JP4108813B2 - グリスフィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば厨房などで排気用に設置されるグリスフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
厨房などでは油脂を含む蒸気が発生する。グリスフィルタは、排気中に含まれる油脂等の付着成分を有効に除去するものである。
【0003】
図1は、厨房に設置されたグリスフィルタユニットの一例を模式的に図示している。
【0004】
厨房の天井7にはフード6が取付けられている。フード6内でダクト8を取囲むようにグリスフィルタユニットが設置される。グリスフィルタユニット1は、ほぼV字状の位置関係となるように設置された2つのグリスフィルタ2と、オイル受け3と、チューブ4と、オイルカップ5とを備える。ダクト8に通ずる排気口には防火ダンパ9が設置される。
【0005】
油脂を含む蒸気は、図中矢印で示すように、グリスフィルタ2を通過し、さらに防火ダンパ9を通過してダクト8から外部へ排気される。グリスフィルタ2は、蒸気中に含まれる油脂等を分離する。グリスフィルタ2によって分離された油脂等は、グリスフィルタ2を伝って下方に流れオイル受け3によって受けられ、さらにチューブ4を経由してオイルカップ5に溜められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
グリスフィルタ2は、蒸気中に含まれる油脂等を有効に分離除去する必要がある。そこで、この発明の目的は、油脂等を有効に分離することのできる改良された構造を持つグリスフィルタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、後ろ側に向けて開いた複数個の前羽根板を列状に配置した前枠と、前側に向けて開いた複数個の後ろ羽根板を上記前羽根板に部分的に重なるように列状に配置した後ろ枠とを重ね合わせたグリスフィルタを前提とする。
【0008】
このようなグリスフィルタにおいて、この発明の特徴は、次の点にある。後ろ羽根板の側方部分に重なる前羽根板の側方部分には、後ろ羽根板に向かって近づくように切り起こされた複数個の前切り起こし片が間隔をあけて線状に設けられている。また、前羽根板の側方部分に重なる後ろ羽根板の側方部分には、前羽根板に向かって近づくように切り起こされた複数個の後ろ切り起こし片が間隔をあけて線状に設けられている。
【0009】
上記グリスフィルタによれば、次のような作用効果が得られる。前羽根板の側方部分と後ろ羽根板の側方部分とが重なり合った領域では、流路が狭くなっているので通過するガスの流れは最も速くなる。前切り起こし片および後ろ切り起こし片はガスの最速領域に設けられており、ガスの流れに対して障害物(抵抗)となるように機能する。油脂等を含むガスは前切り起こし片および後ろ切り起こし片に衝突し、この衝突によって油脂等は有効に分離される。
【0010】
好ましくは、前切り起こし片と後ろ切り起こし片とは、交互に位置するような関係で形成される。このようにすれば、グリスフィルタを通過しようとするガスは、必ず前切り起こし片か後ろ切り起こし片に衝突することになるので、油脂等の分離効率を高めることができる。
【0011】
1つの好ましい実施例では、前羽根板の側方端は後ろ羽根板に向かうように折曲げられ、前切り起こし片は折曲げられた側方端とほぼ平行な関係となるように切り起こされている。また、後ろ羽根板の側方端は前羽根板に向かうように折曲げられ、後ろ切り起こし片は折曲げられた側方端とほぼ平行な関係となるように切り起こされている。
【0012】
上記のような構造のものであれば、折曲げ側方端を通過するときのガスの流れは一層速くなり、この速い流れに対して切り起こし片が有効な障害物となって油脂等の分離効率を高める。特に、切り起こし片はガスの流れを面で受けるようになるので、より大きな抵抗となり油脂等の分離効率を高める。
【0013】
上記の場合、好ましくは、前切り起こし片を切り起こすことによって形成される開口は、折曲げられた側方端と前切り起こし片との間に位置し、後ろ切り起こし片を切り起こすことによって形成される開口は、折曲げられた側方端と後ろ切り起こし片との間に位置するようにされる。このようにすれば、前羽根板の開口を通過したガスがそのまま後ろ羽根板の開口を通過するということを避けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2および図3は、この発明の一実施例の全体構造を示している。グリスフィルタ10は、前枠20と、後ろ枠30と、後ろ枠30に取付けられた取手40とを備える。
【0015】
図3に示すように、前枠20には後ろ側に向けて開いた複数個の前羽根板21が列状に配置されている。後ろ枠30には、前側に向けて開いた複数個の後ろ羽根板31が前羽根板21に部分的に重なるように列状に配置されている。グリスフィルタ10は、前枠20と後ろ枠30とを重ね合わせて使用される。
【0016】
次に、図4〜図6を参照しながらこの発明の実施例の特徴を説明する。
前羽根板21および後ろ羽根板31は、ともに、全体としては丸みを帯びたV字状の形態となっている。前羽根板21の側方部分は、入ってくるガスの流れに対して垂直な面を構成する肩部22と、後ろ羽根板31に向かうように折曲げられた折曲げ側方端23とを有する。
【0017】
図5に示すように、前羽根板21の肩部22には、後ろ羽根板31に向かって近づくように切り起こされた複数個の前切り起こし片25が間隔をあけて線状に設けられる。この実施例では、前切り起こし片25を切り起こすことによって形成される開口24は、折曲げ側方端23と前切り起こし片25との間に位置する。前切り起こし片25は、折曲げ側方端23とほぼ平行な関係となるように切り起こされている。
【0018】
同様に、後ろ羽根板31の側方部分は、肩部32と、折曲げ側方端33と、開口34と、後ろ切り起こし片35とを有する。図6に示すように、前切り起こし片25と後ろ切り起こし片35とは、交互に位置するような関係で形成されている。
【0019】
次に、図4を参照して油脂等の分離動作を説明する。図中矢印は、ガスの流れを示している。前羽根板21の側部と後ろ羽根板31の側部とが重なり合った領域では流路が狭くなっているので、通過するガスの流れは速くなる。特に、図示した実施例では、折曲げ側方端23および33が流路を一層狭くしているので、ガスの流れは一層速くなる。このようなガスの最速領域に前切り起こし片25および後ろ切り起こし片35が位置しているので、これらは通過するガスの流れに対して障害物(抵抗)となるように機能する。特に図示した実施例では、前切り起こし片25および後ろ切り起こし片35は、ガスの流れに対してまともに衝突する面となる。油脂等を含むガスは前切り起こし片25および後ろ切り起こし片35に衝突し、この衝突によって油脂等が有効に分離される。
【0020】
図6に示すように、前切り起こし片25と後ろ切り起こし片35とは交互に位置するような関係で形成されているので、前羽根板21と後ろ羽根板31との間を通過するガスは必ずいずれかの切り起こし片に衝突することになる。したがって、油脂等の分離効率を高めることができる。
【0021】
図示した実施例のものでは、前羽根板21および後ろ羽根板31の一部を部分的に切り起こすことによって切り起こし片を形成した。材料および部品を増やすことなく、ガスの流れに対して抵抗となる障害物を形成しているので、製造コストを低く抑えることができる。
【0022】
図7は、前羽根板21の側方部分と後ろ羽根板31の側方部分とが重なっている領域を模式的に示している。この発明の実施例では、前切り起こし片25を切り起こすことによって形成される開口24は、折曲げ側方端23と前切り起こし片25との間に位置し、後ろ切り起こし片35を切り起こすことによって形成される開口34は、折曲げ側方端33と後ろ切り起こし片35との間に位置している。このような構造の利点は、図8に示した構造と比較すればよりよく理解できる。
【0023】
図8に示す構造では、切り起こす方向が図7に示した本発明の実施例のものと逆になっている。すなわち、前羽根板21の開口240は、前切り起こし片250の内側に形成されている。同様に、後ろ羽根板31の開口340も、後ろ切り起こし片350の内側に形成されている。図8に示すような構造であれば、前羽根板21の開口240を通過したガスが、そのまま後ろ羽根板31の開口340を通過するおそれがある。このようにガスが両開口240および340をほぼ直線的に通過するのであれば、油脂等の分離を十分に行なうことができない。一方、図7に示したような本発明の実施例の場合、前羽根板21の開口24を通過するガスがあったとしても、そのガスは直接後ろ羽根板31の開口34を通過するのではなく、まず後ろ羽根板31の後ろ切り起こし片35に衝突する。こうして、油脂等の分離効率を高めることができる。
【0024】
図9〜図11は、この発明の他の実施例を示している。前述した実施例と異なる点は、切り起こし片の形状にある。
【0025】
前羽根板51の側方部分は、肩部52と、折曲げ側方端53と、開口54と、前切り起こし片55とを有する。前切り起こし片55は、肩部52を後ろ羽根板に向けてブリッジ状に切り起こすことによって形成されている。同様に、後ろ羽根板61の側方部分は、肩部62と、折曲げ側方端63と、開口64と、後ろ切り起こし片65とを有する。
【0026】
図11に示すように、油脂等を含むガスは、前羽根板51の側方部分と後ろ羽根板61の側方部分とが重なる最速領域において、前切り起こし片55および後ろ切り起こし片65に衝突し、この衝突によって油脂等が有効に分離される。
【0027】
図9〜図11に示した実施例の利点は、前羽根板51の開口54を直線的に通過するガスの流れを阻止できることである。すなわち、図11中において矢印Cに示すように、開口54を通過しようとするガスは必ず前切り起こし片55に衝突する。
【0028】
以上説明しかつ図示した実施例は例示的なものであり、この発明の均等の範囲内において種々の修正や変形が可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、前羽根板と後ろ羽根板とが重なっている領域に前切り起こし片および後ろ切り起こし片を設けるものであるので、低い製造コストで油脂等の分離効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】厨房の天井に設置されたグリスフィルタユニットを示す図である。
【図2】この発明の一実施例の正面図である。
【図3】図2の線A−Aに沿って見た断面図である。
【図4】図3のBで示す部分の拡大図である。
【図5】前羽根板の側方部分の拡大斜視図である。
【図6】前羽根板と後ろ羽根板とが重なっている領域を示す図である。
【図7】前羽根板の側方部分と後ろ羽根板の側方部分とが重なっている領域を図解的に示す断面図である。
【図8】図7とは逆の方向に切り起こした状態の断面図である。
【図9】この発明の他の実施例の要部の斜視図である。
【図10】図9の線D−Dに沿って見た断面図である。
【図11】この発明の他の実施例の図解的断面図である。
【符号の説明】
10 グリスフィルタ
20 前枠
21 前羽根板
22 肩部
23 折曲げ側方端
24 開口
25 前切り起こし片
30 後ろ枠
31 後ろ羽根板
32 肩部
33 折曲げ側方端
34 開口
35 後ろ切り起こし片

Claims (4)

  1. 後ろ側に向けて開いた複数個の前羽根板を列状に配置した前枠と、前側に向けて開いた複数個の後ろ羽根板を前記前羽根板に部分的に重なるように列状に配置した後ろ枠とを重ね合わせたグリスフィルタにおいて、
    前記後ろ羽根板の側方部分に重なる前記前羽根板の側方部分には、後ろ羽根板に向かって近づくように切り起こされた複数個の前切り起こし片が間隔をあけて線状に設けられており、
    前記前羽根板の側方部分に重なる前記後ろ羽根板の側方部分には、前羽根板に向かって近づくように切り起こされた複数個の後ろ切り起こし片が間隔をあけて線状に設けられていることを特徴とする、グリスフィルタ。
  2. 前記前切り起こし片と前記後ろ切り起こし片とは、交互に位置するような関係で形成されている、請求項1に記載のグリスフィルタ。
  3. 前記前羽根板の側方端は後ろ羽根板に向かうように折曲げられ、前記前切り起こし片は折曲げられた側方端とほぼ平行な関係となるように切り起こされており、
    前記後ろ羽根板の側方端は前羽根板に向かうように折曲げられ、前記後ろ切り起こし片は折曲げられた側方端とほぼ平行な関係となるように切り起こされている、請求項1または2に記載のグリスフィルタ。
  4. 前記前切り起こし片を切り起こすことによって形成される開口は、折曲げられた側方端と前切り起こし片との間に位置し、
    前記後ろ切り起こし片を切り起こすことによって形成される開口は、折曲げられた側方端と後ろ切り起こし片との間に位置する、請求項1〜3のいずれかに記載のグリスフィルタ。
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