JP4124518B2 - 電子ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を有するとともに、実装面の下層にベタパターンを備え、電子部品を加熱することにより該電子部品を実装面に接続させる多層配線基板を有し、上記多層配線基板に上記電子部品を実装することによって構成される電子ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11に示す電子ユニットAは、多層配線基板Bに、電子部品としてのベアICチップCが、導電接合材料Dを介してフリップチップ実装されている。
【0003】
この電子ユニットAを構成する多層配線基板Bは、図11および図12に示す如く、配線パターンB1、絶縁層B2、ベタパターンB3、絶縁層B4、ベタパターンB5、絶縁層B6および配線パターンB7を積層することによって構成されており、実装面(図中上面)における配線パターンB1,B1…の先端には、それぞれ電極B1a,B1a…が形成されている。
【0004】
上述した多層配線基板BにベアICチップCを実装して電子ユニットAを製造するには、先ず、図14(a),(b)に示す如く、ベアICチップCにおける電極Ca,Ca…の表面に、既知のメッキ法やワイヤボンディング法によって、バンプ(接続用端子)Cb,Cb…を形成する。
【0005】
次いで、図15に示す如く、多層配線基板Bの実装面上において、ベアICチップCが実装される位置に導電接合材料Dを供給する。
ここで、導電接合材料Dがフィルム状であれば、貼り付ける方法によって供給され、また導電接合材料Dがペースト状であれば、転写による方法やディスペンサを用いる方法によって供給される。
【0006】
こののち、図16に示す如く、多層配線基板Bの電極B1a,B1a…と、ベアICチップCの電極Ca,Ca…(バンプCb,Cb…)とを位置合わせして、ベアICチップCを導電接合材料Dに載置する。
【0007】
次いで、図17に示す如く、ヒートツールTによって、ベアICチップCを加熱しつつ加圧し、導電接合材料Dを瞬間軟化させて、ベアICチップCのバンプCb,Cb…を、多層配線基板Bの電極B1a,B1a…に接触させ、さらに加熱と加圧とを続けて導電接合材料Dを硬化させることにより、多層配線基板BにベアICチップCが実装されることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した電子ユニットAは、特定の電子機器の一部を構成するもので、他の電子ユニット(図示せず)と組み合わせて機器筐体に収容される。
このため、上述した多層配線基板Bにおいては、他の多層配線基板と電気的にアイソレーションする目的で、内層におけるパターンの大部分を同一電位パターン(ベタパターンB3,B5)としている。
【0009】
ここで、上記構成の多層配線基板Bにおいて、ベアICチップCの実装位置の直下に、実装面の下層に形成されたベタパターンB3が位置している場合、ヒートツールTを用いてベアICチップCを加熱しつつ加圧する際に、ヒートツールTからの熱がベタパターンB3に吸収されてしまう。
【0010】
このため、導電接合材料Dに伝達される熱量に不均衡を生じ、導電接合材料Dにおける安定した軟化および硬化が行われず、もって多層配線基板BとベアICチップCとの電気的および機械的な接続性が低下する不都合があった。
【0011】
本発明は上記実状に鑑みて、多層配線基板と電子部品との安定した接続性を得ることの可能な、多層配線基板および電子ユニットの提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に関わる電子ユニットは、電子部品を有するとともに、
実装面に形成された第1の配線パターンにおける前記電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して前記電子部品が載置され、前記電子部品を加熱することにより前記導電接合部材を瞬間軟化させて前記電子部品と前記第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の反対面にあって、前記第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記電子部品の実装域と対応する位置に、前記電子部品より一回り大きい矩形状の切欠きを形成して、前記電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、
前記多層配線基板に前記電子部品を実装して成ること特徴としている。
【0013】
また、本発明に関わる電子ユニットは、電子部品を有するとともに、
実装面に形成された第1の配線パターンにおける前記電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して前記電子部品が載置され、前記電子部品を加熱することにより前記導電接合部材を瞬間軟化させて前記電子部品と前記第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の反対面にあって、前記第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記電子部品の実装域と対応する位置に、前記電子部品より一回り大きい範囲にメッシュを形成して、前記電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、
前記多層配線基板に前記電子部品を実装して成ること特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1に示す電子ユニット1は、多層配線基板10に、電子部品としてのベアICチップ20が、導電接合材料30を介してフリップチップ実装されている。
【0015】
また、上記電子ユニット1を構成する多層配線基板10は、図1および図2に示す如く、配線パターン11、絶縁層12、ベタパターン13、絶縁層14、ベタパターン15、絶縁層16および配線パターン17を積層することによって構成されており、実装面(図中上面)における配線パターン11,11…の先端には、それぞれ電極11a,11a…が形成されている。
【0016】
なお、この多層配線基板10は、上述した配線パターン17、絶縁層16、ベタパターン15、絶縁層14、ベタパターン13、絶縁層12および配線パターン11を順次積層することによって製造される、いわゆるビルドアップ型の多層配線基板(ビルドアップ基板)である。
【0017】
多層配線基板10のベタパターン13には、図1から図4に示す如く、多層配線基板10の実装面でのベアICチップ20の実装域と対応する領域に、後述するベアICチップ20への加熱時に熱バランスを均一にするための均熱部13Hが設けられている。
【0018】
この均熱部13Hは、ベタパターン13において、多層配線基板10の実装面でのベアICチップ20の実装域(図4(a)中の鎖線領域)と対応する位置20A(図4(b)中の鎖線領域)の周囲に、その各辺に沿って延びる4条のスリット13s,13s…を形成することによって構成されている。
【0019】
なお、上記ベタパターン13の更に下層のベタパターン15にも、図1および図2に示す如く、上述した均熱部13Hと同様に、スリット15s,15s…が形成されている。
【0020】
一方、上記電子ユニット1の製造工程、すなわち多層配線基板10に対するベアICチップ20の実装工程は、図14〜図17に示した従来の電子ユニットAの製造工程と何ら変わるところはない。
【0021】
すなわち、先ずベアICチップ20の各電極21に、各々バンプ22形成する一方、多層配線基板10の実装面上におけるベアICチップ20の実装位置に、導電接合材料30を供給する。
【0022】
次いで、ベアICチップ20を導電接合材料30に載置したのち、ヒートツール(図17中の符号T参照)によってベアICチップ20を加熱しつつ加圧し、導電接合材料30を瞬間軟化させて、ベアICチップ20の各バンプ22を多層配線基板10の各電極11a接触させ、さらに加熱と加圧とを続けて導電接合材料30を硬化させて、多層配線基板10にベアICチップ20を実装する。
【0023】
ここで、ヒートツールによってベアICチップ20を加熱しつつ加圧する際、上述した如く、ベタパターン13には均熱部13Hを構成するスリット13s,13s…が形成されているために、上記ヒートツールからの熱がベタパターンを13を伝わって逃げてしまうことが抑えられる。
【0024】
これにより、ベアICチップ20の下部が不均衡を生じることなく加熱され、導電接合材料30の均等で安定した軟化および硬化が行われることにより、多層配線基板10における電極11aとベアICチップ20におけるバンプ22との接続性が安定したものとなる。
【0025】
また、ベタパターン13おける均熱部13Hでは、スリット13s,13s…に囲まれた部位と、スリット13s,13s…の外方の部位とが、隣接するスリット13s,13sの間隙を介して導通しているので、ベタパターン13におけるアイソレーション効果を損なうことはない。
【0026】
図5に示す均熱部13Hは、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置20Aの周囲に、コーナーに倣って屈曲した4条のスリット13sを形成して構成されている。
【0027】
図6に示す均熱部13Hは、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置20Aの周囲を巡る、四角い枠形状のスリット13sを形成して構成されている。
【0028】
図7に示す均熱部13Hは、ベタパターン13の縁部に位置している、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置20Aの周囲の3方にスリット13sを形成して構成されている。
【0029】
図8に示す均熱部13Hは、ベタパターン13のコーナー部に位置している、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置20Aの周囲の2方にスリット13sを形成して構成されている。
【0030】
上述した図5、図6、図7および図8に示した均熱部13Hを具備する多層配線基板においても、図1から図4に示した多層配線基板10と同様、多層配線基板に対するベアICチップの接続性が安定したものとなる。
【0031】
また、図5、図7および図8に示した均熱部13Hを具備する多層配線基板では、スリット13s,13s…に囲まれた部位と、スリット13s,13s…の外方の部位とが、隣接するスリット13s,13sの間隙を介して導通しているので、アイソレーション効果を損なうこともない。
【0032】
図9は、本発明に関わる電子ユニットを構成する多層配線基板を示しており、その基本構成は、図1〜図8に示した多層配線基板と変わらないものの、図9に示した多層配線基板における均熱部13Hは、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置20Aに、一回り大きい矩形状の切欠き13kを形成することにより構成されている。
さらに、図9に示した多層配線基板の実装域に、ベアICチップ20をフリップチップ実装することにより、図1に示した電子ユニットと基本的構成を同じくする、本発明に関わる電子ユニットが構成されることとなる。
【0033】
上述した構成の均熱部13Hを具備する多層配線基板においても、図1から図4に示した多層配線基板10と同様、ヒートツールによってベアICチップを加熱しつつ加圧する際、ヒートツールからの熱がベタパターンを13を伝わって逃げてしまうことが抑えられ、多層配線基板に対するベアICチップの接続性が安定したものとなる。
【0034】
図10は、本発明に関わる電子ユニットを構成する多層配線基板を示しており、その基本構成は、図1〜図8に示した多層配線基板と変わらないものの、図10に示した多層配線基板における均熱部13Hは、実装面におけるベアICチップ20の実装域と対応する位置より一回り大きい範囲にメッシュ13mを形成することにより構成されている。
さらに、図10に示した多層配線基板の実装域に、ベアICチップ20をフリップチップ実装することにより、図1に示した電子ユニットと基本的構成を同じくする、本発明に関わる電子ユニットが構成されることとなる。
【0035】
上述した構成の均熱部13Hを具備する多層配線基板においても、ヒートツールによってベアICチップを加熱しつつ加圧する際、ヒートツールからの熱がベタパターンを13を伝わって逃げてしまうことが抑えられ、多層配線基板に対するベアICチップの接続性が安定したものとなる。
【0036】
また、均熱部13Hを構成するメッシュ13mが導電性を保っているために、ベタパターン13におけるアイソレーション効果の低下を可及的に抑えることができる。
【0037】
なお、上述した実施例では、多層配線基板に実装される電子部品として、ベアICチップを例示しているが、多層配線基板に対してフリップチップ実装される電子部品であれば、例えばQFP(クワッドフラットパッケージ)等の半導体装置等、ベアICチップ以外の電子部品を搭載する配線基板や電子ユニットにも、本発明を極めて有効に適用し得ることは言うまでもない。
【0038】
また、多層配線基板にBGA(ボールグリッドアレイ)型の半導体装置を実装して成る電子ユニットの場合、上述した均熱部を具備する多層配線基板を採用することにより、上記半導体装置を加熱して多層配線基板から取り外す際、半導体装置の下部が安定して加熱されるため、リペア作業の効率化を達成することが可能となる。
【0039】
【発明の効果】
以上、詳述した如く、本発明に関わる電子ユニットは、電子部品を有するとともに、実装面に形成された第1の配線パターンにおける電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して電子部品が載置され、電子部品を加熱することにより導電接合部材を瞬間軟化させて電子部品と第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の反対面にあって、第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に設けられ、電子部品の実装域と対応する位置に、電子部品より一回り大きい矩形状の切欠きを形成して、電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、多層配線基板に電子部品を実装することによって構成されている。
また、本発明に関わる電子ユニットは、電子部品を有するとともに、実装面に形成された第1の配線パターンにおける電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して電子部品が載置され、電子部品を加熱することにより導電接合部材を瞬間軟化させて電子部品と第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の反対面にあって、第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に設けられ、電子部品の実装域と対応する位置に、電子部品より一回り大きい範囲にメッシュを形成して、電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、多層配線基板に電子部品を実装することによって構成されている。
【0040】
上記構成によれば、電子部品を加熱して多層配線基板の実装面に接続させる際に、ベタパターンに設けた切欠きあるいはメッシュの熱バランスを均一にする働きによって、電子部品の下部が不均衡を生じることなく加熱されることとなり、もって本発明に関わる電子ユニットによれば、多層配線基板と電子部品との安定した接続性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子ユニットを示す断面側面図。
【図2】 多層配線基板を分解して示す断面側面図。
【図3】 多層配線基板を示す分解斜視図。
【図4】 (a)および(b)は多層配線基板の実装面およびベタパターンを示す平面図。
【図5】 多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図6】 多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図7】 多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図8】 多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図9】 本発明の電子ユニットを構成する多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図10】 本発明の電子ユニットを構成する多層配線基板における均熱部の変形例を示す平面図。
【図11】 従来の電子ユニットを示す断面側面図。
【図12】 従来の多層配線基板を分解して示す断面側面図。
【図13】 従来の多層配線基板を示す分解斜視図。
【図14】 (a),(b)は、従来の多層配線基板に実装される電子部品を示す側面図。
【図15】 従来の電子ユニットの製造工程を示す概念図。
【図16】 従来の電子ユニットの製造工程を示す概念図。
【図17】 従来の電子ユニットの製造工程を示す概念図。
Claims (2)
- 電子部品を有するとともに、
実装面に形成された第1の配線パターンにおける前記電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して前記電子部品が載置され、前記電子部品を加熱することにより前記導電接合部材を瞬間軟化させて前記電子部品と前記第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の反対面にあって、前記第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記電子部品の実装域と対応する位置に、前記電子部品より一回り大きい矩形状の切欠きを形成して、前記電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、
前記多層配線基板に前記電子部品を実装して成ること特徴とする電子ユニット。 - 電子部品を有するとともに、
実装面に形成された第1の配線パターンにおける前記電子部品が載置される箇所に設けられた各電極にバンプが形成され、さらに導電接合部材を介して前記電子部品が載置され、前記電子部品を加熱することにより前記導電接合部材を瞬間軟化させて前記電子部品と前記第1の配線パターンが接続される第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の反対面にあって、前記第1の配線パターンと電気接続される第2の配線パターンが形成される第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記電子部品の実装域と対応する位置に、前記電子部品より一回り大きい範囲にメッシュを形成して、前記電子部品への加熱時に熱バランスを均一にするベタパターンが形成される第3の絶縁層とを備えた多層配線基板を有し、
前記多層配線基板に前記電子部品を実装して成ること特徴とする電子ユニット。
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