JP4132699B2 - 端子固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電磁弁のコイルから延出した端子を固定する端子固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁弁は、図3に示すようなソレノイド101を備えており、該ソレノイド101のボビン102の天面103には、端子104が配設されている。
【0003】
この端子104は、前記天面103に形成された溝部111に内嵌された状態で配設されており、一端部には接続部112が、他端部にはヒュージング部113が形成されている。前記接続部112は、前記ボビン102より突出しており、電源コネクタが差し込めるように構成されている。また、前記ヒュージング部113には、ボビン102に巻回されたコイルの巻線114端部が係止されており、前記電源コネクタからの電源をコイルに供給できるように構成されている。
【0004】
この天面103は、図3の(b)に示すように、後工程で樹脂モールド121され、電源コネクタ接続時に、端子部112に加わる力によって、ヒュージング部113に接続された巻線114が断線しないように構成されている。
【0005】
図4は、他の従来例を示す図であり、ソレノイド201のボビン202の天面203に配設された端子204は、図4の(b)に示すように、当該天面203に嵌着される樹脂キャップ205によって被覆された状態で押さえ付けられるように構成されている。
【0006】
これにより、前述と同様に、電源コネクタ接続時に、端子204の接続部211に加わる力によって、ヒュージング部212に接続された巻線が断線しないように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のモールド式の端子固定構造にあっては、ソレノイド101の種別毎に金型が必要となり、成型コストがかかるという問題があった。
【0008】
また、後者のキャップ押さえ式のソレノイド201においては、前者のものと比較して固定力が弱く、コネクタ抜き差し時の力がヒュージング部212に伝達され易いという懸念があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、コスト高を招くこと無く、端子の固定性を高めることができる端子固定構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の端子固定構造にあっては、コネクタが接続される接続部を有した端子がボビン天面の溝部内に配設され、前記端子に、前記溝部の底面に沿って側方に延出する舌片が設けられるとともに、該舌片が収容された前記溝部の箇所に前記舌片上部から接着剤が注入されて硬化された端子固定構造であって、前記舌片を収容する凹部が前記溝部の側部に一体的に形成され、当該凹部内に前記接着剤が充填される充填空間が形成されるとともに、前記凹部の側壁に内側へ突出する突出部が形成されている。
【0011】
すなわち、端子に形成された舌片は、ボビン天面の溝部に収容された状態で、溝部の底面に沿って配置される。そして、この舌片が収容された溝部の箇所には接着剤が注入されるので、当該端子は、舌片に密着した接着剤によって溝部内で固定される。このとき、硬化された接着剤は、舌片上に配置されるので、溝部からの端子の抜け防止構造として機能する。
【0013】
また、前記舌片は、溝部の側部に形成された凹部内に収容される。また、この凹部によって接着剤の充填空間が形成されるため、溝部に沿った接着剤の流出が防止される。そして、この凹部の側壁には、内側に突出する突出部が形成されているため、硬化後の接着剤の抜け方向への移動が阻止される。
【0014】
そして、請求項2の端子固定構造では、前記ボビンの上側部に、前記溝部を介して前記凹部に連通する開口部が設けられ、前記溝部に収容した前記端子で前記開口部と前記凹部とを区画して前記充填空間が隔成されている。
【0015】
すなわち、ボビンの上側部には、溝部を介して前記凹部に連通する開口部が形成されているので、この開口部を中子の型抜き穴として利用することにより、前記凹部内方への前記突出部の形成が容易となる。また、この開口部は、前記溝部内に端子を収容した状態で、前記凹部と区画されるため、該凹部内に充填された接着剤の不用意な漏れが防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる端子固定構造を備えたソレノイド1を示す図であり、該ソレノイド1は、電磁弁内に収容され弁体を作動するものである。
【0017】
前記ソレノイド1は、樹脂製のボビン11と、該ボビン11に巻線12が巻回されてなるコイル13とによって構成されており、コイル13通電時に磁力を発生するように構成されている。
【0018】
前記ボビン11は、図2に示すように、円筒状の胴部21と、該胴部21の端部に設けられた鍔部22,22とからなり、両鍔部22,22間に巻線12を巻回し前記コイル13を形成できるように構成されている。上部に設けられた鍔部22の天面23には、図1にも示したように、切欠部24より延出した巻線12を折り返す折返し部25が対称位置に突設されている。また、前記天面23には、図2に示したように、一対の溝部26,26が対象位置に設けられており、該溝部26には、金属製の端子27が収容されるように構成されている。
【0019】
この端子27の一端には、端部が折り返されてなるヒュージング部31が形成されており、該ヒュージング部31には、前記巻線12が電気溶着されるように構成されている。また、前記端子27の他端部は、平板状に形成されており、図外の電源コネクタが抜き差し自在に接続される接続部32を形成している。そして、前記端子27の一般部33は、起立した薄板状に形成されており、該一般部33の中央部の下縁には、側方に延出した舌片としてのアンカー部34が設けられている。このアンカー部34は、前記一般部33より延出した部分が折曲されてなり、取付状態において前記ボビン11の中心側へ向けて延出している。これにより、アンカー部34のボビン11側部への露出が防止されている。
【0020】
前記ボビン11の天面23には、前記端子27を前記溝部26に収容した状態で、前記アンカー部34が収容される凹部41が、前記溝部26の側部に形成されている。この凹部41は、前記溝部26と一体に連通し、該溝部26よりボビン11の中心側に形成されている。前記凹部41の側壁上部には、図2の(b)に示すように、内側に突出した突出部42,42が対向した二箇所に形成されており、両突出部42,42の幅寸法W1は、前記アンカー部34の幅寸法W2より広く設定され、該アンカー部34の上方からの挿入が許容されている。
【0021】
前記ボビン11の上側部を形成する鍔部22には、図2の(b)に示すように、前記溝部26を介して前記凹部41に連通する開口部51が形成されており、該開口部51は、前記凹部41及び該凹部41内に突出した突出部42,42を形成する中子の型抜き穴を構成している。この開口部51よりボビン11中心側には、前記溝部26と前記凹部41とが順に配置されており、前記溝部26に前記端子27を収容した状態で、前記開口部51と前記凹部41とを区画できるように構成されている。この状態で、前記凹部41は、容器形状を成し、前記端子27の一般部33は、前記凹部41内に収容された前記アンカー部34上へ接着剤を充填するための充填空間52を隔成する壁を構成している。
【0022】
以上の構成にかかる本実施の形態において、ソレノイド1に端子27を取り付ける際には、端子27をボビン11天面23の溝部26に挿入する。すると、前記溝部26及び開口部51を介してボビン11の側部に開口した前記凹部41は、溝部26内の前記端子27によって、前記開口部51と区画され、前記凹部41内には、該凹部41の壁面と前記端子27とで包囲された上方開口状の充填空間52が形成される。
【0023】
そして、この充填空間52に接着剤を充填する。このとき、前記端子27は、側方への開口を防止する壁として機能するので、充填された接着剤の不用意な漏れを防止することができる。これにより、側部の汚れを未然に防止し、外観品質を高めることができる。
【0024】
また、前記充填空間52を形成する凹部41内には、前記端子27のアンカー部34が収容されており、前記端子27を、このアンカー部34に密着する接着剤によって、凹部41内で固定することができる。このとき、前記接着剤は、前記アンカー部34上で硬化されるため、凹部41からの端子27の抜けを防止する固定部61として機能させることができる。
【0025】
したがって、溝部26上にキャップを設けて端子27を押さえ付ける従来と比較して、固定力を高めることができ、コネクタ接続時の悪影響を排除することができる。また、ボビン11天面23を樹脂モールドする場合と比較して、ボビン11毎に異なるモールド用の金型が不要となり、成型コストを抑えることができる。
【0026】
また、前記溝部26の内側に凹部41を形成して接着剤の充填空間52を形成したため、溝部26に沿った接着剤の流出を防止することができる。さらに、この凹部41の側壁には、内側に突出する突出部42,42が形成されているため、接着剤が硬化されて成る固定部61の上方への抜けを阻止することができる。これにより、端子27の溝部26からの不用意な抜けを確実に防止することができる。
【0027】
一方、ボビン11の上側部には、溝部26を介して、前記凹部41に連通する開口部51が形成されているため、この開口部51を中子の型抜き穴として利用することができる。したがって、前記凹部41の内方に突出した前記突出部42,42を容易に形成することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1の端子固定構造にあっては、端子の舌片が収容された溝部の箇所に接着剤を注入して硬化することにより、当該端子を、前記接着剤で溝部内に固定することができる。また、この接着剤は、舌片上で硬化されることから、溝部からの端子の抜け防止構造として機能する。
【0029】
したがって、溝部上にキャップを設けて端子を押さえ付ける従来と比較して、固定力を高めることができ、コネクタ接続時の悪影響を排除することができる。また、ボビン天面を樹脂モールドする場合と比較して、モールド用の金型が不要となり、成型コストを抑えることができる。
【0030】
また、前記舌片を収容する凹部によって接着剤の充填空間を形成したため、溝部に沿った接着剤の流出を防止することができる。そして、この凹部の側壁には、内側に突出する突出部が形成されているので、硬化後の接着剤の抜け方向への移動を阻止することができる。これにより、端子の溝部からの不用意な抜けを確実に防止することができる。
【0031】
そして、請求項2の端子固定構造では、ボビンの上側部に形成された開口部を中子の型抜き穴として利用することで、前記凹部内方への前記突出部を容易に形成することができる。また、この開口部は、前記溝部内に端子を収容した状態で、前記凹部と区画されるため、該凹部内に充填された接着剤の不用意な漏れを防止することができ、外観品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図2】同実施の形態のソレノイドの分解図で、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【図3】従来のソレノイドを示す図で、(a)は成形前の平面図であり、(b)は成形後の平面図である。
【図4】他の従来例を示す図で、(a)は成形前の平面図であり、(b)は成形後の平面図である。
【符号の説明】
1 ソレノイド
11 ボビン
12 巻線
23 天面
26 溝部
27 端子
32 接続部
34 アンカー部(舌片)
41 凹部
42 突出部
51 開口部
52 充填空間
61 固定部
Claims (2)
- コネクタが接続される接続部を有した端子がボビン天面の溝部内に配設され、前記端子に、前記溝部の底面に沿って側方に延出する舌片が設けられるとともに、該舌片が収容された前記溝部の箇所に前記舌片上部から接着剤が注入されて硬化された端子固定構造であって、
前記舌片を収容する凹部が前記溝部の側部に一体的に形成され、当該凹部内に前記接着剤が充填される充填空間が形成されるとともに、前記凹部の側壁に内側へ突出する突出部が形成されたことを特徴とする端子固定構造。 - 前記ボビンの上側部に、前記溝部を介して前記凹部に連通する開口部が設けられ、前記溝部に収容した前記端子で前記開口部と前記凹部とを区画して前記充填空間が隔成されていることを特徴とする請求項1記載の端子固定構造。
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