JP4119798B2 - 車両の電気配線構造およびその補修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の電気配線構造、特に、ウインドウガラスで覆われる窓用開口部をそれぞれ有するインナパネルとアウタパネルとを組み合わせて両者間に閉断面空間を形成すると共に両パネルの少なくとも周縁部および近傍どうしを接合して形成され、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートの上記閉断面空間内に電線を配設する車両の電気配線構造、及びその電気配線に故障が生じた場合の補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、自動車等の車両の車体に形成した所定の開口を開閉可能に覆うドア等の開閉体は、通常、内板部材(インナパネル)と外板部材(アウタパネル)とを組み合わせ、両者間に空間部(パネル空間)を形成すると共に両パネルの周縁部および近傍どうしを接合して形成されている。尚、車室内に面するインナパネルの内側は、例えば合成樹脂で形成されたカバー体(内装トリム)で覆われるのが一般的である。
【0003】
例えば、車体後端部に後方へ開口する開口部を設けた車両では、この車体後端部の開口を上下方向へ開閉可能に覆う、所謂、リフトゲート,テールゲート,リヤゲート若しくはバックドア等と呼ばれる開閉体(以下、これら開閉体を総称して「テールゲート」と言うものとする。)が設けられ、該テールゲートは、上述のように、インナパネルとアウタパネルの少なくとも周縁部どうしを接合し、両者間にパネル空間を設けて構成される。尚、近年では、かかるテールゲートについても、インナ及びアウタのパネル材を合成樹脂製としたものが、実用に供されるようになりつつある。
【0004】
通常、このテールゲートには、停止ランプや方向指示ランプ、更にはライセンスプレート(所謂、ナンバプレート)を照らし出すランプなど、種々のランプ装置が設けられる他、例えば、電動モータで駆動されるワイパ装置なども仕様に応じて配設されている。
【0005】
このように、インナパネルとアウタパネルとを組み合わせ、両者間にパネル空間を設けて形成された車体部材(例えば、上記テールゲート等の開閉体)に、上記ランプ装置やワイパ装置などの電力供給を要する電気機器が設けられている場合、これら電気機器に対して給電を行うための給電ライン(電線)を配線する方法として、例えば、特許文献1或いは特許文献2に開示されているように、インナパネルとアウタパネル等の2枚のパネル部材間に形成されるパネル空間を利用して配線することが知られている。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−71020号公報
【特許文献2】
実開平6−51074号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようにパネル空間内に配線された電線について故障が生じた場合、通常、故障が生じた電線を含むワイヤハーネスをパネル空間内から取り外し、故障を修理した後に再び元のパネル空間内に組み込むか、若しくは、取り外したワイヤハーネスを新品に交換して、この新たなワイヤハーネスを元のパネル空間内に組み込むことにより、補修・復旧するようにしている。
【0008】
ところが、パネル空間内に配設されたワイヤハーネスは、車両走行中の車体の振動などの影響によってパネル空間内で挙動すると、パネル材の内面と擦れ合って異音を発生する惧れがあり、かかる不具合が生じることを防止するために、通常、何らかの手段・方法でパネル材に対して固定または係止されている。
【0009】
このため、パネル空間内に配線された電線について故障が生じた場合、この故障が生じた電線を含むワイヤハーネスをパネル空間から取り外すには、実際にはかなりの手間と時間が掛り、電気配線の補修がなかなかに難しいという、実用上の問題があった。
【0010】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、インナパネルとアウタパネルとで形成されたパネル空間内に電線が配設された車両の電気配線構造において、その電気配線に故障が生じた場合に、容易に補修を行えるようにすることを基本的な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本願発明に係る車両の電気配線構造は、ウインドウガラスで覆われる窓用開口部をそれぞれ有するインナパネルとアウタパネルとを組み合わせて両者間に閉断面空間を形成すると共に両パネルの少なくとも周縁部および近傍どうしを接合して形成され、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートの上記閉断面空間内に電線を配設する車両の電気配線構造を前提としたものであって、
上記アウタパネルの窓用開口部の側部に位置するフレーム部分に、上記インナパネルと所定以上の間隔を隔てるようにインナパネル側にへこむ凹部が、上記窓用開口部に略沿うようにして形成され、
上記フレーム部分では、上記ウインドウガラスが少なくとも上記凹部を覆う範囲まで延長して装着され、上記ウインドウガラスの上記凹部を覆う部分およびその近傍には非透明処理が施されており、
上記アウタパネルの凹部とインナパネルとで形成された第1閉断面空間内に、所要の電線を束ねてユニット化したワイヤハーネスが配線され、
少なくとも上記インナパネルは合成樹脂製で、該インナパネルには上記アウタパネル側に向かって伸長する複数のリブが一体成形され、これらリブには、上記第1閉断面空間内に配線される上記ワイヤハーネスを支持する略U字状の切欠部が形成されており、
該切欠部の幅は上記ワイヤハーネスの直径よりも若干量小さく設定され、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスは、上記切欠部内に嵌め込まれた状態で支持され、
上記アウタパネルの凹部と上記ウインドウガラスとで形成された第2閉断面空間は、少なくとも上記ワイヤハーネスが配線可能な断面形状および断面サイズに設定されている、ことを特徴としたものである。
【0012】
この場合、上記リブの先端部は、接着剤を用いて上記アウタパネルの裏面に接合されていることが好ましい。
【0015】
また、本願発明に係る車両の電気配線の補修方法は、以上のような電気配線構造を備えた車両において、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスの電線に故障が生じた場合には、上記第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配設することを特徴としたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車の車体後部に形成され後方へ向かって開口する開口部を上下方向へ開閉可能に覆う開閉体としてのテールゲートへの電気配線構造に適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る電気配線構造を備えたテールゲートの概略構成を示す斜視図である。図2は、上記テールゲートの組立構造を示す部分的な分解斜視図である。また、図3は、上記テールゲートの要部の構造を拡大して示す部分断面斜視図である。更に、図4は、図1におけるY4−Y4線に沿ったテールゲートの断面説明図である。また更に、図5は、上記テールゲートの補修後の電気配線構造を示す説明図で、図1におけるY5−Y5線に沿った断面説明図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るテールゲート1は、所定形状およびサイズの内板部材10(インナパネル)と外板部材20(アウタパネル)とを組み合わせ、両パネル10,20の周縁部およびその近傍どうしを接合することにより、両者10,20間に空間部(パネル空間)を有して形成されている。
【0019】
上記インナ及びアウタの両パネル10及び20は、より好ましくは、共に合成樹脂を材料として成形されており、その周縁部およびその近傍どうしは、例えば接着剤を用いて接合されている。
上記インナパネル10の合成樹脂材料としては、例えば、ガラス強化繊維が約40%配合されたポリプロピレン(PP)樹脂を用いた。また、アウタパネル20の合成樹脂材料としては、ポリカーボネイト(PC)樹脂およびアセチルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を原料とした樹脂材料を用いた。更に、接着剤としてはウレタン樹脂系のものを用いた。
【0020】
尚、このインナ及びアウタのパネル材10及び20の各樹脂材料、並びにインナ及びアウタのパネル材10及び20どうしを接合する接着剤としては、上記の例示されたものに限られるものではなく、他の種々の適切な材料を用いることができることは言うまでもない。
【0021】
また、具体的には図示しなかったが、周知のように、自動車の車体後部では、車体ルーフの後端側において車幅方向へ延びるリヤヘッダの上側に、一対のヒンジユニットが固定され、このヒンジユニットを介して、テールゲート1の上端側が車体ルーフの後端部分に取り付けられる。これにより、テールゲート1が、車体後部の開口部を上下方向へ開閉可能に覆うように、車体ルーフの後端部分に上下方向へ回動可能に支持される。
【0022】
上記テールゲート1の下側部分の略中央には、正面視で所定サイズの略矩形状をなし、車体内方に向かって所定深さだけ凹むように形成された凹部1C(中央凹部)が設けられ、この中央凹部1Cには、例えばライセンスプレート(所謂、ナンバプレート:不図示)が所定領域に取り付けられ、また、このライセンスプレートを照らし出すランプ装置(不図示)が設けられる。
【0023】
更に、具体的には図示しなかったが、テールゲート1の下側部分の左右両側には、停止ランプや方向指示ランプ等を含む所謂コンビネーションランプが配設され、また、ウインドウガラス30を拭掃するために、電動式のワイパ装置が取り付けられる。
【0024】
一方、上記テールゲート1の上側部分の略中央には、ウインドウガラス30で覆われる窓用開口部1Hが形成されている。尚、このテールゲート1の窓用開口部1Hは、インナパネル10の窓用開口部10Hとアウタパネル20の窓用開口部20Hとで構成されるものである。
ウインドウガラス30は、上記テールゲート1の窓用開口部1Hの周縁部、具体的には、アウタパネル20の窓用開口部20Hの周縁に形成されたガラス支持部21上に接着固定されている。
【0025】
本実施の形態では、上記アウタパネル20の窓用開口部20Hの左右の側部に位置する側部フレーム部分22において、上記ガラス支持部21がフレーム部22の全幅に渡って形成されている。
また、この左右の側部フレーム部22のうち、少なくとも片側には、上記インナパネル10と所定以上の間隔を隔てるようにインナパネル10側に向かってへこむ凹部23が、上記窓用開口部10Hに略沿うようにして形成されている。
【0026】
この凹部23の上下の縦壁には、後述するように、少なくともワイヤハーネスを、より好ましくは、ワイヤハーネス及びそれに加えてカプラを挿通させるための挿通穴24,25が設けられている。
そして、図1及び図4から良く分かるように、上記側部フレーム部分22では、ウインドウガラス30が少なくとも上記凹部23を覆う範囲まで(本実施の形態では、側部フレーム部22の側端部まで)延長して装着されている。
【0027】
従って、テールゲート1の窓用開口部1Hの側部に位置する側部フレーム部分2においては、図3,図4及び図5に示されるように、ウインドウガラス30が装着された状態では、アウタパネル20の凹部23とインナパネル10とで第1の閉断面空間S1(つまり、パネル空間)が形成されるとともに、アウタパネル20の凹部23とウインドウガラス30とで第2の閉断面空間S2が形成されている。尚、図4及び図5において、接着剤の適用箇所が符号Dで示されている。
【0028】
そして、上記第1閉断面空間S1内に、テールゲート1に設けられた上述のランプ装置やワイパ装置などの電気機器(何れも不図示)へ給電するための所要の電線Wを束ねてユニット化したワイヤハーネス40が配線されている。また、上記第2閉断面空間S2は、少なくとも上記ワイヤハーネス40と同等の太さを有するワイヤハーネスを配線することができるように、その断面形状および断面サイズが設定されている。
【0029】
尚、上記ワイヤハーネス40にユニット化された各電線Wは、周知のように、その両端部に端子金具(不図示)が結合され、これら端子金具がそれぞれコネクタ41(ワンタッチ・カプラ)に結合されている。
【0030】
インナパネル10の窓用開口部10Hの側部に位置する側部フレーム部分12の上側および下側には、少なくともワイヤハーネス40を、より好ましくは、ワイヤハーネス40及びそれに加えてカプラ41を挿通させるための挿通穴14,15が設けられている。
【0031】
そして、図3に示されるように、例えば、上側の挿通穴14から引き出されたワイヤハーネス40のカプラ41(図3における破線表示参照)は、車体側に配線されたワイヤハーネス50のカプラ51に着脱可能に結合されるようになっている。また、図5に示すように、下側の挿通穴15から引き出されたワイヤハーネス40のカプラ41は、テールゲート1の電気機器(不図示)に接続された電線のワイヤハーネス60のカプラ61に着脱可能に結合される。
【0032】
図5に示されるように、インナパネル10の上側の挿通穴14に対応して、車体側の後端ピラー70の上部にもワイヤハーネス40及びそれに加えてカプラ41を挿通させるための挿通穴74が設けられている。
インナパネル10の挿通穴14と車体の後端ピラー70の挿通穴74との間には、例えば軟質樹脂あるいはラバー等の弾性材料で形成され、伸縮自在で可撓性のある蛇腹部材9が装着されており、両挿通穴14,74を挿通して延びるワイヤハーネスは、この蛇腹部材9によって覆われ保護されるようになっている。
【0033】
図3及び図5に示されるように、上記インナパネル10にはアウタパネル20側に向かって伸長する複数の補強リブ17が設けられ、これらリブ17には、上記第1閉断面空間S1内に配線されるワイヤハーネス40を支持する支持部として、略U字状の切欠部18が形成されている。尚、これら補強リブ17の先端部は、より好ましくは、アウタパネル20の裏面側に接着剤を用いて接合され、テールゲート1の補強効果がより高められている。
【0034】
上記リブ17の切欠部18の幅は、ワイヤハーネス40の直径よりも若干量小さく設定されており、第1閉断面空間S1内のワイヤハーネス40は、その長手方向に沿った複数箇所が、若干量の締め代(換言すれば、ワイヤハーネス40の被覆材の弾性変形)を伴って、上記リブ17の切欠部18内に嵌め込まれた状態で支持されている。
【0035】
すなわち、電線Wを(つまり、ワイヤハーネス40を)支持するための部材を別途新たに設ける必要なしに、インナパネル10に設けられたリブ17を利用して、第1閉断面空間S1内に配線されるワイヤハーネス40を確実かつ安定して係止することができる。
これにより、上記第1閉断面空間S1内に配設されたワイヤハーネス40が、車両走行中の車体の振動などの影響によって閉断面空間S1内で挙動することを、確実かつ安定して防止し、ワイヤハーネス40がインナパネル10の内面と擦れ合って異音を発生する惧れを無くすることができる。
【0036】
上記リブ17はインナパネル10を成形する際に一体成形されており、インナパネルの構造がより簡素化され、また、製造工程もより簡素化してコスト低減が図られている。
【0037】
以上の構成において、第1閉断面空間S1内に配線されたワイヤハーネス40の電線Wに故障が生じた場合には、まず、この故障が生じたワイヤハーネス40の上下両端について、そのコネクタ(ワンタッチ・カプラ)41を、接続相手方のワイヤハーネス50,60のカプラ51,61との結合状態を解除し、これらワイヤハーネス50,60との接続を遮断する。
【0038】
そして、この故障が生じているワイヤハーネス40は第1閉断面空間S1内に残したままで、第2閉断面空間S2内に新たなワイヤハーネス45を配線する。このとき、第2閉断面空間S2は、前述のように、少なくとも上記ワイヤハーネス40と同等の太さを有するワイヤハーネスを配線することができるように、その断面形状および断面サイズが設定されているので、新たなワイヤハーネス45を支障なく第2閉断面空間S2内に配線することができる。
【0039】
この新たなワイヤハーネス45は、テールゲート1の上下何れの方向からでも第2閉断面空間S2内に配線可能であるが、例えばテールゲート1の上部側から配線する場合を例にとり、図5を参照しながら説明すれば、新たなワイヤハーネス45の先端(カプラ46)をインナパネル10の上側の挿通穴14から第1閉断面空間S1内に挿通させた後、更に、アウタパネル20の上側の挿通穴24から第2閉断面空間S2内に挿通させる。そして、この第2閉断面空間S2内を伸長させた後、アウタパネル20の下側の挿通穴25及びインナパネル10の下側の挿通穴15を挿通させて、インナパネル10の裏側に引き出す。
【0040】
この引き出された側(下側)のカプラ46を、テールゲート1の電気機器(不図示)に接続されたワイヤハーネス60のカプラ61に結合させる。一方、上側のカプラ46は、車両の電源バッテリに接続されたワイヤハーネス50のカプラ51に結合させる。尚、図5の例においては、補修用の新たなワイヤハーネス45は、その長手方向に沿った複数箇所で弾性部材47(弾性バンド)によって束ねられている。
【0041】
このようにして、第2閉断面空間S2内に新たなワイヤハーネス45を配線することができる。第1閉断面空間S1内に残された故障ワイヤハーネス40については、そのままの状態で残しても良く、或いは、必要に応じて(邪魔であれば)上下のカプラ41部分の近傍を切断して該カプラ41を除去するようにしても良い。
上記実施態様では、ワイヤハーネス45をアウタパネル20の挿通穴24,25に挿通させて第2閉断面空間S2内に配線するようにしているが、必要に応じて、ウインドウガラス30を外してワイヤハーネス45の挿通作業を行うようにしても良い。この場合には、ワイヤハーネス45を挿通させ配線する際の作業性が良くなる。尚、ウインドウガラス30はその後に接着固定するようになる。
【0042】
尚、上記ウインドウガラス30のうち、テールゲート1の窓用開口部1Hをのぞく周縁部32(図2参照)については、その裏面側に、非透明処理としてセラミックコーティングが施されている。従って、アウタパネル20のガラス支持部21は(つまり、アウタパネル20の凹部23及びその近傍も)、この非透明のガラス周縁部32で覆われることになる。尚、セラッミックコーティングの代わりに、例えば非透明フィルムを貼り付けるなど、他の公知の方法を用いても良い。
【0043】
これにより、アウタパネル20の凹部23や新たなワイヤハーネス45(第2閉断面空間S2内に新たなワイヤハーネス45が配線された場合に)が、外部から視認されることが防止され、車両の外観性が損なわれることを有効に回避できる。
【0044】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、テールゲート1のアウタパネル20の窓用開口部20Hの側部に位置するフレーム部分22では、インナパネル10側にへこむ凹部23が上記窓用開口部20Hに略沿うようにして形成され、ウインドウガラス30が少なくとも上記凹部23を覆う範囲まで延長して装着されており、アウタパネル20の凹部23とインナパネル10とで第1閉断面空間S1が形成されるとともに、アウタパネル20の凹部23と上記ウインドウガラス30とで第2閉断面空間S2が形成される。
【0045】
そして、上記第1閉断面空間S1内に所要の電線Wを有するワイヤハーネス40が配線され、上記第2閉断面空間S2は、少なくとも上記ワイヤハーネス40と同等のワイヤハーネス(補修用の新たなワイヤハーネス45)が配線可能な断面形状および断面サイズに設定されている。
【0046】
従って、第1閉断面空間S1内に配線されたワイヤハーネス40の電線Wに故障が生じた場合には、第2閉断面空間S2内に補修用の新たなワイヤハーネス45を配線することができる。すなわち、故障が生じたワイヤハーネス40については、そのカプラ接続を外して電気的な接続を遮断するだけで良く、ワイヤハーネス40自体を第1閉断面空間S1内から取り外す必要はない。
【0047】
このように、第1閉断面空間S1内に配線されたワイヤハーネス40について故障が生じた場合には、この故障が生じたワイヤハーネス40を第1閉断面空間S1から取り外すことなく当該第1閉断面空間S1内に残したままで、第2閉断面空間S2内に新たなワイヤハーネス45を配線することで、極めて容易に電気配線の補修を行うことができるのである。
【0049】
このように、本発明は、上述の実施態様に限定されるものではない。また、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
本願請求項1の発明に係る車両の電気配線構造によれば、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートのアウタパネルの窓用開口部の側部に位置するフレーム部分では、インナパネル側にへこむ凹部が上記窓用開口部に略沿うようにして形成され、ウインドウガラスが少なくとも上記凹部を覆う範囲まで延長して装着されており、アウタパネルの凹部とインナパネルとで第1閉断面空間が形成されるとともに、アウタパネルの凹部と上記ウインドウガラスとで第2閉断面空間が形成される。そして、上記第1閉断面空間内に所要の電線を束ねてユニット化したワイヤハーネスが配線され、上記第2閉断面空間は、少なくとも上記ワイヤハーネスが配線可能な断面形状および断面サイズに設定されている。
従って、第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスの電線に故障が生じた場合には、第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配線することができる。すなわち、故障した電線を含むワイヤハーネスは、そのコネクタを外すなどして電気的な接続を遮断するだけで良く、ワイヤハーネス自体を閉断面空間内から取り外す必要はない。
このように、第1閉断面空間内に配線されたワイヤハーネスの電線について故障が生じた場合には、この故障が生じた電線を含むワイヤハーネスを第1閉断面空間から取り外すことなく当該第1閉断面空間内に残したままで、第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配線することで、極めて容易に電気配線の補修を行うことができる。
本発明では、特に、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートに設けられるランプ装置等の電気機器に給電する電気配線について、故障が生じた場合の補修作業を簡単に行えるようにすることができる。また、特に、ウインドウガラスの上記凹部を覆う部分およびその近傍に非透明処理が施されることにより、アウタパネルの凹部や新たな電線(第2閉断面空間内に新たな電線が配線された場合に)が外部から視認されることを防止し、車両の外観性が損なわれることを防止できる。更に、上記インナパネルには上記アウタパネル側に向かって伸長する複数のリブが設けられ、これらリブには上記第1閉断面空間内に配線される上記ワイヤハーネスを支持する略U字状の切欠部が形成されており、該切欠部の幅は上記ワイヤハーネスの直径よりも若干量小さく設定され、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスは、上記切欠部内に嵌め込まれた状態で支持されているので、ワイヤハーネスを支持するための部材を別途新たに設ける必要なしに、インナパネルに設けられたリブを利用して、第1閉断面空間内に配線される上記ワイヤハーネスを支持することができる。しかも、少なくとも上記インナパネルは合成樹脂製で、上記リブはインナパネルと一体成形されているので、少なくともインナパネルについて軽量化を達成できる他、構造をより簡素化でき、また、製造工程もより簡素化してコスト低減を図ることができる。
また、特に、上記リブの切欠部の幅はワイヤハーネスの直径よりも若干量小さく設定されており、第1閉断面空間内のワイヤハーネスは、その長手方向に沿った複数箇所が、若干量の締め代を伴ってリブの切欠部内に嵌め込まれた状態で支持されることにより、インナパネルに設けられたリブを利用して、第1閉断面空間内に配線されるワイヤハーネスを確実かつ安定して係止することができる。これにより、上記第1閉断面空間内に配設されたワイヤハーネスが、車両走行中の車体の振動などの影響によって閉断面空間内で挙動することを、確実かつ安定して防止し、ワイヤハーネスがインナパネルの内面と擦れ合って異音を発生する惧れを無くすることができる。
【0051】
また、本願請求項2の発明によれば、基本的には上記請求項1の発明と同様の作用効果を奏することができ、特に、インナパネルに一体成形された上記リブの先端部が、接着剤を用いてアウタパネルの裏面に接合されることにより、テールゲートの補強効果をより高めることができる。
【0056】
また、本願請求項3の発明に係る車両の電気配線の補修方法によれば、請求項1又は2に記載された電気配線構造を備えた車両において、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスの電線に故障が生じた場合には、上記第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配設することにより、故障した電線を含むワイヤハーネスは、そのコネクタを外すなどして電気的な接続を遮断するだけで良く、ワイヤハーネス自体を閉断面空間内から取り外す必要はない。
このように、第1閉断面空間内に配線されたワイヤハーネスの電線について故障が生じた場合には、この故障が生じた電線を含むワイヤハーネスを第1閉断面空間から取り外すことなく当該第1閉断面空間内に残したままで、第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配線することで、極めて容易に電気配線の補修を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る電気配線構造を備えた自動車のテールゲートの概略構成を示す斜視図である。
【図2】 上記テールゲートの組立構造を示すテールゲートの部分的な分解斜視図である。
【図3】 上記テールゲートの要部の構造を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図4】 図1におけるY4−Y4線に沿ったテールゲートの断面説明図である。
【図5】 上記テールゲートの補修後の電気配線構造を示す説明図で、図1におけるY5−Y5線に沿った断面説明図である。
【符号の説明】
1…テールゲート
2…テールゲートの側部フレーム部
10…インナパネル
17…リブ
18…切欠部
20…アウタパネル
22…アウタパネルの側部フレーム部
23…凹部
30…ウインドウガラス
32…ウインドウガラスの非透明周縁部
40…ワイヤハーネス
45…補修用のワイヤハーネス
S1…第1閉断面空間
S2…第2閉断面空間
W…電線
Claims (3)
- ウインドウガラスで覆われる窓用開口部をそれぞれ有するインナパネルとアウタパネルとを組み合わせて両者間に閉断面空間を形成すると共に両パネルの少なくとも周縁部および近傍どうしを接合して形成され、車体後端の開口部を開閉可能に覆うテールゲートの上記閉断面空間内に電線を配設する車両の電気配線構造であって、
上記アウタパネルの窓用開口部の側部に位置するフレーム部分に、上記インナパネルと所定以上の間隔を隔てるようにインナパネル側にへこむ凹部が、上記窓用開口部に略沿うようにして形成され、
上記フレーム部分では、上記ウインドウガラスが少なくとも上記凹部を覆う範囲まで延長して装着され、上記ウインドウガラスの上記凹部を覆う部分およびその近傍には非透明処理が施されており、
上記アウタパネルの凹部とインナパネルとで形成された第1閉断面空間内に、所要の電線を束ねてユニット化したワイヤハーネスが配線され、
少なくとも上記インナパネルは合成樹脂製で、該インナパネルには上記アウタパネル側に向かって伸長する複数のリブが一体成形され、これらリブには、上記第1閉断面空間内に配線される上記ワイヤハーネスを支持する略U字状の切欠部が形成されており、
該切欠部の幅は上記ワイヤハーネスの直径よりも若干量小さく設定され、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスは、上記切欠部内に嵌め込まれた状態で支持され、
上記アウタパネルの凹部と上記ウインドウガラスとで形成された第2閉断面空間は、少なくとも上記ワイヤハーネスが配線可能な断面形状および断面サイズに設定されている、
ことを特徴とする車両の電気配線構造。 - 上記リブの先端部は、接着剤を用いて上記アウタパネルの裏面に接合されていることを特徴とする請求項1記載の車両の電気配線構造。
- 請求項1又は2に記載された電気配線構造を備えた車両において、上記第1閉断面空間内に配線された上記ワイヤハーネスの電線に故障が生じた場合には、上記第2閉断面空間内に新たなワイヤハーネスを配設することを特徴とする車両の電気配線の補修方法。
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