JP4132711B2 - 感光材料処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料を処理液に浸漬して処理する感光材料処理装置に関する。詳細には、処理槽内の処理液を吸引して処理槽内へ噴出することにより処理液を循環させる感光材料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光材料の一種である感光性平版印刷版(以下「PS版」と言う)は、画像露光されると、現像処理が施される。このPS版を処理するPS版プロセッサーでは、PS版を現像槽内に貯留している現像液に浸漬しながら搬送して現像処理する。
【0003】
この現像槽内には、現像液を所定温度に加熱するヒータ等が設けられており、PS版を最適な処理状態とするための温度範囲に維持される。また、PS版プロセッサーでは、現像槽内の現像液を吸引して、この現像液を現像槽内のPS版の搬送路の一方の側に配置しているスプレーパイプから噴き出させることにより現像槽内の現像液の攪拌を行い、温度ムラ等による現像ムラの発生を防止している。
【0004】
ところで、スプレーパイプからの現像液の噴出し方向を、軸線方向をPS版の幅方向に沿って配置したスプレーパイプから、この軸線方向と交わる方向に噴き出すようにする液中スプレー方式では、PS版の一方の側の現像液は攪拌され易いが、他方の側の現像液は攪拌されにくいので、現像液の置換に遅れが生じる。
【0005】
このために、現像液の液温に比べて環境温度が低いと、PS版の周縁部で現像液の温度差が生じる。この温度差は、現像処理したPS版に感度差として現れてしまい、PS版の仕上がり品質を低下させてしまう。例えば、約0.2°Cの温度差が、5〜10%程度の感度差を生じさせてしまう。
【0006】
一方、PS版の幅方向の外方側からPS版の搬送方向と交わる方向に現像液を噴き出す横噴出し方式では、PS版の表面近傍の現像液の置換を迅速に行うことができるため、環境温度が低くても、PS版の周縁部に温度差が生じるのを防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、横噴出し方式では、噴出し口の近傍と噴出し口から離れた位置とでは、噴き出される現像液の流速に差が生じる。この現像液の流速の差は、現像の進行に差を生じさせてしまう。すなわち、流速の早い現像液が通過する領域では、流速の低い現像液が通過する領域に比べて現像が進行してしまい、局部的に感度差を生じさせてしまうことになる。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、スプレーパイプ等から噴出す処理液によって処理槽内の処理液を循環させながらPS版等の感光材料を処理するときに、均一な処理が可能となる感光材料処理装置を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、処理槽内の処理液を吸引すると共に吸引した前記処理液を前記処理槽内へ噴出する循環手段によって、前記処理槽内の処理液を循環させながら感光材料を処理する感光材料処理装置であって、前記感光材料の搬送幅方向に沿った中間部に前記処理槽から吸引された前記処理液を噴き出す噴出し口を設け、前記噴出し口から前記処理槽の一方の側壁へ向けて前記処理液を噴出し、前記側壁で折り返された前記処理液が前記感光材料の表裏面に沿って流れるようにしたことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、処理液を噴出する噴出し口を、感光材料の搬送路の一方側で、搬送幅方向に沿った中間部に設けており、処理液は、この噴出し口から、処理槽の一方の側壁へ向けて、感光材料の幅方向に沿って噴出される。
【0011】
これにより、噴出し口から噴き出された処理液は、処理槽の側壁によって感光材料の搬送路へ向けて折り返され、感光材料の搬送路の他方側を感光材料表面に沿って緩やかに流れる。
【0012】
したがって、感光材料の表面と裏面で処理液の流速に差を生じさせることがなく、感光材料に、処理液の流速差に起因する感度差を生じさせてしまうことがない。
【0013】
このような本発明の噴出し口は、前記処理槽の他方の側壁側から搬送幅方向に沿って突設された噴出しパイプの先端に形成することができる。
【0014】
また、本発明は、前記処理槽内に、それぞれから処理液を噴出可能とする複数の前記噴出しパイプが設けられているときに、少なくとも1本の噴出しパイプの噴出し口が、前記搬送幅方向の中間部から前記一方の側壁へ向けて前記処理液を噴出する前記吹出し口とすることができる。
【0015】
このような噴出し口を設けた噴出しパイプは、感光材料の搬送方向に沿った中間部よりも下流側に配置することがより好ましい。すなわち、感光材料の処理が進行した下流側で、処理液の流速の差による感度差が現れやすいので、この感度差の発生を的確に抑えることができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、前記噴出し口から噴き出す処理液を吸引する吸引口を、前記噴出し口と前記噴出し口からの処理液の噴き出し方向と反対方向の側壁の間に設けていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、噴出し口と他方の側壁の間に吸引口を設けている。すなわち、他方の側壁側からこの吸引口を越える位置まで噴出しパイプを突設している。
【0018】
これにより、噴出し口から噴出される処理液を感光材料の幅方向に沿って一方の側壁へ向けて流すことが可能となり、効率的な処理液の循環および攪拌が可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記処理槽内に配置される処理ラックの一対の側板の間に配置して前記感光材料を搬送方向に沿って案内するガイド板を、前記噴出し口と前記感光材料の搬送路の間に設けていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、感光材料を案内するガイド板に対して感光材料の搬送路戸は反対側に噴出し口を配置している。これにより、噴出し口から噴出した流速の早い処理液が、直接、感光材料に接触するのを確実に防止することができる。
【0021】
このような本発明では、前記処理ラックの一対の側板と前記ガイド板との間に、前記ガイド板の上面側と下面側を連通する切込み部を形成することが好ましく、これにより、噴出し口から噴出した処理液を、感光材料の搬送路へ供給することができる。
【0022】
また、本発明では、切込み部に替えて、前記処理ラックの一対の側板に、側板の前記処理槽の側壁側と前記感光材料の搬送側との間で処理液を通過可能とする貫通孔を形成するようにしても良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に感光材料処理装置として適用したPS版プロセッサー10の概略構成を示している。
【0024】
このPS版プロセッサー10は、感光材料として図示しない露光装置によって画像露光されたフォトポリマー版などの感光性平版印刷版(以下「PS版12」と言う)の現像処理を行う。なお、PS版12は、アルミニウム板等の薄肉矩形平板を支持体として、この支持体に感光層を形成しており、フォトポリマー版は、光接合層、光重合層及びオーバーコート層が重ねられて感光層が形成され、レーザ光により画像の露光がなされることにより光重合層の画像部の重合反応が促進される。
【0025】
PS版プロセッサー10は、PS版12を現像液によって処理するための現像部14と、現像液によって処理されたPS版12の水洗水を供給して水洗する水洗部16と、水洗後のPS版12にガム液を塗布して不感脂化処理する不感脂化処理部18と、PS版12を乾燥させる乾燥部20と、が配設されている。
【0026】
PS版プロセッサー10内には、処理タンク22が設けられている。この処理タンク22には、処理槽として現像部14となる位置に現像槽24が形成され、水洗部16及び不感脂化処理部18となる位置に水洗槽26及び不感脂化処理槽28が形成されている。
【0027】
処理タンク22を覆う外板パネル30には、スリット状の挿入口32が形成され、処理タンク22には、乾燥部20側に排出口34が形成されている。
【0028】
PS版プロセッサー10には、処理タンク22の上部を覆うカバー36が設けられている。このカバー36は、処理タンク22内に設けられている現像工程、水洗工程及び不感脂化処理工程を一体で覆っている。また、このカバー36には、現像部14と水洗部16との間にPS版12を挿入するためのリエントリー用の挿入口(副挿入口)38が設けられている。その副挿入口38は、現像部14での処理を除くPS版プロセッサー10での処理を行うためのPS版12の挿入用となっている。
【0029】
挿入口32の外部には、挿入台40が設けられ、現像部14のPS版12の挿入側には、ゴム製の搬送ローラ対42が配設されている。画像が焼付けられたPS版12は、挿入台40に載置されて挿入口32から、矢印A方向に沿って挿入されて、搬送ローラ対42の間に送り込まれる。
【0030】
搬送ローラ対42は、回転駆動されることにより、このPS版12を挿入口32から引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像部14へ送り込む。なお、本実施の形態では、支持体の一方の面に感光層を形成した片面タイプのPS版12を用いており、PS版12は、感光層が上方へ向けられた状態で挿入口32からPS版プロセッサー10内へ挿入される。
【0031】
処理タンク22に形成されている現像槽24は、底部中央が下方へ向けて突出された略山形状となっており、処理液としてPS版12の現像処理を行うための現像液を貯留する。この現像槽24には、PS版12の搬送方向に沿った下側にガイド板44、46が、底部に沿って配設されている。
【0032】
ガイド板44は、現像槽24の上流部(挿入口32側)に設けられ、搬送ローラ対42によって送り込まれるPS版12を、斜め下方へ向けて案内する。また、ガイド板46は、現像槽24の下流部に設けられて、PS版12を現像槽24の底面に沿って斜め上方へ向けて案内する。
【0033】
また、現像槽24には、ガイド板44とガイド板46の間に搬送ローラ対45が設けられている。この搬送ローラ対45は、回転駆動されることにより、ガイド板44によって案内されてくるPS版12に搬送力を付与しながらガイド板46へ向けて送り出す。これにより、PS版12は、現像槽24内を略U字状に案内搬送されながら、現像液に浸漬される。
【0034】
現像槽24には、水洗部16側に、外周がゴム製の搬送ローラ対48が配置されており、PS版12は、ガイド板46によってこの搬送ローラ対48へ向けて案内され、搬送ローラ対48に挟持されることにより現像槽24から引き出される。PS版12は、このようにして現像槽24内を搬送されるときに現像液に浸漬され、画像露光によって感光した感光層の不要な部分が現像液により膨潤し、支持体から剥離され、露光画像に応じて不要な感光層が除去される。
【0035】
この現像槽24内には、ガイド板44、46の下面側にスプレーパイプ50、51が設けられており、このスプレーパイプ50、51から噴出す現像液によって、現像槽24内の現像液の攪拌がなされる。
【0036】
また、現像槽24内には、ガイド板46に対向してブラシローラ80が設けられている。このブラシローラ80は、現像液に浸漬されながらガイド板46上を搬送されるPS版12の表面に毛材を接触させながら回転することにより、PS版12の表面をブラッシングして、PS版12の表面からの不要な感光層の除去を促進させている。
【0037】
一方、現像部14には、下面が現像槽24に貯留される現像液の液面より下方となるように液面蓋52が配置されている。また、現像槽24の壁面及び液面蓋52には、挿入口32側に遮蔽部材54A、54Bが設けられ、水洗部24側に遮蔽部材54C、54Dが取り付けられている。処理タンク22には、排出口34の周囲に搬送ローラ対56の周面に接触する遮蔽部材54E、54Fが取り付けられ、カバー36の副挿入口38には、遮蔽部材54Gが取り付けられている。
【0038】
遮蔽部材54A〜54Gは、シリコンゴム等によって形成されており、現像槽24内は、遮蔽部材54A〜54G、搬送ローラ対42、48等によって形成された密閉部内の空間に、液面に接触する大容量の液面蓋52を設けて、この空間に閉じ込められた空気の量を少なくすると共に、液面蓋52と遮蔽部材54A〜54G等によって現像液の液面近傍に新鮮な空気が入り込んでくるのを防止し、空気中の炭酸ガスによる現像液の劣化と水分の蒸発を抑えるようにしている。なお、液面蓋52には、PS版12の搬送方向上流側及び下流側の端部下面に串ローラ52A、52Bが設けられ、現像部14内を搬送されるPS版12が液面蓋52の下面と接触することによる表面(主に感光面)の損傷を防止するようにしている。
【0039】
搬送ローラ対48によって現像槽24から引き出されたPS版12は、この搬送ローラ対48によって表面に付着している現像液が絞り落とされながら水洗部16へ送り込まれる。
【0040】
水洗部16には、水洗槽26の上方に配設された搬送ローラ対58、60によってPS版12を略水平状態で搬送する搬送路が形成されており、PS版12は、搬送ローラ対58、60に挟持されて水洗槽26の上方を水平搬送される。
【0041】
水洗部16には、搬送ローラ対58、60の間に、PS版12の搬送路を挟んで上下に対で、スプレーパイプ62A、62Bが設けられている。スプレーパイプ62A、62Bは軸線方向がPS版12の幅方向(搬送方向と直交する方向)に沿って配置され、PS版12の搬送路に対向すると共に、スプレーパイプ62A、62Bの軸線方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。
【0042】
水洗槽26は、処理液として水洗水を貯留しており、PS版プロセッサー10では、図示しない給水ポンプによって、PS版12の搬送に同期させて、スプレーパイプ62A、62Bに水洗水を供給する。これにより、水洗水が、スプレーパイプ62A、62BからPS版12へ向けて噴出されて、PS版12の表面に付着している現像液を洗い流す。
【0043】
PS版12に供給された水洗水は、PS版12が搬送ローラ対60に挟持されて送り出されることにより、PS版12表裏面に付着していた現像液と共にPS版12の表裏面から絞り落とされ、水洗槽26内に回収される。なお、スプレーパイプ62A、62Bからの水洗水の噴出方向は、スプレーパイプ62AがPS版12の搬送方向上流側で、スプレーパイプ62BがPS版12の搬送方向下流側としているが、これに限定されず他の方向であっても良い。また、水洗水の新液は、PS版12の処理量に応じて図示しない手段によって水洗槽26に供給される。
【0044】
不感脂化処理部18には、不感脂化処理槽28の上方に搬送ローラ対56が設けられ、PS版12は、この搬送ローラ対56によって不感脂化処理部18内を搬送された後に、排出口34から送り出される。
【0045】
不感脂化処理部18には、PS版12の搬送路の上方側にスプレーパイプ64が設けられ、搬送路の下方側に吐出ユニット66が設けられている。スプレーパイプ64と吐出ユニット66は、長手方向(軸線方向)がPS版12の幅方向に沿い、PS版12の搬送路を挟んで上下に配置されている。スプレーパイプ64には、PS版12の幅方向に沿って複数の吐出孔が形成され、吐出ユニット66には、PS版12の幅方向に沿ってスリット孔が形成されている。
【0046】
不感脂化処理槽28には、PS版12の版面保護に用いるガム液が貯留されており、このガム液がPS版12の搬送に同期してスプレーパイプ64及び吐出ユニット66に供給される。スプレーパイプ64は、このガム液をPS版12へ向けて滴下してPS版12の表面に広げて塗布する。また、吐出ユニット66は、スリット孔からガム液を吐出し、PS版12がこのガム液に接触しながら移動することにより、PS版にガム液が塗布される。
【0047】
PS版12は、表裏面に塗布されるガム液によって保護膜が形成される。なお、スプレーパイプ64からのガム液の吐出方向は、PS版12の搬送方向下流側に限らず、他の方向であっても良く、また、整流板を設け、この整流板へ向けて噴出したガム液を、整流板でPS版12の幅方向に沿って均一に拡散させながら、PS版12の表面に流し落として塗布するようにしてもよい。また、吐出ユニット66に変えて、スプレーパイプ等を用いたものであっても良い。
【0048】
なお、不感脂化処理部18には、搬送ローラ対56の上方に洗浄スプレー102が設けられており、予め設定している所定のタイミングで、この洗浄スプレー102から搬送ローラ対56の周面に滴下される洗浄水によって、搬送ローラ対56を形成するローラの周面からガム液を洗い流し、ローラの周面にガム液が固着してPS版12を損傷させてしまうのを防止するようにしている。
【0049】
不感脂化処理部18でガム液が塗布されたPS版12は、搬送ローラ対56に挟持されて、表裏面にガム液が若干残った状態で排出口34から排出され、乾燥部20へ送られる。
【0050】
乾燥部20内には、排出口34の近傍にPS版12を支持する支持ローラ68が配設され、また、PS版12の搬送方向の中央部及び、排出口70の近傍には、搬送ローラ対72及び搬送ローラ対74が配設されている。PS版12は、支持ローラ68及び搬送ローラ対72、74によって乾燥部20内を搬送される。
【0051】
支持ローラ68と搬送ローラ対72との間、及び搬送ローラ対72と搬送ローラ対74との間には、PS版12の搬送路を挟んで対でダクト76A、76Bが配設されている。ダクト76A、76Bは、長手方向がPS版12の幅方向に沿って配設されており、PS版12の搬送路に対向する面にスリット孔78が設けられている。
【0052】
ダクト76A、76Bは、図示しない乾燥風発生手段によって発生された乾燥風が、長手方向の一端側から供給されると、この乾燥風をスリット孔78からPS版12の搬送路へ向けて吐出し、PS版12に吹き付ける。これにより、PS版12は、表裏面に塗布されているガム液が乾燥され、保護膜が形成される。なお、排出口34には、PS版12を処理液によって処理する不感脂化処理部18までのプロセッサ部と乾燥部20とを分離する図示しないシャッタが設けられ、排出口34が不必要に開放されて、乾燥部20内の加熱された空気が不感脂化処理部18へ入り込むのを防止している。
【0053】
ところで、図2及び図3に示すように、現像槽24内には、処理ラック100が配設されている。この処理ラック100は、一対の側板104、106を備えている。また、図3に示すように、この処理ラック100は、側板104、106のそれぞれが、現像槽24の側壁24A、24Bに対向するように取付けられる。
【0054】
処理ラック100は、この一対の側板104、106の間に、PS版12の搬送路を形成する前記した搬送ローラ対42、45、48及びブラシローラ80(何れも図2、図3では図示省略、図1参照)が設けられている。
【0055】
また、図2及び図3に示すように、この側板104、106の間には、ガイド板46が配置されている。このガイド板46には、多数の連通孔108が形成されており、これにより、ガイド板46の搬送路側と処理槽24の底部側(ガイド板46の上面側と下面側)との間で処理液が通過可能となっている。
【0056】
一方、このガイド板46の下方には、スプレーパイプ51が設けられている。図3に示すように、このスプレーパイプ51は、先端がPS版12の搬送路の幅方向の中間部に達するように、処理槽24の一方の側壁24Bから他方の側壁24Aへ向けてPS版12の搬送路の幅方向に沿って突設されている。
【0057】
図1に示すように、PS版プロセッサー10の現像部14には、循環ポンプ112が設けられており、この循環ポンプ112が作動することにより、スプレーパイプ50、51に現像液が供給される。
【0058】
図2及び図3に示すように、スプレーパイプ51は、先端の開口が噴出し口110として、現像槽24の他方の側壁24Aへ向けられて開口されており、スプレーパイプ51は、循環ポンプ112から現像液が供給されることにより、この現像液を、噴出し口110から側壁24Aへ向けてPS版12の幅方向に沿って噴き出すようになっている。なお、図2及び図3では、矢印によって側板104、106の間での現像液の流れの概略を示している。
【0059】
PS版12の搬送方向の上流側に設けているスプレーパイプ50(図1参照)は、PS版12の幅方向に沿って配置され、両端が現像槽24の側壁24A、24Bに連結されている。また、このスプレーパイプ50には、外周部に多数の噴出し孔(図示省略)が形成されており、循環ポンプ112から供給される現像液を、現像槽24の底面ないしPS版12の搬送方向に沿って噴出する一般的構成となっている。
【0060】
一方、図2及び図3に示すように、ガイド板46には、処理ラック100の側板104、106側の端部に切込み部114が形成されている。これにより、スプレーパイプ51の噴出し口110から噴出された現像液は、側板104に衝突して折り返されて、側板104側の切込み部114からガイド板46の上面側に流れ出すようになっている。また、ガイド板46の上面側では、現像槽24の側壁24A側から側壁24B側へ流れる。
【0061】
すなわち、スプレーパイプ51から現像液が噴出されることによりガイド板46の上面側のPS版12の搬送路中に、PS版12の幅方向に沿った現像液の流れが生じるようにしている。
【0062】
また、図3に示すように、現像槽24の底部には、側壁24B側に吸引口116が設けられている。すなわち、スプレーパイプ51は、現像槽24の側壁24Bから吸引口116を越えた位置に達する長さとなっている。
【0063】
現像槽24内の現像液は、循環ポンプ112が作動することにより、この吸引口116から吸い出される。これにより、現像槽24の側壁24B側(処理ラック100の側板106側)の現像液が吸引口116に流れ込むようになっている。
【0064】
このように構成されているPS版プロセッサー10では、図示しない焼付装置等によって画像が記録されたPS版12が挿入台40に載置され、挿入口32へ挿入されと、搬送ローラ対42によってこのPS版12を引き入れ、現像部14へ送り込む。なお、PS版プロセッサー10では、挿入口32を通過するPS版12を図示しないセンサによって検出するとタイマーをスタートさせる。このタイマーは、PS版12を搬送するための駆動手段の動作と共に、水洗部16のスプレーパイプ62A、62Bから水洗水を吐出させるタイミングや、不感脂化処理部18におけるガム液の吐出タイミングの計測に用いる。
【0065】
現像部14では、搬送ローラ対42によってPS版12が水平方向に対して15°〜31°の範囲の挿入角度で送りこまれて現像液に浸漬されながら搬送される。また、このPS版12は、17°〜31°の範囲の排出角度で現像液中から送り出される。PS版12は、現像部14で現像液に浸漬されることにより、露光画像に応じて感光層の不要部分が膨潤し、膨潤した感光層が支持体から除去される。このときに、現像槽24内に配置しているブラシローラ80によってPS版12の表面をブラッシングすることにより、PS版12の表面からの不要な感光層の除去を促進するようにしている。
【0066】
なお、PS版プロセッサー10としては、複数のブラシローラ80をPS版12の表面に対向するように配置してブラッシングするものであっても良く、また、ブラシローラ80を用いずにPS版12の処理を行うものであっても良い。
【0067】
このようにして現像液による処理が行われて現像液中から送り出されたPS版12は、搬送ローラ対48によって引き出されて水洗部16へ送られる。このときに、搬送ローラ対48は、PS版12の表裏面に付着してい現像液を、PS版12から絞り落としている。
【0068】
水洗部16では、このPS版12を搬送ローラ対58、60によって挟持して略水平状態で搬送しながら、スプレーパイプ62A、62Bから水洗水を噴出する。また、PS版12の搬送方向の下流側に配置している搬送ローラ対60は、PS版12の表裏面に供給した水洗水を、搬送ローラ対48によって絞り切れずに残った現像液とともに絞り落としながら、このPS版12を不感脂化処理部18へ送り出す。
【0069】
これにより、PS版12は、水洗部16を通過するときに、表裏面に残っている現像液が洗い落とされる。
【0070】
不感脂化処理部18へ送られたPS版12は、スプレーパイプ64と吐出ユニット66の間を通過し、搬送ローラ対56に挟持されることにより、この搬送ローラ対56によって不感脂化処理部18から送り出される。
【0071】
このとき、不感脂化処理部18では、スプレーパイプ64及び吐出ユニット66にガム液を供給し、PS版12の表裏面にガム液を塗布する。搬送ローラ対56は、PS版12を挟持して送り出すことにより、PS版12の表裏面にガム液の薄膜を形成すると共に、余剰となったガム液をPS版12の表裏面から絞り落とす。
【0072】
ガム液が塗布されたPS版12は、搬送ローラ対56によって排出口34から乾燥部20へ送り込まれる。なお、排出口34に設けている図示しないシャッタは、PS版12の処理開始のタイミングないしPS版12が不感脂化処理部18から送り出されるタイミングで作動して排出口34を開き、乾燥部20の乾燥風が不必要に不感脂化処理部18へ入り込んで、搬送ローラ対56にガム液が固着してしまうのを防止すると共に、排出口34から空気が入り込み、現像部14にまで及んで空気中の炭酸ガスにより現像液が劣化するのを防止したり、現像液中の水分や水洗水さらにガム液中の水分が蒸発して排出口34から出てしまうのを防止している。
【0073】
乾燥部20では、支持ローラ68及び搬送ローラ対72、74によってPS版12を搬送しながら、ダクト76A、76Bから乾燥風を吹き付ける。これにより、PS版12は、塗布されているガム液によって保護膜が形成されて排出口70から排出される。
【0074】
ところで、PS版プロセッサー10では、所定のタイミングで循環ポンプ112を作動させることにより現像槽24内の現像液を攪拌するようになっている。また、PS版プロセッサー10では、PS版12の処理中に循環ポンプ112を作動させるようになっている。現像槽24内では、循環ポンプ112が作動することにより、スプレーパイプ50、51から現像槽24内に現像液が噴き出される。
【0075】
ここで、現像槽24内のPS版12の搬送方向の下流側に設けられているスプレーパイプ51は、噴出し口110がPS版12の幅方向の中間部に配置され、この噴出し口110から処理ラック100の側板104へ向けて現像液を噴き出すようになっている。
【0076】
これにより、現像液は、スプレーパイプ51の噴出し口110から側板104に吹き付けられる。
【0077】
一方、側板104とガイド板46の間には、切込み部114によって現像液の通過可能な開口が形成されている。これにより、側板104に吹き付けられた現像液は、この側板104で折り返されながら側板104とガイド板46の間の開口部を通過して、PS版12の搬送路側へ流れ出す。
【0078】
一方、現像槽24には、側板104と反対側の側板106の近傍に吸引口116が設けられており、循環ポンプ112が作動することにより、側板106の近傍の現像液が吸引される。このとき、切込み部114によって側板106とガイド板46の間に開口部が形成されているため、ガイド板46の上面側の現像液が吸引口116へ向けて流れ出す。
【0079】
これにより、ガイド板46の上面側では、側板104と側板106の間で現像液の流れが形成される。このガイド板46の上面側は、PS版12の搬送路となっており、ガイド板46上を搬送されるPS版12に対して、現像液がPS版12の表裏面に沿って幅方向に緩やかに流れる。したがって、PS版12の表裏面の近傍で現像液の置換が円滑に行われる。
【0080】
このように、PS版12の表裏面近傍の現像液の置換を行うことにより、たとえば、PS版プロセッサー10が設置された室温と略同温度になっているPS版12をPS版プロセッサー10に挿入すると、低温になっているPS版12の温度によって30°C程度に維持されている現像液の温度が低下し、この温度低下が生じた現像液が、PS版12の表面近傍から除去されて、温度低下が生じていない現像液が新たにPS版12の表裏面近傍に供給され、PS版12を処理する現像液に温度差が生じてしまうのを確実に防止することができる。
【0081】
また、PS版プロセッサー10では、スプレーパイプ51の噴出し口110からの現像液の噴出し方向を吸引口116と反対方向としているため、スプレーパイプ51から噴出された現像液が、直接、吸引口116に流れ込むことがないと共に、現像槽24内で、PS版12の幅方向に沿った滑らかな現像液の流れを形成することができる。これにより、現像液の攪拌効率を向上させながら、PS版12の表裏面を通過する現像液に、流速の差が生じることがないようにしている。
【0082】
したがって、現像槽24内で処理されるPS版12には、現像液の温度差による感度差や、PS版12の表面近傍を流れる現像液の流速の差に起因する感度差が生じることがなく、一定の感度で現像処理される。
【0083】
また、PS版プロセッサー10では、現像処理の進行に差が生じやすい下流側のスプレーパイプ51で、現像処理の進行に差が生じないように現像液を供給するようにしているため、PS版12を高品質に仕上げることができる。
【0084】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、スプレーパイプ51側に本発明を適用したが、上流側に設けているスプレーパイプ50にも、本発明を適用しても良い。
【0085】
また、本実施の形態では、スプレーパイプ51を現像槽24の側壁24Bから突設するようにしたが、側板104側へ向けて開口されたエルボを現像槽24の底部に設けるなどして、少なくとも、吸引口と処理ラックの一方の側板の間に、この一方の側板へ向けて現像液を噴出す噴出し口を形成したものであれば良い。
【0086】
また、本実施の形態では、噴出し口110を感光材料の搬送路の下方側に設けたが、上下方向に搬送される感光材料の搬送路の左右どちらかに噴出し口110を設け、吸引口116をこの噴出し口より側板に近い側に設けるようにしても良い。
【0087】
また、本実施の形態では、噴出し口110を感光材料の搬送路の下方側である一方向に設けたが、噴出し口11から噴き出す処理液の流れがお互いに衝突しない範囲の感光材料の搬送路の両側に噴出し口11を設けても良い。
【0088】
また、本実施の形態では、噴出し口110から噴き出した現像液を噴き出し方向に対して垂直面を有する側板104に衝突させて折り返すようにしたが、噴き出した現像液がスムーズに折り返されることができるように、側板104のPS版12の搬送路側を凹状にした部材を設けても良い。
【0089】
また、本実施の形態では、感光性平版印刷版であるPS版12を処理するPS版プロセッサー10の現像槽24を例に説明したが、本発明は、任意の構成のPS版プロセッサーに適用することができる。また、本発明は、PS版プロセッサーに限らず、印画紙や写真フィルム等の他の感光材料を処理する感光材料処理装置で、現像槽似限らず、定着槽や水洗槽等の他の処理槽に適用することができる。すなわち、本発明は、感光材料を浸漬して処理するときに、処理液を攪拌する任意の構成の感光材料処理装置での処理液の適用することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、感光材料の表面近傍で処理液の流速に差を生じさせることなく、感光材料の表面近傍の処理液の置換を行うことができるので、処理液の温度差や流速の差等に起因する感度差を生じさせることなく感光材料を処理することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るPS版プロセッサーの概略構成図である。
【図2】処理ラックの要部を示す概略斜視図である。
【図3】処理ラックが配置された現像槽の要部を示すPS版の搬送方向側から見た概略図である。
【符号の説明】
10 PS版プロセッサー(感光材料処理装置)
12 PS版(感光材料)
14 現像部
24 現像槽(処理槽)
24A、24B 側壁
46 ガイド板
51 スプレーパイプ
100 処理ラック
104、106 側板
110 噴出し口
112 循環ポンプ(循環手段)
114 切込み部
116 吸引口

Claims (6)

  1. 処理槽内の処理液を吸引すると共に吸引した前記処理液を前記処理槽内へ噴出する循環手段によって、前記処理槽内の処理液を循環させながら感光材料を処理する感光材料処理装置であって、
    前記感光材料の搬送幅方向に沿った中間部に前記処理槽から吸引された前記処理液を噴き出す噴出し口を設け、前記噴出し口から前記処理槽の一方の側壁へ向けて前記処理液を噴出し、前記側壁で折り返された前記処理液が前記感光材料の表裏面に沿って流れるようにしたことを特徴とする感光材料処理装置。
  2. 前記噴出し口が、前記処理槽の前記感光材料の搬送幅方向に沿った他方の側壁側から突設された噴出しパイプの先端に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の感光材料処理装置。
  3. 前記処理槽内に、それぞれから処理液を噴出可能とする複数の前記噴出しパイプが設けられているときに、少なくとも1本の噴出しパイプの噴出し口が、前記搬送幅方向の中間部から前記一方の側壁へ向けて前記処理液を噴出する前記吹出し口であることを特徴とする請求項2に記載の感光材料処理装置。
  4. 前記噴出し口から噴き出す処理液を吸引する吸引口を、前記噴出し口と前記噴出し口からの処理液の噴き出し方向と反対方向側の側壁の間に設けていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の感光材料処理装置。
  5. 前記処理槽内に配置される処理ラックの一対の側板の間に配置して前記感光材料を搬送方向に沿って案内するガイド板を、前記噴出し口と前記感光材料の搬送路の間に設けていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の感光材料処理装置。
  6. 前記処理ラックの一対の側板と前記ガイド板との間に、前記ガイド板の上面側と下面側を連通する切込み部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の感光材料処理装置。
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