JP4128221B2 - 車両ブレーキシステムに用いられるポンプユニット - Google Patents

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Description

背景技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の形式の、車両ブレーキシステムのためのポンプユニットから出発する。
公知のポンプユニットでは、ポンプハウジングに電動モータが固定されている。欧州特許出願公開第0699571号明細書に開示されているポンプユニットでは、2つのモータ固定用ねじを介して電動モータがポンプハウジングに固くフランジ締結されている。ポンプユニットが車両の内部に懸吊可能となるようにするためには、ポンプハウジングの互いに異なる2つの側に盲孔状の切欠きが設けられており、これらの切欠きにはブシュに類似したゴム弾性的な部材が差し込まれている。これらのゴム弾性的な部材は懸吊ピンを保持している。さらに、ポンプハウジングの第3の側には第3の盲孔状の孔が設けられており、これらの孔にはやはりゴム弾性的な部材が差し込まれている。この限りでは、ポンプユニットは3つの懸吊点において車両ボディに弾性フレキシブルに懸吊されていて、十分に位置固定されている。
このような公知の構成には、ポンプユニットを車両ボディに懸吊するために多数の付加的な個別構成部分が必要となるという欠点がある。さらに別の欠点としては、これらの多数の個別構成部分の一部は単に差し込まれているだけなので、ポンプユニットを車両ボディに組み込む前に脱落してしまう恐れがある。これに加えてさらに、これらの多数の個別構成部分の一部が側方に大きく突出していているので、特に簡単に製造可能ではない輪郭を有していることも不都合である。さらに別の欠点は、ポンプユニットを車両ボディに組み込む際に特殊な工具を用いて懸吊ピンが回動防止されなければならず、しかも別の工具を用いて雌ねじ山付の固定手段が懸吊ピンに螺合されなければならないことである。これにより、車両ボディへのポンプユニットの組込みは手間がかかり、しかも特殊な補助手段なしにはほとんど達成され得ない。
発明の利点
請求項1の特徴部に記載の本発明によるポンプユニットには従来のものに比べて、必要となる個別構成部分の数が著しく減じられているという利点がある。
ポンプユニットと車両ボディとの間の結合のために働く構成部分が簡単に形成可能となるので有利である。
また、付加的な安全手段なしでも、ポンプユニットを車両ボディに組み込む前に構成部分が不本意に脱落することがないので有利である。
ポンプユニットは車両ボディと差込み結合により簡単に結合することができる。別の単純な固定用ねじによって、ポンプユニットと車両ボディとの間の結合を改善することができるので有利である。
請求項2以下に記載の構成により、請求項1に記載のポンプユニットの有利な改良が可能となる。
他方の結合部分がフレキシブルな材料もしくは弾性的な材料に設けられていると、これによって振動伝達の点でポンプユニットを車両ボディから簡単に分離することができるので有利である。
車両ボディ側に凹部を設けることにより、成形部分を車両ボディに極めて簡単に結合することができるので有利である。
ねじヘッドが円筒状の外面を有していて、この外面が、他方の結合部分に設けられた円筒状の内面に係合していると、特に簡単に形成可能な結合が得られるので有利である。
モータ固定用ねじは回転連行部を有しており、これによりポンプハウジングへの電動モータの組付け時に工具もしくはトルクレンチを用いてモータ固定用ねじを締め付けることができる。この回転連行部がねじヘッドの内部に位置して端面側で接近可能となるように設けられていると、このような回転連行部によってポンプユニットと車両ボディとの間の結合が損なわれなくなるので有利であり、しかもこの場合、回転連行部が設けられているにもかかわらず他方の結合部分を形状的に単純に形成することができる。
ねじヘッドに半径方向に突出した段部が設けられていると、軸方向においてポンプユニットが車両ボディに対して簡単に位置固定可能となるという利点が得られる。
互いに同一に形成されていてよい2つのモータ固定用ねじが設けられていて、両モータ固定用ねじがポンプユニットと車両ボディとの間の結合のために働くようになっていると、機械的な負荷が分配されるという利点が得られる。
ポンプユニットを車両ボディに位置固定する付加的な固定用ねじが設けられていると、モータ固定用ねじのねじヘッドが、車両ボディに設けられた、対応する他方の結合部分から不本意に滑脱しなくなることが単純な手段によって確保されているので有利である。
本発明のさらに別の特に有利な構成では、電動モータが2つのモータ固定用ねじを介してポンプハウジングに固定されていて、両モータ固定用ねじが車両ボディとポンプユニットとの間を結合のために働くようになっており、それ以外にポンプユニットがさらに、ポンプハウジングにねじ込まれた固定用ねじによって保持される。これにより、最小限の手間をかけるだけで、ポンプユニットと車両ボディとの間の特に確実な結合が得られる。
ポンプハウジングに設けられたねじ山が雌ねじ山であると、たいていは市販されている単純な固定用ねじを使用することができるので有利である。
ポンプユニットに、固定用ねじを締め付けるための2つのねじ山または場合によっては2つよりも多いねじ山が設けられていると、ポンプユニットを車両ボディに組み付けるために選択的にこれらのねじ山のうちの1つを使用することができるという利点が得られる。
車両ボディと固定用ねじとの間に設けられた、フレキシブルな材料から成る成形部材によって、ポンプユニットと車両ボディとが振動伝達の点で互いに分離されるという利点が得られる。
図面
以下に、本発明の有利に選択された特に有利な実施例を図面につき詳しく説明する。第1図は、ポンプユニットを使用することのできる車両ブレーキシステムを概略的に示しており、第2図は、本発明によるポンプユニットの斜視図を示しており、第3図は、本発明によるポンプユニットの側面図を示しており、第4図は、本発明によるポンプユニットを端面側から見た図を示しており、第5図および第6図は、本発明によるポンプユニットのモータ固定用ねじの種々の構成を示している。
実施例の説明
本発明により構成されたポンプユニットは、電動モータによって駆動されるポンプを用いて車両ブレーキシステム内に圧力を形成しようとするか、もしくは車両ブレーキシステム内の圧力を高めようとするような車両ブレーキシステムのために使用することができる。このポンプユニットは、ブレーキペダルの操作とは無関係にホイールブレーキシリンダにハイドロリック圧を供給し得るようにするために設けられていると有利である。このポンプユニットに対して付加的に別のポンプが設けられていてもよい。その場合には、このポンプユニットを前チャージポンプとみなすこともできる。
第1図には例示的に選択された車両ブレーキシステムが概略的に図示されている。
第1図にはブレーキユニット2と、ポンプユニット4と、ブレーキ制御装置6と、ホイールブレーキ8とが示されている。ホイールブレーキ8はブレーキシリンダ(図面を見易くするために図示しない)を有している。図示のホイールブレーキ8は、ブレーキ制御装置6に並列に接続されていてよい複数のホイールブレーキのうちの1つである。
ブレーキユニット2は、たとえばブレーキレバー10と、ブレーキ倍力装置12と、マスタブレーキシリンダ14と、リザーバタンク16とを有している。
ポンプユニット4はポンプ18と電動モータ20とを有している。
ポンプユニット4は吸込側に吸込接続部22aを有しており、この吸込接続部22aは吸込管路22を介してリザーバタンク16に接続されている。ポンプユニット4に設けられた吐出接続部24aからは吐出管路24がブレーキ制御装置6に通じている。ブレーキ制御装置6は吐出管路24を介してマスタブレーキシリンダ14にも接続されている。ブレーキ制御装置6からはブレーキ管路26がホイールブレーキ8に通じている。別のホイールブレーキは図示していない別のブレーキ管路を介して同じくブレーキ制御装置6に接続されている。ブレーキ回路の数に応じてマスタブレーキシリンダ14とブレーキ制御装置6との間には吐出管路24に対して並列に別の吐出管路(図示しない)が設けられていてよい。
ブレーキレバー10が操作されると、吐出管路24内にハイドロリック圧が形成され、このハイドロリック圧はブレーキ制御装置6に供給される。またブレーキレバー10の操作なしでも、ポンプユニット4を用いて吐出管路24内にハイドロリック圧を形成することができる。吐出管路24を介してブレーキ制御装置6に供給された圧力には、ブレーキ制御装置6において影響を与えることができ、その場合、この圧力は相応して調整されてホイールブレーキ8もしくは複数のホイールブレーキに供給される。
電動モータ20が電気的に制御されると、この電動モータ20はポンプ18を駆動し、このポンプ18はリザーバタンク16から吸込管路22と吸込接続部22aとを通じて圧力媒体を吸い込んで、この圧力媒体を吐出接続部24aと吐出管路24とを通じてブレーキ制御装置6にまで圧送する。圧力媒体としては、液体、有利にはブレーキ液が使用される。
ブレーキ制御装置6には、たとえば、図面を見易くするために図示されていない方向切換弁および/またはホイールブレーキ8に供給されたブレーキ圧に影響を与えるための別のポンプが設けられている。
第2図、第3図、第4図および第5図には、特に有利な実施例によるポンプユニット4を種々異なる方向から見た図が種々異なる縮尺度で示されている。第2図、第3図および第4図には図面を見易くするために、ポンプユニット4に通じた吸込管路22と、ポンプユニット4から導出された吐出管路24とが図示されていない。
全ての図面において同一の構成部分または同一作用を有する構成部分は同じ符号で示されている。特に別記していない限り、1つの図面につき説明した内容は全ての図面および全ての実施例において該当する。また、特に別記しない限り、種々の実施例における個々の構成は互いに組合せ可能である。
第2図にはポンプユニット4を斜め側方から見た斜視図が示されている。
第3図にはポンプユニット4の長手方向側面図が示されており、この場合、構成を分かり易くするためにポンプユニット4の個々の範囲が断面して示されている。第3図は、ポンプユニット4を第4図に矢印IIIで示した方向から見た図である。
第4図はポンプユニット4を第3図に矢印IVで示した方向から見た端面図である。
以下の説明において括弧内には、その都度の個々の構成を特に明瞭に示している図面番号が記入されている。
ポンプ18はポンプハウジング30内に配置されている。このポンプハウジング30は主として第1のポンプハウジング部分31と第2のポンプハウジング部分32とから成っている(第2図および第3図)。電動モータ20はポンプハウジング30にフランジ締結されている。
ポンプ18は、たとえば歯車ポンプである。ポンプ18は、たとえば複数の歯車を有しており、これらの歯車は電動モータ20によって回転させられる。これらの歯車は圧力媒体を吸込接続部22a(第2図)から吐出接続部24aに圧送する。歯車をポンプハウジング30に組み込むためには、ポンプハウジング30が両ポンプハウジング部分31,32に分割されている。歯車をポンプハウジング30に組み込んだ後に、両ポンプハウジング部分31,32は嵌め合わされる。両ポンプハウジング部分31,32が不本意に互いに相対的にずれないようにするためには、ガイド34が設けられている。このガイド34は主として、第2のポンプハウジング部分32に凸設された段部と、第1のポンプハウジング部分31に凹設された段部とによって形成され、この場合、凹設された段部が凸設された段部を収容する。
ポンプ18の歯車は主として第1のポンプハウジング部分31内に配置されており、第2のポンプハウジング部分32は主として歯車のための組込みスペースをカバーするために働く。第2のポンプハウジング部分32内には、たとえば軸受けおよびこの軸受けに支承された軸も配置されており、この軸は電動モータ20からポンプ18の歯車へトルクを伝達するために働く。歯車や前記軸および軸受けは、図面を見易くするために図示されていない。念のため付言しておくと、ポンプ18は、たとえばピストンポンプ、有利にはラジアルピストンポンプであってもよい。
電動モータ20はモータハウジング40内に配置されている。このモータハウジング40は円筒状に形成されていて、ポンプハウジング30とは反対の側の一方の端面41(第3図)と、ポンプハウジング30に面した他方の端面42とを有している。モータハウジング40を貫くように一方の端面41から他方の端面42に開口44(第3図)が通じている。モータハウジング40の一方の端面41には、ねじ支持面45が設けられている。このねじ支持面45は開口44を環状に取り囲むように延びている。開口44に対して平行に一方の端面41から他方の端面42に第2の開口44′が通じている。第2のポンプハウジング部分32は同じくはぼ円筒状に形成されていて(第2図)、電動モータ20に面した一方の端面と、第1のポンプハウジング部分31に面した他方の端面とを有している。第2のポンプハウジング部分32を貫くように一方の端面から他方の端面に貫通開口46が延びている。この貫通開口46に対して平行に第2のポンプハウジング部分32には第2の貫通開口46′が設けられており、この第2の貫通開口46′はやはり両端面を接続している。第1のポンプハウジング部分31も、大雑把に見てほぼ円筒状の形状を有しており(第2図)、しかも第2のポンプハウジング部分32に面した端面48を備えている(第3図)。この端面48を起点にして、第1のポンプハウジング部分31には盲孔が延びている。この盲孔には雌ねじ山50が切削加工されている。この雌ねじ山50に対して平行に端面48を起点として第2の盲孔が設けられており、この第2の盲孔は第2の雌ねじ山50′を備えている。両ポンプハウジング部分31,32と、電動モータ20を備えたモータハウジング40とが整然とした状態で嵌め合わされていると、開口44と貫通開口46と雌ねじ山50とが一列に整合して位置しており、さらに第2の開口44′と第2の貫通開口46′と第2の雌ねじ山50′とがやはり一列に整合して位置している(第3図)。
このポンプユニット4にはモータ固定用ねじ60が設けられており、このモータ固定用ねじ60は電動モータ20をポンプハウジング30に対して保持する。モータ固定用ねじ60は付加的に第5図に単独で図示されている。
第5図には、モータハウジング40とポンプハウジング30とに組み込まれる前のモータ固定用ねじ60が示されている。
モータ固定用ねじ60は機能上、複数の範囲に分割され得る。モータ固定用ねじ60は雄ねじ山62(第5図)を備えた範囲と、シャンク64を備えた範囲と、以下において「ねじヘッド66」と呼ばれる範囲とを有している。シャンク64は雄ねじ山62をねじヘッド66に結合している。しかしモータ固定用ねじ60は、雄ねじ山62がねじヘッド66にまで達するように形成されていてもよい。シャンク64からねじヘッド66への移行部には段部(第5図)が設けられているので、ねじヘッド66には雄ねじ山62に向いた側に緊定面66aが形成されている。ねじヘッド66はほぼ円筒状に形成されている。この円筒状のねじヘッド66の外周面には、環状に延びかつ半径方向に突出したディスク状のリング66cが設けられている。このリング66cは切削加工または非切削式の変形加工によってモータ固定用ねじ60に一体に成形される。円筒状のねじヘッド66は雄ねじ山62とは反対の側の端部に端面66eを有している(第5図)。緊定面66aとディスク状のリング66cとの間では、ねじヘッド66が第1のヘッド範囲66bを有している。ねじヘッド66の、ディスク状のリング66cと端面66eとの間の範囲は、以下において「第2のヘッド範囲66d」と呼ぶ。端面66eを起点として、ねじヘッド66には凹部が設けられている。この凹部は非円形に形成されている。この凹部は、たとえば六角形の横断面を有しており、したがってこの凹部は回転連行部66f(第4図および第5図)を形成している。この回転連行部66fには、たとえばモータ固定用ねじ60を回転させて締め付けるためのトルクレンチを係合させることができる。第5図に示した実施例では、第1のヘッド範囲66bの直径が第2のヘッド範囲66dの直径と等しく形成されている。しかし、第1のヘッド範囲66bの直径を第2のヘッド範囲66dの直径よりも大きく形成するか、または小さく形成することも可能である。
雄ねじ山62とシャンク64は開口44と貫通開口46とを貫いて延びており、雄ねじ山62は雌ねじ山50にねじ込まれている。モータ固定用ねじ60の長さは、このねじがねじ込まれて固く締め付けられた状態においてモータ固定用ねじ60の緊定面66a(第5図)がねじ支持面45(第3図)に押圧されて、モータハウジング40内に配置された電動モータ20をポンプハウジング30に対して緊定するように設定されている。図示の実施例の構成では、モータ固定用ねじ60が電動モータ20と第1のポンプハウジング部分31との間に第2のポンプハウジング部分32をも緊定して位置固定している。モータ固定用ねじ60は電動モータ20と第1のポンプハウジング部分31と第2のポンプハウジング部分32とを結束させている。
このポンプユニット4には、モータ固定用ねじ60に対して平行に第2のモータ固定用ねじ60′が設けられている。この第2のモータ固定用ねじ60′は第2の開口44′と第2の貫通開口46′とを貫いて延びていて、第2の雌ねじ山50′にねじ込まれている。両モータ固定用ねじ60,60′は同一の構造を有していて、同一の方法で組み付けられている。
ポンプユニット4は車両ボディ70に固定される。図面を見易くするために車両ボディ70は図面(第3図)に破線で示されている。第4図にはポンプユニット4が車両ボディ70に取り付けられる前の状態で示されている。ただし符号70で示した構成部分は必ずしも車両ボディそのものであるとは限らず、車両の実際の車両ボディに結合された全く任意な構成部分、たとえばビーム、内燃機関の機関懸架スツール(Motorschemel)または車両ボディに固定された保持薄板であってもよい。しかし以下においては、説明を簡単にするために、車両ボディに結合されたこれらの構成部分も「車両ボディ70」と呼ぶ。たとえばビーム、機関懸架スツールまたは保持薄板を介して、ポンプユニット4は少なくとも間接的に車両ボディに機械的に固定可能である。
車両ボディ70には凹部72が設けられている。この凹部72には、フレキシブルな材料から成る成形部材74が嵌め込まれている。この成形部材74は、たとえば弾性的なゴムまたは弾性可縮性のエラストマ材料から成っている。成形部材74の大きさは、この成形部材74が脱落することなく凹部72内にしっかりと保持されるように凹部72の寸法に合わせて調整されている。
成形部材74には開口が設けられており、この開口は収容部76を形成している。成形部材74は、ストッパ78として働く端面を有している。
車両ボディ70には凹部72の他に第2の凹部72′が設けられている。この第2の凹部72′は第1の凹部72とほぼ同じに形成されている。第2の凹部72′には第2の成形部材74′が嵌め込まれている。第2の成形部材74′は第1の成形部材74と同一である。
モータ固定用ねじ60のヘッド範囲66d(第5図)は成形部材74に設けられた収容部76内へ、モータ固定用ねじ60のリング66cが、成形部材74に設けられたストッパ78に当接するまで差し込むことができる。これによって、ポンプユニット4と車両ボディ70との間に機械的な結合部80が形成される。この機械的な結合部80には、ポンプユニット側に設けられた一方の結合部分81と、車両ボディ側に設けられた、対応する他方の結合部分82とが所属している。機械的な結合部80の、ポンプユニット4側の一方の結合部分81は、モータ固定用ねじ60のねじヘッド66に設けられている。有利に選択された図示の実施例では、モータ固定用ねじ60のヘッド範囲66dがポンプユニット4側の一方の結合部分81を形成しており、成形部材74に設けられた収容部76が、車両ボディ70側の、対応する他方の結合部分82を形成している。モータ固定用ねじ60のヘッド範囲66dを成形部材74の収容部76に単純に差し込むことによって、ポンプユニット4を簡単かつ迅速に車両ボディ70と結合させることができる。さらにあとで説明する固定用ねじ90(第3図)を緩めて取り外した後に、必要に応じて、一方の結合部分81と他方の結合部分82とを互いに離れる方向で引き抜くことによってポンプユニット4を簡単かつ迅速に車両ボディ70から取り外すことができる。
第2のモータ固定用ねじ60′と第2の成形部材74′との間には、第2の機械的な結合部80′が形成される。この第2の機械的な結合部80′は、第2のモータ固定用ねじ60′側の第2の一方の結合部分81′と、車両ボディ70側の第2の他方の結合部分82′とを有している。
両機械的な結合部80,80′を介してポンプユニット4を車両ボディ70に差込みにより取り付けることができる。したがって、機械的な結合部80;80′を「差込み結合部」と呼ぶこともできる。これに対応して、一方の結合部分81;81′は「一方の差込み結合部分」と呼ぶことができ、他方の結合部分82;82′は「対応する他方の差込み結合部分」と呼ぶことができる。
ポンプ18の第1のポンプハウジング部分31の外周面には平らな面取り部86(第2図)と、この面取り部86に対して直径方向で向かい合って位置する第2の平らな面取り部86′とが設けられている。平らな面取り部86を起点として、ポンプ18のポンプハウジング30の第1のポンプハウジング部分31の内部には雌ねじ山88が延びている(第3図)。同じく第2の平らな面取り部86′を起点として、第1のポンプハウジング部分31の内部には第2の雌ねじ山88′が延びている。雌ねじ山88と第2の雌ねじ山88′とには、市販の廉価な固定用ねじ90(第3図)をねじ込むことができる。
車両ボディ70には孔92が設けられている。この孔92には成形部材94が掛け込まれている。成形部材94は環状の溝を有しているので、成形部材94を孔92に掛け込んだ後に、この成形部材94は車両ボディ70にしっかりと保持される。成形部材94はフレキシブルな材料、たとえば弾性的なゴムまたは弾性可縮性のエラストマ材料から成っている。
軸方向で成形部材94を貫通するように孔が延びており、この孔には金属性のスリーブ96が差し込まれているか、または加硫固定されているか、または接着固定されている。
固定用ねじ90はレンチ係合面を備えたねじヘッド90aを有している。ねじヘッド90aと成形部材94もしくはスリーブ96との間には、座金98が設けられている。成形部材94は組み付けられた状態において、ポンプハウジング30に設けられた平らな面取り部86と座金98との間に締付け固定されている。これにより、車両ボディ70とポンプユニット4との間には第3の結合部100が形成される。成形部材94に設けられたスリーブ96により、固定用ね90の締付け時に成形部材94は過度に押しつぶされなくなる。したがって、スリーブ96は成形部材94の過剰負荷を防止している。スリーブ96により、成形部材94の過剰負荷を懸念する必要なく固定用ねじ90を整然とした状態で締め付けることができる。固定用ねじ90を極めて良好に締め付けることができるので、振動負荷が生じた場合でも固定用ねじ90が不本意に緩むことを懸念しなくても済む。
上記の3つの機械的な結合部80,80′,100を用いて、車両ボディ70におけるポンプユニット4の簡単に形成可能でかつ静力学的に規定された3点支承が得られる。モータ固定用ねじ60,60′によって形成された2つの機械的な結合部80,80′が、第1のポンプハウジング部分31の範囲に設けられた第3の結合部100からできるだけ大きく遠ざけられているので、車両ボディ70におけるポンプユニット4の特に良好でかつ安定した位置固定が得られ、しかも振動負荷が生じた場合には成形部材74,74′,94の比較的小さな負荷しか生ぜしめられない。
モータ固定用ねじ60の緊定面66a(第5図)と、ポンプハウジング30に設けられた雌ねじ山50との間にはかなり大きな緊定長さが存在していることに基づき、比較的大きな振動負荷が加えられた場合でもモータ固定用ねじ60の緩みを懸念しなくて済む。モータ固定用ねじ60はいわば、良く知られているように高い緩み防止能力を発揮する「抗張ねじ」として形成されている。モータ固定用ねじ60が固く締め付けられていて、不本意に緩まないようになっているので、ポンプユニット4と車両ボディ70との間には両結合部80,80′を介して、振動負荷の発生時でも耐久性を有する良好な結合が得られる。
モータハウジング40の端面41はねじ支持面45の範囲で少しだけ沈められている。これにより、モータハウジング40の補強が得られる。これにより、モータハウジング40の変形を懸念する必要なくモータ固定用ねじ60の保持が改善される。
第6図には、モータ固定用ねじ60の別の有利な実施例が例示されている。
第6図に例示したモータ固定用ねじ60では、第1のヘッド範囲66bが第2のヘッド範囲66dよりも少しだけ大きな直径を有している。ディスク状のリング66cはモータ固定用ねじ60に一体成形されているのではなく、別個の環状の構成部分として第2のヘッド範囲66dに被せ嵌められているか、もしくはプレス嵌めされており、この場合、リング66cは第1のヘッド範囲66bに端面側で当接する。第6図に示したモータ固定用ねじ60の機能形式は、組み付けられた状態において、第5図に示したモータ固定用ねじ60の機能形式と同じである。モータ固定用ねじ60の製造方法に応じて、リング66cを第5図に示したモータ固定用ねじ60の場合のようにねじヘッド66に一体に成形する方が経済的となるか、または第6図に示したようにリング66cを被せ嵌める方が経済的となる。なぜならば、後者の場合、モータ固定用ねじ60のための基礎材料は、より小さな外径を有することができるからである。
ポンプユニット4が整然とした状態で作動し得るようにするためには、ポンプユニット4が規定の組込み位置をとるように配慮されなければならない。たとえばポンプユニット4をその長手方向軸線を中心にして任意に回動させることは不可能である。しかし、ポンプユニット4を組み込もうとする車両に応じて、作業者が所定の個所に直接に固定用ねじ90を組み付けるための作業が困難となる恐れがあるので、図示の有利な実施例では2つの雌ねじ山88,88′が設けられている。この場合、両雌ねじ山のうちのいずれか一方の雌ねじ山88;88′だけに固定用ねじ90を挿入すれば完全に十分となる。2つの雌ねじ山88,88′を設けることにより、固定用ねじ90をねじ込むためにその都度適した方の雌ねじ山88;88′を手間なく選択することができるようになる。また、第3の雌ねじ山またはそれ以上の雌ねじ山を設けることもできる。この場合、固定用ねじ90はこれらの雌ねじ山のうちの1つに選択的にねじ込まれる。
弾性的な成形部材74,74′,94により、ポンプユニット4は振動伝達の点では車両ボディ70から分離される。したがって成形部材74,74′,94はノイズ低減のために役立つ。

Claims (11)

  1. 車両ブレーキシステムに用いられるポンプユニットであって、ポンプハウジング(30,31,32)と、該ポンプハウジングにフランジ締結された電動モータ(20,40)とが設けられており、該電動モータ(20,40)が、少なくとも1つのモータ固定用ねじ(60,60′)によってポンプハウジング(30,31,32)に対して保持されており、該モータ固定用ねじ(60,60′)が、ポンプハウジング(30,31,32)にねじ込まれた雄ねじ山と、電動モータ(20,40)に支持されたねじヘッドとを有しており、当該ポンプユニットが、少なくとも1つの結合部を介して少なくとも間接的に車両ボディに機械的に位置固定可能である形式のものにおいて、モータ固定用ねじ(60,60′)のねじヘッド(66)が、前記結合部(80)の一方の結合部分(81,81′)を形成していて、該一方の結合部分(81,81′)が、前記結合部(80)の、車両ボディ(70)側に設けられた、対応する他方の結合部分(82,82′)に作用する目的で設けられており、前記結合部(80,81,82)が差込み結合部であり、当該ポンプユニットを車両ボディ(70)に少なくとも間接的に固定するために働く固定用ねじ(90)を螺合させるための少なくとも1つのねじ山(88,88′)がポンプハウジング(30,31,32)に設けられていることを特徴とする、車両ブレーキシステムに用いられるポンプユニット。
  2. 車両ボディ(70)に、フレキシブルな材料から成る成形部材(74,74′)が取り付けられており、該成形部材(74,74′)に他方の結合部分(82)が設けられている、請求項1記載のポンプユニット。
  3. 前記成形部材(74,74′)が、車両ボディ側(70)に設けられた凹部(72,72′)に嵌めこまれている、請求項2記載のポンプユニット。
  4. ねじヘッド(66)が円筒状の外面(66d)を有しており、対応する他方の結合部分(82,82′)が円筒状の内面(76)を有しており、ねじヘッド(66)の円筒状の外面(66d)が、他方の結合部分の円筒状の内面(76)に係合している、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプユニット。
  5. ねじヘッド(66)に、端面側で接近可能な、内部に位置する、固定用ねじ(60)を回転させて締め付けるためのトルクレンチを係合させるための回転連行部(66f)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のポンプユニット。
  6. ねじヘッド(66)に、半径方向に突出した段部(66c)が設けられており、該段部(66c)に他方の結合部分(82,82′)が当接するようになっている、請求項1から5までのいずれか1項記載のポンプユニット。
  7. 前記段部(66c)が、モータ固定用ねじ(60,60′)の周面に環状に設けられている、請求項6記載のポンプユニット。
  8. 第2のモータ固定用ねじ(60′)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のポンプユニット。
  9. 前記ねじ山(88,88′)が雌ねじ山(88,88′)である、請求項記載のポンプユニット。
  10. 前記ねじ山(88,88′)が2つ設けられている、請求項または記載のポンプユニット。
  11. 前記固定用ねじ(90)と車両ボディ(70)との間に、フレキシブルな材料から成る成形部材(94)が設けられており、該成形部材(94)に前記固定用ねじ(90)が少なくとも間接的に作用している、請求項1、9または10記載のポンプユニット。
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