JP4151398B2 - 縮合型熱可塑性樹脂組成物及びその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱劣化、耐加水分解性に優れた縮合型熱可塑性樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いて得られる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性ポリエステル樹脂は比較的耐熱性の高い樹脂として、フィルム,シート,繊維,容器等の成形品として高温下や屋外等で広く使用されている。
この熱可塑性ポリエステル樹脂は成形品製造の際の溶融混練工程において、加熱,アルカリ,水分により酸化,加水分解等の劣化が起こり易い。この劣化は無機充填材,金属,金属酸化物,染料または顔料等の存在下で促進され、変色,分子量低下,機械的物性の低下等を引き起こす。
【0003】
また、長期間経過後に樹脂中のカルボキシル基、更には樹脂自体の加水分解により生成されたカルボキシル基が触媒となって樹脂分子が加水分解を受け、物性低下を引き起こして成形品の耐久性の低下に繋がり、商品的価値を大いに損失させるという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決する手段として、リン系化合物を添加して重合触媒を失活させることにより熱劣化防止性を防止する技術がある(例えば、特許文献1参照。)が、物性の向上が不十分であった。
モノカルボジイミド化合物により脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端の一部または実質的に全部を封する技術(例えば、特許文献2参照。)は、架橋しない為にポリエステル樹脂の物性向上が不十分であった。また、芳香族系ポリカルボジイミドは耐熱性がなく黄味に着色し、ゲル化が起きて成形品の外観が劣る問題があった。
【0005】
ポリカルボジイミドによるポリエステル樹脂の熱劣化、加水分解抑制の技術(例えば、特許文献3参照。)では、成形時にゲル化が起こり均質な成形品とすることが困難であるといった問題があった。
また、耐加水分解性向上を目的として生分解性プラスチックにカルボジイミド化合物を配合する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながらカルボジイミド化合物の耐熱性が不足し、これらがプラスチック成形時に気化するため十分な効果が得られず成形品の耐熱性が低く、外観が劣るなどの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−259296号公報
【特許文献2】
特開2001−261797号公報
【特許文献3】
特開平10−43681号公報
【特許文献4】
特開平11−80522号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者らは、縮合型熱可塑性樹脂成形品の耐加水分解性を高めるには、脂肪族ポリカルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物の併用が有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂の劣化の要因となるカルボキシル末端を封鎖、失活せしめる脂肪族系ポリカルボジイミド化合物と、このポリカルボジイミドの自己縮合や酸化劣化を抑制し、樹脂に効果的に作用させるヒンダードアミン系化合物とを含有した縮合型熱可塑性樹脂組成物及び当該組成物を用いてなる成形品である。
【0008】
本発明の第1の発明は、脂肪族カルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする縮合型熱可塑性樹脂組成物である。
第2の発明は、脂肪族ポリカルボジイミド化合物の含有量が0.01〜60重量%、ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01〜60重量%である第1の発明に記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物である。
【0009】
第3の発明は、縮合型熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である第1又は第2の発明に記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物である。
第4の発明は、縮合型熱可塑性樹脂がポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールを主原料として得られる樹脂、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂である群から選択される少なくとも1種の微生物崩壊性樹脂である第1〜第3の発明いずれかに記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物である。
【0010】
第5の発明は、第1〜第4の発明いずれかに記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品である。
第6の発明は、脂肪族カルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする縮合型熱可塑性樹脂成形品の劣化防止方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に詳述する。
本発明において用いられる縮合型熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂が挙げられる。熱可塑性ポリエステル樹脂とは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーである。
ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、またジオールとしてはエチレングリコール、トリメリレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等を使用することができる。
【0012】
これらのポリエステル樹脂はホモポリエステルでもコポリエステルでもよく、共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のグリコール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。
【0013】
本発明において用いられる縮合型熱可塑性樹脂として、微生物崩壊性樹脂も用いることができる。微生物崩壊性樹脂としてはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、または脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとを原料として得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の他、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0014】
具体的には、市販または試作されている各社の微生物崩壊性樹脂が挙げられ、例えば昭和高分子社製や日本触媒社製のポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、三井化学社製、カーギル社製や島津社製のポリ乳酸、ダイセル化学社製のポリカプロラクトン、モンサント社製のポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))等が挙げられる。
【0015】
本発明において用いられる脂肪族ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド結合を分子内(ポリマー主鎖)に2個以上有する化合物であり、任意の脂肪族イソシアネート化合物を反応させて得られる。その重合度(n)は、大きすぎると脂肪族系ポリカルボジイミド化合物自身の安定性が悪くなる恐れがあるため、3〜20であることが好ましく、また、分子量は500以上10,000未満であることが好ましい。尚、芳香族ポリカルボジイミド化合物は、自己縮合や凝集の恐れがあり、縮合物や凝集物が成形品の表面状態や機械的強度を低下させるので本発明においては用いられない。
【0016】
原料となるイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート,トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,多官能脂肪族イソシアネート,ブロック多官能脂肪族イソシアネート,水添キシリレンジイソシアネート,水添ジフェニルメタンジイソシアネート,芳香族系イソシアネートの水添加物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を好ましく使用することができる。
【0017】
本発明において用いられるヒンダードアミン系化合物とはメチルピペリジン骨格を有する化合物である。例えばコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0018】
ヒンダードアミン系化合物の平均分子量は450〜5000が好ましい。特に薄物成形品には平均分子量が2000以上の高分子量のものが好ましい。
【0019】
脂肪族ポリカルボジイミド化合物及びヒンダードアミン系化合物は、単独で縮合型熱可塑性樹脂に使用しても得られる効果が低いため、本件発明では用いられない。すなわち、ヒンダードアミン系化合物は脂肪族ポリカルボジイミド化合物の自己縮合や酸化劣化を抑制するので、脂肪族ポリカルボジイミド化合物を縮合型熱可塑性樹脂のカルボキシル基と効果的に反応させることができる。更に、ヒンダードアミン系化合物は脂肪族ポリカルボジイミド化合物が金属酸化物、タルク等の無機フィラー、顔料等と凝集することを防ぎ、これらの凝集物が成形品表面に吸着することを抑制し成形品の外観を良好にする作用がある。
【0020】
また、本発明の縮合型熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で必要に応じて適当な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤等を配合してもよい。
【0021】
本発明の熱可塑性縮合型樹脂組成物の製造は特に限定されるものではない。例えば、縮合型熱可塑性樹脂、脂肪族ポリカルボジイミド化合物、ヒンダードアミン系化合物と、更に必要に応じて各種添加剤や着色剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー,ロールミル,スーパーミキサー,ヘンシェルミキサー,シュギミキサー,バーティカルグラニュレーター,ハイスピードミキサー,ファーマトリックス,ボールミル,スチールミル,サンドミル,振動ミル,アトライター,バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等で混合や溶融混練分散し、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の縮合型熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
【0022】
本発明の縮合型熱可塑性樹脂組成物は、脂肪族ポリカルボジイミド化合物及びヒンダードアミン系化合物を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、脂肪族ポリカルボジイミド化合物及びヒンダードアミン系化合物濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
【0023】
コンパウンドまたは成形品における脂肪族ポリカルボジイミド化合物の含有量は、充分な耐加水分解性や機械的物性等を得る観点から0.01重量%以上、成形品の着色の防止や柔軟性を保つ観点から10重量%以下が好ましい。また、ヒンダードアミン系化合物の含有量は、充分な性能を発揮させる観点から0.01重量%以上、成形品の着色の防止やコスト抑制の観点から10重量%以下が好ましい。
【0024】
マスターバッチにおける脂肪族ポリカルボジイミド化合物の含有量は、少な過ぎると充分な耐加水分解性を得られにくく大量のマスターバッチを添加する必要が生じて不経済であるばかりでなく、成形品の機械物性に支障を来し易いため、1重量%以上が好ましい。また、多過ぎるとマスターバッチ自体の製造効率が悪くなったり、被成形樹脂に少量添加することになるため均一化が困難となり分配性や分散性が悪化しブツ等が発生しやすい傾向になったり、更には脂肪族ポリカルボジイミド化合物に由来するベタつきの抑制や被成形樹脂との混合性、自己縮合に伴う凝集物が成形品に発生することを抑制する観点から60重量%以下が好ましい。特に40重量%以下が好ましく、5〜30重量%の範囲が最も好ましい。
【0025】
マスターバッチにおけるヒンダードアミン系化合物の含有量は、多量のマスターバッチを添加することなく充分な性能を発揮させる観点から1重量%以上が好ましく、特に5重量%が好ましい。多量のマスターバッチを添加して成形品を得た場合、良好な機械物性を有しない恐れがある。また、含有量が多いとマスターバッチの被添加樹脂への添加量が少なくなるため、ヒンダードアミン系化合物が偏在する恐れがあり均一化が困難となるので、90重量%以下が好ましい。特に60重量%以下が好ましい。
【0026】
本発明の成形品は、押出成形、射出成形、ブロー成形のいずれかの成形方法で得られるものでもよいし、縮合型熱可塑性樹脂組成物を粉砕して得られる粉体塗料でもよい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例をもって説明する。以下の記載において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
【0028】
(1)コンパウンドの製造
[実施例1〜10]
表1に示すように、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)を均一混合し、直径30mm二軸押出機にてスクリュー回転数250rpmにて溶融混練し、コンパウンドを得た。溶融混練の際の温度は、成分(ウ)がPETの場合は設定温度280℃、PLAの場合は設定温度200℃で行った。
【0029】
[比較例1〜12]
表2に示すように、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)を均一混合し、実施例1〜10と同様にしてコンパウンドを得た。
【0030】
(2)マスターバッチの製造
[実施例11〜20]
表1に示すように、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)を均一混合し、直径30mm二軸押出機にてスクリュー回転数250rpmにて溶融混練し、マスターバッチを製造した。溶融混練の際の温度は、成分(ウ)がPETの場合は設定温度280℃、PLAの場合は設定温度200℃で行った。
【0031】
[比較例13〜24]
表2に示すように、成分(ア)、成分(イ)、成分(ウ)を均一混合し、実施例11〜20と同様にしてマスターバッチを得た。比較例21〜24はマスターバッチ製造時に二軸押出機のダイスヘッド部より発煙が生じた。
【0032】
【表1】
【0033】
表1中、「脂肪族PC−1」は水添ジフェニルメタンジイソシアネ−トを原料とした脂肪族系ポリカルボジイミド化合物であるジシクロヘキシルメタン−4,4−ポリカルボジイミド、
「脂肪族PC−2」はヘキサメチレンジイソシアネ−トを原料とする脂肪族系ポリカルボジイミド化合物であるヘキサメチレンポリカルボジイミド、
「脂肪族PC−3」はメチルヘキサメチレンジイソシアネ−トを原料とする脂肪族系ポリカルボジイミド化合物である3−メチルヘキサメチレンポリカルボジイミド、
「HALS」はジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、
「PET」はポリエチレンテレフタレ−ト(固有粘度=0.83)、
「PLA」はポリ乳酸(固有粘度=1.90)を用いた。
【0034】
【表2】
【0035】
表2中、表1と共通のものは表1の説明に準ずる。
「芳香族PC」はトルエンジイソシアネ−トを原料とした芳香族系ポリカルボジイミド(ラインケミ−社)、
「脂肪族MC」はジイソプロピルカルボジイミドを用いた。
【0036】
[評価試験]
以上の実施例及び比較例で得られたコンパウンドとマスターバッチについて以下の評価を行い、結果を表3、4に示した。
a.加水分解性評価
実施例1〜10、比較例1〜12で得られたコンパウンドは、そのままの組成のものを以下のa1で用いた。
また、実施例11〜20、比較例13〜24で得られたマスターバッチは、それぞれベース樹脂(各々成分(ウ)で用いた樹脂と同じ樹脂を用いた。)で10倍希釈されるように混合した。その混合物をスクリュー直径30mm、L/D値30の単軸押出機に供給し、回転数100rpmの条件でペレット化してコンパウンドを製造した。溶融混練の際の温度は、成分(ウ)がPETの場合は設定温度280℃、PLAの場合は設定温度200℃で行った。
【0037】
a1.固有粘度値
得られたコンパウンドを140℃で2時間乾燥後、100mlメスフラスコに0.5g秤量し、フェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=1:1溶液100mlを正確に加えた。これを150℃で1.5時間攪拌溶解して測定サンプルとした。毛細管粘度自動測定装置(芝山科学株式会社「SS−600−L2型」)を用いて固有粘度値を測定した。被成形樹脂のみ(成分(ウ)であるPETまたはPLA)の場合を100%として、各コンパウンドの固有粘度値の保持率を求め、以下の基準に従い評価した。
○:固有粘度値の保持率96%以上
△:固有粘度値の保持率90%以上96%未満
×:固有粘度値の保持率90%未満
【0038】
a2.機械物性保持率
実施例1〜10、比較例1〜12で得られたコンパウンドは、そのままの組成のものを射出成形機にて背圧10kg/cm2で射出成形し、プレ−トを得た。また、実施例11〜20、比較例13〜24で得られたマスターバッチは、それぞれベース樹脂(各々成分(ウ)で用いた樹脂と同じ樹脂を用いた。)で10倍希釈されるように混合した。その混合物を射出成形機にて背圧10kg/cm2で射出成形し、プレ−トを得た。
【0039】
各プレ−トについて、引張強度試験(JIS K7113)アイゾット衝撃試験(JIS K7110)を行い、被成形樹脂のみからなるプレ−トの値を100%としたときの各プレ−トの保持率をそれぞれ求め、以下の基準に従い評価した。
○:96%以上
△:90%以上96%未満
×:90%以下
【0040】
b.成形物表面状態評価
a2の機械物性保持率評価において作成した射出成形プレートの表面状態を電子顕微鏡及び目視により観察し、以下の基準に従い評価した。
○:表面が平滑であり、ゲル、ブツ等が見あたらない。
△:表面が平滑であるが、少数のブツが確認できる。
×:表面が凹凸であり、ゲル、ブツが多く確認できる。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】
本発明の縮合型熱可塑性樹脂組成物は、脂肪族ポリカルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物を含有するので、実用性のある充分高い耐加水分解性及び耐熱性を有する。
従ってこれを用いて得られる縮合型熱可塑性樹脂成形品は、機械物性や表面状態が良好であるので従来以上に幅広い利用が可能である。
Claims (6)
- 脂肪族カルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする縮合型熱可塑性樹脂組成物。
- 脂肪族ポリカルボジイミド化合物の含有量が0.01〜60重量%、ヒンダードアミン系化合物の含有量が0.01〜60重量%である請求項1記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物。
- 縮合型熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である請求項1又は2に記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物。
- 縮合型熱可塑性樹脂がポリ乳酸、ポリカプロラクトン、脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールを主原料として得られる樹脂、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂である群から選択される少なくとも1種の微生物崩壊性樹脂である請求項1〜3いずれか記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の縮合型熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品。
- 脂肪族カルボジイミド化合物とヒンダードアミン系化合物を含有することを特徴とする縮合型熱可塑性樹脂の成形品の劣化防止方法。
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