JP4110797B2 - シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI等の半導体素子といった電子デバイス部品に関しては、高集積化による配線の微細化に伴い、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大が問題となっており、電子部品の絶縁材料に対して、耐熱性、機械特性等の他、更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮が求められている。
【0003】
一般に配線の信号伝搬速度(v)と、配線材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)とは、下記式(3);
v=k/√ε …(3)、
で表される関係を示す(式中のkは定数である)。つまり、使用する周波数領域を高くすると共に、絶縁材料の比誘電率(ε)を低減することにより、信号伝搬の高速化が達成される。例えば、従来から、比誘電率が4.2程度のCVD法によって形成されるSiO2膜が層間絶縁膜の形成材料として用いられてきたが、デバイスの配線間容量を低減し、LSIの動作速度を向上させる観点から、更なる低誘電率を発現する材料が切望されている。
【0004】
これに対し、現在実用化されている低誘電率材料としては、比誘電率が3.5程度のCVD法で形成されるSiOF膜が挙げられる。また、比誘電率が2.5〜3.0である絶縁材料としては、有機SOG (Spin On Glass)、有機ポリマー等を例示できる。さらに、比誘電率が2.5以下の絶縁材料としては、膜中に空隙を有するポーラス材が有力と考えられており、LSIの層間絶縁膜に適用するための検討・開発が盛んに行われている。
【0005】
そのようなポーラス材の形成方法として、特開平11−322992号公報、特開平11−310411号公報等には、有機SOG材の低誘電率化が提案されている。この方法は、金属アルコキシシランの加水分解縮重合物と共に加熱することにより揮発又は分解する特性を有するポリマーを含む組成物から被膜を形成し、この被膜を加熱することによって空孔を形成するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らがかかる従来の方法について詳細に検討を行ったところ、このような従来方法では、絶縁膜の誘電率が低下するにつれ、その膜強度が低下してしまう傾向にあり、プロセス適合性の観点から大きな問題がある。また、組成物の被膜を硬化させるのに、その450℃以上の高温雰囲気が必要であり、しかも最終的に硬化が終了するまでの1時間程度の長時間を要する傾向にあるため、この被膜を層間絶縁膜として用いた場合、その形成プロセスでの入熱量(サーマルバジェット)によって他の層、特に配線層の劣化が懸念される。また、入熱量の増加に伴って基板の反りが顕著となるといった問題も生じ得る。
【0007】
さらに、先述の如く、高集積化による配線の微細化が加速しており、デバイスを構成する各部材層の薄層化・多層化、及び配線層等の材料変更が進んでいる。これに対応すべく、入熱による各層の材料劣化の影響は今まで以上に増大すると予想され、各プロセスでの熱負荷の低減による熱履歴の改善が急務となっている。
【0008】
またさらに、Cu−ダマシンプロセスの層間絶縁膜にシリカ系被膜を適用する場合、CVD法で成膜されるSiO2膜等がキャップ膜として用いられているが、それらの界面において接着性(接合性)が弱くなると、配線金属を積層したときに生じる余分なCu膜を研磨するCu−CMP(Chemical Mechanical Polish)工程において、界面剥離が生じるおそれがある。さらにまた、層間絶縁膜材料に添加される成分によっては、吸湿による誘電率の上昇或いは脱離ガスの増加を招くおそれがある。これらの事態が生じると、プロセス適合性の観点から極めて不都合である。
【0009】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、低誘電性に優れると共に十分な機械強度を有しており、しかも、従来に比して低温及び/又は短時間で硬化させることが可能であり、且つ、接着性及び電気的信頼性を向上できるシリカ系被膜形成用組成物、及びシリカ系被膜の製造方法、並びに、そのシリカ系被膜を有する電子部品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、絶縁膜としてのシリカ系被膜を得るための材料成分及びその組成の観点から鋭意研究を重ね、特定の成分を含有する組成物が、従来の種々の問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明によるシリカ系被膜形成用組成物は、(a)成分:下記式(1);
R1 nSiX4−n …(1)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、(b)成分:アルキレングリコールアルキルエーテルアルキルエステル又はアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートから成る第1の溶媒成分、及び、アルキレングリコールモノアルキルエーテルから成る第2の溶媒成分を含む溶媒と、(c)成分:ヒドロキシル基を含む側鎖を有する重合体と、(d)成分:オニウム塩(オニウム化合物)とを備えており、(c)成分である重合体が、下記式(2);
0<MOH<0.4×10−2 …(2)、
で表される関係を満たすものであり、上記(c)成分は、温度500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が97質量%以上のものである。
【0012】
なお、式(1)中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。また、式(2)中、MOHは、(c)成分である重合体におけるヒドロキシル基の濃度(mol/g)を示す。
【0013】
このような構成を有する組成物は、ウエハ等の基板上に塗布された後、加熱によって硬化され、低誘電率を発現するシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。このとき、(c)成分である重合体の側鎖にヒドロキシル基が含まれることにより、(b)成分の溶媒が揮散する際に(a)成分のシロキサン樹脂と上記重合体との相分離が防止され、膜内部に形成される空孔の微細化及び形状の均一化が図られる。それのみならず、加熱時に(c)成分の分解が抑えられると共に、その揮発が促進される。さらに、(d)成分であるオニウム塩が存在すると、式(1)で表される化合物の脱水縮合反応が進み、Si−OH結合が減少することによってシロキサン結合の密度が高められ、これにより機械強度が更に向上する。ただし、作用はこれに限定されるものではない。
【0014】
また、(a)成分が、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が好ましくは0.65モル以下、より好ましくは0.55以下、更に好ましくは0.50以下、特に好ましくは0.45以下のものである。また、この総含有割合の下限値は、0.20程度であることが望ましい。このようにすれば、シリカ系被膜の他の膜(層)への接着性及び機械強度の低下が抑制される。
【0015】
さらに、(c)成分が、温度300〜500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上、更に好ましくは99質量%以上の重合体であると好適である。このような(c)成分を用いると、当該組成物を加熱する際に、最終的に得られるシリカ系被膜中に重合体又は重合体由来の反応生成物が残留してしまうことが十分に抑制される。
【0016】
またさらに、(c)成分が、分子内にエステル結合が含まれるものであると一層好ましい。この場合、当該組成物を加熱したときの重合体の分解又は揮発が更に促進される。
【0017】
さらにまた、(c)成分が、(メタ)アクリル酸誘導体を構成成分として含んでおり、且つ、(メタ)アクリル酸誘導体の含有濃度が0.5×10-2(mol/g)以上のものであると有用である。こうすれば、当該組成物を加熱したときの重合体の分解又は揮発が更に促進される等の利点がある。
【0018】
加えて、(d)成分であるオニウム塩は特に限定されないが、得られるシリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上でき、更に、組成物の安定性を高め得る観点よりアンモニウム塩であると有用である。
【0019】
また、本発明によるシリカ系被膜の製造方法は、本発明のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布し、塗布された被膜に含まれる溶媒を除去した後、その被膜を250〜500℃の加熱温度で焼成することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明による電子部品(デバイス)は、素子構造が形成される基体上に絶縁膜が形成されたものであって、絶縁膜が、本発明のシリカ系被膜の製造方法により製造されたシリカ系被膜、又はそのシリカ系被膜を含むものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明によるシリカ系被膜形成用組成物は、上述の如く、必須成分として(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含むものである。
【0022】
〈(a)成分〉
(a)成分は、下記式(1);
R1 nSiX4-n …(1)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂である。ここで、式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。
【0023】
加水分解性基Xとしては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基等が挙げられる。これらの中では、組成物自体の液状安定性や被膜塗布特性等の観点からアルコキシ基が好ましい。
【0024】
加水分解性基Xが、アルコキシ基である式(1)の化合物(アルコキシシラン)としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等のテトラアルコキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
【0025】
また、加水分解性基Xが、ハロゲン原子(ハロゲン基)である式(1)の化合物(ハロゲン化シラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。さらに、加水分解性基Xが、アセトキシ基である式(1)の化合物(アセトキシシラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がアセトキシ基で置換されたものが挙げられる。またさらに、加水分解性基Xが、イソシアネート基である式(1)の化合物(イソシアネートシラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がイソシアネート基で置換されたものが挙げられる。さらにまた、加水分解性基Xが、ヒドロキシル基である式(1)の化合物(ヒドロキシシラン)としては、上記の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がヒドロキシル基で置換されたものが挙げられる。
【0026】
これら式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
また、式(1)で表される化合物の加水分解縮合において加水分解縮合反応を促進する触媒として、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等の有機酸、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等の無機酸等を用いることができる。
【0028】
この触媒の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲が好ましい。この使用量が1モルを超える場合、加水分解縮合時にゲル化が促進される傾向があり、0.0001モル未満の場合、実質的に反応が進行しない傾向がある。
【0029】
さらに、この反応において、加水分解によって副生するアルコールを、必要に応じてエバポレータ等を用いて除去してもよい。またさらに、加水分解縮合反応系中に存在させる水の量を適宜決定することができるが、この水の量としては、式(1)で表される化合物1モルに対して0.5〜20モルの範囲内の値とすると好ましい。この水量が0.5モル未満の場合及び20モルを超える場合には、シリカ系被膜の成膜性が悪化すると共に、組成物自体の保存安定性が低下する場合がある。
【0030】
また、(a)成分としてのシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定され且つ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算された質量平均分子量が、500〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であるとより好ましい。この質量平均分子量が500未満であると、シリカ系被膜の成膜性が劣る傾向にある。一方、この質量平均分子量が20,000を超えると、溶媒との相溶性が低下する傾向にある。
【0031】
さらに、シロキサン樹脂のケイ素1原子あたりに結合しているH原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子(以下、「特定の結合原子」という)の総数(M)が0.65以下であることが好ましく、0.55以下であるとより好ましく、0.50以下であると特に好ましく、0.45以下であると極めて好ましい。また、その下限値としては0.20程度が好ましい。
【0032】
この特定の結合原子の総数(M)が、0.65を超える場合、最終的に得られるシリカ系被膜の他の膜(層)との接着性、機械強度等が劣る傾向がある。一方、この総数(M)が0.20未満であると、絶縁膜として用いたときの誘電特性が劣る傾向にある。また、シロキサン樹脂は、これらの特定の結合原子のなかでも、シリカ系被膜の成膜性の点で、H原子、F原子、N原子、Si原子、Ti原子及びC原子のうち少なくともいずれか一種を含むとより好ましく、それらのなかでも、誘電特性及び機械強度の点において、H原子、F原子、N原子、Si原子及びC原子のうち少なくともいずれか一種を含むと一層好ましい。
【0033】
なお、この総数(M)は、(a)成分であるシロキサン樹脂の仕込み量から求めることができ、例えば、下記式(4);
M=(M1+(M2/2)+(M3/3))/Msi …(4)
で表される関係を用いて算出できる。式中、M1は、特定の結合原子のうち単一の(ただ1つの)Si原子と結合している原子の総数を示し、M2は、特定の結合原子のうち2つのケイ素原子で共有されている原子の総数を示し、M3は、特定の結合原子のうち3つのケイ素原子で共有されている原子の総数を示し、Msiは、Si原子の総数を示す。
【0034】
〈(b)成分〉
(b)成分は、(a)成分すなわち前述のシロキサン樹脂を溶解可能な溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、γ−ブチロラクトン等のケトン系溶媒、エチルエーテル、iso−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の溶媒を例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて第1の溶媒及び第2の溶媒と共に用いられる。
【0035】
この溶媒(つまり(b)成分)の使用量としては、(a)成分(シロキサン樹脂)の量が3〜25質量%となるような量とされることが好ましい。溶媒の量が過少で(a)成分の濃度が25質量%を超えると、シリカ系被膜の成膜性等が悪化すると共に、組成物自体の安定性が低下する傾向にある。これに対し、溶媒の量が過多で(a)成分の濃度が3質量%を下回ると、所望の膜厚を有するシリカ系被膜を形成し難くなる傾向にある。
【0036】
〈(c)成分〉
(c)成分は、ヒドロキシル基を含む側鎖を有しており、且つ、側鎖におけるヒドロキシル基の濃度MOH(mol/g)が下記式(2);
0<MOH<0.4×10-2 …(2)、
で表される関係を満たす重合体である。
【0037】
このヒドロキシル基の濃度MOHが0(ゼロ)mol/g、すなわち側鎖にヒドロキシル基が含まれていない場合には、組成物から溶媒を揮散等による除去したときに、(a)成分のシロキサン樹脂と重合体とが相分離するおそれがある。こうなると、最終的に得られるシリカ系被膜の空孔径が過度に大きくなると共に、その径分布が広がり微細空孔の均一性が悪化する傾向があり、機械強度の低下を招くおそれがある。一方、ヒドロキシル基の濃度MOHが0.4×10-2mol/gを超過すると、加熱時に重合体が分解又は揮発し難くなり、加熱処理に高温又は長時間を要してしまうといった不都合が生じる。
【0038】
ここで、ヒドロキシル基の濃度MOH(mol/g)は、重合体の仕込み量から求めることができ、例えば、下記式(5);
MOH=(Ma×Mb/Mb)/Mh×100 …(5)、
で表される関係を用いて算出できる。式中、Maはヒドロキシル基が含まれる最小繰り返しユニットのモル比率示し、Mbはヒドロキシル基(OH基)の分子量を示し、Mhは重合体の平均分子量を示す。
【0039】
また、(c)成分である重合体は、温度300〜500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは97質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上である。この減少率が95質量%未満であると、当該組成物を加熱する際の重合体の分解又は揮散が不十分となる傾向にあり、最終的に得られるシリカ系被膜中に重合体、重合体の一部又は重合体由来の反応生成物が残留してしまうおそれがある。こうなると、比誘電率の上昇等、シリカ系被膜の電気特性の劣化を招来することがある。
【0040】
なお、本発明における(c)重合体の「減少率」は、以下の装置及び条件によって求められる値である。
・使用装置:TG/DTA6300(セイコーインスツルメンツ社製)
・昇温開始温度:50℃
・昇温速度:10℃/min
・サンプル量:10mg
・雰囲気:窒素(N2)ガス 200ml/min
・リファレンス:α−アルミナ(セイコーインスツルメンツ社製)
・試料容器:オープンサンプルパンφ5 アルミニウム(セイコーインスツルメンツ社製)
【0041】
なお、(c)重合体の分解開始前の基準質量は、昇温途中である150℃における質量とする。これは、150℃以下での質量減少が吸着した水分等の除去によるものであって、(c)成分である重合体そのものの分解は実質的に生じていないと推定されることによる。また、この「減少率」の測定において、(c)成分である重合体が溶液に溶解している等の理由で、重合体のみを直接量り取ることができない場合には、重合体を含む溶液を、例えば金属シャーレに約2g程度とり、常圧の空気中、150℃にて3時間乾燥して得られる残渣物を試料として用いる。
【0042】
さらに、(c)成分である重合体は、(a)成分であるシロキサン樹脂との相溶性等の観点から、GPCにより測定され且つ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算された質量平均分子量が、500〜100,000であることが好ましく、1,000〜50,000であるとより好ましい。この質量平均分子量が500未満であると、シリカ系被膜の成膜性が劣る傾向にある。一方、この質量平均分子量が100,000を超えると、シロキサン樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
【0043】
このような(c)成分の重合体を構成するヒドロキシル基を有する化合物(単量体成分)の具体例としては、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
【0044】
また、(c)成分の重合体は、側鎖中のヒドロキシル基の濃度MOHを調整する目的で、ヒドロキシル基を有さない化合物を構成成分として含んでいてもよい。このようなヒドロキシル基を有さない化合物としては、例えば、ビニルエーテル系化合物、ポリエチレンオキサイド構造を有するビニル系化合物、ポリプロピレンオキサイド構造を有するビニル系化合物、ビニルピリジン系化合物、スチレン系化合物、アルキルエステルビニル系化合物、(メタ)アクリレート酸系化合物等が挙げられる。これらのなかでも、重合体の分解特性又は揮発特性に優れる観点よりエステル結合を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリレート酸系化合物((メタ)アクリレート酸誘導体)が特に好ましい。
【0045】
(メタ)アクリレート酸誘導体としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0046】
また、アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステルが挙げられ、メタクリル酸アルキルエステルとして、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステルが挙げられる。
【0047】
さらに、アクリル酸アルコキシアルキルエステルとして、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル等が挙げられ、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとして、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。
【0048】
〈(d)成分〉
(d)成分は、オニウム塩であり、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。これらのなかでは、組成物の安定性により優れる点でアンモニウム塩が好ましく、例えば、テトラメチルアンモニウムオキサイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフロライド、テトラブチルアンモニウムオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフロライド、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等が挙げられる。
【0049】
さらに、これらのなかでは、シリカ系被膜の電気特性を向上させる観点から、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等のアンモニウム塩が特に好ましい。
【0050】
また、(d)成分であるオニウム塩の使用量は、シリカ系被膜形成用組成物の全量に対して0.001ppm〜5%であることが好ましく、0.01ppm〜1%であるとより好ましく、0.1ppm〜0.5%であると一層好ましい。この使用量が0.001ppm未満であると、最終的に得られるシリカ系被膜の電気特性、機械特性が劣る傾向にある。一方、この使用量が5%を超えると、組成物の安定性、成膜性等が劣る傾向にあると共に、シリカ系被膜の電気特性及びプロセス適合性が低下する傾向にある。なお、これらのオニウム塩は、必要に応じて水や溶媒に溶解或いは希釈してから、所望の濃度となるように添加することができる。
【0051】
また、オニウム塩を水溶液とした場合、そのpHが1.5〜10であると好ましく、2〜8であるとより好ましく、3〜6であると特に好ましい。このpHが1.5を下回ると、或いは、pHが10を超えると、組成物の安定性、及び成膜性等が劣る傾向にある。
【0052】
なお、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましく、含まれる場合でも組成物中のそれらの金属イオン濃度が100ppb以下であると好ましく、20ppb以下であるとより好ましい。これらの金属イオン濃度が100ppbを超えると、組成物から得られるシリカ系被膜を有する半導体素子に金属イオンが流入し易くなってデバイス性能そのものに悪影響を及ぼすおそれがある。よって、必要に応じてイオン交換フィルター等を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。
【0053】
このようなシリカ系被膜形成用組成物は、後述するようにウエハ等の基板上に塗布された後、加熱、焼成によって硬化され、これにより、低誘電率を発現するシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。このとき、(b)成分の溶媒として上記の第1の溶媒成分及び第2の溶媒成分を含むものを用いるので、シリカ系被膜の機械強度が十分に高められると共に、膜厚の均一性を向上させることができる。
【0054】
また、必須成分である(c)成分としての重合体の側鎖にヒドロキシル基が含まれることにより、(b)成分の溶媒が揮散等で除去される際に(a)成分のシロキサン樹脂と上記重合体との相分離が防止され、膜内部に形成される空孔の微細化及び形状の均一化が図られる。よって、最終的に得られるシリカ系被膜の機械強度の低下をより一層抑制することが可能となる。
【0055】
加えて、(d)成分であるオニウム塩を必須成分として含有するので、シリカ系被膜の機械強度及び電気的信頼性の向上が図られる。したがって、CMP工程において、シリカ系被膜と他の層(膜)との界面において剥離が生じてしまうことを防止できる。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ不明な点があるものの、オニウム塩によって脱水縮合反応が促進されてシロキサン結合の密度が増加し、さらに残留するシラノール基が減少するため、機械強度及び誘電特性が向上されることが一因と推定される。但し、作用はこれに限定されない。
【0056】
さらに、シロキサン樹脂における結合原子の総数が0.65以下とされることにより、更に十分な機械強度を実現でき、しかも他の膜(層)との十分な接着性が確保される。したがって、シリカ系被膜上に被着されたCu等の配線金属をCMP(Chemical Mechanical Polish)する工程において、界面剥離の発生を一層防止できる。
【0057】
またさらに、(c)成分である重合体の側鎖におけるヒドロキシル基の濃度が上述した上限値以下とされているので、加熱時に(c)成分の分解が抑えられると共にその揮発が促進される。よって、過度に高温とすることなく、組成物を従来に比して低温又は短時間で硬化させることが可能となる。その結果、基板への入熱量を格段に低減でき、他の膜(層)ひいてはデバイスの特性劣化を抑止でき、しかもプロセス時間の短縮によりスループットの向上を図り得る。
【0058】
このような本発明のシリカ系被膜形成用組成物を用いて、基板上にシリカ系被膜を形成する方法について、一般にシリカ系被膜の成膜性及び膜均一性に優れるスピンコート法を例にとって説明する。まず、シリカ系被膜形成用組成物をシリコンウエハ等の基板上に好ましくは500〜5000回転/分、より好ましくは1000〜3000回転/分でスピン塗布して被膜を形成する。この際、回転数が500回転/分未満であると、膜均一性が悪化する傾向にある一方で、5000回転/分を超えると、成膜性が悪化するおそれがあるため好ましくない。
【0059】
次いで、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜300℃でホットプレート等にて被膜中の溶媒を乾燥させる。この乾燥温度が50℃未満であると、溶媒の乾燥が十分に行われない傾向にある。一方、乾燥温度が350℃を超えると、被膜においてシロキサン骨格が形成される前にポーラス形成用の重合体((c)成分)が熱分解されて揮発量が不都合な程に増大してしまい、所望の機械強度及び低誘電特性を有するシリカ系被膜を得難くなるおそれがある。
【0060】
次に、溶媒が除去された被膜を250〜500℃の加熱温度で焼成して最終硬化を行う。最終硬化は、N2、Ar、He等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であると好ましい。この加熱温度が250℃未満であると、十分な硬化が達成されない傾向にあると共に、(c)成分の分解・揮発を十分に促進できない傾向にある。これに対し、加熱温度が500℃を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
【0061】
また、この際の加熱時間は2〜60分が好ましく、2〜30分であるとより好ましい。この加熱時間が60分を超えると、入熱量が過度に増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。さらに、加熱装置としては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置を用いることが好ましい。
【0062】
また、このようにして形成されるシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜40μmであることが好ましく、0.1μm〜2.0μmであるとより好ましい。かかる膜厚が40μmを超えると、応力によってクラックが発生し易くなる一方で、0.01μm未満であると、シリカ系被膜の上下に金属配線層が存在する場合に、上下配線間のリーク特性が悪化する傾向がある。
【0063】
かかるシリカ系被膜を有する本発明の電子部品としては、半導体素子、多層配線板等の絶縁膜を有するデバイスが挙げられる。具体的には、半導体素子においては、表面保護膜(パッシベーション膜)、バッファーコート膜、層間絶縁膜等として使用することができる。一方、多層配線板においては、層間絶縁膜として好適に使用することができる。
【0064】
より具体的には、半導体素子として、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子等が挙げられる。また、多層配線板としては、MCM等の高密度配線板などが挙げられる。
【0065】
このような電子部品は、低誘電率を発現する本発明のシリカ系被膜を備えることにより、信号伝搬遅延時間の低減といった高性能化が図られると同時に高信頼性を達成できる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
〈合成例1〉
以下の手順により(c)成分である重合体を合成した。まず、1000mlのフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を300g仕込み、200mlの滴下ロートにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.0gを溶解させたメタクリル酸メチル95gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート5gとを仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気下、130℃のオイルバスで加熱攪拌しながら、滴下ロート内の溶液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。
【0068】
次いで、30分間攪拌した後、滴下ロートにAIBN0.2gを溶解させたPGMEAを97.8g仕込み、1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、更に2時間攪拌して、室温に戻し、重合体溶液を得た。
【0069】
これらの仕込み量から、前出の式(5)を用いて計算された側鎖のヒドロキシル基濃度MOHは、0.038×10-2mol/gであった。また、GPC法により質量平均分子量を測定したところ、9,800であった。さらに、重合体溶液2gを金属シャーレに量り取り、150℃の乾燥機で3時間乾燥させることにより求めた重合体の濃度は16.7質量%であった。またさらに、得られた重合体乾燥物を用いて測定した500℃における質量減少率は99%であった。
【0070】
〈実施例1〉
テトラエトキシシラン132.3gとメチルトリエトキシシラン65.1gとをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)335.94gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.92gを溶解させた水65.8gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、ポリシロキサン溶液を得た。この溶液に、合成例1で得た重合体溶液229.6gを添加し、減圧下、温浴中で生成エタノールを留去して、PGMEAとPGPの質量含有割合(PGMEA:PGPの比率)が36:64であるポリシロキサン/重合体溶液を得た。次いで、このポリシロキサン/重合体溶液に2.38%のテトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(pH3.6)26.47gを添加して本発明のシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
【0071】
〈合成例2〉
以下の手順により(c)成分である重合体を合成した。まず、1000mlのフラスコにPGPを300g仕込み、200mlの滴下ロートにAIBN1.7gを溶解させたメタクリル酸メチル45gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート55gとを仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、窒素ガス雰囲気下、130℃のオイルバスで加熱攪拌しながら、滴下ロート内の溶液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。次いで、30分間攪拌した後、滴下ロートにAIBN0.17gを溶解させたPGPを97.8g仕込み、1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、更に2時間攪拌して、室温に戻し、重合体溶液を得た。
【0072】
これらの仕込み量から、前出の式(5)を用いて計算された側鎖のヒドロキシル基濃度MOHは、0.48mol/gであった。また、GPC法により質量平均分子量を測定したところ、10,700であった。さらに、重合体溶液2gを金属シャーレに量り取り、150℃の乾燥機で3時間乾燥させることにより求めた重合体の濃度は15.0質量%であった。またさらに、得られた重合体乾燥物を用いて測定した500℃における質量減少率は95%であった。
【0073】
〈比較例1〉
実施例1と同様にして調製したポリシロキサン溶液に、合成例2で得た重合体溶液255.6gを添加し、減圧下、温浴中で生成エタノールを留去して650gのポリシロキサン/重合体溶液から成るシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
【0074】
〈比較例2〉
実施例1と同様にして調製したポリシロキサン溶液に、ポリ酢酸ビニル(質量平均分子量:12,000、500℃における質量減少率:92%、ヒドロキシル基の濃度MOH:0mol/g)の20wt%PGP溶液191.7gを添加し、減圧下、温浴中で生成エタノールを留去して600gのポリシロキサン/重合体溶液から成るシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
【0075】
〈層間絶縁膜の製造〉
実施例1並びに比較例1及び2で得た各シリカ系被膜形成用組成物を回転数2000rpm/30秒でシリコンウエハ上に回転塗布して被膜を形成した。回転塗布後、150℃/1分+250℃/1分かけて被膜中の溶媒を除去した後、O2濃度が100ppm前後にコントロールされた石英チューブ炉で400℃/30分間かけて被膜を最終硬化し、層間絶縁膜としてのシリカ系被膜を製造した。
【0076】
〈層間絶縁膜の評価〉
得られた各層間絶縁膜に対して以下の方法で膜厚、電気特性、及び膜強度評価を行った。
【0077】
〔膜厚測定〕
各層間絶縁膜の膜厚を、分光エリプソメータ(ガートナー社製;エリプソメータL116B、使用波長:633nm)で測定した。具体的には、層間絶縁膜上にHe−Neレーザー光を照射し、指定波長における照射により生じた位相差から求められる膜厚を測定した。
【0078】
〔比誘電率測定〕
本発明における膜の「比誘電率」とは、23℃±2℃、湿度40%±10%の雰囲気下で測定された値をいい、Al金属とN型低抵抗率基板(Siウエハ)間の電荷容量を測定することにより行った。具体的には、得られた層間絶縁膜上に、真空蒸着装置でAl金属を直径2mmの円で、厚さ約0.1μmになるように真空蒸着した。これにより、絶縁膜がAl金属と低抵抗率基板との間に配置された構造が形成される。次に、この構造体の電荷容量を、LFインピーダンスアナライザー(横河電機社製:HP4192A)に誘電体テスト・フィクスチャー(横河電機製:HP16451B)を接続した装置を用い、使用周波数1MHzにて測定した。
【0079】
そして、電荷容量の測定値を下記式(6);
層間絶縁膜の比誘電率=3.597×10-2×電荷容量(pF)×被膜の膜厚(μm) …(6)、
に代入し、層間絶縁膜の比誘電率を算出した。
【0080】
〔弾性率測定〕
各層間絶縁膜に対してMTS社製のナノインデンターDCMを用いて膜強度を示す弾性率を測定した。
【0081】
以上の各測定結果をまとめて表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシリカ系被膜形成用組成物及びシリカ系被膜の製造方法によれば、低誘電性に優れると共に十分な機械強度を有しており、且つ膜厚の均一性に優れ、更に、他の膜(層)への接着性及び電気的信頼性を向上できるシリカ系被膜を製造できる。しかも、従来に比して低温及び/又は短時間で硬化させることが可能となる。これにより、CMP耐性に優れ、層間絶縁膜等として好適なシリカ系被膜を形成することができる共に、基板への入熱量を低減して熱履歴を改善できる。よって、素子等の電子部品を構成する各層、特に配線層の劣化を抑止することが可能となる。
【0084】
また、本発明による電子部品は、かかるシリカ系被膜を有するので、デバイス全体の電気的信頼性を向上させることができ、製品生産の歩留まり及びプロセス裕度の向上を図ることが可能となる。しかも、シリカ系被膜の優れた特性により、高密度且つ高品位で信頼性に優れた電子部品を提供できる。
Claims (17)
- (a)成分:下記式(1);
R1 nSiX4−n …(1)、
(式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、
(b)成分:前記(a)成分を溶解可能な溶媒と、
(c)成分:少なくとも側鎖中にヒドロキシル基を含む重合体と、
(d)成分:シロキサン樹脂の脱水縮合を促進する触媒としてのオニウム塩と、
を備えており、
前記(d)成分は、(a)成分の合成後に添加されたものであって、
前記(c)成分である重合体が、下記式(2);
0<MOH<0.4×10−2 …(2)、
MOH:当該重合体における前記ヒドロキシル基の濃度(mol/g)、
で表される関係を満たすものであり、
前記(c)成分は、温度500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が97質量%以上のものである、シリカ系被膜形成用組成物。 - 前記(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が0.65モル以下のものである、請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、分子内にエステル結合が含まれるものである請求項1又は2に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、(メタ)アクリル酸誘導体を構成成分として含んであり、且つ、該(メタ)アクリル酸誘導体の含有濃度が0.5×10-2(mol/g)以上のものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(d)成分が、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩から選択される1種以上のアンモニウム塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- (a)成分:下記式(1);
R1 nSiX4−n …(1)、
(式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、
(b)成分:前記(a)成分を溶解可能な溶媒と、
(c)成分:少なくとも側鎖中にヒドロキシル基を含む重合体と、
(d)成分:オニウム塩と、
を備えており、
前記(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が0.50モル以下のものであり、
前記(c)成分である重合体が、下記式(2);
0<MOH<0.4×10−2 …(2)、
MOH:当該重合体における前記ヒドロキシル基の濃度(mol/g)、
で表される関係を満たすものであり、
前記(c)成分は、温度500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が97質量%以上のものである、シリカ系被膜形成用組成物。 - 前記(c)成分は、分子内にエステル結合が含まれるものである請求項6に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、(メタ)アクリル酸誘導体を構成成分として含んであり、且つ、該(メタ)アクリル酸誘導体の含有濃度が0.5×10-2(mol/g)以上のものである、請求項6又は7に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(d)成分が、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩から選択される1種以上のアンモニウム塩である、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、質量平均分子量が1,000〜50,000である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布し、塗布された該被膜に含まれる溶媒を除去した後、該被膜を250〜500℃の加熱温度で焼成する、シリカ系被膜の製造方法。
- 素子構造が形成される基体上に絶縁膜が形成された電子部品であって、
前記絶縁膜が、請求項11記載のシリカ系被膜の製造方法により製造されたシリカ系被膜を含むものである、ことを特徴とする電子部品。 - シリカ系被膜形成用組成物であって、該シリカ系被膜形成用組成物は、基板上に塗布して被膜を形成し、次いで加熱によって塗布された該被膜に含まれる溶媒を除去した後、該被膜を加熱硬化して使用されるものであり、
前記シリカ系被膜形成用組成物は、下記(a)〜(d)成分
(a)成分:下記式(1);
R1 nSiX4−n …(1)、
(式中、R1は、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各R1は同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、
(b)成分:前記(a)成分を溶解可能な溶媒と、
(c)成分:少なくとも側鎖中にヒドロキシル基を含む重合体と、
(d)成分:シロキサン樹脂の脱水縮合を促進する触媒としてのオニウム塩と、
を含有してなり、
前記(d)成分は、(a)成分の合成後に添加されたものであって、
前記(c)成分である重合体が、下記式(2);
0<MOH<0.4×10−2 …(2)、
MOH:当該重合体における前記ヒドロキシル基の濃度(mol/g)、
で表される関係を満たすものであり、
前記(c)成分は、温度500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が97質量%以上のものである、シリカ系被膜形成用組成物。 - 前記(c)成分は、分子内にエステル結合が含まれるものである請求項13に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、(メタ)アクリル酸誘導体を構成成分として含んであり、且つ、該(メタ)アクリル酸誘導体の含有濃度が0.5×10-2(mol/g)以上のものである、請求項13又は14に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(d)成分が、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩から選択される1種以上のアンモニウム塩である、請求項13〜15のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記(c)成分は、質量平均分子量が1,000〜50,000である、請求項13〜16のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
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