JP2005136429A - シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品 - Google Patents

シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 低誘電性に優れると共に、充分な機械的強度を有し、従来に比して低温、短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるシリカ系被膜形成用組成物を提供すること。
【解決手段】 (a)成分:一般式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、(b)成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒と、(c)成分:オニウム塩と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物であって、非プロトン性溶媒が、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む、シリカ系被膜形成用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜及びその形成方法、並びにシリカ系被膜を備える電子部品に関する。
従来、CVD法によって形成され、4.2程度の比誘電率を有するSiO膜が層間絶縁膜の形成材料として用いられてきた。しかし、デバイスの配線間容量を低減し、LSIの動作速度を向上させる観点から、更なる低誘電率を発現できる材料が切望されていた。
この要望に対し、3.5程度の比誘電率を有し、CVD法で形成されるSiOF膜が開発された。さらに、2.5〜3.0の比誘電率を有する絶縁材料として、有機SOG(Spin On Glass)、有機ポリマー等が開発された。さらにまた、比誘電率が2.5以下の絶縁材料として、被膜中に空隙を有するポーラス材料が有効と考えられており、LSIの層間絶縁膜に適用するための検討・開発が盛んに行われている。
このようなポーラス材料の形成方法として、下記特許文献1及び2には有機SOGを用いる方法が提案されている。この方法においては、金属アルコキシドの加水分解縮重合物と揮発又は分解特性を有するポリマーとを含む組成物を加熱して被膜を形成した後、この被膜を加熱して該被膜中に空孔を形成させてポーラス材料を得る。
特開平11−322992号公報 特開平11−310411号公報
ところで、LSI等の半導体素子といった電子デバイス部品においては、高集積化による配線の微細化に伴い、配線間容量の増大による信号遅延時間の増大が問題となっている。このため、電子デバイス部品の絶縁材料に対して、耐熱性、機械特性等の他、更なる低比誘電率と熱処理工程の短縮が求められている。
一般に、配線の信号伝搬速度(v)と、配線材料が接する絶縁材料の比誘電率(ε)との間には、式;v=k/√εで表される関係を有する(式中のkは定数である)。つまり、使用する周波数領域を高くすると共に、絶縁材料の比誘電率(ε)を低減することにより、信号伝搬の高速化が達成される。
ここで、本発明者は上述の従来の方法について詳細に検討を行ったところ、絶縁膜に要求される所望の低誘電率を達成するためには、極めて多量の空孔(空隙)を絶縁膜中に導入する必要があることを見出した。さらに、本発明者は、膜のベース材料となる有機SOGの機械的な膜強度又は膜硬度が本来的に不足している場合に空隙率が過度に高まると、膜の機械強度が一層低下してしまう傾向があることを見出した。しかしながら、絶縁膜の比誘電率が低下するにつれて膜強度が低下する傾向にあるため、従来のプロセスを適合させることは大きな問題がある。
また、被膜形成用組成物を硬化させて被膜を形成させるためには、450℃以上の高温雰囲気が必要である。しかも、最終的に硬化が終了するまでには、1時間程度の長時間を要する傾向にある。このため、かかる被膜を層間絶縁膜として用いた場合、この被膜形成プロセスにおける入熱量(サーマルバジェット)によって他の層、特に配線層の劣化が懸念される。また、入熱量の増加に伴って基板の反りが顕著となるといった問題も生じ得る。
さらに、上述の如く、高集積化による配線の微細化が加速しており、半導体デバイスを構成する各部材層の薄層化・多層化、及び配線層等の材料変更が進んでいる。入熱量による各層の材料劣化の影響は今まで以上に増大すると予想されるため、各プロセスでの熱負荷の低減による熱履歴の改善が急務となっている。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、低誘電性に優れると共に、充分な機械的強度を有し、従来に比して低温、短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるシリカ系被膜形成用組成物、かかる組成物からなるシリカ系被膜及びその形成方法、並びにかかるシリカ系被膜を備える電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、絶縁膜に好適なシリカ系被膜を得るための材料成分及びその組成の観点から鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を含有する組成物が、従来の種々の問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)成分:下記一般式(1);
SiX4−n …(1)
[式中、RはH原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。]、
で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、(b)成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒と、(c)成分:オニウム塩と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物であって、非プロトン性溶媒が、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含むシリカ系被膜形成用組成物を提供する。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、被膜形成成分として上記構成のシロキサン樹脂を含み、シロキサン樹脂を溶解させる有機溶媒成分としてエーテル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を必須成分とし、オニウム塩を更に含有することから、低誘電性、特に高周波領域(100kHz以上の高周波領域で、例えば1MHz)における低誘電性に優れると共に、充分な機械的強度を有し、従来に比して低温且つ短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるようになる。また、上記組成物の低温且つ短時間での硬化が可能となることから、被膜形成プロセスにおける入熱量も軽減される。したがって、配線層等の劣化や基板の反り等の問題も解消できる。さらに、被膜の膜厚の均一性も向上させることができる。
上記効果が生じる要因は必ずしも明らかではないが、シリカ系被膜が低誘電性及び充分な機械的強度を有するようになるのは、上記シロキサン樹脂と非プロトン性溶媒を使用したことに主に起因しており、低温且つ短時間での硬化が可能となるのは、非プロトン性溶媒とオニウム塩を使用したことに主に起因しているものと推測される。また、被膜の膜厚の均一性の向上は、非プロトン性溶媒を使用したことに主に起因していると考えられる。
また、上記非プロトン性溶媒は、アルコールのジアルキルエ−テル、2価アルコールのアルキルエステルエーテル、2価アルコールのジエステル及び環状ケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含むことが好ましく、上記非プロトン性溶媒の少なくとも1種は、10以上の非誘電率を有する非プロトン性溶媒であることが好ましい。さらにまた、上記10以上の比誘電率を有する非プロトン性溶媒の含有量が、(b)成分の重量基準で50質量%以上であることがより一層好ましい。
また、上記非プロトン性溶媒の含有量は、(b)成分の重量基準で80質量%以上であることが好ましい。(b)成分に占める非プロトン性溶媒の含有割合が少ないと、上記組成物の硬化時における低温度化と短時間化を妨げる恐れがある。また、被膜の比誘電率の上昇や機械強度の低下を招く恐れがある。
特に、10以上の非誘電率を有する非プロトン性溶媒を有機溶媒成分として備えるシリカ系被膜形成用組成物は、後述の空隙形成用化合物を含有して空隙(空孔)を形成した際に空隙の分布が狭くなる傾向にある。
また、上記(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が0.65モル以下のものであることが好ましい。
上記構成を有するシリカ系被膜形成用組成物は、シリカ系被膜の他の膜(層)との接着性及び機械的強度の低下が抑制される。したがって、シリカ系被膜上に被着されたCu等の金属配線層をCMP(Chemical Mechanical Polish)する工程において、界面剥離が生じることをも防止できる。
また、上記オニウム塩はアンモニウム塩であることが好ましい。かかる構成を有するシリカ系被膜形成用組成物は、該組成物の安定性を高めることができ、シリカ系被膜の電気特性及び機械特性もより向上させることが可能となる。
更に上記アンモニウム塩の中でもシリカ系被膜の電気特性をより向上させる観点からテトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩及びテトラメチルアンモニウム硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上のアンモニウム塩を用いることがより好ましい。
また、250〜500℃の加熱温度において熱分解又は揮発する空隙形成用化合物を更に含有してなることが好ましい。かかる構成のシリカ系被膜形成用組成物は、機械的強度の著しい低下を抑制しつつ、低誘電率化を達成可能なシリカ系被膜を形成できる。
本発明はまた、基板上にシリカ系被膜を形成する方法であって、上記本発明のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜に含まれる有機溶媒を除去した後、該塗布膜を250〜500℃の加熱温度で焼成することを特徴とするシリカ系被膜の形成方法を提供する。
本発明は更に、基板上に設けられており、上記シリカ系被膜の形成方法により形成されてなることを特徴とするシリカ系被膜を提供し、かかる被膜は、特に、基板上に設けられた複数の導電性層のうち互いに隣設された導電性層の間に形成されたもの、すなわち、リーク電流を充分に低減する必要のある絶縁膜、例えば層間絶縁膜として有用である。
そして、本発明は、基板上に本発明によるシリカ系被膜が形成されてなる電子部品を提供する。かかる電子部品は、半導体装置といった電子デバイスを構成するものである。
以上説明したように、本発明によれば、2.5以下の低誘電率を100kHz以上の高周波領域においても発揮できると共に、充分な機械的強度を有し、従来に比して低温、短時間で硬化可能なシリカ系被膜を形成できるシリカ系被膜形成用組成物が提供される。また、かかる組成物からなるシリカ系被膜及びその形成方法、並びにかかるシリカ系被膜を備える電子部品が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明にかかるシリカ系被膜形成用組成物は、(a)〜(c)成分を含有しているが、本発明において特徴的なことは、(b)成分として少なくとも1種の非プロトン性溶媒、すなわち比誘電率の高い極性溶媒を含むシリカ系被膜形成用組成物とすることである。以下、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の各成分について詳細に説明する。
〈(a)成分〉
本発明において、(a)成分として用いられるシロキサン樹脂は、後述のシリカ系被膜の被膜形成成分として機能する。かかる機能を発揮するために、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、(a)成分として下記式(1)で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂を含有する。
SiX4−n …(1)
上記一般式(1)中、Rは、H原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基(好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは1〜6の有機基)を示す。
また、シロキサン樹脂のシロキサン結合を形成しているSi原子の1原子あたりに結合しているH原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子(以下、「特定の結合原子」という)の総数(M)が0.65以下であることが好ましく、0.55以下であるとより好ましく、0.50以下であると特に好ましく、0.45以下であると極めて好ましい。また、Mの下限値としては0.20程度が好ましい。
Mの値が、0.65を超える場合には、最終的に得られるシリカ系被膜の他の膜(層)との接着性、機械強度等が劣る傾向がある。一方、Mの値が0.20未満であると、絶縁膜として用いたときの誘電特性が劣る傾向にある。なお、シロキサン樹脂は、上記特定の結合原子の中でも、シリカ系被膜の成膜性の点で、H原子、F原子、N原子、Si原子、Ti原子及びC原子のうちの少なくとも一種を含むとより好ましく、それらのなかでも誘電特性及び機械強度の点において、H原子、F原子、N原子、Si原子及びC原子のうち少なくとも一種を含むと一層好ましい。
なお、Mの値は、シロキサン樹脂の原料である上記一般式(1)で表される化合物の仕込み量から求めることができる。例えば、下記式;
M=[M+(M/2)+(M/3)]/MSi
を用いて算出することができる。式中、Mは特定の結合原子のうち単一の(ただ1つの)Si原子と結合している原子の総数を示し、Mは特定の結合原子のうち2つのケイ素原子で共有されている原子の総数を示し、Mは特定の結合原子のうち3つのケイ素原子で共有されている原子の総数を示し、MSiはSi原子の総数を示す。
上記一般式(1)に戻り、Xは加水分解性基を示す。Xとしては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシル基が挙げられ、アルコキシ基であることが好ましい。Xをアルコキシ基とすることにより、上記組成物の液状安定性や塗布特性等が優れるようになる。
加水分解性基Xがアルコキシ基である場合の上記一般式(1)で表される化合物としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が例示できる。
トリアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
また、Xがハロゲン原子(ハロゲン基)である場合の上記一般式(1)で表される化合物(ハロゲン化シラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がハロゲン原子で置換された化合物が例示できる。さらにまた、Xがアセトキシ基である場合の上記式(1)で表される化合物(アセトキシシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がアセトキシ基で置換された化合物が挙げられる。またさらに、Xがイソシアネート基である場合の上記式(1)で表される化合物(イソシアネートシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がイソシアネート基で置換された化合物が挙げられる。さらにまた、Xがヒドロキシル基である場合の上記式(1)で表される化合物(ヒドロキシシラン)としては、上述の各アルコキシシラン分子中のアルコキシ基がヒドロキシル基で置換された化合物ものが例示できる。なお、上記式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(1)に戻り、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、上記R1は各々同一でも異なっていてもよい。また、nが0〜2のとき、上記Xは各々同一でも異なっていてもよい。なお、nは0〜1であることが好ましく、nが0である上記一般式(1)で表される化合物とnが1である上記一般式(1)で表される化合物を組み合わせて使用することが好ましい。nが0及び1である化合物を組み合わせた場合には、シロキサン樹脂は、SiOで表される単位及びRSiO3/2で表される単位を含む。但し、Rは上記と同義である。かかるシロキサン樹脂は、多官能性を有する上述のテトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとを共加水分解縮合させて得られる。なお、SiOで表される単位はテトラアルコキシシランに由来する単位であり、RSiO3/2で表される単位はトリアルコキシシランに由来する単位である。シロキサン樹脂はかかる単位を含むことにより架橋密度が向上するため、被膜特性を向上させることができる。
上記一般式(1)で表される化合物の加水分解縮合を促進する触媒としては、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等の有機酸、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等の無機酸等を用いることができる。
上記触媒の使用量は、上記一般式(1)で表される化合物1モルに対して、0.0001〜1モルの範囲であることが好ましい。この使用量が1モルを超える場合には、加水分解縮合時にゲル化が促進する傾向があり、0.0001モル未満の場合には、実質的に反応が進行しない傾向がある。
加水分解縮合反応において、上記一般式(1)で表される化合物の加水分解によって副生するアルコールはプロトン性溶媒であることから、エバポレータ等を用いて除去することが好ましい。また、加水分解縮合反応に使用する水の量を適宜決定することができるが、この水の量としては、上記一般式(1)で表される化合物1モルに対して0.5〜20モルの範囲内の値とすることが好ましい。この水の量が0.5モル未満の場合及び20モルを超える場合には、シリカ系被膜の成膜性が悪化すると共に、組成物自体の保存安定性が低下する傾向がある。
なお、シロキサン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶媒への溶解性、機械特性、成形性等の観点から、500〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であるとより好ましい。このMwが500未満であると、シリカ系被膜の成膜性が劣る傾向にある。一方、このMwが20,000を超えると、溶媒への相溶性が低下する傾向にある。なお、本発明においてMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンの換算の重量平均分子量をいう。
〈(b)成分〉
(b)成分は、(a)成分であるシロキサン樹脂を溶解させ、その粘度を低下させることにより取り扱い等の簡便化を図ることを可能とする有機溶媒である。また、非プロトン性溶媒の比誘電率を所定値以上することにより、シリカ系被膜に含まれる空隙(空孔)の分布を狭くする機能も有する。
かかる機能を発揮するために、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、非プロトン性溶媒を(b)成分の重量基準で80質量%以上、より望ましくは90質量%以上、更に望ましくは95質量%以上含有することが好ましい。(b)成分に占める非プロトン性溶媒の含有割合が少ないと、上記組成物の硬化時における低温度化と短時間化を妨げる恐れがある。また、被膜の比誘電率の上昇や機械強度の低下を招く恐れがある。
さらに、非プロトン性溶媒の少なくとも1種が、10以上の比誘電率を有することが好ましい。かかる比誘電率を有することにより、後述の空隙形成用化合物を含有して被膜に空隙を形成する際に、被膜中の空隙の分布が狭くなる傾向にある。なお、本発明における比誘電率とは、20℃において測定した値をいう。また、(b)成分に占める10以上の比誘電率を有する非プロトン性溶媒の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
非プロトン性溶媒としては、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、エーテルアセテート系溶媒、アセトニトリル、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらの中では、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく、2価アルコールのジアルキルエーテル、2価アルコールのアルキルエステルエーテル、2価アルコールのジエステル及び環状ケトンがより好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びシクロヘキサノンが特に好ましい。これらの好適な非プロトン性溶媒の中では、シロキサン樹脂との相溶性やシリカ系被膜の機械強度等の観点から、ケトン系溶媒が好ましく、その中でも環状ケトンが好ましく、シクロヘキサノンが特に好ましい。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等が挙げられる。
エーテルアセテート系溶媒としては、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、アセテートエチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
アミド系溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、スルホキシド系溶媒としてはN,N−ジメチルスルホキシド等が例示できる。
10以上の比誘電率を有する非プロトン性溶媒としては、ケトン系溶媒、アセトニトリル、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒等が例示できる。10以上の比誘電率を有するケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等が挙げられる。10以上の比誘電率を有するアミド系溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、10以上の比誘電率を有するスルホキシド系溶媒としてはN,N−ジメチルスルホキシド等が例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
さらに、(b)成分として、必要に応じて他のプロトン性溶媒成分を含むことができる。このようなプロトン性溶媒としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等が例示できる。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等が例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて非プロトン性溶媒と共に用いられる。
〈(c)成分〉
(c)成分は、シリカ系被膜形成用組成物の安定性を高めると共に、シリカ系被膜の電気特性及び機械特性をより向上させる機能を有する。さらに、(a)成分の縮合反応を加速して硬化温度の低温化と短時間化を可能とし、機械強度の低下をより一層抑制する機能も備える。
かかる機能を発揮するために、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、(c)成分としてオニウム塩を含有する。オニウム塩としては、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。これらの中では、組成物の安定性により優れる点でアンモニウム塩が好ましい。
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムオキサイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムフロライド、テトラブチルアンモニウムオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムフロライド、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等が挙げられる。
これらのアンモニウム塩の中では、シリカ系被膜の電気特性を向上させる観点から、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等のアンモニウム塩が特に好ましい。
なお、オニウム塩を含有することによって効果が奏されるメカニズムの詳細は、未だ不明な点があるものの、オニウム塩によって脱水縮合反応が促進されてシロキサン結合の密度が増加し、さらに残留するシラノール基が減少するため、機械強度及び誘電特性が向上するといった機構によるものと推定される。但し、作用はこれに限定されない。
〈任意成分〉
また、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、任意成分として250〜500℃の加熱温度で熱分解又は揮発する空隙形成用化合物(以下、「(d)成分」という。)を更に含むことが好ましい。かかる(d)成分は、シリカ系被膜中に微細孔(空隙、空孔)を徐々に形成し、最終硬化時に空孔の更なる微細化及び形状の均一化を図る機能を有する。かかる機能を発揮するために、(d)成分は、温度250〜500℃の窒素ガス雰囲気における減少率が95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましい。この減少率が95質量%未満であると、本発明のシリカ系被膜形成用組成物を加熱する際に化合物の分解又は揮散が不十分となる傾向にある。すなわち、(d)成分、(d)成分の一部又は(d)成分由来の反応生成物が、最終的に得られるシリカ系被膜中に残留してしまうおそれがある。こうなると、比誘電率の上昇等、シリカ系被膜の電気特性の劣化を招来することがある。
なお、本発明における(d)成分の「減少率」は、以下の装置及び条件によって求められる値である。すなわち、「減少率」は、上記重合体10mgを昇温開始温度50℃、昇温速度10℃/min、窒素(N2)ガスの流速200ml/minとする条件下で、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6300)を用いて測定する。なお、リファレンスとしてはα−アルミナ(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料容器としてはφ5のアルミニウム製オープンサンプルパン(セイコーインスツルメンツ社製)を使用する。
なお、(d)成分の分解開始前の基準質量は、昇温途中である150℃における質量とする。これは、150℃以下における質量減少は吸着した水分等の除去によるものであって、(d)成分そのものの分解は実質的に生じていないと推定されることによる。また、この「減少率」の測定において、(d)成分が溶液に溶解している等の理由で、(d)成分のみを直接量り取ることができない場合には、(d)成分を含む溶液を、例えば金属シャーレに約2g程度とり、常圧の空気中、150℃にて3時間乾燥して得られる残渣物を試料として用いる。
(d)成分の具体例としては、ビニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレン単位を有するビニル系化合物、ポリオキシプロピレン単位を有するビニル系化合物等、ビニルピリジン系化合物、スチレン系化合物、アルキルエステルビニル系化合物、(メタ)アクリレート酸系化合物、ポリオキシアルキレン単位を有する重合体、ポリカーボネート重合体等が挙げられる。分解特性及び膜の機械強度の点から、(d)成分としてはポリオキシアルキレン単位を有する重合体が好ましく、ポリオキシプロピレン単位を有する重合体が特に好ましい。
上記ポリオキシアルキレン単位としては、ポリオキシエチレン単位、ポリオキシプロピレン単位、ポリオキシテトラメチレン単位、ポリオキシブチレン単位等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンアルキルエール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール型化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリレート酸誘導体としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル等がを挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキルエステル等が挙げられる。アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル等が挙げられる。
(メタ)アクリレート酸誘導体は、ヒドロキシル基を有する化合物との共重合体を使用できる。具体例な化合物としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、ラクトンの開環重合物、脂肪族ポリオールと脂肪族ポリカルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等の炭酸とアルキレングリコールの重縮合物が挙げられる。ポリアンハイドライドとしては、ポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、ポリピメイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリアゼライルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物等が挙げられる。
なお、(d)成分のMwは、溶媒への溶解性、シロキサン樹脂との相溶性、膜の機械特性、膜の成形性等の点から、200〜10,000であることが好ましく、300〜5,000であることがより好ましく、400〜2,000であることがより好ましい。このMwが100,000を超えると、シロキサン樹脂との相溶性が低下する傾向にある。一方、200未満であると、空隙の形成が不充分となる傾向にある。
次に、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の各成分の含有量について説明する。本発明のシリカ系被膜形成用組成物に占める(a)成分の含有量は、3〜25質量%が好ましい。(a)成分の濃度が25質量%を超えると、有機溶媒の量が過少となりシリカ系被膜の成膜性等が悪化すると共に、組成物自体の安定性が低下する傾向にある。一方、(a)成分の濃度が3質量%を下回ると、溶媒の量が過多となり所望の膜厚を有するシリカ系被膜を形成し難くなる傾向にある。
(c)成分の含有量は、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の全重量基準で0.001ppm〜5質量%であることが好ましく、0.01ppm〜1質量%であるとより好ましく、0.1ppm〜0.5質量%であると一層好ましい。この含有量が0.001ppm未満であると、最終的に得られるシリカ系被膜の電気特性、機械特性が劣る傾向にある。一方、この含有量が5%を超えると、組成物の安定性、成膜性等が劣る傾向にあると共に、シリカ系被膜の電気特性及びプロセス適合性が低下する傾向にある。なお、(c)成分であるオニウム塩は、必要に応じて水や溶媒に溶解又は希釈してから、所望の濃度となるように添加することができる。
(d)成分の含有量は、本発明のシリカ系被膜形成用組成物の全重量基準で、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると、空隙形成が不充分となる傾向がある。一方、10質量%を越えると、膜強度が低下する場合がある。
なお、(b)成分の含有量は、(a)成分、(c)成分及び(d)成分の合計重量を上記組成物の重量から除いた残部である。
なお、本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有しないことが望ましい。かかる金属を含有する場合でも、上記組成物中の金属イオン濃度が100ppb以下であると好ましく、20ppb以下であるとより好ましい。金属イオン濃度が100ppbを超えると、上記組成物から得られるシリカ系被膜を有する半導体素子に金属イオンが流入し易くなってデバイス性能そのものに悪影響を及ぼす恐れがある。よって、必要に応じてイオン交換フィルター等を使用してアルカリ金属やアルカリ土類金属を組成物中から除去することが有効である。
(シリカ系被膜の形成方法、シリカ系被膜及び電子部品)
次に、本発明にかかるシリカ系被膜の形成方法、シリカ系被膜及び電子部品について、これらの好適な実施形態について説明する。
上記本発明のシリカ系被膜形成用組成物を用いて、例えば、以下に述べるスピンコート法により、本発明によるシリカ系被膜を形成することができる。スピンコート法は、被膜の成膜性及び膜均一性に優れるため、本発明のシリカ系被膜の形成に好適である。
まず、シリカ系被膜形成用組成物をシリコンウエハ等の基板上に好ましくは500〜5000回転/分、より好ましくは1000〜3000回転/分でスピン塗布して塗布膜を形成する。この際、回転数が500回転/分未満であると、膜均一性が悪化する傾向にある。一方、5000回転/分を超えると、成膜性が悪化するおそれがある。
次いで、好ましくは50〜350℃、より好ましくは100〜300℃でホットプレート等にて塗布膜中の有機溶媒を乾燥させる。この乾燥温度が50℃未満であると、有機溶媒の乾燥が十分に行われない傾向にある。一方、乾燥温度が350℃を超えると、シロキサン樹脂のシロキサン骨格が充分に形成される前にポーラス形成用の(d)成分が熱分解して揮発量が不都合な程に増大してしまい、所望の機械強度及び低誘電特性を有するシリカ系被膜を得難くなるおそれがある。
次いで、有機溶媒が除去された塗布膜を250〜500℃の加熱温度で焼成して最終硬化を行う。このようにして、100kHz以上の高周波領域においても低い比誘電率を発現できるシリカ系被膜(Low−k膜)が形成される。なお、本発明における「比誘電率」とは、23℃±2℃、湿度40%±10%の雰囲気下で測定された値をいい、2.5以下であることが好ましい。また、比誘電率は、例えば、Al金属とN型低抵抗率基板(Siウエハ)間の電荷容量を測定することにより求められる。本発明のシリカ系被膜は、充分な機械的強度を有し、従来に比して低温且つ短時間で硬化が可能となる。なお、最終硬化は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であると好ましい。この加熱温度が250℃未満であると、十分な硬化が達成されない傾向にあると共に、(d)成分の分解・揮発を十分に促進できない傾向にある。これに対し、加熱温度が500℃を超えると、金属配線層がある場合に、入熱量が増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。
また、この硬化の際の加熱時間は2〜60分が好ましく、2〜30分であるとより好ましい。この加熱時間が60分を超えると、入熱量が過度に増大して配線金属の劣化が生じるおそれがある。また、加熱装置としては、石英チューブ炉その他の炉、ホットプレート、ラピッドサーマルアニール(RTA)等の加熱処理装置を用いることが好ましい。
このようにして形成されるシリカ系被膜の膜厚は、0.01〜40μmであることが好ましく、0.1μm〜2.0μmであるとより好ましい。かかる膜厚が40μmを超えると、応力によってクラックが発生し易くなる。一方、0.01μm未満であると、シリカ系被膜の上下層に金属配線層が存在する場合に、上下層の配線間でのリーク特性が悪化する傾向がある。
また、上記のようにして形成されたシリカ系被膜を用いた本発明による電子部品としては、半導体素子、多層配線板等のシリカ系被膜を有する電子デバイスが挙げられる。本発明のシリカ系被膜は、半導体素子においては、表面保護膜(パッシベーション膜)、バッファーコート膜、層間絶縁膜等として使用することができる。一方、多層配線板においては、層間絶縁膜として好適に使用することができる。本発明のシリカ系被膜を、例えば、半導体素子や多層配線板の被膜として用いた場合には、低誘電性に優れるものとなる。
具体的には、半導体素子として、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体素子、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子等が挙げられる。また、多層配線板としては、MCM等の高密度配線板等が挙げられる。
図1は、本発明による電子部品の一実施形態を示す模式断面図である。メモリキャパシタセル8(電子部品)は、拡散領域1A,1Bが形成されたシリコンウェハ1(基板)上に酸化膜から成るゲート絶縁膜2Bを介して設けられたゲート電極3(ワード線として機能する。)と、その上方に設けられた対向電極8Cとの間に二層構造の層間絶縁膜5,7(絶縁被膜)が形成されたものである。ゲート電極3の側壁には、側壁酸化膜4A、4Bが形成されており、また、ゲート電極の側方における拡散領域1Bにはフィールド酸化膜2Aが形成され、素子分離がなされている。
層間絶縁膜5は、これらのゲート電極3及びフィールド酸化膜2A上に被着されており、本発明のシリカ系被膜形成用組成物をスピンコートして形成されたものである。層間絶縁膜5におけるゲート電極3近傍にはビット線として機能する電極6が埋め込まれたコンタクトホール5Aが形成されている。さらに、平坦化された層間絶縁膜5上には平坦化された層間絶縁膜7が被着されており、両者を貫通するように形成されたコンタクトホール7Aには蓄積電極8Aが埋め込まれている。層間絶縁膜7は、層間絶縁膜5と同様に本発明のシリカ系被膜形成用組成物をスピンコートして形成されたものである。そして、蓄積電極8A上に高誘電体から成るキャパシタ絶縁膜8Bを介して対向電極8Cが設けられている。なお、層間絶縁膜5、7は同一の組成を有していても異なる組成を有していてもよい。
上記例示したような電子部品によれば、シリカ系被膜の比誘電率が従来に比して十分に低減されるので、信号伝搬における配線遅延時間を十分に短縮できると同時に高信頼性をも実現できる。また、電子部品の生産の歩留まり及びプロセス裕度の向上を図ることが可能となる。さらに、本発明のシリカ系被膜形成用組成物からなるシリカ系被膜の優れた上記特性により、高密度且つ高品位で信頼性に優れた電子部品を提供できる。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細な説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<シリカ系被膜形成用組成物の作製>
テトラエトキシシラン154.6gとメチルトリエトキシシラン120.6gとをシクロヘキサノン543.3gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.525gを溶解させた水溶液80.98gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、続いて、減圧下、温浴中で生成エタノール及びシクロヘキサノンの一部を留去して、ポリシロキサン溶液583.7gを得た。GPCによりポリシロキサンの重量平均分子量を測定したところ、1,350であった。
次いで、ポリシロキサン溶液553.9gに、空隙形成用化合物であるポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)24.86g、シクロヘキサノン498.7g、2.38%のテトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(PH3.6)17.89g、及び1%に希釈したマレイン酸水溶液5.5gをそれぞれ添加し室温で30分間攪拌溶解して、本発明のシリカ系被膜形成用組成物を作製した。なお、空隙形成用化合物として使用したポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)の350℃における重量減少率は99.9%であった。
(実施例2)
テトラエトキシシラン154.6gとメチルトリエトキシシラン120.6gとをシクロヘキサノン543.3gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.525gを溶解させた水溶液80.98gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させ、続いて、減圧下、温浴中で生成エタノールおよびシクロヘキサノンの一部を留去して、ポリシロキサン溶液598.2gを得た。GPC法によりポリシロキサンの重量平均分子量を測定したところ、1,280であった。
次いで、ポリシロキサン溶液514.5gに、空隙形成用化合物であるポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)22.60g、ジエチレングリコールジメチルエーテル441.6g、2.38%のテトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(PH3.6)16.26g、及び1%に希釈したマレイン酸水溶液5.0gをそれぞれ添加し室温で30分間攪拌溶解して、本発明のシリカ系被膜形成用組成物を作製した。なお、空隙形成用化合物として使用したポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)の350℃における重量減少率は99.9%であった。
(比較例1)
テトラエトキシシラン154.6gとメチルトリエトキシシラン120.6gとをエタノール543.3gに溶解させた溶液中に、70%硝酸0.525gを溶解させた水溶液80.98gを攪拌下で30分かけて滴下した。滴下終了後5時間反応させて、ポリシロキサン溶液819.0gを得た。GPC法によりポリシロキサンの重量平均分子量を測定したところ、1,170であった。
次いで、ポリシロキサン溶液774.0gに、空隙形成用化合物であるポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)22.60g、エタノール182.1g、2.38%のテトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液(PH3.6)16.26g、及び1%に希釈したマレイン酸水溶液5.0gをそれぞれ添加し室温で30分間攪拌溶解してシリカ系被膜形成用組成物を作製した。なお、空隙形成用化合物として使用したポリプロピレングリコール(アルドリッチ社製、PPG725)の350℃における重量減少率は99.9%であった。
(実施例3)
<層間絶縁膜の製造>
実施例1〜2及び比較例1で得たシリカ系被膜形成用組成物をシリコンウェハ上に回転塗布して塗膜膜を形成した。なお、塗布膜の形成は、硬化後500±50nmの膜厚を有する被膜になるように回転数を調整した。次いで、塗布膜中の有機溶媒を250℃で3分かけて除去した後、O濃度が100ppm前後にコントロールされた石英チューブ炉を用いて400℃で30分間かけて有機溶媒を除去した後の塗布膜を最終硬化し、層間絶縁膜としてのシリカ系被膜を製造した。そして、得られたシリカ系被膜上にHe−Neレーザー光を照射し、波長633nmにおける光照射により生じた位相差から求められる膜厚を、分光エリプソメータ(ガートナー社製;エリプソメータL116B)で測定した。
次いで、シリカ系被膜上に真空蒸着装置を用いてAl金属を直径2mmの円で、厚さ約0.1μmになるように真空蒸着した。これにより、Al金属とシリコンウェハ(低抵抗率基板)との間にシリカ系被膜を配置する構造を有する層間絶縁膜が製造された。
[比誘電率測定]
得られた層間絶縁膜の電荷容量を、LFインピーダンスアナライザー(横河電機社製:HP4192A)に、誘電体テスト・フィクスチャー(横河電機製:HP16451B)を接続した装置を用いて、温度23℃±2℃、湿度40%±10%、使用周波数1MHzの条件で測定した。
そして、電荷容量の測定値を下記式;
層間絶縁膜の比誘電率=3.597×10−2×電荷容量(pF)×層間絶縁膜の膜厚(μm)
に代入し、層間絶縁膜の比誘電率を算出した。なお、層間絶縁膜の膜厚は、上記シリカ系被膜の膜厚測定で得られた値を用いた。
[弾性率測定]
ナノインデンターSA2(DCM,MTS社製)を用いて(温度:23℃±2℃、周波数:75Hz、弾性率の測定範囲:層間絶縁膜厚の1/10以下で、押し込み深さで変動しない範囲)層間絶縁膜の弾性率を測定した。
実施例3で得た層間絶縁膜の電気特性及び弾性率(膜強度)の測定結果を表1に示す。
Figure 2005136429
本発明に係る電子部品の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…シリコンウェハ(基板)、1A,1B…拡散領域、2A…フィールド酸化膜、2B…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4A,4B…側壁酸化膜、5,7…層間絶縁膜(絶縁被膜)、5A,7A…コンタクトホール、6…ビット線、8…メモリセルキャパシタ(電子部品)、8A…蓄積電極、8B…キャパシタ絶縁膜、8C…対向電極。

Claims (13)

  1. (a)成分:下記一般式(1);
    SiX4−n …(1)
    [式中、RはH原子若しくはF原子、又はB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示す。但し、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。]、
    で表される化合物を加水分解縮合して得られるシロキサン樹脂と、
    (b)成分:少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む有機溶媒と、
    (c)成分:オニウム塩と、
    を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物であって、
    前記非プロトン性溶媒が、エーテル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む、シリカ系被膜形成用組成物。
  2. 前記非プロトン性溶媒が、2価アルコールのジアルキルエーテル、2価アルコールのアルキルエステルエーテル、2価アルコールのジエステル及び環状ケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の非プロトン性溶媒を含む、請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  3. 前記非プロトン性溶媒の少なくとも1種が、10以上の比誘電率を有する非プロトン性溶媒である、請求項1又は2記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  4. 前記10以上の比誘電率を有する非プロトン性溶媒の含有量が、(b)成分の重量基準で50質量%以上である、請求項3記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  5. 前記非プロトン性溶媒の含有量が、(b)成分の重量基準で80質量%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  6. 前記(a)成分は、Si原子1モルに対する、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子及びC原子から成る群より選ばれる少なくとも一種の原子の総含有割合が0.65モル以下のものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  7. 前記オニウム塩がアンモニウム塩である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  8. 前記アンモニウム塩がテトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩及びテトラメチルアンモニウム硫酸塩からなる群より選ばれる1種以上のアンモニウム塩を含む、請求項7記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  9. 250〜500℃の加熱温度において熱分解又は揮発する空隙形成用化合物を更に含有してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物。
  10. 基板上にシリカ系被膜を形成する方法であって、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜に含まれる有機溶媒を除去した後、該塗布膜を250〜500℃の加熱温度で焼成することを特徴とするシリカ系被膜の形成方法。
  11. 基板上に設けられており、請求項10記載のシリカ系被膜の形成方法により形成されてなることを特徴とするシリカ系被膜。
  12. 前記シリカ系被膜は、前記基板上に設けられた複数の導電性層のうち互いに隣設された導電性層の間に形成されたものであることを特徴とする請求項11記載のシリカ系被膜。
  13. 基板上に請求項11又は12記載のシリカ系被膜が形成されてなることを特徴とする電子部品。
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