JPH0670A - お好み焼の焼成法 - Google Patents

お好み焼の焼成法

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JPH0670A
JPH0670A JP4184663A JP18466392A JPH0670A JP H0670 A JPH0670 A JP H0670A JP 4184663 A JP4184663 A JP 4184663A JP 18466392 A JP18466392 A JP 18466392A JP H0670 A JPH0670 A JP H0670A
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義治 藤中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 火の通りがよく、香味、テクスチャー、色な
どの優れたお好み焼を、経済的に多量製造できる焼成法
を提供する。 【構成】 お好み焼生地を高温に加熱された鉄板上で、
あるいは該鉄板上下2枚で挟んで、焼色をつける程度に
短時間焼成した後、波長が1〜50μmの放射エネルギ
ー密度が0.8〜6.0KW/m2 を有し、温度が14
0〜400℃の環境の空間に所定時間保持して取り出す
お好み焼の焼成法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火の通りがよく、香
味、テクスチャー(噛み心地)、色などの優れたお好み
焼を、経済的に多量製造できる焼成法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】お好み焼は180℃前後に熱した鉄板に
油を薄く塗り、お好み焼生地を鉄板上にクレープ状に薄
くのばし、その上に野菜、肉類、魚介類などの具材をの
せるか、あるいは軟らかい生地と具材を混ぜて片面を焼
成した後、ひっくり返して両面を焼き、少なくとも3分
間以上火通りさせた後、取り出して食用に供せられてい
る。その製造装置としては、一枚の鉄板上において人力
にて一枚づつ焼成するか、あるいは量産化の機械も従来
のせんべい焼機やまんじゅう焼機を改良したものが一部
利用されているにすぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】お好み焼はこのように
簡単に焼成することができるが、お好み焼の生地は、通
常、200℃以上の鉄板温度では容易に焦げ付き食用に
供することができなくなる。しかも、中心温度を少なく
とも80℃以上にするには4分以上必要とし、この条件
を満たさなければ、お好み焼は粉っぽく糊化の状態にな
らず、食中毒の危険すらある。
【0004】また、量産化を図る場合、鉄板をコンベア
ーにて移送する方法がとられているため、お好み焼焼成
用の鉄板が比較的厚目のものが使用されていることもあ
って、装置の全重量が重く、それを引きずるようにして
移送するため、所要動力を多く有し、熱量の損失はまぬ
がれない。さらに、装置の価格も高額なものになってし
まう。本発明は、上記の問題点を解決し、火の通りがよ
く、香味、テクスチュアー、色において優れたお好み焼
を、経済的かつ多量に製造できる焼成法を得ようとする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究の結果、お好み焼生地の焼成に
当たり、鉄板による焼成を焼色をつける程度の短時間と
し、これを一定の高温空間に保持すると、香味、テクス
チュアー、色などにおいて優れたお好み焼が得られるこ
と、そして、この方法によれば、鉄板による焼成時間が
短いので、鉄板による焼成装置を小型に形成しても、容
易に多量製造することが可能であることを知り、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、お好み焼生地を高温
に加熱された鉄板上で、あるいは該鉄板上下2枚で挟ん
で、焼色をつける程度に短時間焼成した後、波長が1〜
50μmの放射エネルギー密度が0.8〜6.0KW/
2 を有し、温度が140〜400℃の環境の空間に所
定時間保持して取り出すことを特徴とするお好み焼の焼
成法である。また、本発明は、上記鉄板2枚で焼成を行
う際、鉄板上下2枚の間に適宜形状の金属製筒状枠体を
挿入し、この筒状枠体内にお好み焼生地を入れて焼成す
る方法である。
【0007】美味しいお好み焼を作るには、材料の選び
方、切り方、生地の作り方などの下ごしらえの外、最も
重要な点として、火加減、タイミングなど微妙な「頃合
い」と「ほどのよさ」が大切であり、それを一番支配す
るのが鉄板である。特に鉄板表面から発する放射エネル
ギー密度が大であるものの方がよいのである。
【0008】一般に、加熱(熱の移動)には伝導、対
流、放射の3つの形式のあることはよく知られており、
伝導、対流には空気あるいは固体を媒体とするためロス
が多いが、放射加熱は加熱された鉄板から放射される熱
線をお好み焼生地が直接吸収して昇温する加熱法で、効
率が非常によいので熱伝達が速く、炎や煙を出さず全体
をムラなく加熱できる。お好み焼を焼成する時、同じ表
面温度でも放射エネルギー密度の大である条件で焼く方
が火の通りもよく、美味しいお好み焼が焼けるわけであ
る。
【0009】実験の結果、加熱源の条件、すなわち、木
炭、電気、ガス(通常の燃焼あるいは遠赤外線燃焼)に
もよって異なるが、一例として、通常のガス炎燃焼にお
いて鉄板の表面温度の場合では、6mm厚の鉄板で1.7
KW/m2 の放射エネルギー密度のものが、14mm厚の
鉄板になると2.2KW/m2 となる。また、プレート
の材質によっても異なり、6mm厚の銅板の場合0.7K
W/m2 、14mm厚ステンレス(材質SVS304)は
1.2KW/m2 となり、この四者の放射エネルギー密
度を比較すれば、6mm厚銅板を1.0とすると、14mm
厚ステンレスでは約1.7倍、6mm厚鉄板では約2.4
倍、14mm厚鉄板では3.1倍となり、鉄板は他の材質
のプレートよりもはるかに放射エネルギー密度が大で、
しかも、厚いものほど良いということである。しかし、
熱の伝導や表面特性によって、鉄板の厚さは32mm以内
が望ましい。
【0010】また、お好み焼を焼く時、鉄板表面に薄く
油を塗布するが、油を塗布する理由は離型しやすくする
ことである。この場合、油がお好み焼生地を直接接着し
ないようにするのではなく、油によって生ずる鉄板面の
酸化被膜によって離型するのであるが、そればかりでな
く、油を塗布した鉄板と、塗布しない鉄板とでは、放射
エネルギー密度に0.2KW/m2 以上の差があって、
油を上手に塗布すると放射エネルギーが増え、当然火通
りがよくなるものであり、お好み焼が食品加熱方法とし
て合理的な方法であることが分かる。
【0011】このように比較的厚い鉄板で、油の塗布や
強加熱して黒色被膜を作るなどして表面特性を変えるこ
とにより、お好み焼を焼成する時非常に有利である。何
故そのようになるかは、理論的には明らかでないが、鉄
板を加熱する時、加熱源側と表面側とで一種のストレス
を生じ、そのストレスを元に返そうとする力が鉄結晶分
子間に生じ、一種の表面特性として遠赤外線を生ずるこ
とが考えられる。
【0012】放射エネルギーは食品に吸収されると、分
子振動を起こして熱エネルギーに替わり発熱するもので
ある。これは、食品分子の対称性が崩れると、エネルギ
ーを吸収することを意味する。吸収の波長は食品の種類
によって異なるが、水の場合についてみると、半極性を
有する水は、その双極子の反転により熱エネルギーに変
わり昇温する。その時2.5μm以上の遠赤外線、特に
6μm当たりの波長はよく吸収される。放射エネルギー
は温度に強く依存するため、鉄板の温度を上げた方が放
射エネルギーは強力になる。水の場合は、鉄板温度をウ
イーンの変位則より計算すると、209.8℃が最適温
度となる。ちなみに、小麦粉の場合、8〜12μmあた
りの波長をよく吸収するが、この時の温度は140.8
℃となる。
【0013】一般に、お好み焼生地を鉄板上で焼成する
時、生地の原料配合にもよるが、通常180℃前後の鉄
板表面温度で4〜6分間かけて焼かれており、火通りの
点からは180℃以上の高温、できるならば210℃前
後の温度で焼成すれば有利であるが、このような条件で
はお好み焼は焦げてしまい食用にならない。
【0014】このような観点から、本発明においては、
通常用いられているお好み焼生地を、少なくとも190
℃以上に加熱した鉄板を用い120秒以内の条件で焼色
をつける程度に焼成し、直ちに波長が1〜50μmの放
射エネルギー密度が0.8〜6.0KW/m2 を有し、
温度が140〜400℃の環境下の空間に30秒ないし
3分間保持して取り出すことにより、好ましいお好み焼
を得ることができた。
【0015】これらの焼成条件、すなわち、温度、時
間、放射エネルギー密度の条件は、お好み焼が重ね焼き
の広島風のものか、まぜ焼きの関西風のものかによっ
て、また、生地や具材の配合によって任意に変え得るも
のである。これらの条件の組み合わせにより、お好み焼
の中心温度を90℃に昇温、好ましくは98℃以上にす
ることができ、粉っぽさがなく、融和した味、香りを有
し、無菌的なお好み焼ができる結果、常温流通をするこ
とが可能なお好み焼ができることとなった。
【0016】本発明を実施する焼成装置としては、鉄板
上で焼くゾーンと、波長が1〜50μmの放射エネルギ
ー密度が0.8〜6.0KW/m2 を有し、温度が14
0〜400℃の環境を満足するゾーンとの2つの異なっ
たゾーンから成り立っている。
【0017】鉄板上で焼くゾーンについては、鉄板は固
定式でも移動式でもよいが、量産化の目的では移動式の
方が好ましい。移動の方式は、トラベリング(通しコン
ベア)方式、リール(絡車)方式、ロータリー(廻転)
方式、ドロープレート(抽出)方式何れでもよい。鉄板
の厚さは6〜32mmの範囲で、特に望ましいのは14〜
19mmである。
【0018】また、鉄板上でお好み焼を反転させて両面
を焼成することもできるが、同一温度に昇温させた上下
二枚の鉄板で挟んで両面を同時に焼成するのが、時間を
短縮できるので好ましい。この際、高さが6〜30mm
で、円、四角、六角など適宜形状の厚さ0.8〜1.2
mmの金属製筒状枠体を上下鉄板の間に挿入し、この金属
製筒状枠体内にお好み焼生地を入れて焼成することによ
り、密閉状態での上下焼成となり、お好み焼生地より発
生する蒸気を有効に利用することができる。さらに、金
属製筒状枠体を数個連結することにより、後工程が容易
で、かつ、量産することができる。
【0019】本発明の一方のゾーン、すなわち、波長が
1〜50μmの放射エネルギー密度が0.8〜6.0K
W/m2 を有し、温度が140〜400℃の環境を満足
する空間は、加熱源と遠赤外線放射体を内蔵する断熱の
匡体によって形成され、お好み焼をこの空間に保持する
器具よりなる。
【0020】加熱源としては、木炭、電気、ガス何れで
もよいが、電気、ガスの場合、遠赤外線(1〜50μm
波長)が2.0KW/m2 以上発生する放射体が必要で
ある(木炭は35KW/m2 以上の放射エネルギーを持
つ)。遠赤外線放射体として、セラミック放射体や金属
酸化物を塗布したものなどを利用すればよいが、できる
だけ高効率の遠赤外線放射体、例えば、コージライトM
gO・2Al2 3 ・5SiO2 、βスポジューメンL
iO2 ・Al2 3 ・4SiO2 、チタン酸アルミニウ
ムAl2 3 ・TiO2 などの波長の長い遠赤外線放射
体を用いればよい。また、それらは500℃以上に加熱
したものがよい。さらに、直接ガス燃焼の場合、環境が
酸素不足の状態になり易く、そのため、白金触媒燃焼法
(白金カイロの原理)によるのも一法である。遠赤外線
放射体は上下何れか一方、もしくは上下両方に取り付け
てもよい。
【0021】お好み焼を空間に保持するための器具とし
ては、金属製の金網状、ホーク状のもの、あるいは両端
に支持枠を有するテフロンなどの耐熱性合成樹脂のもの
でもよい。混ぜ焼の関西風のお好み焼の場合、金属製筒
状枠体の側面に内に突きさすような爪を用いて保持して
もよい。また、断熱匡体は装置が巨大化した場合は、高
い塔を作り、空中に落下させながら処理してもよい。
【0022】
【実施例】
実施例1 小麦粉100重量部、水150重量部、卵白10重量部
を溶き粉にし、これにキャベツ200重量部、揚玉20
重量部、油炒めした豚、エビを各15重量部を混ぜ合わ
せお好み焼の生地とした。このものを150g秤量し、
厚さ16mmの鉄板の表面温度を210℃に加熱した上に
流し込み、40秒後、ヘラにて反転し、さらに40秒加
熱した後、ホーク状の串をつきさし、温度209℃、放
射エネルギー密度が2.2KW/m2 の環境空間を有す
る遠赤外線オーブン内に150秒間保持した後、取り出
した。
【0023】実施例2 実施例1によって得られたお好み焼生地を150gずつ
秤量しておく、厚さ16mmの鉄板を245℃に熱し、油
を塗布し、この鉄板上に直径130mm、高さ13mmのス
テンレス製筒状枠体を6個並列し、その中に、先に秤量
したお好み焼生地を流し込み、直ちにこの枠体上に同一
温度、条件の鉄板を降ろし、枠体を上下より押さえなが
ら焼成した(この時の鉄板の放射エネルギー密度は3.
7KW/m2 であった)。60秒後に上部鉄板を挙げ、
枠体のまま金網にとり、温度209℃放射エネルギー密
度が2.2KW/m2 の環境空間に150秒保持した
後、取り出した。
【0024】実施例1,2の例共に、お好み焼は焦げる
ことなく、好ましい焼色で、中心温度は共に98℃で糊
化の状態もよく、キャベツの水分がにじみ出ることもな
く、保型性のよいものができた。なお、放射エネルギー
密度の測定には、オプテックス社製、赤外線パワーメー
ターER−2PLを使用した。
【0025】
【発明の効果】本発明によるお好み焼焼成法の最大の効
果は、高品質のお好み焼の量産化が可能になることであ
る。お好み焼の定義である熱した鉄板に薄く油を塗り、
お好み焼生地を流し込み、両面を焼くという操作は、主
として喫食者との対面で行われ、焼く作業者は、終日熱
した鉄板に面し、それより発する遠赤外線で目が悪くな
り、白内障の危険すら生じている。
【0026】本発明によれば、いわゆる本来ならば焦げ
て食用にならないような条件でも焼成でき、高温、短時
間処理が可能となり、お好み焼の定義を忠実に守りなが
ら、焼色をつける操作と火通りの操作を分割し、高放射
エネルギー環境下で焼成する結果、お好み焼が鉄板上に
いる時間を短くすることが可能となった。このことは、
従来せんべい焼機やまんじゅう焼機の改良装置による量
産機の最大のネックであった重い鉄板を引きづるように
して焼かなければならない装置の重量化や、放散熱量
や、所要動力の損失、装置価格の高額化の問題を一挙に
解決することが可能となった。
【0027】しかも、製品としてのお好み焼は保水性が
よく、外硬内軟に仕上がり、凍結後、解凍した場合、ド
リップ量が少ないことも確認できた。特に上下2枚の熱
鉄板間に挿入した金属製筒状枠体内にお好み焼生地を入
れ、挟み焼にする方法は、内部が密閉状態になり、当然
お好み焼より発する蒸気により圧力が増大し、内部到達
温度の上昇により、より火通りがよくなり、保存性にお
いて好ましいものとなった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 お好み焼生地を高温に加熱された鉄板上
    で、あるいは該鉄板上下2枚で挟んで、焼色をつける程
    度に短時間焼成した後、波長が1〜50μmの放射エネ
    ルギー密度が0.8〜6.0KW/m2 を有し、温度が
    140〜400℃の環境の空間に所定時間保持して取り
    出すことを特徴とするお好み焼の焼成法。
  2. 【請求項2】 お好み焼生地を高温に加熱された鉄板上
    下2枚の間に挿入された適宜形状の金属製筒状枠体内
    で、焼色をつける程度に短時間焼成した後、波長が1〜
    50μmの放射エネルギー密度が0.8〜6.0KW/
    2 を有し、温度が140〜400℃の環境の空間に所
    定時間保持して取り出すことを特徴とするお好み焼の焼
    成法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5628449A (en) * 1994-06-15 1997-05-13 Hitachi, Ltd. Method of welding a carbon steel and an austenitic stainless steel together and resultant structure
US6606513B2 (en) 2000-02-01 2003-08-12 Surgi-Vision, Inc. Magnetic resonance imaging transseptal needle antenna
US6701176B1 (en) 1998-11-04 2004-03-02 Johns Hopkins University School Of Medicine Magnetic-resonance-guided imaging, electrophysiology, and ablation

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