JP2004293565A - ボルト締結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボルト締結構造において、締結の対象となる部材の変形を防ぐとともに、締結作業の効率を向上させる。
【解決手段】クラッチ装置はハウジング11とリアカバー25とを備え、それぞれに、第1の貫通孔11aと第2の貫通孔25aとが形成されている。段付きボルト32は、大径部41と小径部42とを備え、大径部41には左向きの雄ネジが切られているとともに、小径部42には右向きの雄ネジが切られている。第1の貫通孔11aには大径部41が螺合可能な雌ネジが切られており、第1の貫通孔11aに対して大径部41が螺合されている。また、小径部42には、第2の貫通孔25aが挿通されている。そして、小径部42のうち、第2の貫通孔25aから露出している部分には、ナット33が螺合されている。これにより、ハウジング11とナット33とが結合される。
【選択図】 図3
【解決手段】クラッチ装置はハウジング11とリアカバー25とを備え、それぞれに、第1の貫通孔11aと第2の貫通孔25aとが形成されている。段付きボルト32は、大径部41と小径部42とを備え、大径部41には左向きの雄ネジが切られているとともに、小径部42には右向きの雄ネジが切られている。第1の貫通孔11aには大径部41が螺合可能な雌ネジが切られており、第1の貫通孔11aに対して大径部41が螺合されている。また、小径部42には、第2の貫通孔25aが挿通されている。そして、小径部42のうち、第2の貫通孔25aから露出している部分には、ナット33が螺合されている。これにより、ハウジング11とナット33とが結合される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルト締結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2つの部材を取り外し可能に結合する構造として、図4に示すように、普通ボルト51を使用した締結構造が知られていた。詳しくは、この締結構造は、第1の部材52と第2の部材53とに、それぞれ、上下方向に貫通する第1の貫通孔54、第2の貫通孔55が形成され、第1の貫通孔54に雌ネジが切られていた。そして、第1及び第2の貫通孔54,55を連通させた状態で、雄ネジが切られている普通ボルト51を第2の部材53側から挿通させ、普通ボルト51を第1の貫通孔54に対してねじ込んで締め付けるようになっていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とが取り外し可能に結合されるようになっていた。
【0003】
ところで、この締結構造においては、普通ボルト51を第1の部材52へとねじ込む作業は、第2の部材53の第2の貫通孔55を介して行われるようになっていた。従って、普通ボルト51と第1の部材52との位置合わせが難しくなっており、締結作業の効率が低下することがあった。また、締結作業のときに、普通ボルト51の先端で第1の部材52の第1の貫通孔54の位置を探ってからねじ込まなければならないため、第1の貫通孔54の雌ネジに変形が生じ、締結の精度が低下する可能性もあった。特に、第1の部材52の材質がアルミニウムや樹脂といった低強度材料であった場合や、第1の部材52と第2の部材53との脱着回数が多い場合には、変形の可能性がますます高くなっていた。
【0004】
そこで、上記問題点を解決するために、図5に示すようなスタッドボルト57を使用した締結構造が知られている。詳しくは、このスタッドボルト57は、その両端に雄ネジが切られていた。そして、まず、第1の部材52のみを用意し、スタッドボルト57の一方を前記第1の貫通孔54に対してねじ込むようになっていた。そして、続いて、第2の部材53を用意し、スタッドボルト57の他方に対して第2の貫通孔55を貫挿させ、ナット58にて締め付けるようになっていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とが締結されるようになっていた。
【0005】
従って、このスタッドボルト57を使用した締結構造においては、スタッドボルト57を第1の部材52にねじ込んだ状態のままで、第1の部材52と第2の部材53との脱着が行えるようになっていた。この結果、第1の部材52と第2の部材53との脱着回数が増加しても、スタッドボルト57と第1の部材52とのねじ込み作業を行う必要がないため、第1の部材52の雌ネジに変形が生じないようにすることができる。
【0006】
また、第1の部材52と第2の部材53との位置合わせをするときには、第1の部材52にねじ込まれたスタッドボルト57が、第1の部材52と第2の部材53との位置関係を決めるガイドとすることができる。従って、第1の部材52と第2の部材53との位置決め作業が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0007】
ところで、2つの部材を取り外し可能に結合する構造として、上記の構造に加えて、図6に示すような、段付きボルト61を使用した締結構造も知られていた(例えば、特許文献1参照。)。詳しくは、この段付きボルト61は、頭部62側から順に、大径の第1の軸部63と小径の第2の軸部64とを備え、第1の軸部63と第2の軸部64とには、それぞれ雄ネジが切られており、それぞれの雄ネジの向きは、お互いが逆向きとなるように形成されていた。そして、第1の部材52と第2の部材53とを重ね合わせた状態で、段付きボルト61を第1の部材52側から第1及び第2の貫通孔54,55に挿通させ、第2の貫通孔55から露出する第1の軸部63に第1のナット65を一方向に向かって回転させることによってねじ込むようにしていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とを結合するようになっていた。
【0008】
さらに、第1のナット65から露出している第2の軸部64に第2のナット67を他方向に向かって回転させることによってねじ込み、第1のナット65と第2のナット67とが当接するまで締め付けることにより、締結構造が完成されるようになっていた。そして、この締結構造においては、段付きボルト61が、第1のナット65が緩む方向に回転しようとしても、第2のナット67に第1のナット65をねじ込む方向に移動させようとする力が働くので、第1のナット65の緩み止めがなされるようになっていた。また、第2のナット67が緩む方向に回転しようとしたときにも、同じく、第1のナット65の作用により第2のナット67の緩み止めがなされるようになっていた。
【0009】
以上により、この段付きボルト61を使用した締結構造においては、外部から強い振動が加えられるようなことがあっても、締結に緩みが生じないようになっていた。
【0010】
【特許文献1】
実開昭64−32910号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の図5に示すスタッドボルト57を使用した締結構造においては、スタッドボルト57に形成されている不完全ネジ68によって、第1の部材52の雌ネジを変形させてしまうという問題点を有していた。なお、不完全ネジとは、スタッドボルト57において、雄ネジが切ってある部分とそうでない部分との境目に形成されるものである。そして、スタッドボルト57を前記第1の部材52に対してねじ込むときや、スタッドボルト57に対してナット58を締め付けるときには、この不完全ネジ68が、第1の部材52の雌ネジに食い込むことがあった。そして、この結果、応力の発生によって第1の部材52の破損や雌ネジに変形が生じ、締結構造の強度低下および精度が低下する可能性があった。
【0012】
また、上記の図6に示す段付きボルト61を使用した締結構造においては、第1及び第2のナット65,67の2つを使用して締結を行うようになっており、部品数が増加する原因となっていた。そして、これにより、作業効率が低下してしまう可能性があった。また、段付きボルト61は、第1の部材52に対して、第1のナット65無しでは単独で固定できないようになっているので、段付きボルト61を、第1の部材52と第2の部材53との締結時における位置決め用のガイドとすることはできない。従って、第1の部材52と第2の部材との締結作業の効率が低下することがあった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、締結の対象となる部材の変形を防ぐとともに、締結作業の効率を向上させることができるボルト締結構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、まず、第1の部材に対してボルトの第1の軸部を螺合させ、その後、ボルトの第2の軸部に対して第2の部材に形成された第2の貫通孔を挿通させ、第2の貫通孔から露出する第2の軸部に対してナットを螺合させることよって、第1の部材と第2の部材とを結合させることができるようにした。また、第1の部材と第2の部材とを結合された状態において、第2の軸部からナットを取り外し、ボルトから第2の部材を分離することにより、第1の部材と第2の部材とを分離することができるようにした。そして、このとき、第1の部材とボルトの第1の軸部とは、螺合させたままの状態とさせることができるようにした。
【0015】
従って、第1の部材と第2の部材との脱着を繰り返しても、第1の部材からボルトを脱着させる必要がないので、第1の部材に形成された第1の貫通孔における雌ネジの変形を低減させることができる。また、ボルトの第1の軸部は、第1の軸部よりも大径の頭部と、第1の軸部よりも小径の第2の軸部とによって挟まれており、第1の貫通孔に対して、ボルトの第1の軸部以外の部分が螺合するようなことがないようにされている。その結果、第1の貫通孔に第1の軸部以外の部分が螺合しようとすることによって、第1の貫通孔の雌ネジに変形が生じることを防ぐことができる。従って、第1の部材の材料として低強度の材料を採用することができるようになる。
【0016】
また、第1の部材に対して第2の部材を結合させるときに、第1の部材に螺合されているボルトを、第1の部材と第2の部材との位置決め用ガイドとして使用することができ、締結作業の効率を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のクラッチ装置10は、フォークリフト等に使用される手動式変速機の前段に備えられるものであって、第1の部材としてのハウジング11とクラッチ12とを備える。ハウジング11は、略円筒形状に形成され、クラッチ12を収容している。また、本実施形態においては、ハウジング11はアルミニウムにより形成されているものとする。
【0018】
クラッチ12は、フライホイール14、クラッチカバー15、クラッチディスク16、プレッシャープレート17、ダイヤフラムスプリング18、レリーズベアリング19を主たる構成要素として備えている。フライホイール14は、円盤形状に形成され、図示しないエンジンのクランクシャフト21と固定されており、クランクシャフト21と一体回転可能となっている。
【0019】
クラッチカバー15は、略円筒形状に形成され、フライホイール14に対して固定され、フライホイール14と一体回転するようになっている。クラッチディスク16は、エンジンの動力を伝達するための摩擦板であって、フライホイール14とプレッシャープレート17との間に配設されている。そして、クラッチディスク16の中心孔には、図示しない変速機の入力軸23がスプライン連結されている。なお、入力軸23は、ハウジング11に対して固定されている第2の部材としてのリアカバー25によってその外周が包囲されている。
【0020】
プレッシャープレート17は、クラッチディスク16をフライホイール14側に押し付けて、クラッチディスク16とフライホイール14とを摩擦係合させて一体的に回転させるものである。また、プレッシャープレート17は、前記クラッチカバー15と連結され、クラッチカバー15の回転に伴って回転するようになっている。さらに、プレッシャープレート17は、前記入力軸23に対して相対回転可能となっている。
【0021】
ダイヤフラムスプリング18は、プレッシャープレート17に対して支点18aを介してピボット運動可能に連結されている。そして、ダイヤフラムスプリング18は、外部から力が加わっていない状態においては、支点18aを支点としてフライホイール14から離間する方向に移動する。また、ダイヤフラムスプリング18は、フライホイール14から離間することにより、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力を増大させるように、プレッシャープレート17を付勢する。
【0022】
レリーズベアリング19は、前記リアカバー25に対して摺動可能に支持されており、フライホイール14側に移動することによって、ダイヤフラムスプリング18の中央部を押圧し、ダイヤフラムスプリング18をフライホイール14に近づく方向に移動させることができるようになっている。そして、ダイヤフラムスプリング18は、フライホイール14に近づくことによって、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力を減少させるように、プレッシャープレート17を付勢するようになっている。
【0023】
そして、以上のように構成されたクラッチ装置10は、運転者等が図示しないクラッチペダルの操作を行うと、前記レリーズベアリング19がフライホイール14側に近づき、前記ダイヤフラムスプリング18の作用により、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力が減少される。そして、フライホイールとクラッチディスク16との摩擦係合力が減少し、フライホイール14に接続されているクランクシャフト21の動力が、クラッチディスク16にスプライン連結されている入力軸23へ伝達されないようになる。
【0024】
また、運転者等がクラッチペダルの操作を停止すると、前記レリーズベアリング19が、フライホイール14と離間する方向に移動し、ダイヤフラムスプリング18の作用により、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力が増大される。そして、フライホイールとクラッチディスク16との摩擦係合力が増大し、フライホイール14に接続されているクランクシャフト21の動力が、入力軸23へと伝達されるようになる。
【0025】
次に、上記のように構成されたクラッチ装置10において、ハウジング11とリアカバー25とを取り外し可能に結合するためのボルト締結構造31について説明する。
【0026】
本実施形態のクラッチ装置10のハウジング11とリアカバー25とは、複数のボルト締結構造31によって結合されている。なお、図1には、複数のボルト締結構造31のうち2つのみを図示している。
【0027】
そして、ボルト締結構造31は、前記ハウジング11及びリアカバー25を、ボルトとしての段付きボルト32とナット33とによって締結することによって構成されている。詳しくは、前記ハウジング11及びリアカバー25には、それぞれ、第1の貫通孔11aと、第2の貫通孔25aとが貫通形成されている。そして、ハウジング11に形成されている第1の貫通孔11aには、その内周面に、ネジ山の形成方向が左方向となる雌ネジが切られている。また、第2の貫通孔25aは、前記第1の貫通孔11aよりもわずかに小さな内径を有するように形成され、その内周面にはネジが切られていないようになっている。
【0028】
図2に示すように、段付きボルト32は、頭部35と軸部37とを順に並ぶようにして一体に備える。頭部35は、断面正六角形状に形成され、軸部37寄りの部分には、フランジ部35aが形成されている。そして、フランジ部35aは、本実施形態では、頭部35から外側に延びるようにして略円盤形状に形成されている。軸部37は、前記フランジ部35aよりも小径に形成されており、フランジ部35a側から順に、第1の軸部としての大径部41、第2の軸部としての小径部42とを備える。
【0029】
大径部41は、その外周面に前記第1の貫通孔11aに形成されている雌ネジに螺合可能な雄ネジが切られており、図1に示すように、第1の貫通孔11aに対して螺合されている。すなわち、大径部41に形成されている雄ネジは、ネジ山の形成方向が左方向となる左ネジとなっている。そして、この大径部41は、第1の貫通孔11aに対して、フランジ部35aがハウジング11に対して当接するまでねじ込まれている。また、本実施形態では、大径部41の軸心に沿った方向の長さは、前記第1の貫通孔11aの長さよりも小さな長さとなっており、段付きボルト32がハウジング11に対して最大までねじ込まれた状態において、段付きボルト32の大径部41がハウジング11の外部に露出しないようになっている。
【0030】
図1及び図2に示すように、小径部42は、その外周面に雄ネジが切られている。そして、この雄ネジは、ネジ山の形成方向が右方向となる右ネジとなっている。また、小径部42の外径は、前記大径部41の外径に比較して小さくなっている。従って、この小径部42は、前記ハウジング11に形成されている第1の貫通孔11aに対して螺合不能となっている。そして、図1に示すように、この小径部42は、前記リアカバー25の第2の貫通孔25aに対して遊嵌された状態となるようにして貫挿されている。また、本実施形態では、小径部42の軸心に沿った方向の長さは、前記第2の貫通孔25aの長さよりも十分長い長さとなっており、小径部42の先端部は、リアカバー25の外側に露出した状態となっている。
【0031】
そして、図1及び図2に示すように、本実施形態においては、前記大径部41と小径部42との境目には、大径部41から小径部42に向かってその外径が小さくなるようなテーパ部43が形成されており、このテーパ部43はネジが切られていない状態となっている。
【0032】
図1に示すように、ナット33は、断面正六角形形状に形成されている本体部45と、座46とによって構成された座付きナットとなっている。そして、ナット33の中央を貫通する図示しない貫通孔には、その内周面に、ネジ山の形成方向が右方向となるような雌ネジが切られている。そして、このナット33は、前記段付きボルト32の小径部42(図2参照)のうち、リアカバー25の外側に露出した部分に対して螺合され、ナット33の座46がリアカバー25に当接するまで締め付けられている。そして、これにより、ハウジング11とリアカバー25とが、段付きボルト32とナット33とによって、取り外し可能に結合される。
【0033】
そして、以上のように構成されているボルト締結構造31を形成する場合には、まず、第1の手順において、図3(a)に示すように、ハウジング11の第1の貫通孔11aに対して、段付きボルト32を小径部42側から貫挿させる。そして、段付きボルト32の頭部35を左回りに回転させることにより、段付きボルト32の大径部41を、第1の貫通孔11aに対して螺合させ、段付きボルト32のフランジ部35aが、ハウジング11に対して当接するまでねじ込む。そして、これにより、段付きボルト32がハウジング11に対して固定される。
【0034】
続いて、第2の手順に移り、図3(b)に示すように、ハウジング11に対して固定された段付きボルト32に対して、小径部42側から前記リアカバー25の第2の貫通孔25aを貫挿させる。すると、段付きボルト32の小径部42がガイドの役割を果たし、ハウジング11の第1の貫通孔11aとリアカバー25の第2の貫通孔25aとが、ほぼ同心円状に位置するようにして重ね合わされる。
【0035】
そして、第3の手順に移り、図3(c)に示すように、段付きボルト32の小径部42のうち、リアカバー25の外側に露出している部分に対して、前記ナット33を右回りに回転させながら螺合させる。そして、ナット33の座46がリアカバー25に当接するまでナット33をねじ込む。なお、このとき、段付きボルト32には、右回転のトルクが加わるが、段付きボルト32の大径部41は左ネジとなっているため、大径部41とハウジング11とには、増し締めとなるような力が作用する。この結果、段付きボルト32とナット33とによってハウジング11とリアカバー25とが挟み込まれ、緩みのないボルト締結構造31が完成される。
【0036】
また、上記のように、ハウジング11とリアカバー25とが結合された後に、補修点検時等において、ハウジング11とリアカバー25とを離間させる必要が生じた場合には、まず、ナット33を左回りに回転させて段付きボルト32から離間させる。そして、リアカバー25を段付きボルト32から取り外す。これにより、ハウジング11とリアカバー25とが離間されるようになる。
【0037】
すなわち、ハウジング11とリアカバー25とを離間させたときには、図3(a)に示すように、ハウジング11に対して段付きボルト32を螺合させたままの状態としておくことができる。その結果、再度、ハウジング11に対してリアカバー25を結合するときに、上記第2及び第3の手順のみを行えばよく、結合の手間を軽減させることができるようになっている。
【0038】
また、ハウジング11とリアカバー25との脱着が繰り返されても、上記第1の手順はその都度繰り返し行う必要がないので、段付きボルト32のねじ込みによるハウジング11の雌ネジの変形を、最小限に抑えることができるようになっている。
【0039】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、まず、ハウジング11に対して段付きボルト32の大径部41を螺合させ、その後、段付きボルト32の小径部42に対して、リアカバー25の第2の貫通孔25aを挿通させるようにした。そして、第2の貫通孔25aから露出する小径部42に対して、ナット33を螺合させることによって、ハウジング11とリアカバー25とを結合させるようにした。また、ハウジング11とリアカバー25とが結合された状態において、小径部42からナット33を取り外し、段付きボルト32からリアカバー25を分離することにより、ハウジング11とリアカバー25とを分離させることができるようにした。そして、このとき、ハウジング11と段付きボルト32とを螺合させたままの状態とさせることができるようにした。
【0040】
従って、ハウジング11とリアカバー25との脱着を繰り返しても、ハウジング11から段付きボルト32を脱着させる必要がないので、ハウジング11の第1の貫通孔11aにおける雌ネジの変形を低減させることができる。そして、ハウジング11の材料として、低強度の材料を採用することができるようになる。
【0041】
(2)上記実施形態では、段付きボルト32の大径部41は、大径部41よりも大径のフランジ部35aと大径部41よりも小径の小径部42とによって挟まれるようにした。従って、段付きボルト32をハウジング11に螺合させるときに、段付きボルト32の大径部41以外の部分がハウジング11に対して螺合されることがないようにすることができる。その結果、ハウジング11の第1の貫通孔11aに大径部41以外の部分が螺合しようとすることによって、第1の貫通孔11aの雌ネジに変形が生じることを防ぐことができる。従って、ハウジング11の材料として、低強度の材料を採用することができる。
【0042】
(3)上記実施形態では、ハウジング11に対してリアカバー25を結合させるときに、ハウジング11に螺合されている段付きボルト32にリアカバー25の第2の貫通孔25aを貫挿させるようにした。従って、段付きボルト32を、ハウジング11とリアカバー25との位置決め用のガイドとして使用できる。そして、この結果、締結作業の効率を向上させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、段付きボルト32の大径部41に切られている雄ネジを左ネジ、小径部42に切られている雄ネジを右ネジとなるようにした。これを、大径部41を右ネジ、小径部42を左ネジとするようにしてもよい。そして、このような場合には、ハウジング11の第1の貫通孔11aのネジ山の形成方向を右方向に、ナット33のネジ山の形成方向を左方向とする。
【0044】
・上記実施形態においては、ボルト締結構造31を、クラッチ装置10のハウジング11とリアカバー25とを結合するための構造に具体化して説明したが、その他の2つの部材を結合するための構造に具体化してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、ボルト締結構造において、締結の対象となる部材の変形を防ぐとともに、締結作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるクラッチ装置の部分断面図。
【図2】同じく、段付きボルトの正面図。
【図3】同じく、ボルト締結構造を形成する手順を説明する図であり、(a)は第1の手順を、(b)は第2の手順を、(c)は第3の手順を説明する図である。
【図4】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【図5】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【図6】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【符号の説明】
11…第1の部材としてのハウジング、11a…第1の貫通孔、25…第2の部材としてのリアカバー、25a…第2の貫通孔、31…ボルト締結構造、32…ボルトとしての段付きボルト、33…ナット、35…頭部、37…軸部、41…第1の軸部としての大径部、42…第2の軸部としての小径部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルト締結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、2つの部材を取り外し可能に結合する構造として、図4に示すように、普通ボルト51を使用した締結構造が知られていた。詳しくは、この締結構造は、第1の部材52と第2の部材53とに、それぞれ、上下方向に貫通する第1の貫通孔54、第2の貫通孔55が形成され、第1の貫通孔54に雌ネジが切られていた。そして、第1及び第2の貫通孔54,55を連通させた状態で、雄ネジが切られている普通ボルト51を第2の部材53側から挿通させ、普通ボルト51を第1の貫通孔54に対してねじ込んで締め付けるようになっていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とが取り外し可能に結合されるようになっていた。
【0003】
ところで、この締結構造においては、普通ボルト51を第1の部材52へとねじ込む作業は、第2の部材53の第2の貫通孔55を介して行われるようになっていた。従って、普通ボルト51と第1の部材52との位置合わせが難しくなっており、締結作業の効率が低下することがあった。また、締結作業のときに、普通ボルト51の先端で第1の部材52の第1の貫通孔54の位置を探ってからねじ込まなければならないため、第1の貫通孔54の雌ネジに変形が生じ、締結の精度が低下する可能性もあった。特に、第1の部材52の材質がアルミニウムや樹脂といった低強度材料であった場合や、第1の部材52と第2の部材53との脱着回数が多い場合には、変形の可能性がますます高くなっていた。
【0004】
そこで、上記問題点を解決するために、図5に示すようなスタッドボルト57を使用した締結構造が知られている。詳しくは、このスタッドボルト57は、その両端に雄ネジが切られていた。そして、まず、第1の部材52のみを用意し、スタッドボルト57の一方を前記第1の貫通孔54に対してねじ込むようになっていた。そして、続いて、第2の部材53を用意し、スタッドボルト57の他方に対して第2の貫通孔55を貫挿させ、ナット58にて締め付けるようになっていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とが締結されるようになっていた。
【0005】
従って、このスタッドボルト57を使用した締結構造においては、スタッドボルト57を第1の部材52にねじ込んだ状態のままで、第1の部材52と第2の部材53との脱着が行えるようになっていた。この結果、第1の部材52と第2の部材53との脱着回数が増加しても、スタッドボルト57と第1の部材52とのねじ込み作業を行う必要がないため、第1の部材52の雌ネジに変形が生じないようにすることができる。
【0006】
また、第1の部材52と第2の部材53との位置合わせをするときには、第1の部材52にねじ込まれたスタッドボルト57が、第1の部材52と第2の部材53との位置関係を決めるガイドとすることができる。従って、第1の部材52と第2の部材53との位置決め作業が容易となり、作業効率を向上させることができる。
【0007】
ところで、2つの部材を取り外し可能に結合する構造として、上記の構造に加えて、図6に示すような、段付きボルト61を使用した締結構造も知られていた(例えば、特許文献1参照。)。詳しくは、この段付きボルト61は、頭部62側から順に、大径の第1の軸部63と小径の第2の軸部64とを備え、第1の軸部63と第2の軸部64とには、それぞれ雄ネジが切られており、それぞれの雄ネジの向きは、お互いが逆向きとなるように形成されていた。そして、第1の部材52と第2の部材53とを重ね合わせた状態で、段付きボルト61を第1の部材52側から第1及び第2の貫通孔54,55に挿通させ、第2の貫通孔55から露出する第1の軸部63に第1のナット65を一方向に向かって回転させることによってねじ込むようにしていた。これにより、第1の部材52と第2の部材53とを結合するようになっていた。
【0008】
さらに、第1のナット65から露出している第2の軸部64に第2のナット67を他方向に向かって回転させることによってねじ込み、第1のナット65と第2のナット67とが当接するまで締め付けることにより、締結構造が完成されるようになっていた。そして、この締結構造においては、段付きボルト61が、第1のナット65が緩む方向に回転しようとしても、第2のナット67に第1のナット65をねじ込む方向に移動させようとする力が働くので、第1のナット65の緩み止めがなされるようになっていた。また、第2のナット67が緩む方向に回転しようとしたときにも、同じく、第1のナット65の作用により第2のナット67の緩み止めがなされるようになっていた。
【0009】
以上により、この段付きボルト61を使用した締結構造においては、外部から強い振動が加えられるようなことがあっても、締結に緩みが生じないようになっていた。
【0010】
【特許文献1】
実開昭64−32910号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の図5に示すスタッドボルト57を使用した締結構造においては、スタッドボルト57に形成されている不完全ネジ68によって、第1の部材52の雌ネジを変形させてしまうという問題点を有していた。なお、不完全ネジとは、スタッドボルト57において、雄ネジが切ってある部分とそうでない部分との境目に形成されるものである。そして、スタッドボルト57を前記第1の部材52に対してねじ込むときや、スタッドボルト57に対してナット58を締め付けるときには、この不完全ネジ68が、第1の部材52の雌ネジに食い込むことがあった。そして、この結果、応力の発生によって第1の部材52の破損や雌ネジに変形が生じ、締結構造の強度低下および精度が低下する可能性があった。
【0012】
また、上記の図6に示す段付きボルト61を使用した締結構造においては、第1及び第2のナット65,67の2つを使用して締結を行うようになっており、部品数が増加する原因となっていた。そして、これにより、作業効率が低下してしまう可能性があった。また、段付きボルト61は、第1の部材52に対して、第1のナット65無しでは単独で固定できないようになっているので、段付きボルト61を、第1の部材52と第2の部材53との締結時における位置決め用のガイドとすることはできない。従って、第1の部材52と第2の部材との締結作業の効率が低下することがあった。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、締結の対象となる部材の変形を防ぐとともに、締結作業の効率を向上させることができるボルト締結構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、まず、第1の部材に対してボルトの第1の軸部を螺合させ、その後、ボルトの第2の軸部に対して第2の部材に形成された第2の貫通孔を挿通させ、第2の貫通孔から露出する第2の軸部に対してナットを螺合させることよって、第1の部材と第2の部材とを結合させることができるようにした。また、第1の部材と第2の部材とを結合された状態において、第2の軸部からナットを取り外し、ボルトから第2の部材を分離することにより、第1の部材と第2の部材とを分離することができるようにした。そして、このとき、第1の部材とボルトの第1の軸部とは、螺合させたままの状態とさせることができるようにした。
【0015】
従って、第1の部材と第2の部材との脱着を繰り返しても、第1の部材からボルトを脱着させる必要がないので、第1の部材に形成された第1の貫通孔における雌ネジの変形を低減させることができる。また、ボルトの第1の軸部は、第1の軸部よりも大径の頭部と、第1の軸部よりも小径の第2の軸部とによって挟まれており、第1の貫通孔に対して、ボルトの第1の軸部以外の部分が螺合するようなことがないようにされている。その結果、第1の貫通孔に第1の軸部以外の部分が螺合しようとすることによって、第1の貫通孔の雌ネジに変形が生じることを防ぐことができる。従って、第1の部材の材料として低強度の材料を採用することができるようになる。
【0016】
また、第1の部材に対して第2の部材を結合させるときに、第1の部材に螺合されているボルトを、第1の部材と第2の部材との位置決め用ガイドとして使用することができ、締結作業の効率を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のクラッチ装置10は、フォークリフト等に使用される手動式変速機の前段に備えられるものであって、第1の部材としてのハウジング11とクラッチ12とを備える。ハウジング11は、略円筒形状に形成され、クラッチ12を収容している。また、本実施形態においては、ハウジング11はアルミニウムにより形成されているものとする。
【0018】
クラッチ12は、フライホイール14、クラッチカバー15、クラッチディスク16、プレッシャープレート17、ダイヤフラムスプリング18、レリーズベアリング19を主たる構成要素として備えている。フライホイール14は、円盤形状に形成され、図示しないエンジンのクランクシャフト21と固定されており、クランクシャフト21と一体回転可能となっている。
【0019】
クラッチカバー15は、略円筒形状に形成され、フライホイール14に対して固定され、フライホイール14と一体回転するようになっている。クラッチディスク16は、エンジンの動力を伝達するための摩擦板であって、フライホイール14とプレッシャープレート17との間に配設されている。そして、クラッチディスク16の中心孔には、図示しない変速機の入力軸23がスプライン連結されている。なお、入力軸23は、ハウジング11に対して固定されている第2の部材としてのリアカバー25によってその外周が包囲されている。
【0020】
プレッシャープレート17は、クラッチディスク16をフライホイール14側に押し付けて、クラッチディスク16とフライホイール14とを摩擦係合させて一体的に回転させるものである。また、プレッシャープレート17は、前記クラッチカバー15と連結され、クラッチカバー15の回転に伴って回転するようになっている。さらに、プレッシャープレート17は、前記入力軸23に対して相対回転可能となっている。
【0021】
ダイヤフラムスプリング18は、プレッシャープレート17に対して支点18aを介してピボット運動可能に連結されている。そして、ダイヤフラムスプリング18は、外部から力が加わっていない状態においては、支点18aを支点としてフライホイール14から離間する方向に移動する。また、ダイヤフラムスプリング18は、フライホイール14から離間することにより、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力を増大させるように、プレッシャープレート17を付勢する。
【0022】
レリーズベアリング19は、前記リアカバー25に対して摺動可能に支持されており、フライホイール14側に移動することによって、ダイヤフラムスプリング18の中央部を押圧し、ダイヤフラムスプリング18をフライホイール14に近づく方向に移動させることができるようになっている。そして、ダイヤフラムスプリング18は、フライホイール14に近づくことによって、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力を減少させるように、プレッシャープレート17を付勢するようになっている。
【0023】
そして、以上のように構成されたクラッチ装置10は、運転者等が図示しないクラッチペダルの操作を行うと、前記レリーズベアリング19がフライホイール14側に近づき、前記ダイヤフラムスプリング18の作用により、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力が減少される。そして、フライホイールとクラッチディスク16との摩擦係合力が減少し、フライホイール14に接続されているクランクシャフト21の動力が、クラッチディスク16にスプライン連結されている入力軸23へ伝達されないようになる。
【0024】
また、運転者等がクラッチペダルの操作を停止すると、前記レリーズベアリング19が、フライホイール14と離間する方向に移動し、ダイヤフラムスプリング18の作用により、プレッシャープレート17がクラッチディスク16を押圧する力が増大される。そして、フライホイールとクラッチディスク16との摩擦係合力が増大し、フライホイール14に接続されているクランクシャフト21の動力が、入力軸23へと伝達されるようになる。
【0025】
次に、上記のように構成されたクラッチ装置10において、ハウジング11とリアカバー25とを取り外し可能に結合するためのボルト締結構造31について説明する。
【0026】
本実施形態のクラッチ装置10のハウジング11とリアカバー25とは、複数のボルト締結構造31によって結合されている。なお、図1には、複数のボルト締結構造31のうち2つのみを図示している。
【0027】
そして、ボルト締結構造31は、前記ハウジング11及びリアカバー25を、ボルトとしての段付きボルト32とナット33とによって締結することによって構成されている。詳しくは、前記ハウジング11及びリアカバー25には、それぞれ、第1の貫通孔11aと、第2の貫通孔25aとが貫通形成されている。そして、ハウジング11に形成されている第1の貫通孔11aには、その内周面に、ネジ山の形成方向が左方向となる雌ネジが切られている。また、第2の貫通孔25aは、前記第1の貫通孔11aよりもわずかに小さな内径を有するように形成され、その内周面にはネジが切られていないようになっている。
【0028】
図2に示すように、段付きボルト32は、頭部35と軸部37とを順に並ぶようにして一体に備える。頭部35は、断面正六角形状に形成され、軸部37寄りの部分には、フランジ部35aが形成されている。そして、フランジ部35aは、本実施形態では、頭部35から外側に延びるようにして略円盤形状に形成されている。軸部37は、前記フランジ部35aよりも小径に形成されており、フランジ部35a側から順に、第1の軸部としての大径部41、第2の軸部としての小径部42とを備える。
【0029】
大径部41は、その外周面に前記第1の貫通孔11aに形成されている雌ネジに螺合可能な雄ネジが切られており、図1に示すように、第1の貫通孔11aに対して螺合されている。すなわち、大径部41に形成されている雄ネジは、ネジ山の形成方向が左方向となる左ネジとなっている。そして、この大径部41は、第1の貫通孔11aに対して、フランジ部35aがハウジング11に対して当接するまでねじ込まれている。また、本実施形態では、大径部41の軸心に沿った方向の長さは、前記第1の貫通孔11aの長さよりも小さな長さとなっており、段付きボルト32がハウジング11に対して最大までねじ込まれた状態において、段付きボルト32の大径部41がハウジング11の外部に露出しないようになっている。
【0030】
図1及び図2に示すように、小径部42は、その外周面に雄ネジが切られている。そして、この雄ネジは、ネジ山の形成方向が右方向となる右ネジとなっている。また、小径部42の外径は、前記大径部41の外径に比較して小さくなっている。従って、この小径部42は、前記ハウジング11に形成されている第1の貫通孔11aに対して螺合不能となっている。そして、図1に示すように、この小径部42は、前記リアカバー25の第2の貫通孔25aに対して遊嵌された状態となるようにして貫挿されている。また、本実施形態では、小径部42の軸心に沿った方向の長さは、前記第2の貫通孔25aの長さよりも十分長い長さとなっており、小径部42の先端部は、リアカバー25の外側に露出した状態となっている。
【0031】
そして、図1及び図2に示すように、本実施形態においては、前記大径部41と小径部42との境目には、大径部41から小径部42に向かってその外径が小さくなるようなテーパ部43が形成されており、このテーパ部43はネジが切られていない状態となっている。
【0032】
図1に示すように、ナット33は、断面正六角形形状に形成されている本体部45と、座46とによって構成された座付きナットとなっている。そして、ナット33の中央を貫通する図示しない貫通孔には、その内周面に、ネジ山の形成方向が右方向となるような雌ネジが切られている。そして、このナット33は、前記段付きボルト32の小径部42(図2参照)のうち、リアカバー25の外側に露出した部分に対して螺合され、ナット33の座46がリアカバー25に当接するまで締め付けられている。そして、これにより、ハウジング11とリアカバー25とが、段付きボルト32とナット33とによって、取り外し可能に結合される。
【0033】
そして、以上のように構成されているボルト締結構造31を形成する場合には、まず、第1の手順において、図3(a)に示すように、ハウジング11の第1の貫通孔11aに対して、段付きボルト32を小径部42側から貫挿させる。そして、段付きボルト32の頭部35を左回りに回転させることにより、段付きボルト32の大径部41を、第1の貫通孔11aに対して螺合させ、段付きボルト32のフランジ部35aが、ハウジング11に対して当接するまでねじ込む。そして、これにより、段付きボルト32がハウジング11に対して固定される。
【0034】
続いて、第2の手順に移り、図3(b)に示すように、ハウジング11に対して固定された段付きボルト32に対して、小径部42側から前記リアカバー25の第2の貫通孔25aを貫挿させる。すると、段付きボルト32の小径部42がガイドの役割を果たし、ハウジング11の第1の貫通孔11aとリアカバー25の第2の貫通孔25aとが、ほぼ同心円状に位置するようにして重ね合わされる。
【0035】
そして、第3の手順に移り、図3(c)に示すように、段付きボルト32の小径部42のうち、リアカバー25の外側に露出している部分に対して、前記ナット33を右回りに回転させながら螺合させる。そして、ナット33の座46がリアカバー25に当接するまでナット33をねじ込む。なお、このとき、段付きボルト32には、右回転のトルクが加わるが、段付きボルト32の大径部41は左ネジとなっているため、大径部41とハウジング11とには、増し締めとなるような力が作用する。この結果、段付きボルト32とナット33とによってハウジング11とリアカバー25とが挟み込まれ、緩みのないボルト締結構造31が完成される。
【0036】
また、上記のように、ハウジング11とリアカバー25とが結合された後に、補修点検時等において、ハウジング11とリアカバー25とを離間させる必要が生じた場合には、まず、ナット33を左回りに回転させて段付きボルト32から離間させる。そして、リアカバー25を段付きボルト32から取り外す。これにより、ハウジング11とリアカバー25とが離間されるようになる。
【0037】
すなわち、ハウジング11とリアカバー25とを離間させたときには、図3(a)に示すように、ハウジング11に対して段付きボルト32を螺合させたままの状態としておくことができる。その結果、再度、ハウジング11に対してリアカバー25を結合するときに、上記第2及び第3の手順のみを行えばよく、結合の手間を軽減させることができるようになっている。
【0038】
また、ハウジング11とリアカバー25との脱着が繰り返されても、上記第1の手順はその都度繰り返し行う必要がないので、段付きボルト32のねじ込みによるハウジング11の雌ネジの変形を、最小限に抑えることができるようになっている。
【0039】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、まず、ハウジング11に対して段付きボルト32の大径部41を螺合させ、その後、段付きボルト32の小径部42に対して、リアカバー25の第2の貫通孔25aを挿通させるようにした。そして、第2の貫通孔25aから露出する小径部42に対して、ナット33を螺合させることによって、ハウジング11とリアカバー25とを結合させるようにした。また、ハウジング11とリアカバー25とが結合された状態において、小径部42からナット33を取り外し、段付きボルト32からリアカバー25を分離することにより、ハウジング11とリアカバー25とを分離させることができるようにした。そして、このとき、ハウジング11と段付きボルト32とを螺合させたままの状態とさせることができるようにした。
【0040】
従って、ハウジング11とリアカバー25との脱着を繰り返しても、ハウジング11から段付きボルト32を脱着させる必要がないので、ハウジング11の第1の貫通孔11aにおける雌ネジの変形を低減させることができる。そして、ハウジング11の材料として、低強度の材料を採用することができるようになる。
【0041】
(2)上記実施形態では、段付きボルト32の大径部41は、大径部41よりも大径のフランジ部35aと大径部41よりも小径の小径部42とによって挟まれるようにした。従って、段付きボルト32をハウジング11に螺合させるときに、段付きボルト32の大径部41以外の部分がハウジング11に対して螺合されることがないようにすることができる。その結果、ハウジング11の第1の貫通孔11aに大径部41以外の部分が螺合しようとすることによって、第1の貫通孔11aの雌ネジに変形が生じることを防ぐことができる。従って、ハウジング11の材料として、低強度の材料を採用することができる。
【0042】
(3)上記実施形態では、ハウジング11に対してリアカバー25を結合させるときに、ハウジング11に螺合されている段付きボルト32にリアカバー25の第2の貫通孔25aを貫挿させるようにした。従って、段付きボルト32を、ハウジング11とリアカバー25との位置決め用のガイドとして使用できる。そして、この結果、締結作業の効率を向上させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、段付きボルト32の大径部41に切られている雄ネジを左ネジ、小径部42に切られている雄ネジを右ネジとなるようにした。これを、大径部41を右ネジ、小径部42を左ネジとするようにしてもよい。そして、このような場合には、ハウジング11の第1の貫通孔11aのネジ山の形成方向を右方向に、ナット33のネジ山の形成方向を左方向とする。
【0044】
・上記実施形態においては、ボルト締結構造31を、クラッチ装置10のハウジング11とリアカバー25とを結合するための構造に具体化して説明したが、その他の2つの部材を結合するための構造に具体化してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、ボルト締結構造において、締結の対象となる部材の変形を防ぐとともに、締結作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるクラッチ装置の部分断面図。
【図2】同じく、段付きボルトの正面図。
【図3】同じく、ボルト締結構造を形成する手順を説明する図であり、(a)は第1の手順を、(b)は第2の手順を、(c)は第3の手順を説明する図である。
【図4】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【図5】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【図6】従来におけるボルト締結構造の部分断面図。
【符号の説明】
11…第1の部材としてのハウジング、11a…第1の貫通孔、25…第2の部材としてのリアカバー、25a…第2の貫通孔、31…ボルト締結構造、32…ボルトとしての段付きボルト、33…ナット、35…頭部、37…軸部、41…第1の軸部としての大径部、42…第2の軸部としての小径部。
Claims (1)
- 第1の貫通孔が形成された第1の部材と、第2の貫通孔が形成された第2の部材と、頭部と同頭部よりも小径の軸部とを備えたボルトと、前記軸部に螺合可能なナットとを備え、前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔とに前記ボルトの前記軸部を挿通させて、前記軸部を前記ナットにて締結し、前記第1の部材と前記第2の部材とを結合するボルト締結構造において、
前記軸部は、前記頭部側から順に、第1の軸部と、前記第1の軸部よりも小径の第2の軸部とを備え、
前記第1の軸部と前記第2の軸部とには、それぞれ、ネジ山の形成方向が反対方向である雄ネジが切られ、
前記第1の軸部は前記第1の貫通孔に形成されている雌ネジに螺合されているとともに、前記第2の軸部は前記第2の貫通孔に挿通され、前記第2の貫通孔から露出する前記第2の軸部に対して前記ナットが螺合されていることを特徴とするボルト締結構造。
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