JP4003115B2 - 点火コイルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は点火コイルおよびその製造方法、詳しくはエンジンのプラグホールに直接挿入され搭載される点火コイルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
点火コイルは、点火プラグに高電圧を印加しギャップ間に火花を発生させるための装置である。点火コイルの外周径は、プラグホールの内周径に規制される。このため、点火コイルの外周径は、より小径である方が好ましい。
【0003】
特開平9−246070号公報には、外周コアとケースとを一体化させることにより外周径を小径化させた点火コイルが紹介されている。図5に、この点火コイルの軸方向断面図を示す。点火コイル100は、コネクタ部101とコイル部102と高圧タワー部103とからなる。このうちコネクタ部101は、コネクタハウジング104により囲われている。コネクタハウジング104の下方には、コイル部102が配置されている。コイル部102は、円筒状のケース105により囲われている。ケース105の外周側には外周コア106が一体的に形成されている。ケース105の内周側には、軸方向中心から拡径方向に向かって、中心コア113と一次スプール107と二次スプール108とが配置されている。一次スプール107には一次巻線109が巻装されている。二次スプール108には二次巻線111が巻装されている。そして、これらの部材間にはエポキシ樹脂が樹脂絶縁材112として充填されている。また前記ケース105も、樹脂絶縁材112と一体的に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
点火コイル100においては、各部材間の絶縁を確保する必要がある。このため、例えば一次巻線109同士の隙間など、ケース105内部のあらゆる部位にまで樹脂絶縁材112を浸透させる必要がある。そこで、同公報記載の点火コイル100の場合は、真空注型により樹脂絶縁材112が各部材間に注入されていた。したがって、樹脂絶縁材112を注入する前に、型内を一旦真空引きする必要があり、また注入後硬化させるために長時間熱処理する必要があった。このため、同公報記載の点火コイル100は、生産性が低く、またコスト高だった。
【0005】
本発明の点火コイルおよびその製造方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって本発明は、生産性が高く製造コストの低い点火コイルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)上記課題を解決するため、本発明の点火コイルは、ケースと、ケース内においてほぼ中央に配置された棒状の中心コア部と、ケース内において中心コア部の外周側に配置されるとともに一次巻線の巻装された一次スプールと、ケース内において中心コア部の外周側に配置されるとともに二次巻線の巻装された二次スプールと、ケース内において各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を持つコイル部と、中心コア部の軸方向一端に隣接して配置され、コネクタハウジングと、コネクタハウジング内に配置され一次巻線と電気的に接続されたコネクタターミナルと、を持つコネクタ部と、中心コア部の軸方向他端に隣接して配置され、高圧タワーハウジングと、高圧タワーハウジング内に配置され二次巻線と電気的に接続された高圧端子と、を持つ高圧タワー部と、を備えてなる点火コイルであって、ケースおよび樹脂絶縁材は、射出成形樹脂により一体的に作製されたことを特徴とする。
【0007】
つまり、本発明の点火コイルは、ケースおよび樹脂絶縁材を射出成形樹脂により作製するものである。上述したように、樹脂絶縁材は真空注入によりケース内部に充填される。しかしながら、真空注入に使用される樹脂絶縁材は射出成形には適さない。その理由は、樹脂絶縁材を射出成形に用いる場合、樹脂絶縁材が常温においては良好に流動し、かつ成形温度においては速やかに硬化することが要求されるからである。逆に言うと、真空注入に使用される樹脂絶縁材を射出成形に用いると、金型のスプルー内やランナ内において、樹脂絶縁材が硬化しなかったり、あるいは樹脂絶縁材がうまく流動しないおそれがある。
【0008】
この点、本発明の点火コイルは、ケースおよび樹脂絶縁材を射出成形樹脂により作製している。したがって、上述したような、硬化のために樹脂絶縁材に対し長時間の熱処理が必要であったり、あるいは樹脂絶縁材がうまく流動しないといった問題が生じにくい。したがって本発明の点火コイルによると、工数の削減が容易であり生産性を向上させることができる。また製造コストを削減することができる。また、ケースは樹脂絶縁材と一体化されている。このため、本発明の点火コイルによると、別途ケースを配置する必要がなく部品点数が少なくて済む。また、別途ケースを配置する場合と比較して、外周径も小径化できる。
【0009】
なお、射出成形樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、例えば、主剤としてエポキシ樹脂を、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂を、硬化促進剤としてジメチルウレア樹脂を、それぞれ適量配合して用いることができる。ここで、エポキシ樹脂の流動性は、エポキシ樹脂の溶融粘度に左右される。また、溶融粘度は分子量などにより決定される。すなわち分子量が小さい方が、流動性は良好になる。したがって流動性を考慮すると、エポキシ樹脂の分子量は小さい方が好ましい。
【0010】
(2)好ましくは、さらにコネクタハウジングも、射出成形樹脂により一体的に作製されている構成とする方がよい。つまりこの構成は、ケースおよび樹脂絶縁材だけでなく、コネクタハウジングも射出成形樹脂により一体的に作製するものである。本構成の点火コイルによると、別途コネクタハウジングを配置する必要がない。このため、部品点数をさらに少なくすることができる。
【0011】
(3)好ましくは、さらに高圧タワーハウジングも、射出成形樹脂により一体的に作製されている構成とする方がよい。つまりこの構成は、ケースおよび樹脂絶縁材およびコネクタハウジングだけでなく、高圧タワーハウジングも射出成形樹脂により一体的に作製するものである。本構成の点火コイルによると、別途高圧タワーハウジングを配置する必要がない。このため、部品点数をさらに少なくすることができる。
【0012】
(4)好ましくは、上記(2)の構成において、一次スプールおよび二次スプールのうちどちらか一方または両方のスプールと、コネクタターミナルと、高圧タワーハウジングと、は嵌合により接合されている構成とする方がよい。つまりこの構成は、外周側のスプールとコネクタターミナルと高圧タワーハウジングとを嵌合により接合するものである。本来、スプールとコネクタターミナルと高圧タワーハウジングとは、これらの部材間に充填され硬化した射出成形樹脂により、固定されている。したがって、これらの部材を嵌合により接合する本構成によると、さらにこれらの部材の固定性を良くすることができる。このため、本構成の点火コイルによると、部品間の距離の維持が可能で、使用時における信頼性を高くすることができる。
【0013】
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、射出成形樹脂のゲート位置は、コネクタハウジングに形成されている構成とする方がよい。成形硬化後の点火コイルには、型のゲートに対応する部分が、一体的に形成されている。このゲート対応部分は点火コイルから切除される。したがって点火コイルにはゲート跡だけが残る。ここで、ゲートの種類によっては、ゲート位置付近に残留応力による歪みが発生する場合がある。本構成の点火コイルによると、ゲート位置はコネクタハウジングに形成されている。コネクタハウジングの内部には、一次巻線や二次巻線が設置されていない。また、コネクタハウジングは、プラグホール内に挿入されずプラグホール上方に突出配置される。したがって燃焼室からの熱負荷を受けにくい。このため、ケースなど他の部位にゲート跡が形成されている場合と比較して、歪みを起因とする不具合が発生するおそれが小さい。したがって本構成の点火コイルによると、使用時における信頼性を高くすることができる。
【0014】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、ゲート位置は、コネクタハウジングの上部に形成されている構成とする方がよい。コネクタハウジングの上部は、特に燃焼室からの熱負荷を受けにくい。したがって、本構成の点火コイルによると、さらに使用時の信頼性を高くすることができる。また、射出成形樹脂が内部に均等に行き渡るため、この点においても、信頼性を高くすることができる。
【0015】
(7)本発明の点火コイルの製造方法は、コネクタターミナルと中心コア部と一次スプールと二次スプールと高圧タワーハウジングとをキャビティ内に配置する部材配置工程と、キャビティ内に射出成形樹脂を注入しコネクタハウジングおよびケースおよび樹脂絶縁材を一体的に成形する射出成形工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
つまり、本発明の製造方法は部材配置工程と射出成形工程とを有するものである。部材配置工程においては、コネクタターミナルと中心コア部と一次スプールと二次スプールと高圧タワーハウジングとをキャビティ内に配置する。本工程においては、射出成形樹脂の射出圧により、キャビティ内のコネクタターミナルと中心コア部と一次スプールと二次スプールと高圧タワーハウジングとが動かないように、これらの各部材の固定を行う。
【0017】
なお各部材の固定は、例えば、型自体により各部材を挟持することにより行うことができる。また、型外からキャビティ内に保持ピンを挿入し、この保持ピンにより各部材を挟持したり、あるいは押圧したりすることにより行うことができる。射出成形工程においては、各部材が固定されたキャビティ内に、溶融状態の射出成形樹脂を注入し、コネクタハウジングおよびケースおよび樹脂絶縁材を一体的に成形する。このため工数を削減し、生産性を向上させることができる。また、本発明の製造方法によると、コネクタハウジングおよびケースおよび樹脂絶縁材が一体的に成形されている。このため、別途コネクタハウジングおよびケースを設置する工程が不要となる。この点からも工数を削減することができる。
【0018】
(8)好ましくは、部材配置工程を、一次スプールおよび二次スプールのうちどちらか一方または両方のスプールと、コネクタターミナルと、高圧タワーハウジングと、を嵌合により接合した状態でキャビティ内に配置する部材嵌合配置工程とする構成がよい。つまりこの構成は、部材配置工程を部材嵌合配置工程とするものである。部材嵌合配置工程においては、一次スプールおよび二次スプールのうちどちらか一方または両方のスプールと、コネクタターミナルと、高圧タワーハウジングと、を嵌合により固定する。このため、各部材同士を簡易かつ確実に固定することができる。また、各部材同士は嵌合により相互に固定されている。このため、各部材をキャビティに配置する場合、任意の部材をキャビティに固定するだけで、全部材をキャビティに固定することができる。つまり、各部材のキャビティに対する固定点数を少なくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の点火コイルおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
【0020】
(1)第一実施形態
まず、本実施形態の点火コイルの構成について説明する。図1に本実施形態の点火コイルの軸方向断面図を示す。点火コイル1は、エンジンブロックの上部において、気筒毎に形成されたプラグホール(図略)内に収納されている。また、点火コイル1は、後述するように、点火プラグ(図略)と図中下側において接続されている。
【0021】
点火コイル1は、コネクタ部6とコイル部10と高圧タワー部7とを備えてなる。このうちコイル部10は、円筒状のケース2を備えている。ケース2の内部には、中心から拡径方向に向かって中心コア部5と二次スプール4と二次巻線40と一次スプール3と一次巻線30とが、配置されている。また、ケース2の外周面には、外周コア20が配置されている。
【0022】
中心コア部5は、中心コア54と弾性部材50とゴムチューブ52とからなる。中心コア54は、幅の異なる短冊状の珪素鋼板を直径方向に積層して形成されており、棒状を呈している。弾性部材50はシリコンゴム製であって円柱状を呈している。弾性部材50は、中心コア54の上端と下端とに計二つ配置されている。ゴムチューブ52は筒状を呈している。そして中心コア54および弾性部材50は、このゴムチューブ52により被覆されている。
【0023】
二次スプール4は、樹脂製であって有底円筒状を呈している。二次スプール4は、中心コア部5と同軸的に、かつ中心コア部5の外周側隣りに配置されている。二次巻線40は、二次スプール4の外周面に巻装されている。また二次スプール4の上端からは、上方向に向かって延びるスプール側係合爪41が立設されている。一次スプール3は、二次スプール4と同軸的に、かつ二次スプール4の外周側隣りに配置されている。一次巻線30は、一次スプール3の外周面に巻装されている。外周コア20は、ケース2の外周面に配置されている。外周コア20は、軸方向に延びるスリットの入った円筒状を呈している。
【0024】
樹脂絶縁材8は、ケース2内に配置された上記部材間に介在している。そして、上記部材間の絶縁を確保している。樹脂絶縁材8と前記ケース2と後述するコネクタハウジング63とは、射出成形エポキシ樹脂9により一体的に作製されている。なお、射出成形エポキシ樹脂9は、本発明における射出成型樹脂に含まれる。
【0025】
コネクタ部6は、コイル部10の上端部を覆って配置されている。コネクタ部6は、コネクタハウジング63(図1中、点線で示す。)とコネクタターミナル65とを備えている。前述したように、コネクタハウジング63は、射出成形エポキシ樹脂9により、樹脂絶縁材8およびケース2と一体的に作製されている。コネクタターミナル65は、樹脂製であって直方体状を呈している。このコネクタターミナル65は、コネクタハウジング63内のほぼ中心に配置されている。コネクタターミナル65の下面からは、ターミナル側係合爪66が下方に向かって立設されている。そして、このターミナル側係合爪66と前記スプール側係合爪41とが係合することにより、コネクタターミナル65に二次スプール4が係止されている。また同じくコネクタターミナル65の下面からは、リングリブ67が下方に向かって立設されている。このリングリブ67は、中心コア部5と二次スプール4の上端部との隙間に、上方から介挿されている。この介挿により、中心コア部5と二次スプール4との位置決めがなされている。
【0026】
高圧タワー部7は、ケース2の下方に配置されている。高圧タワー部7は、高圧タワーハウジング70と高圧端子71とスプリング72と高圧椀部73とプラグ保持筒79とを備えている。
【0027】
高圧タワーハウジング70は、樹脂製であって円筒状を呈している。高圧タワーハウジング70の内周側中程には、高圧端子71が配置されている。この高圧端子71は、下方に開口76を持つカップ状を呈している。また高圧端子71の上面中央からは、上方に向かって突出する円柱状の凸部75が配置されている。凸部75の上方には、カップ状の高圧椀部73が配置されている。高圧椀部73は、上方に開口74を持っている。開口74の内部には、前記二次スプール4の下端が挿入されている。また高圧椀部73は、二次巻線40と電気的に接続されている。一方、高圧椀部73の底壁には、係合孔77が穿設されている。係合孔77には、前記凸部75の上端が挿入されている。この挿入により、二次巻線40と高圧端子71とは電気的に接続されている。
【0028】
スプリング72は、螺旋状を呈している。スプリング72の上端は、高圧端子71の開口76に止着されている。一方スプリング72の下端には、点火プラグ(図略)が嵌挿されている。また点火プラグは、高圧タワーハウジング70の下部が圧入されたゴム製のプラグ保持筒79により保持されている。
【0029】
次に、本実施形態の点火コイル1の動作について説明する。制御信号はコネクタターミナル65から一次巻線30に伝達される。そしてこの制御信号による相互誘導作用で、二次巻線40に高電圧が発生する。二次巻線40に発生した高電圧は、高圧端子71とスプリング72とを介して点火プラグに伝達される。そして、この高電圧により点火プラグのギャップ間に火花が発生する。
【0030】
次に、本実施形態の点火コイル1の製造方法について説明する。本実施形態の点火コイル1の製造方法は、部材配置工程と射出成形工程とを備えてなる。
【0031】
部材配置工程においては、まず、高圧タワー部7の組み立てを行う。具体的には、高圧タワーハウジング70の内部に高圧端子71を組み付ける。本工程では次に、高圧タワーハウジング70の上方に外周コア20を組み付ける。そして外周コア20の内周側に中心コア部5や一次スプール3や二次スプール4などの部材を組み付ける。本工程ではそれから、外周コア20の上方にコネクタターミナル65を組み付ける。このとき、リングリブ67を中心コア部5と二次スプール4との隙間に介挿させる。また、ターミナル側係合爪66とスプール側係合爪41とを係合させる。本工程ではその後、一体化したこれらの部材を、金型のキャビティ内に配置する。
【0032】
図2に、各部材が配置された金型のキャビティの断面図を示す。金型90は、第一型91と第二型92と第三型96とからなる。そして第一型91と第二型92とにより、キャビティ93が区画されている。キャビティ93は、金型90の一端に配置されたゲート94とつながっている。高圧タワーハウジング70は、第一型91と第二型92と第三型96とにより挟持され固定されている。また、コネクタターミナル65は、図2において、紙面上方および下方からキャビティ内に挿入される保持ピン(図略)により挟持されている。また、コネクタターミナル65は、第一型91により保持されている。このようにして各部材はキャビティ93内に固定されている。
【0033】
射出成形工程においては、まず、射出成形エポキシ樹脂の調整を行う。本工程では次に、金型90のキャビティ93内に射出成形エポキシ樹脂を注入する。具体的には、射出成形機のノズル(図略)からゲート94を介して、射出成形エポキシ樹脂をキャビティ93内に射出注入する。本工程ではそれから、射出成形エポキシ樹脂を注入したキャビティ93を昇温し、所定の温度パターンで保持し、キャビティ93を降温する。そして、キャビティ93内の射出成形エポキシ樹脂を硬化させ、コネクタハウジングおよびケースおよび樹脂絶縁材を一体的に成形する。本工程ではその後、点火コイルから金型90を離型し、またゲート94に対応する部分の切除、すなわちゲートカットを行う。そして高圧タワーハウジング70の内部にスプリング72を組み付ける。また高圧タワーハウジング70の下端をプラグ保持筒79に圧入する。このようにして点火コイルが完成する。
【0034】
本実施形態の点火コイルおよびその製造方法によると、コネクタハウジング63とケース2と樹脂絶縁材8とが、射出成形エポキシ樹脂9により、一体的かつ同時に作製されている。このため、別途コネクタハウジング63およびケース2を配置する必要がない。したがって、本実施形態の点火コイルおよびその製造方法によると、工数を削減することができ、点火コイルの生産性を向上させることができる。また、点火コイル外周径の小径化を図ることができる。また、コネクタハウジング63とケース2と樹脂絶縁材8とは、射出成形により作製されている。このため、金型90のキャビティ93内を予め真空引きする必要がない。本実施形態の点火コイルおよびその製造方法によると、この点においても、点火コイルの生産性を向上させることができる。また、本実施形態の点火コイルおよびその製造方法によると、ゲート跡がコネクタハウジング63の上面に形成される。このため、たとえゲート跡付近に残留応力による歪みが発生しても、コイル部10に与える影響は小さい。
【0035】
(2)第二実施形態
本実施形態の点火コイルと第一実施形態の点火コイルとの相違点は、一次スプールがコネクタターミナルおよび高圧タワーハウジングに圧入嵌合され固定されている点である。したがって、本項では、この相違点について説明する。
【0036】
まず、本実施形態の点火コイルの構成について説明する。図3に本実施形態の点火コイルの軸方向断面図を示す。なお、図1と対応する部材については同じ記号で示す。図に示すように、一次スプール3の上端には、コネクタ用リングリブ31が形成されている。一方、一次スプール3の下端には、高圧タワー用リングリブ32が形成されている。また、コネクタターミナル65の下面には、コネクタ側リング溝68が形成されている。また、高圧タワーハウジング70の上端には、高圧タワー側リング溝78が形成されている。そして、コネクタ用リングリブ31がコネクタ側リング溝68に圧入嵌合されることにより、一次スプール3がコネクタターミナル65に固定されている。一方、高圧タワー用リングリブ32が高圧タワー側リング溝78に圧入嵌合されることにより、一次スプール3が高圧タワーハウジング70に固定されている。
【0037】
次に、本実施形態の点火コイルの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法と第一実施形態の製造方法との相違点は、部材配置工程の代わりに部材嵌合配置工程が組み込まれている点である。
【0038】
部材嵌合配置工程においては、まず、高圧タワー部7の組み立てを行う。具体的には、高圧タワーハウジング70の内部に高圧端子71を組み付ける。本工程では次に、一次スプール3の内周側に中心コア部5や二次スプール4などの部材を配置する。本工程ではそれから、上記圧入嵌合機構によりコネクタターミナル65と一次スプール3と高圧タワーハウジング70とを相対的に固定し一体化する。具体的には、コネクタ用リングリブ31をコネクタ側リング溝68に圧入嵌合する。そして一次スプール3をコネクタターミナル65に固定する。このとき、リングリブ67を中心コア部5と二次スプール4との隙間に介挿させる。また、ターミナル側係合爪66とスプール側係合爪41とを係合させる。また、高圧タワー用リングリブ32を高圧タワー側リング溝78に圧入嵌合する。そして一次スプール3を高圧タワーハウジング70に固定する。本工程ではその後、一体化したこれらの部材を、金型のキャビティ内に配置する。
【0039】
図4に、各部材が配置された金型のキャビティの断面図を示す。なお、図2と対応する部材については同じ記号で示す。高圧タワーハウジング70は、第一型91と第二型92と第三型96とにより挟持され固定されている。また、コネクタターミナル65は、図4において、紙面上方および下方からキャビティ内に挿入される保持ピン(図略)により挟持されている。また、コネクタターミナル65は、第一型91により保持されている。このようにして各部材はキャビティ93内に固定されている。なお、本実施形態の場合、外周コアは離型後にケース外周面に環装される。
【0040】
本実施形態の点火コイルおよびその製造方法によると、圧入嵌合機構によりコネクタターミナルと一次スプールと高圧タワーハウジングとが相対的に固定されている。したがって、点火コイル全体がより堅牢となり、信頼性が向上する。また、これらの部材は、部材嵌合配置工程において圧入固定される。すなわち、射出成形工程前に、これらの部材は既に圧入固定されている。このため、成形時の射出圧によりこれらの部材が移動するおそれが小さい。したがって、部材の組み付け精度が向上する。
【0041】
(3)その他
以上、本発明の点火コイルおよびその製造方法の実施形態について説明した。しかしながら実施形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的、改良的形態で実施することもできる。
【0042】
例えば、上記実施形態においては、二次スプールを内周側に一次スプールを外周側に配置したが、スプールの配置は逆であってもよい。また、上記実施形態においては、中心コア部に、弾性部材とゴムチューブとを配置したが、これらの部材は配置しなくてもよい。また弾性部材の代わりに磁石を配置してもよい。また、上記実施形態においては外周コアを配置したが、外周コアは配置しなくてもよい。また、上記実施形態においては、コネクタハウジングとケースと樹脂絶縁材とを、射出成形エポキシ樹脂により、一体的に作製した。しかしながら、さらに高圧タワーハウジングも射出成形エポキシ樹脂により、一体的に作製してもよい。こうすると、点火コイルの外殻を全て射出成形エポキシ樹脂により作製できるため、各部材の固定性が向上する。また、反対にケースと樹脂絶縁材のみを一体的に作製してもよい。また、上記第二実施形態においては、一次スプールをコネクタターミナルおよび高圧タワーハウジングに圧入嵌合した。すなわち嵌合機構における凸側は一次スプールであり、凹側はコネクタターミナルおよび高圧タワーハウジングであった。しかしながら、どの部材が凸側であっても、あるいは凹側であってもよい。また、各部材の嵌合機構は、例えば爪嵌合やクリップ嵌合などのような機構であってもよい。また、射出成形樹脂の種類や、成形時におけるゲートの位置、種類なども特に限定しない。
【0043】
【発明の効果】
本発明によると、生産性が高く製造コストの低い点火コイルおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態の点火コイルの軸方向断面図である。
【図2】 第一実施形態の点火コイルの製造に用いられる金型キャビティの断面図である。
【図3】 第二実施形態の点火コイルの軸方向断面図である。
【図4】 第二実施形態の点火コイルの製造に用いられる金型キャビティの断面図である。
【図5】 従来の点火コイルの軸方向断面図である。
【符号の説明】
1:点火コイル、2:ケース、20:外周コア、3:一次スプール、30:一次巻線、31:コネクタ用リングリブ、32:高圧タワー用リングリブ、4:二次スプール、40:二次巻線、41:スプール側係合爪、5:中心コア部、50:弾性部材、52:ゴムチューブ、54:中心コア、6:コネクタ部、63:コネクタハウジング、65:コネクタターミナル、66:ターミナル側係合爪、67:リングリブ、68:コネクタ側リング溝、7:高圧タワー部、70:高圧タワーハウジング、71:高圧端子、72:スプリング、73:高圧椀部、74:開口、75:凸部、76:開口、77:係合孔、78:高圧タワー側リング溝、79:プラグ保持筒、8:樹脂絶縁材、9:射出成形エポキシ樹脂(射出成形樹脂)、90:金型、91:第一型、92:第二型、93:キャビティ、94:ゲート、96:第三型、10:コイル部。
Claims (7)
- ケースと、該ケース内においてほぼ中央に配置された棒状の中心コア部と、該ケース内において該中心コア部の外周側に配置されるとともに一次巻線の巻装された一次スプールと、該ケース内において該中心コア部の外周側に配置されるとともに二次巻線の巻装された二次スプールと、該ケース内において各部材間の絶縁を確保する樹脂絶縁材と、を持つコイル部と、
該中心コア部の軸方向一端に隣接して配置され、コネクタハウジングと、該コネクタハウジング内に配置され該一次巻線と電気的に接続されたコネクタターミナルと、を持つコネクタ部と、
該中心コア部の軸方向他端に隣接して配置され、高圧タワーハウジングと、該高圧タワーハウジング内に配置され該二次巻線と電気的に接続された高圧端子と、を持つ高圧タワー部と、
を備えてなる点火コイルであって、
該コネクタハウジング、該ケースおよび該樹脂絶縁材は、射出成形エポキシ樹脂により一体的に作製されており、
該コネクタハウジングは、該中心コア部の該軸方向一端を覆っていることを特徴とする点火コイル。 - さらに前記高圧タワーハウジングも、前記射出成形樹脂により一体的に作製された請求項1に記載の点火コイル。
- 前記一次スプールおよび前記二次スプールのうちどちらか一方または両方のスプールと、前記コネクタターミナルと、前記高圧タワーハウジングと、は嵌合により接合されている請求項1に記載の点火コイル。
- 前記射出成形樹脂のゲートは、前記コネクタハウジングに形成されている請求項1に記載の点火コイル。
- 前記ゲートは、前記コネクタハウジングの上部に形成されている請求項4に記載の点火コイル。
- 請求項1に記載された点火コイルの製造方法であって、
金型により挟持して、前記コネクタターミナルと前記中心コア部と前記一次スプールと前記二次スプールと前記高圧タワーハウジングとを相対的に固定し、キャビティ内に配置する部材配置工程と、
該キャビティ内に前記射出成形エポキシ樹脂を注入し、前記コネクタハウジング、前記ケースおよび前記樹脂絶縁材を一体的に成形する射出成形工程と、
を有することを特徴とする点火コイルの製造方法。 - 前記部材配置工程は、前記一次スプールおよび前記二次スプールのうちどちらか一方または両方のスプールと、前記コネクタターミナルと、前記高圧タワーハウジングと、を嵌合により接合した状態で前記キャビティ内に配置する部材嵌合配置工程である請求項6に記載の点火コイルの製造方法。
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