以下、本発明に係る電気的接続に係る接続構造体、及びそれを用いた照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電気的接続に係る接続構造体は、リジット基板に実装される中継部品と、スルーホール部を有するフレキシブル基板とを含み、中継部品が有する尖塔部をスルーホール部に挿入した状態で、尖塔部とスルーホール部とを接合する。これにより、リジット基板と、フレキシブル基板を確実かつ簡便に電気的接続することができる。
まず、本発明の実施の形態1に係る電気的接続に係る接続構造体の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気的接続に係る接続構造体1を有するユニット基板2の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るユニット基板2を図1のA方向から見た平面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係るユニット基板2を図2のB方向から見た平面図である。
図1、図2及び図3のように、ユニット基板2は、リジット基板3及び4と、中継部品5と、フレキシブル基板6とを備える。
電気的接続に係る接続構造体1は、リジット基板3又は4の一部と、フレキシブル基板6の一部と、中継部品5とを含む。
ユニット基板2は、リジット基板3及び4と、フレキシブル基板6とを、中継部品5を介して、電気的に接続する、ユニット基板2は、4つの電気的接続に係る接続構造体1を有する。
リジット基板3及び4は、柔軟性の低い基板である。リジット基板3及び4としては、金属基板、アルミナセラミック基板又はチッ化アルミ基板等が好適である。なお、リジット基板3及び4は、ガラスエポキシ基板でもよい。
リジット基板3及び4は、フレキシブル基板6を介して電気的に接続される。リジット基板3及び4には、素子用パッド部21と、中継部品用パッド部22とを備える。
素子用パッド部21は、LED等の素子が実装される素子実装用のパッドである。中継部品用パッド部22は、中継部品5が実装される部品実装用のパッドである。
ここで、素子用パッド部21に実装される素子が、発熱が大きい素子(例えば、LED等)であった場合は、リジット基板3及び4として金属基板を採用することが望ましい。リジット基板3及び4は、熱伝導性が高い材料(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)で構成され、通常アルミニウム、又は銅で構成される。
リジット基板3及び4が金属基板であることにより、素子用パッド部21に実装された素子(不図示)で発生した熱がリジット基板3及び4を迅速に伝熱する。このことにより素子用パッド部21に実装された素子(不図示)の付近に熱が蓄積することを防ぐことが可能となる。
素子で発生した熱が、その素子の付近に蓄積することは好ましいことではない。例えば、前記素子がLEDであった場合には、その長寿命性が損なわれたり、発光効率が低下したりするだけでなく、最悪の場合故障へとつながる場合もある。
それ故、素子用パッド部21に実装される素子が、発熱が大きい素子である場合には、リジット基板3及び4として、金属基板を採用するべきである。
図4は、中継部品5の構成を示す斜視図である。
中継部品5は、本発明でいうチップ部品であって、図4に示すとおり側面から見た形状が略コの字形状である。すなわち、中継部品5は、中継部品用パッド部22に接続される平面状の第1部材と、第1部材の中継部品用パッド部22に接続される面と反対の面の、第1部材の長手方向の両端に、第1部材と垂直に接続される2つの尖塔部41とを備える。
ここで、中継部品5の形状は、コの字形状に限定されるものではなくL字形状であってもよい。すなわち、中継部品5は、中継部品用パッド部22に接続される平面状の第1部材と、第1部材の中継部品用パッド部22に接続される面と反対の面の、第1部材の長手方向の一端に、第1部材と垂直に接続される1つの尖塔部41とを備えてもよい。しかしながら、リジット基板3及び4への実装の利便性を考えればコの字形状であることが望ましい。
これは、リジット基板3及び4への中継部品5の実装を行う際には、自動実装装置を用いて行うことがユニット基板2を量産する上で効率的である。このとき、中継部品5をエンボステーピング化し、リジット基板3及び4に自動的に配置する。
その際、中継部品5がもし、L字形上であれば、リジット基板3及び4の自動配置時に中継部品5のバランスが崩れ、所望の位置に配置することが難しくなる。一方、コの字形状であれば、中継部品5のバランスの崩れが発生せず、リジット基板3及び4の自動配置を所望の位置に行うことができる。
中継部品5は導電性を有する材質で構成される。また、中継部品5は、半田付けによりリジット基板3及び4の中継部品用パッド部22に実装される。さらには、尖塔部41は半田付けによりフレキシブル基板6のスルーホール部51と接続される。すなわち、中継部品5には、半田付けに耐えうる耐熱性を有する材質を選択する必要がある。通常、中継部品5は、アルミニウム又は銅等の金属により構成される。
また、中継部品5は、リフロー半田法により中継部品用パッド部22に実装されることが望ましい。これにより、簡便かつ確実に、チップ部品をパッド部に実装できる。
また、中継部品5の尖塔部41には、所定の段42が設けられることが望ましい。このようにすることにより、フレキシブル基板6のスルーホール部51を、中継部品5の尖塔部41に挿入した状態で、両者を半田付けにより接合する際の半田形状が、半田形状23(スルーホール部51を上方から押さえるもの)だけでなく、半田形状24(スルーホール部51を下からも押さえるもの)となり、より確実に接合することが可能となる。
図5は、フレキシブル基板6の構成を示す斜視図である。
フレキシブル基板6は、本発明でいう導体であって、柔軟性を有する導電性の基板である。フレキシブル基板6は、ポリイミドフィルム等で形成される。フレキシブル基板6には、スルーホール部51が少なくとも2つ形成される。スルーホール部51は、フレキシブル基板6を貫通する貫通孔である。
2つの尖塔部41のうちいずれか一方は、スルーホール部51に挿入された状態で、半田付けによりスルーホール部51と接合される。すなわち、2つの尖塔部41のうちいずれか一方がスルーホール部51に挿入された状態で、リジット基板3及び4と、フレキシブル基板6とが接合される。これにより、リジット基板3及び4と、フレキシブル基板6を確実かつ簡便に電気的接続することができる。
ここで、電気的接続に係る接続構造体1は、中継部品用パッド部22と、中継部品5と、スルーホール部51とを含む。すなわち、電気的接続に係る接続構造体1において、尖塔部41は、スルーホール部51に挿入された状態で、半田付けによりスルーホール部51と接合される。
以下、図6を用いて複数のリジット基板を電気的に接続する一般的な方法を説明する。図6は、従来のユニット基板61の外観を示す斜視図である。
図6に示す従来のユニット基板61は、リジット基板62及び63と、電気ケーブル65とを含む。
リジット基板62及び63は、配線用パッド部64を夫々備える。電気ケーブル65の端部は、配線用パッド部64にスポット半田法(半田ごてを利用した手半田など)により接続される。
しかしながら、この方法では、半田付けのみにより配線用パッド部64と電気ケーブル65とが接続されているため、接続の強度が十分ではない。よって、万が一の大地震の発生などに伴う振動により、配線用パッド部64から電気ケーブル65が外れる可能性がある。特に、リジット基板62及び63が金属基板であった場合には、金属基板の熱伝導性が高いので、配線用パッド部64の温度を所望の温度に上昇させることが難しい。そのため半田付け不良により、配線用パッド部64から電気ケーブル65が外れるリスクが高まってしまう。
また、アルミナセラミック基板又はチッ化アルミ基板等においても金属基板と同様に、配線用パッド部64から電気ケーブル65が外れるリスクが高まってしまう。
この対策としては、リジット基板に配線用スルーホール部を設けることも考えられる。このようにすれば、確かに電気ケーブル65が、配線用スルーホール部から外れるリスク(すなわち、リジット基板62と、リジット基板63との電気的な接続が切れるリスク)を低減することができる。
しかしながら、リジット基板62及び63が金属であれば、余分な部分まで電気的に接続されてしまい、電気的な短絡が発生してしまうなどの問題である。すなわち、スルーホール部を設けることは容易ではない。
また、リジット基板62及び63がアルミナセラミック基板又はチッ化アルミ基板等であってもスルーホール部を設けることが技術的に難しい。よって、スルーホール部を設けることでコストが増大してしまう。
本発明の電気的接続に係る接続構造体1は、これらの問題を解消できるものである。すなわち、リジット基板3と4とを電気的に接続する場合において、中継部品5と、フレキシブル基板6とを使用することにより、簡便に接続することができ、しかも強固に接続できるため、電気的接続が外れるリスクが大幅に低減される。
図7は、本発明の電気的接続に係る接続構造体1を作成する方法を示すフローチャートである。
ステップS72において、リジット基板3及び4の中継部品用パッド部22に中継部品5を配置したうえで、実装する。実装は、半田付けを行うことにより実施する。このとき、リフロー法を用いて半田付けを行う。
リフロー法は、リジット基板3及び4全体を半田付けに適した温度に上昇させる。したがって、リジット基板3及び4が金属基板であっても、半田付け不良を引き起こすことなく中継部品5を中継部品用パッド部22に実装することが可能となる。
ここで、中継部品5はコの字形状をしており、左右対称である。またエンボステーピングされている。したがって自動実装装置を用いて中継部品用パッド部22に配置する際、バランスの崩れ及び、左右の反転などが起こらない。よって、中継部品5を所望の位置に容易に配置することができる。
ステップS73において、ステップS72にてリジット基板62及び63に実装された中継部品5の尖塔部41を、フレキシブル基板6のスルーホール部51に挿入する。
ステップS74において、ステップS73にてスルーホール部51に挿入された尖塔部41を、スポット半田法を適用して、該スルーホール部51に固定する。このとき、半田形状が、半田形状23(スルーホール部51を上方から押さえるもの)だけでなく、半田形状24(スルーホール部51を下からも押さえるもの)ともなり、確実に接合することが可能となる。
なお、スポット半田法のかわりに、抵抗溶接法などを利用して接合してもよい。抵抗溶接法を適用することにより、接合部の熱的耐久性をさらに向上することができるというメリットもある。
ここで、半田は熱伝導性が比較的低い。それ故、リジット基板の材質を問わず、スポット半田法(例えば、半田ごてを使用した手半田等)を適用して、ステップS73にてスルーホール部51に挿入された尖塔部41を、該スルーホール部51に固定することが可能となる。
以上説明した方法により、簡便にリジット基板3と、リジット基板4とを電気的に接続することができる。それ故、従来一般的に、行われてきた電気ケーブルを使用した基板への直接半田付けによる接続のように、万が一の大地震などの振動により電気ケーブルが脱離することはない。
また、リフロー法を用いてリジット基板3、及び4に取り付けることができるコネクタ端子が開発されているが、このようなコネクタ端子は、概してその体積が大きい。そのため、素子用パッド部21にLEDなどの発光素子が実装された場合において、発光素子からの発光を前記コネクタ端子が遮ってしてしまうという問題がある。
それに対し、本発明の方法において使用する中継部品5は非常にコンパクトであり、そのような問題が発生しない。故にそのメリットは大きい。
さらに、リジット基板3及び4にスルーホール部を設ける必要がないため、リジット基板3及び4が金属、アルミナセラミック基板又はチッ化アルミ基板等であっても対応可能である。
なお、フレキシブル基板6に変えて、リジット基板からなる中継基板を使用して、リジット基板3と4とを電気的に接続してもよい。図8は、ユニット基板2の変形例であるユニット基板82の構成を示す斜視図である。
図8に示すように、リジット基板からなる中継基板83を使用して、電気的接続に係る接続構造体81を構成することも可能である。
ここで、電気的接続に係る接続構造体81は、電気的接続に係る接続構造体1と略同じであり、フレキシブル基板6が、中継基板83に変更される点のみ異なる。電気的接続に係る接続構造体1と、同様の手順により作成ができ、また性能的にも同等である。
なお、中継基板83がリジット基板であるが故、リジット基板3と、4との間隔の変動を防ぐことが容易となるという効果もある。
また、図4に示す中継部品5の形状は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、尖塔部41の形状は、円錐又は楕円錐であってもよい。また、中継部品5は、一部に曲線形を有する形状であってもよい。
また、図5に示すスルーホール部51は、断面が円形の貫通孔であるが、楕円形又は矩形の貫通孔であってもよい。
また、上記説明において、リジット基板3及び4は、2つのフレキシブル基板6により接続されているが、1又は3以上のフレキシブル基板6により接続されてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、リジット基板3と、電気ケーブル93とを電気的に接続する電気的接続に係る接続構造体について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る電気的接続に係る接続構造体を有する配線基板の構成を示す斜視図である。なお、図1と同様の要素には同様の符号を付している。
図9に示す配線基板92は、電気ケーブル93と、リジット基板3と、中継部品5とを備える。また、図9に示す配線基板92は、2つの電気的接続に係る接続構造体91を含む。
電気的接続に係る接続構造体91は、電気的接続に係る接続構造体1と略同じであり、フレキシブル基板6が、電気ケーブル93に変更されることのみ異なる。電気的接続に係る接続構造体1と、同様の手順により作成ができ、また性能的にも同等である。
電気ケーブル93は、本発明でいう導体であって、電気ケーブル93の絶縁層が取り除かれた端部に半田付け、又はカシメ止めにより装着されたラグ端子94を備える。
ラグ端子94は、本発明でいう接続部であって、半田付けに供される。ラグ端子94は貫通孔が形成されている。
ここで、リジット基板3に実装された中継部品5の尖塔部41が、ラグ端子94に挿入された状態で、両者が半田付け法(又は、抵抗溶接法など)により接合されている。
以上により、リジット基板3と、電気ケーブル93とは、電気的接続に係る接続構造体91を有し、電気的に接続される。それ故、従来一般的に、行われてきた電気ケーブルを使用した基板への直接半田付けによる接続のように、万が一の大地震などの振動により電気ケーブルが脱離することはない。
なお、ラグ端子94の貫通孔の断面形状は、円形、楕円形及び矩形のいずれであってもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る照明装置は、実施の形態2に係る電気的接続に係る接続構造体91を用いた照明装置である。また、実施の形態3に係る照明装置は、焦点深度を確保した任意長のライン状照明を、固体発光素子を用いて実現することができる。
本発明の実施の形態3に係る照明装置は、固体発光素子から発せられる光を、光学素子と、反射体とにより適切に集光することにより焦点深度を確保した任意長のライン状照明を実現する。
まず、本発明の実施の形態3に係る照明装置の構成を説明する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る照明装置101の外観を示す斜視図である。図11は、図10におけるC方向から見た照明装置101の平面図である。図12は、図10におけるD方向から見た照明装置101の平面図である。図13は、図11における照明装置101のE1−E2断面図である。図14は、図11における照明装置101のF1−F2断面図である。
ここで、便宜上、固体発光素子列126に沿った方向(列方向)をx方向、固体発光素子121の発光方向をy方向、x方向及びy方向に対し垂直な方向をz方向とする。
照明装置101は、筐体部102と、複数の固体発光素子121と、基板122と、光学素子123と、光学素子保持部124と、電気ケーブル125とを備える。
複数の固体発光素子121は、紫外光を発するLED(ハイパワー発光ダイオード)である。紫外光を発光するLEDは、従来の水銀ランプ等のランプ類による紫外光源の代替光源として期待されている。これは、水銀レスであること、及び寿命が長いこと等による。
複数の固体発光素子121は、直線状に配置され、固体発光素子列126を構成する。固体発光素子列126は任意の列数でよいが、ここでは1列としている。
ここで、固体発光素子121として採用したLEDは、所謂表面実装型である。表面実装型のLEDは、電極面積が大きく放熱性がよい。したがって、電力容量を大きくすることが可能となり、それ故発光される光量も多いという特徴がある。
筐体部102は、本発明の筐体手段であって金属等の熱伝導性の高い材料により構成される。発明者らは、筐体部102を構成する材料として、アルミニウムを選択した。この理由は、まずアルミニウムの熱伝導性が高いことにある。
固体発光素子121として使用するLED(ハイパワー発光ダイオード)は、ロスとして熱を放出する。特にLEDは、投入電力が大きいため、発生する熱も多くなる。
このロスとして発生した熱がLEDの近傍に蓄積することは、それ自身の性能劣化に直接的につながる。そのため、LEDを使用する場合は、ロスとして発生する熱の処理を適切に行うことが必須となる。
そのため、本照明装置101は、この筐体部102を利用して放熱を行う。効率よく放熱を行うためには、固体発光素子121で発生した熱を筐体部102全体に速やかに拡散する必要がある。その上で、大気に放熱することにより、所望の放熱を行うことができる。
前述のように、固体発光素子121で発生した熱を筐体部102全体に速やかに拡散するためには、筐体部102を構成する材料として、熱伝導性のよい材料を選択する必要がある。アルミニウムはこの条件を満たす。
また、アルミニウムは加工性に富んでおり、さらには安価であるという特徴もある。このような理由に基づき、発明者らは、筐体部102を構成する材料として、アルミニウムを採用した。
なお、筐体部102は、放熱性を鑑み、アルマイト処理を行うことが好ましい。アルマイト処理することで、筐体部102の表面積が拡大し、大気への放熱性が向上する。
筐体部102は、固体発光素子121から発せられた光の取り出し口となる開口部140を有する中空部141が形成されている。開口部140は、中空部141の、複数の固体発光素子121の発光方向に形成される。
中空部141は、E1−E2断面において、壁面(内面)の表面形状の一部が、楕円形状部142となっている。すなわち、固体発光素子列126の列方向に対する固体発光素子121の側面に構成される壁面は、E1−E2断面において表面形状の一部が、楕円形状部142となっている。この楕円形状部142は、反射面となっている。
ここで、反射面は、固体発光素子121から発せられる光を反射するために供される(本発明の第2集光手段である)。なお、反射面は、鏡面仕上げとしてもよいが、前述のように筐体部102は、放熱性能の向上のためにアルマイト処理することが望ましい。また、アルマイト処理した状態でも十分な反射率を有している。よって、鏡面仕上げは必須ではない。
また、筐体部102には、流入口143及び流出口144を有する貫通孔であるスルーホール145が複数形成される。各スルーホール145の流入口143は、筐体部102の外部側に設けられ、流出口144は筐体部102の中空部141側に備えられる。すなわち、スルーホール145は、筐体部102の外側から中空部141内に至る貫通孔である。
スルーホール145は、放熱性を高めるためのほか、光学素子保持部124の固定、及び電気ケーブル125の経路として使用する。詳しくは後述する。
基板122は、本発明の第1リジット基板であって、複数の固体発光素子121を保持する役目を担う。すなわち、基板122に複数の固体発光素子121が実装される。基板122は、筐体部102と同様に、熱伝導性の高い材料により構成される。これは、固体発光素子121(LED)でロスとして発生した熱を筐体部102にすばやく拡散するためである。
発明者らは、このことを鑑み、基板122としてアルミニウムを選択した。これは、熱伝導性に富むことはもとより、筐体部102と同じ材質とすることで、両者の線膨張係数をそろえる意図がある。
ここで、固体発光素子121にて発生した熱を基板122から筐体部102へすばやく拡散するためには、空気等がそれらの間に入り込まぬよう、基板122と筐体部102とを可能な限り密着させる必要がある。
ここで、発明者らは基板122と筐体部102との密着性を高めるため、熱伝導性の高い接着剤(基材なしの両面テープ)(不図示)を両者の間に挟みこんだ上でプレス加工することを採用している。このことにより、両者の密着性は確保できる。すなわち、基板122は、中空部141の内部に筐体部102に密着した状態で配置される。
一方、両者の線膨張係数が異なる場合、固体発光素子121にて発生した熱等により両者の温度が上昇した際に、密着性の劣化(剥がれ等の発生等)が危惧される。
それ故、発明者は、基板122と筐体部102とを同じ材質(アルミニウム)とすることで、両者の線膨張係数をそろえた。このことにより、固体発光素子121にて発生した熱等に基づき、両者の温度が上昇し密着性の劣化が発生することを回避した。
光学素子123は、本発明の第1集光手段であって、集光レンズである。光学素子123は、例えば、シリンドリカルレンズである。光学素子123は、固体発光素子121の発光方向に、固体発光素子列126に沿って配置される。固体発光素子121として紫外光を発するものを採用する際には、紫外光に対する耐性を有する材料(例えば、石英)を採用するべきである。仮に光学素子123に紫外光に対する耐性のない材料(例えば、アクリル)を使用した場合、光学素子123の透過率が低下するので、ライン状照明における光強度が低下してしまう。
光学素子保持部124は、本発明の支持部であって、光学素子123を支持する。この際、光学素子123の位置決めは、非常に重要である。これは、光学素子123が適切な位置に配されなければ、その集光位置にずれが生じ、所望のライン状照明を得ることができないためである。
それ故、光学素子123を保持する光学素子保持部124を適切な位置に固定することが必要となる。発明者らは、光学素子保持部124を、流出口144を基準位置とし、スルーホール145に固定した。すなわち、光学素子保持部124は、光学素子保持部124の一部がスルーホール145に挿入された状態で筐体部102に固定される。具体的には、図11及び図13に示すように光学素子保持部124は、光学素子123が嵌め込まれる保持部材と、保持部材に接続される棒状の棒部材とを含む。当該棒部材がスルーホール145に挿入される。これにより、光学素子保持部124が適切な位置に固定されるので、光学素子123が適切な位置に配される。なお、図11において、光学素子保持部124は、2つの棒部材を備えるが、3以上の棒部材を備えてもよい。
電気ケーブル125は、本発明の導体であって、基板122を介して複数の固体発光素子121に電源を供給するためのケーブルである。電気ケーブル125には、複数の固体発光素子121に供給される電力が外部より供給される。電気ケーブル125は、スルーホール145を介して、筐体部102の外部から、筐体部102の有する中空部141内部へ導入される。
このようにすることにより、実施の形態5で後述する照明ユニット221において、照明装置101を複数、すき間なく、ならべることが可能となる。
また、基板122と、電気ケーブル125とは、本発明の実施の形態2の電気的接続に係る接続構造体91を有し、電気的に接続されている。すなわち、電気ケーブル125は、上述した電気ケーブル93と同様の構成である。また、基板122は、中継部品用パッド部22を備える。ここで、基板122の中継部品用パッド部22は、複数の固体発光素子121に供給される電力が入力されるパッドである。また、中継部品用パッド部22に中継部品5が実装される。また、中継部品5の尖塔部41が、ラグ端子94に挿入された状態で、両者が半田付け法(又は、抵抗溶接法など)により接合されている。これにより、従来一般的に、行われてきた電気ケーブルを使用した基板への直接半田付けによる接続のように、万が一の大地震などの振動により電気ケーブルが脱離することはない。
次に、照明装置101の動作を説明する。
まず、照明装置101の基板122と筐体部102とによる放熱機構を説明する。図15は、図11における照明装置101のG1−G2断面図である。
固体発光素子121でロスとして発生した熱は、基板122を介し筐体部102全体にすばやく拡散される。そして、大気に放熱される。
ここで、まず筐体部102付近の大気は、上記熱により熱せられ、上昇気流となる。この上昇気流は、外部表面151から熱を奪いながら上昇する。すなわち、外部表面151から放熱が行われることとなる。
また、内部表面152(楕円形状部142と同じ部位を指す)においても、筐体部102の外部より中空部141にスルーホール145を介して前記上昇気流が流入する。この上昇気流は、内部表面152から熱を奪いながら上昇する。すなわち、内部表面152からも放熱が行われることとなる。
なお、スルーホール145の上昇気流の流出口となる流出口144から上昇気流の流入口となる流入口143に至る方向は斜め下方向であり、かつ流出口144から流入口143に至る方向と、水平方向(z方向)とがなす角γは、0度から90度の範囲であればよい。このように構成することにより、スルーホール145を介しての中空部141への上昇気流の流入がスムーズに行われる。
発明者らは、このスルーホール145を設けることの効果を調べるため、スルーホール145を設ける場合と、スルーホール145を設けない場合とにおける温度上昇を、コンピュータによりシミュレーションした。その結果、スルーホール145を設けることにより、5℃〜10℃程度の筐体部102の温度上昇が低減された。これより、スルーホール145を設けることが、放熱特性の向上に寄与することを確認された。
次に、照明装置101により実現されるライン状照明について説明する。なお、ここでは、光学素子123による集光と、楕円形状部142による集光とを分離して説明する。
まず、光学素子123による集光について説明する。
図16は、図15と同様、図11における照明装置101のG1−G2断面図である。図17は図14と同様、図11における照明装置101のF1−F2断面図である。
固体発光素子121から発せられた光のうち、放射角αが所定の範囲内(発明者らの実験では、0度から30度〜60度の範囲内が適しており、0度から45度の範囲内が最適であった)の光が、光学素子123に入射する。ここで、放射角αは、y−z平面においてy方向(固体発光素子121の発光方向)を0度とした場合の光が放射される角度である。
ここで、固体発光素子121は、個々の機種により発光光量の放射角依存性が異なるが、発明者らが使用した固体発光素子121においては、放射角αが0度から45度の範囲に全光量に対し約80%の光量が放射される。
すなわち、光学素子123は、固体発光素子121から発せられる光のうち、大多数を集光することとなる。したがって、光学素子123は、メインの集光要素であり、楕円形状部142はサブの集光要素とも言える。
固体発光素子121から発せられた光のうち、光学素子123に入射した光は、y方向中心点160を焦点として集光される。
固体発光素子121から発せられた光のうち、光学素子123に入射した光の光量をPとした場合、所望の光強度Iminと、z方向の最大幅(z方向区間162)との間には、下記(式1)に示す関係がある。ここで、所望の光強度が維持されるx方向の範囲は、x方向区間171となる。なお、x方向については、光学素子123に集光効果はない。つまり、固体発光素子121の指向性に基づき光が発散する。
Imin=P/(z方向区間162 × x方向区間171)・・・・(式1)
ここで、所望の光強度Imin、光量P、及びx方向区間171は、照明装置101の設計等において任意に設定できる定数である。このことを踏まえると、z方向区間162は、(式1)によって一義的に定まることとなる。
また、ここで、y方向区間161と、z方向区間162とは、固体発光素子121から発せられた光のうち、光学素子123により集光された光の発散角βを用いることにより、下記(式2)のような関係式で表される。ここで、発散角βは、y−z平面における、光学素子123により集光された光の照射方向と、−y方向(固体発光素子121の発光方向と逆方向)とがなす角度である。
y方向区間161 = z方向区間162 / tan β・・・・・・・・(式2)
このy方向区間161が焦点深度となる。また、前述のようにz方向区間162は(式1)により定まる。したがって、発散角βを規定することにより、焦点深度(y方向区間161)を求めることができる。
すなわち、焦点深度(y方向区間161)の必要量に応じて発散角βを光学素子123により規定すればよいことが明らかである。すなわち、照明装置101において光学素子123は、複数の固体発光素子121から発せられる光を、所定の焦点深度を確保し集光する発散角ベータを有する。
なお、発散角βは、照明装置101を適用する照射対象物に応じて当然に任意に変化するが、発明者らの実験においては、発散角βは5度〜20度が適しており、10度が最適であった。
以上のように、光学素子123により、x方向にx方向区間171、y方向にy方向区間161(これが焦点深度なる。)、及びz方向にz方向区間162を有するライン状照明を形成することができる。
次に、楕円形状部142による集光について説明する。
図18は、図16と同様、図11における照明装置101のG1−G2断面図である。
楕円形状部142は、固体発光素子121から発せられた光のうち、光学素子123に入射しなかった光を集光する。すなわち、楕円形状部142は、固体発光素子121から発せられた光のうち、放射角αが所定の値以上の光を集光する。
前述のように、光学素子123は、固体発光素子121から発せられる光のうち、大多数の光を集光する。したがって、楕円形状部142により集光される光は少数ではある。しかしながら、少数の光ではあっても、光学素子123により集光された大多数の光に重畳することは、固体発光素子121から発せられる光を無駄なく利用し、ライン状照明の光強度を高める意味で重要である。
固体発光素子121から発せられた光のうち、楕円形状部142により反射された光は、y方向中心点160を中心として集光される。このとき、楕円形状部142の一方の焦点を光学素子123の焦点でもあるy方向中心点160とし、他方の焦点に固体発光素子列126(固体発光素子121)を配することが必要である。
このような配置を行うことにより、固体発光素子121から発せられた光のうち、楕円形状部142により反射された光のy方向中心点160への集光が可能となる。
また、x方向については、楕円形状部142は影響しない。
図19は、照明装置101が実現するライン状照明191を示す図である。光学素子123、及び楕円形状部142による集光を各々別に説明したが、照明装置101として、図19に示すように、y方向中心点160を中心に、x方向にx方向区間192、y方向にy方向区間193(これが焦点深度となる)、及びz方向にz方向区間194を有する、ライン状照明191を実現することができる。
ライン状照明191は、固体発光素子121から発せられた光のうち、光学素子123により集光することにより形成したライン状照明に、固体発光素子121から発せられた光のうち、楕円形状部142により集光された光を重畳したものとなる。
以上のように、照明装置101は、固体発光素子121を光源としたライン状照明を実現する。また、照明装置101は、固体発光素子121により発せられた光の大多数を、光学素子123を用いて所定の範囲内に集光する。さらに、照明装置101は、光学素子123に入射しない固体発光素子121より発せたれた光(少数の光)も、楕円形状部142により所定の範囲内に集光し、光学素子123により集光された光に重畳する。そのため、照明装置101は、固体発光素子121から発せられた光をロスなく有効に活用し、ライン状照明191を構成することができる。
また、照明装置101において、発散角βを規定することにより必要な焦点深度(y方向区間193)を確保することができる。
ここで、本発明に係る照明装置101を実際に紫外硬化樹脂201の硬化に適用する場合について説明する。図20は、照明装置101が紫外硬化樹脂201に紫外光を照射する状態を示す図である。図20では、紫外硬化樹脂201は、保護シート202に挟まれ、所定の厚みをもって配されているとする。
そしてこの紫外硬化樹脂201は、表面204だけ、中層部205だけ、又は底面206だけといった局所的な紫外光の照射では、硬化に時間がかかってしまうものである。すなわち、表面204、中層部205及び底面206の全てに紫外光を照射する必要がある。
ここで、従来の照明装置(例えば、特許文献2に開示される照明装置)では、焦点深度を確保できないため、表面204、中層部205及び底面206の全てに所定の光強度を有する紫外光を照射することができない。よって硬化に時間がかかってしまう。
一方、本発明に係る照明装置101は、所望の焦点深度(y方向区間193)を有し、また所定の光強度を有するライン状照明191を実現できる。そのため表面204、中層部205、及び底面206の全てに所定の光強度を有する紫外光を照射することが可能となる。よって、紫外硬化樹脂201の硬化を迅速に行うことができる。
以上より、本発明に係る照明装置101は、従来の固体発光素子(LED)を使用した照明装置が光強度の不足、及び焦点深度の不足により適用できなかった照射対象物に対しても適用することができる。したがって、本発明は、固体発光素子121を用いた照明装置の適用範囲を大幅に広げることができるといえる。
また、照明装置101において、基板122と、電気ケーブル125とは、実施の形態2に係る電気的接続に係る接続構造体91を有し、電気的に接続されている。上述したように、基板122は、固体発光素子121から発生した熱を筐体部102にすばやく拡散するために、熱伝導性の高い材料により構成される。よって、スポット半田法により電気ケーブル125を基板122に直接取り付けることが困難である。一方、実施の形態2に係る電気的接続に係る接続構造体91を照明装置101に適用することで、電気ケーブル125と基板122とを確実に接続することができる。すなわち、電気的接続に係る接続構造体91を照明装置101に適用することは、非常に効果的である。
なお、図10〜図12に示す流入口143及び流出口144の形状、及び個数は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。加工コスト等を考慮し、流入口143及び流出口144の形状、及び個数任意に決定してよい。
例えば、流入口143及び流出口144の形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形及び矩形等の任意の形状でよい。また、流入口143及び流出口144は、x方向(固体発光素子列126に沿う方向)に一列で配置されているが複数列で配置されてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4では、上述した実施の形態3に係る照明装置101の変形例について説明する。実施の形態4に係る照明装置211は、照明装置101の構成に加え、さらに、光を拡散する光学素子212を備える。
図21(a)は、照明装置211の平面図である。図21(b)は、図21(a)におけるH1−H2の断面図である。なお、図10〜図14と同様の要素には同一の符号を付している。
光学素子212は、本発明の発散手段であって、照明装置211のx方向(長手方向)に、固体発光素子121から発せられた光を所定量拡散する光学素子である(発散量は、ライン状照明に要求される光強度に合わせて設定される。)。光学素子212は、複数の固体発光素子121の発光方向に配置される。具体的には、光学素子212は、レンズにより構成される。なお、光学素子212は、z方向には影響を及ぼさない素子である。
なお、ここでは、光学素子123と、光学素子212とを別の光学素子により実現しているが、両者の機能を1つの光学素子(不図示)にて実現してもよい。また、光学素子212は、光学素子123に接して配置されているが、所定の間隙を介して配置されてもよい。また、光学素子212は、光学素子123の上方(固体発光素子121の発光方向を上とした場合の上方)に配置されているが、下方に配置されてもよい。
このようにすることにより、照明装置211のライン状照明の長手方向の長さ(x方向区間)は、区間214となり、照明装置101のx方向区間192に対し長くなる。すなわち、ライン状照明の長手方向の長さを伸ばすことができる効果がある。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る照明ユニットは、焦点深度を確保した任意長のライン状照明を、固体発光素子121を用いて実現する照明装置101を任意個数用いて構成される照明ユニットである。
実施の形態5に係る照明ユニットは、照明装置101にて実現されるライン状照明191を直列に接続するよう照明装置101を配置したものである。供する照明装置101の個数をN個(Nは2以上の整数)とした場合、照明ユニット221は、照明装置101にて実現されるライン状照明の長さ(x方向区間192)のN倍のライン状照明を実現できる。
以下では、本発明の実施の形態5に係る照明ユニットの構成を説明する。
図22は、本発明の実施の形態5に係る照明ユニットの外観を示す斜視図である。
図22に示す照明ユニット221は、照明装置101により実現されるライン状照明191を直列に接続できるように、2つの照明装置101を配した構成を有する。
照明ユニット221は、2つの照明装置101を備える。2つの照明装置101は、固体発光素子列126の列方向に直列に接して配置される。すなわち、照明装置101を長手方向に接続した構成である。このようにすることにより、照明ユニット221は、ライン状照明222を実現することが可能となる。2つの照明装置101は、上述した実施の形態3に係る照明装置101である。なお、照明装置として実施の形態4に係る照明装置211を用いてもよい。
また、ここでは、照明装置101を2個使用して構成しているが、これに限定されるものではない。必要なライン状照明222の長さに応じて、2以上の任意個数の照明装置101を使用することにより構成することが可能である。
ここで、照明ユニット221を構成する際、隣り合う照明装置101を密着して配置する必要がある。
図23は、照明ユニット221における照明装置101の密着配置の必要性を説明するための図である。図23(a)は、照明装置101が密着して配置されていない状態を示す図である。図23(b)は、照明装置101が密着して配置されている状態を示す図である。
仮に、図23(a)のように密着して配置しない状態では、照明装置101が実現するライン状照明を直列に接続することができない。
そこで、図23(b)のように密着して配置する必要がある。照明装置101では、電気ケーブル125を、スルーホール145を経路として筐体部102の外部から内部へ導入している。
故に、照明ユニット221においては、照明装置101を長手方向に接続する際、電気ケーブル125が干渉することなく、図23(b)のように密着して配置することが可能となる。
以上のように、照明ユニット221は、照明装置101を密着して配置することにより構成される。そのため、必要個数照明装置101を密着して配置することで、所望の長さのライン状照明を容易に得ることができる。専用設計を行う必要がないため、そのメリットは大きい。
なお、上記実施の形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変更し実施できることは言うまでも無い。
例えば、実施の形態3〜5においては、固体発光素子121は紫外光を発光する素子としたが、可視光を発光する素子、又は赤外光を発光する素子であってもよい。また、照射対象物に対し、適切な波長の光を発光する素子を選択してよい。
また、個体発光素子列は2列以上であってよい。必要な光量に応じて、複数列固体発光素子列を備えてもよい。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る照明装置は、実施の形態1(その変形例を含む)又は実施の形態2に係る電気的接続に係る接続構造体1、81又は91を用いた、照明装置であって、2つのダイオードブリッジ回路を備えることにより、外部から交流電力が供給されていない端子対には、外部から供給された交流電力の影響が出ない。これにより、多種の方式の蛍光ランプ用の支持具に対して蛍光ランプに置き換えて使用することができる。
まず、本発明の実施の形態6に係る照明装置の構成を説明する。
図24は、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の外観を示す斜視図である。図25は、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の側面(図24に示すI方向)からの平面図である。図26は、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の上面(図25に示すJ方向)からの平面図である。図27は、図26に示すK1−K2面における照明装置501の構造を示す断面図である。図28は、照明装置501を直管蛍光ランプ用の支持具541に取り付けた状態を示す図である。
図24、図25及び図26に示すように、照明装置501は、筐体部502と、端子部503と、端子ピン504a、504b、504c及び504dと、保護用透光板533とを備える。なお、端子ピン504a、504b、504c及び504dを特に区別しない場合には、端子ピン504と記す。
図27に示すように、照明装置501は、さらに、筐体部502の内部に、複数の固体発光素子531と、2つの基板532と、回路部538a及び538bと、フレキシブル基板539a、539b及び539cとを備える。
照明装置501は、一般的な直管蛍光ランプと同寸法である。例えば、照明装置501は、JISC7617−2「直管蛍光ランプ−第2部:性能規定」の3、4.1「データシートのリスト」に規定された直管蛍光ランプの何れかと同一寸法である。
筐体部502は、断面が略コの字形状に形成される。筐体部502は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。例えば、筐体部502は、アルミニウムで構成される。筐体部502にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であること、及び放熱特性が高いことなどが挙げられる。
また、筐体部502は、本発明のケース部であって、アルミニウムで構成した後、アルマイト処理することが望ましい。アルマイト処理することによって、表面積が増加し、放熱効果が高まる。
保護用透光板533は、透光性を有し、固体発光素子531の発光方向に配置される。保護用透光板533は、平板状に形成される。筐体部502と保護用透光板533とを一体的に組み合わせることで、断面が略四角形状となる。
保護用透光板533は、透明なガラス、アクリル樹脂、又はポリカーボネート等により形成される。保護用透光板533の表面又は裏面には、表面処理により、微細な凹凸が不均一に形成される。この表面処理は、例えば、サンドブラスト法を適用することにより容易に行うことができる。保護用透光板533は、照明装置501の内部に配置される固体発光素子531などを保護する。また、保護用透光板533は、固体発光素子531から発せられた光を拡散する役目を担う。固体発光素子531から発せられた光は、指向性が強いので、局所的に照射される傾向にある。固体発光素子531から発せられた光を表面処理された保護用透光板533により拡散することによって、光の指向性を弱め、広い面積に均一に光を照射することができる。
端子部503は、筐体部502の長手方向の両端に形成される。
端子ピン504は、端子部503に形成される。端子ピン504は、一般的な直管蛍光ランプに用いられている端子ピンと同機構かつ同寸法である。端子ピン504は、照明装置501の外部から内部へ電力を導入する。また、端子ピン504は、照明装置501を図28に示すような支持具541などに固定する際の口金としても機能する。すなわち、照明装置501は、図28に示すように、一般的な直管蛍光ランプランプ用の支持具541にそのまま取り付けて使用することができる。
端子ピン504a及び端子ピン504bは、筐体部502の長手方向の一端に形成される。端子ピン504c及び端子ピン504dは、筐体部502の長手方向の他端に形成される。
2つの基板532は、本発明の実装基板であって、筐体部502と保護用透光板533とにより形成される中空構造の内側に配置される。2つの基板532は、中空構造の内側であり、保護用透光板533に対向する面の表面に形成される。2つの基板532は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。好ましくは筐体部502と同一材質により構成される。例えば、2つの基板532は、アルミニウムにより構成される。
複数の固体発光素子531は、2つの基板532に配置される。複数の固体発光素子531は、例えば、LED(ハイパワー発光ダイオード)であり、表面実装型である。LEDは、光度が高く照明装置用途に好適である。照明装置501を一般的な照明として使用する場合、使用する固体発光素子531の発光色は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色などが好適である。具体的には、例えば、複数の固体発光素子531は、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色の光を発光する。
また、複数の固体発光素子531は、ピーク波長が380〜500nmの光である青色光を発光してもよい。青色は、精神的興奮を抑える効果があるといわれている。そのため、青色光を発光する照明装置501は、防犯灯として好適である。
また、複数の固体発光素子531は、直列に接続される。このとき、使用する固体発光素子531の個数は、各固体発光素子531の順方向電圧(Vf)の総和(ΣVf)と、直流変換回路535から供給される電圧(V)とが、略等しくなるように選択される。例えば、直流変換回路535から供給される電圧(V)が100V、固体発光素子531の順方向電圧(Vf)が3.8Vであった場合には、固体発光素子531の個数は26個となる。このようにすることで、直流変換回路535から供給される電圧(V)と、各固体発光素子531の順方向電圧の総和(ΣVf)とがバランスし、別途直流電源等を具備する必要がなくなる。これにより、照明装置501のコストを低減することができる。
なお、照明装置501の光度をより高めるため、上記のように直列に接続した固体発光素子531を複数列備え、直列に接続した固体発光素子531を互いに並列接続してもよい。発明者らは、このことを鑑み直列に接続した固体発光素子531を2列備え、直列に接続した固体発光素子531を互いに並列接続した。
回路部538a及び538bは、それぞれ、リジット基板(不図示)を備える。各リジット基板は、本発明の第2リジット基板であり、筐体部502と保護用透光板533とにより形成される中空構造の内側に配置される。各リジット基板は、中空構造の内側であり、保護用透光板533に対向する面の表面に形成される。なお、リジット基板の材質は任意でよいが、発明者らは金属基板(アルミニウム基板)を採用した。
また、回路部538aは、入力回路534と、直流変換回路535と、調整回路536とを備える。回路部538bは、保護回路537を備える。入力回路534、直流変換回路535、及び調整回路536は、回路部538bが備えるリジット基板上に形成される。保護回路537は、回路部538bのリジット基板上に形成される。
フレキシブル基板539aは、回路部538aと、2つの基板532のうち回路部538a側の基板532とを接続する。フレキシブル基板539bは、2つの基板532を接続する。フレキシブル基板539cは、回路部538bと、2つの基板532のうち回路部538b側の基板532とを接続する。
このとき、照明装置501は、本発明の実施の形態1に係る電気的接続に係る接続構造体1又は81を有し、回路部538aのリジット基板、538bのリジット基板、及び2つの基板532と、フレキシブル基板539a、539b及び539cとは、電気的接続に係る接続構造体1により電気的に接続される。
すなわち、フレキシブル基板539a、539b及び539cのそれぞれは、実施の形態1で説明したフレキシブル基板6と同様の構成である。つまり、フレキシブル基板539a、539b及び539cは、それぞれ2つのスルーホール部51を有する。また、フレキシブル基板539a、539b及び539cのそれぞれは、複数のフレキシブル基板6を含む。
また、回路部538a及び538bが備えるリジット基板は、それぞれ当該リジット基板の一方に2つの中継部品用パッド部22を備える。回路部538aの2つの中継部品用パッド部22は、後述する直流変換回路535により変換された直流電力が出力されるパッドである。
2つの基板532は、それぞれ当該基板532の両側(照明装置501の長手方向の両側)に、それぞれ複数の中継部品用パッド部22を備える。例えば、基板532の回路部538a又は538bに面する側には、2つの中継部品用パッド部22が形成される。基板532の他方の基板532に面する側には、3つの中継部品用パッド部22が形成される。また、2つの基板532が備える複数の中継部品用パッド部22は、複数の固体発光素子121に供給される直流電力、つまり直流変換回路535により変換された直流電力が入力される中継部品用パッド部22を含む。
また、各中継部品用パッド部22上に中継部品5が実装される。各中継部品5の尖塔部41がフレキシブル基板539a、539b及び539cのスルーホール部51のいずれかに挿入された状態で、半田付けにより接合される。
電気的接続に係る接続構造体1を用いることにより、回路部538aのリジット基板、538bのリジット基板、及び2つの基板532と、フレキシブル基板539a、539b及び539cと脱離のリスクが非常に少なくなるので、故障の可能性を大幅に低減することができる。
なお、フレキシブル基板539a、539b及び539cの代わりに、図8に示すような中継基板83を用いてもよい。また、実施の形態2で説明した電気ケーブル93を用いてもよい。
また、上述したように、基板532は、固体発光素子531から発生した熱を筐体部502にすばやく拡散するために、熱伝導性の高い材料により構成される。よって、スポット半田法によりフレキシブル基板539a、539b及び539cを基板532に直接取り付けることが困難である。一方、実施の形態1に係る電気的接続に係る接続構造体1又は81を照明装置501に適用することで、回路部538aのリジット基板、538bのリジット基板、及び2つの基板532と、フレキシブル基板539a、539b及び539cとを確実に接続することができる。すなわち、電気的接続に係る接続構造体1又は81を照明装置501に適用することは、非常に効果的である。
ここで、固体発光素子531は、照明装置用途としてはハイパワー系の素子を使用することが好ましく、前述のようにLED(ハイパワー発光ダイオード)を使用している。LEDは、消費電力が大きく、その分、熱として放出されるエネルギーも大きい。この熱が、LEDの近傍に蓄積すると、LEDの光度低下、及び寿命特性の劣化等を招く。したがって、この熱を適切に処理することが肝要である。
このようなことを鑑み、LEDは表面実装型のものを使用する。表面実装型のLEDは、自身の電極面積が大きく、故に基板532に接触する面積が大きくなる。そのため、LEDで発生した熱を効率的に基板532に拡散させることができる。ただし、基板532が熱伝導性の良い材料で形成されてなければ、やはりLEDの近傍に熱が蓄積してしまう。そこで、照明装置501では基板532の材料としてアルミニウムを採用している。さらには、筐体部502もアルミニウムで形成している。アルミニウムは、熱伝導性がよく、そのためLEDで発生した熱を、基板532を介して筐体部502から大気中に効率的に放熱することができる。
ここで、筐体部502と基板532とは、互いに接触させることが肝要である。なぜならば、筐体部502と基板532との間に、空気が入ることにより、筐体部502から基板532への熱伝導が阻害され、熱伝導が阻害されることにより効率的な熱処理ができなくなるためである。すなわち、筐体部502と基板532とを同じ材質により構成することにより、筐体部502と基板532との密着性を高めることが好ましい。さらに、プレス加工を行い、筐体部502と基板532との密着性をより高めることが好ましい。
上記プレス加工を行う際には、筐体部502と基板532との間に、接着性を有する材料(例えば、接着剤又は基材なしの両面テープなど)(不図示)を挟み込み、両者の密着性を高めることが好ましい。
なお、両面テープを使用する場合には、基材を含まないものを選択することが肝要である。それは、基材は熱伝導率が低いので、基板532から筐体部502への熱伝導が阻害されるためである。
また、複数の固体発光素子531が配置される基板532は、2つに分割している。これにより、筐体部502と基板532との線膨張係数が異なる場合において、照明装置501の温度が上昇した際に、筐体部502と基板532との密着性が悪化することを防ぐことができる。基板532を分割することにより、基板532の1枚あたりの長手方向の長さが短くなる。これにより、基板532の1枚あたりの膨張量が小さくなる。よって、接着性を有する材料で筐体部502と基板532との膨張の違いを吸収しやすくなるので、筐体部502と基板532との密着性を維持しやすくなる。この基板532を分割する手法は、特に照明装置501の長手方向の長さが長い場合に有効である。
また、上記説明において、筐体部502と保護用透光板533とを一体的に組み合わせることで、照明装置501の断面が略四角形状となる例について述べたが、照明装置501の断面形状は、これに限定されるものではない。例えば、筐体部502と保護用透光板533とは、それぞれ略ハーフパイプ形状であり、筐体部502と保護用透光板533とを一体的に組み合わせることで、照明装置501の断面が円筒形状となってもよい。
また、上記説明において、複数の固体発光素子531は、2つの基板532上に形成されているが、1つの基板532上に形成されてもよい。また、複数の固体発光素子531は、3以上の基板532に分割して配置してもよい。
また、上記説明において、照明装置501は、2つの回路部538a及び539bを備えるが、入力回路534と、直流変換回路535と、調整回路536と、保護回路537とを備える1つの回路部を備えてもよい。また、3以上の回路部に分割して配置してもよい。すなわち、3以上のリジット基板に分割して配置してもよい。
以下、図29を用いて、照明装置501の回路構成を説明する。図29は、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の回路構成を示す図である。
入力回路534は、固定抵抗等により構成される。なお、入力回路534は、抵抗成分を有するものであればよく、例えば、サーミスタでもよい。入力回路534の抵抗値は、1kΩ〜100kΩ程度が望ましい。入力回路534は、端子ピン504aと端子ピン504bとの間に接続される。なお、入力回路534は、端子ピン504cと端子ピン504dとの間に接続されてもよい。さらに、端子ピン504aと端子ピン504bとの間に接続される入力回路と、端子ピン504cと端子ピン504dとの間に接続される入力回路との2つの入力回路が形成されてもよい。
ここで、インバータ方式の蛍光ランプ用の支持具の中には、端子ピン504aと端子ピン504bとの間の導通をチェックするタイプのものがある。蛍光ランプの端子ピン504aと端子ピン504bとの間には、ヒータが設けられている。インバータ方式の蛍光ランプ用の支持具は、このヒータが正常か否かを確かめるため、導通チェックを行う。この導通チェックをパスしなかった場合、インバータ方式の蛍光ランプ用の支持具は、蛍光ランプに電力を供給しない等の処理を行う。
この導通チェックへの対応として、入力回路534を設ける。入力回路534を設けることにより、インバータ方式の蛍光ランプ用の支持具による導通チェックをパスすることができる。これにより、照明装置501は、導通をチェックするタイプの蛍光ランプランプ用の支持具においても点灯することが可能となる。すなわち、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、導通をチェックするタイプの蛍光ランプランプ用の支持具に使用することができる。
直流変換回路535は、端子ピン504から供給された交流電力を全波整流し、直流電力に変換する。固体発光素子531は直流駆動素子であるために、交流電力を直流電力に変換することが必要となる。直流変換回路535は、ダイオードブリッジ回路555及び556を備える。ダイオードブリッジ回路555及び556は、交流電力を直流電力に変換する。ダイオードブリッジ回路555及び556は、全波整流機能を有する、いわゆる全波整流回路である。
ダイオードブリッジ回路555は、端子ピン504aと端子ピン504cの間に接続される。すなわち、端子ピン504a及び端子ピン504bは、ダイオードブリッジ回路555の入力端子に接続される。ダイオードブリッジ回路555は、端子ピン504aと端子ピン504cとに外部から供給された交流電力を直流電力に変換し、複数の固体発光素子531に供給する。
ダイオードブリッジ回路556は、端子ピン504bと端子ピン504dとの間に接続される。すなわち、端子ピン504b及び端子ピン504dは、ダイオードブリッジ回路556の入力端子に接続される。ダイオードブリッジ回路556は、端子ピン504bと端子ピン504dとに外部から供給された交流電力を直流電力に変換し、複数の固体発光素子531に供給する。
端子557及び端子558は、直流変換回路535の出力端子であって、ダイオードブリッジ回路555及び556の出力が並列に接続される。
ダイオードブリッジ回路555は、ダイオードD1、D2、D3及びD4を備える。ダイオードD1のアノードは端子ピン504aに接続され、カソードは端子557に接続される。ダイオードD2のアノードは端子558に接続され、カソードは端子ピン504aに接続される。ダイオードD3のアノードは端子ピン504cに接続され、カソードは端子557に接続される。ダイオードD4のアノードは端子558に接続され、カソードは端子ピン504cに接続される。
ダイオードブリッジ回路556は、ダイオードD5、D6、D7及びD8を備える。ダイオードD5のアノードは端子ピン504bに接続され、カソードは端子557に接続される。ダイオードD6のアノードは端子558に接続され、カソードは端子ピン504bに接続される。ダイオードD7のアノードは端子ピン504dに接続され、カソードは端子557に接続される。ダイオードD8のアノードは端子558に接続され、カソードは端子ピン504dに接続される。
基板532には、固体発光素子531が実装されている(不図示)。直列に接続された固体発光素子531のアノードは、調整回路536を介して、端子557に接続される。直列に接続された固体発光素子531のカソードは、端子558に接続される。
調整回路536は、可変抵抗素子(不図示)を含む。調整回路536は、固体発光素子531の順電圧(Vf)のばらつきを吸収するための回路である。具体的には、固体発光素子531の順電圧(Vf)には、固体発光素子531の製造時などにおいて、不可避的なばらつきが生じてしまう。そのため、固体発光素子531の順電圧(Vf)の総和(ΣVf)が変動してしまう。故に、総和(ΣVf)と直流変換回路535から供給される電圧(V)とのバランスが崩れてしまう。このことを回避するために、調整回路536により補正を行う。調整回路536は、端子557と、直列に接続された固体発光素子531のアノードとの間に接続される。
保護回路537は、万が一の擾乱により照明装置501の外部から瞬間的な高電圧が印加された際の保護回路である。保護回路537は、コンデンサー素子(不図示)を含む回路により構成される。保護回路537は、固体発光素子531を保護する目的で備えられている。保護回路537は、直列に接続された固体発光素子531のアノードとカソードとの間に並列に接続される。
なお、端子557及び端子558と、基板532との接続は、直接的な接続であってもよいし、調整回路536等を介した、実質的な接続であってもよい。すなわち、ダイオードブリッジ回路555及び556の出力と、基板532とは、直接接続されてもよいし、抵抗及びスイッチ等を介して接続されてもよい。
また、上記説明において、回路部538aが、入力回路534、直流変換回路535、及び調整回路536を備え、回路部538bが、保護回路537を備えるとしたが、入力回路534、直流変換回路535、調整回路536、及び保護回路537のそれぞれは、回路部538a又は538bのいずれに含まれてもよい。また、ダイオードブリッジ回路555と556とを異なる回路部538a又は538bに実装してもよい。
次に、照明装置501の動作を説明する。
図30は、図28に示すように照明装置501を支持具541に取り付けた状態の回路構成の一例を示す図である。
支持具541は、プラグ561と、スイッチ562と、安定器563と、グローランプ564とを備える。支持具541は、端子ピン504a及び端子ピン504cを介して照明装置501に交流電力を供給する。
プラグ561は、例えば、商用電力が供給されるプラグである。スイッチ562は、プラグ561と安定器563との間に直列に接続される。
安定器563は、グローランプ564の動作により高電圧パルスを生成する。安定器563は、スイッチ562と端子ピン504cとの間に直列に接続される。
グローランプ564は、端子ピン504bと端子ピン504dとの間に接続される。
プラグ561に商用電力が供給された状態で、スイッチ562をオンにすると、安定器563を介して端子ピン504aと端子ピン504cとの間に交流電圧が印加される。
まず、端子ピン504aに+電圧、端子ピン504cに−電圧が印加された場合の動作を説明する。端子ピン504aに+電圧、端子ピン504cに−電圧が印加された場合、電流は端子ピン504aからダイオードD1、端子557、調整回路536、基板532、端子558、及びダイオードD4を順次流れ、端子ピン504cに流入する。このとき、ダイオードブリッジ回路556により、端子ピン504b、グローランプ564、及び端子ピン504dの経路に電流は流れない。よって、グローランプ564は動作しない。
通常の蛍光ランプを使用した際には、グローランプ564の動作により安定器563は高電圧パルスを生成する。一方、本発明の実施の形態6に係る照明装置501を使用した場合にはグローランプ564は動作しないため、安定器563は高電圧パルスを生成しない。安定器563が高電圧パルスを生成した場合、固体発光素子531にダメージを与えてしまう。本発明の実施の形態6に係る照明装置501を使用した場合においては、安定器563は高電圧パルスを発生しないので、固体発光素子531を安定に駆動することができる。
次に、端子ピン504aに−電圧、端子ピン504cに+電圧が印加された場合の動作を説明する。端子ピン504aに−電圧、端子ピン504cに+電圧が印加された場合、電流は端子ピン504cからダイオードD3、端子557、調整回路536、基板532、端子558、及びダイオードD2を順次流れ、端子ピン504aに流入する。このとき、ダイオードブリッジ回路556により、端子ピン504b、グローランプ564、及び端子ピン504dの経路に電流は流れない。よって、グローランプ564は動作しない。
以上より、図30に示すように照明装置501が支持具541に取り付けられた際、グローランプ564が動作しないので、照明装置501は、安定に動作することができる。なお、照明装置501は、端子ピン504bと端子ピン504dとの間にプラグ561、スイッチ562、及び安定器563が接続され、端子ピン504aと端子ピン504cとの間にグローランプ564が接続された場合にも、前述と同様に、安定に動作することができる。
次に、照明装置501が支持具541に取り付けられた状態で、端子ピン504aと端子ピン504dとに交流電圧が印加される場合について説明する。
図31は、照明装置501を支持具541に取り付けた状態の回路構成の一例を示す図である。なお、図30と同様の要素には、同一の符号を付している。
支持具541は、端子ピン504a及び端子ピン504dを介して照明装置501に交流電力を供給する。
プラグ561に商用電力が供給された状態で、スイッチ562をオンにすると、安定器563を介して端子ピン504aと端子ピン504dとの間に交流電圧が印加される。
まず、端子ピン504aに+電圧、端子ピン504dに−電圧が印加された場合の動作を説明する。端子ピン504aに+電圧、端子ピン504dに−電圧が印加された場合、電流は端子ピン504aからダイオードD1、端子557、調整回路536、基板532、端子558、及びダイオードD8を順次流れ、端子ピン504dに流入する。このとき、ダイオードブリッジ回路555及び556により、端子ピン504c、グローランプ564、及び端子ピン504bの経路に電流は流れない。よって、グローランプ564は動作しない。
次に、端子ピン504aに−電圧、端子ピン504dに+電圧が印加された場合の動作を説明する。端子ピン504aに−電圧、端子ピン504dに+電圧が印加された場合、電流は端子ピン504dからダイオードD7、端子557、調整回路536、基板532、端子558、及びダイオードD2を順次流れ、端子ピン504aに流入する。このとき、ダイオードブリッジ回路555及び556により、端子ピン504b、グローランプ564、及び端子ピン504cの経路に電流は流れない。よって、グローランプ564は動作しない。よって、固体発光素子531を安定動作することができる。
以上より、図31に示すように照明装置501が支持具541に取り付けられた際、グローランプ564が動作しないので、照明装置501は、安定に動作することができる。なお、照明装置501は、端子ピン504bと端子ピン504cとの間にプラグ561、スイッチ562、及び安定器563が接続され、端子ピン504aと端子ピン504dとの間にグローランプ564が接続された場合にも、前述と同様に、安定に動作することができる。
以上により、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、一般的な蛍光ランプ用の支持具541になんら改造を加えることなく使用することができる。よって、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、支持具541を改造することなく使用できるため、付帯的なコストを発生させず、簡便に固体発光素子531として使用したLEDの特徴を生かした照明を利用することができる。
なお、上記説明において、支持具541は、グローランプ点灯方式の支持具であったが、照明装置501は、インバータ方式及びラピッドスタート方式の支持具にも、照明装置501、及びそれら支持具共に、なんら改造を加えることなく使用することができる。これは、上述したように、本発明の実施の形態6に係る照明装置501では、一方の端子の組(例えば図29における端子ピン504b及び端子ピン504d)に、他方の端子の組(端子ピン504a及び端子ピン504c)に供給された電力による影響が現れないためである。
ここで、従来の固体発光素子を用いた照明装置では、グローランプ点灯方式の支持具に対しては、グローランプを支持具より物理的に外すことで、安定に動作させることができる。しかしながら、従来の固体発光素子を用いた照明装置では、グローランプを物理的に外す必要があり、手間がかかるという問題がある。また、インバータ方式及びラピッドスタート方式の支持具に対しては、蛍光ランプを駆動するための回路が内蔵されており、グローランプのように、容易に取り外しを行うことができない。インバータ方式及びラピッドスタート方式の支持具に対して従来の固体発光素子を用いた照明装置を使用した場合、高電圧等が照明装置に印加され、固体発光素子等の劣化又は破損を引き起こす。すなわち、従来の固体発光素子を用いた照明装置は、インバータ方式及びラピッドスタート方式の支持具に対して、使用することができない。
一方、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、一方の端子の組に、他方の端子の組に供給された電力による影響が現れないので、グローランプ点灯方式の支持具のみならず、インバータ方式やラピッドスタート方式の支持具においても従来の蛍光ランプに置き換えて使用することができる。
なお、インバータ方式の支持具を使用し照明装置501を動作させる場合、ダイオードブリッジ回路555及び556に含まれるダイオードD1〜D8には、高速応答タイプのダイオードを使用することが好ましい。これにより、ダイオードブリッジ回路555及び556は、インバータ方式の支持具に使用されているインバータから出力される電圧の周波数に追従して動作することができる。
具体的には、インバータ方式の支持具に用いられるインバータは、可聴領域(20kHz以下)の周波数を避けるため、かつ効率等を考慮して100kHz以上の周波数を発生するように設計される。よって、ダイオードブリッジ回路555及び556に含まれるダイオードD1〜D8は、少なくとも20kHz以上、好ましくは200kHz以上の周波数に追従し動作できるダイオードを使用することが好ましい。このようにすることにより、直流変換回路535は、高周波の交流電力を直流電力に効率よく変換することができる。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、入力回路534を備えることにより、導通チェックを行うタイプの蛍光ランプ用の支持具にも使用することができる。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、固体発光素子531に消費電力が1W以上のLEDを用いる。これにより、照明装置として実用的な照度を得ることができる。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、例えば、特開2006−100036号公報に記載の照明装置等の従来の照明装置に用いられている定電流制御回路及び点灯制御回路を使用しない。これにより、構造を簡略化でき、かつコスト低下を実現することができる。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、全波整流回路を用いて交流電力を直流電力に変換することにより、ロスの少ない変換を行うことができる。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、ダイオードブリッジ回路555及び556を備えることにより、端子ピン504a、端子ピン504b、端子ピン504c及び端子ピン504dのうち何れか2つに交流電力が供給された場合に、交流電力が供給されていない2つの端子ピンに供給された交流電力の影響があらわれない。すなわち、照明装置501が支持具541にどの向きで接続された場合にも正常に動作することができる。さらに、照明装置501は、端子ピン504aと端子ピン504bとに交流電力が供給される場合、及び端子ピン504cと端子ピン504dとに交流電力が供給される場合にも正常に動作することができる。
また、固体発光素子531として使用したLEDは、発光強度が初期時の70%以下に低下するまでの時間が40000時間以上と非常に長い。本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、光源に固体発光素子531を用いることにより、蛍光ランプ581の寿命(6000時間)に比べ、長寿命を実現することができる。照明装置501は、光源に固体発光素子531を用いることにより、蛍光ランプ581(寿命6000時間)と比較して長寿命を実現することができる。そのため、本発明に係る照明装置501を用いることで、照明装置を取り替える頻度を減少させることができる。特に、工場などの産業利用施設においては、支持具541が取り付けられている天井は、概して非常に高い。すなわち、照明装置の交換に係るコスト、及び作業危険性が高い。すなわち、工場などの産業利用施設において、本発明に係る照明装置501を用いることにより、照明装置の交換に係るコスト、及び作業に伴う危険性を低減することができる。
また、固体発光素子531は水銀を使用しないので、水銀が含まれる蛍光ランプ581と比較して、環境負荷の小さい照明装置501を提供することができる。なぜなら、水銀は胎児、及び成人の神経系に重大な悪影響を及ぼすためである。
また、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の寸法は、一般的な直管蛍光ランプと同寸法であるので、一般的な蛍光ランプ用の支持具に取り付けることができる。よって、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、特別な、支持具を必要としないため実用性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の性能と、蛍光ランプの性能とを比較した結果を示す。
図32は、蛍光ランプ581の性能の測定状況を模式的に示す図である。図33は、本発明の実施の形態6に係る照明装置501の性能の測定状況を模式的に示す図である。
図32に示すように蛍光ランプ581を支持具541に取り付けて、蛍光ランプ581の直下の点P1〜P4における照度を測定した。同様に、図33に示すように照明装置501を支持具541に取り付けて、照明装置501の直下の点P1〜P4における照度を測定した。ここで、蛍光ランプ581及び照明装置501から点P1までの距離は50cmであり、蛍光ランプ581及び照明装置501から点P2までの距離は100cmであり、蛍光ランプ581及び照明装置501から点P3までの距離は150cmであり、蛍光ランプ581及び照明装置501から点P4までの距離は200cmである。また、蛍光ランプ581及び照明装置501を取り付けた支持具541は同一性能であり、蛍光ランプ581と照明装置501との消費電力は同一である。
表1は、図32及び図33に示す状態で、点P1〜P4の各点における、照明装置501及び蛍光ランプ581から発せられる光の照度を測定した結果を示す表である。なお、表1における各値は、点P4における蛍光ランプ581により発せられる光の照度を1.0として規格化したものである。
表1に示すように、本発明の実施の形態6に係る照明装置501では、200cm離れた点P4で蛍光ランプ581の1.6倍の照度を得ることができる。また、点P1〜P3においても、蛍光ランプ581の1.7〜3、4倍程度の照度を得られることが分かる。このように、本発明の実施の形態6に係る照明装置501は、蛍光ランプ581の代替光源として十分な照度を得ることができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る照明装置は、筐体部に中空構造を形成することにより、周辺の空気の対流を利用し、効率的に照明装置内部で発生した熱を空気中に放出することができる。これにより、本発明の実施の形態7に係る照明装置は、放熱効果を向上することができる。
上述したように、本発明の実施の形態6に係る照明装置501では、十分な照度を得るために、固体発光素子531としてLEDを使用している。LEDは、投入エネルギーの大多数(約80%)がロスとして熱になる。LEDは、消費電力が大きく、その分、熱として放出されるエネルギーも大きい。この熱が、LEDの近傍に蓄積すると、LEDの光度低下、及び寿命特性の劣化等を招く。最悪の場合、LEDの不点灯が発生する。したがって、この熱を適切に処理することが肝要である。
まず、本発明の実施の形態7に係る照明装置の構成を説明する。
図34は、本発明の実施の形態7に係る照明装置601の外観を示す斜視図である。図35は、本発明の実施の形態7に係る照明装置601の側面(図34に示すL方向)からの平面図である。図36は、本発明の実施の形態7に係る照明装置601の上面(図35に示すM方向)からの平面図である。図37は、図35に示すN1−N2面における照明装置601の構造を示す断面図である。図38は、照明装置601を直管蛍光ランプ用の支持具541に取り付けた状態を示す図である。図39は、図38に示すO1−O2面における照明装置601及び支持具541の構造を示す断面図である。
なお、図25〜図29と同様の要素には同一の符号を付しており、説明は省略する。
実施の形態7に係る照明装置601が、上述した実施の形態6に係る照明装置501と異なる点は、筐体部502が筐体部602に変更されている点のみである。
筐体部602の上側(図37における上側)における断面は、略半円形状である。筐体部602には、複数の流入口603と、流出口611と、中空部631とが形成される。
筐体部602は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。例えば、筐体部602は、アルミニウムで構成される。筐体部602にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であること、及び放熱特性が高いことなどが挙げられる。例えば、筐体部602は、引き抜き法を活用し作成することができる。
また、筐体部602は、アルミニウムで構成した後、アルマイト処理することが望ましい。アルマイト処理することによって、表面積が増加し、放熱効果が高まる。
図38に示すように、照明装置601は地表方向(ここで地表方向とは、室内であれば床面方向、野外であれば地面方向を意味する。)に向けて発光が行われるように支持具541に取り付けられる。
中空部631は、筐体部602の長手方向に柱状に形成される中空構造である。中空部631の柱状の断面は、略半円形状である。中空部631は、筐体部602の内部の、基板532が配置される位置に対して、固体発光素子531の発光方向とは逆側に形成される。すなわち、中空部631は、照明装置601の発光方向(図38の下方向)を下側とした場合の、固体発光素子531及び基板532の上側に形成される。中空部631の下側の面は平面状であり、中空部631の上側の面は、略半円形状の断面形状である。また、中空部631は、流入口603及び流出口611を介して、照明装置601の外部とつながっている。
流出口611は、中空部631の上側の面から、筐体部602の上面の外部に至る貫通孔である。流出口611は、中空部631の内部からの流体(空気)の出口となる孔である。流出口611は、筐体部602の長手方向に沿って形成される。流出口611は、筐体部602の固体発光素子531の発光方向とは逆側の位置に形成される。また、照明装置601は、流出口611が支持具541に対向するように、支持具541に取り付けられる。すなわち、照明装置601が支持具541に取り付けられた状態において、流出口611は、略上空方向(好ましくは上空方向に対して0度から30度の範囲内。また、上空方向とは、室内であれば天井方向、野外であれば天空方向を意味する。)に向いた状態となる。
流入口603は、中空部631から筐体部602の両側面の外部に至る貫通孔である。流入口603は、中空部631の内部への流体(空気)の入口となる孔である。複数の流入口603は、筐体部602の固体発光素子531の発光方向に対し両側面に形成される。筐体部602の各側面に形成される複数の流入口603は、筐体部602の長手方向に直列状に等間隔で配置される。また、流入口603の筐体部602の側表面における位置は、中空部631より下側(固体発光素子531の発光方向)に形成される。すなわち、流入口603の筐体部602の表面から中空部631に至る向きは、斜め上空方向(図39における斜め上方向)である。例えば、流入口603の中空部631側から筐体部602の表面側に至る向きと、流出口611の筐体部602の表面側から中空部631側に至る向きとの角度は45度である。
なお、中空部631の断面形状は、略半円形状に限定されず、その一部の形状が流線型であればよい。好ましくは、中空部631の固体発光素子531の発光方向と反対側の面(図37の上方向)の形状が流線型であればよい。ここで言う流線型とは、空気がその表面をスムーズに移動可能な形状を指す。中空部631の固体発光素子531の発光方向と反対側の面の形状を流線型にすることにより、中空部631において空気がスムーズに流れるので、筐体部602から空気中への放熱を効率的に行うことができる。
また、中空部631の下面の形状は、平面状でなくてもよい。なお、中空部631の下面の形状を平面状にすることにより、固体発光素子531から中空部631までの距離を均一にすることができる。また、中空部631を容易に形成することができる。
また、筐体部602には、1つの中空部631が形成されてもよいし、筐体部602の長手方向に列状に配置される複数の中空部631が形成されてもよい。
また、筐体部602の外側の形状は、上述した断面形状に限定されるものではない。例えば、筐体部602と保護用透光板533とは、それぞれ略ハーフパイプ形状であり、筐体部602と保護用透光板533とを一体的に組み合わせることで、断面が円筒形状となってもよい。また、筐体部602の上側の表面形状は、中空部631の上面の形状と同様であるが、異なる形状であってもよい。
なお、筐体部602の上側の表面形状は、流線型であることが好ましい。これにより、筐体部602の上面において空気がスムーズに流れるので、筐体部602から空気中への放熱を効率的に行うことができる。
また、流入口603及び流出口611の形状、及び個数は一例であって、これに限定されるものではない。加工コスト等を考慮し、流入口603及び流出口611の形状、及び個数任意に決定してよい。
例えば、流出口611は、1つの間隙が筐体部602の長手方向に沿って形成されるとしたが、複数の間隙が筐体部602の長手方向に列状に配置されてもよい。また、流出口611の形状は、矩形に限定されるものではなく、円形及び楕円形等の任意の形状でよい。
また、流入口603の個数は、任意の数でよい。例えば、流出口611と同形状の流入口603が筐体部602の両側面にそれぞれ形成されてもよい。また、流入口603の形状は、楕円に限定されるものではなく、矩形等の任意の形状でよい。
また、流入口603の中空部631側から筐体部602の表面側に至る向きと、流出口611の筐体部602の表面側から中空部631側に至る向きとの角度は45度に限定されるものではない。流入口603の中空部631側から筐体部602の表面側に至る向きと、流出口611の筐体部602の表面側から中空部631側に至る向きとの角度は0度から90度の範囲で照明装置601の形状等に合わせて任意に設定されてよい。これにより、照明装置周辺の暖められた空気を、流入口603から中空部631に効率的に流入することができる。また、中空部631に流入された空気を効率的に外部に流出することができる。
次に、照明装置601の放熱機構について説明する。
図40は、照明装置601に通電した状態における、空気の流れを示す図である。なお、図40は、図39と同様に、図38に示すO1−O2面における照明装置601及び支持具541の構造を示す断面図である。
固体発光素子531で発生した熱は、基板532を介して、筐体部602全体に拡散される。筐体部602に拡散された熱は、対流を効果的に利用して空気中に放出される。
具体的には、まず、筐体部602の周辺の空気は、筐体部602に拡散された熱により熱せられ上昇気流となる。この上昇気流となった空気の一部は、筐体部602の外部表面641を流れる。この空気は、外部表面641の熱を受取りながら上昇する。すなわち、外部表面641から空気への熱の放出が行われる。
また、上昇気流となった空気の別の一部は、流入口603から中空部631に流入する。この流入した空気は筐体部602の内部表面642の熱を受取りながら、流出口611より再び中空部631の外部に流出する。この空気は、内部表面642の熱を受取りながら上昇する。すなわち、内部表面642から空気への熱の放出が行われる。この際、中空部631の形状の一部が流線型であることにより、よりスムーズに空気が流れる。そのため、熱の放出に係る効率がさらに高まる。
このように、本発明の実施の形態7に係る照明装置601は、空気を熱することによる上昇気流、すなわち対流の効果を効率的に利用することができる。また、照明装置601は、外部表面641のみならず、内部表面642からも放熱できる。すなわち、照明装置601は、広い面積で放熱を行えるため、固体発光素子531で発生され筐体部602全体に拡散された熱を効果的に空気中へ放出できる。
ここで、流入口603と、固体発光素子531とは、可能な範囲内で近接した位置に配置することが望ましい(好ましくは、直線距離で20mm以下)。例えば、流入口603と固体発光素子531との距離が、流出口611と固体発光素子531との距離より近くなるように、流入口603が形成される。これは、固体発光素子531で発生した熱を、筐体部602全体に拡散しているものの若干の温度勾配は当然あり、それ故固体発光素子531近傍は高温となるためである。流入口603と固体発光素子531とを近接配置することにより、筐体部602の高温となる部分からの空気への熱の放出を促進することが可能となる。
なお、照明装置601を、地表方向以外に向けて発光が行われるように支持具541に取り付けた場合においても、空気を熱することによる上昇気流は当然に発生し、当該取り付け状態に対応した放熱が行われることは言うまでもない。
ここで、従来の放熱効果を向上させる技術として特開2001−305970号公報に記載されている技術がある。特開2001−305970号公報には、空気の流れ(対流)を発生すべく対流穴を有する発光ダイオードを使用した広告器が開示されている。これは、該広告器の上部と下部とに孔を設けることにより対流を発生させ、もって発光ダイオードで発生する熱を取り去ろうとするものである。
しかしながら、該広告器においては、対流する空気を直接発光ダイオードに触れさせることにより、熱を空気に放出させようとするものであるが、開示されている方法では、対流が実際に発生するか否かに疑問が残る。また対流が発生したとしても、発光ダイオード表面は十分な面積は無く、よって効率よい空気への熱放出が行われる保証はない。さらには、発光ダイオードが取り付けられる基板についても、プラスチック又はガラスとされている。これらの材料は熱伝導率が低く、発光ダイオードで生じた熱を拡散することはできない。すなわち、基板を介した放熱も期待できないものと思われる。
以下、本発明の実施の形態7に係る照明装置601の放熱性能と、従来の照明装置の放熱性能とを比較した結果を示す。一例として、上述した実施の形態6に係る照明装置501と、照明装置501に放熱フィンを取り付けた照明装置501と、実施の形態7に係る照明装置601との放熱性能を比較する。
図41は、照明装置501に放熱フィンを取り付けた照明装置701の側面からの平面図である。図42は、図41に示すP1−P2面における照明装置701の構造を示す断面図である。
図41及び図42に示すように、照明装置701は、筐体部502の上方(発光方向を下方向とした場合の上方)に形成される放熱フィン702を備える。放熱フィン702は、複数の凹凸を有する断面形状を有する。放熱フィン702は、複数の凹凸を有することで、表面積が増加する。これにより、空気中への放熱効果を向上させることができる。
表2は、実施の形態6に係る照明装置501と、放熱フィン702を備える照明装置701と、実施の形態7に係る照明装置601との放熱性能の比較結果を示す表である。なお、表2に示す温度低下量は、コンピュータシミュレーションソフトにより、算出した値である。また、照明装置501、照明装置701及び照明装置601に与えられる熱量は、一定である。また、表2に示す温度低下量は、照明装置501における最高温度点の温度を基準温度としている。そして、表2に示す温度低下量は、照明装置701及び照明装置601における最高温度点の温度が基準温度に対して何度低くなったかを示している。
表2に示すように、照明装置601は、照明装置501及び照明装置701に対して、大きな温度の低下を実現することができる。また、発明者らは、実際の装置を用いた実験においても、同様の温度低下が現れることを確認している。
したがって、本発明の実施の形態7に係る照明装置601は大きな放熱効果が得られることが明確となった。すなわち、本発明の実施の形態7に係る照明装置601は固体発光素子531の特性をフルに発揮できるものであるといえる。
なお、本発明の照明装置601は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変形して実施することができる。
例えば、上記説明において、照明装置501及び照明装置601を一般の蛍光ランプ用の支持具に適用できるタイプとしたが、専用の支持具を使用するタイプ、又は支持具を使用せず直接商用電力の供給を受け動作するタイプとして実現してもよい。
また、固体発光素子531としてエレクトロルミネッセンスを使用してもよい。エレクトロルミネッセンスは、直流駆動素子であり本発明を適用することができる。エレクトロルミネッセンスは、発光ダイオードと同様に水銀レスであり、注目される光源の1つである。
また、筐体部602及び保護用透光板533を円環状に形成することにより、照明装置601を環形蛍光ランプの代替光源とすることもできる。
また、筐体部602を樹脂コート(不図示)する、又は筐体部602に樹脂板(不図示)を貼り付けてもよい。このようにすることにより、万が一の大災害(大地震など)により、照明装置601が落下したとしても、前述の樹脂コート(不図示)、又は樹脂板(不図示)の緩衝作用により、照明装置601の周囲にいる人体、及び物体への被害を最小限に抑えることが可能となる。
なお、樹脂コート(不図示)、又は樹脂版(不図示)の貼り付けにより放熱の効果が減少するが、その状態においても照明装置701より5〜10度程度、温度が低下することが確認されている。