JP4134988B2 - モータ制御装置およびそれを備える車両 - Google Patents

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Description

本発明は、モータ制御装置およびそれを備える車両に関し、より特定的には、エンジンに併用してモータを用いる車両に用いられるモータ制御装置に関する。
近年、環境問題に配慮した電気自動車やエンジンとモータを併用するハイブリッド自動車などが注目を浴びている。
特開平10−136570号公報(特許文献1)にはこのような車両に用いられる充電装置が開示されている。
この充電装置においては、バッテリとインバータとの間に昇圧コンバータを配置し、昇圧コンバータによって昇圧した直流電圧をインバータに供給している。
特開平10−136570号公報 特開平11−117840号公報
上記特開平10−136570号公報(特許文献1)には昇圧コンバータにより昇圧を行なう旨については開示されている。しかし、ハイブリッド自動車においてエンジンを停止させた状態でモータのみによって走行する、いわゆるEV走行している場合に加速要求やバッテリ充電状態の低下等が発生しエンジンのクランキングを行なう際の昇圧コンバータの昇圧レベルの制御については具体的に開示されていない。
エンジン始動時は、クランキングを行なうモータに対するトルク要求が急激に大きく立上がる。このためエンジン始動を行なう必要が生ずると、昇圧コンバータは電力不足によるトルク不足を避ける必要がある。そこで、昇圧コンバータは可能な限りの最大の昇圧電圧まで昇圧を実行し、確実にクランキングを行なうようにすることが考えられる。
図7は、エンジンをクランキングさせるモータにとっての必要電圧を説明するための図である。
図7を参照して、縦軸が必要トルクであり、横軸はモータ回転数Ngである。ある必要トルクにおいて回転数N1でモータを回転させる場合にはインバータが必要とする直流電圧が200Vであり、回転数N2の場合は必要な直流電圧は350Vであり、回転数N3の場合は必要な直流電圧は500Vである。
つまり、要求トルクが等しくても必ずしも最大電圧への昇圧が必要なわけではなく、必要な直流電圧はモータ回転数によって異なる。昇圧コンバータによる不要な昇降圧は、バッテリの過放電および過充電を引き起こす要因でもあり、またエネルギ移動に伴う損失も発生するため、燃費の悪化要因となる。
本発明は、エネルギ効率が改善されたモータ制御装置およびそれを備える車両を提供することを目的とする。
この発明は、要約すると、モータ制御装置であって、電源電圧を可変な昇圧電圧まで昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧回路と、昇圧電圧を受けて、エンジンの出力軸にトルクを与える第1のモータを駆動する第1の駆動回路と、車速に対応する昇圧電圧の必要レベルを求め、エンジンの始動指示があった時に必要レベルに応じて昇圧回路の昇圧動作を制御し、かつ第1の駆動回路に第1のモータを駆動させる制御部とを備える。
好ましくは、モータ制御装置は、エンジンと併用され車両の推進力を得るためのトルクを発生させる第2のモータを駆動する第2の駆動回路と、車速を算出するもとになる第2のモータの回転数を検出する車速センサとをさらに備える。
より好ましくは、制御部は、第2のモータの回転数から求まる第1のモータの回転数の取りうる範囲を算出し、エンジンの始動に必要な要求トルクと取りうる範囲とを用いて必要レベルを算出する。
より好ましくは、第1、第2のモータの回転軸およびエンジンの出力軸は歯車で結合され、いずれか2つの軸の回転数が決定されれば他の1つの軸の回転数は定まる。
この発明の他の局面に従うと、車両であって、エンジンと、エンジンの出力軸にトルクを与える第1のモータと、第1のモータを制御するモータ制御装置とを備える。モータ制御装置は、電源電圧を可変な昇圧電圧まで昇圧して昇圧電圧を出力する昇圧回路と、昇圧電圧を受けて、第1のモータを駆動する第1の駆動回路と、車速に対応する昇圧電圧の必要レベルを求め、エンジンの始動指示があった時に必要レベルに応じて昇圧回路の昇圧動作を制御し、かつ第1の駆動回路に第1のモータを駆動させる制御部とを含む。
好ましくは、車両は、エンジンと併用され車両の推進力を得るためのトルクを発生させる第2のモータをさらに備える。モータ制御装置は、第2のモータを駆動する第2の駆動回路と、車速を算出するもとになる第2のモータの回転数を検出する車速センサとをさらに含む。
好ましくは、制御部は、第2のモータの回転数から求まる第1のモータの回転数の取りうる範囲を算出し、エンジンの始動に必要な要求トルクと取りうる範囲とを用いて必要レベルを算出する。
より好ましくは、車両は、第1、第2のモータの回転軸およびエンジンの出力軸が結合される動力分割機構をさらに備える。第1、第2のモータの回転軸およびエンジンの出力軸は、いずれか2つの軸の回転数が決定されれば他の1つの軸の回転数は定まる。
本発明によれば、車速に応じてモータジェネレータに必要な昇圧レベルを求めているため、昇圧回路にエンジン始動の度に常に最大レベルまでの昇圧を行なうことが不要となっている。このため、エネルギ効率を改善しつつ、トルク不足を招くことなくエンジン始動を行なうことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当部品には同一の符号を付してそれらについての説明は繰返さない。
図1は、実施の形態1に係るハイブリッド自動車1の構成を示す概略図である。
図1を参照して、ハイブリッド自動車1は、前輪20R,20Lと、後輪22R,22Lと、エンジン200と、プラネタリギヤPGと、デファレンシャルギヤDGと、ギヤ4,6とを含む。
ハイブリッド自動車1は、さらに、車両後方に配置されるバッテリBと、バッテリBの出力する直流電力を昇圧する昇圧ユニット20と、昇圧ユニット20との間で直流電力を授受するインバータ14,14Aと、プラネタリギヤPGを介してエンジン200の動力を受けて発電を行なうモータジェネレータMG1と、回転軸がプラネタリギヤPGに接続されるモータジェネレータMG2とを含む。インバータ14,14AはモータジェネレータMG1,MG2に接続され交流電力と昇圧回路からの直流電力との変換を行なう。
プラネタリギヤPGは第1〜第3の回転軸を有する。第1の回転軸はエンジン200に接続され第2の回転軸はモータジェネレータMG1に接続され第3の回転軸はモータジェネレータMG2に接続される。
この第3の回転軸にはギヤ4が取付けられ、このギヤ4はギヤ6を駆動することによりデファレンシャルギヤDGに動力を伝達する。デファレンシャルギヤDGはギヤ6から受ける動力を前輪20R,20Lに伝達するとともに、前輪20R,20Lの回転力をギヤ6,4を介してプラネタリギヤPGの第3の回転軸に伝達する。
プラネタリギヤPGはエンジン200,モータジェネレータMG1,MG2の間で動力を分割する役割を果たす。すなわちプラネタリギヤPGの3つの回転軸のうちの2つの回転軸の回転が定まれば残る1つの回転軸の回転は自ずと定められる。したがって、エンジン200を最も効率のよい領域で動作させつつ、モータジェネレータMG1の発電量を制御してモータジェネレータMG2を駆動させることにより車速の制御を行ない、全体としてエネルギ効率のよい自動車を実現している。
直流電源であるバッテリBは、たとえば、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなり、直流電力を昇圧ユニット20に供給するとともに、昇圧ユニット20からの直流電力によって充電される。
昇圧ユニット20はバッテリBから受ける直流電圧を昇圧し、その昇圧された直流電圧をインバータ14,14Aに供給する。インバータ14,14Aは供給された直流電圧を交流電圧に変換してエンジン始動時にはモータジェネレータMG1を駆動制御する。また、エンジン始動後にはモータジェネレータMG1が発電した交流電力はインバータ14,14Aによって直流に変換されて昇圧ユニット20によってバッテリBの充電に適切な電圧に変換されバッテリBが充電される。
また、インバータ14,14AはモータジェネレータMG2を駆動する。モータジェネレータMG2はエンジン200を補助して前輪20R,20Lを駆動する。制動時には、モータジェネレータMG2は回生運転を行ない、車輪の回転エネルギを電気エネルギに変換する。得られた電気エネルギは、インバータ14,14Aおよび昇圧ユニット20を経由してバッテリBに戻される。
昇圧ユニット20とバッテリBとの間にはシステムメインリレーSR1,SR2が設けられ車両非運転時には高電圧が遮断される。
バッテリBは、組電池であり、直列に接続された複数の電池ユニットB0〜Bnを含む。
ハイブリッド自動車1は、さらに、バッテリBに取付けられる電圧センサ10と、電圧センサ10の出力に応じてエンジン200、インバータ14,14Aおよび昇圧ユニット20を制御する制御装置30とを含む。電圧センサ10は、バッテリBの電圧VBを検知して制御装置30に送信する。
図2は、図1に示したハイブリッド自動車についてインバータおよび昇圧ユニットの詳細な構成を示した回路図である。
図2を参照して、ハイブリッド自動車1は、バッテリBと、電圧センサ10と、システムメインリレーSR1,SR2と、コンデンサC1と、昇圧ユニット20と、インバータ14と、電流センサ24と、制御装置30とを備える。
バッテリBは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池である。電圧センサ10は、バッテリBから出力される直流電圧値VBを検出し、検出した直流電圧値VBを制御装置30へ出力する。システムメインリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムメインリレーSR1,SR2は、H(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、L(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。コンデンサC1は、システムメインリレーSR1,SR2オン時において、バッテリBの端子間電圧を平滑化する。
昇圧ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ11と、リアクトルL1と、コンバータ12と、コンデンサC2と、電圧センサ13とを含む。リアクトルL1は、一方端がシステムメインリレーSR1を介してバッテリBの正極と接続される。
電流センサ11は、バッテリBとコンバータ12との間に流れる直流電流を検出し、その検出した電流を直流電流値IBとして制御装置30へ出力する。
コンバータ12は、電圧VHを出力するコンバータ12の出力端子間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
電圧センサ21はコンバータ12の入力側の電圧を電圧値VLとして検知する。電流センサ11はリアクトルL1に流れる電流を電流値IBとして検知する。コンデンサC2はコンバータ12の出力側に接続されコンバータ12から送られたエネルギを蓄積するとともに、電圧の平滑化を行なう。電圧センサ13は、コンバータ12の出力側の電圧すなわちコンデンサC2の電極間の電圧を電圧値VHとして検知する。
インバータ14は、コンバータ12から昇圧電位を受けてモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、回生制動に伴いモータジェネレータMG1において発電された電力をコンバータ12に戻す。このときコンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、コンバータ12の出力ライン間に並列に接続される。
U相アーム15は、直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタ
と接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
各相アームの中間点は、モータジェネレータMG1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。
制御装置30は、トルク指令値TR1、モータ回転数Ng、電圧値VB,VL,VH、電流値IBおよびモータ電流値MCRT1を受ける。そして制御装置30は、昇圧ユニット20に対して昇圧指示PWU,降圧指示PWDおよび停止指示STPを出力する。さらに、制御装置30は、インバータ14に対して、コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1とモータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
次に、昇圧ユニット20の動作について簡単に説明する。昇圧ユニット20中のコンバータ12は、力行運転時にはバッテリBからの電力をインバータ14に供給する順方向変換回路としての昇圧回路として動作する。逆に、回生運転時には、コンバータ12は、バッテリBにモータジェネレータMG1で発電された電力を回生する逆方向変換回路としての降圧回路としても動作する。
コンバータ12は、IGBT素子Q1をオフにした状態で、IGBT素子Q2のオンとオフとを行なうことにより、昇圧回路として動作する。すなわち、IGBT素子Q2がオンの状態においては、バッテリBの正極からリアクトルL1、IGBT素子Q2を経由してバッテリBの負極に電流が流れる経路が形成される。この電流が流れている間に、リアクトルL1にエネルギが蓄積される。
そして、IGBT素子Q2をオフ状態にすると、リアクトルL1に蓄積されたエネルギはダイオードD1を介してインバータ14側に流れる。これによりコンデンサC2の電極間の電圧が増大する。したがって、インバータ14に与えられるコンバータ12の出力電圧は昇圧される。
一方、コンバータ12は、IGBT素子Q2をオフにした状態で、IGBT素子Q1のオンとオフとを行なうことにより降圧回路として動作する。すなわち、IGBT素子Q1がオンの状態においては、インバータ14から回生される電流は、IGBT素子Q1、リアクトル、バッテリBへと流れる。
また、IGBT素子Q1がオフの状態においては、リアクトルL1、バッテリBおよびダイオードD2からなるループが形成され、リアクトルL1に蓄積されたエネルギがバッテリBに回生される。この逆方向変換においては、インバータ14が電力を供給する時間よりも、バッテリBが電力を受ける時間の方が長くなり、インバータ14における電圧は降圧されてバッテリBに回生される。昇圧ユニット20の動作は、以上の力行動作と回生動作とを適切に制御することで行なわれる。
なお、回生制御には、ハイブリッド自動車または電気自動車等を運転するドライバによ
るフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動が含まれる。また、フットブレーキを操作しない場合であっても、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速させたりまたは加速を中止させたりするときが含まれる。
ハイブリッド自動車1は、電流センサ28およびインバータ14Aをさらに備える。
インバータ14Aは、ノードN1とノードN2との間にインバータ14と並列的に接続され、また共に昇圧ユニット20に接続される。
インバータ14Aは、コンバータ12から昇圧電位を受けてモータジェネレータMG2を駆動する。また、インバータ14Aは、回生制動に伴いモータジェネレータMG2において発電された電力をコンバータ12に戻す。このときコンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。モータジェネレータMG2の回転数Nmは車速センサ7によって検知されている。
また、ハイブリッド車においては、エンジン200とモータジェネレータMG1とが動力をやり取りし、あるときはモータジェネレータMG1はエンジンの始動を行ない、またあるときにはモータジェネレータMG1はエンジンの動力を受けて発電を行なうジェネレータとして働く。
インバータ14Aは、U相アーム15Aと、V相アーム16Aと、W相アーム17Aとを含む。U相アーム15A、V相アーム16A、およびW相アーム17Aは、コンバータ12の出力ライン間に並列に接続される。U相アーム15A、V相アーム16A、およびW相アーム17Aの構成は、U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17とそれぞれ同様であるので説明は繰返さない。
インバータ14AのU,V,W相アームの中間点は、モータジェネレータMG2のU,V,W相コイルの各一方端にそれぞれ接続されている。すなわち、モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの他方端が中点に共に接続されている。
電流センサ28は、モータジェネレータMG2に流れるモータ電流値MCRT2を検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
制御装置30は、トルク指令値TR1、モータ回転数MRN1、電圧値VB,VLおよびVH、電流値IBおよびモータ電流値MCRT1に加えて、さらにモータジェネレータMG2に対応するトルク指令値TR2、モータ回転数Nm、およびモータ電流値MCRT2を受ける。
制御装置30は、これらの受けた入力に応じて、昇圧ユニット20に対して昇圧指示PWU,降圧指示PWDおよび停止指示STPを出力する。
また、制御装置30は、インバータ14に対しては、コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14Aに対しては、コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。
図3は、図2における制御装置30が実行する制御を説明するためのフローチャートである。
図3を参照して、まず処理が開始されるとステップS1において制御装置30は車速を取込む。車速はモータジェネレータMG2に取付けられた車速センサ7から出力されるモータジェネレータMG2の回転数Nmから求めることができる。なお車速を求めなくてもモータ回転数Nmを基準に処理を進めてもよい。
続いてステップS2において車速からクランキング前後のモータジェネレータMG1の回転数を算出する。
図4は、モータジェネレータMG1の回転数を求める説明をするための図である。
図4においてモータジェネレータMG1の回転数Ng、エンジン回転数Ne、モータジェネレータMG2の回転数Nmの関係が共線図として示されている。
モータジェネレータMG1,MG2およびエンジン200は図1で説明したようにプラネタリギヤPGで結合されている。プラネタリギヤのギヤ比が図4に示すように1対ρであるとすると、回転数Ne,Ng,Nmの間には次の式(1)で示す関係が成立する。
Ne=Nm×1/(1+ρ)+Ng×ρ/(1+ρ) …(1)
ここでハイブリッド自動車がエンジン停止状態でモータジェネレータMG2の発生トルクのみにより走行するいわゆるEV走行を行なっていたとする。
この状態ではエンジン回転数はゼロでありこのときのモータジェネレータMG2の回転数NmをNm0とするとモータジェネレータMG1の回転数Ngは−Nm0/ρである。
このときバッテリBの充電状態(SOC)が低下したり登り坂にさしかかりトルクが必要になったりしてエンジン200を始動する必要が生じたとする。エンジン200を始動するのに必要なエンジン回転数をNexとすると、エンジン200を始動する前後で車速はほぼ一定と考えられるので、MG2の回転数NmはNm0のままであり、エンジン回転数が0からNexまで増加することになる。このときにモータジェネレータMG1の回転数Ngは−Ng0からNgxまで変化することになる。ここでNgxは次の式(2)で表わされる。
Ngx=(1+1/ρ)×Nex−(1/ρ)×Nm0 …(2)
以上より図3のステップS2におけるクランキング前後のモータジェネレータMG1の回転数が算出されたことになる。
つまり、制御装置30は、モータジェネレータMG2の回転数Nmから求まるモータジェネレータMG1の回転数Ngの取りうる範囲を算出する。
再び図3を参照して、続いてステップS3において車速(またはモータジェネレータMG2の回転数Nm)とエンジン200の始動に必要な要求トルクTdに基づきインバータがモータジェネレータMG1を駆動するのに必要な電圧値をマップから検索する。
図5は図3のステップS3における検索を説明するための図である。
図5を参照して、横軸がモータジェネレータMG1の回転数Ng、縦軸がトルクを示す。そしてある回転数において必要なトルクを発生させるためにインバータ14Aが必要とする電圧値が200V,350V,500V,650Vの4段階示されている。
ここで要求トルクTdはエンジンを始動させるために必要とされるトルクであり、このトルクはエンジン始動時に不快な振動が発生しないように実験的に求められた固定値である。
図5において、トルクが要求トルクTdである直線上を、図4で求めた回転数−Ng0からNgxの範囲で、モータジェネレータMG1の回転数は変化することになる。したがって、マップ検索の結果昇圧ユニット20が昇圧しなければいけない昇圧電圧の必要レベルは500Vで十分であり、650Vは必要ないということがわかる。
つまり、制御装置30は、エンジン200の始動に必要な要求トルクTdとモータジェネレータMG1の回転数Ngの取りうる範囲とを用いて、インバータ14に必要な電圧を算出する。
再び図3を参照して、電圧値がマップから検索されると、処理はステップS4に進む。ステップS4では、制御装置30は、昇圧ユニット20に昇圧制御を実行させる。昇圧の目標電圧値は、現在のモータジェネレータMG2の駆動に必要である現在の昇圧電圧とマップから検索して求めたMG1のクランキングに必要な電圧値の大きいほうである。例えば、SOCが低下した場合にエンジンを始動させるときや緩やかな加速(緩加速)を行なう場合にマップで求めたMG1に必要な電圧値の方が大きくなることがある。そして、制御装置30は、インバータ14を制御してモータジェネレータMG1にトルクを出力させてエンジンの出力軸を回転させる。これによりエンジンがスムーズに始動を開始する。その後処理はステップS5に進みクランキング処理が終了する。
図6は、本発明のモータ制御装置によってクランキングが行なわれた動作を説明するための動作波形図である。
図6を参照して、時刻t1まではEV走行がなされている。このEV走行時に緩やかな加速(緩加速)が要求されたときにエンジンを始動させる必要が生ずる。
時刻t1までは昇圧ユニット20が発生しているインバータ電圧VHはモータジェネレータMG2の駆動に用いられる必要電圧でありこの値がV0である。図6では、V0よりもMG1のクランキングに必要な電圧が大きい場合が示されている。
次に時刻t1において、運転者のアクセル操作などに応じてなされたエンジンのクランキング指示に応答して、昇圧ユニット20は500Vを目標値として昇圧を開始する。そして時刻t2において必要レベルの500Vが達成され以降この値が維持される。
時刻t1〜t4の間では、インバータ14によってモータジェネレータMG1のトルクを要求トルクTdまで一気に立上げられている。
これは、ハイブリッド自動車は、エンジンの回転軸にセルモータより遥かに質量の大きな電動機の回転子が結合される構成上、捻り共振が生じやすくなっており、この捻り共振が起きやすい回転数領域を素早く通り抜ける必要があるからである。
そして時刻t4以降はその回転数領域を通り抜けた後エンジン始動がされるまでの間エンジンの回転を維持するトルクがモータジェネレータMG1からエンジン回転軸に与えられる。
そして時刻t5において、エンジンが始動を完了したことに応じてモータジェネレータMG1のトルクが不要となりトルク抜き制御が行なわれる。
このような制御を行なえば、図6の破線に示したように時刻t3まで昇圧を続け昇圧ユニットの最大能力である650Vまでクランキングの度に昇圧させるよりも、車両のエネルギ効率が改善され燃費が改善されることになる。
以上説明したように、本実施の形態においては、モータジェネレータMG2のモータの回転数に応じてモータジェネレータMG1に必要な昇圧レベルを求めているため、常に最大レベルまでの昇圧を行なうことが不要となっている。
またモータジェネレータMG2の回転数とモータジェネレータMG1に必要な昇圧レベルとを予め対応付けたマップを作成しておくことによりこれを検索してモータジェネレータMG1に必要な昇圧レベルを求めているため、急激に変化するモータジェネレータMG1の要求トルク(走行中のクランキング時の要求トルク)に対しても、トルク不足を招くことなく昇圧レベルの制御を行なうことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施の形態1に係るハイブリッド自動車1の構成を示す概略図である。 図1に示したハイブリッド自動車についてインバータおよび昇圧ユニットの詳細な構成を示した回路図である。 図2における制御装置30が実行する制御を説明するためのフローチャートである。 モータジェネレータMG1の回転数を求める説明をするための図である。 図3のステップS3における検索を説明するための図である。 本発明のモータ制御装置によってクランキングが行なわれた動作を説明するための動作波形図である。 エンジンをクランキングさせるモータにとっての必要電圧を説明するための図である。
符号の説明
Q1〜Q8 IGBT素子、B0〜Bn 電池ユニット、1 ハイブリッド自動車、4,6 ギヤ、7 車速センサ、10,13,21 電圧センサ、11,24,28 電流センサ、12 コンバータ、14,14A インバータ、15,15A U相アーム、16,16A V相アーム、17,17A W相アーム、20R,20L 前輪、20 昇圧ユニット、22R,22L 後輪、30 制御装置、200 エンジン、B バッテリ、C1,C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、DG デファレンシャルギヤ、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、PG プラネタリギヤ、SR1,SR2 システムメインリレー。

Claims (12)

  1. 電源電圧を可変な昇圧電圧まで昇圧して前記昇圧電圧を出力する昇圧回路と、
    前記昇圧電圧を受けて、エンジンの出力軸にトルクを与える第1のモータを駆動する第1の駆動回路と、
    前記第1の駆動回路と共通に前記昇圧電圧が供給され、前記エンジンと併用され車両の推進力を得るためのトルクを発生させる第2のモータを駆動する第2の駆動回路と、
    車速に対応する前記昇圧電圧の必要レベルを求め、前記エンジンの始動指示があった時に前記必要レベルに応じて前記昇圧回路の昇圧動作を制御し、かつ前記第1の駆動回路に前記第1のモータを駆動させる制御部とを備え
    前記必要レベルは、前記第1のモータで前記エンジンをクランキングして始動させるために必要とされる電圧レベルである、モータ制御装置。
  2. 記車速を算出するもとになる前記第2のモータの回転数を検出する車速センサをさらに備える、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記制御部は、前記第2のモータの回転数から求まる前記第1のモータの回転数の取りうる範囲を算出し、前記エンジンの始動に必要な要求トルクと前記取りうる範囲とを用いて前記必要レベルを算出する、請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記第1、第2のモータの回転軸および前記エンジンの出力軸は歯車で結合され、いずれか2つの軸の回転数が決定されれば他の1つの軸の回転数は定まる、請求項2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータ制御装置は、車両に搭載され、
    前記電源電圧は、前記車両に搭載されたバッテリからシステムメインリレーを経由して前記昇圧回路に与えられる、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記制御部は、前記第2のモータの駆動を維持するのに必要である電圧レベルと前記必要レベルとのうちの電圧値の大きいほうを前記昇圧電圧として出力するように前記昇圧回路の昇圧動作を制御する、請求項1に記載のモータ制御装置。
  7. エンジンと、
    前記エンジンの出力軸にトルクを与える第1のモータと、
    前記エンジンと併用され前記車両の推進力を得るためのトルクを発生させる第2のモータと、
    前記第1のモータを制御するモータ制御装置とを備え、
    前記モータ制御装置は、
    電源電圧を可変な昇圧電圧まで昇圧して前記昇圧電圧を出力する昇圧回路と、
    前記昇圧電圧を受けて、前記第1のモータを駆動する第1の駆動回路と、
    前記第1の駆動回路と共通に前記昇圧電圧が供給され、前記第2のモータを駆動する第2の駆動回路と、
    車速に対応する前記昇圧電圧の必要レベルを求め、前記エンジンの始動指示があった時に前記必要レベルに応じて前記昇圧回路の昇圧動作を制御し、かつ前記第1の駆動回路に前記第1のモータを駆動させる制御部とを含み、
    前記必要レベルは、前記第1のモータで前記エンジンをクランキングして始動させるために必要とされる電圧レベルである、車両。
  8. 記モータ制御装置は、
    記車速を算出するもとになる前記第2のモータの回転数を検出する車速センサをさらに含む、請求項に記載の車両。
  9. 前記制御部は、前記第2のモータの回転数から求まる前記第1のモータの回転数の取りうる範囲を算出し、前記エンジンの始動に必要な要求トルクと前記取りうる範囲とを用いて前記必要レベルを算出する、請求項に記載の車両。
  10. 前記第1、第2のモータの回転軸および前記エンジンの出力軸が結合される動力分割機構をさらに備え、
    前記第1、第2のモータの回転軸および前記エンジンの出力軸は、いずれか2つの軸の回転数が決定されれば他の1つの軸の回転数は定まる、請求項に記載の車両。
  11. 前記車両は、
    バッテリと、
    システムメインリレーとを備え、
    前記電源電圧は、前記バッテリから前記システムメインリレーを経由して前記昇圧回路に与えられる、請求項7に記載の車両。
  12. 前記制御部は、前記第2のモータの駆動を維持するのに必要である電圧レベルと前記必要レベルとのうちの電圧値の大きいほうを前記昇圧電圧として出力するように前記昇圧回路の昇圧動作を制御する、請求項7に記載の車両。
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