JP4113720B2 - 固体電解質燃料電池の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック固体電解質を用いた固体電解質燃料電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell;SOFC)は大別すると円筒型と平板型とがある。従来は両者ともEVD(電気化学蒸着法)、溶射法等によって製造していたため、製造コストが極めて高価なものとなっていた。
【0003】
そのような不都合を改善するため、従来の技術では固体酸化物燃料電池の主要部を製造するために種々の方式のセラミック製造プロセスが採用されているが、そのいずれの方式も、まず単セルを個別に製造し、その単セルを複数個組み合わせることで、一つの纏まった電池モジュールを構成していた。
【0004】
しかし、そのような単セルを複数個組み合わせた構造では、製造に手間が掛かるのみならず、組み合わされた単セルどうしの接続部分で燃料ガスや空気の漏洩が発生することを防止するために、シール(封止)が必要となっていた。そのシールを行うシール材としては、熱膨張が燃料電池の形成材料と等しいこと、および稼動時の高温環境下で反応しにくいことが求められるが、そのような条件に適合するシール材が得られていないのが現状である。
【0005】
また、単セルどうしをインターコネクト材で電気的に接合するため、各単セルの機械的強度が必要となるが、そのような強度を確保するためには固体電解質の厚みを100μmから500μm程度に厚くする必要があり、その結果、抵抗値が増大して出力低下の原因となる。
【0006】
また、例えば酸素含有ガスや燃料ガスを通すための通気孔や通気溝などが形成された十分な剛性を備えた電極材料からなる支持板に薄膜の電解質を保持させる方法などが提案されているが、支持体の厚みを考慮すると、モジュールの大型化につながる。これは換言すれば、電池の小型化に対して著しい妨げとなるということである。
【0007】
また、積層構造の同時焼成も提案されているが、これは電解質、燃料極、空気極の3層積層の同時焼成で、これは換言すれば単セルの一部を焼成しているものであって、実際にはそのように形成された単セルの一部を積み重ねるようにして組み合わせて全体的な電池の構造を形成していた。
【0008】
このような従来の固体酸化物燃料電池は、円筒型のものとしては、例えば特開平5−101841号公報、特開平8−50913号公報、特開2000−195535号公報、特開平10−92448号公報等に提案されており、平板型のものについては、例えば特開平8−124585号公報、特開平9−231987号公報、特開平10−302812号公報、特開平11−154525号公報、特開2000−106204号公報等に提案されている。またその他にも、支持タイプのものが特開平6−96778号公報、特開平6−223847号公報、特開平6−251772号公報等に提案されており、ハニカムタイプのものが特開平10−40934号公報、特開平10−189017号公報、特開平10−189023号公報、特開平11−297342号公報等に提案されている。
【0009】
さらに詳細には、SOFCは固体酸化物膜中を酸化物イオンが酸素濃度勾配によって拡散して起電力を生ずるという作用を利用した燃料電池で、この方式の燃料電池は、一般に、改質器が不要であり発電効率が高いが、電子と比較して体積の大きい酸化物イオンが固体電解質の膜中を膜厚方向に移動するため、固体電解質膜における酸化物イオンの移動量が小さく、高抵抗になりやすい。
【0010】
ところが、起動特性の向上や高出力化を実現するためには固体電解質の薄膜化が不可欠で、Y安定化ジルコニアでは0.1μm〜1μm、ランタンガレートでは10μm±1μm程度の膜厚が最適であるとされるが、実際には自立膜式における取り扱い易さなどの観点からジルコニア系で150μm〜500μm程度を採用している。
【0011】
このように、従来のSOFCでは、個別に作製された複数個の単セルを組み立てて一つの纏まった燃料電池モジュールとしていることや、固体電解質が最適な膜厚よりも極めて厚くしかできないこと、あるいは薄膜状の固体電解質を機械的に支持するための十分な剛性を備えた厚い支持板を用いることなどに起因して、電池全体の小型化や起動性の向上が困難であり、そのような点での改善が強く要請されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の技術では、固体酸化物燃料電池の小型化、高出力化、起動の迅速化の実現が困難なものとなっている。小型化に関しては、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell ;固体高分子型燃料電池)に比肩できるような小型化は実現されていない。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、膜厚の薄い固体電解質セラミック膜を有して、電池全体の小型化、高出力化、迅速な起動性を実現し、かつ製造工程の簡易化・低コスト化を達成することができる固体電解質燃料電池の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解質燃料電池の製造方法は、焼成されると酸化物イオンを伝導する性質を有する材料からなる未焼成の固体電解質シートの表面に、第1の空気極を印刷形成する工程と、前記第1の空気極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、前記第1の空気極が印刷形成された層の上に、熱処理または化学的処理によって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成する工程と、前記消失可能部材が印刷形成されていない余白部分のうち少なくとも前記通気路の側壁となる部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、前記消失可能部材が印刷形成された層の上に、第2の空気極を印刷形成する工程と、前記第2の空気極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、焼成されると酸化物イオンを伝導する性質を有する材料からなる未焼成の固体電解質シートの表面に第1の燃料極を印刷形成する工程と、前記第1の燃料極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、前記第1の燃料極が印刷形成された層の上に、熱処理または化学的処理によって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成する工程と、前記消失可能部材が印刷形成されていない余白部分のうち少なくとも前記通気路の側壁となる部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと焼結して一体化する材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、前記消失可能部材が印刷形成された層の上に、第2の燃料極を印刷形成する工程と、前記第2の燃料極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、前記第1の空気極および前記第2の空気極が印刷形成された空気極側固体電解質シートと前記第1の燃料極および前記第2の燃料極が印刷形成された燃料極側固体電解質シートとを一組として複数組積層して積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体を作製した後に、前記消失可能部材を消失させて、その消失可能部材が消失した部分を細隙状の通気路にする工程と、前記積層成形体を焼成する工程とを含んでいる。
【0016】
すなわち、本発明による固体電解質燃料電池の製造方法では、空気極側固体電解質シートの第2の空気極の上に燃料極側固体電解質シートを重ね合わせることで、空気極側固体電解質シートの第2の空気極と燃料極側固体電解質シート第1の燃料極とそれらに挟まれた固体電解質シートと第2の空気極に接している酸化剤の通気路と第1の燃料極に接している還元剤または燃料の通気路とによって、起電力を発生させる実質的な燃料電池としての一つの単位セルが構成される。あるいは、燃料極側固体電解質シートの第2の燃料極の上に空気極側固体電解質シートを重ね合わせることで、空気極側固体電解質シートの第1の空気極と燃料極側固体電解質シートの第2の燃料極とそれらに挟まれた固体電解質シートと第1の空気極に接している酸化剤の通気路と第2の燃料極に接している還元剤または燃料の通気路とによって、起電力を発生させる実質的な燃料電池としての一つの単位セルが構成される。
【0017】
また、未焼成の固体電解質シートの表面に、熱処理や化学的処理などによって完全燃焼や熱分解あるいは揮散(昇華)するなどして消失する材質からなる消失可能部材を通気路の形状に印刷形成し、通気路の側壁となる部分には未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する。このとき、消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を印刷形成しているので、それらは極めて簡易かつ確実に、所望の形状(平面的パターン)および所望の厚さに形成することが可能である。そして消失可能部材と未焼成の側壁兼スペーサ部材とが印刷された固体電解質シートを複数枚積層して積層成形体を作製し、それを焼成して、固体電解質燃料電池を完成するが、その複数枚の固体電解質シートの積層から積層成形体の焼成完了までの間に、消失可能部材を熱処理や化学的処理などによって消失させることで、その消失可能部材が消失したことによって生じた空間が細隙状の通気路となる。
【0018】
従って、固体電解質シートを複数枚積層して積層成形体を作製するまでは、通気路となる予定の空間には印刷形成された消失可能部材が存在しているので、その部分の固体電解質シートが積層時に撓んだり歪曲したりすることが防止される。また、積層成形体の焼成が完了するまでには、消失可能部材を熱処理や化学的処理などによって消失させるようにしているので、積層成形体を作製するまでの間などに破損や形状不良等を発生することなく、極めて薄くて、酸化物イオンの伝導効率の高い固体電解質膜が簡易かつ確実に形成される。
【0019】
ここで、上記の消失可能部材や側壁兼スペーサ部材の印刷形成に用いることが可能な印刷方式としては、より具体的には、流動性を有する材料を所定のパターンに所定の再現性を保って転写することが可能なものであれば、どのようなものでもよい。例えば、スクリーン印刷法、オフセット転写印刷法、インクジェット法などのような種々の印刷方式が適用可能である。
【0020】
また、上記の「細隙状」とは、断面形状が三角形や四角形や円形などのいわゆる筒状のものなどとは異なり、幅方向(固体電解質シートの表面に対して平行な方向)の寸法が高さ方向(固体電解質シートの表面に対して垂直な方向)の寸法よりも広くて偏平な形状のものであることを、ここでは意味している。
【0021】
また、上記の「酸化物イオン」とは、酸素化合物をイオン化してなる酸化物イオンを意味することは言うまでもないが、それのみには限定されず、酸素の単体をイオン化した酸素イオンについても、「酸化物イオン」の種類に含まれるものとする。
【0022】
なお、側壁兼スペーサ部材以外の所定位置に、消失可能部材を印刷形成しない余白部分をさらに設けて、その余白部分に側壁兼スペーサ部材と同じ材質または焼成後に固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の支持体部材を印刷形成しておき、それを積層成形体の焼成の工程で焼成して、通気路にて対向する固体電解質シートどうしの間隙を支持するための支持体を、さらに形成するようにしてもよい。このようにすることにより、固体電解質の膜が極めて薄ものであっても、通気路を隔てて対向する固体電解質の膜どうしの表面の間隙を支持体によって力学的に支えるので、消失可能部材を消失させた後や、固体電解質シートを焼成した後にも、固体電解質シートが撓んだり歪曲したりすることが防止される。
【0023】
また、上記の消失可能部材を消失させる工程としては、固体電解質シートを積層し外部から押圧して積層成形体を作製した後、積層成形体に熱処理または化学的処理を施して消失可能部材を消失させるようにしてもよい。すなわち、固体電解質シートはバインダーを含有する材料からなり、焼成前に数100[℃]程度の温度で脱バインダ工程が行われることが一般に多いので、そのような脱バインダーのための熱処理工程を、消失可能部材を消失させる工程としても兼用することなどが有効である。このようすることにより、脱バインダーのような熱処理工程とは別段に消失可能部材を消失させる工程を付加する必要がなくなるので、全体的な製造プロセスの煩雑化が回避される。但し、これのみには限定されず、この他にも、例えば積層成形体を焼成する際に、そのときの加熱によって消失可能部材を消失させることなども可能である。
【0024】
また、上記の側壁兼スペーサ部材の印刷形成を省略して、固体電解質シートの表面に消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成し、その消失可能部材が印刷形成された固体電解質シートを複数枚積層し、その積層方向に押圧力を印加して、重なり合った各固体電解質シートの表面における消失可能部材が印刷形成されていない余白部分の表面どうしを密着させることで(その余白部分の固体電解質シートが塑性変形するなどして)、固体電解質シートの表面で消失可能部材を包囲する状態にした後、消失可能部材を消失させて、通気路を設けるようにしてもよい。
【0025】
このようにすることにより、通気路を必要十分な形状再現性で形成しながらも、上記のような側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程が省かれるので、全体的な製造プロセスがさらに簡易化される。
【0026】
また、上記の固体電解質シートの表面上における通気路の平面的パターン形状をL字型またはT字型に形成することで、通気路の入口側の開口と出口側の開口との位置関係が、直線的な形状の通気路の場合とは違って、当該固体電解質シートの異なった端辺に位置するようになる。
【0027】
また、上記の固体電解質シートの表面上における通気路の平面的パターン形状を、固体電解質シートの一端側から他端側へと向かって延伸し、その他端側で方向転換して前記の一端側へと戻って来るような折り返しを有するものとし、かつ通気路の入口側の開口部と出口側の開口部との両方を、共に前記の一端側に配置するようにしてもよい。
【0028】
このようにすることにより、通気路の入口側の開口部に導入ポートやそれに連なる配管を接続し、出口側の開口部には排気ポートやそれに連なる配管を接続しても、それらは共に固体電解質シートの一端側に設けられているので、その一端側はポートや配管等で機械的(力学的)に束縛されて固定端(束縛端)となるが、他端側にはポートや配管等のような束縛要因となるものを設けなくともよいので、その他端側は機械的に自由端となる。従って、例えばこの固体電解質燃料電池が使用環境からの加熱やそれ自体の動作に伴う発熱あるいは冷却などに起因して熱膨張したり冷却収縮したとしても、それに起因した固体電解質燃料電池全体の外形寸法的な変位(上記の一端から他端にかけての寸法の伸びまたは縮み等)は、自由端である他端側が解放して逃がしてくれるので、そのような熱膨張に伴ったいわゆる熱応力をこの固体電解質燃料電池が受けることが防止される。
【0029】
また、上記の固体電解質シートまたは積層成形体を所定の曲面状に加工するようにしてもよい。この工程は、複数の固体電解質シートを積層して積層成形体を作製した後に行うようにしてもよく、あるいは固体電解質シートの表面に消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を印刷形成した後であって複数の固体電解質シートを積層する前に固体電解質シートを加工して行うようにしてもよい。あるいは、消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を印刷形成する前に固体電解質シートを曲面状に加工してもよいが、そのようにすると、消失可能部材や側壁兼スペーサ部材を曲面印刷法によって曲面上に印刷しなければならなくなって、印刷技術的な困難さや煩雑さが増大する傾向にある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施の形態に係る固体電解質燃料電池の主要部の構成を表したものであり、図2はその製造途中の積層成形体を表したものである。なお、図1では、電池内部の通気路の形状を示すために、最上層の天板の部分については、電池本体から切り離して、実際にはそれに覆われている通気路の形状が見えるように描いてある。また図2では、この固体電解質燃料電池における燃料極側固体電解質シートと空気極側固体電解質シートとの積層構成を理解しやすくするために、積層成形体の正面を部分的に切断してその積層構造を正面側から見た状態を示してある。
【0032】
燃料極側固体電解質シート13または空気極側固体電解質シート12は、第1の燃料極31および第2の燃料極33どうし、または第1の空気極32および第2の空気極34どうしが、例えば数μm(ミクロン)〜数mm(ミリ)といった所定の間隙を保った状態で、酸化物イオンを伝導する性質を有する固体電解質シート1における表裏両面のうちの片面上にて対向配置されており、それら燃料極側固体電解質シート13と空気極側固体電解質シート12とを積層して積層成形体を作製し、それを焼成して、この固体電解質燃料電池の主要部が構成されている。
【0033】
この固体電解質燃料電池では、重ね合わされた空気極側固体電解質シート12に印刷形成されていた第2の空気極34と、燃料極側固体電解質シート13に印刷形成されていた第1の燃料極31と、それらに挟まれた固体電解質シートと、第2の空気極34に接している酸素含有ガス(酸化剤)の通気路8(図1では図示省略)と、第1の燃料極31に接している燃料(還元剤)の通気路7とによって、起電力を発生させる実質的な燃料電池としての一つの単位セルが構成される。また、燃料極側固体電解質シート13に印刷形成されていた第2の燃料極33の上に空気極側固体電解質シート12を重ね合わせることで、空気極側固体電解質シート12に印刷形成されていた第1の空気極32と、燃料極側固体電解質シート13に印刷形成されていた第2の燃料極33と、それらに挟まれた固体電解質シートと、第1の空気極32に接している酸素含有ガスの通気路8と、第2の燃料極33に接している燃料の通気路7とによって、起電力を発生させる実質的な燃料電池としての各単位セルが構成されている。
【0034】
対向する2枚の燃料極31,33どうし、および2枚の空気極32,34どうしの間隙は、それらの極板の余白部分に設けられた側壁兼スペーサ部材2によって支持されている。また、間隙層の側壁兼スペーサ部材2bは、通気路7,8に面している側面が、その通気路7,8の側壁となっている。
【0035】
固体電解質1は、極めて薄い酸素分離膜でありながら、形状再現性が極めて良好で、かつ後述するような印刷法を用いたパターニング工程および通気路の形成工程ならびに積層焼成工程によって、極めて簡易に低コストで形成することが可能なものとなっている。この固体電解質1は、酸化物イオンを伝導する性質を有するセラミック材料からなるもので、例えばY安定化ジルコニアを用いた材料をシート状に形成したものなどが好適である。この固体電解質1の膜厚は、燃料電池の固体電解質膜として要求されるイオン移動能率や機械的強度に対応して設定されるが、例えば焼き上げ寸法で数μmから数100μm、あるいは、それよりもさらに薄く、または厚くすることなども可能である。
【0036】
その対向配置された2枚の燃料極どうしの間、または2枚の空気極どうしの間には、固体電解質1と同じ材質で焼成後には一体化する材質からなる側壁兼スペーサ部材2bの側壁と、対向する2枚の燃料極または対向する2枚の空気極の表面とによって、入口側の開口3,4および出口側の開口5,6を除いて囲まれるようにして、一つの連続した細隙状の通気路7,8が設けられている。
【0037】
通気路7,8は、それぞれが独立した流路を形成している。この通気路7,8の平面的パターン形状は、例えばT字型に形成されており、立体的な形状は、後述するような製造方法によって、極めて偏平で細隙状のものとなっている。その細隙の寸法としては、後述するような製造方法における消失可能部材の印刷形成可能な膜厚にもよるが、例えば数10μm〜数mmとすることが可能である。あるいは、消失可能部材の印刷方法を適宜に選択・変更することで、さらに薄く、または厚くすることなども可能である。
【0038】
その一つ一つの通気路7,8は、例えば図1では、最下層の通気路7にはメタンのような燃料が流され、その上の層の通気路8には例えば空気のような酸素含有ガスが流され、さらにその上の層の通気路7には燃料が流され、さらにその上の層の通気路8には空気が流されるというように、図1に示した固体電解質燃料電池の下から上へと、燃料の通気路7と空気の通気路8とが交互に順番に積層配置されている。
【0039】
この固体電解質燃料電池における薄膜状の固体電解質1は、その固体電解質1以外の多孔質支持板や補強用金属支持板などの異質な部材等で機械的に支持されたり被覆されたりなどしていない。これにより、通気路7,8を流れる燃料や空気を、より効率的に燃料極や空気極の表面に接触させることができる。また、従来の燃料電池で用いられていたような薄膜状で脆い固体電解質1を機械的に補強するための厚い支持板を設けなくともよくなるので、電池全体としての小型化(あるいは薄型化)を達成することが可能となる。
【0040】
ここで、図1に示した構成では、燃料の通気路7の開口3,5は、入口側の開口3が背面に設けられており、出口側の開口5が左右両側面の正面寄りに設けられている。また、空気の通気路8の開口4,6は、燃料の通気路7と段違いで(一層おきに交互に)、入口側の開口4が正面に設けられており、出口側の開口6が左右両側面の背面寄りに設けられている。
【0041】
従って、燃料は背面の開口3から通気路7へと流入し、その通気路7を通って、側面の正面寄りの開口5から外部へと流出する。また、空気は正面の開口4から通気路8へと流入し、その通気路8を通って酸素が分離されて、側面の背面寄りの開口6から外部へと流出する。
【0042】
このように設定されていることにより、燃料の流路の入口側の開口3および出口側の開口5の位置と空気の流路の入口および出口の位置とを分けることができ、延いては燃料の流路に対する配管(図示省略)と空気の流路に対する配管(図示省略)とが、互いに位置的に干渉したり繁雑な配管形状となることを防いで、それらの配管構成の簡易化を実現することができる。しかも、上記のような開口3,4,5,6および通気路7,8は、後述するような製造方法によって、自在な形状および位置に、極めて簡易な製造プロセスで設けることが可能である。
【0043】
また、燃料極や空気極についても、それらを外部と接続するためのインターコネクタ21,22に接続するために、それら燃料極や空気極の一端を電池の表面に露出させる部分についても、上記の開口3,4,5,6と同様に、燃料極の一端と空気極の一端との位置を分けることができ、延いては燃料極に対するインターコネクタの配線と空気極に対するインターコネクタの配線とが、互いに位置的に干渉したり繁雑な配線形状となることを防いで、それらの構成の簡易化を実現することができる。しかも、上記のような開口3,4,5,6および通気路7,8は、後述するような製造方法によって、自在な形状および位置に、極めて簡易な製造プロセスで設けることが可能である。
【0044】
この固体電解質燃料電池では、上記のように通気路7,8が細隙状に形成されており、その通気路7,8を流れる燃料または空気が燃料極または空気極を介して固体電解質1の表面に接触する面積が極めて広くなっており、しかもその接触は、固体電解質1の表面に設けられる燃料極や空気極を除いては、固体電解質1の表面に対して直接的に成されるので、固体電解質1における酸化物イオンの移動能率(換言すれば電池としての発電に関する機能)をさらに高いものとすることができ、延いては発電効率や起動性を飛躍的に向上することができる。
【0045】
また、固体電解質1の膜厚を極めて薄くすることができるので、その固体電解質1における酸化物イオンの移動能率を高いものとすることができる。その結果、発電能力および起動性を極めて高いものとすることができる。
【0046】
ここで、通気路7,8の平面的パターン形状としては、上記のようなT字型の他にも、例えばL字型(図示省略)にすることなども可能である。
【0047】
あるいは、図3、図4,図5に模式的に示したように、固体電解質1の一端側から他端側へと向かって延伸し、その他端側で方向転換して前述の一端側へと戻って来る、というような折り返しを有して、通気路7,8の入口側と出口側の両方の開口3,4,5,6が全て前述の一端側に配置されているような平面的パターン形状とすることなども望ましい。
【0048】
例えば図3に示した一例では、通気路7,8が一端側(正面側;図の手前側)から他端側(背面側;図の奥側)へと向かって延伸し、その他端側(背面側)で方向転換して前述の一端側(正面側)へと戻って来るという折り返しのパターンとなっており、その通気路7,8の入口側の開口3,4と出口側の開口5,6との両方が共に一端側(正面側)に設けられている。これは言うなればU字型の形状となっている。
【0049】
また、図4に示した一例では、通気路7,8は図3とほぼ同様のU字型であるが、その通気路7,8の出口側および入口側の開口3,4,5,6に近い部分でL字型に進路を曲げられており、その入口側と出口側との開口3,4,5,6がそれぞれ、正面側ではなく左右両面側に位置する形状となっている。但しその左右両面側に設けられた開口3,4,5,6は、どちらも正面寄り(図4で手前寄り)の一端側に位置している。このようにすることにより、燃料の出入口と空気の出入口との位置を互いにずらして、入口側に設けられる導入管と出口側に設けられる排出管とが交差したり繁雑な配管となったりすることを防いで、簡潔な配管とすることが可能となる。
【0050】
また、図3や図4に示した通気路7,8の場合は、その平面的パターンが折り返しを一つだけ有するものとなっているが、図5に示した一例では、折り返しを2つ有するものとなっている。これは言うなればW字型のもので、同じ面積あたりに形成可能な通気路7,8の入口から出口までの総距離を、上記のT字型などの場合よりもさらに長くすることができる。
【0051】
このように、通気路7,8が折り返しを有する形状に形成され、その通気路7,8の入口側と出口側との両方の開口3,4,5,6が同じ一端側(例えば正面寄りの位置)に片寄せて配置されているので、通気路7,8の入口側の開口3,4には導入ポートやそれに連なる配管(いずれも図示省略)を接続し出口側の開口5,6には排気ポートやそれに連なる配管を接続すると、その一端側については機械的(力学的)に束縛されて束縛状態になるとしても、その他端側(背面寄りの位置)は自由端となる。
【0052】
従って、例えばこの固体電解質燃料電池が使用環境からの加熱やそれ自体の発熱あるいは冷却などに起因して熱膨張したり冷却収縮したとしても、それに起因した固体電解質燃料電池の外形寸法的な熱伸縮等の変位は、自由端である他端側が解放して逃がしてくれるので、そのような熱膨張に伴った熱応力やその他の外力に起因した破損等を防ぐことができる。
【0053】
ここで、図6に一例を模式的に示したように、通気路7,8にて対向する燃料極や空気極の表面どうしの細隙および隣り合った固体電解質1どうしの積層方向の位置関係を支持するための支柱のような支持体9を、さらに設けるようにしてもよい。この支持体9の形状については、種々のものが可能であるが、通気路7,8中の燃料や空気の流れに対して妨げとなることをできるだけ回避することが可能な形状にすることが望ましい。ここで、図3、図4、図5に示したような折り返しを有するパターンの通気路7,8の側壁を構成する部材である側壁兼スペーサ部材2のうち、通気路の中央の部分に設けられたものなどは、実質的に図6に示した支持体9と同様に通気路7,8を介して対向する2つの電極どうしの細隙および隣り合った固体電解質1どうしの積層方向の位置関係を支持する支持体9の作用を兼ね備えたものとなっている。この点も、通気路7,8を図3、図4、図5に示したような折り返しを有する形状にすることの利点である。
【0054】
なお、固体電解質1の形状あるいは積層成形体の外形形状は、上記のような平坦状のみには限定されない。その他にも、凹曲面状、凸曲面状、截断球面状、円筒状のような所定の曲面状に形成することなども可能である。さらに具体的には、平坦な固体電解質シートを積層して積層成形体を作製した後に、その積層成形体を例えば湾曲させるなどして曲面状に形成することなども可能である。このように固体電解質1を曲面状に形成することにより、固体電解質燃料電池の全体的な外形形状を例えば半円柱状などにすることなども可能となり、延いては、例えば一層ごとの面積の広い固体電解質を備えていながら狭隘な位置に設置することが可能な形状の固体電解質燃料電池を実現することができる。
【0055】
また、固体電解質燃料電池の最上層の天板20の部分および最下層の底板の部分は、固体電解質からなるものとしてもよいが、これらの部分については、発電作用に関しては実質的にそれほど寄与しないので、必ずしも固体電解質のみに限定する必要はない。例えば図1に示したような構造の固体電解質燃料電池の場合、最上層の天板の部分および最下層の底板の部分のうち少なくとも最上層の天板20の部分について、この部分も焼成前に積層する場合には、焼成後に固体電解質1と一体化する材質からなる気密性を有する蓋体状または板体状のものであって、燃料極や空気極のような電極を省略したものとすることなども可能である。あるいは、焼成したときに固体電解質1と一体化しない材質や焼成温度に耐えられない材質のものを固体電解質1と一体焼成される天板20や底板として用いる場合には、固体電解質1の焼成後に、この天板20や底板のみは、いわゆる後付けで最上層や最下層に貼り付けるようにすることなども可能である。
【0056】
次に、本発明の一実施の形態に係る固体電解質燃料電池の製造方法について説明する。
【0057】
まず、焼成されると酸化物イオンを伝導する性質および気密性が生じる、例えばジルコニアをアクリル系バインダーと共に練り上げた材料を例えば焼き上げ寸法が2〜500[μm]となるような厚さのシート状に加工して、未焼成の固体電解質シート1を作製する。
【0058】
その未焼成の固体電解質シート1の表面に、図7(A),(B)に一例を示したように、第1の燃料極31を所定の形状に印刷形成する。この第1の燃料極31の印刷形成に適用可能な印刷方式としては、所定の流動性を有する材料を良好な再現性を保ってパターン転写することが可能なものであれば、どのようなものでもよい。例えば、スクリーン印刷法、オフセット転写印刷法、インクジェット法などのような種々の印刷方式が適用可能である。それらのなかでも、特にスクリーン印刷法は、例えばメッシュスクリーンとスキージと原版とを用いた極めて簡易で低コストな印刷方式でありながら、印刷可能な第1の燃料極31の形状や材質や膜厚の自由度が極めて高く、かつそのパターン再現性(印刷精度)および印刷能率も十分に良好であることから、本実施の形態に係る製造方法に好適なものである。
【0059】
続いて、固体電解質シート1の表面における第1の燃料極31が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2aを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2aは、第1の燃料極31と同じ膜厚にして、印刷形成された側壁兼スペーサ部材2aの表面の高さと第1の燃料極31の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。
【0060】
続いて、図8(A),(B)に一例を示したように、例えばポリエチレンやカーボンブラックのような熱処理または化学的処理による完全燃焼や熱分解あるいは揮散(昇華)などによって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材10を、例えばT字型のような通気路7,8の形状に印刷形成する。支持体9を設ける場合には、その支持体9を形成する位置には消失可能部材10は印刷形成せずに、その部分は支持体9の平面的パターンに則した形状の、いわゆる「抜きパターン」にする。
【0061】
この消失可能部材10は、製造工程中で遅くとも固体電解質1の焼成完了までには消失して通気路7,8を形成するためのものであるから、その膜厚は、細隙状の通気路7,8の高さ(細隙の寸法)に対応して設定されることになる。膜厚の具体的な寸法としては、印刷方式ごとで実現可能な範囲は異なるが、例えばスクリーン印刷法の場合の一例を述べると、1〜1000[μm]の範囲のなかから自由に選択することができる。但し、これはスクリーン印刷法の場合の一例であって、他の印刷方式によれば、さらに薄い膜厚や、さらに厚い膜厚のものなども可能であることは言うまでもない。
【0062】
この消失可能部材10の印刷形成についても、所定の流動性を有する材料を良好な再現性を保ってパターン転写することが可能なものであれば、どのようなものでもよい。例えば、スクリーン印刷法、オフセット転写印刷法、インクジェット法などのような種々の印刷方式が適用可能である。それらのなかでも、特にスクリーン印刷法は、例えばメッシュスクリーンとスキージと原版とを用いた極めて簡易で低コストな印刷方式でありながら、印刷可能な消失可能部材10の形状や材質や膜厚の自由度が極めて高く、かつそのパターン再現性(印刷精度)および印刷能率も十分に良好であることから、本実施の形態に係る製造方法に好適なものである。
【0063】
この工程では、いずれの印刷方式を採用するにしても、消失可能部材10を印刷によって固体電解質シート1の表面に形成するようにしているので、その印刷方式で可能なパターン再現性の範囲内で、上記のようなT字型、U字型、W字型、L型をはじめとして、ほとんどどのような形状のパターンであっても、またその膜厚も、極めて高い自由度で選ぶことができ、かつ消失可能部材10のパターン形成を極めて良好なスループットで低コストに行うことができる。
【0064】
続いて、固体電解質シート1の表面における消失可能部材10が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2bを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2bは消失可能部材10と同じ膜厚にして、印刷形成された側壁兼スペーサ部材2bの表面の高さと消失可能部材10の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。
【0065】
続いて、図9(A),(B)に示したように、第2の燃料極33を所定の形状に印刷形成する。この第2の燃料極33の形成に適用可能な印刷方式についても、上記の第1の燃料極31の場合と同様である。
【0066】
続いて、固体電解質シート1の表面における第2の燃料極33が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2cを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2cは第2の燃料極33と同じ膜厚にして、その印刷形成された側壁兼スペーサ部材2cの表面の高さと第2の燃料極33の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。このようにして、燃料極側固体電解質シート13を作製する。
【0067】
上記の燃料極側固体電解質シート13と同様の手順で、空気極側固体電解質シート12を作製する。まず、焼成されると酸化物イオンを伝導する性質および気密性が生じる、例えばジルコニアをアクリル系バインダーと共に練り上げた材料を、焼き上げ寸法が2〜500[μm]となるような厚さのシート状に加工して、未焼成の固体電解質シート1を作製する。
【0068】
その未焼成の固体電解質シート1の表面に、図10(A),(B)に一例を示したように、第1の空気極32を所定の形状に印刷形成する。この第1の空気極32の形成に適用可能な印刷方式についても、上記のような種々の印刷方式が適用可能である。
【0069】
続いて、固体電解質シート1の表面における第1の空気極32が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2aを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2aは、第1の空気極32と同じ膜厚にして、その印刷形成された側壁兼スペーサ部材2aの表面の高さと第1の空気極32の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。
【0070】
続いて、図11(A),(B)に一例を示したように、例えばポリエチレンやカーボンブラックのような熱処理または化学的処理による完全燃焼や熱分解あるいは揮散などによって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材10を、例えばT字型のような通気路7,8の形状に印刷形成する。支持体9を設ける場合には、その支持体9を形成する位置には消失可能部材10は印刷形成せずに、その部分は支持体9の平面的パターンに則した形状の、いわゆる「抜きパターン」にする。
【0071】
この消失可能部材10は、製造工程中で遅くとも固体電解質1の焼成完了までには消失して通気路7,8を形成するためのものであるから、その膜厚は、細隙状の通気路7,8の高さ(細隙の寸法)に対応して設定されることになる。膜厚の具体的な寸法としては、印刷方式ごとで実現可能な範囲は異なるが、例えばスクリーン印刷法の場合の一例を述べると、1〜1000[μm]の範囲のなかから自由に選択することができる。但し、これはスクリーン印刷法の場合の一例であって、他の印刷方式によれば、さらに薄い膜厚や、さらに厚い膜厚のものなども可能であることは言うまでもない。
【0072】
この消失可能部材10の印刷形成についても、所定の流動性を有する材料を良好な再現性を保ってパターン転写することが可能なものであれば、どのようなものでもよい。
【0073】
続いて、固体電解質シート1の表面における消失可能部材10が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2bを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2bは消失可能部材10と同じ膜厚にして、印刷形成された側壁兼スペーサ部材2bの表面の高さと消失可能部材10の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。
【0074】
続いて、図12(A),(B)に示したように、第2の空気極34を所定の形状に印刷形成する。この第2の空気極34の形成に適用可能な印刷方式についても、上記の第1の空気極32の場合と同様である。
【0075】
続いて、固体電解質シート1の表面における第2の空気極34が印刷形成されていない余白の部分に、固体電解質シート1と同じ材質で焼成後には固体電解質シート1と一体化して焼結される未焼成の側壁兼スペーサ部材2cを印刷形成する。この側壁兼スペーサ部材2cは第2の空気極34と同じ膜厚にして、印刷形成された側壁兼スペーサ部材2cの表面の高さと第2の空気極34の高さとを固体電解質シート1上で一律に揃うようにすることが望ましい。このようにして、空気極側固体電解質シート12を作製する。
【0076】
上記のようにして作製された燃料極側固体電解質シート13と空気極側固体電解質シート12とを所定の枚数積層する。このとき積層する枚数は、固体電解質燃料電池として要求される起電力のような性能を必要十分に具現化できるように適宜設定する。その最上層には、消失可能部材10等が印刷されていない固体電解質シート1または焼成後に固体電解質シート1と一体化する材質からなる天板20を載置する。
【0077】
続いて、図2に示したように積層された燃料極側固体電解質シート13および空気極側固体電解質シート12を積層したものに対して外部からその積層方向に押圧して、その積層された各燃料極側固体電解質シート13と空気極側固体電解質シート12との接合面をよく密着させて、積層成形体を作製する。さらに詳細には、互いに接触し合う側壁兼スペーサ部材2a,2b,2cの他がいに接し合う表面どうしや、燃料極側固体電解質シート13と空気極側固体電解質シート12とが重なり合うことで接触する燃料極の表面と固体電解質シートの表面との接合面や空気極の表面と固体電解質シートの表面との接合面どうしを密着させる。なお、この工程では、押圧力を加えると共に加熱して、いわゆる熱加圧を行うことが望ましい。
【0078】
そしてその積層成形体に対して、焼成前に例えば300〜900[℃]程度の温度で脱バインダー工程を施す。この脱バインダー工程での加熱によって、消失可能部材10を消失させる。その消失可能部材10が消失したことによって生じた空間が細隙状の通気路7,8となる。すなわち、固体電解質シート1は一般にバインダーを含有する材料からなり、焼成前300〜900[℃]程度の温度で数時間〜数10時間に亘る脱バインダー工程が行われるので、その脱バインダーのための熱処理工程を、消失可能部材10を消失させる工程としても兼用するようにしてもよい。あるいは、それだけでは消失可能部材10を完全に消失させることが不十分である場合には、それに引き続いて、例えば300[℃]〜1000[℃]程度の温度で熱処理を継続して、より確実に消失可能部材10を完全に消失させることなども可能である。
【0079】
このようにすることにより、脱バインダーのような熱処理工程とは別段に消失可能部材10を消失させる工程を行わなくとも、その熱処理工程における加熱によって消失可能部材10を消失させて細隙状の通気路7,8を形成することができ、延いては全体的な製造プロセスの簡潔化を図ることができる。あるいは、焼成工程では1000[℃]〜1600[℃]の高温で焼き上げることになるので、遅くとも焼成工程では消失可能部材10を完全に消失させることができる。
【0080】
また、固体電解質シート1を複数枚積層して積層成形体を作製するまでは、通気路7,8となる予定の空間には印刷形成された消失可能部材10が存在しているので、その部分の固体電解質シート1が積層時や積層方向に押圧力を加えられた時などに撓んだり歪曲したりすることを防いで、極めて薄い膜厚の固体電解質1を焼成することができる。
【0081】
但し、ここで、消失可能部材10を消失させる工程は、上記のような積層成形体の作製後の脱バインダー工程中にその加熱によって行うことのみには限定されない。その他にも、例えば積層成形体を焼成する際の加熱によって消失可能部材10を消失させるようにしてもよく、あるいは熱分解や焼却以外にも、消失可能部材10を化学的に溶解または分解可能な材質のものとし、積層成形体を焼成する工程の前に、化学処理によって消失可能部材10を溶解させるようにすることなども可能である。
【0082】
ここで、上記の脱バインダー工程や消失可能部材10を消失させるための熱処理工程は、アルゴンガスや窒素ガスなどを用いた作業雰囲気中で行うようにしてもよい。
【0083】
続いて、脱バインダーを施され、消失可能部材10を消失させて通気路7,8を形成した積層成形体を焼成する。このときの焼成条件は、積層成形体を構成している固体電解質シート1を中心とする主な材料に好適な設定とすればよい。例えば、一般的な空気雰囲気中での常圧焼成を適用することなどが可能である。但し、空気中で焼成した場合、燃料極にニッケル(Ni)系サーメットを使用したものの場合には、酸化ニッケルを金属ニッケルにする還元処理が必要である。
【0084】
なお、上記の側壁兼スペーサ部材2の印刷形成を省略して、固体電解質シート1の表面に第1の空気極32(または第1の燃料極31)と消失可能部材10と第2の空気極34(または第2の燃料極33)とを印刷形成し、その消失可能部材10等が印刷形成された固体電解質シート1を複数枚積層し、それを積層方向に押圧して、各固体電解質シート1の表面における消失可能部材10が印刷形成されていない余白部分で重なり合った表面どうしを密着させることで、その余白部分の固体電解質シート1が塑性変形するなどして、固体電解質シート1の表面で消失可能部材10を包囲する状態にした後、消失可能部材10を消失させて、通気路7,8を設けるようにしてもよい。このようにすることにより、通気路7,8を必要十分な形状再現性で形成しながらも、上記のような側壁兼スペーサ部材2を印刷形成する工程を省略することができるので、全体的な製造プロセスのさらなる簡易化および低コスト化を達成することが可能となる。
【0085】
また、固体電解質シート1あるいは積層成形体を所定の曲面状に加工するようにしてもよい。そのような曲面状に加工する工程は、固体電解質シート1の表面に消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2を印刷形成した後であって複数の固体電解質シート1を積層する前に行うようにしてもよく、あるいは消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2が印刷形成された複数の固体電解質シート1を積層した後に行うようにしてもよい。但し、消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2を印刷形成する前に所定の曲面状に加工する場合には、消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2を曲面印刷法によって印刷しなければならなくなって、印刷技術的な困難さや煩雑さが増大する傾向にある。この観点からすれば、固体電解質シート1を所定の曲面状に加工する工程は、固体電解質シート1の表面に消失可能部材10や側壁兼スペーサ部材2を印刷形成した後に行うことが、より望ましい。
【0086】
[実施例]
アクリル系バインダーを用いると共にSc安定化ジルコニア(7.5mol・Sc23 )を用いて固体電解質シート1を作製した。この固体電解質シート1の厚みは焼き上げで2μmとなるように調整した。
【0087】
その固体電解質シート1の表面に、エチルセルロース系バインダーおよび有機溶剤を用いたLa0.84Sr0.16MnO3-δとカーボンブラックをペースト化して、第1の空気極32をT字型に印刷した。その印刷厚みは、焼き上げ後に20[μm]になるように逆算して調整した。
【0088】
第1の空気極32が印刷形成されていない余白部分に、アクリル系バインダーでペースト化したY部分安定化ジルコニア(3mol・Y23 )からなる側壁兼スペーサ部材2aを、シート全体の厚みが均一となるように印刷した。
【0089】
続いて、アクリル系バインダーを用いて作製したカーボンブラックペーストをT字型に印刷して消失可能部材10を形成した。その印刷厚みは、焼き上げ後に20[μm]になるように逆算して調整した。
【0090】
消失可能部材10が印刷形成されていない余白部分に、アクリル系バインダーでペースト化したY部分安定化ジルコニアからなる側壁兼スペーサ部材2bを、シート全体の厚みが均一となるように印刷した。
【0091】
続いて、上記の第1の空気極32と同様に、エチルセルロース系バインダーおよび有機溶剤を用いたLa0.84Sr0.16MnO3-δのカーボンブラックをペースト化して第2の空気極34をT字型に印刷した。このようにして空気極側固体電解質シート12を作製した。
【0092】
次に、アクリル系バインダーを用いると共にSc安定化ジルコニア(7.5mol・Sc23 )を用いて固体電解質シート1を作製した。この固体電解質シート1の厚みは焼き上げで2μmとなるように調整した。
【0093】
その固体電解質シート1の表面に、Ni(45体積%)、Sc安定化ジルコニア(55体積%,7.5mol・Sc23 )とカーボンブラックのペーストで、焼き上げ厚み10μmに設定した第1の燃料極31を印刷した。
【0094】
その第1の燃料極31が印刷形成されていない余白部分に、アクリル系バインダーでペースト化したY部分安定化ジルコニア(3mol・Y23 )からなる側壁兼スペーサ部材2aを、シート全体の厚みが均一となるように印刷した。
【0095】
続いて、アクリル系バインダーを用いて作製したカーボンブラックペーストをT字型に印刷して消失可能部材10を形成した。その印刷厚みは、焼き上げ後に20[μm]になるように逆算して調整した。
【0096】
その消失可能部材10が印刷形成されていない余白部分に、アクリル系バインダーでペースト化したY部分安定化ジルコニアからなる側壁兼スペーサ部材2bを、シート全体の厚みが均一となるように印刷した。
【0097】
続いて、上記の第1の燃料極31と同様にして、第2の燃料極33をT字型に印刷した。このようにして燃料極側固体電解質シート13を作製した。
【0098】
上記のようにして作製された空気極側固体電解質シート12と燃料極側固体電解質シート13とを、交互に順番に51層に亘って積層し、その最上部には天板20を配置し、それを50[℃]・98[MPa]で加圧・熱圧着して、積層成形体を作製した。
【0099】
その積層成形体に空気中で600[℃]・12時間の脱バインダー処理工程を施すことで、脱バインダー処理を行うと共に、カーボンブラックからなる消失可能部材10を消失させて、通気路7,8を形成した。
【0100】
続いて、積層成形体を空気中で1400[℃]・4時間の条件で焼成した。さらに、第1の燃料極31および第2の燃料極33に面している通気路に1000[℃]の水素ガスを流して、Ni酸化物を金属Niに還元した。
【0101】
そして焼結完了した積層成形体の各通気路7,8の開口3,4,5,6に、それぞれニッケル製の導入管及び排出管(いずれも図示省略)を、各々活性銀ロウ付けによってて接続し、燃料極の接続用の端子部として当該電池の表面に露出している部分および空気極の接続用の端子部として当該電池の表面に露出している部分のそれぞれに、インターコネンタを各々銀ロウ付けして、本実施例の固体電解質燃料電池の主要部を完成した。このような製造工程の主要部をまとめて示すと図13のようになる。
【0102】
この固体電解質燃料電池の外形寸法は、長さ150[mm]、幅30[mm]、厚さ3[mm]となった。
【0103】
一方の導入管に酸素含有ガスとして空気を、他方の導入管に燃料として水素を導入し、実際に燃料電池としての運転を行った。各ガスの導入時の圧力が0.5[MPa]、温度900[℃]の条件下で、10[min(分)]で500[W]の出力が得られた。
【0104】
これは、従来の直径220[mm]・長さ2000[mm]の円筒型の単セルの場合で出力が150[W]であったことと比較して、3倍以上の出力を数1000分の1という極めて小さな体積のセルで発電するということである。
【0105】
また、第2の試作品として、カーボンブラックを粒径1[μm]のポリエチレンパウダーとし、T字型の通気路7,8を図5に示したような2つの折り返しパターンの通気路7,8に変更し、それ以外は上記と同様の構成および製造方法で固体電解質燃料電池を作製し、それを用いて上記と同様の実験を行った。
【0106】
その結果、本実施例の固体電解質燃料電池が500[W]の出力に達するまでの時間は16秒となった。これは従来のSOFCの場合には、500[W]の出力状態にまで達するのに要する時間が40分程度であったことと比較すると、1/100以下であり、2桁違いという、起動時間の飛躍的な時間短縮を達成できることが確認された。
【0107】
また、第3の試作品として、1400[℃]で総圧0.1[MPa]焼成雰囲気で酸素分圧が3×10-6〜3×10-7の範囲に制御した以外は第2の試作品とと同様の方法で固体電解質燃料電池を作製した。この方法では燃料極の還元処理が不要となる。同様の評価で出力500[W]が得られた。
【0108】
また、第4の試作品として、固体電解質にLa0.8 Sr0.2 Ga0.8 Mg0.23 を使用し、焼き上げ厚みを10μmとし、空気極および燃料極の厚みを2[μm]としたこと以外は上記の第2の試作品と同様に設定した固体電解質燃料電池を作製した。外形寸法は長さ150[mm]、幅30[mm]、厚み3[mm]となった。この第4の試作品の起動時間は800[℃]・500[W]に達するのに20[秒]を要した。従って、本実施例の第4の試作品についても、従来のSOFCと比較して飛躍的に迅速な起動性を備えていることが確認された。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし8のいずれかに記載の固体電解質燃料電池の製造方法によれば、空気極側固体電解質シートと燃料極側固体電解質シートとを交互に重ね合わせて積層して積層成形体を作製し、それを焼成するようにしたので、空気極側固体電解質シートに形成されている空気極と燃料極側固体電解質シートに形成されている燃料極とそれに挟まれた固体電解質とで一つの単位セルの主要部が構成され、そのような構成によって、膜厚の薄い固体電解質セラミック膜を有して、電池全体の小型化、高出力化、起動性の迅速化を実現することができ、かつ製造工程の簡易化・低コスト化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る固体電解質燃料電池の主要部の構成を表した図である。
【図2】図1に示した固体電解質燃料電池の製造途中における積層成形体を表したものである。
【図3】通気路の形状の一例を表した図である。
【図4】通気路の形状の図3とは異なった一例を表した図である。
【図5】通気路の形状の図4とは異なった一例を表した図である。
【図6】支持体を設ける場合の一例を表した図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る混合伝導体積層素子の製造方法における第1の燃料極を形成する工程を表した図である。
【図8】図7に示した工程に続いて消失可能部材を形成する工程を表した図である。
【図9】図8に示した工程に続いて第2の燃料極を形成する工程を表した図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る混合伝導体積層素子の製造方法における第1の空気極を形成する工程を表した図である。
【図11】図10に示した工程に続いて消失可能部材を形成する工程を表した図である。
【図12】図11に示した工程に続いて第2の燃料極を形成する工程を表した図である。
【図13】本発明の一実施例に係る固体電解質燃料電池の製造工程の主要な流れを表した図である。
【符号の説明】
1…固体電解質、2…側壁兼スペーサ部材、3,4,5,6…開口、7,8…通気路、9…支持体、10…消失可能部材、12…空気極側固体電解質シート、13…燃料極側固体電解質、21,22…インターコネクタ、31…第1の燃料極、32…第1の空気極、33…第2の燃料極、34…第2の空気極

Claims (8)

  1. 焼成されると酸化物イオンを伝導する性質を有する材料からなる未焼成の固体電解質シートの表面に、第1の空気極を印刷形成する工程と、
    前記第1の空気極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    前記第1の空気極が印刷形成された層の上に、熱処理または化学的処理によって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成する工程と、
    前記消失可能部材が印刷形成されていない余白部分のうち少なくとも前記通気路の側壁となる部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    前記消失可能部材が印刷形成された層の上に、第2の空気極を印刷形成する工程と、
    前記第2の空気極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    焼成されると酸化物イオンを伝導する性質を有する材料からなる未焼成の固体電解質シートの表面に第1の燃料極を印刷形成する工程と、
    前記第1の燃料極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    前記第1の燃料極が印刷形成された層の上に、熱処理または化学的処理によって消失させることが可能な材質からなる消失可能部材を所定の通気路の形状に印刷形成する工程と、
    前記消失可能部材が印刷形成されていない余白部分のうち少なくとも前記通気路の側壁となる部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと焼結して一体化する材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    前記消失可能部材が印刷形成された層の上に、第2の燃料極を印刷形成する工程と、
    前記第2の燃料極が印刷形成されていない余白部分に、前記固体電解質シートと同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の側壁兼スペーサ部材を印刷形成する工程と、
    前記第1の空気極および前記第2の空気極が印刷形成された空気極側固体電解質シートと前記第1の燃料極および前記第2の燃料極が印刷形成された燃料極側固体電解質シートとを一組として複数組積層して積層成形体を作製する工程と、
    前記積層成形体を作製した後に、前記消失可能部材を消失させて、その消失可能部材が消失した部分を細隙状の通気路にする工程と、
    前記積層成形体を焼成する工程と
    を含むことを特徴とする固体電解質燃料電池の製造方法。
  2. 前記側壁兼スペーサ部材以外の所定位置に、前記消失可能部材および前記第1の空気極および第2の空気極ならびに第1の燃料極および第2の燃料極のうち少なくとも前記消失可能部材を印刷形成しない余白部分をさらに設けて、その余白部分に前記側壁兼スペーサ部材と同じ材質または焼成後に前記固体電解質シートと一体化して焼結される材質からなる未焼成の支持体部材を印刷形成しておき、それを前記積層成形体の焼成の際に焼成させて、前記通気路にて対向する前記固体電解質シートどうしの間隔を支持するための支持体を、さらに形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  3. 前記消失可能部材を消失させる工程が、前記固体電解質シートを積層し外部から押圧して前記積層成形体を作製した後、前記積層成形体に熱処理または化学的処理を施して、前記消失可能部材を消失させるものである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  4. 前記通気路の平面的パターン形状を、L字型またはT字型に形成して、前記通気路の入口側の開口と出口側の開口とを当該固体電解質シートの異なった端辺に設ける
    ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1つの項に記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  5. 前記通気路の平面的パターン形状を、前記固体電解質シートの一端側から他端側へと向かって延伸し、前記他端側で方向転換して前記一端側へと戻って来るような折り返しを少なくとも一つ有するものとし、かつ前記通気路の入口側の開口部と出口側の開口部との両方を、共に前記一端側に配置する
    ことを特徴とする請求項1ないしのうちいずれか1つの項に記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  6. 前記固体電解質シートを曲面状に加工する工程を、さらに含んだ
    ことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1つの項に記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  7. 前記側壁兼スペーサ部材の印刷形成を省略して前記積層成形体を形成し、その積層方向に押圧して、重なり合った各固体電解質シートの表面における前記消失可能部材が印刷形成されていない余白部分どうしを密着させることで、前記消失可能部材を前記固体電解質シートの表面で包囲した状態にした後、前記消失可能部材を消失させて、前記通気路を設ける
    ことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1つの項に記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
  8. 前記第1の空気極および第2の空気極ならびに第1の燃料極ならびに第2の燃料極の各々の平面的パターンを、少なくともその各々の一端が前記固体電解質シートの端辺にまで到達するような形状に形成して、前記端辺に到達する前記第1の空気極および第2の空気極ならびに第1の燃料極ならびに第2の燃料極の各々の端面をそれぞれ前記積層成形体の積層方向に沿った側面に露出させ、前記露出している個々の極のうち所定の極ごとにそれぞれ接続されるインターコネクタを前記側面に設ける
    ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の固体電解質燃料電池の製造方法。
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