JP4127970B2 - メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム - Google Patents
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Description
[技術分野]
本発明は、メタンを主成分とする気体を他の炭化水素(有機溶媒)と混合して貯蔵する、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの改良に関する。
【0002】
[背景技術]
従来より、メタンあるいは天然ガス等のメタンを主成分とする気体を貯蔵する方法には種々のものがあり、たとえば、高圧に圧縮して貯蔵したり、吸着材に吸着させて貯蔵する方法等が考えられる。さらに、メタンをプロパンやブタン等の炭化水素の混合溶媒に溶解させて液体状態で貯蔵する方法も提案されている。たとえば、USP5315054号公報にも、このようなメタンの溶解貯蔵方法が開示されている。
【0003】
しかし、上記従来のメタンの溶解貯蔵方法においては、単にメタンを炭化水素溶媒に溶解して貯蔵できる旨の開示があるのみであり、メタンをさらに高い貯蔵密度で貯蔵するためには、開示内容が不十分である。
【0004】
また、貯蔵容器から、燃料となるメタンあるいはメタンを主成分とする気体を一定組成で取り出す方法も開示されていない。貯蔵容器から取り出すガスあるいは液の組成が一定でないと、その燃焼性が変化し、内燃機関等での燃焼が不安定になるという不都合が考えられる。
【0005】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、メタンを高い貯蔵密度で貯蔵することができ、貯蔵容器から一定組成で貯蔵物を取り出せる、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムを提供することにある。
【0006】
[発明の開示]
上記目的を達成するために、本発明は、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて超臨界状態で貯蔵容器内に貯蔵し、その貯蔵容器内から貯蔵物を取り出して使用する、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムであって、前記貯蔵物が超臨界状態ではなくなり気相及び液相として存在するときには前記貯蔵物を気相部及び液相部の両方から取り出すことを特徴とする。
【0007】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭化水素溶媒は常温で液状の炭化水素であることを特徴とする。
【0008】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒は常温で液化しにくい炭化水素と常温で液状の炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする。
【0009】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭化水素溶媒はヘキサンであることを特徴とする。
【0010】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭化水素溶媒はガソリンまたは軽油であることを特徴とする。
【0011】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭化水素溶媒の代わりにジメチルエーテルを使用することを特徴とする。
【0012】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、少なくとも貯蔵物の取り出し初期においては、貯蔵容器内は超臨界状態であることを特徴とする。
【0013】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内の組成比は、炭素数3以上の炭化水素が7〜45%であり、炭素数2以下の炭化水素が93〜55%であることを特徴とする。
【0014】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内の組成比は、炭素数3以上の炭化水素が7〜65%であり、炭素数2以下の炭化水素が93〜35%であることを特徴とする。
【0015】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭素数3以上の炭化水素の主成分はブタンであることを特徴とする。
【0016】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭素数3以上の炭化水素の主成分はプロパンであることを特徴とする。
【0017】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器の内部が温度調節されることを特徴とする。
【0018】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内の炭化水素の組成比と炭化水素量とを検出する貯蔵容器内状態検出手段と、この検出結果に基づきメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との貯蔵容器への供給比を算出して供給する供給比制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、供給比制御手段はさらに、メタンを主成分とする気体の供給量に基づき供給比を算出することを特徴とする。
【0020】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内状態検出手段は、貯蔵容器内の圧力と温度と溶媒液量とを検出し、これらから炭化水素の組成比と炭化水素量とを求めることを特徴とする。
【0021】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から取り出される炭化水素は、内燃機関において燃焼させるものであり、貯蔵容器内状態検出手段は、この内燃機関に設けられた空燃比検出手段の出力に基づき炭化水素の組成比を求めることを特徴とする。
【0022】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器には一時充填容器、および貯蔵容器から残存炭化水素を回収する回収容器が接続されており、先に炭化水素溶媒が一時充填容器に供給された後、回収された残存炭化水素とメタンを主成分とする気体とが一時充填容器に供給され、その後一時充填容器から貯蔵容器へ供給されることを特徴とする。
【0023】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器には一時充填容器、および貯蔵容器から残存炭化水素を回収する回収容器が接続されており、炭化水素溶媒がこの一時充填容器に供給された後、貯蔵容器へ供給され、メタンを主成分とする気体が回収容器に供給された後、回収された残存炭化水素とともに貯蔵容器に供給されることを特徴とする。
【0024】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器の上方に位置し、貯蔵容器と並列に接続されてその連通を制御する手段を備えた配管を介して溶媒専用一時充填容器が設けられ、この溶媒専用一時充填容器に連通を遮断した状態で炭化水素溶媒が充填され、その後連通遮断が解除されて貯蔵容器に炭化水素溶媒が落とし込まれることを特徴とする。
【0025】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器は移動体上に設けられ、さらに移動体上の前記貯蔵容器には炭化水素溶媒を貯蔵する炭化水素溶媒専用貯蔵容器が接続されていることを特徴とする。
【0026】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器の貯蔵物を気相部から気体として取り出し、取り出した気体から炭化水素溶媒を液層として分離し、貯蔵容器に戻すことを特徴とする。
【0027】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、気相部からの気相炭化水素と液相部からの液層炭化水素とを一定比率で取り出して混合することを特徴とする。
【0028】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器には液量検出装置が設けられていることを特徴とする。
【0029】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から取り出される貯蔵物は、内燃機関において燃焼させるものであり、内燃機関に設けられた空燃比検出手段の出力に基づき貯蔵容器内の組成を一定に維持することにより、取り出された貯蔵物の組成を一定に維持することを特徴とする。
【0030】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、取り出された気相炭化水素と液層炭化水素とは、加熱混合されることを特徴とする。
【0031】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、取り出された液層炭化水素を気化させた後、取り出された気相炭化水素と混合することを特徴とする。
【0032】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器へのメタンを主成分とする気体の供給の際には、貯蔵容器を冷却することを特徴とする。
【0033】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器には、互いに離間した位置にメタンを主成分とする気体の複数の充填口が設けられ、メタンを主成分とする気体の充填途中で、充填口を変えることを特徴とする。
【0034】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器に設けられたメタンを主成分とする気体の充填口に接続され、貯蔵容器内部に延在する熱伝導手段が設けられていることを特徴とする。
【0035】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器には、互いに離間した位置にメタンを主成分とする気体の複数の充填口が設けられ、複数の充填口からメタンを主成分とする気体が同時に充填されることを特徴とする。
【0036】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器に設けられたメタンを主成分とする気体の充填口から内部に延在する延長通路部材が設けられ、延長通路部材の長手方向に亘って貯蔵容器の内壁から離間する位置に複数の放出口が設けられていることを特徴とする。
【0037】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器に設けられたメタンを主成分とする気体の充填口の内部出口の放出口が、斜め方向を向いていることを特徴とする。
【0038】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内の溶媒貯留域の最遠方にメタンを主成分とする気体の充填口が配置されたことを特徴とする。
【0039】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、メタンを主成分とする気体の充填途中から、貯蔵容器下部に設けられた充填口から充填することを特徴とする。
【0040】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、メタンを主成分とする気体の充填前に、炭化水素溶媒の一部を気化させて貯蔵容器外へ放出させることを特徴とする。
【0041】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内部または表面に設けられた減圧通路を介して貯蔵容器外へ貯蔵物を放出することを特徴とする。
【0042】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、減圧通路に蓄冷材を付設したことを特徴とする。
【0043】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、メタンを主成分とする気体の充填前に、冷却された炭化水素溶媒を充填することを特徴とする。
【0044】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器は攪拌手段を備えることを特徴とする。
【0045】
また、上記メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、緊急時には貯蔵容器から炭化水素溶媒を取り出して使用できることを特徴とする。
【0046】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器内の貯蔵物の組成を検出する組成情報検出手段と、この検出結果を前記貯蔵容器へのメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との供給側に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0047】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器内の残存炭化水素を回収する回収容器と、回収容器内の炭化水素の組成を検出する検出手段と、この検出結果に基づいて前記貯蔵容器へのメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との供給比を制御する供給比制御手段とを備えることを特徴とする。
【0048】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器の前段に、貯蔵容器にメタンを主成分とする気体より平衡圧力が低い炭化水素溶媒を充填するための溶媒専用一時充填容器が、これと前記貯蔵容器との連通を制御する手段を介して設けられていることを特徴とする。
【0049】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との供給源が、一時貯蔵タンクにそれぞれ制御手段を介して接続され、一時貯蔵タンクは、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器に接続されていることを特徴とする。
【0050】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器と、炭化水素溶媒のみを貯蔵し、貯蔵容器に制御手段を介して接続された炭化水素溶媒専用貯蔵容器とを備えることを特徴とする。
【0051】
また、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵装置であって、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて貯蔵する貯蔵容器の上部に設けられ、気体状の貯蔵物を取り出す気相取り出し口と、その気体状の貯蔵物から液を分離する気液分離器と、気液分離器で分離された液を貯蔵容器に戻す還流通路とを備えることを特徴とする。
【0052】
[発明を実施するための最良の形態]
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0053】
実施形態1.
本実施形態から実施形態9までは、本発明にかかるメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、メタンあるいは天然ガス等のメタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させ、貯蔵容器内にメタンを高い貯蔵密度で貯蔵する技術に関するものである。
【0054】
図1には、プロパンとメタンとの混合液体の38℃における気液平衡特性が示される。図1において、上部の線が液相線であり、下部の線が気相線である。図1からわかるように、プロパンとメタンとの混合液体は、メタンのモル割合が40%程度までは液体状態で存在している。しかし、メタンのモル割合がこの範囲を超え、液体状態で存在できなくなると、気体状態となるので、メタンの貯蔵密度が低下する。従って、広い温度範囲でメタンを高い密度で貯蔵するためには、この液体状態で存在できる範囲がなるべく広い方が好ましい。
【0055】
図2には、71℃におけるブタンとメタンとの混合液体の気液平衡特性が示される。この場合には、混合液体中のメタンのモル割合が60%程度まで液体状態が維持されることがわかる。
【0056】
さらに、図3には、100℃におけるヘキサンとメタンとの混合液体の気液平衡特性が示される。この場合には、混合液体中のメタンのモル割合が70%程度まで液体状態で存在できることがわかる。
【0057】
このように、炭素数の多い炭化水素、すなわち常温で液状の炭化水素の方が、メタンを溶解させた場合にも、広い温度範囲で液体状態を維持できる。この性質は、ヘキサンのような常温で液状の炭化水素を、上述したプロパンやブタンのような常温で液化しにくい炭化水素と混合した場合にも維持される。
【0058】
図4には、プロパンにヘキサンを10%加えた炭化水素溶媒にメタンを溶解させた場合の38℃における気液平衡特性が示される。図4に示されるように、メタンのモル割合が55%程度まで液体状態が維持されていることがわかる。これを、図1に示された、プロパンが100%の炭化水素溶媒を使用した場合と比較すると、メタンを溶解していった場合に液体状態として存在できる範囲が広くなっており、また一定のメタン濃度の場合には、ヘキサンを混合した炭化水素溶媒(図4)の方が圧力も低いことがわかる。これは、常温で液状の炭化水素であるヘキサンが、メタンとプロパンを安定化させているためと考えられる。
【0059】
同様にして、図5にはブタンにヘキサンを10%加えた炭化水素溶媒にメタンを溶解した場合の71℃における気液平衡特性が示される。この場合には、メタンのモル割合が70%程度まで液体状態が維持されることがわかる。図2に示されたブタン100%の炭化水素溶媒を使用した場合と比較すると、液体状態で存在できるメタンのモル割合の範囲が広くなり、また同じメタン濃度の場合の圧力も低くなっている。従って、ブタン100%の炭化水素溶媒の場合よりも、ヘキサンを10%加えた方が液としての安定性が向上していることがわかる。
【0060】
このように、ヘキサンのような常温で液状の炭化水素を含む炭化水素溶媒を使用することにより、より広い温度範囲でかつより広いメタンのモル割合で液体状態を維持できる。このため、メタンの貯蔵密度を向上することができ、メタンの貯蔵量を増加させることができる。この結果、例えば車載用途等で、広い温度範囲で使用される場合にも、安定してかつ多量のメタンを貯蔵することができる。
【0061】
なお、以上の説明では、2成分系の炭化水素溶媒を述べたが、これを3成分系以上とするのも好適である。また、常温で液化しにくい炭化水素の例としては、上述したプロパン、ブタン等があるが、この他の有機溶媒として、例えばジメチルエーテル等も使用できる。
【0062】
実施形態2.
本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムを車載用途に使用する場合には、通常燃料として使用されるガソリンあるいは軽油等をメタンを溶解するための炭化水素溶媒として使用できれば、インフラが整っている点、エンジンを搭載したバイフューエル車において、ガソリンや軽油を燃料としても使用できる点において優れている。ガソリンはC5〜C8程度の炭化水素の混合液体であり、軽油はC7〜C12の炭化水素の混合液体である。本発明者らは、環境温度範囲において、ガソリンあるいは軽油が液体であり、メタンを十分に溶解できることを確認した。
【0063】
図6には、ガソリンにメタンを溶解した場合の71℃における気液平衡特性が示される。図6からわかるように、メタンのモル割合として80%程度まで液体状態が維持されることがわかる。このため、メタンを溶解貯蔵させるための炭化水素溶媒として、ガソリンあるいは軽油は極めてすぐれているものと考えられる。
【0064】
実施形態3.
図7には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態3を実施するための装置の断面図が示される。図7において、貯蔵容器10には気相部12からメタンを取り出すための気相取出口14と、液相部16から炭化水素溶媒を取り出すための液相取出口18とが設けられている。液相取出口18は、貯蔵容器10の下部に設けられている。
【0065】
図7に示される液相部16には、炭化水素溶媒であるガソリンまたは軽油が収容され、これにメタンが溶解貯蔵される構成となっている。このため、ガソリンまたは軽油とメタンとを同時に貯蔵でき、貯蔵容器10のエネルギ密度を高く維持することができるとともに、燃料を貯蔵する貯蔵容器10が1つですむので、車載用途等に使用する場合に有利である。
【0066】
本実施形態においては、メタンをガソリンまたは軽油に溶解させて貯蔵するので、メタンを液相状態で貯蔵することができ、例えば天然ガスを圧縮ガスの状態(CNG)で貯蔵する場合よりも低い圧力で貯蔵することができる。したがって、圧縮天然ガス(CNG)の日本での規定圧力が200MPaであるが、同じ圧力であれば本実施形態の方法によった方が貯蔵密度を高くでき、貯蔵量を多くすることができる。
【0067】
本実施形態において貯蔵容器10に貯蔵されたメタンを使用する場合には、気相取出口14から貯蔵容器10の気相部12に存在しているメタンが90%程度の組成がほぼ一定のガスを取り出して使用する。メタンは炭化水素溶媒である液相部16に溶解しているので、気相部12からガスを取り出すと、溶解しているメタンが気相部12に気化蒸発してくる。液相部16に溶解しているメタンを使い終わると、気相部12からメタンを吹き込み、メタンの再充填を行う。
【0068】
本実施形態において特徴的な点は、液相部16の炭化水素溶媒を液相取出口18から取り出せる構成となっている点である。これにより、緊急的にガソリンあるいは軽油を燃料として使用することができ、燃料の種類に柔軟性を持たせることができる。
【0069】
実施形態4.
図8には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態4を実施するための装置の断面図が示される。図8において、貯蔵容器10には、気相部12にメタンを吹き込むためのメタン導入口20と、液相部16に炭化水素溶媒を導入するための溶媒導入口22とが設けられている。また、液相部16を攪拌するための攪拌器24も設けられている。
【0070】
貯蔵容器10の中に溶媒導入口22から炭化水素溶媒を導入し液相部16を形成した後、気相部12にメタン導入口20からメタンを導入すると、メタンは炭化水素溶媒である液相部16に溶解していく。しかし、単にメタンの圧力を増加させただけでは、液相部16への溶解が十分には行われない。この溶解度を上げるためには、例えば液相部16からメタンを吹き込みバブリングすることも考えられるが、実験の結果これでも十分な溶解度を得られないことがわかった。以上より、本実施形態においては、貯蔵容器10に攪拌器24を設け、メタン導入口20からメタンを導入する際に、この攪拌器24により液相部16の炭化水素溶媒を攪拌できることとした。これによりメタンの溶解度を著しく向上させることができた。
【0071】
表1には、本実施形態に係る方法により攪拌しながらメタンを吹き込んだ場合及び攪拌せずにメタンを吹き込んだ場合(液上方から導入)及び液相部16中にメタンを吹き込みバブリングさせた場合のメタンの溶解度の結果がそれぞれ示される。
【0072】
【表1】
【0073】
表1からわかるように、本実施形態の方法により、液相部16を攪拌器24で攪拌しながらメタンを吹き込んだ場合の炭化水素溶媒へのメタン溶解度が著しく向上されていることがわかる。
【0074】
例えば、実施形態3においてガソリンまたは軽油にメタンを溶解させる場合にも、本実施形態のように貯蔵容器10に攪拌器24を設け、液相部16を攪拌しながら溶解させればよりメタンの貯蔵量を増加させることができる。
【0075】
実施形態5.
図9には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態5を実施するための装置の断面図が示される。
【0076】
図9において、貯蔵容器10の内部には、有機多孔質材料26が収容されている。この有機多孔質材料26は、有機材料で構成されたスポンジである。本実施形態においては、このような有機多孔質材料26が収容された貯蔵容器10に、溶媒導入口22から炭化水素溶媒を導入し、ここにメタン導入口20からメタンを導入する。貯蔵容器10の気相部12及び液相部16には、有機多孔質材料26が存在しており、この作用により、より少ない炭化水素溶媒でより多くのメタンを溶解貯蔵できる。これは、以下のような理由によると考えられる。すなわち、メタンが炭化水素溶媒に溶解し、液化する理由は、溶媒となる炭化水素の分子にメタンの分子が引き寄せられるためであるが、貯蔵容器10内に有機多孔質材料26を収容すると、この有機多孔質材料26の分子にもメタン分子が引き寄せられる。このため、メタンの液化が容易となり、その結果として炭化水素溶媒の量を減らすことができる。
【0077】
なお、図9に示した例では、貯蔵容器10内のすべての空間に有機多孔質材料26が満たされているが、これを炭化水素溶媒の収容空間である液相部16の部分のみに有機多孔質材料26を配置する構成とすることも好適である。
【0078】
例えば、炭化水素溶媒としてブタンを使用し、これにメタンを140気圧、5℃の条件で溶解させると、混合溶液中のブタンのモル割合が20%程度となる。しかし、上述した有機多孔質材料26を貯蔵容器10内に配置すると、同じ条件でブタンのモル割合を14%程度まで減少させることができる。
【0079】
実施形態6.
以上に述べた各実施形態においては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ガソリン等の炭化水素溶媒、又はジメチルエーテル(DME)等にメタンを溶解させて貯蔵する方法が採用されている。このように、メタンを各種炭化水素溶媒に溶解する場合に、メタンと炭化水素溶媒との溶液が超臨界状態となるようにメタンを溶解させれば、メタンの貯蔵密度をさらに向上させることができる。
【0080】
図10には、メタンとプロパンとを各種割合で混合した液体の温度−圧力曲線が示される。図10において、例えば温度が30℃の状態でプロパンの液体にメタンを吹き込んで溶解させ、このメタンの圧力を上昇させていくと、93気圧程度で臨界軌跡を超え、超臨界状態となる。図11には、この場合の、各圧力に対するメタンの貯蔵密度が示される。メタンの貯蔵密度は、メタンとプロパンとの混合液体中のメタンの溶解量として示されている。図11からわかるように、臨界圧力付近でいったん貯蔵密度が下がるが、ほぼ圧力の増加に伴ってメタンの貯蔵密度も上昇している。従って、図10,図11においてメタンをより高圧まで吹き込み、超臨界状態で溶解させた方がメタンの貯蔵密度を向上できることがわかる。
【0081】
次に、メタンを炭化水素溶媒に吹き込む際の温度の影響について述べる。
【0082】
図12には、各種炭化水素にメタンを80mol%溶解させた液体の液相線が示される。各曲線の高温側の端点がそれぞれの臨界点を示している。図12からわかるように、炭化水素の炭素数が増加するにつれて臨界点が高温かつ高圧側へシフトしている。図13には、上記各臨界点におけるメタンの貯蔵密度が示される。図13においては、炭素数の増加とともにメタンの貯蔵密度が減少しているように見えるが、これは、各臨界点における温度が異なるためである。
【0083】
そこで、メタンの溶解度を調節し、35℃の一定温度で比較した結果が図14に示される。この場合、エタンはメタンの溶解量を減少させても液として存在できないので、記載していない。図14からわかるように、ペンタン及びヘキサンを使用した場合のメタンの貯蔵密度が他に比べて高くなっていることがわかる。これは、ペンタン及びヘキサンの臨界温度がプロパン及びブタンの臨界温度よりも高いため、35℃の状態でもほぼ臨界状態におけるメタンの貯蔵密度を維持できているからである。このように、一定温度、特に0℃以上の実用上有用な温度範囲においては、ペンタンやヘキサンのような臨界温度の高い炭化水素を使用した方がメタンの貯蔵密度を上げることができる。すなわち、使用温度と臨界温度との差が小さいかあるいは臨界温度の方が使用温度よりも高いような炭化水素を使用することが、メタンの貯蔵密度を増加させるうえで有利である。
【0084】
なお、以上は、いずれも2成分系で考えているが、これを3成分系あるいはそれ以上の系とすることもできる。
【0085】
図15には、ブタン20%、メタン80%の混合液体と、ブタン20%、エタン16%、メタン64%の混合液体との温度−圧力曲線が示される。図15からわかるように、3成分系であるエタンを16%添加した液体の方が、臨界温度が高くなっている。このように、混合する炭化水素の種類に応じて混合液体の特性を変化させることができるので、用途に応じて柔軟に対応することができる。
【0086】
実施形態7.
メタンと炭素数が3以上の炭化水素、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等(C3〜C6)とを混合すると、炭化水素の凝集力によりメタンが溶解液化する。メタンと上記各炭化水素とを混合した場合のメタンの各割合における相図が図16〜図19に示される。各図に示されるように、メタンの各混合割合毎に超臨界状態、すなわち圧力を上昇させても液化しない状態が存在する。
【0087】
本発明者らは、上記超臨界状態でメタンを貯蔵すると、メタン単体で圧縮ガス(CNG)として貯蔵する場合よりもメタンの貯蔵密度を高くできることを見いだした。これは、炭化水素を混合することにより、この炭化水素原子がメタン原子同士の反発を緩和し、緩衝材として作用するためと考えられる。
【0088】
図20には、35℃においてプロパン溶媒にメタンを加えていき、そのときのメタン密度及びプロパン密度を測定した結果が示される。また、この場合の混合物のエネルギ密度とメタンのモル割合(%)との関係が図21に示される。図20及び図21において、プロパン溶媒にメタンを加えていくと圧力が上昇していくが、80気圧まではメタンとプロパンとの混合物に液相が存在した。さらにメタンを加え、圧力が80気圧を超えると液相はなくなり、超臨界状態となった。80気圧の状態における液相でのメタンのモル割合は35%であった。また、メタンを加えることにより圧力が80気圧〜100気圧まで上昇する領域では、メタンとプロパンとの混合物が液相から超臨界状態への遷移状態であって、不安定な領域であった。
【0089】
図20に示されるように、上記各段階におけるメタンの貯蔵密度は、90気圧まで増加するが、完全な超臨界状態となった100気圧の段階では一旦低下する。その後はメタンの混合割合の増加とともに圧力が上昇し、メタンの貯蔵密度も増加する。さらにメタンを加えていき、200気圧となった段階では、メタンの貯蔵密度が体積割合としてV/V(大気圧下での貯蔵気体体積/貯蔵体積)=220となり、プロパンの貯蔵密度がV/V=50となった。CNGの場合には、200気圧において貯蔵密度V/V=200であるので、超臨界状態で貯蔵した方がメタンの貯蔵密度を高くできることがわかった。
【0090】
また、図21に示されるように、プロパン溶媒にメタンを加えていき、混合物中のメタンのモル割合が35%となったときから、すなわち80気圧となったときから超臨界状態への遷移が始まり、この遷移状態でメタンのモル割合が急激に増加し、圧力が100気圧となり完全な超臨界状態となったときのメタンのモル割合は55%となった。さらにメタンを加えると、メタンのモル割合も増加し、圧力も増加していく。上述した圧力が200気圧の状態までメタンを加えた場合には、メタンのモル割合が81.5%、プロパンのモル割合が18.5%となった。また、この場合の混合物のエネルギ密度の変化も図6に示されており、超臨界状態に遷移すると液相状態よりもエネルギ密度が低下することがわかる。しかし、超臨界状態となった後は、ほぼ圧力に対して一定である(微増している)。しかし、この場合のエネルギ密度は、圧縮天然ガス(CNG)の状態のメタンと比べると約1.6倍となっている。これは、メタンの他にプロパンが混合しているためである。
【0091】
以上の現象は、プロパン以外の炭素数が3以上の炭化水素を用いても同様である。また、エタンはメタンに近いので、メタンを主成分とするメタンとエタンとの混合物と炭素数が3以上の炭化水素とを用いた場合にも同様のことが言える。したがって、メタンあるいはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素の混合割合が93〜35%であり、プロパン、ブタン等の炭素数3以上の炭化水素の混合割合が7〜65%となるように炭素数3以上の炭化水素とメタンとを混合し、超臨界状態で貯蔵することにより上述したメタンの貯蔵密度及びエネルギ密度を向上させることができる。ただし、炭素数3以上の炭化水素にメタンを加えていって超臨界状態に遷移させる際に遷移状態では超臨界状態が不安定であるので、望ましくは超臨界状態が安定する組成範囲、すなわち炭素数3以上の炭化水素の混合割合が7〜45%であり、メタンあるいはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素の混合割合が93〜55%であることが望ましい。以上のような組成により超臨界状態で貯蔵することにより、メタンの貯蔵密度及びエネルギ密度の両方を増加させることができる。
【0092】
実施形態8.
本実施形態においては、炭素数3以上の炭化水素としてブタンが使用されている。図22には、21℃においてブタン溶媒にメタンを加えていった場合のメタン密度とブタン密度とが示される。また、この場合のメタンとブタンとの混合物のエネルギ密度とメタンのモル割合とが図23に示される。ブタン溶媒にメタンを加えていくと、120気圧までは液相が存在する。さらにメタンを加えると、液相から超臨界状態への遷移状態となり、不安定な領域となる。この遷移状態は130気圧程度まで続く。図22に示されるように、ブタン溶媒にメタンを加えていった場合、液相から遷移状態、遷移状態から超臨界状態への相変化にはあまり影響されず、圧力の上昇とともにメタンの貯蔵密度も増加していく。超臨界状態となった後、さらにメタンを加え、メタンとブタンとの混合物の圧力が200気圧となった時点でメタンの貯蔵密度V/V=300となり、このときのブタンの貯蔵密度V/V=55となった。
【0093】
また、図23に示されるように、メタンとブタンとの混合物の圧力が120気圧の時点では、液相が存在し、このときのメタンのモル割合が55%であった。さらにメタンを加え、圧力が130気圧となった段階で超臨界状態となり、このときのメタンのモル割合が73%となった。また、超臨界状態となると系内の状態も安定する。このように、ブタンを溶媒とした場合にも、プロパンを溶媒として使用した場合と同様に、超臨界状態になった時点でメタンのモル割合が急激に上昇し、天然ガスのメタンのモル割合に近づく。
【0094】
また、メタンとブタンの混合物のエネルギ密度は、図23に示されるように、超臨界状態となったときに液相状態よりも低下するが、超臨界状態となった後は、圧力の上昇によらずほぼ一定の値となっている。200気圧までメタンを加えた場合のメタンのモル割合は84.5%であり、ブタンのモル割合が15.5%となった。この場合のエネルギ密度を圧縮天然ガス(CNG)と比較すると、CNGの約2.1倍となった。
【0095】
このように、ブタンを溶媒として使用した場合にも、超臨界状態として貯蔵すると、メタンの貯蔵密度及びエネルギ密度を向上させることができる。
【0096】
実施形態9.
本実施形態においては、炭素数3以上の炭化水素としてプロパンが使用されている。メタンをプロパンに溶解した場合の相図は図16に示されている。図16からわかるように、プロパンのモル割合が80%の場合、温度が15℃以上となると、圧力によらず露点曲線と接しなくなる。このため、どのような圧力でも液化することなく超臨界状態あるいは気体状態として一定組成で貯蔵容器から取り出すことができる。
【0097】
このように、炭素数3以上の炭化水素としてプロパンを使用した場合には、常温でも液化しない状態で燃料を使用することができる。
【0098】
実施形態10.
本実施形態以降は、本発明にかかるメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器内から貯蔵物を取り出して使用する場合に、取り出された貯蔵物の組成を一定に維持する技術に関するものである。
【0099】
上述した実施形態7〜実施形態9において、メタンを炭素数3以上の炭化水素と混合する場合には、たとえば図24に示されるように、貯蔵容器10に炭化水素とメタンとを投入する。すなわち、まず貯蔵容器10に充填用配管28からプロパン、ブタン、ペンタン等の炭素数3以上の炭化水素を投入し、次に充填用配管28からメタンを吹き込む。この場合には、図24に示されるように充填用配管28が貯蔵容器10の底部に接続されているので、始めに投入された液体状態の炭化水素中をメタンがバブリングされることになる。これにより撹拌効果が生じ、速やかに超臨界状態へ移行させることができる。また、バブリングのみならず、撹拌機30を設け、これによって貯蔵容器10内の貯蔵物すなわちメタン含有炭化水素を撹拌するのも好適である。
【0100】
当初貯蔵容器10内には液相部16と気相部12とが存在しているが、上記のようにして、炭素数3以上の炭化水素中にメタンを吹き込むことにより、超臨界状態に移行すると液相部16が消失する。超臨界状態に移行すると貯蔵容器10内の組成は一定になり、取り出される貯蔵物の組成を一定にすることができる。
【0101】
図25には、図24に示された方法により製造された超臨界状態のメタン含有炭化水素を自動車等の移動体に搭載された移動体側貯蔵容器に充填する場合の例が示される。図25において、炭素数3以上の炭化水素が充填された炭化水素槽32から混合器34に炭化水素を投入する。次に、昇圧機36で200〜250気圧程度まで昇圧され、メタン蓄圧槽38に蓄圧されているメタンを混合器34に吹き込む。図には示されていないが、混合器34には所定の撹拌装置が設けられている。このようにして、メタンと炭素数が3以上の炭化水素とを混合し、200気圧程度で超臨界状態としたメタン含有炭化水素を混合ガス蓄圧ボンベ40に蓄える。混合ガス蓄圧ボンベ40に蓄えられた超臨界状態のメタン含有炭化水素は、充填機42により移動体側貯蔵容器に充填される。
【0102】
なお、一般の充填所には13A(ウオッベ指数12600〜13800(kcal/m3)、燃焼速度35〜47(cm/sec)、例メタン88%、エタン6%、プロパン4%、i−ブタン0.8%、n−ブタン1.2%)等の都市ガスが配管されているので、メタンの代わりにこれら都市ガスを使用することも好適である。
【0103】
前述した図24に示される貯蔵容器10に、メタンを主成分とする気体と炭素数3以上の炭化水素とを混合したメタン含有炭化水素を充填してゆくと、貯蔵容器10の温度が上昇してくる。貯蔵容器10の温度が上昇すると、実質的な充填率が低下することになるので貯蔵容器10を冷却する必要がある。
【0104】
図26は、貯蔵容器10を冷却する方法の例が示される。図26において、貯蔵容器10には、冷却用配管44が巻かれており、この冷却用配管44には、冷却液供給配管46から冷却液が供給される。たとえば、貯蔵容器10として1001のタンクを使用し、これにメタン83%、ブタン17%の組成のガスを充填した場合、環境温度が25℃で、冷却液温度を10℃とすると、タンクの内側温度が30℃となった。すなわち、環境温度に対して5℃程度の温度上昇にとどまった。これに対して、同様の条件で圧縮天然ガス(CNG)を充填した場合には、タンクの内側温度が50℃程度となり、環境温度から25℃程度温度が上昇していた。
【0105】
このように、本発明に係るメタン含有炭化水素の方が冷却効果が大きいのは、低圧において液相が存在し、高圧になるにしたがって超臨界状態となっていく性質があるので、超臨界状態に移行する前の低圧状態ではタンク内に存在する液相を冷却することになり、冷却効果が高いためと考えられる。
【0106】
実施形態11.
ブタン溶媒にメタンを加えていった場合の相図は、前述した図17に示される。図17に示されるように、メタンのモル割合が80%の場合には、常温たとえば15℃程度の温度で露点曲線を横切る圧力が存在する。このため、当初貯蔵容器内に超臨界状態で貯蔵されていても、メタンの使用とともに容器内の圧力が低下していくとある圧力で液化することになる。上記組成の場合には、露点曲線を横切らないための温度は60℃以上であり、一般的な使用環境の条件では、圧力が低下すると液化してしまうことがわかる。
【0107】
上述のとおり、貯蔵容器10内に気相と液相とが存在する場合、これらの各相におけるメタンの濃度は異なった値となる。すなわち、気相はメタンがリッチであり、液相ではブタンがリッチとなっている。したがって、貯蔵容器10から超臨界状態でメタン含有炭化水素を取り出す場合と同じ組成のメタン含有炭化水素を取り出すためには、気相及び液相の双方から一定比率で同時に取り出し、これを混合して使用する必要がある。このように、液相及び気相の両方から取り出すようにすれば、貯蔵容器10内全体としてメタン割合は超臨界状態のときと変化していないので、超臨界状態の場合と同様の組成の燃料を得ることができる。
【0108】
以上のような、貯蔵容器10内の貯蔵物を気相及び液相の双方から同時に取り出し、これを混合する手段の例を、以下に説明する。
【0109】
図27には、貯蔵容器10の液相部16及び気相部12の両方からメタン含有炭化水素を取り出す例が示される。この場合、液相部16の密度は気相部12の密度よりも高いので、そのぶん液相部16側からの取り出し配管48の径を気相部12側からの取り出し配管48の径よりも細くしておく。このようにして液相部16及び気相部12から取り出したメタン含有炭化水素は、取り出し配管48中で混合され、圧力調整器50で圧力を調整されて燃料使用側に供給される。
【0110】
たとえば、ブタンのモル割合17%、メタンのモル割合83%の混合物であるメタン含有炭化水素は、21℃、130気圧程度で気液の分離が生じる。この場合、液相部16側からの取り出し配管48の径を気相部12側からの取り出し配管48の径の2/3程度とすると、貯蔵容器10から取り出されるメタン含有炭化水素の組成が、超臨界状態で取り出される場合の組成とほぼ同一となる。
【0111】
なお、取り出し配管48には、取り出した燃料が貯蔵容器10に逆流することを防止するための逆止弁49が設けられている。
【0112】
図28には、貯蔵容器10からのメタン含有炭化水素の取り出し方法の変形例が示される。図28において、取り出し配管48の途中に、撹拌機52が設けられている。これにより、液相部16及び気相部12からそれぞれ取り出したメタン含有炭化水素の混合をより十分にでき、均一な燃料を得ることができる。撹拌機52としては、たとえば、ボールベアリングの軸部分に翼を設けたもの等が考えられる。このような撹拌機は、メタン含有炭化水素の圧力により回転し、撹拌を行うので、特に新たなエネルギ源は必要としない。
【0113】
図29には、貯蔵容器10からのメタン含有炭化水素の取り出し方法の他の変形例が示される。図29においては、取り出し配管48の途中に加熱室54が設けられている。この加熱室54で、貯蔵容器10の液相部16及び気相部12から取り出され、混合されたメタン含有炭化水素の加熱混合が行われる。これにより、メタン含有炭化水素中に含まれる液滴を完全に気化することができる。したがって、メタン含有炭化水素の混合状態を良好にでき、その組成の均一性を向上させることができる。
【0114】
上記加熱室54は、圧力調整器50の上流側でも下流側でもよい。この加熱室54の熱源としては、たとえば、エンジンの冷却水等を使用することができる。これにより、加熱室54内の温度が40〜60℃程度になるように設定するのが好適である。
【0115】
図30には、貯蔵容器10からのメタン含有炭化水素の取り出し方法のさらに他の変形例が示される。図30において、液相部16から取り出した液状のメタン含有炭化水素を加熱室54に導入して気化させ、このガスと気相部12から取り出した気体状のメタン含有炭化水素とを一定量ずつ混合することにより、一定組成の燃料をエンジン等の使用側に供給することができる。この場合、加熱室54から発生するガスと、貯蔵容器10の気相部12から取り出した気体状のメタン含有炭化水素との混合比は、必ずしも1:1ではなく、組成比を考慮して適宜混合比を決定する。これにより、さらにメタン含有炭化水素の組成を安定させることができる。
【0116】
貯蔵容器10の液相部16から取り出された液状のメタン含有炭化水素は、弁56で取り出し量が調整されつつ、逆止弁49を介して加熱室54に導入される。加熱室54は、エンジンの冷却水等を使用して40〜60℃程度の温度に設定されており、導入された液状のメタン含有炭化水素を気化する。加熱室54で気化したメタン含有炭化水素は、圧力調整器50で圧力調整されつつ、気相部12から取り出され同じく圧力調整器50で圧力調整された気体状のメタン含有炭化水素と混合される。この場合、上述したように、加熱室54から発生するガスの圧力調整器50と、貯蔵容器10の気相部12から取り出したガスの圧力調整器50とにより適宜圧力調整しつつ、貯蔵容器10内の全体の組成と同一組成のメタン含有炭化水素ガスを得るように制御する。なお、取り出し配管48の途中に、撹拌機52を設けておけば、さらに組成を均一化することができる。
【0117】
図31には、貯蔵容器10からのメタン含有炭化水素の取り出し方法のさらに他の変形例が示される。図31において、貯蔵容器10の内部に液相部16が生じた場合には、フロート58により液相部16の発生を検出できる構成となっている。フロート58は生じた液相部16の液面に位置しているので、この高さを検知すれば、貯蔵容器10内に生じている液量を検出することができる。このフロート58の位置は、位置検出センサ60により検出され、この出力が演算部62に入力される。ここで、フロート58、位置検出センサ60、演算部62により本発明に係る液量検出装置が構成される。
【0118】
また、貯蔵容器10の気相部12から気体状のメタン含有炭化水素を取り出すための気相部ノズル64には、圧力センサ66が設けられている。この圧力センサ66の出力も演算部62に入力される。
【0119】
以上のようにして、フロート58の位置により液相部16が発生したことを検出した場合には、位置検出センサ60からの出力に基づき演算部62が、生じた液量を算出する。同時に、圧力センサ66により気相部12の圧力を検出し、図示しない温度計によって検出された温度とともに演算部62で液相部16におけるメタン含有炭化水素の量を演算する。これにより、貯蔵容器10内の残量を正確に知ることができる。なお、あらかじめ貯蔵容器10内の初期の燃料組成はわかっているので、測定時の温度がわかれば液相部16及び気相部12の組成も算出することができる。
【0120】
このようにして求めた液相部16及び気相部12の組成に基づき、気相部ノズル64及び液相部ノズル68から所定の割合で気体状及び液体状のメタン含有炭化水素を取り出し、これらを混合することにより、超臨界状態で取り出す場合と同一組成の燃料を得ることができる。
【0121】
なお、以上は、貯蔵容器10からメタン含有炭化水素を取り出すことにより、貯蔵容器10の圧力が低下し、これにより超臨界状態が崩れて液相部16が生じることを前提としている。しかし、たとえば図17、図18、図19に示されるように、所定の割合でメタンを混合した炭化水素の場合には、それぞれ所定の温度より高ければ液相が生じない。したがって、たとえば図26に示された、貯蔵容器10の冷却用配管44に、エンジンの冷却水等を供給し、これによって貯蔵容器10を加熱すれば、貯蔵容器10内の圧力が低下しても超臨界状態を維持することができる。これにより、液相部16、気相部12から別々にメタン含有炭化水素を取り出す必要がなくなり、超臨界状態で一定組成のメタン含有炭化水素を取り出すことができる。このように、貯蔵容器10の内部を超臨界状態に維持するように温度調節するには、上述したようにエンジン冷却水を利用すればよい。このエンジン冷却水は通常90℃程度で供給されるので、たとえば炭化水素としてブタンを使用した場合には、メタンのモル割合が70〜80%程度としておけば、液相部16を生じない状態でメタン含有炭化水素の取り出しが可能となる。
【0122】
実施形態12.
図32には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器10の例が示される。図32において、所定の炭化水素とメタンとを混合する場合には、貯蔵容器10の底部に設けられた充填用配管28から炭化水素及びメタンを供給する。この場合、充填用配管28が貯蔵容器10の底部に設けられているので、まず液状の炭化水素を供給し、そこにメタンまたはメタンを主成分とする気体を吹き込めばバブリングにより撹拌効果が生じ、超臨界状態への移行が容易となる。この場合、充填用配管28の貯蔵容器10への接合部分に撹拌翼70を設け、メタンまたはメタンを主成分とする気体を吹き込む際にその圧力により回転する構成とすれば、より撹拌効果を高めることができる。
【0123】
図33には、このようなメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図33の例では、貯蔵容器10は縦型の構成となっている。これにより、メタンを溶解するための炭化水素液を貯蔵容器10に入れた場合に、その液面が高くなり、メタンの吹き込み時によりバブリングしやすくなる。この場合、充填用配管28の貯蔵容器10への接合部には、図32と同様に撹拌翼70を設ける構成としてもよい。
【0124】
以上の充填用配管28あるいは撹拌翼70が、本発明にかかる攪拌手段の例である。
【0125】
また、充填用配管28は、貯蔵容器10の下部に設けられており、液相部16側の取り出し配管48としても機能する。また、貯蔵容器10の上部には、気相部12側の取り出し配管48も設けられている。したがって、貯蔵容器10内に超臨界状態で貯蔵されていたメタン含有炭化水素の圧力が低下し、液相部16が生じた場合には、これらの上部の取り出し配管48と下部の取り出し配管48の双方からメタン含有炭化水素を取り出すことができ、前述した実施形態11の方法によりこれらを混合して、均一な組成のメタン含有炭化水素を得ることができる。
【0126】
本実施形態のように、貯蔵容器10を縦型とすると、たとえば車載用途に使用する場合等にスペース効率を向上させることができる。
【0127】
図34には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の他の例が示される。図34においては、貯蔵容器は横型のタンクとなっている。この貯蔵容器10には、図31の例と同様に、貯蔵容器10内に液相部16が生じたときに、この液相部16から液状のメタン含有炭化水素を取り出すための液相部ノズル68と、気相部12から気体状のメタン含有炭化水素を取り出すための気相部ノズル64とが設けられている。この気相部ノズル64が図33の上部の取り出し配管48に、液相部ノズル68が図33の下部の取り出し配管48にそれぞれ対応している。このようにして、超臨界状態が崩れ、液相部16が生じた場合には、気相部ノズル64と液相部ノズル68とからそれぞれ気体状、液体状のメタン含有炭化水素を取り出すことができ、これらを適宜混合すれば、超臨界状態の場合と同じ組成のメタン含有炭化水素を得ることができる。
【0128】
本例における貯蔵容器10に、炭化水素及びメタンを充填する場合には、液相部ノズル68からそれぞれの投入を行う。この場合、まず所定の炭化水素液を液相部ノズル68から貯蔵容器10に投入し、続いて気体状のメタンを液相部ノズル68から吹き込む。この液相部ノズル68には、炭化水素及びメタンの吹き出し口に撹拌翼70が設けられている。これにより、液状の炭化水素中に気体のメタンが吹き込まれる際には、この撹拌翼70がメタンの圧力により回転し、撹拌効果を高めることができ、超臨界状態への移行が容易となる。このような撹拌翼70は、図34に示されるように複数設けるのが好適である。
【0129】
図35には、図34に示された撹拌翼70の例が示される。図35において、撹拌翼70はボールベアリング型となっており、アウターレース72とインナーレース74との間にボールベアリング76が設けられてそれぞれが相対的に回転できるような構成となっている。また、インナーレース74の内部には、羽78が設けられており、メタンの吹き込み時ここにメタンガスが当たってインナーレース74とともに回転する構成となっている。このように、インナーレース74の中に設けられた羽78がメタンの圧力で回転することにより、貯蔵容器10内の液体を効率よく撹拌することができる。また、この回転力は、メタンの圧力から得られるので、特別な回転用の動力は不要である。
【0130】
実施形態13.
図36には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の貯蔵システムの一実施形態の構成が示される。図36において、固定側貯蔵容器80には、炭素数3以上の炭化水素とメタンまたはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素とが超臨界状態で貯蔵されている。この固定側貯蔵容器80は、メタン含有炭化水素を移動体に供給するための固定ステーションに設置されている。
【0131】
固定側貯蔵容器80には、充填機42が接続されており、この充填機42から自動車等の移動体に搭載された移動側貯蔵容器84に臨界状態のメタン含有炭化水素を充填する。これにより、移動側貯蔵容器84にも超臨界状態でメタン含有炭化水素を充填することができる。
【0132】
このようにして移動側貯蔵容器84にメタン含有炭化水素を充填していくと、固定側貯蔵容器80内の圧力が低下していく。前述した図16〜図19に示されるように、各種炭化水素にメタンを混合させて得たメタン含有炭化水素は、各メタンのモル割合に応じた温度と圧力で液化する場合がある。すなわち、所定温度において超臨界状態から圧力が下がっていくと、ある温度で露点曲線に交わりこの点で液相が発生する。たとえば、ブタンにメタンを混合させた場合、メタンのモル割合が80%のメタン含有炭化水素では、20℃において140気圧以上では超臨界状態であるが、この圧力より低くなると超臨界状態が崩れて液相が発生する。
【0133】
したがって、固定側貯蔵容器80内を常に超臨界状態に保つためには、移動側貯蔵容器84にメタン含有炭化水素を充填した後で、不足した分を再充填しておく必要がある。本実施形態に係る固定ステーションには、この固定側貯蔵容器80への充填のための、混合器34及びピストン86が設置されている。ピストン86には、それぞれメタン供給配管88及びブタン供給配管90が接続されている。なお、ブタン供給配管90は、ブタンに限られるものではなく、炭素数3以上の所定の炭化水素を供給できる構成であればよい。また、混合器34には、撹拌機92が設けられている。
【0134】
これらの混合器34及びピストン86で固定側貯蔵容器80に超臨界状態のメタン含有炭化水素を供給する場合には、まずピストン86にメタン供給配管88及びブタン供給配管90からそれぞれメタンとブタンとを供給し、これを混合器34にピストン86によって押し込む。この動作を繰り返すことにより、混合器34の圧力をメタンとブタンとの混合物が超臨界状態となる圧力まで続け、同時に撹拌機92によって撹拌して混合器34内を超臨界状態とする。次に、混合器34内で超臨界状態としたメタン含有炭化水素を固定側貯蔵容器80に供給する。なおこの場合、ブタン以外の炭素数3以上の炭化水素を使用することももちろん可能である。
【0135】
固定側貯蔵容器80の圧力としては、移動側貯蔵容器84の貯蔵圧力を200気圧程度とすると、250気圧程度に維持する必要がある。したがって、混合器34からメタン含有炭化水素の不足分を固定側貯蔵容器80に供給し、上記圧力を維持しておく。
【0136】
図37には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の貯蔵システムの変形例が示される。図37において、混合器34とピストン86とは一体的に構成されている。この場合、撹拌機92は通常時混合器34の外に配置されており、必要に応じて混合器34の中に挿入され、混合器34の内部を撹拌する構成となっている。撹拌機92が混合器34の外に出されている場合には、撹拌機92の投入口はシャッター94により閉鎖される。固定側貯蔵容器80にメタン含有炭化水素を供給する場合には、混合器34にメタン供給配管88及びブタン供給配管90からそれぞれメタンとブタンとを供給し、撹拌機92により撹拌した後、撹拌機92を混合器34の外に引き出して、超臨界状態のメタン含有炭化水素をピストン86で固定側貯蔵容器80に押し込む。なお、炭素数3以上の炭化水素としては、ブタンに限られるものではなく、他の炭化水素を使用することが可能である。本変形例においても、固定側貯蔵容器80の圧力は250気圧程度に維持される。
【0137】
以上のように、メタン含有炭化水素をピストン86で圧縮して圧力を上げる場合には、途中で露点曲線を横切って液相が生じる場合がある。図38には、メタンとブタンとを混合させた場合の相図が示される。この相図は図17に示したものと同じである。図38において、たとえばメタンのモル割合が80%、ブタンのモル割合が20%の場合には、温度30℃において圧力を上げていった場合、20気圧の圧力と140気圧の圧力で露点曲線と交わる。したがって、この温度では20気圧以上140気圧以下の範囲で液相が存在することになる。このため、メタンとブタンとの混合物ガスを20気圧以下、たとえば図38のA点から140気圧以上たとえば図38のB点まで一気に圧縮し、さらにB点から250気圧まで2段階以上で圧縮すれば、メタン含有炭化水素の液化の影響を小さくすることができる。このように、メタン含有炭化水素の圧縮を2段階以上とすることにより、より容易に高圧まで圧縮することができる。このためには、たとえば固定側貯蔵容器80にメタン含有炭化水素を供給するラインに複数のピストン86を設けることにより実現することができる。
【0138】
図36、図37に示された移動体82に搭載された移動側貯蔵容器84にメタン含有炭化水素を充填する場合には、充填量を計量しながら行う必要がある。しかし、たとえば図38に示されるように、メタン含有炭化水素はある温度及び圧力で液化する可能性があるので、正確に計量するためには液相が生じない状態すなわち超臨界状態で計量する必要がある。このため、充填機42の部分で液相が生じないように、その温度及び圧力を制御することが望ましい。圧力は固定側貯蔵容器80と同じ圧力とすることができるので、この圧力が多少下がった場合にも超臨界状態が維持できるように、充填機42に図示しない加熱設備を設けるのがよい。
【0139】
なお以上に述べたピストン86及び混合器34が本発明に係る圧入装置を構成する。
【0140】
実施形態14.
以上に述べたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにより超臨界状態で貯蔵されたメタンは、たとえば燃料電池に供給するために使用することができる。上述したように、本発明に係るメタンの貯蔵方法によれば、メタンの貯蔵密度を高くすることができるので、たとえば燃料電池式の自動車に応用することにより、メタンを貯蔵するためのタンク容量を小さくすることができ、燃料電池式自動車の燃料系統の軽量化、小型化を図ることができる。
【0141】
図39には、ブタンにメタンを溶解させた場合のメタン含有炭化水素(メタン含有ブタン)を燃料電池に使用するために改質する工程が示される。図39において、改質器ではメタンとブタンとがそれぞれ分解され、水素が取り出される。ここで、燃料電池式自動車で、たとえば500Km走行するためには、水素4Kgが必要となる。メタン1molからは4molの水素が、ブタン1molからは13molの水素がそれぞれ得られるので、図39に示された混合割合(メタンV/V=310、ブタンV/V=70)のメタン含有ブタンの場合には、4Kgの水素を得るのに、21L(リットル)の超臨界状態でのメタン含有ブタンが必要となる。
【0142】
同様にして、メタノールについても、500Km走行するための必要量を算出すると、以下の表2のようになる。
【0143】
【表2】
【0144】
表2に示されるように、メタノールを使用した場合には、500Km走行するために41リットル必要となる。これに較べ、メタンをブタンに溶解させたメタン含有ブタンを超臨界状態で貯蔵したものを燃料電池の燃料として使用した場合には、21リットルで500Kmの走行が可能となり、燃料貯蔵用のタンクを小型化することができる。
【0145】
また、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいては、メタンがプロパン、ブタン等の炭素数3以上の炭化水素とともに貯蔵されている。これらのプロパン、ブタン等は、メタンよりも分解されやすいので、水素を取り出すための改質反応をより低い温度で行うことができる。たとえば、メタンを水蒸気改質するには、900℃程度の温度が必要であるが、ブタンにメタンを溶解させ、超臨界状態で貯蔵したものは、改質のための分解温度を700℃程度とすることができる。このため、水素の熱ロスが減少でき、改質効率を向上することができる。
【0146】
また、上述したように、本発明に係るメタンを主成分とする気体貯蔵システムにより貯蔵したメタン含有炭化水素では、水蒸気改質の温度を低くできるので、改質に使用した水を回収することが容易となり、水蒸気改質のための水の補給量を大幅に減少させることができる。
【0147】
図40には、天然ガスを原料として、火力発電所において火力発電を行わせる、いわゆる定置発電の場合と、天然ガスをCNG(圧縮天然ガス)とし、これを改質した後、燃料電池(FC)に供給する場合と、天然ガスを本発明に係る貯蔵方法により超臨界状態で貯蔵したものを改質し燃料電池に供給する場合との3つの場合についての総合的な発電効率の比較が示される。図40に示されるように、本発明に係るメタンの貯蔵方法により貯蔵した超臨界状態のメタン含有炭化水素を燃料電池に供給する場合が最も総合効率を高くすることができる。これは、上述のように、本発明に係るメタン含有炭化水素の改質効率を高くすることができるからである。
【0148】
実施形態15.
図41には、本実施形態に係る貯蔵容器10及びこの貯蔵容器10に炭素数3以上の炭化水素とメタンあるいはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素とを供給する装置の例が示される。図41において、貯蔵容器10には、逆止弁49を介して小室96が接続されており、この小室96には炭素数3以上の炭化水素を供給する溶媒供給配管98及びメタンあるいはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素を供給するメタン供給配管100とが接続されている。
【0149】
貯蔵容器10からエンジン、燃料電池等のユーザ側にメタン含有炭化水素を供給すると、貯蔵容器10内のメタンと炭素数3以上の炭化水素とがともに減少していく。したがって、貯蔵容器10には、メタン及び炭素数3以上の炭化水素の両方を補給する必要がある。この場合、メタンあるいはメタンを主成分とする炭素数2以下の炭化水素では、その圧力が高いので、貯蔵容器10内を超臨界状態に維持するためにたとえば200気圧程度の圧力としていても、十分に貯蔵容器10に充填することができる。これに対して、炭素数3以上の炭化水素の場合にも、その圧力を高くすれば、貯蔵容器10への充填は可能である。しかし、通常炭素数の多い炭化水素の圧力を高くするのは、液化等の問題もあり、困難をともなう。
【0150】
このため、本実施形態においては、まず小室96に、低い圧力で炭素数3以上の炭化水素を溶媒供給配管98から所定量供給する。その後、メタン供給配管100から高圧のメタンを、小室96を介して貯蔵容器10に充填する。これにより、メタンが貯蔵容器10に充填される際に、小室96にあらかじめ注入しておいた炭素数3以上の炭化水素も同伴されるので、炭素数3以上の炭化水素の圧力を高くしなくても、容易に貯蔵容器10に充填することができる。
【0151】
上記小室96が本発明にかかる一時充填容器に相当する。
【0152】
実施形態16.
炭素数3以上の炭化水素としてブタンを使用し、これに13A等の天然ガスを溶解させて超臨界状態にした場合、その組成は図42に超臨界状態の領域として示されるような割合になる。したがって、貯蔵容器10から取り出すガスの組成も同様となる。次に、この状態から超臨界状態が崩れ、気相と液相とが混在する状態となった場合(図の液相+気相の領域)、ブタンは液相により多く含まれることになるので、気相部のガス組成は、メタンの割合が高くなり、ブタンの割合が低くなる。図42に示された例では、温度21℃の気液混相状態であり、この場合のn−ブタンの割合は7%程度で安定している。そこで、当初から貯蔵容器内のn−ブタンの割合を7%程度となるように調整した場合、図43に示されるように、気液混相の場合の気相部も、超臨界状態の場合にもほぼ一定の組成を維持できることがわかった。すなわち、貯蔵容器10内へ充填するメタン含有炭化水素の成分組成を、貯蔵容器内を気液混相状態とした場合の気相部の組成と同じにすれば、気液混相状態の気相部から、あるいは超臨界状態の下で、貯蔵容器10からほぼ一定の組成のメタン含有炭化水素を取り出すことができる。
【0153】
図43に示された例では、CH4が82.2%、C2H6が6%、C3H8が4%、i−C4H10が0.8%、n−C4H10が7%の組成であった。これにより、貯蔵容器10内の状態が超臨界状態状態であるか、気液混相状態であるかを問わず、貯蔵容器10から抜き出される貯蔵物の組成をほぼ一定に維持することができ、エンジン等のユーザ側の燃焼特性に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0154】
実施形態17.
図44には、貯蔵容器10内にブタンとメタンとを、ブタン:メタン=20:80の割合で貯蔵した場合に、車両等の使用側に超臨界状態で燃料を供給する場合と、気液混相状態の気相部12から燃料であるメタン含有炭化水素を供給する場合の、供給される燃料中のメタンの組成割合が示される。超臨界状態で供給される場合には、貯蔵容器10から抜き出される貯蔵物のメタンの組成割合は一定であるので、貯蔵容器10に残存するメタン含有炭化水素の割合も一定に維持される。
【0155】
これに対して、圧力、温度状態が変化し超臨界状態が崩れて気液混相状態となった場合に、その気相部12から貯蔵容器10の貯蔵物を供給した場合には、図44に示されるように、メタンの組成割合が高くなる。その結果として貯蔵容器10に残存するメタン含有炭化水素のメタンの組成割合も変化してしまう。従って、このようにメタンの組成割合が変化した貯蔵容器10にブタン:メタン=20:80の一定の組成割合の燃料を充填しても、貯蔵容器10内の燃料組成は当初の組成割合とずれたものとなってしまう。このため、燃料使用側に供給される燃料のメタンの組成割合も一定に維持できず、かつ貯蔵容器10内に最適な組成でメタンを高密度で貯蔵することもできなくなるという問題が生じる。
【0156】
そこで、貯蔵容器10内に残存するメタン含有炭化水素(燃料)量及びその組成割合を測定し、その測定データに基づいて燃料供給側であるガスステーションから貯蔵容器10内の組成割合を初期と同一となるようにブタン等の炭化水素溶媒及び天然ガス等のメタンを主成分とする気体を供給する必要がある。
【0157】
図45には、このようなメタン及び炭化水素溶媒の貯蔵容器10への供給を可能とする本実施形態に係る構成例が示される。図45において、燃料供給側から車両側の貯蔵容器10への燃料供給時に、貯蔵容器10に設けた貯蔵容器内状態検出手段102により貯蔵容器10内の貯蔵物であるメタン含有炭化水素の組成比と炭化水素溶媒量とを計測し、その計測値を燃料供給側の供給比制御手段114に送信する。このように、貯蔵容器内状態検出手段102は、貯蔵容器10内の貯蔵物の組成と炭化水素溶媒量とを検出する組成情報検出手段と、この検出結果を貯蔵容器10へのメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との供給側に送信する送信手段とを備える。供給比制御手段114では、この送信データの内容に基づいて、メタンを主成分とする気体であるCNG(圧縮天然ガス)と炭化水素溶媒との貯蔵容器10への供給比を算出する。この算出結果により、供給比制御手段114がCNG供給源104及び溶媒供給源106のバルブ開度を調整し、その車両にあった割合のCNG及び炭化水素溶媒を一時貯蔵タンク108に供給して一時貯留する。その後、車両側の貯蔵容器10に供給する。
【0158】
なお、この場合、一時貯蔵タンク108は、まず炭化水素溶媒を充填した後CNGを充填する。CNGは通常約20MPaの高圧であるが、先にCNGを一時貯留タンク108に充填すると、液体である炭化水素溶媒が充填しにくくなるためである。
【0159】
上記貯蔵容器内状態検出手段102には、貯蔵容器10の圧力、温度、液量が入力される。この圧力、温度により貯蔵容器10内のガス容量が検出できる。また、貯蔵容器10内の炭化水素溶媒量は図示しないフロートあるいは貯蔵容器10の静電容量の測定とにより検出できる。さらに、貯蔵容器10の圧力、温度から、予め作成した組成割合テーブルにより現在の貯蔵容器10内の組成比を算出することができる。
【0160】
さらに、貯蔵容器10の貯蔵物は、エンジン110等の内燃機関を有する燃料使用側で燃焼される。そこで、この燃料使用側において空燃比(A/F)検出手段112により空燃比を測定し、エンジン110で燃焼された燃料組成を算出すれば、エンジンへの燃料供給量を算出することができる。これにより、消費された燃料組成及び燃料量(炭化水素量)を求め、そのデータを溶媒供給側に送信するという構成も好適である。これにより、貯蔵容器10の貯蔵物の組成をほぼ一定に維持でき、エンジン110に供給される燃料組成を一定にできる。
【0161】
図46には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例が示される。図46において、一時貯蔵タンク108は燃料供給側ではなく車両側に設けられている。現状のガスステーション等の燃料供給側に一時貯蔵タンク108を設けることは困難を伴うが、本変形例のように車両側に一時貯蔵タンク108を設けることは比較的容易である。これにより、燃料供給側に新たな設備を設けることなくメタンを主成分とする気体及び炭化水素溶媒の車両への充填が容易に行えるようになる。
【0162】
なお、以上の例では、貯蔵容器10に満杯まで充填することが前提になっている。これに対し、満杯量未満の所定量を再充填することも考えられる。このため、本実施形態における供給比制御手段114は、メタンを主成分とする気体の供給量に基づいてCNGと炭化水素溶媒との供給比を算出することもできる。これにより、車両の貯蔵容器10に満杯まで充填せず、満杯量未満の所定量の再充填を容易に行うことができる。
【0163】
実施形態18.
図47には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態18の構成が示される。図47において、車両側に設けられた貯蔵容器10の貯蔵物は、貯蔵容器10の上部に設けられた気相取り出し口14から専ら気相部12のみが取り出される。また、貯蔵容器10内の炭化水素溶媒の液量は、液量検出装置116により検出される。
【0164】
このように、貯蔵容器10の上部に設けられた気相取り出し口14により気相部12のみを燃料として取り出せば、取り出された貯蔵容器10の貯蔵物の組成は、ほぼ一定の値に維持することができる。また、本実施形態では、貯蔵容器10からその気相部12のみを取り出すため、メタンを使用していっても、このメタンを溶解している炭化水素溶媒の消費量を少なく抑えることができる。
【0165】
以上のように、燃料供給側から貯蔵容器10に燃料を補給する際には、通常はCNG供給源104からCNGのみを供給する。また、この際に貯蔵容器10に設けられた液量検出装置116により貯蔵容器10の液量の減少が検出された場合には、溶媒供給源106から適宜炭化水素溶媒も供給する。この場合、上述の通り、貯蔵容器10の気相部12から取り出される炭化水素溶媒量は少ないので、液量検出装置116により貯蔵容器10の液量のみを検出しておけば、妥当な炭化水素溶媒の補充量を把握することができる。
【0166】
図48には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例が示される。図48においては、気相取り出し口14の途中に溶媒回収手段118が設けられている。この溶媒回収手段118は、貯蔵容器10の気相部12から取り出される気体中に含まれる微量の炭化水素溶媒を回収し、これを貯蔵容器10に戻すものである。これにより、貯蔵容器10内の炭化水素溶媒の減少をさらに抑制でき、貯蔵容器10内の炭化水素の組成比を安定させることができる。
【0167】
図49には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの他の変形例が示される。図49において、貯蔵容器10は車両側すなわち移動体上に設けられており、この貯蔵容器10には、炭化水素溶媒のみを貯蔵する炭化水素溶媒専用貯蔵容器120が接続されている。貯蔵容器10と炭化水素溶媒専用貯蔵容器120との間には、例えば制御弁等の制御手段が設けられる。これにより、大量に消費しない炭化水素溶媒は、移動体上に設けられた炭化水素溶媒専用貯蔵容器120に貯蔵しておくことにより、貯蔵容器10への炭化水素溶媒の補給をこの炭化水素溶媒専用貯蔵容器120から行うことができる。これにより、ガスステーション等の燃料供給側から車両側への炭化水素溶媒の再充填頻度を低下させることができる。
【0168】
実施形態19.
図50には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態19の構成例が示される。図50において、貯蔵容器10には、その底部から残存する燃料を回収するための回収容器122が接続されている。本実施形態において、貯蔵容器10に炭化水素溶媒及びCNGを充填する場合には、まず上記回収容器122に貯蔵容器10内の残存燃料を回収し、回収容器122に設けられた貯蔵容器内状態検出手段102により回収された燃料の量と組成とを検出して再充填に必要な炭化水素溶媒とCNGとの量を算出する。このようにして算出された炭化水素溶媒を炭化水素溶媒供給源106から一時貯留容器124に供給する。次に、回収容器122内に回収しておいた残存燃料も一時貯留容器124に供給する。この後CNG供給源104からCNGを前述した所定量だけ一時貯留容器124に導入して、一時貯留容器124の圧力を昇圧する。その後一時貯留容器124から貯蔵容器10へ一時貯留容器124の貯蔵物を供給する。
【0169】
以上のような構成とすれば、貯蔵容器10内の圧力が高い場合にも、炭化水素溶媒を容易に貯蔵容器10に充填することができる。
【0170】
図51には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例が示される。図51において、CNGは一時貯留容器124ではなく回収容器122に供給される構成となっている。これは、貯蔵容器10から回収容器122に残存燃料が回収された状態では、貯蔵容器10内の圧力は低下しているので、CNGの圧力によらなくても炭化水素溶媒を直接貯蔵容器10に充填することができる。このため、炭化水素溶媒のみが一時貯留容器124に供給され、一時貯留容器124から貯蔵容器10に供給される構成となっている。他方、CNGは回収容器122に供給され、回収容器122に回収されていた残存燃料と共に貯蔵容器10に充填される。なお、残存燃料は、回収容器122から一時貯留容器124に供給され、炭化水素溶媒と共に貯蔵容器10に供給してもよい。
【0171】
図52は、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの他の変形例が示される。図52において、回収容器122は、燃料供給側ではなく車両側に設けられている。これにより、燃料供給側に新たに設備を設置するという困難を解消することができる。
【0172】
本変形例においては、回収容器122に回収された貯蔵容器10の残存燃料の組成は、図50と同様に貯蔵容器内状態検出手段102によって検出される。この検出結果は、燃料供給側の供給比制御手段114に送られ、供給比制御手段114によって貯蔵容器10内の組成を一定にするために必要なCNGと炭化水素溶媒との供給比を算出する。この算出結果に基づいてCNG供給源104及び炭化水素溶媒供給源106からそれぞれ所定量のCNGと炭化水素溶媒とが貯蔵容器10に供給される。
【0173】
また、回収容器122に回収されていた残存燃料は、ポンプ126により貯蔵容器10に戻される。
【0174】
図53には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムのさらに他の変形例が示される。本変形例においても、回収容器122は車両側に設けられている。ただし、回収容器122に回収された残存燃料は、CNGが回収容器122に供給されることにより、CNGの圧力で貯蔵容器10に戻されるので、図52と異なりポンプ126が不要となる。
【0175】
実施形態20.
エンジン等の内燃機関によって貯蔵容器10内のメタン含有炭化水素を燃料として使用していく場合、貯蔵容器10の気相部12からのみ貯蔵容器10の貯蔵物を取り出しても、少量の炭化水素溶媒はエンジン側に供給されてしまう。従って、貯蔵容器10には、主な燃料であるメタンを主成分とする気体の他、これを溶解するための炭化水素溶媒も供給する必要がある。これにより、貯蔵容器10内の貯蔵物の組成が一定に維持され、結果的に貯蔵容器10から取り出された貯蔵物の組成も一定に維持することができる。
【0176】
このように、貯蔵容器10に炭化水素溶媒を補給する場合には、炭化水素溶媒の平衡圧力が低いため、貯蔵容器10に入れにくいことが問題となる。この問題を解決する方法としては、例えば予めCNGと炭化水素溶媒とを混合した混合物を貯蔵容器10に充填する方法も考えられるが、燃料供給側でこのような混合物を準備するのは、インフラ等の関係から困難な場合もある。
【0177】
図54には、このような問題を解決するための、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態20の構成例が示される。図54において、貯蔵容器10の上方には、溶媒専用一時充填容器128が設けられている。貯蔵容器10に炭化水素溶媒を補給するためには、まずバルブaを介して、不足分の炭化水素溶媒を溶媒専用一時充填容器128に補給する。この場合、溶媒専用一時充填容器128内は常圧にしておく。次に、上記バルブaを閉じ、溶媒専用一時充填容器128と貯蔵容器10との連通を制御するバルブbを開とし、両方の容器の内部圧力を同じにする。
【0178】
図54に示されるように、溶媒専用一時充填容器128は、貯蔵容器10の前段として、貯蔵容器10よりも高い位置にあるので、その液相部16も溶媒専用一時充填容器128の方が貯蔵容器10よりも高くなる。このように、両方の容器でその液相部16に液面差が生じるので、両容器の内部圧力が同じとなった場合には、重力により溶媒専用一時充填容器128から貯蔵容器10に炭化水素溶媒が移動する。
【0179】
以上の工程により、溶媒専用一時充填容器128中の炭化水素溶媒は、貯蔵容器10に供給される。なお溶媒専用一時充填用128中には、炭化水素溶媒のガスが残っている。このガスは、エンジン作動時にバルブcを開とし、優先的に使用して、溶媒専用一時充填容器128内の圧力を下げておく。これにより、溶媒専用一時充填容器128に再度炭化水素溶媒を充填することが可能となる。
【0180】
なお、貯蔵容器10にCNGを充填する場合には、バルブdを開として貯蔵容器10に供給する。また、貯蔵容器10の気相部12からエンジンに貯蔵物であるメタン含有炭化水素を供給する場合には、バルブe及びfを開として供給する。
【0181】
図55には、本実施形態に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例が示される。図55においては、メタンを主成分とする気体であるCNGがバルブdを介して、溶媒専用一時充填容器128に炭化水素溶媒を供給するラインに接続されている。この構成により、溶媒専用一時充填容器128に補給された炭化水素溶媒は、CNGの圧力により貯蔵容器10に移動することができる。
【0182】
なお、本変形例においてCNGを貯蔵容器10に充填する場合には、溶媒専用一時充填容器128を介して充填することになる。
【0183】
以上に述べた本実施形態では、溶媒専用一時充填容器128は全て車両側に設けられている構成となっていた。これに対して、図56には、このような溶媒専用一時充填容器128を燃料供給側に設けた変形例が示される。図56において、貯蔵容器10に供給する炭化水素溶媒は、燃料供給側に設けられた溶媒専用一時充填容器128に補給され、この炭化水素溶媒を逆止弁49を介して供給されるCNGと共に車両側に搭載された貯蔵容器10に送り込む構成となっている。
【0184】
通常、貯蔵容器10からエンジン側に同伴される炭化水素溶媒の量は少ないので、一回の充填で貯蔵容器10に補給される炭化水素溶媒の量も多くはなく、溶媒専用一時充填容器128の容量も小さいもので十分である。このため、燃料供給側に溶媒専用一時充填容器128を設けても大幅なコストがかかる等の問題はないと考えられる。また、本変形例によれば、車両側に複雑なシステムを組む必要がなくなるという効果もある。
【0185】
実施形態21.
図57には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態21の構成例が示される。図57において、貯蔵容器10には、炭化水素溶媒としてブタンあるいはガソリンを使用し、これにメタンを主成分とする気体として天然ガスが溶解貯蔵されている。この場合、炭化水素溶媒としてガソリンを使用すると、常温で天然ガスを吹き込み、貯蔵容器10内の圧力が17MPa程度まで上昇すると貯蔵容器10内は超臨界状態となる。また、炭化水素溶媒としてブタンを使用した場合には、天然ガスの吹き込みにより15MPa程度の圧力となると貯蔵容器10内が超臨界状態となる。このように、貯蔵容器10内が超臨界状態となった場合には、前述したようにメタンの貯蔵密度が向上できるほか、貯蔵容器10から取り出される貯蔵物の組成が一定に維持されるという効果がある。また、貯蔵容器10内が超臨界状態となった場合には、理論的には液相は存在しないはずである。
【0186】
しかし、ガソリンには、その構成物質として種々のものが混在しており、貯蔵容器10内が超臨界状態となった後にも、芳香族物質やアンチノック剤等が液層として貯蔵容器10内に残ってしまう。従って、このような状態で貯蔵容器10から貯蔵物を取り出し燃料として使用していくと、次第に貯蔵容器10内に上記液層が増加していく。このため、図57に示されるように、貯蔵容器10内の圧力が低下して超臨界状態が崩れ、気相部12と液相部16とに分離した場合には、液相部16を構成しているガソリンの組成が初期のものと異なってしまう。このため、かかる液相部16を取り出しても初期のガソリンと組成が異なってしまい、エンジン作動に支障が生じる可能性があるという問題が起こる。
【0187】
また、図58には、超臨界状態と気液混相状態とで貯蔵容器10から貯蔵物を取り出した場合の、炭化水素溶媒の組成割合がそれぞれ示される。なお、気液混相の場合には、気相部12から貯蔵物を取り出している。図58に示されるように、超臨界状態では、取り出された貯蔵物中の炭化水素溶媒の割合は約20%程度であるのに対し、気液混相状態の気相部12から取り出された貯蔵物中の炭化水素溶媒の割合は約8%程度まで低下している。このため、貯蔵容器10内が超臨界状態であるか気液混相状態であるかによって取り出される貯蔵物の組成が大きく変動してしまう。
【0188】
そこで、図57に示されるように、貯蔵容器10の上部に設けられた気相取り出し口14から貯蔵容器10の貯蔵物を気体状で取り出すこととし、この取り出された貯蔵物からは、気液分離器130により液状の炭化水素溶媒を分離して回収する構成となっている。この気液分離器130で回収された炭化水素溶媒は、逆止弁49を備える還流通路131を介して貯蔵容器10に戻される。これにより、貯蔵容器10内の炭化水素溶媒の量の減少を抑制することができる。このため、貯蔵容器10内の超臨界状態が崩れ、気液混相状態となった場合に、その液相部16から貯蔵容器10の貯蔵物を取り出した場合にも、初期の組成がほぼ維持されたガソリンとして取り出すことができる。
【0189】
また、貯蔵容器10内が気液混相状態となった場合にも、気相取り出し口14から気相部12を取り出し、同様の気液分離器130により含まれている炭化水素溶媒を分離して貯蔵容器10に戻す。これにより、さらに貯蔵容器10内の炭化水素溶媒の減少を抑制できる。
【0190】
なお、気液分離器130によって炭化水素溶媒が分離されたガスは、CNG(天然ガス)がリッチな状態となっており、これを燃料として使用する。このCNGリッチのガスは、貯蔵容器10内に溶解貯蔵された天然ガスの組成とほぼ一致し、常にその組成が安定化されている。図59には、気液分離器130の出口における炭化水素溶媒の組成割合が示される。図59では、貯蔵容器10内が超臨界状態である場合と気液混相である場合のそれぞれについて組成割合が示されている。図59からわかるように、いずれの状態においても、貯蔵容器10から取り出された貯蔵物中の炭化水素溶媒の組成割合はほぼ一定となっている。このため、取り出された貯蔵物の残部である天然ガスの割合もほぼ一定となっている。
【0191】
図60には、図57に示された気液分離器130の例が示される。図60において、貯蔵容器10から気液分離器130に入った貯蔵物は、冷却器132により冷却され、低沸点物質である炭化水素溶媒を液化させてより回収効率の向上を図っている。なお、冷却器132の冷媒としては、自動車用のエアコンの冷媒を使用することができる。
【0192】
図61には、図57に示された気液分離器130の他の例が示される。図61において、貯蔵容器10から取り出された貯蔵物は、気液分離器130に入る前にレギュレータ134により圧力が低下される。圧力が低下することにより、貯蔵容器10中で超臨界状態となっていた貯蔵物は気液分離されるので、気液分離器130での気液分離をより促進することができる。これにより、炭化水素溶媒の回収効率を向上できる。
【0193】
図62には、図57に示された気液分離器130のさらに他の例が示される。図62において、レギュレータ134は気液分離器130の内部に設けられている。レギュレータ134では、断熱膨張により貯蔵容器10から取り出された貯蔵物の圧力が下がるので、レギュレータ134の温度も低下する。このため、レギュレータ134を気液分離器130の内部に設けることにより、気液分離器130に入った貯蔵物を冷却することができ、炭化水素溶媒の回収効率をより向上することができる。
【0194】
実施形態22.
図63には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例が示される。図63において、貯蔵容器10には、メタンを主成分とする気体を導入するためのメタン導入口20と、メタンを主成分とする気体を溶解させるための炭化水素溶媒を導入する溶媒導入口22とが設けられている。また、貯蔵容器10には、その貯蔵物である、メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させた溶液138を取り出すための溶液取り出し口136も設けられている。なお、炭化水素溶媒としては、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ガソリン等が使用される。
【0195】
貯蔵容器10から上記溶液138を取り出す際に、単に溶液取り出し口136から溶液138を取り出したのでは、貯蔵容器10内に気相部が生じ、この気相部に揮発性の高いメタンが蒸発するので、溶液取り出し口136から取り出される溶液138の組成が徐々に変化し、メタンの含有量が減少していく。このように、溶液取り出し口136からメタンを炭化水素溶媒に溶解させた溶液138を取り出す際に、その溶液138の組成が変化すると、この溶液138を燃料として使用した場合にその燃焼性が変化する。このため、これを燃料として使用する内燃機関の燃焼が不安定になるおそれがある。
【0196】
従って、本実施形態においては、貯蔵容器10内の溶液138を、貯蔵容器10の内部圧力を一定に維持した状態で取り出せるように、ピストン140が設けられている。すなわち、このピストン140により、貯蔵容器10内の溶液138を、貯蔵容器10の内部圧力が一定となるように押し出すことにより、貯蔵容器10内に気相部が生ずることを防止できる。これにより、貯蔵容器10内の組成比を一定に維持でき、溶液取り出し口136から取り出される溶液138の組成も一定に維持することができる。この場合、貯蔵容器10の圧力は、図示しない圧力計により検知し、その検知圧力が一定となるようにピストン140を押し込むように制御する。
【0197】
実施形態23.
図64には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例が示される。図64において、貯蔵容器10には、メタンを導入するためのメタン導入口20と、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ガソリン等のメタンを主成分とする気体を溶解させるための炭化水素溶媒を導入する溶媒導入口22とが設けられている。また、本実施形態においては、貯蔵容器10の気相部から、メタンを主成分とするガスを取り出して燃料として使用するので、そのためのガス取り出し口142も設けられている。
【0198】
図65には、ブタンにメタンを82mol%溶解させた溶液138を貯蔵物として貯蔵容器10に収容し、この気相部からガスを取り出した場合の、貯蔵容器10内に残る溶液138の割合と、気相部から取り出されるガス中のメタンのモル濃度との関係が示される。図65に示されるように、貯蔵容器10内に残る溶液138が、60%程度となるまで、気相部から取り出されるガス中のメタンのモル濃度は一定であることがわかる。このため、本実施形態では、貯蔵容器10の溶液138の残量を監視し、その量が60%となるまでガス取り出し口142から燃料とするメタンガスを取り出すこととする。
【0199】
以上のようにして、貯蔵容器10から組成が一定であるメタンを主成分とする気体を取り出すことができ、内燃機関等で使用する際にその燃焼を不安定とすることを防止できる。また、本実施形態では、燃料として使用するのは、主としてメタンであるので、埋蔵量の少ない炭化水素溶媒は、消費量を低く抑えることができ、再使用することが可能となる。
【0200】
ただし、メタンが溶液138から気化する際には、炭化水素溶媒も一部同伴されるので、その減少分は貯蔵容器10にメタンを供給する前に補給する必要がある。
【0201】
実施形態24.
図66には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例が示される。図66において、貯蔵容器10には、貯蔵容器10の液相部から取り出された溶液138を受け入れ、その中に含まれるメタンを主成分とする気体を取り出すメタン脱気室144が接続されている。
【0202】
メタン脱気室144では、その内部圧力が低くなっているので、貯蔵容器10から取り出された溶液138中からメタンを主成分とする気体を脱気することができる。この場合、メタンの気化熱のため、メタン脱気室144内の溶液138の温度が低下するので、炭化水素溶媒のメタンを主成分とする気体への同伴は抑制される。従って、メタン脱気室144に残る溶液中の炭化水素溶媒量は、ほぼ貯蔵容器10から取り出されたときの量を維持することができる。このように、メタン脱気室144でメタンを主成分とする気体を脱気する際に溶液138の温度を十分に低下させるために、メタン脱気室144の容積は、貯蔵容器10に比べて十分小さくしておく必要がある。その容積としては、それに見合う量の溶液138を取り出しても、実質的に貯蔵容器10の内部圧力変化を生じさせない程度の少量であるのがよい。
【0203】
メタン脱気室144で脱気されたメタンを主成分とする気体は内燃機関等へ燃料として送られ、残った炭化水素溶媒は溶媒用タンク146にいったん貯蔵される。このように、貯蔵容器10から溶液138を取り出し、メタン脱気室144でメタンを主成分とする気体を取り出した後、残った溶媒を溶媒用タンク146に貯蔵しておく工程を繰り返し、貯蔵容器10内に貯蔵されたメタンを主成分とする気体を燃料として使用することができる。このため、埋蔵量の少ない炭化水素溶媒の再使用率を向上させることができる。例えば、ブタンにメタンを溶解させた場合、メタン脱気室144を使用しない場合に比べ、ブタンの残存量を30%ほど向上させることができた。
【0204】
以上の通り、本実施形態の方法によれば、貯蔵容器10から取り出される貯蔵物の組成を一定に維持することができる。
【0205】
なお、貯蔵容器10内の液体がなくなった場合に、貯蔵容器10内のガスも取り出して燃料として使用した後、まず溶媒用タンク146から溶媒導入口22を介して炭化水素溶媒を貯蔵容器10に還流し、ここに再びメタン導入口20からメタンを導入してメタンを炭化水素溶媒に溶解貯蔵させる。
【0206】
実施形態25.
以上に述べた実施形態23及び実施形態24では、貯蔵容器10の気相部からメタンを主成分とする気体を取り出すか、あるいはメタン脱気室144でメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒とを分離する方法が取られるが、これらの方法によっても、ある程度メタンを主成分とする気体に炭化水素溶媒が同伴することは避けられない。このため、貯蔵容器10内に貯蔵された炭化水素溶媒は、メタンを主成分とする気体の使用とともに少しずつ減少していく。したがって、貯蔵容器10には炭化水素溶媒を補給する必要がある。しかし、このためには、溶媒となる炭化水素を液化する必要があるが、このために炭化水素溶媒のタンクを冷却する必要があるので、容易に行うことはできない。また、CNG等メタンを主成分とする気体とは別に炭化水素溶媒も用意しておくのは、供給ステーションにとっても負担が大きくなる。
【0207】
そこで、本実施形態においては、あらかじめ、炭化水素溶媒の減少量を見込んでおき、その分をメタンを主成分とする気体に添加しておき、メタンを主成分とする気体を貯蔵容器10に供給する際に、炭化水素溶媒も同時に補給されるようにする。これにより、炭化水素溶媒をメタンと別に貯蔵容器10に供給する必要がなく、上述したような不都合を解消することができる。
【0208】
例えば、ブタンにメタンを140気圧で溶解させた場合、再使用できるブタンは当初タンク内に注入したブタン量の70%程度と見積もられる。従って、この減少分を補うために、再充填するメタンにブタンを5%添加すれば、上記減少量を補給することができる。
【0209】
実施形態26.
貯蔵容器10に天然ガス(CNG)等のメタンを主成分とする気体を充填していくと、貯蔵容器10内で天然ガスが圧縮されるために圧縮熱が生じる。貯蔵容器10の容積をたとえば501程度とした場合に、この圧縮熱により貯蔵容器10内の温度は環境温度から約60℃高い温度まで達する。
【0210】
図67(a),(b)には、貯蔵容器10としてボンベ型の容器を使用した場合に、これにCNGを充填した際の様子が示される。図67(a)において、貯蔵容器10にメタン導入口20からCNGを充填した場合には、貯蔵容器10のメタン導入口20の反対側の部分で発熱が生じる。このように、貯蔵容器10内で熱が発生すると、気体の熱膨張のために貯蔵容器10内に貯蔵できるCNGの量が低下する。
【0211】
他方、貯蔵容器10のメタン導入口20の付近では、導入されるCNGの断熱膨張のために温度が低下する。このため、図67(a),(b)に示されるように、貯蔵容器10として使用されるボンベに、2つのメタン導入口20を設けておき、この2つのメタン導入口20を互いに離間した位置たとえばボンベの上下両端に設けておく。このようなボンベにCNGを充填する際に、まず図67(a)に示されるように、貯蔵容器10の上部に配置されたメタン導入口20からCNGを導入し、充填途中で、使用するメタン導入口20を貯蔵容器10の下部すなわち最初に使用したメタン導入口20の反対側に配置されたメタン導入口20からCNGを充填する。これにより、当初発熱していた部分が、CNGの断熱膨張により冷却される。また、あとからCNGを導入することにより発熱する部分については、最初にCNGを導入していたときに断熱膨張により温度が下がっているために、温度上昇が抑制される。
【0212】
以上のような構成により、貯蔵容器10の全体として温度上昇が抑制されるので、CNGの貯蔵密度を向上させることができる。また、これにより貯蔵容器10内の温度むらも抑制でき、貯蔵容器10内の貯蔵物の密度を安定できるので、貯蔵容器10から取り出される貯蔵物の組成の安定化を行いやすくすることができる。このため、貯蔵容器10から取り出された貯蔵物の組成を一定に維持することが容易となる。
【0213】
実施形態27.
図68には、本発明にかかるメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図68において、貯蔵容器10の内部には、メタン導入口20に接続され、貯蔵容器10の内部に延在する熱伝導手段148が設けられている。この熱伝導手段148としては、例えば銅箔やアルミニウム等の熱伝導性のよい材料が示される。
【0214】
このように、貯蔵容器10の内部に熱伝導手段148を設けることにより、貯蔵容器10にメタン導入口20からCNGを導入する際に発生する高温部と低温部との間の熱伝達性を向上させ、貯蔵容器10内の温度の均一化を図ることができる。これによって、貯蔵容器10内の温度むらをなくすことができ、貯蔵密度の向上等、貯蔵物の組成の安定化を図ることができる。
【0215】
図69には、本実施形態に使用される貯蔵容器10の変形例が示される。図69においても貯蔵容器10の内部に熱伝導手段148が設けられている。本変形例では、この熱伝導手段148に加え、貯蔵容器10の、メタン導入口20の反対側にヒートパイプ150も設けられている。これにより、貯蔵容器10内で発生した熱は、ヒートパイプ150から外部に放出されるので、貯蔵容器10の冷却性がより向上できる。
【0216】
実施形態28.
図70には、本発明にかかるメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図70において、貯蔵容器10の両端側には、2つのメタン導入口20が設けられている。本実施形態においては、貯蔵容器10にCNG等のメタンを主成分とする気体を充填する場合には、2つのメタン充填口20から同時に充填を行う。これにより、貯蔵容器10内で発熱する部分と冷却される部分とが互いに重なり合うことになるので、貯蔵容器10内の温度上昇が抑制され、貯蔵物の密度を安定させることができる。
【0217】
実施形態29.
図71には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図71において、貯蔵容器10には、1つのメタン導入口20が設けられており、このメタン導入口20から貯蔵容器10の内部に延在する延長通路部材152が設けられている。この延長通路部材152は、メタン導入口20から導入されたCNGを貯蔵容器10内に放出するための放出口154が多数設けられている。この放出口154の径を小さくしておけば、CNGが吹き出る際に断熱膨張が生じ、これによって貯蔵容器10内の貯蔵物を冷却することができる。
【0218】
この際、放出口154のうち最も貯蔵容器10の内壁に近い側のものと内壁との距離をある程度離すことにより(図71で距離Xとして表示)、放出口154から放出されるCNGの断熱膨張によって発生した低温を貯蔵容器10の壁に伝わり難くできる。これにより、低温により貯蔵容器10内の貯蔵物を直接、有効に冷却することができる。
【0219】
また、上述した放出口154を多数設けることにより、冷却箇所が多くなるので、貯蔵容器10内の貯蔵物全体の発熱を効率よく抑制することができる。
【0220】
図72には、図71に示された貯蔵容器10の変形例が示される。図72においては、延長通路部材152が、メタン導入口20の反対側の端まで延び、貯蔵容器10の壁に固定されている。これにより、貯蔵容器10が振動した際にも延長通路部材152にひび割れ等が生ずることを防止できる。
【0221】
図73には、図71に示された貯蔵容器の他の変形例が示される。図73において、延長通路部材152は、そのほぼ中央部分で2分割され、かつ一方の径を他方の径よりも小さくして、径の小さいほうの延長通路部材の端を、径の大きな延長通路部材の端に挿入した挿入部分156を形成している。このような構成により、貯蔵容器10と延長通路部材152との熱変位が異なる場合にも、貯蔵容器10に余分な応力が加わることを防止できる。
【0222】
実施形態30.
図74には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図74において、貯蔵容器10には、メタン導入口20に接続されて、気体を放出する内部出口である放出口154が設けられており、この放出口154が斜め方向を向いている。これにより、貯蔵容器10にメタン導入口20からCNGを導入した場合には、放出口154から放出されるCNGのガス流が貯蔵容器10内で、図74に示されるように螺旋状に回転するようになる。これにより、貯蔵容器10内が攪拌され、貯蔵容器10内の温度分布が均一化される。これにより、貯蔵容器内の貯蔵物の組成調製の精度を向上させることができる。
【0223】
実施形態31.
図75には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図75において、貯蔵容器10内には、揮発性がある溶媒が導入され、液相部16を構成している。また、貯蔵容器10の上記液相部16すなわち溶媒貯留域の最遠方にはメタン導入口20が設けられている。このような構成で、メタン導入口20からCNGを導入すると、溶媒貯留域である液相部16でCNGの圧縮による熱が発生し、この熱により液相部16の溶媒が蒸発する。このときの気化潜熱で貯蔵容器10内の温度上昇を抑制することができる。これにより、貯蔵容器内の温度むらを抑制でき、貯蔵物の密度が安定化でき、その組成調製精度を向上することができる。
【0224】
なお、上記溶媒としては、ジエチルエーテル等のエーテル類、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のパラフィン系炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類あるいはこれらの混合物が好ましい。混合物の例としては、例えばLPG、ガソリン、軽油等が考えられる。
【0225】
図76には、図75に示された貯蔵容器10の変形例が示される。図76においては、貯蔵容器10が横置きで使用される。これにより、液相部16の面積が増加するので、溶媒が気化しやすくなり、冷却効果をより大きくすることができる。
【0226】
図77には、図75に示された貯蔵容器10の他の変形例が示される。図77では、貯蔵容器10が斜め置きにされている。これにより、メタン導入口20からのCNGの導入時に発熱しやすい箇所により多くの溶媒を配置することができ、気化潜熱による冷却効果を高めることができる。
【0227】
実施形態32.
図78には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図78において、貯蔵容器10内には、多孔質体158が装填されている。この多孔質体158には、図75で説明したような炭化水素溶媒が吸着されている。このような状態でメタン導入口20からCNGを導入すると、多孔質体158に吸着された液体の表面積は大きくなっているので、より気化しやすくなり、貯蔵容器10内をより効率的に冷却することができる。これにより、貯蔵容器10内の温度むらの抑制効果を大きくすることができ、組成調整精度をさらに向上することができる。
【0228】
図79には、図78に示された貯蔵容器10の変形例が示される。図79においては、多孔質体158として金属繊維体が使用されている。金属繊維体では、これに吸われた炭化水素溶媒の表面積を大きくできると共に、高い熱伝導性により、さらに冷却効果を向上させることができる。
【0229】
このような金属繊維体の材料としては、例えば銅、アルミニウム等の繊維が考えられる。
【0230】
図80には、図78に示された貯蔵容器10の他の変形例が示される。図80においては、多孔質体158に通気孔160が設けられている。このような構成により、特に貯蔵容器10内のCNGの圧力が高くなった場合に、CNGと多孔質体158に吸われた炭化水素溶媒との接触面積をより多くすることができる。これにより、炭化水素溶媒が気化しやすくなり、貯蔵容器10内の冷却効果を向上することができる。
【0231】
図81には、図78に示された貯蔵容器10のさらに他の変形例が示される。図81において、多孔質体158は、金属繊維体162と樹脂多孔質体164とで構成されている。この樹脂多孔質体164としては例えばスポンジが考えられる。このように、金属繊維体162と樹脂多孔質体164を積層して多孔質体158を構成することにより、熱伝達は金属繊維体162で行い、吸い込まされた炭化水素溶媒の気化は樹脂多孔質体164で行う。これにより、多孔質体158の軽量化を図ることができる。
【0232】
図82には、図78に示された貯蔵容器10のさらに他の変形例が示される。図82においては、貯蔵容器10内に装填される多孔質体158が、形状記憶合金166によって構成されている。この形状記憶合金166の径は、当初貯蔵容器10のメタン導入口20の径よりも小さい径(1)とされており、貯蔵容器10内への挿入が容易である。この形状記憶合金166を貯蔵容器10内に挿入した後、加熱することにより、形状記憶合金166が貯蔵容器10内で広がり、貯蔵容器10の内面に付勢力を作用して固定される。このような構成により、多孔質体158を貯蔵容器10の製造後に入れることができるので、貯蔵容器10の製造工程を簡略化することができる。
【0233】
実施形態33.
図83には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図83において、貯蔵容器10には予め炭化水素溶媒を充填した後、以上に述べた実施形態26から実施形態32に基づいて貯蔵容器10内に圧力が16〜18MPa程度になるまでCNGを導入する。貯蔵容器10内の圧力が16MPa以上となれば、発熱はほとんど生じないので、貯蔵容器10内の液相部16側のメタン導入口20からCNGを導入する。このように、気体充填途中から貯蔵容器10の下部に設けられたメタン導入口20からCNGを充填すると、CNGは液相部16中をバブリングしながら貯蔵容器10内に導入されるので、CNGの溶解貯蔵密度を上昇させることができる。
【0234】
実施形態34.
図84には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図84において、貯蔵容器10にCNGを充填する前に、貯蔵容器10内に残存するメタンを主成分とする気体及び炭化水素溶媒の一部を、弁168及び減圧チャンバ(減圧通路)170を介して貯蔵容器10の外に放出する。これにより、減圧チャンバ170中で放出されるガスの断熱膨張による冷却及び貯蔵容器10内の液相部16からの気体状物質の気化潜熱により、液相部16が冷却される。このため、CNGの貯蔵密度を高くすることができる。なお、上記放出された貯蔵物は、例えばエンジン等の使用側に供給される。
【0235】
図84に示された例では、主に貯蔵容器10内の気相部12から貯蔵物を放出する構成となっていたが、図85に示されるように、ノズル172の先端部を炭化水素溶媒内に位置させれば、主として炭化水素溶媒を放出することができる。これにより、炭化水素溶媒として、例えばガソリン、軽油等を使用した場合には、エンジン等にこれらの燃料を液状で供給できる。
【0236】
図86には、図84に示された貯蔵容器10の変形例が示される。図86においては、弁168と減圧チャンバ170との間に減圧弁174が設けられている。これにより、貯蔵容器10の気相部12から放出されるガスの膨張率を大きくでき、減圧チャンバ170における冷却効果をより高めることができる。
【0237】
図87には、図84に示された貯蔵容器10の他の変形例が示される。図87において、減圧弁174を介して放出されるガスは、貯蔵容器10内を通過せず、貯蔵容器10の周囲に巻かれた冷却管176を介して放出される。このような構成にすれば、例えば貯蔵容器10をスチールタンクのような熱伝達性の高い材料で形成した場合に、特に貯蔵容器10内の貯蔵物の冷却効果を高めることができる。
【0238】
図88には、図84に示された貯蔵容器10のさらに他の変形例が示される。図88において、減圧チャンバ170の外側部分には、蓄冷材178が付設されている。このような構成によれば、一旦ガス放出により減圧チャンバ170が低温になると、この低温が蓄冷材178に保持され、長時間冷却効果を維持することができる。これにより、例えばエンジンが動作中で、貯蔵容器10からガス放出が行われているときのみ貯蔵容器10内が冷却され、エンジン停止時等ガス放出が行わないときには冷却効果が得られないという問題を解消することができる。このため、貯蔵容器10の貯蔵物を低温に維持できるので、エンジン停止後直ちにCNGの充填を行わず、ある程度時間がたった後にCNG充填を行っても高い貯蔵密度を得ることができる。
【0239】
実施形態35.
図89には、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例が示される。図89において、貯蔵容器10にCNGを充填する際には、消費された炭化水素溶媒の補充も行うことになるの。そこで、補充される炭化水素溶媒を溶媒冷却器180で冷却して貯蔵容器10に供給する。これにより、貯蔵容器10内の貯蔵物の温度を下げることができ、CNGの貯蔵密度を高くすることができる。
【0240】
上述した溶媒冷却器180は、例えば車両の内部に設置し、車両用のエアコン冷媒を用いて炭化水素溶媒を冷却する構成とすることができる。これにより、燃料供給側に新たな冷却設備を設ける必要がなく、容易にCNGの高密度充填が可能となる。
【0241】
さらに、上述した溶媒冷却器180で補充する炭化水素溶媒を冷却する構成に加え、例えば図84に示されたような貯蔵容器10内の貯蔵物の放出による冷却も組み合わせれば、貯蔵容器10の冷却効果をさらに高めることができる。
【0242】
[産業上の利用可能性]
以上説明したように、本発明によれば、貯蔵容器から取り出される貯蔵物の組成が一定に維持され、内燃機関等での燃焼を安定化させることができる。
【0243】
また、メタンを主成分とする気体は、各種炭化水素溶媒に溶解して貯蔵されるので、メタンの貯蔵密度を向上することができる。
【0244】
また、メタンを主成分とする気体及び炭化水素溶媒を、超臨界状態として貯蔵容器内に貯蔵すれば、さらにメタンの貯蔵密度を向上させることができる。
【0245】
また、貯蔵容器への再充填を行う際に、貯蔵容器内の組成を把握し、貯蔵容器への供給組成を調整するので、充填後の貯蔵容器内の組成を最適化することができ、メタンの貯蔵密度の向上と、貯蔵容器から取り出されて使用側に供給される貯蔵物の組成を一定に維持することができる。
【0246】
また、貯蔵容器から使用側に貯蔵物を供給する際に、貯蔵容器の気相部から供給すれば、炭化水素溶媒の使用を少なくできるので、貯蔵容器内の液量のみを検出することにより、妥当な炭化水素溶媒の補充を行うことができる。
【0247】
また、貯蔵容器に供給する炭化水素溶媒は、移動体上に設けられた炭化水素溶媒専用貯蔵容器から貯蔵容器に供給すれば、燃料供給側から移動体へ炭化水素溶媒を補充する頻度を減らすことができる。
【0248】
また、貯蔵容器から取り出した気体状の貯蔵物から、炭化水素溶媒を液相として分離し貯蔵容器へ戻せば、さらに貯蔵容器内の炭化水素溶媒の消費量を抑えることができる。
貯蔵容器から使用側に貯蔵物を供給する際に、気相部と液相部の両方から一定比率で取り出せば、貯蔵容器内の組成が一定に維持でき、使用側に供給される貯蔵物の組成も一定に維持できる。
【0249】
貯蔵容器へのメタンを主成分とする気体の充填時に、貯蔵容器内を冷却すれば、貯蔵容器の貯蔵物の密度が安定し、貯蔵物の組成調整精度を向上させることができる。このため、貯蔵容器から取り出される貯蔵物の組成を一定に維持しやすくなる。
【0250】
また、貯蔵容器から貯蔵物を取り出す際に、取り出された貯蔵物が貯蔵容器外へ放出される際の断熱膨張及び気化潜熱を利用すれば、効率的に貯蔵容器内を冷却することができる。
【0251】
また、貯蔵容器内に充填する炭化水素溶媒としてガソリンまたは軽油を使用すれば、緊急時にガソリン又は軽油を燃料として使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロパンとメタンとの38℃における気液平衡特性を示す図である。
【図2】ブタンとメタンとの71℃における気液平衡特性を示す図である。
【図3】ヘキサンとメタンとの100℃における気液平衡特性を示す図である。
【図4】プロパンにヘキサンを10%加えた溶液とメタンとの38℃における気液平衡特性を示す図である。
【図5】ブタンにヘキサンを10%加えた溶液とメタンとの71℃における気液平衡特性を示す図である。
【図6】ガソリンとメタンとの71℃における気液平衡特性を示す図である。
【図7】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態3を実施するための装置の断面図である。
【図8】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態4を実施するための装置の断面図である。
【図9】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態5を実施するための装置の断面図である。
【図10】メタンとプロパンとの各混合割合における温度−圧力曲線を示す図である。
【図11】30℃におけるメタンとプロパンとの混合液体中のメタンの貯蔵密度を示す図である。
【図12】メタン濃度を80%とした各種炭化水素溶液の液相線を示す図である。
【図13】図12に示された各種炭化水素溶液の臨界点におけるメタンの貯蔵密度を示す図である。
【図14】図12に示された各種炭化水素溶液の35℃におけるメタンの貯蔵密度を示す図である。
【図15】メタンを溶解した2成分系及び3成分系溶液の温度−圧力曲線を示す図である。
【図16】メタン−プロパンの相図である。
【図17】メタン−ブタンの相図である。
【図18】メタン−ペンタンの相図である。
【図19】メタン−ヘキサンの相図である。
【図20】プロパン溶媒にメタンを加えていった場合のメタン密度及びプロパン密度を示す図である。
【図21】図20の場合において、メタンのモル割合及びエネルギ密度の変化を示す図である。
【図22】ブタン溶媒にメタンを加えていった場合のメタン密度とブタン密度とを示す図である。
【図23】図22の場合においてメタンのモル割合及びエネルギ密度を示す図である。
【図24】炭素数3以上の炭化水素にメタンを混合するための貯蔵容器の例を示す図である。
【図25】貯蔵容器から移動体側貯蔵容器にメタン含有炭化水素を充填する場合の例を示す図である。
【図26】貯蔵容器を冷却する方法の例を示す図である。
【図27】貯蔵容器の液相及び気相の両方からメタン含有炭化水素を取り出す例を示す図である。
【図28】図27の変形例を示す図である。
【図29】図27の他の変形例を示す図である。
【図30】図27のさらに他の変形例を示す図である。
【図31】図27のさらに他の変形例を示す図である。
【図32】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図33】縦型のメタン貯蔵容器の例を示す図である。
【図34】横型の貯蔵容器の例を示す図である。
【図35】図34に使用される撹拌翼の例を示す図である。
【図36】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの例を示す図である。
【図37】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例を示す図である。
【図38】メタンとブタンとの混合物の相図である。
【図39】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにより貯蔵したメタン含有ブタンを改質するための工程を示す図である。
【図40】天然ガスを定置発電に使用した場合と、CNGとして燃料電池に供給した場合、本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにより貯蔵したメタン含有炭化水素として燃料電池に供給した場合との効率の比較を示す図である。
【図41】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、炭素数3以上の炭化水素を低圧で貯蔵容器に充填する方法を示す図である。
【図42】貯蔵容器内が超臨界状態と気液混相状態の場合の気相部組成を示す図である。
【図43】図42の気液混相状態における気相部組成で貯蔵容器を充填した場合の、貯蔵容器内が超臨界状態及び気液混相状態における気相部組成を示す図である。
【図44】貯蔵容器内にブタン:メタン=80:20の割合で貯蔵し、超臨界状態で取り出した場合と気液混相状態の気相部から取り出した場合とのメタンの組成割合を示す図である。
【図45】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態17の構成例を示す図である。
【図46】図45に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例を示す図である。
【図47】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態18の構成例を示す図である。
【図48】図47に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例を示す図である。
【図49】図47に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの他の変形例を示す図である。
【図50】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態19の構成例を示す図である。
【図51】図50に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例を示す図である。
【図52】図50に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの他の変形例を示す図である。
【図53】図50に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムのさらに他の変形例を示す図である。
【図54】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態20の構成例を示す図である。
【図55】図54に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの変形例を示す図である。
【図56】図54に示されたメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの他の変形例を示す図である。
【図57】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムの実施形態21の構成例を示す図である。
【図58】貯蔵容器から超臨界状態と気液混相状態とで貯蔵物を取り出した場合の炭化水素溶媒の組成割合を示す図である。
【図59】図57に示された気液分離器の出口における炭化水素溶媒の組成割合を示す図である。
【図60】図57に示された気液分離器の例を示す図である。
【図61】図57に示された気液分離器の他の例を示す図である。
【図62】図57に示された気液分離器のさらに他の例を示す図である。
【図63】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例を示す図である。
【図64】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例を示す図である。
【図65】貯蔵容器の気相部から貯蔵物取り出す際の貯蔵容器内に残る液体量と取り出されるガス中のメタンのモル濃度との関係を示す図である。
【図66】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、貯蔵容器から貯蔵物を取り出すための構成例を示す図である。
【図67】(a)ボンベ型の貯蔵容器にCNGを充填した際の様子を示す図である。(b)ボンベ型の貯蔵容器にCNGを充填した際の様子を示す図である。
【図68】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図69】図68に示された貯蔵容器の変形例を示す図である。
【図70】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図71】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図72】図71に示された貯蔵容器の変形例を示す図である。
【図73】図71に示された貯蔵容器の他の変形例を示す図である。
【図74】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図75】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図76】図75に示された貯蔵容器の変形例を示す図である。
【図77】図75に示された貯蔵容器の他の変形例を示す図である。
【図78】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図79】図78に示された貯蔵容器の変形例を示す図である。
【図80】図78に示された貯蔵容器の他の変形例を示す図である。
【図81】図78に示された貯蔵容器のさらに他の変形例を示す図である。
【図82】図78に示された貯蔵容器のさらに他の変形例を示す図である。
【図83】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図84】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
【図85】図84に示された貯蔵容器の変形例を示す図である。
【図86】図84に示された貯蔵容器の他の変形例を示す図である。
【図87】図84に示された貯蔵容器のさらに他の変形例を示す図である。
【図88】図84に示された貯蔵容器のさらに他の変形例を示す図である。
【図89】本発明に係るメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムに使用される貯蔵容器の例を示す図である。
Claims (40)
- メタンを主成分とする気体を炭化水素溶媒に溶解させて超臨界状態で貯蔵容器内に貯蔵し、その貯蔵容器内から貯蔵物を取り出して使用する、メタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムであって、
前記貯蔵物が超臨界状態ではなくなり気相及び液相として存在するときには前記貯蔵物を気相部及び液相部の両方から取り出すことを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。 - 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒は常温で液状の炭化水素であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒は常温で液化しにくい炭化水素と常温で液状の炭化水素との混合溶媒であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒はヘキサンであることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒はガソリンまたは軽油であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭化水素溶媒の代わりにジメチルエーテルを使用することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、少なくとも前記貯蔵物の取り出し初期においては、前記貯蔵容器内は超臨界状態であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内の組成比は、炭素数3以上の炭化水素が7〜45%であり、炭素数2以下の炭化水素が93〜55%であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内の組成比は、炭素数3以上の炭化水素が7〜65%であり、炭素数2以下の炭化水素が93〜35%であることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項8または請求項9記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭素数3以上の炭化水素の主成分はブタンであることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項8または請求項9記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記炭素数3以上の炭化水素の主成分はプロパンであることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1から請求項11のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器の内部が温度調節されることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1から請求項12のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内の炭化水素の組成比と炭化水素量とを検出する貯蔵容器内状態検出手段と、この検出結果に基づきメタンを主成分とする気体と炭化水素溶媒との前記貯蔵容器への供給比を算出して供給する供給比制御手段と、を備えることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記供給比制御手段はさらに、メタンを主成分とする気体の供給量に基づき供給比を算出することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13または請求項14記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内状態検出手段は、前記貯蔵容器内の圧力と温度と溶媒液量とを検出し、これらから前記炭化水素の組成比と炭化水素量とを求めることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13または請求項14記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器から取り出される前記炭化水素は、内燃機関において燃焼させるものであり、前記貯蔵容器内状態検出手段は、この内燃機関に設けられた空燃比検出手段の出力に基づき前記炭化水素の組成比を求めることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13から請求項16のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器には一時充填容器、および前記貯蔵容器から残存炭化水素を回収する回収容器が接続されており、先に炭化水素溶媒が前記一時充填容器に供給された後、前記回収された残存炭化水素とメタンを主成分とする気体とが前記一時充填容器に供給され、その後前記一時充填容器から前記貯蔵容器へ供給されることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13から請求項16のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器には一時充填容器、および前記貯蔵容器から残存炭化水素を回収する回収容器が接続されており、前記炭化水素溶媒がこの一時充填容器に供給された後、前記貯蔵容器へ供給され、前記メタンを主成分とする気体が前記回収容器に供給された後、前記回収された残存炭化水素とともに前記貯蔵容器に供給されることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13から請求項16のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器の上方に位置し、前記貯蔵容器と並列に接続されてその連通を制御する手段を備えた配管を介して溶媒専用一時充填容器が設けられ、この溶媒専用一時充填容器に前記連通を遮断した状態で炭化水素溶媒が充填され、その後連通遮断が解除されて前記貯蔵容器に炭化水素溶媒が落とし込まれることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項13から請求項19のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器は移動体上に設けられ、さらに移動体上の前記貯蔵容器には前記炭化水素溶媒を貯蔵する炭化水素溶媒専用貯蔵容器が接続されていることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器の貯蔵物を気相部から気体として取り出し、取り出した気体から炭化水素溶媒を液層として分離し、前記貯蔵容器に戻すことを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記気相部からの気相炭化水素と前記液相部からの液層炭化水素とを一定比率で取り出して混合することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項22記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器には液量検出装置が設けられていることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項22記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器から取り出される貯蔵物は、内燃機関において燃焼させるものであり、前記内燃機関に設けられた空燃比検出手段の出力に基づき前記貯蔵容器内の組成を一定に維持することにより、取り出された貯蔵物の組成を一定に維持することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項22記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記取り出された気相炭化水素と液層炭化水素とは、加熱混合されることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項22記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記取り出された液層炭化水素を気化させた後、前記取り出された気相炭化水素と混合することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器へのメタンを主成分とする気体の供給の際には、前記貯蔵容器を冷却することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器には、互いに離間した位置に前記メタンを主成分とする気体の複数の充填口が設けられ、前記メタンを主成分とする気体の充填途中で、充填口を変えることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器に設けられたメタンを主成分とする気体の充填口に接続され、前記貯蔵容器内部に延在する熱伝導手段が設けられていることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器には、互いに離間した位置に前記メタンを主成分とする気体の複数の充填口が設けられ、前記複数の充填口から前記メタンを主成分とする気体が同時に充填されることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器に設けられた前記メタンを主成分とする気体の充填口から内部に延在する延長通路部材が設けられ、前記延長通路部材の長手方向に亘って前記貯蔵容器の内壁から離間する位置に複数の放出口が設けられていることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器に設けられた前記メタンを主成分とする気体の充填口の内部出口の放出口が、斜め方向を向いていることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内の溶媒貯留域の最遠方に前記メタンを主成分とする気体の充填口が配置されたことを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項28から請求項33のいずれか一項記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記メタンを主成分とする気体の充填途中から、前記貯蔵容器下部に設けられた充填口から充填することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記メタンを主成分とする気体の充填前に、炭化水素溶媒の一部を気化させて前記貯蔵容器外へ放出させることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器内部または表面に設けられた減圧通路を介して前記貯蔵容器外へ貯蔵物を放出することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項36記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記減圧通路に蓄冷材を付設したことを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記メタンを主成分とする気体の充填前に、冷却された炭化水素溶媒を充填することを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項1記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、前記貯蔵容器は攪拌手段を備えることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
- 請求項5記載のメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システムにおいて、緊急時には前記貯蔵容器から炭化水素溶媒を取り出して使用できることを特徴とするメタンを主成分とする気体の溶解貯蔵システム。
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