにおいて両熱処理方法の温度は同一な
り、その部分からカーブBの上昇率が低下し、約30分
経過すると101℃になり、それ以降はその温度が保持
される様子が観察された。
【0043】一方、初期にはカーブBより低い位置にあ
ったカーブAが前記交差点Dより時間の経過と共にカー
ブBの上方に位置しながら次第に温度が上昇する現象が
見られた。 ロ)交差点Dの時間である19分経過すると、カーブA
が次第に100℃を越えて高温になり、約30分経過し
た時点で111℃の温度となり、それ以降は温度変化が
見られなかった。その結果、カーブAがカーブBに比較
して約10%程度の高温に加熱されることが分かった。
【0044】ハ)第二の熱処理方法の方が第一の熱処理
方法に比較して試料pの下部のこげ始めが早いことが確
認された。 ニ)試料pの下部を切断して見た断面の様子から、第一
の熱処理方法で処理したものは、熱が均一に伝達されて
いることが分かった。また、前記実験装置においては、
装置の構成上、加熱体4を支持体5の上面に設けなかっ
た関係から、試料pの下面側に比較して上面側の焼け具
合が浅いことが分かった。
【0045】ホ)第一の熱処理方法は、第二の熱処理方
法に比較して試料pが高温で処理されることから、全体
的に熱伝達が良好で、両熱処理方法による試料pを食し
た場合、第一の熱処理方法が第二の熱処理方法に比較し
て糖度が高く、甘味のある焼きいもを効率的に製造する
ことができた。 ヘ)前記実験例から判断できることは、ガスバーナのみ
で原料を加熱しても目的とする焼きいもを製造すること
ができないことが分かった。
【0046】そして第二の熱処理方法に比較して第一の
熱処理方法による焼いもの方が糖度が高く、甘味とコク
のある焼いもを製造することができることが分かった。
特に、第二の熱処理方法は試料pの表面のこげ目の付き
具合が早く、そして中心部の焼け具合が不十分なものも
発生するので、焼いもの製造には適していないことが理
解された。
【0047】本発明は、前記基礎的な実験に基づいて更
に熱処理工程における温度変化によって焼いもの糖度と
甘味が大きく左右される上に、舌ざわりも滑らかでネッ
トリとした味覚となることが確認されたので、この知見
に基づいて得られたものである。
【0048】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図4は焼いもを連続的に製造する
一連の装置の概略図であって、焼いも製造装置10は、
供給部Mから排出部Nまで連続して移送装置11を直線
的に設けている。
【0049】前記供給部M側には移送装置11の延長線
状に供給台12を設け、この供給台12上に送込装置1
3を配置している。そしてこの送込装置13はエンドレ
スベルトないしチエン13aに送込腕13bが間隔をお
いて配置しており、これによって原料である生いも14
(薩摩いも原料、被加熱物)を前記供給部Mに向けて送
込むようになっている。
【0050】焼いも製造装置10は一種の高温熱処理装
置であって、断熱構造の函体15の内部の両側にプーリ
16,16aを配置し、これらのプーリの間にエンドレ
ス状の網状物あるいは通気性の構造の帯状体17を支持
した移送装置11を設けている。前記函体15の内部を
仕切板19,19aで仕切って前室20A、中間室20
B、後室20Cを形成している。
【0051】図示を省略しているが、具体的には、前記
各室20A,20B,20C毎に原料あるいは被加熱物
を、所定の時間で移送(プログラム加熱)するために移
送速度を調節できる通気性、耐熱性に優れたコンベアを
設けている。このように複数のコンベアを直列に配置し
た場合は、各室内の移送装置の間に原料を受け継ぐため
の機構が必要であるが、これの詳細な説明は省略する。
【0052】そして前記前室20A、中間室20B及び
後室20Cのそれぞれに、前記帯状体17の送り行程側
の部分の上下両面に加熱装置21,21a、22,22
a、23,23aを配置し、前記帯状体17の両面から
加熱するようになっている。従って、帯状体17上に載
置して移送する生いも14の両面から加熱できるように
なっている。
【0053】前記加熱装置21〜23の構造は、帯状体
17の両面から平均して多量の遠赤外線を照射して加熱
するように構成しており、その構造の一例を図5に示し
ている。
【0054】図5に代表的にHで表示している加熱装置
は、表面にセラミック層31を形成した金属板30(あ
るいは伝熱が良好な耐熱板)の裏面にシーズヒータ32
を全体的に配置し、このシーズヒータ32を覆って断熱
材33を積層した状態でカバー34で覆っている。そし
てこのカバー34に支持部材35を取付けてこれによっ
て図4に示す函体15の内部の所定の位置に固定するよ
うになっている。なお、前記支持部材35はその長さを
調節できるように構成しておくことによって帯状体17
に対する距離の調節が容易となる。
【0055】(予熱工程)前室20Aは予熱処理する部
分であって、この中において原料に50〜70℃の温度
で、15〜30分間の熱処理をする。この工程は、生い
もの酵素の作用で糖度を増加する前処理工程である。
【0056】(焼成工程)中間室20Bは焼成処理する
部分であって、その中において予熱処理した原料に30
0〜350℃の高温で、10〜20分間の熱処理する。
その結果、原料の表面に「焼けコゲ」を強制的に付ける
ことができ、半割りの生いもを原料としても、その切断
面から極度な水分の蒸発を抑制して以後の処理に支障が
ないようにする。
【0057】(熟成工程)後室20Cは予熱処理し、更
に焼成処理した焼いもの中間体を焼いもまで完成するた
めの熟成処理する部分であって、160〜180℃の温
度で、40〜50分間の長い時間をかけてじっくりと熱
処理する。
【0058】この工程においては甘味を増し、更に全体
を均一に焼いて舌ざわりと、口当たりを良好にするため
の最終的な仕上げ処理をするものである。図6は、前記
装置を稼働して得られたデータを整理した、予熱工程と
焼成工程と熟成工程からなる三段階の熱処理工程の条件
を示す図であって、この温度範囲と時間を目標として制
御装置をプログラム的に作動させることによって良好な
焼いもを効率的に製造することができる。
【0059】なお、前記三段階の熱処理条件は、約50
人の焼いもの試食者の意見をまとめて得られたものであ
る。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏すること
ができる。 a)生いもに対して輻射熱を照射して焼いもを製造する
方法において、予熱温度で所定時間加熱し、更にこの予
熱温度より高い焼成温度において表面にこげ目を形成
し、好ましくは更に熟成温度においてゆったりとした加
熱処理するので、内部まで十分に加熱処理され、そして
甘味が十分に増した焼いもを効率的に製造することがで
きる。
【0061】b)加熱源の表面がセラミックス層で形成
され、そしてこれより遠赤外線を多量に輻射して原料で
ある生いもを加熱するために、表面のみでなく、貫通性
のある熱線により内部まで殆ど同時に加熱することがで
きるので、この生いもの大きさに限定されることなく焼
いもを効率的に製造することができる。
【0062】生いもの大きさに大小があっても十分に焼
いもとすることができ、特に半割状の生いもであっても
表面を焼けこげ状態とすることなく焼成することができ
る。また、製品には焼け具合が不十分でコリコリした部
分と、十分に焼けた部分が混在するような不均一な状態
となることなく、ねっとりとした、均一な状態で美味に
焼くことができる。
【0063】c)従来の焼いもにおいては、原料である
薩摩いもの種類や生産地によって焼いもの甘味や舌ざわ
りや粘りや歯ざわり等が相違するために、生産地と品種
が限定され、原料の高騰を招く傾向があった。
【0064】これに対して本発明においては焼成工程に
おける温度より低い温度の予熱工程において生いもを熱
処理して甘味を出すことができるために、従来の方法で
は焼いもにできなかった産地の生いもでも原料として使
用することができる。
【0065】d)本発明の製造装置によれば、一方より
連続的に生いもを供給し、その装置の内部で予熱工程と
焼成工程(焼成工程と熟成工程のミックスしたもの)、
あるいは予熱工程と焼成工程と更に熟成工程の三工程を
一連に実施することができるために、効率的に美味な焼
いもを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼いもの試験機の概念図である。
【図2】生いもに対して温度センサを取付けた状態の説
明図である。
【図3】試験装置による生いもの加熱状況を示すグラフ
である。
【図4】連続的焼いも製造装置の概略図である。
【図5】加熱装置の構成要素の説明用斜視図である。
【図6】加熱温度と熱処理時間の関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 加熱装置 2 ガスバーナ 3 放熱板 4
加熱体 5 支持体 6 カバー体 p 試料 S
温度センサー t 感温部 T 温度計 10 焼いも製造装置 11 移送装置 12 供
給台 13 移送装置 13a チエン 13b 送込腕
14 生いも 15 函体 16,16a プーリ 17 帯状
体 19,19a 仕切板 20A 前室 20B 中
間室 20C 後室 21,21a、22,22a、23,23a 加熱装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生いもを加熱装置内の支持体上に支持さ
    せ、両面より輻射熱を照射加熱して焼いもを製造する方
    法において、焼いもの焼成温度より低い温度範囲の予熱
    温度で加熱する工程と、この予熱温度より高温の焼成温
    度で加熱することを特徴とする焼いも製造方法。
  2. 【請求項2】 生いもを加熱装置内の支持体上に支持さ
    せ、両面より輻射熱を照射加熱して焼いもを製造する方
    法において、焼いもの焼成温度より低い温度範囲の予熱
    温度で加熱する工程と、この予熱温度より高温の焼成温
    度で加熱する工程と、更に前記焼成温度より低い熟成温
    度で加熱する工程とからなることを特徴とする焼いも製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記予熱温度は50〜70℃、焼成温度
    は300〜350℃、熟成温度は160〜180℃であ
    り、更に予熱時間は15〜30分、焼成時間は10〜2
    0分、熟成時間は40〜50分である請求項1あるいは
    2記載の焼いも製造方法。
  4. 【請求項4】 1個の生いもを複数個に分割した生いも
    を加熱装置内の支持体上に支持させ、両面より輻射熱を
    照射加熱して焼いもを製造する方法において、焼いもの
    焼成温度より低い温度範囲の予熱温度で加熱する工程
    と、この予熱温度より高温の焼成温度で加熱する工程
    と、更に前記焼成温度より低い熟成温度で加熱する工程
    とからなり、前記焼成温度で加熱する工程は、生いもの
    切断面に焼け皮を形成し、水分の蒸発量を抑制するもの
    である焼いも製造方法。
  5. 【請求項5】 原料である生いもを載置して所定の速度
    で移送する移送装置と、この移送装置の上下に配置され
    た上部加熱源と下部加熱源とからなり、前記上部加熱源
    は表面にセラミックス層を形成した放熱板と、この放熱
    板の背後を加熱する電熱線を有し、下部加熱源は表面に
    セラミックス層を形成した放熱板と、この放熱板を加熱
    するガスバーナあるいは電熱線からなり、前記移送装置
    は多孔質体で構成され、その移送速度が変更可能に構成
    されている焼いも製造装置。
  6. 【請求項6】 上部加熱源と下部加熱源は予熱工程と焼
    成工程と、更に熟成工程に分かれており、各工程の加熱
    源はそれぞれ温度を調節可能に構成されている請求項5
    記載の焼いも製造装置。
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