JP4122586B2 - チタン酸バリウム系セラミックの製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム系セラミックの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン酸バリウムを主成分とするチタン酸バリウム系セラミックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、誘電特性やPTC特性がよいという理由から、チタン酸バリウム系セラミックは、コンデンサやPTCサーミスタ等に広く用いられてきた。
【0003】
しかしながら、通常、チタン酸バリウム系セラミックを焼結させるためには、1300℃以上の高温下で焼成する必要があり、このような高温の熱処理を行うと、焼成炉に破損が生じやすく、焼成炉の維持費が大きくなるとともに、省エネの点からも好ましくないため、より低温で焼成することのできるチタン酸バリウム系セラミックが望まれていた。
【0004】
そこで、チタン酸バリウム系セラミックの焼成温度を下げるために、チタン酸バリウムに窒化ホウ素を添加してセラミックの半導体化温度を下げるという技術が「Semiconducting Barium Titanate Ceramics Prepared by Boron-Conducting Liquid-Phase Sintering」(In-Chyuan Ho、Communications of the American Ceramic Society Vol.77,No3,P829〜832、1994年)に開示されている。この文献によれば、チタン酸バリウムに窒化ホウ素を添加したセラミックは、その半導体化温度が1100℃程度での半導体化が可能であると報告されている。
【0005】
しかしながら、従来のように、単にチタン酸バリウムにホウ素を添加したセラミックでは、十分に焼成温度を下げることができなかった。本発明者らは、焼結助剤の組み合わせを種々検討し、焼結助剤として添加したホウ素化合物が反応して液相となる温度が高く、これが焼成温度を十分に下げることができない原因であるということを見出した。
【0006】
本発明の目的は、ホウ素化合物の液相化温度を下げて、焼成温度を低くすることのできるチタン酸バリウム系セラミックの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明のチタン酸バリウム系セラミックの製造方法は、チタン酸バリウム粉末に、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と、B元素を含む化合物とを添加して混合した後、成形して焼成するチタン酸バリウム系セラミックの製造方法であって、前記Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物として、それぞれBaCO 3 ,SrCO 3 ,CaCO 3 ,MgCO 3 を用い、前記B元素を含む化合物としてBNまたはB 4 Cを用い、前記Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と前記B元素を含む化合物とのモル比が、以下の範囲であることを特徴とする。
【0008】
【数1】
【0013】
また、第1の発明のチタン酸バリウム系セラミックの製造方法においては、前記チタン酸バリウム粉末をBaTiO3に換算し、前記B元素を含む化合物としてBNまたはB4Cを用い、前記チタン酸バリウム原料粉末と前記B元素を含む化合物とのモル比が、以下の範囲である。
【0014】
【数2】
【0016】
このように、チタン酸バリウム粉末に、ホウ素化合物、およびバリウムまたはバリウムに置換可能な元素を含む化合物をこのような範囲で添加することによって、ホウ素化合物の液相化温度の低下が顕著となり、焼成温度を1000℃以下にすることができる。また、このような範囲で上記化合物を添加することによって、得られるチタン酸バリウム系セラミックの機械的強度の低下を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のチタン酸バリウム系セラミックの製造方法は、BaTiO3粉末に、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と、B元素を含む化合物とを添加して混合し、得られた混合粉末を成形した後、焼成するという工程からなるものである。
【0018】
本発明に用いられるチタン酸バリウム粉末は、原料粉末を混合し、合成したものであるが、その後仮焼したものも含む。なお、チタン酸バリウム粉末の合成方法は水熱合成法、加水分解法、もしくは固相原料(BaCO3,TiO2)を仮焼する方法等が挙げられるが、特に限定するものではない。
【0019】
また、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物としては、BaCO3,SrCO3,CaCO3,MgCO3といった炭酸塩が挙げられる。
【0020】
また、B元素を含む化合物としては、BN,B4Cが挙げられる。
【0021】
なお、本発明のチタン酸バリウム系セラミックは、必要に応じ、上記化合物以外の添加物を添加してもよい。この場合、上記添加物は、チタン酸バリウム粉末を合成する段階、あるいは上記化合物を上記チタン酸バリウム粉末に添加する段階で添加される。
【0022】
また、上記チタン酸バリウム粉末と上記化合物とを混合した混合粉末の成形方法としては、混合粉末にバインダーを添加して所望の形状に加圧成形してもよいし、バインダーを添加した混合粉末をスラリー状にし、ドクターブレード法等でシート状に成形してもよい。
【0023】
次に、本発明のチタン酸バリウム系セラミックの製造方法を実施例を用いてさらに具体的に説明する。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
まず、湿式合成したBaTiO3原料粉末を仮焼後粉砕してBaTiO3仮焼粉末を得た。次に、B元素を含む化合物としてBN粉末を用意し、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物としてBaCO3粉末を用意した。そして、BaTiO3仮焼粉末にBN粉末およびBaCO3粉末を添加し、ジルコニアボールとともに5時間ボールミルで湿式混合して混合粉末を得た。
次に、得られた混合粉末にバインダーを混合して、50メッシュの篩いで造粒し、1.5ton/cm2でプレス成形し、成形体を得た。この成形体のバインダーを大気中で燃焼させた後、さらに大気中で800〜1300℃で2時間焼成して、本発明のチタン酸バリウム系セラミックを得た。
【0025】
ここで、それぞれの試料が15%以上収縮する焼成温度を調べた。その結果を表1に示す。なお、表中の※印は本発明の範囲外、*印は請求項2の範囲外を示す。また、比較例として、BaCO3およびBNともに添加しないものを他の試料と同様の条件で測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
(比較例1)
実施例1の比較例として、BaCO3粉末をBaTiO3の合成時に添加し、BN粉末をBaCO3を添加したBaTiO3仮焼粉末に添加したものを作製して比較例1とした。なお、BaCO3をBaTiO3の合成時に添加した以外は、その添加量、焼成条件等は実施例1と同様である。
【0028】
この比較例1において、実施例1と同様に試料が15%以上収縮する焼成温度を調べた。その結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表1に示すように、BaTiO3仮焼粉末にBaCO3およびBNを添加したものは、比較例に比べ、焼成温度が200℃以上低下していることがわかる。これに対し、BaCO3またはBNのうちどちらかを添加していない試料番号1から6,12,18,24,30では100℃程度しか焼成温度が低下していないことがわかる。
【0031】
また、表1、表2に示すように、BaCO3をBaTiO3の合成時に添加した比較例1は、実施例1と比べ、その焼成温度の低下が多くとも100℃程度であることがわかる。
【0032】
ここで、請求項2において、BaTiO3仮焼粉末に添加する化合物の添加比を(I)式のように限定したのは、試料番号11のように、BNに対するBaCO3の添加比が0.1より小さい場合には、炭酸塩の分解が遅れ、焼成温度が1000℃以上となるため好ましくないからである。
【0033】
一方、試料番号25,31,32のように、BNに対するBaCO3の添加比が5より大きい場合には、BNの反応が進まず、焼成温度が1000℃以上となるため好ましくないからである。
【0034】
(実施例2)
BaTiO3に添加する化合物の種類を変え、その焼成温度を測定した。なお、BaTiO3系セラミックの作製方法、焼成温度の測定方法等は、実施例1と同様である。
【0035】
【表3】
【0036】
表3に示すように、添加する化合物の元素の種類をBaの代わりにSr,Ca,Mgに変えたり、化合物の形を変えても、焼成温度が低下していることがわかる。
【0037】
(実施例3)
BaTiO3に添加する化合物のうち、BaCO3をBaTiO3に対し、モル比で0.02:1の割合で添加し、BNのBaTiO3に対する添加比を変動させ、焼成温度を1000℃とした以外は、実施例1と同様にしてチタン酸バリウム系セラミックを得た。このチタン酸バリウム系セラミックの機械的強度を3点曲げ強度試験によって測定した。その結果を表4に示す。なお、表4中の*印は請求項3の範囲外を示す。
【0038】
【表4】
【0039】
ここで、請求項3においてチタン酸バリウム粉末に対するB元素を含む化合物の添加比を(II)式のように限定したのは、試料番号51のように、BaTiO3に対するBNの添加比が0.01より小さい場合には、機械的強度が100MPaより小さくなり好ましくないからである。一方、試料番号57のように、BaTiO3に対するBNの添加比が0.20より大きい場合には、機械的強度が100MPaより小さくなり好ましくないからである。
【0040】
【発明の効果】
チタン酸バリウム粉末に、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と、B元素を含む化合物とを添加して混合した後、成形して焼成するチタン酸バリウム系セラミックの製造方法であって、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物として、それぞれBaCO 3 ,SrCO 3 ,CaCO 3 ,MgCO 3 を用い、B元素を含む化合物としてBNまたはB 4 Cを用い、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と前記B元素を含む化合物とのモル比を
【0042】
【数1】
【0043】
の範囲で添加することによって、ホウ素化合物の液相化温度の低下が顕著となり、焼成温度を1000℃以下にすることができる。
【0044】
また、チタン酸バリウム粉末をBaTiO3に換算し、B元素を含む化合物としてBNまたはB4Cを用い、前記チタン酸バリウム原料粉末と前記B元素を含む化合物とのモル比を
【0045】
【数2】
【0046】
の範囲で添加することによって、得られるチタン酸バリウム系セラミックの機械的強度を十分なものとすることができる。
Claims (1)
- チタン酸バリウム粉末に、Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と、B元素を含む化合物とを添加して混合した後、成形して焼成するチタン酸バリウム系セラミックの製造方法であって、
前記Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物として、それぞれBaCO3,SrCO3,CaCO3,MgCO3を用い、
前記B元素を含む化合物としてBNまたはB4Cを用い、
前記Ba,Sr,Ca,Mgのいずれかの元素を含む化合物と前記B元素を含む化合物とのモル比が、
前記チタン酸バリウム粉末をBaTiO 3 に換算し、前記B元素を含む化合物としてBNまたはB 4 Cを用い、前記チタン酸バリウム原料粉末と前記B元素を含む化合物とのモル比が、
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