JP2012520964A - アクチュエータ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造を提供する。
【解決手段】第1端面(61)を持ち、第1端面から延びる穴(66)を形成するポール部材(62)と、穴(66)内に受け入れられるアクチュエータコア(64)とを含み、アクチュエータコアは、穴を通して露呈された接点面(112、114)を持つ少なくとも一つの接点部材(98、100)を支持し、封入部材(116)が穴内に受け入れられ、少なくとも一つの接点部材を取り囲み、ポール部材の第1端面、接点面、及び封入部材は、使用時に隣接した構成要素に結合するための実質的に平らな表面を持つアクチュエータ構造を提供するように構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁式燃料インジェクタ、特に圧縮点火式内燃エンジン即ち「ディーゼル」エンジン内で使用するのに適したアクチュエータ構造又はアクチュエータ装置に関する。
図1は、ディーゼルエンジン内で使用するのに適した公知の電磁作動式燃料インジェクタ2を示す。インジェクタ2は、全体に細長い形態をしており、その上端にノズルホルダ本体4を含む。ノズルホルダ本体4は、図示の配向で、その下端が噴射ノズル構造6に連結されている。
噴射ノズル構造6は、ほぼU字形状断面のキャップナット8内に収容された三つの構成要素を含む。キャップナット8は、その開放端がねじによってノズルホルダ本体4と係合し、これによって噴射ノズル構造6をノズルホルダ本体4に固定する。
噴射ノズル構造6の第1構成要素は、チップ端12がキャップナット8のベースに形成された孔14を通って延びる細長い噴射ノズル10である。噴射ノズル10は、ばねで押圧された噴射ニードル16を収容している。噴射ニードル16は、使用時に一組のノズル穴(図示せず)を通る燃料の送出量を制御するように、噴射ノズル10内で摺動可能である。
第1距離ピース18が、噴射ノズル10の上方(図1の配向で)に設けられている。第1距離ピース18は、貫通ドリル穴20を含み、このドリル穴20は、距離ピース18と隣接してその上方に配置されたバルブブロック22から噴射ノズル10まで加圧燃料を搬送するのに役立つ。更に、距離ピース18の中央には、盲穴24が配置されている。この盲穴24は、噴射ニードル16の後端を受け入れ、噴射ニードル16とボア24の盲端との間に制御チャンバ26を形成する。
バルブブロック22は、距離ピース18とノズルホルダ本体4との間に位置決めされている。バルブブロック22は、燃料をノズルホルダ本体4に形成された高圧入口ドリル穴30から、距離ピース18のドリル穴20まで搬送する高圧ドリル穴28を含む。バルブブロック22は、更に、細長いバルブピン34及びこれに取り付けられたディスク状アーマチュア36を含むバルブ構造32を含む。
アーマチュア36には、ノズルホルダ本体4の下側に形成された凹所40内に受け入れられた電磁アクチュエータ38が作用する。アクチュエータ38の賦勢状態に応じてアーマチュア36が上下し、これによってバルブ部材34を二つの弁座42及び43の夫々と交互に係合し又は係合解除し、制御チャンバ26内の燃料の圧力を制御する。
ノズルホルダ本体4の上領域44には、電気コネクタ48を受け入れる横方向凹所46が設けられている。長さ方向ボア50が、横方向凹所46からアクチュエータ凹所40まで延びている。電気供給リード52(少なくとも二つのコアを持つ)が、電気コネクタ48からアクチュエータの上面53まで長さ方向ボア50を通って延びており、アクチュエータの上面に接続し、これによって電気エネルギをアクチュエータに供給する。アクチュエータ38を電気供給リード52に連結する方法の正確な構造的詳細は説明しないということは理解されるべきである。
ノズルホルダ本体4は、更に、ノズルホルダ本体4のほぼ中央領域で横方向に延びるポートによって形成された高圧燃料入口54を含む。
高圧燃料入口54は、使用時に高圧燃料供給コネクタ(図示せず)と係合するように形成された円錐形の座面を形成する。斜行ドリル穴56が入口54からノズルホルダ本体4まで延びており、その後ドリル穴30によって下方に角度を変え、バルブブロック22に形成された高圧ドリル穴28に連結する。
燃料噴射機器(FIE)製造者には、より小型であり且つ軽量で、更に経済的なエンジン用の、小径のインジェクタを含むFIEを製造するように圧力が加えられている。従って、図1を参照して上文中に説明した公知の燃料インジェクタ2等のエンジン構成要素の空間効率及び全体としての大きさを減少する必要がある。
本発明の第1の態様によれば、電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造(換言すれば、アクチュエータ装置)において、第1端面を持ち、第1端面から延びる穴を形成するポール部材と、穴内に受け入れられるアクチュエータコアとを含み、アクチュエータコアは、穴を通して露呈された接点面)を持つ少なくとも一つの接点部材を支持し、封入部材が穴内に受け入れられており、少なくとも一つの接点部材を取り囲み、ポール部材の第1端面、接点面、及び封入部材は、使用時に隣接した構成要素と結合するための実質的に平らな表面を持つアクチュエータ構造を提供するように構成される、アクチュエータ構造が提供される。
一実施例では、穴は、ポール部材の長さ方向軸線からオフセットしており、これによって、厚壁部分及び薄壁部分を提供する。厚壁部分の厚さが薄壁部分よりも厚いため、燃料を搬送するための軸線方向ドリル穴を厚壁部分に形成できる。有利には、軸線方向ドリル穴はアクチュエータの軸線と平行である。これにより、アクチュエータをインジェクタ内に設置した場合に燃料連結部に角度を付ける必要がない。
便利には、アクチュエータコアは、穴を通して露呈された第1及び第2の接点部材を支持していてもよく、穴は、コア部材を含んでいてもよい。ポール部材の穴及びコア部材は、この場合、有利には、コア部材を穴内でポール部材に対して角度的に配向できる形状を備えており、これによって可変の接点部材位置を提供する。
これによる利点は、製造中にコア部材を回転して配向し、次いで所定位置に固定できるということである。これによって、機械加工された部品に対して何ら変更を加える必要なく、ポール部材に対する接点部材の位置を変えることができる。従って、インジェクタ本体内で電気接点の位置を大幅に変えることができ、そのため、同じ設計のアクチュエータ構造を多くの形体の電気接点で使用できる。これらの形体は、エンジン製造者の設備の要件で決まる。
一実施例では、二つの構成要素の間で、穴の長さ方向軸線を中心として角度を制限なしに変化できるように、穴は円形であり、コア部材は円形である。しかしながら、他の相補的形状もまた、同じ利点を提供するということは理解されるべきである。
追加の特徴は、第1及び第2の接点部材は、コア部材で支持された絶縁体部材内に一体化されていてもよいということである。
使用時に隣接した部品と係合する「クリーン」な幾何学的表面を持つアクチュエータ構造を提供するため、絶縁体部材上に封入層が支持されていてもよい。封入層は、接点部材によって形成された接点面が封入層の第1面と実質的に面一であるように、第1及び第2の接点部材を取り囲む。更に、第1及び第2の接点部材によって形成された第1及び第2の接点面は、ポール部材の第1面と実質的に面一であってもよい。
便利には、アクチュエータコアは、第1及び第2の端子端を持つソレノイド及びコア部材と、コア部材上に支持された絶縁体部材と、絶縁体部材内に受け入れられた第1及び第2の電気接点部材とを含んでいてもよい。有利には、ソレノイドの第1端子端は、第1接点部材に固定されていてもよく、ソレノイドの第2端子端は、第2接点部材に固定されていてもよい。
ソレノイドと接点部材との間に簡単な連結部を提供するため、第1端子端を、第1接点部材に一回又はそれ以上の巻回数で巻き付け、第2端子端を、第2接点部材に一回又はそれ以上の巻回数で直接的に巻き付けるのが有利である。このようにして、接点部材の縁部は、ソレノイドの端子端の巻回部をグリップするように作用する。
ソレノイドの端子端は、電気接点面を形成する接点部材に直接巻き付けられるため、更にしっかりとした接点構造が提供される。更に、この構造は、素晴らしく簡単であり、手早く形成でき、及び従って、安価に製造できる。これは、ソレノイドの端子端を接点面から離れた接点部材の部品に連結する現在の方法と比較されるべきである。
更に、接点部材構造が簡単であるため、接点部材の好ましい位置が別の設備と異なる特定の設備に合わせてコア部材での各接点部材の位置を調節できる。この目的のため、絶縁部材がポリマー材料であるため、接点部材を絶縁部材に局所的溶融によって挿入できる。局所的溶融は、例えば、加熱によって、又は接点部材に適用される超音波溶接型の技術を使用することによって行われ、これによってポリマーを接点部材と接触する場所で局所的に溶融する。かくして、接点部材の各々を受け入れるために所定形状の凹所を絶縁部材に予備成形する必要がない。
接点部材は、本発明の利点を提供する限り、多くの様々な幾何学的形態をとってもよい。例えば、立方形等の正多面体が適当な形状である。
好ましくは、第1及び第2の接点部材は、先ず最初に、第1及び第2の接点部材に対して局所的な領域で絶縁部材を溶融し、第1及び第2の接点部材を絶縁部材の溶融した領域に押し込むことによって絶縁部材に受け入れられる。
好ましくは、ソレノイドは、コア部材によって支持された巻型に巻き付けられており、巻型及び絶縁部材は、コア部材に設けられたスロットを通って延びるリンク部材によって、絶縁部材及び巻型が一体の構成要素であるように関連されている。
本発明の第2の態様によれば、電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造において、穴を形成するポール部材と、穴内に受け入れられた、穴を通して露呈された第1及び第2の接点部材を支持するアクチュエータコアとを含み、ポール部材の穴、及びコア部材は、コア部材を穴内でポール部材に対して角度的に配向できる形状を備えており、これによって可変の接点部材位置を提供する、アクチュエータ構造が提供される。
本発明の第3の態様によれば、電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造において、第1及び第2の端子端を持つソレノイドを含むアクチュエータコアと、コア部材上に支持された絶縁体部材と、絶縁部材内に受け入れられた第1及び第2の電気接点部材とを含み、ソレノイドの第1端子端は第1接点部材に固定されており、ソレノイドの第2端子端は第2接点部材に固定されている、アクチュエータ構造が提供される。
本発明の第4の態様によれば、燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、アクチュエータコア部材を提供する工程と、絶縁部材をコア部材の第1端面上に型成形する工程と、少なくとも一つの接点部材を提供する工程と、絶縁部材を少なくとも一つの接点部材の領域で局所的に溶融し、絶縁部材を軟化し、少なくとも一つの接点部材を絶縁部材に押し込むことによって、少なくとも一つの接点部材を絶縁部材と一体化する工程とを含む、方法が提供される。
アクチュエータをこの方法で形成することにより、製造中、少なくとも一つの接点部材をアクチュエータに位置決めする上での融通性を提供する。従って、接点部材の正確な位置を、製造プロセス中、特定のインジェクタ設備に合わせて調節できる。上述のように、直接的加熱によって、又は例えば超音波溶接技術によって局所的加熱を行ってもよい。
有利には、方法は、巻型をコア部材上に型成形する工程及びソレノイドをコア部材上に形成する工程を含む。かくして、コア部材が巻型及びソレノイド巻き付けプロセスに対して構造的支持を提供するように、巻型はコア部材にその場で型成形される。巻型をその場で型成形することにより、壁を薄くでき、これによりソレノイド捲線に対して比較的大きな空間を提供する。
一実施例では、絶縁部材及び巻型は一体成形された構成要素であり、これらは同じ成形プロセスによって、好ましくは射出成形によって形成される。
第5の態様では、本発明は、燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、第1及び第2の面を持ち、穴を形成するポール部材を提供する工程と、ポール部材の第1及び第2の面をほぼ同時に機械加工する工程とを含む、方法が提供される。
ポール部材の上面及び下面の両方を同時に機械加工することにより、加工時間を大幅に短縮する。これには、アクチュエータの製造費を低減する効果がある。別の利点は、表面間の幾何学的適合の程度を改善するということである。これは、これらの面を、例えば燃料インジェクタ内の他の構成要素と係合するのを補助する。
方法は、更に、アクチュエータコア部材を穴内に受け入れる工程を含み、コア部材は、コア部材と関連した第1及び第2の電気接点部材を持ち、これらの接点部材は、穴を通して露呈されており、外ポール部材の第1端面と実質的に同一平面内にあり、コア部材の端面は、外ポール部材の第2端面と実質的に同一平面内にあるように穴を通して露呈される。第1及び第2のポール面を機械加工する工程は、更に、接点部材及びコア部材の第1端面をほぼ同時に機械加工する工程を含む。従って、ポール部材の第1及び第2の面を同時に機械加工することに加え、接点部材及びコア部材の面にも機械加工が行われ、かくして、加工時間が、各面を個々に機械加工する場合と比較して大幅に短縮する。
本発明は、更に、第6の態様において、燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、第1及び第2の面を持ち、穴を形成するポール部材を提供する工程と、アクチュエータコア部材を穴内に受け入れる工程とを含み、コア部材は、コア部材と関連した少なくとも一つの接点部材を有し、接点部材は、穴を通して露呈されており、外ポール部材の第1端面と実質的に同一平面内にあり、更に、ポール部材の第1端面及び少なくとも一つの接点部材をほぼ同時に機械加工する工程を含む、方法が提供される。
ポール部材の上面及び電気接点をほぼ同時に機械加工することにより、表面間の幾何学的適合性を改善する。これは、これらの面を、燃料インジェクタ内の他の隣接した構成要素と係合する上で有利である。
一実施例では、機械加工プロセスは研削であり、高精度の滑らかな仕上げを提供する。しかしながら、ラップ仕上げ、フライス削り、又はホーニング仕上げ等の他の機械加工プロセスも適用できる。
本発明の第1の態様の好ましい特徴及び/又は随意の特徴は、本発明の第2乃至第6の態様に、単独で又は適当な組み合わせで適用されていてもよいということは理解されよう。
以上、公知の電磁式燃料インジェクタの概略図である図1を参照した。本発明を更によく理解するため、次に、添付図面を参照して説明する。
図1は、公知の電磁式燃料インジェクタの概略図である。 図2は、本発明によるアクチュエータ構造の斜視図である。 図3は、ポールピースを取り除いた、図2のアクチュエータ構造の斜視図である。 図4は、図2のアクチュエータ構造の断面図である。 図5は、図4のアクチュエータ構造の斜視図である。
図2乃至図5を参照すると、これらの図には、図1の電磁作動式燃料インジェクタ2内で使用するのに適したアクチュエータ構造(アクチュエータ装置)60が示してある。
アクチュエータ構造60は、二つの主要な構成要素、即ち、ほぼ円筒形の外ポール部材62即ち「ポールピース」と、このポールピースによって収容されたアクチュエータコア64とを含む。
ポールピース62は、上面61、下面63、及びポールピース62の長さ方向中央軸線からオフセットした、アクチュエータコア64を受け入れる大きな円形の穴66を含む。穴66が、長さ方向軸線からオフセットしているため、ポールピース62の壁は厚さが変化している。図4に明瞭に示すように、ポールピース62には、薄壁領域68が設けられており、この薄壁領域68は、厚(比較的厚い)壁領域70と比較して比較的薄い。
穴66は、その長さの大部分に沿って直径が一定であるが、その下端に向かってテーパ区分を含み、その結果、ポールピース62の下端面63の穴は、ポールピース62の上端面61の穴66よりも小径である。
ポールピース62には、更に、ポールピース62の厚壁領域70に貫通ドリル穴72が設けられている。この貫通ドリル穴72は、使用時にアクチュエータ構造60を燃料インジェクタの部分として組み立てるとき、燃料供給通路の部分を形成する。
アクチュエータコア64を図3及び図4に更に明瞭に示す。アクチュエータコア64は、概ねT字形状断面の金属製環状コア部材74を含む。コア部材74は、上面81を持つ拡大上領域76と、この上領域76から図3及び図4で見て下方に垂下した比較的小径の下領域78とを形成する。コア部材74は、コア部材74をポールピース62に関して任意の数の角度位置で組み立てることができるように、ポールピース62の円形の穴66と相補的な円形の外輪郭を有する。図示の実施例では、コア部材74は、穴66内に設置されたときに固定的に保持されるように、ポールピース62の穴66に締り嵌めする。別の態様では、コア部材74及び穴66は、二つの構成要素間で回転が可能であるように遊び嵌め又は隙間嵌めしてもよい。次いで、製造中、使用時に移動が生じないように、溶接又は接着等の他の方法によってコア部材を所定位置に固定できる。
コア部材74の上領域76は、上面81の縁部の周囲に環状溝80を含み、これにより、溝80から突出した環状リム82を持つ上領域76を提供する。しかし、リム82の直径は、上領域76の直径よりも僅かに小さい。
コア部材74を環境に対して絶縁し、シールし、固定するのを補助するため、上面81は、ディスク形態のポリマー製絶縁体部材84を支持する。絶縁体ディスク84は、絶縁体ディスク84の外径がコア部材74の上領域76の外径とほぼ同じであるように、コア部材74上に射出成形される。絶縁体ディスク84が、コア部材74の上面81と形状が一致するように成形されるため、ディスク84には、その外縁部から下方に垂下するスカート86が設けられている。スカート86は、更に、環状リム82と形状が一致する内方に延びる小さなリップ88を形成する。絶縁体ディスク84は、かくして、コア部材74の上領域76と噛み合い、リム82とリップ88との間の係合によってここに固定される。
コア部材74の下領域78の中央には、上方に(図示の配向において)延びる盲ボア90が配置されている。この盲ボア90は、コア部材74の上領域76と下領域78との間の移行部とほぼ同じ場所で終端する。添付図面には示してないけれども、使用時に、盲ボア90が、アクチュエータ構造60によって作動できるアーマチュアと関連した戻しばねを受け入れるということは理解されるべきである。盲ボア90が設けられているため、下領域78にリング状端面79が形成される。
アクチュエータコア64は、更に、コア部材74の下領域78に支持された、全体に参照番号92を附した電気捲線構造を含む。電気捲線構造92は、巻型94、この巻型94上に形成されたソレノイド96、及び第1及び第2の接点部材98、100を含む。これらの接点部材98、100は、絶縁体ディスク84によってコア部材74の上面81の上方に支持されており、絶縁体ディスク84と一体である。
巻型94は「ボビン」(巻枠)とも呼ばれ、環状の部材となっている。この環状部材は、好ましくは、例えば熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマー等のポリマー材料で形成されており、ソレノイド96を受け入れるための半径方向外方に面するチャンネル102を形成するため、ほぼC字形状断面を有し、内壁の直径が、コア部材74の下領域78の直径とほぼ同じである。ソレノイド96のコイルの正確な巻き数は、適当な作動特性を持つアクチュエータ構造60を提供するため、予め決定されているということは理解されるべきである。しかしながら、コイルの巻き数は本発明にとって重要ではなく、ここでは詳細に論じない。
絶縁体ディスク84及び巻型94は、コア部材74に設けられたスロット106を通って延びるリンク部材104によって互いに連結される。かくして、絶縁体ディスク84、巻型94、及びリンク部材104は、射出成形プロセスによって、一体化されたポリマー構成要素として形成される。
リンク部材104は、ソレノイド96の第1及び第2の端子端108、110を、絶縁体部材の円形の外輪郭を越えて延びることなく、絶縁体ディスク84の上面上に延ばすためのチャンネル105を提供する。第1及び第2の端子端108、110の各々は、第1及び第2の接点部材98、100の夫々に4回巻き付けられ、これにより強固に取り付けられるが、ワイヤを1回又は数回巻き付けても良好な固定が得られる。
第1及び第2の接点部材98、100の各々は、正立方形であり、これらは、夫々、平らな上面112、114を形成する。これらの上面112、114は、ポールピース62の上面61と実質的に面一である(即ち同一平面内にある)。ソレノイド96の第1及び第2の端子端108、110が夫々の接点部材98、100に巻き付けられているため、夫々の接点部材の比較的尖った縁部が端子端をグリップし、これらをしっかりと取り付けられた状態にする。この形体により、各接点部材の構造が簡単になり、これは、接点部材の一部が、接点面から離れたソレノイドの端子端に連結された従来の技術と比較されるべきである。
図4及び図5に示すように、アクチュエータ構造60は、更に、接点部材の接点面112、114だけが露呈されるように、絶縁体ディスク84とポールピース62の上面61の表面高さとの間の空間を埋める、ポリマー材料層で形成された封入部材116(以下、封入体とも呼ぶ)を含む。封入体116は、更に、ポールピース62とソレノイド96との間の空間に入り込む。この後封入成形にも、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーが使用されるが、巻型及びディスクが損傷しないようにするため、これは、好ましくは、巻型及び絶縁体ディスクについて使用されたよりも低い注入圧力及び/又は温度を使用して適用される。封入体116は、かくして、使用時に電気供給構造に接続するための接点部材の接点面だけを露呈した状態で、ソレノイドの端子端を支持し、保護し、絶縁する。
封入体116は、穴66の上端に着座しており、接点部材98、100の上面112、114及びポールピースの上端面61と面一である。
接点部材98、100、封入体116、及びポールピース62が面一であるため、アクチュエータは実質的に平らな表面117を有し、これにより、使用時に、燃料インジェクタ内の隣接した構成要素に結合できるということは理解されよう。このような平らな表面は、溝、チャンネル、スロット、又はクレビス等の凹凸が表面にほとんどない、平面的で滑らかで平らな上面を提供する。これは、製造中に粒子を捕捉することがないように保護するため、有利である。例えば、接点面での破片の存在は受容不能であり、アクチュエータ構造を設置する前に注意を払う必要がある。
アクチュエータ構造60には、様々な設計のインジェクタ内に設置する上で、接点部材98、100の位置を最適化できるという利点がある。
第1に、第1及び第2の接点部材98、100は、絶縁体ディスク84内に受け入れられているということに着目されるべきである。これらの接点部材は、絶縁体ディスク84に予備成形した凹所に設置してもよいが、好ましくは、これらの接点部材は、接点部材の周囲の領域で絶縁体ディスク84のポリマー材料を溶融するか或いは少なくとも軟化する適当な技術を適用し、ディスク84に押し付けてもよい。適当には、超音波溶接技術を使用してもよい。しかしながら、局所的加熱技術もまた適しているということは理解されるべきである。このようにして、絶縁体ディスクに凹所を形成する追加の製造工程、又は複雑な形状のこのようなディスクを型成形する追加の製造工程をなくすことができる。
更に、超音波溶接を使用して接点部材98、100を絶縁体ディスク84内に設置することにより、接点部材を位置決めする上で様々な方法を使用できる。かくして、内部でアクチュエータ構造が使用されるインジェクタの内部電気接続部が必要とする接点の位置に応じて、接点部材の位置を変えることができる。
別の有利な特徴は、ポールピース62に設けられた穴66及びコア部材74の横外輪郭が、コア部材74をポールピース62に対して任意の角度位置に配向できるように形成されているということである。これにより、接点部材98、100を、関連したインジェクタの内部電気接続部の要件に合うように、ポールピース62内で回転できる。以上説明した実施例では、穴66は、コア部材74の円形の輪郭と噛み合う、即ちこれと相補的な円形である。しかしながら、この特定の形状は単なる例示であって、コア部材及び/又は穴は、当業者に明らかなこの他の形態をとってもよく、それでも二つの構成要素間で相対的に角度的に移動できるということは理解されるべきである。
次に、図2、図3、及び図4のアクチュエータ構造を形成する方法を説明する。
第1工程において、巻型94、リンク部材104、及び絶縁体ディスク84を、その場で、コア部材74上に射出成形する。次いで、接点部材98、100を絶縁体ディスク84上に設置する。これは、好ましくは、上文中に説明したように、超音波溶接によって行われる。
これに続き、ソレノイド96を巻型94上で所定の巻回数まで形成する。ソレノイド96を接点部材98、100に接続するため、リンク部材104が形成するチャンネル105に端子端108、110を通し、上文中に説明したように接点部材98、100に巻き付ける。
次いで、組み立てたアクチュエータコア64をポールピース62の穴66に挿入し、接点部材98、100の第1及び第2の接点面112、114が、ポールピース62の平らな上面61と実質的に共通した平面内にあるように位置決めする。更に、この位置にあるとき、コア部材74の下領域78の端面79は、ポールピース62の下側面63と実質的に同一平面内にある。
次いで、封入体部材116を、ポールピース62とソレノイド96との間の空間及び接点部材98、100の周囲の空間に、少なくとも上面61の高さまで導入する。
アクチュエータ構造60を完成するため、ポールピース62の上面61及び下面63を接点部材98、100の接点面112、114とともに、ほぼ同時に機械加工し、滑らかな仕上げを提供する。上面61及び下面63を研削技術を使用して機械加工するのが好ましいが、ラップ仕上げ、ホーニング仕上げ、又はフライス削り等のこの他の技術も適用できるということは理解されるべきである。接点部材の接点面が、ポールピースの上面61と同一平面内にあり、コア部材74の下端面79が、ポールピースの下側63と同一平面内にあるため、これらの面もまた、ほぼ同時に機械加工される。
上面及び下面をほぼ同時に機械加工することは、「複式研削(duplex grinding)」とも呼ばれ、アクチュエータ構造の上面と下面との間を平行にする。これにより、隣接した構成要素に結合する上でのアクチュエータ構造の性能を向上する。更に、複式研削により、部品間のばらつきが小さくなり、多数のアクチュエータ構造間で一貫した磁気的性能が得られる。更に、アクチュエータの上面及び下面をこのように研削する上で、一度に一つの面を研削するのでなく、一回の製造工程しか必要とされない。
変形例では、ポールピース62の上面61だけを接点面112、114とともに同時に機械加工し、ポールピース62の下面63を、別の作動で機械加工する。この実施例は、上面61と、接点面112、114並びに封入体部材116との間で、良好な幾何学的適合が形成されるという点で有利である。更に、この方法で行われた機械加工は、滑らかな、即ち何らかの態様で破片を捕捉してしまう溝、スロット、小孔、又は非同一平面領域がない「クリーンな」表面を形成する。
上述の実施例は、単なる例示として説明したものであって、特許請求の範囲によって定義された本発明の概念から逸脱することなく、変更を行うことができるということは当業者には理解されよう。
第1及び第2の接点部材98、100を上文中に立方形形態として説明したが、機能に対して悪影響を及ぼすことなく、この他の形状が可能であるということは理解されるべきである。例えば、接点部材98、100は、ソレノイド96の端子端108、110を接点部材に複数回巻き付けることができ、これによって端子端を接点部材に固定的に取り付けるように、均等な多面体の組の一つであってもよい。更に、この他の形態の幾何学的な角柱、例えば正多角柱を適用でき、全体としての目的は、ソレノイドの端子端を、別の接点部品を必要とせずに夫々の接点部材に直接固定することであるということは理解されるべきである。
2 電磁作動式燃料インジェクタ
60 アクチュエータ構造
61 上面
62 ポールピース
63 下面
64 アクチュエータコア
66 穴
68 薄壁領域
70 厚壁領域
72 貫通ドリル
74 金属製環状コア部材
76 拡大上領域
78 下領域
79 リング状端面
80 環状溝
81 上面
82 環状リム
84 絶縁体ディスク
86 スカート
88 リップ
90 盲ボア
92 電気捲線構造
94 巻型
96 ソレノイド
98、100 第1及び第2の接点部材
102 チャンネル
104 リンク部材
106 スロット
105 チャンネル
108、110 第1及び第2の端子端
112、114 上面

Claims (25)

  1. 電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造において、
    第1端面(61)を持ち、前記第1端面から延びる穴(66)を形成するポール部材(62)と、
    前記穴(66)内に受け入れられるアクチュエータコア(64)とを備え、前記アクチュエータコアは、前記穴を通して露呈された接点面(112、114)を持つ少なくとも一つの接点部材(98、100)を支持し、
    封入部材(116)が前記穴内に受け入れられ、前記少なくとも一つの接点部材を取り囲み、前記ポール部材の前記第1端面、前記接点面、及び前記封入部材は、使用時に隣接した構成要素に結合するための実質的に平らな表面を持つアクチュエータ構造を提供するように構成される、アクチュエータ構造。
  2. 請求項1に記載のアクチュエータ構造において、
    前記穴は、厚壁部分及び薄壁部分が前記ポール部材に設けられるように、前記ポール部材の長さ方向軸線からオフセットしており、前記厚壁部分は、軸線方向ドリル穴(72)を形成する、アクチュエータ構造。
  3. 請求項2に記載のアクチュエータ構造において、
    前記軸線方向ドリル穴(72)は、前記アクチュエータの前記長さ方向軸線と平行である、アクチュエータ構造。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記アクチュエータコアは、前記穴(66)を通して露呈された第1及び第2の接点部材(98、100)を支持し、前記アクチュエータコアは、コア部材(74)を備え、
    前記ポール部材(61)の前記穴(66)及び前記コア部材(74)は、前記コア部材を前記穴内で前記ポール部材に対して角度的に配向できる形状を備えており、これによって可変の接点部材位置を提供する、アクチュエータ構造。
  5. 請求項4に記載のアクチュエータ構造において、
    前記穴は円形であり、前記コア部材は円形である、アクチュエータ構造。
  6. 請求項4又は5に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材は、前記コア部材上に支持された絶縁体部材(84)内に一体化されている、アクチュエータ構造。
  7. 請求項6に記載のアクチュエータ構造において、
    封入層(106)が前記絶縁体部材上に支持されており、前記封入層(106)は、前記接点部材によって形成された接点面が前記封入層の第1面(117)と実質的に同一平面となるように、前記第1及び第2の接点部材を取り囲む、アクチュエータ構造。
  8. 請求項6に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材(98、100)によって形成された前記第1及び第2の接点面(112、114)は、前記ポール部材の第1面と実質的に同一平面となっている、アクチュエータ構造。
  9. 請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記アクチュエータコアは、第1及び第2の端子端(108、110)を持つソレノイド(96)と、コア部材(74)とを含み、前記アクチュエータ構造は、更に、
    前記コア部材(74)上に支持された絶縁体部材(84)と、
    前記絶縁体部材内に受け入れられた第1及び第2の電気接点部材(98、100)とを含み、前記ソレノイド(96)の前記第1端子端(108)は、前記第1接点部材(98)に固定され、前記ソレノイド(96)の前記第2端子端(110)は、前記第2接点部材(100)に固定されている、アクチュエータ構造。
  10. 請求項9に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1端子端は、前記第1接点部材に一回又はそれ以上の巻回数で巻き付けられており、前記第2端子端は、前記第2接点部材に一回又はそれ以上の巻回数で巻き付けられている、アクチュエータ構造。
  11. 請求項10に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材の各々には、夫々の端子端をグリップする縁部が設けられている、アクチュエータ構造。
  12. 請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材(98、100)の各々は、使用時に、逆の極性の電力供給電極の夫々と係合する夫々の接点面(112、114)を形成する、アクチュエータ構造。
  13. 請求項9乃至12のうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材の各々は、多面体である、アクチュエータ構造。
  14. 請求項9乃至13のうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記第1及び第2の接点部材は、先ず最初に、前記第1及び第2の接点部材に対して局所的な領域で前記絶縁部材を溶融し、前記第1及び第2の接点部材を前記絶縁部材の前記溶融した領域に押し込むことによって前、記絶縁部材(84)に受け入れられる、アクチュエータ構造。
  15. 請求項9乃至14のうちのいずれか一項に記載のアクチュエータ構造において、
    前記ソレノイド(96)は、前記コア部材(74)によって支持された巻型(94)に巻き付けられており、
    前記巻型及び前記絶縁部材は、前記コア部材に設けられたスロット(106)を通って延びるリンク部材(104)によって、前記絶縁部材及び前記巻型が一体の構成要素であるように連結されている、アクチュエータ構造。
  16. 電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造において、
    穴を形成するポール部材と、
    前記穴内に受け入れられた、前記穴を通して露呈された第1及び第2の接点部材を支持するアクチュエータコアとを備え、
    前記ポール部材の前記穴及び前記コア部材は、前記コア部材を前記穴内で前記ポール部材に対して角度的に配向できる形状を備えており、これによって可変の接点部材位置を提供する、アクチュエータ構造。
  17. 電磁作動式燃料インジェクタ用のアクチュエータ構造において、
    第1及び第2の端子端を持つソレノイドを含むアクチュエータコアと、
    前記コア部材上に支持された絶縁体部材と、
    前記絶縁部材内に受け入れられた第1及び第2の電気接点部材とを含み、前記ソレノイドの前記第1端子端は前記第1接点部材に固定されており、前記ソレノイドの前記第2端子端は前記第2接点部材に固定されている、アクチュエータ構造。
  18. 燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、
    アクチュエータコア部材を提供する工程と、
    絶縁部材を前記コア部材の第1端面上に型成形する工程と、
    少なくとも一つの接点部材を提供する工程と、
    前記絶縁部材を前記少なくとも一つの接点部材の領域で局所的に溶融し、前記絶縁部材を軟化し、前記少なくとも一つの接点部材を前記絶縁部材に押し込むことによって、前記少なくとも一つの接点部材を前記絶縁部材と一体化する工程とを含む、方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、
    前記絶縁部材を超音波溶接によって局所的に溶融する工程を含む、方法。
  20. 請求項18又は19に記載の方法において、更に、
    巻型を前記コア部材上に型成形し、ソレノイドを前記コア部材上に形成する工程を含む、方法。
  21. 請求項20に記載の方法において、
    前記絶縁部材及び巻型は、一体的に型成形された構成要素である、方法。
  22. 燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、
    第1及び第2の面を持ち、穴を形成するポール部材を提供する工程と、
    前記ポール部材の前記第1及び第2の面をほぼ同時に機械加工する工程とを含む、方法。
  23. 請求項22に記載の方法において、更に、
    アクチュエータコア部材を前記穴内に受け入れる工程を含み、前記コア部材は、該コア部材と関連した第1及び第2の電気接点部材を持ち、これらの接点部材は、前記穴を通して露呈されており、前記外ポール部材の前記第1端面と実質的に同一平面内にあり、前記コア部材の端面は、前記外ポール部材の前記第2端面と実質的に同一平面内にあるように前記穴を通して露呈され、前記第1及び第2のポール面を機械加工する工程は、前記接点部材及び前記コア部材の前記第1端面をほぼ同時に機械加工する工程を含む、方法。
  24. 燃料インジェクタ用電磁式アクチュエータの形成方法において、
    第1及び第2の面を持ち、穴を形成するポール部材を提供する工程と、
    アクチュエータコア部材を前記穴内に受け入れる工程とを含み、前記コア部材は、該コア部材と関連した少なくとも一つの接点部材を有し、前記接点部材は、前記穴を通して露呈されており、前記外ポール部材の前記第1端面と実質的と同一平面内にあり、更に、
    前記ポール部材の前記第1端面及び前記少なくとも一つの接点部材をほぼ同時に機械加工する工程を含む、方法。
  25. 請求項22乃至24のうちのいずれか一項に記載の方法において、
    前記機械加工工程は、研削を含む、方法。
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