JP4145418B2 - 六価クロム含有固化物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメントを使用して六価クロムを含有する固化物を得る六価クロム含有固化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントは、水和によって固化するという性質を有しているため、建築物・構造物等のセメント硬化体や、地盤・土壌の固化材として幅広く用いられている。
【0003】
通常、セメントは種々の原料を用いて製造されるが、その原料に起因して、六価クロムが含まれる場合がある。また、廃棄物処理のため、セメントとともに六価クロム含有物を加えて処理する場合もある。
【0004】
上記したように、セメントを用いて六価クロムが含有した固化物を形成した際、水和によって固化した後も六価クロムが溶出する場合があり、特に、地盤・土壌とともに混合・固化した固化物、その中でも、火山成粘性土とともに混合・固化した固化物において、その傾向は大である。
【0005】
そのため、六価クロムの溶出を防止する方法として、種々の方法が試みられている。たとえば、スラグを多量に配合することにより、六価クロムの溶出はある程度抑制できるが、逆に強度発現性が低下する難点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、あらゆる条件、すなわち溶出の傾向が大である火山成粘性土を用いた場合でも、強度を保持しつつ、かつ、六価クロムの溶出を防止する経済的な方法は未だ見あたらないのが現状である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、セメントを用いた六価クロムを含有する固化物、とくに地盤・土壌とともに固化する際に、特定のセメントを用い、さらにスラグを特定量含有させることにより、六価クロムの溶出が防止できることを見いだし、本発明を発明するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、セメントを使用して六価クロム及び火山成粘性土又はまさ土を含有する固化物を得るに際し、セメントとしてCSとCAとの総量が70重量%以上のセメントを使用し、且つ、ブレーン値が4000cm/g以上のスラグを、上記セメント100重量部に対し、25〜80重量部となる割合で併用することを特徴とする六価クロム含有固化物の製造方法である。
【0009】
本発明によれば、CSとCAとの総量が70重量%以上セメントを用い、かつ、該セメント100重量部に対し、ブレーン値が4000cm /g以上のスラグを25〜80重量部となる割合で併用することにより、どのような土壌、たとえば六価クロムの溶出傾向が大きい火山成粘性土と混合・固化させても、該セメント及び/又は同時に混合した六価クロム含有物に起因する六価クロムの溶出を抑制することが可能となる。
【0010】
以下、詳細に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられるC3SとC3Aとの総量が70重量%以上に調整したセメントは、特に制限されず、公知の方法により調整したものを用いることができ、また、微粉末でブレーン値4500cm2/g以上のものが好ましい。たとえば、早強セメント等のセメントの中で、本発明で規定する範囲のものを適宜選択して用いればよいし、また、数種類のセメントを混合して本発明で規定する範囲に調整したものを用いてもよい。C3SとC3Aとの割合は特に制限されないが、C3S:C3A=7:1〜9:1の範囲が好適である。
【0012】
なお、C3Sは、3CaO・SiO2、C3Aは、3CaO・Al23の略である。
【0013】
本発明において用いられるスラグは、高炉水砕スラグが好適であり、特に制限されないが、微粉末でブレーン値4000cm2/g以上のものが好ましい。
【0014】
本発明において用いるスラグの配合量は、上記セメント100重量部に対し、25〜80重量部である必要がある。スラグの配合量が25重量部より小さい場合は、六価クロムの溶出防止効果が発現しにくくなるため好ましくない。一方、スラグの配合量が80重量部より大きい場合は、強度発現性が低下し固化材として好ましくない。上記した範囲の中でも、スラグの配合量は、六価クロムの溶出防止効果を勘案すると25重量部以上が好適であり、強度保持効果を勘案すると80重量部以下が好適である。
【0015】
本発明において六価クロムは、用いたセメントに起因するもの、あるいは別途加えた六価クロム含有物、例えば、六価クロム汚染廃土等に起因するもの、のいずれも問わない。六価クロムの含有量も特に制限されるものではないが、1〜100ppmにおいて本発明の効果が十分発揮されるので好適である。
【0016】
本発明において、前記セメント及び/又はスラグには、本発明の効果を損なわない範囲で、従来よりセメントに配合されている公知の材料を配合してもよい。
【0017】
たとえば、石膏、硫酸ナトリウム、石灰石微粉末や減水剤等の添加剤等があげられる。
【0018】
上記した石膏の場合であれば、前記セメント100重量部に対し、3〜15重量部の範囲から適宜選択して配合すればよい。
【0019】
本発明において、上記成分の混合・固化方法は特に制限されず、粉体混合の場合は、上記成分をドラムミキサー等で充分混合すればよい。また、スラリー混合の場合は、モルタルミキサー等で上記成分と、必要に応じて水とを混合すればよい。
【0020】
本発明の方法は、前記した特定のセメントとスラグとの混合物のみからなる六価クロムを含有する固化物だけでなく、上記した混合物を固化材として用い、土壌等と一緒に混合・固化した固化物、特に、六価クロムの溶出傾向が大きい火山成粘性土を用いた固化物においても、十分に六価クロムの溶出を抑制することができる。
【0021】
上記の場合において、用いられる土壌は特に制限されず、固化処理が求められる各種土壌、たとえば、火山灰土、砂質土、粘性土、ヘドロ、有機質土等にも適用可能である。
【0022】
特に本発明においては、火山成粘性土において効果が十分に発揮されるのが特徴である。
【0023】
上記火山成粘性土は、日本に広く分布しているが、たとえば日本においては関東ローム、黒ぼく、赤ぼくなどがよく知られている。
【0024】
本発明において、上記した土壌とともに混合・固化する場合における、前記成分混合物と土壌との混合割合は特に制限されず、改良目標強度に応じ、土壌1m3あたり、前記混合物50〜400kgの範囲で適宜設定すればよい。土壌と前記混合物との混合・固化方法は、従来公知の方法、例えば、土壌と前記混合物とをスタビライザーやバックホウにより粉体混合したのち固化する方法や、モルタルミキサーなどで前記混合物からなる固化材に水を加えてスラリー状にして、これをアースオーガなどで土壌に添加・混合したのち固化する方法等を採用すればよい。上記粉体混合する場合、土壌が充分な水分を含んでいない場合は、適宜、適量の水を加えればよい。また、締め固めができる場合は、充分に転圧をすることが好適である。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するために、実施例および比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
なお、実施例で用いたセメントとしては、六価クロムを25ppm含有する、C3SとC3Aの総量が73重量%である早強セメント、および六価クロム26ppmを含有する、C3SとC3Aの総量が60重量%である普通セメントを用いた。
【0027】
スラグは、ブレーン値は4100cm2/gである高炉スラグ微粉末でJISA 6206の規格品で市販品を用いた。
【0028】
石膏は排煙脱硫の二水石膏乾燥粉末品を用いた。
【0029】
使用した土壌としては、関東ロームおよびまさ土を用いた。なお、関東ロームは、含水比119.5%、湿潤密度1.317のものを、まさ土は、含水比20.8%、湿潤密度2.0の砂質土を用いた。
【0030】
また、六価クロムの溶出量は、固化体の一軸圧縮強度測定後の供試体について環境庁告示46号に準じて検液を作り、これをジフェニルカルバジドを用いる吸光光度法によって測定した。供試体の風乾は室内にて2日間行った。
【0031】
固化体の強度は5cmφ×10cmHの供試体いついてJIS A 1216に規定する方法に準じて一軸圧縮強度を測定した。
【0032】
実施例1〜5、比較例1〜7
表1に示す配合比のセメント、スラグおよび石膏を固化材とし、該固化材と土壌とをソイルミキサーで混合後、5cmφ×10cmHの型枠に詰め固化させ、所定の日数において脱型し、強度と六価クロムの溶出量とを測定した。結果を表1に示した。
【0033】
なお、固化材の添加量は、関東ロームの場合、土壌1m3あたり150kgであり、まさ土の場合は、土壌1m3あたり100kgである。
【0034】
【表1】
Figure 0004145418
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、CSとCAとの総量が70重量%以上セメントを用い、かつ、該セメント100重量部に対し、ブレーン値が4000cm /g以上のスラグを25〜80重量部となる割合で併用することにより、どのような土壌、たとえば六価クロムの溶出傾向が大きい火山成粘性土と混合・固化させても、該セメント及び/又は同時に混合した六価クロム含有物に起因する六価クロムの溶出を抑制することが可能となる。

Claims (1)

  1. セメントを使用して六価クロム及び火山成粘性土又はまさ土を含有する固化物を得るに際し、セメントとしてCSとCAとの総量が70重量%以上のセメントを使用し、且つ、ブレーン値が4000cm/g以上のスラグを、上記セメント100重量部に対し、25〜80重量部となる割合で併用することを特徴とする六価クロム含有固化物の製造方法。
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