JP2004277508A - シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法並びにシリカ系被膜を備える電子部品 - Google Patents

シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法並びにシリカ系被膜を備える電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】低誘電性に優れる上に、その低誘電性の経時安定性にも優れ、更には十分な機械強度をも有するシリカ系被膜を得ることができるシリカ系被膜形成用組成物、及びシリカ系被膜の形成方法、並びに、そのシリカ系被膜を有する電子部品を提供すること。
【解決手段】(a)成分としてアルコキシシラン等のシロキサン樹脂と、(b)成分として計算溶解度パラメータの値が(a)成分のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である溶媒と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法並びにシリカ系被膜を備える電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSI等の半導体素子といった電子デバイス部品に関しては、高集積化による配線の微細化に伴い、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大が問題となっており、電子部品の絶縁材料に対して、耐熱性、機械特性等の他、更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮が求められている。
【0003】
一般に配線の信号伝搬速度(v)と、配線材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)とは、下記式(2);
v=k/√ε …(2)
で表される関係を示す(式中のkは定数である)。つまり、使用する周波数領域を高くすると共に、絶縁材料の比誘電率(ε)を低減することにより、信号伝搬の高速化が達成される。例えば、従来から、比誘電率4.2程度のCVD法によって形成されるSiO膜が層間絶縁膜の形成材料として用いられてきたが、デバイスの配線間容量を低減し、LSIの動作速度を向上させる観点から、更なる低誘電率を発現する材料が切望されている。
【0004】
これに対し、現在実用化されている低誘電率材料としては、比誘電率が3.5程度のCVD法で形成されるSiOF膜が挙げられる。また、比誘電率が2.5〜3.0である絶縁材料としては、有機SOG(Spin On Glass)、有機ポリマー等を例示できる。更に、比誘電率が2.5以下の絶縁材料としては、膜中に空隙を有するポーラス材が有力と考えられており、LSIの層間絶縁膜に適用するための検討・開発が盛んに行われている。
【0005】
そのようなポーラス材の形成方法として、特許文献1〜3等には、有機SOG材の低誘電率化が提案されている。この方法は、金属アルコキシドの加水分解縮重合物と共に加熱することにより揮発又は分解する特性を有するポリマーを含有してなる組成物から被膜を形成し、この被膜を加熱することによって空孔を形成するものである。
【特許文献1】
特開平10−283843号公報
【特許文献2】
特開平11−322992号公報
【特許文献3】
特開平11−310411号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者らがかかる従来の方法について詳細に検討を行ったところ、このような従来方法では、所望の誘電率を達成すべく多量の空隙を導入する必要があるために、有機SOG材の機械強度が低い場合には、該有機SOG材を形成して得られた空孔を有する被膜の膜強度も低下してしまう結果となり、プロセス適応性に大きな問題点があることが明らかになった。更に、これらの手段により得られる被膜材料は吸湿性を有するために、該被膜材料は大気雰囲気下で容易に水分を吸収してしまい、その結果、電気特性が劣化するおそれがあることも明らかになった。
【0007】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、低誘電性に優れる上に、その低誘電性の経時安定性にも優れ、更には十分な機械強度をも有するシリカ系被膜を得ることができるシリカ系被膜形成用組成物、及びシリカ系被膜の形成方法、並びに、そのシリカ系被膜を有する電子部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは、絶縁膜に好適なシリカ系被膜を得るための材料成分及びその組成の観点から鋭意研究を重ね、特定の成分を含有する組成物が、従来の問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明によるシリカ系被膜形成用組成物は、(a)成分:下記式(1);
SiX4−n …(1)
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、(b)成分:計算溶解度パラメータの値が(a)成分のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である溶媒と、を含有してなるものである。
【0010】
なお、上記式(1)中、Rは、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。
【0011】
このような構成を有する組成物は、ウエハ等の基板上に塗布された後、加熱によって硬化され、低誘電率を発現するシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。この際、(b)成分である溶媒の計算溶解度パラメータが、(a)成分の計算溶解度パラメータより10(MJ/m1/2以上小さくなると、最終的に得られるシリカ系被膜が低誘電性に優れる上に、その低誘電性の経時安定性にも優れ、更には十分な機械強度をも実現することが確認された。
【0012】
また、(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が好ましくは0.65モル以下、より好ましくは0.55モル以下、更に好ましくは0.50モル以下、特に好ましくは0.45モル以下のものである。また、この総含有割合の下限値は、0.20程度であることが望ましい。このようにすれば、シリカ系被膜の他の膜(層)への接着性及び機械強度の低下が抑制される。
【0013】
更に、(b)成分が、アルキレングリコールジアルキルエーテル又はジアルキレングリコールジアルキルエーテルであると好ましい。(b)成分としてかかる溶媒を使用すれば、最終的に得られるシリカ系被膜が十分な機械特性を有する上に、より優れた電気特性を有することとなる。
【0014】
また、シリカ系被膜形成用組成物は、250〜500℃の加熱温度で熱分解又は揮発する空隙形成用化合物を更に含有してなると好ましい。空隙形成用化合物がかかる条件を満たせば、シリカ系被膜形成用組成物を加熱して得られるシリカ系被膜中に空隙形成用化合物由来の不純物が残存せず、該シリカ系被膜の機械特性又は電気特性に悪影響を及ぼす可能性は低くなる。
【0015】
更に、前記空隙形成用化合物が、オキシプロピレン構造を有する重合体であると、該重合体の分解特性及び最終的に得られるシリカ系被膜の機械強度の点から、より好ましい。
【0016】
そして、シリカ系被膜形成用組成物が、オニウム塩をも含有すると更に好ましい。オニウム塩を含有することで、(a)成分の脱水縮合反応が進み、Si−OH結合が減少することによってシロキサン結合の密度が高められ、空孔形成過程及びシロキサン結合の高密度化と最終加熱時に奏され得るアニール効果とが複合的に作用して膜の応力緩和が生起され得ると考察される。但し、作用はこれらに限定されない。
【0017】
また、本発明によるシリカ系被膜の形成方法は、基板上にシリカ系被膜を形成する方法であって、上記本発明のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布し塗布膜を形成し、該塗布膜に含まれる有機溶媒を除去した後、該塗布膜を250〜500℃の加熱温度で焼成することを特徴とする。
【0018】
本発明は更に、基板上に設けられており、上記シリカ系被膜の形成方法により形成されてなることを特徴とするシリカ系被膜を提供し、かかる被膜は、特に、基板上に設けられた複数の導電性層のうち互いに隣設された導電性層の間に形成されたもの、すなわち、リーク電流を充分に低減する必要のある絶縁膜、例えば層間絶縁膜として有用である。
【0019】
更に、本発明による電子部品(デバイス)は、基板上に上記シリカ系被膜が形成されてなるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
本発明にかかるシリカ系被膜形成用組成物は、上述のとおり、必須成分として(a)成分及び(b)成分を含有するものである。
【0022】
〈(a)成分〉
(a)成分は、下記式(1);
SiX4−n …(1)、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂である。ここで、上記式(1)中、Rは、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基(好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは1〜6の有機基)を示す。
【0023】
また、加水分解性基Xとしては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
【0024】
加水分解性基Xがアルコキシ基である場合の上記一般式(1)で表される化合物としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が例示できる。
【0025】
トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
ジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
また、加水分解性基ハロゲン原子(ハロゲン基)である場合の上記一般式(1)で表される化合物(ハロゲン化シラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がハロゲン原子で置換された化合物が例示できる。更に、Xがアセトキシ基である場合の上記式(1)で表される化合物(アセトキシシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がアセトキシ基で置換された化合物が挙げられる。また、Xがイソシアネート基である場合の上記式(1)で表される化合物(イソシアネートシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がイソシアネート基で置換された化合物が挙げられる。更に、Xがヒドロキシル基である場合の上記式(1)で表される化合物(ヒドロキシシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がヒドロキシル基で置換された化合物ものが例示できる。なお、上記式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
これらの化合物の中でも、組成物自体の液状安定性や被膜塗布特性等の観点から、加水分解性基Xがアルコキシ基であることが好ましく、該化合物がテトラアルコキシシラン及びオルガノトリアルコキシシランが更に好ましく、テトラエトキシシラン及びメチルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0029】
上記一般式(1)に戻り、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、上記Rは各々同一でも異なっていてもよい。また、nが0〜2のとき、上記Xは各々同一でも異なっていてもよい。なお、nは0〜1であることが好ましく、nが0である上記一般式(1)で表される化合物とnが1である上記一般式(1)で表される化合物を組み合わせて使用することが好ましい。nが0及び1である化合物を組み合わせた場合には、シロキサン樹脂は、SiOで表される単位及びRSiO3/2で表される単位を含む。但し、Rは上記と同義である。かかるシロキサン樹脂は、多官能性を有する上述のテトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとを共加水分解縮合させて得られる。なお、SiOで表される単位はテトラアルコキシシランに由来する単位であり、RSiO3/2で表される単位はトリアルコキシシランに由来する単位である。シロキサン樹脂はかかる単位を含むことにより架橋密度が向上するため、被膜特性を向上させることができる。
【0030】
また、上記式(1)で表される化合物の加水分解縮合において加水分解縮合反応を促進する触媒として、無機酸又は有機酸を用いることができる。
【0031】
無機酸としては、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等を用いることができる。
【0032】
有機酸としては、酢酸、マレイン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピコリン酸、ピメリン酸、1,10−フェナントロリン酸、ニコチン酸、酒石酸、コハク酸、グルタル酸、2−グリセリンリン酸、D−グルコース−1−リン酸、アジピン酸、蟻酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等を用いることができる。
【0033】
これらの中では、最終的に得られる硬化膜であるシリカ系被膜の硬度の向上、塗布溶液の安定性及び誘電率を更に低下させ得る等の観点により、マレイン酸又は硝酸が好ましい。
【0034】
これらの無機酸及び有機酸は、上記式(1)で表される化合物の加水分解縮合反応の触媒として用いられる以外にも、塗布溶液の安定性及び硬化膜電気特性の安定性の観点より、反応終了後の組成物に添加してもよく、無機酸と有機酸とを併用することもできる。そして、前記観点より、無機酸を加水分解縮合反応の触媒として使用し、その後、反応終了組成物に有機酸を添加して使用することが好ましい。
【0035】
この無機酸及び/又は有機酸の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して0.0001〜1モルの範囲が好ましい。この使用量が1モルを超える場合、加水分解縮合時にゲル化が促進される傾向があり、0.0001モル未満の場合、実質的に反応が進行しない傾向がある。
【0036】
更に、この反応において、加水分解によって副生するアルコールを、必要に応じてエバポレータ等を用いて除去してもよい。また更に、加水分解縮合反応系中に存在させる水の量を適宜決定することができるが、この水の量としては、式(1)で表される化合物1モルに対して0.5〜20モルの範囲内の値とすると好ましい。この水の量が0.5モル未満の場合及び20モルを超える場合には、シリカ系被膜の成膜性が悪化すると共に、組成物自体の保存安定性が低下する場合がある。
【0037】
また、(a)成分としてのシロキサン樹脂は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定され且つ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算された重量平均分子量が、300〜20,000であることが好ましく、500〜10,000であるとより好ましい。この重量平均分子量が300未満であると、シリカ系被膜の成膜性が劣る傾向にある。一方、この重量平均分子量が20,000を超えると、溶媒との相溶性が低下する傾向にある。
【0038】
更に、シロキサン樹脂のシロキサン結合を形成しているSi原子の1原子あたりに結合しているH原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子(以下、「特定の結合原子」という)の総数(M)が0.65以下であることが好ましく、0.55以下であるとより好ましく、0.50以下であると特に好ましく、0.45以下であると極めて好ましい。また、その下限値としては0.20程度が好ましい。
【0039】
この特定の結合原子の総数(M)が、0.65を超える場合、最終的に得られるシリカ系被膜の他の膜(層)との接着性及び機械強度等が劣る傾向がある。一方、この総数(M)が0.20未満であると、絶縁膜として用いたときの誘電特性が劣る傾向にある。また、シロキサン樹脂は、これら特定の結合原子の中でも、シリカ系被膜の成膜性の点で、H原子、F原子、N原子、Si原子、Ti原子及びC原子のうち少なくともいずれか一種を含むとより好ましく、それらのなかでも、誘電特性及び機械強度の点において、H原子、F原子、N原子、Si原子及びC原子のうち少なくともいずれか一種を含むと一層好ましい。
【0040】
なお、このMの値は、シロキサン樹脂の原料である上記一般式(1)で表される化合物の仕込み量から求めることができる。例えば、下記式(2);
M=(M+(M/2)+(M/3))/Msi …(2)
で表される関係を用いて算出できる。上記式(2)中、Mは、特定の結合原子のうち単一の(ただ1つの)Si原子と結合している原子の総数を示し、Mは、特定の結合原子のうち2つのSi原子で共有されている原子の総数を示し、Mは、特定の結合原子のうち3つのSi原子で共有されている原子の総数を示し、Msiは、Si原子の総数を示す。
【0041】
〈(b)成分〉
(b)成分は、計算溶解度パラメータの値が(a)成分すなわち前述のシロキサン樹脂のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である溶媒を必須成分として含有してなる。
【0042】
ここで、本明細書に記載する計算溶解度パラメータについて説明する。
【0043】
まず、(a)成分すなわちシロキサン樹脂が単独重合体である場合の計算溶解度パラメータは、単位分子中の各原子団についての蒸発エネルギー定数及びモル体積定数から、下記式(3);
σ=(ΣΔei/ΣΔνi)1/2 …(3)
により定義される。上記式中、σは単独重合体の計算溶解度パラメータ(単位;(MJ/m1/2)を示し、Δeiは各原子団の1モル当たりの蒸発エネルギー(単位;MJ/mol)を示し、Δνiは各原子団のモル体積(単位;m/mol)を示す。また、ΣΔeiは各原子団の(原子団の1モル当たりの蒸発エネルギー×原子団数)の総和を示し、ΣΔνiは各原子団の(原子団のモル体積×原子団数)の総和を示す(向井、金城著「技術者のための実学高分子」講談社、1981年10月、第66〜87頁参照)。
【0044】
なお、計算を簡便にするために、計算溶解度パラメータの算出に使用するシロキサン樹脂の骨格は、完全に縮合硬化された状態であるものと仮定した。従って、例えば、シロキサン樹脂がテトラアルコキシシラン単独での縮合硬化物であれば、シロキサン樹脂の骨格をSiOとして計算溶解度パラメータを算出し、メチルトリアルコキシシラン単独での縮合硬化物であれば、シロキサン樹脂の骨格をCHSiO3/2として計算溶解度パラメータを算出する。
【0045】
また、シロキサン樹脂が共重合体である場合の計算溶解度パラメータは、下記式(4);
σ=ΣMri×σi …(4)
で表される関係により定義される。上記式中、σは共重合体の計算溶解度パラメータ(単位;(MJ/m1/2)を示し、Mriは共重合体中の各構成単位の仕込みモル比率を示し、σiは共重合体中の各構成単位の計算溶解度パラメータ(単位;(MJ/m1/2)を示す。
【0046】
例えば、テトラアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランとの共重合体である場合の計算溶解度パラメータは、下記式(5);
σ(SiO+CHSiO3/2)=Mr(SiO)×σ(SiO)+Mr(CHSiO3/2)×σ(CHSiO3/2) …(5)
で表される関係を用いて算出される。上記式中σ(SiO+CHSiO3/2)はテトラアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランとの共重合体の計算溶解度パラメータを示し、Mr(SiO)はテトラアルコキシシランの共重合体中におけるモル比率を示し、σ(SiO)はテトラアルコキシシランのSiOとしての計算溶解度パラメータを示し、Mr(CHSiO3/2)はメチルトリアルコキシシランの共重合体中におけるモル比率を示し、σ(CHSiO3/2)はメチルトリアルコキシシランのCHSiO3/2としての計算溶解度パラメータを示す。
【0047】
具体的には、SiOは、Siの原子団数が1、Δei=3390、Δνi=0であり、Oの原子団数が2、Δei=3350、Δνi=3.8であるので、ΣΔei=1×3390+2×3350=10090となり、ΣΔνi=1×0+2×3.8=7.6となる。従って、式(2)よりSiOの計算溶解度パラメータは(10090/7.6)1/2=36.4となる。同様にして、CHSiO3/2は、CHのΔei=4710、Δνi=33.5であるので、CHSiO3/2の計算溶解度パラメータは、18.3となる。
【0048】
そして、テトラアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランとの共重合体中の各単量体のモル比率が、SiO:CHSiO3/2=0.537:0.463である場合は、式(5)より、該共重合体の計算溶解度パラメータは、36.4×0.537+18.3×0.463=28.0となる。
【0049】
また、(b)成分すなわち溶媒の計算溶解度パラメータは、上記文献(向井、金城著「技術者のための実学高分子」講談社、1981年10月)に記載された各溶媒の1モル当たりの蒸発エネルギー及びモル体積を用いて、下記式(6);
σ=(Δes/Δνs)1/2 …(6)
の関係を用いて算出される。上記式中、σは溶媒の計算溶解度パラメータ(単位;(MJ/m1/2)を示し、Δesは溶媒の1モル当たりの蒸発エネルギー(単位;MJ/mol)を示し、Δνsは溶媒のモル体積(単位;m/mol)を示す。
【0050】
(b)成分である溶媒のうち必須成分としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶媒、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル系溶媒、2−メチルピロリジノン、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ヘキサフルオロイソプロパノ−ル、へキサン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、最終的に得られるシリカ系被膜の機械特性及び電気特性の点からエーテル系溶媒が好ましく、更にはアルキレングリコールジアルキルエーテル系溶媒又はジアルキレングリコールジアルキルエーテル系溶媒が好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いられる。
【0052】
また、上記必須溶媒成分以外の溶媒成分であっても、(b)成分全体としての計算溶解度パラメータの値が(a)成分すなわち前述のシロキサン樹脂のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である限りにおいて、(b)成分に含有される溶媒成分として適宜添加されてもよい。
【0053】
具体的には、例えば、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート系溶媒(上述したものを除く)、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶媒(上述したものを除く)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて必須溶媒成分と共に用いられる。
【0054】
また、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、250〜500℃の加熱温度で熱分解又は揮発する空隙形成用化合物を更に含有することもできる。
【0055】
ここで、該空隙形成用化合物が250℃を下回る温度で熱分解又は揮発するものであると、シロキサン骨格形成前に熱分解揮発してしまうため、所望の誘電特性が得られないおそれがある。一方、この空隙形成用化合物が500℃を超える温度で熱分解又は揮発するものであると、配線金属の劣化が生じるおそれがある。従って、かかる温度範囲で熱分解又は揮発するものであれば、配線金属の劣化を抑えつつ、絶縁膜の誘電特性を調整し易くなる利点がある。
【0056】
また、この空隙形成用化合物は、窒素中で250〜500℃における重量減少率が95重量%以上であることが好ましく、97重量%以上であることがより好ましく、99重量%以上であることが更に好ましい。
【0057】
重量減少率が95重量%以下であると、上記シリカ系被膜形成用組成物を加熱した際に、シリカ系被膜中に該空隙形成用化合物或いは該空隙形成用化合物の該空隙形成用化合物由来の反応物が残存している可能性があり、誘電率の上昇など電気特性の劣化を招くので好ましくない。
【0058】
なお、本発明における空隙形成用化合物の「重量減少率」は、上記重合体10mgを昇温開始温度50℃、昇温速度10℃/min、窒素(N)ガスの流速200ml/minとする条件下で、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6300)を用いて測定する。なお、リファレンスとしてはα−アルミナ(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料容器としてはφ5のアルミニウム製オープンサンプルパン(セイコーインスツルメンツ社製)を使用する。
【0059】
また、空隙形成用化合物の分解開始前の基準重量は、昇温途中である150℃における重量とする。これは、150℃以下での重量減少が吸着した水分等の除去によるものであって、空隙形成用化合物そのものの分解は実質的に生じていないと推定されることによる。
【0060】
該空隙形成用化合物の具体例としては、例えば、ビニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレン単位を有するビニル系化合物、ポリオキシプロピレン単位を有するビニル系化合物、ビニルピリジン系化合物、スチレン系化合物、アルキルエステルビニル系化合物、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリレート系化合物、ポリオキシアルキレン単位を有する重合体、ポリカーボネート重合体等が挙げられる。
【0061】
これらの中でも、空隙形成用化合物の分解特性及びシリカ系被膜の機械強度の点から、ポリオキシアルキレン単位を有する重合体が好ましく、ポリオキシプロピレン単位を有する重合体がより好ましく、ポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0062】
上記ポリオキシアルキレン単位としてはポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、ポリオキシテトラメチレン単位、ポリオキシブチレン単位等が挙げられる。
【0063】
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンアルキルエール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール型化合物等を挙げることができる。
【0064】
また、(メタ)アクリレート酸系化合物としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等を挙げることが出来る。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル等を挙げることができる。
【0065】
また、(メタ)アクリレート酸系化合物は、ヒドロキシル基を有する化合物との共重合体を使用できる。具体例な化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
【0066】
また、ポリエステルとしては、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環重合物、脂肪族ポリオールと脂肪族ポリカルボン酸との重縮合物等を挙げることができる。
【0067】
また、ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等の炭酸とアルキレングリコールの重縮合物を挙げることができる。
【0068】
また、ポリアンハイドライドとしては、ポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、ポリピメイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリアゼライルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物等を挙げることができる。
【0069】
なお、空隙形成用化合物は、(b)成分である溶媒への溶解性、(a)成分であるシロキサン樹脂との相溶性、シリカ系被膜の機械特性、該シリカ系被膜の成形性等の点から、GPCにより測定され且つ標準ポリスチレンの検量線を使用して換算された重量平均分子量が、200〜10,000であることが好ましく、300〜5,000であるとより好ましく、400〜2,000であると特に好ましい。この重量平均分子量が200未満であると、空隙の形成が不十分となる傾向にある。一方、この重量平均分子量が10,000を超えると、シロキサン樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
【0070】
また、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、オニウム塩を更に含有することもできる。
【0071】
オニウム塩としては、例えば、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。これらの中では、組成物の安定性により優れる点でアンモニウム塩が好ましく、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフロライド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフロライド、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩、テトラブチルアンモニウム硝酸塩等が挙げられる。
【0072】
更に、シリカ系被膜の電気特性を向上させる観点から、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩がより好ましく、テトラメチルアンモニウム硝酸塩が特に好ましい。
【0073】
また、オニウム塩を水溶液とした場合、そのpHが1.5〜10であると好ましく、2〜8であるとより好ましく、3〜6であると特に好ましい。このpHが1.5を下回ると、或いは、pHが10を超えると、シリカ系被膜形成用組成物の安定性、及びシリカ系被膜の成膜性等が劣る傾向にある。
【0074】
次に、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の各成分の含有量について説明する。
【0075】
本発明のシリカ系被膜形成用組成物に占める(a)成分(シロキサン樹脂)の含有量は、3〜25質量%が好ましい。(a)成分の濃度が25質量%を超えると、有機溶媒の量が過少となりシリカ系被膜の成膜性等が悪化すると共に、組成物自体の安定性が低下する傾向にある。一方、(a)成分の濃度が3質量%を下回ると、溶媒の量が過多となり所望の膜厚を有するシリカ系被膜を形成し難くなる傾向にある。
【0076】
また、空隙形成用化合物の含有量は、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の全重量基準で、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると、空隙形成が不充分となる傾向がある。一方、10質量%を越えると、膜強度が低下する場合がある。
【0077】
更に、オニウム塩の使用量は、シリカ系被膜形成用組成物の全重量基準で0.001ppm〜5質量%であることが好ましく、0.01ppm〜2質量%であるとより好ましく、0.1ppm〜1質量%であると一層好ましい。この使用量が0.001ppm未満であると、最終的に得られるシリカ系被膜の電気特性、機械特性が劣る傾向にある。一方、この使用量が5質量%を超えると、組成物の安定性、成膜性等が劣る傾向にあると共に、シリカ系被膜の電気特性及びプロセス適合性が低下する傾向にある。なお、これらのオニウム塩は、必要に応じて水や溶媒に溶解或いは希釈してから、所望の濃度となるように添加することができる。
【0078】
なお、(b)成分である溶媒の含有量は、(a)成分、空隙形成用化合物及びオニウム塩の合計重量を上記組成物の重量から除いた残部である。
【0079】
また、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましく、含まれる場合でも組成物中のそれらの金属イオン濃度が100ppb以下であると好ましく、20ppb以下であるとより好ましい。これらの金属イオン濃度が100ppbを超えると、組成物から得られるシリカ系被膜を有する半導体素子に金属イオンが流入し易くなってデバイス性能そのものに悪影響を及ぼすおそれがある。よって、必要に応じてイオン交換フィルター等を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。
【0080】
このようなシリカ系被膜形成用組成物は、後述するようにウエハ等の基板上に塗布された後、加熱、焼成によって硬化され、これにより、低誘電率を発現するシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。この際、溶媒として計算溶解度パラメータの値がシロキサン樹脂のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である溶媒を用いるので、シリカ系被膜の機械強度が十分に高められ、更に最終的に得られるシリカ系被膜が長期間に亘って低誘電性を維持することができる。
【0081】
また、シロキサン樹脂における結合原子の総数が0.65以下とされることにより、更に十分な機械強度を実現でき、しかも他の膜(層)との十分な接着性が確保される。従って、シリカ系被膜上に被着されたCu等の配線金属をCMP(Chemical Mechanical Polish)する工程において、界面剥離が生じることをも防止できる。
【0082】
更に、上述したような空隙形成用化合物を含有する場合は、該空隙形成用化合物の熱分解又は揮発によって、膜中に微細孔(空隙、空孔)が徐々に形成され、最終硬化時に空孔の更なる微細化及び形状の均一化が図られ得る。
【0083】
また、オニウム塩をも含有する場合は、シリカ系被膜の機械強度及び電気的信頼性の向上が図られる。従って、例えば後の工程においてCMPが施された場合、シリカ系被膜と他の層(膜)との界面において剥離が生じてしまうことを防止できる。かかる効果が奏される作用機構の詳細は、未だ不明な点があるものの、オニウム塩によって脱水縮合反応が促進されてシロキサン結合の密度が増加し、更に残留するシラノール基が減少するため、機械強度及び誘電特性が向上されることが一因と推定される。
【0084】
そして、上記のような空孔形成過程、シロキサン結合の高密度化に加え、最終加熱時に奏され得るアニール効果が複合的に作用することによって、膜全体の応力緩和が引き起こされると考えられる。ただし、作用はこれらに限定されない。
【0085】
このような本発明のシリカ系被膜形成用組成物を用いて、基板上にシリカ系被膜を形成する方法について、一般にシリカ系被膜の成膜性及び膜均一性に優れるスピンコート法を例にとって説明する。この方法は、液状のシリカ系被膜形成用組成物をSiウエハ等の基板上に塗布して被膜とし、この被膜に対して予備硬化工程とそれに引き続く最終硬化工程とを実施することにより、本発明のシリカ系被膜を形成せしめる方法である。
【0086】
まず、シリカ系被膜形成用組成物をSiウエハ等の基板上に好ましくは500〜5000回転/分、より好ましくは1000〜3000回転/分でスピン塗布して被膜を形成する。この際、回転数が500回転/分未満であると、膜均一性が悪化する傾向にある一方で、5000回転/分を超えると、成膜性が悪化するおそれがあるため好ましくない。
【0087】
次いで、この被膜に対して予備硬化工程を実施する。この工程は、組成物中の溶媒の乾燥及びシロキサン樹脂の硬化度を高めるためのステップであり、50〜450℃、好ましくは100〜350℃の温度で加熱処理を行う。なお、予備硬化工程は、必要に応じて、異なる温度での多段加熱であってもよい。
【0088】
この加熱温度が50℃未満であると、溶媒の乾燥が十分に行われない傾向にある。一方、加熱温度が450℃を超えると、被膜においてシロキサン骨格が形成される前に空隙形成用化合物が熱分解揮発してしまい、所望の機械強度及び低誘電特性を有するシリカ系被膜を得難くなるおそれがある。
【0089】
次に、溶媒が除去され且つ予備硬化が行われた被膜を、250〜500℃の温度で焼成して最終硬化を行う。250℃未満となると、十分な硬化を達成し難い傾向にある。これに対し、加熱温度が500℃を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
【0090】
また、最終硬化は、N、Ar、He等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であると好ましい。
【0091】
更に、この際の加熱時間は2〜60分が好ましい。この加熱時間が60分を超えると、入熱量が過度に増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。また、加熱装置としては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置を用いることが好ましい。
【0092】
また、このようにして形成されるシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜40μmであることが好ましく、0.1μm〜2.0μmであるとより好ましい。かかる膜厚が40μmを超えると、応力によってクラックが発生し易くなる一方で、0.01μm未満であると、シリカ系被膜の上下に金属配線層が存在する場合に、上下配線間のリーク特性が悪化する傾向がある。
【0093】
かかるシリカ系被膜を有する本発明の電子部品としては、半導体素子、多層配線板等の絶縁膜を有するデバイスが挙げられる。具体的には、半導体素子においては、表面保護膜(パッシベーション膜)、バッファーコート膜、層間絶縁膜等として使用することができる。一方、多層配線板においては、層間絶縁膜として好適に使用することができる。
【0094】
より具体的には、半導体素子として、ダイオード、トランジスタ、キャパシタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子等が挙げられる。また、多層配線板としては、MCM等の高密度配線板などが挙げられる。
【0095】
図1は、本発明による電子部品の一実施形態を示す模式断面図である。メモリキャパシタセル8(電子部品)は、拡散領域1A,1Bが形成されたシリコンウェハ1(基板)上に酸化膜から成るゲート絶縁膜2Bを介して設けられたゲート電極3(ワード線として機能する。)と、その上方に設けられた対向電極8Cとの間に二層構造の層間絶縁膜5,7(絶縁被膜)が形成されたものである。ゲート電極3の側壁には、側壁酸化膜4A,4Bが形成されており、また、ゲート電極の側方における拡散領域1Bにはフィールド酸化膜2Aが形成され、素子分離がなされている。
【0096】
層間絶縁膜5は、これらのゲート電極3及びフィールド酸化膜2A上に被着されており、本発明のシリコン系被膜形成用組成物をスピンコートして形成されたものである。層間絶縁膜5におけるゲート電極3近傍にはビット線として機能する電極6が埋め込まれたコンタクトホール5Aが形成されている。更に、平坦化された層間絶縁膜5上には平坦化された層間絶縁膜7が被着されており、両者を貫通するように形成されたコンタクトホール7Aには蓄積電極8Aが埋め込まれている。層間絶縁膜7は、層間絶縁膜5と同様に本発明のシリコン系被膜形成用組成物をスピンコートして形成されたものである。そして、蓄積電極8A上に高誘電体からなるキャパシタ絶縁膜8Bを介して対向電極8Cが設けられている。なお、層間絶縁膜5,7は同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
【0097】
このように構成された本発明にかかる絶縁被膜が形成された上記例示したような電子部品は、低誘電率並びにその長時間に亘る安定性を発現する本発明にかかるシリカ系被膜を備えることにより、信号伝搬遅延時間の低減といった高性能化が図られると同時に高信頼性を達成できる。
【0098】
以下、本発明に係る具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
(実施例1)
1000mlのフラスコに、テトラエトキシシラン137.5gとメチルトリエトキシシラン107.2gを仕込み、次いで金属不純分濃度が20ppb以下のジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)を483.9g添加して常温で200回転数の速度で攪拌しながら溶解させた。これに60%硝酸0.47gと水71.98gで溶解させた水溶液を攪拌下で30分かけて滴下した。滴下中、発熱により溶液温度が上昇するが、冷却水等で冷却することなく、そのまま放置した。滴下終了後3時間反応させ、ポリシロキサン溶液を得た。液温は常温付近まで低下していた。得られたポリシロキサン溶液を減圧下、75〜85℃の温浴中で生成したエタノールと溶媒のDEGDMEの一部を留去して、濃縮されたポリシロキサン溶液530.1gを得た。GPC法による重量平均分子量を測定すると、1,110だった。溶液2gを金属シャーレに量り取り、150℃の乾燥機で2時間乾燥させることにより求めた濃縮されたポリシロキサン溶液のSiOを固形分とする理論濃度は15.0%であった。なお、シロキサン樹脂の計算溶解度パラメータは、SiO:CHSiO3/2=0.523:0.477であるので、式(5)より、36.4×0.523+18.3×0.477=27.8(MJ/m1/2であった。また、溶媒の計算溶解度パラメータは、16.6(MJ/m1/2であった。
【0100】
次いで、1000mlのフラスコに、濃縮されたポリシロキサン溶液464.4g、空隙形成用化合物としてポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725、以下同じ)20.34g、DEGDME396.1g、2.38%テトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(PH=3.6)14.6g、及び1%に希釈したマレイン酸水溶液4.5gをそれぞれ添加し室温で30分間攪拌溶解して本発明のシリカ系被膜形成用組成物を調製した。なお、空隙形成用化合物として使用したポリプロピレングリコールの350℃における重量減少率は99.9%であった。
【0101】
(比較例1)
1000mlのフラスコに、テトラエトキシシラン137.5gとメチルトリエトキシシラン107.2gを仕込み、次いで金属不純分濃度が20ppb以下のプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)を483.9g添加して常温で200回転数の速度で攪拌しながら溶解させた。これに60%硝酸0.47gと水71.98gで溶解させた水溶液を攪拌下で30分かけて滴下した。滴下中、発熱により溶液温度が上昇するが、冷却水等で冷却することなく、そのまま放置した。滴下終了後3時間反応させ、ポリシロキサン溶液を得た。液温は常温付近まで低下していた。得られたポリシロキサン溶液を減圧下、55〜65℃の温浴中で生成したエタノールと溶媒のPGPの一部を留去して、濃縮されたポリシロキサン溶液535.4gを得た。GPC法による重量平均分子量を測定すると、1,200だった。溶液2gを金属シャーレに量り取り、150℃の乾燥機で2時間乾燥させることにより求めた濃縮されたポリシロキサン溶液のSiOを固形分とする理論濃度は14.9%であった。なお、シロキサン樹脂の計算溶解度パラメータは、式(5)より、27.8(MJ/m1/2であった。また、溶媒の計算溶解度パラメータは、22.1(MJ/m1/2であった。
【0102】
次いで、1000mlのフラスコに、濃縮されたポリシロキサン溶液467.5g、空隙形成用化合物としてポリプロピレングリコール20.34g、PGP393.0g、2.38%テトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(PH=3.6)14.6g、及び1%に希釈したマレイン酸水溶液4.5gをそれぞれ添加し室温で30分間攪拌溶解してシリカ系被膜形成用組成物を調製した。
【0103】
<層間絶縁膜の製造>
実施例1及び比較例1で得たシリカ系被膜形成用組成物を回転数1500rpm/30秒回転塗布して被膜を形成した。回転塗布後、150℃/1分+250℃/1分かけて被膜中の溶媒を除去した後、O濃度が100ppm前後に制御されている石英チューブ炉で400℃/30分間かけて被膜を最終硬化し、層間絶縁膜としてのシリカ系被膜を形成した。そして、得られたシリカ系被膜上にHe−Neレーザー光を照射し、波長633nmにおける光照射により生じた位相差から求められる膜厚を、分光エリプソメータ(ガートナー社製;エリプソメータL116B)で測定した。
【0104】
次いで、シリカ系被膜上に真空蒸着装置を用いてAl金属を直径2mmの円で、厚さ約0.1μmになるように真空蒸着した。これにより、Al金属とシリコンウェハ(低抵抗率基板)との間にシリカ系被膜を配置する構造を有する層間絶縁膜が製造された。
【0105】
〔比誘電率測定〕
得られた層間絶縁膜の電荷容量を、LFインピーダンスアナライザー(横河電機社製:HP4192A)に、誘電体テスト・フィクスチャー(横河電機製:HP16451B)を接続した装置を用いて、温度23℃±2℃、湿度40%±10%、使用周波数10kHzの条件で測定した。
【0106】
そして、電荷容量の測定値を下記式;
層間絶縁膜の比誘電率=3.597×10−2×電荷容量(pF)×層間絶縁膜の膜厚(μm)
に代入し、層間絶縁膜の比誘電率を算出した。なお、層間絶縁膜の膜厚は、上記シリカ系被膜の膜厚測定で得られた値を用いた。
【0107】
〔弾性率測定〕
ナノインデンターSA2(DCM,MTS社製)を用いて(温度:23℃±2℃、周波数:75Hz、弾性率の測定範囲:層間絶縁膜厚の1/10以下で、押し込み深さで変動しない範囲)層間絶縁膜の弾性率を測定した。
【0108】
以上の各測定結果をまとめて表1に示す。
【0109】
【表1】
Figure 2004277508
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシリカ系被膜形成用組成物及びシリカ系被膜の形成方法によれば、低誘電性に優れる上に、その低誘電性の経時安定性にも優れ、更には十分な機械強度をも有することができる。
【0111】
また、これにより、製品生産の歩留まりを向上でき、プロセス裕度を増大せしめることができる。
【0112】
更には、本発明の電子部品によれば、このように優れた特性を有するシリカ系被膜を備えるので、高密度且つ高品位で信頼性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子部品の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…シリコンウェハ(基板)、1A,1B…拡散領域、2A…フィールド酸化膜、2B…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4A,4B…側壁酸化膜、5,7…層間絶縁膜(絶縁被膜)、5A,7A…コンタクトホール、6…ビット線、8…メモリセルキャパシタ(電子部品)、8A…蓄積電極、8B…キャパシタ絶縁膜、8C…対向電極。

Claims (10)

  1. (a)成分:下記式(1);
    SiX4−n …(1)
    (式中、Rは、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい)、
    で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、
    (b)成分:計算溶解度パラメータの値が(a)成分のものより小さく、その差が10(MJ/m1/2以上である溶媒と、
    を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物。
  2. 前記(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が0.65モル以下のものである、請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  3. 前記(b)成分がアルキレングリコールジアルキルエーテル又はジアルキレングリコールジアルキルエーテルである請求項1又は2に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  4. 250〜500℃の加熱温度で熱分解又は揮発する空隙形成用化合物を更に含有してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  5. 前記空隙形成用化合物が、オキシプロピレン単位を有する重合体である請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  6. オニウム塩を更に含有してなる請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  7. 基板上にシリカ系被膜を形成する方法であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜に含まれる有機溶媒を除去した後、該塗布膜を250〜500℃の加熱温度で焼成することを特徴とするシリカ系被膜の形成方法。
  8. 基板上に設けられており、請求項7記載のシリカ系被膜の形成方法により形成されてなることを特徴とするシリカ系被膜。
  9. 前記シリカ系被膜は、前記基板上に設けられた複数の導電性層のうち互いに隣接された導電性層の間に形成されたものであることを特徴とする請求項8記載のシリカ系被膜。
  10. 基板上に請求項8又は9記載のシリカ系被膜が形成されてなることを特徴とする電子部品。
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