JP4104868B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産業用や民生用の電子機器に直流安定化電圧を供給するスイッチング電源装置に関する。本発明は、特に、過負荷状態において、スイッチング電源装置自身や、スイッチング電源装置の入力側や出力側に接続された機器に過大な電流が流れないように防止するスイッチング電源装置の過電流保護回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の低価格化・小型化・高性能化・省エネルギー化に伴い、これらの電子機器に用いられるスイッチング電源装置としては、出力の安定性が高く、より小型で高効率のものが強く求められている。また同時に、スイッチング電源装置としては安全性の高い装置が電子機器分野において求められている。このような要求に応じるスイッチング電源装置の過電流保護回路としては、負荷となる電子回路に異常が発生し、その入力インピーダンスが低くなった場合であっても、負荷の電子回路を流れる電流を適切に制限して、その電子回路を安全な状態に保つ働きを有する必要がある。
【0003】
以下、従来のスイッチング電源装置の過電流保護回路について添付の図12を用いて説明する。図12は従来の降圧型のスイッチング電源装置の過電流保護回路を示す。
図12において、入力直流電源201は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成される。この入力直流電源201は入力端子202a,202bに接続されている。カレントトランス203は1次巻線203aと2次巻線203bを有し、1次巻線203aの一端が入力端子202a,202bの一方(202a)に接続されている。カレントトランスの1次巻線203aの他端にはスイッチング素子204の一端が接続されている。スイッチング素子204の他端は整流ダイオード205のカソードに接続されている。また、スイッチング素子204の他端はインダクタンス素子206の一端に接続されている。このように接続されたスイッチング素子204は、オンオフ動作が繰り返えされるよう構成されている。整流ダイオード205のアノードは、他方の入力端子202bに接続されている。
【0004】
図12に示すように、インダクタンス素子206と平滑コンデンサ207は直列に接続されて直列体が構成され、この直列体が整流ダイオード205の両端に接続されて平滑回路が構成されている。この平滑回路は、整流ダイオード205の両端に発生する矩形波電圧を平均化して直流電圧とする。
図12に示した従来のスイッチング電源装置の過電流保護回路の出力端子208a,208bからは平滑コンデンサ207による平均化された電圧が出力される。出力端子208a,208bには負荷209が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
【0005】
制御回路210は、出力端子208a,208bの電圧を検出して安定な電圧を出力するようにスイッチング素子204のオンオフ比を制御する制御信号を出力する。第1の抵抗211は、カレントトランス203の2次巻線203bに並列に接続されている。スイッチング素子204がオフの期間にカレントトランス203の2次巻線203bに励磁電流を流して、カレントトランス203の励磁エネルギーが消費される。
スイッチング素子204がオン状態の時、カレントトランス203の1次巻線203aに流れる電流は、カレントトランス203の巻数比に応じた電流に変換されて、ダイオード212を通して第2の抵抗213に流される。これにより、カレントトランス203の1次巻線203aに流れる電流に比例した電圧Vsが第2の抵抗213の両端に発生する。
【0006】
第2の抵抗213の両端に発生する電圧Vsは、予め決めた基準電源214の基準電圧とコンパレータ215において比較され、電圧Vsが基準電圧に達すると制御回路210を通してスイッチング素子204をターンオフする。即ち、図12に示したスイッチング電源装置の過電流保護回路においては、スイッチング素子204を流れる電流をリアルタイムで検出して、瞬時電流が一定値を越えないようスイッチング素子204を制御している。この過電流保護回路において、検出対象であるスイッチング素子204を流れる電流は、インダクタンス素子206を通して出力電流となるので、スイッチング素子204の制御動作は結果的に出力電流を制限する動作となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように構成されたスイッチング電源装置の過電流保護回路において、出力電流Ioutはインダクタンス素子206に流れる電流の平均値Iavである。また、スイッチング素子204を流れる電流のピーク値、即ちインダクタンス素子206を流れる電流のピーク値は、リアルタイムで制限されている。インダクタンス素子206を流れる電流の変動幅ΔIは、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの関数であり、次式(1)で与えられる。式(1)において、Dはスイッチング素子204のオンオフ比であるデューティ比であり、Tsはスイッチング周期であり、Lfはインダクタンス素子206のインダクタンス値である。
【0008】
【数1】
【0009】
従って、インダクタンス素子206を流れる電流のピーク値Ipとインダクタンス素子206に流れる電流の平均値Iavとの関係は次式(2)により示される。
【0010】
【数2】
【0011】
図13は従来の過電流保護回路の動作時の電流波形を示す図である。出力電流を一定にしても、入力電圧によってピーク電圧は異なっている。従って、従来の過電流保護回路の構成では、インダクタンス素子206を流れる電流のピーク値Ipが一定になるように制御するので、出力電圧Voutや入力電圧Vinの変動と共に出力電流Ioutが変化する特性となる。図14は従来の過電流保護回路における過電流垂下特性を示す波形図である。図14に示すように、出力電圧Voutが低下した時には、出力電流Ioutが急激に増加する。特に、インダクタンス素子206のインダクタンス値Lfが小さい場合には、インダクタンス素子206を流れる電流の変動幅ΔIが大きくなり、そのピーク値Ipと平均値Iavとの差が大きくなる。その結果、この場合には垂下特性がさらに悪化し、出力電流Ioutは増加する。このように出力電流Ioutが増加することにより、スイッチング素子204及び整流ダイオード205に流れる電流は増加する。このため、従来の過電流保護回路におけるスイッチング素子204や整流ダイオード205には、大きな破壊耐量を有する素子を用いる必要があり、回路が高価で大型になるという問題が有った。
【0012】
本発明は、上記のような従来の過電流保護回路における問題を解決するものであり、特に回路素子のインダクタンスが小さい回路において、入力電圧や出力電圧が変化した場合であっても出力電流を一定に制限し、安定して確実に過電流保護を行うことができる安全性の高いスイッチング電源装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るスイッチング電源装置は、入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力電圧(Vout)を形成する平滑回路と、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)及びスイッチング手段のオンオフ比(D)に比例する電圧とを用いて、検出されたピーク電流値を、(Vout−D×Vout)の値に比例した誤差信号により補正する。
このように構成された本発明のスイッチング電源装置は、回路素子のインダクタンスが小さい回路において、入力電圧や出力電圧が変化した場合であっても出力電流を一定に制限し、安定して確実に過電流保護を行うことができる。
また、本発明に係るスイッチング電源装置においては、誤差信号を形成するために掛け算器を用いて構成してもよい。
さらに、本発明に係るスイッチング電源装置においては、前記過電流保護手段がピーク電圧保持手段をさらに有してもよい。
【0014】
他の観点の発明に係るスイッチング電源装置は、入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記スイッチング手段が接続された1次巻線と出力端子に接続された2次巻線とを有し、巻数比がN:1である絶縁形のトランスと、
前記2次巻線に接続され、整流手段とインダクタンス素子とコンデンサとにより整流平滑して出力電圧を形成する出力電圧形成手段と、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)及びスイッチング手段のオンオフ比(D)を用いて、検出されたピーク電流値を、(Vout−D×Vout)の値に比例した誤差信号により補正する。
このように構成された本発明のスイッチング電源装置は、入力電圧および出力電圧の変化に係らず、過電流保護手段の動作時の出力電流を一定にできる。
【0015】
また、本発明のスイッチング電源装置は、誤差信号を形成するために掛け算器を用いて構成してもよい。
さらに、本発明のスイッチング電源装置は、スイッチング電源装置が絶縁型のトランスを有し、フルブリッジコンバータで構成してもよい。
また、本発明のスイッチング電源装置は、交互にオンオフを繰り返す第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを有し、第1の接続点により直列に接続された第1の直列回路と、
交互にオンオフを繰り返す第3のスイッチング手段と第4のスイッチング手段とを有し、第2の接続点により直列に接続された第2の直列回路と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に接続された1次巻線を有するトランスと、
前記トランスの1次巻線に矩形波電圧を印加する矩形波電圧印加手段と、
前記トランスの2次巻線に誘起される電圧を整流する整流手段と、
前記整流手段からの矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力する平滑回路と、
前記第1の接続点の電圧を平均化して出力電圧に比例した電圧を形成する回路と、を有するよう構成してもよい。
【0016】
また、本発明のスイッチング電源装置は、交互にオンオフを繰り返す第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを有し、第1の接続点により直列に接続された第1の直列回路と、
交互にオンオフを繰り返す第3のスイッチング手段と第4のスイッチング手段とを有し、第2の接続点により直列に接続された第2の直列回路と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に接続された1次巻線を有するトランスと、
前記トランスの1次巻線に矩形波電圧を印加する矩形波電圧印加手段と、
前記トランスの2次巻線に誘起される矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力する平滑回路と、
前記第1の接続点の電圧と前記第2の接続点の電圧とをそれぞれ平均化して出力電圧に比例した電圧を形成する平均化回路と、
前記第1のスイッチング手段又は前記第3のスイッチング手段がオン状態のとき前記入力電圧と出力電圧との差電圧を平均化することにより得られる誤差信号を形成する誤差信号形成回路と、を有するよう構成してもよい。
【0017】
また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電流を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−Vout)}の値により補正してもよい。また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電流を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−N×Vout)}の値により補正してもよい。
また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)に比例する値と、(Vin−Vout)に比例する値の両方で補正してもよい。
また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)に比例する値と、(Vin−N×Vout)に比例する値の両方で補正してもよい。
また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−Vout)}に比例する値と、(Vin−Vout)に比例する値の両方で補正してもよい。
また、本発明のスイッチング電源装置は、検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−N×Vout)}に比例する値と、(Vin−N×Vout)に比例する値の両方で補正してもよい。
【0018】
他の観点の発明に係るスイッチング電源装置は、入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記スイッチング手段がオン状態のとき入力電圧が印加されて励磁エネルギーが蓄積され、前記スイッチング手段がオフ状態のとき蓄積された励磁エネルギーを出力するインダクタンス素子と、
前記出力された励磁エネルギーを整流平滑し出力電圧(V out )を得る整流ダイオードと平滑コンデンサと、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流(Ip)を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、検出されたピーク電流(Ip)、前記出力電圧(V out )、及び前記スイッチング手段のオンオフ比(D)に対して、Kを定数として、{(1−D)×(Ip+K×Vout)}の演算を行い、その算出値を一定にするよう前記スイッチング手段のオン期間を決定するよう構成されている。
発明の新規な特徴は添付の請求の範囲に特に記載したものに他ならないが、構成及び内容の双方に関して本発明は、他の目的や特徴と合わせて図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより、より良く理解され評価されるであろう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスイッチング電源装置の好ましい実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0020】
《実施の形態1》
図1は本発明に係る実施の形態1におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
図1において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成されている。この入力直流電源1は入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランスの1次巻線3aの他端にはスイッチング素子4の一端が接続されている。スイッチング素子4の他端は、整流ダイオード5のカソードと、インダクタンス素子6の一端に接続されている。このように接続されたスイッチング素子4は、後述する制御回路10からの制御信号によりオンオフ動作が繰り返えされる。整流ダイオード5のアノードは、他方の入力端子2bに接続されている。
【0021】
図1に示すように、インダクタンス素子6と平滑コンデンサ7は直列に接続されて直列回路が構成され、この直列回路が整流ダイオード5の両端に接続されて平滑回路が構成されている。この平滑回路は、整流ダイオード5の両端に発生する矩形波電圧を平均化して直流電圧を形成する。
図1に示した実施の形態1のスイッチング電源装置の過電流保護回路の出力端子8a,8bからは平滑コンデンサ7による平均化された電圧が出力される。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
制御回路10は、出力端子8a,8bの電圧を検出して安定な電圧を出力するようにスイッチング素子4のオンオフ比を制御する制御信号を発生する。第1の抵抗11は、カレントトランスの2次巻線3bに並列に接続されており、スイッチング素子4がオフの期間にカレントトランス3の2次巻線3bに励磁電流を流して、カレントトランス3の励磁エネルギーを消費する。
【0022】
ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流する。第2の抵抗13は、カレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧をリアルタイムに発生する。
スイッチング素子4がオン状態の時、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流は、カレントトランス3の巻数比に応じた電流に変換されて、ダイオード12を通して第2の抵抗13に流される。これにより、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流に比例した電圧Vsが第2の抵抗13の両端に発生する。
第2の抵抗13の両端に発生する電圧Vsは、後述する補正電圧発生回路29からの電圧が加算されてコンパレータ15の一方の端子に入力される。コンパレータ15の他方の端子には基準電源14からの基準電圧が入力される。補正電圧発生回路29により補正された電圧が基準電圧とコンパレータ15において比較され、補正された電圧が基準電圧に達すると制御回路10を通してスイッチング素子4をターンオフする。
【0023】
次に、実施の形態1における補正電圧発生回路29の構成について説明する。補正電圧発生回路29において、第3の抵抗16と第4の抵抗17により出力電圧Voutが分割されている。また、第5の抵抗18と第6の抵抗19とコンデンサ20により、制御回路10のオンオフ信号である制御信号を平均化してオンオフ比(デューティ比)Dに比例した電圧Vdを形成している。
掛け算器21には電圧Vdと出力電圧Voutに比例した電圧Voが入力され、その積が算出され電圧Vmを出力する。
【0024】
図1に示すように、補正電圧発生回路29において、第7の抵抗22、第8の抵抗23、第9の抵抗24、第10の抵抗25、及びオペアンプ26が設けられている。第7の抵抗22は掛け算器21とオペアンプ26の入力端子との間を接続している。第9の抵抗24は電圧Voが入力される掛け算器21の入力端子とオペアンプ26の反転入力端子との間を接続している。また、第8の抵抗23はオペアンプ26の反転入力端子とオペアンプ26の出力端子との間を接続している。第10の抵抗25はオペアンプ26の入力端子とアースとの間を接続している。
【0025】
これらの抵抗22、23、24、25とオペアンプ26により、出力電圧Voutに比例する電圧Voと掛け算器21の出力Vmとの差を計算する。加算器27は、第2の抵抗13に発生する電圧Vsとオペアンプ26から出力された電圧との和を算出して、コンパレータ15へ出力する。コンパレータ15には、加算器27の出力と、基準電源14の基準電圧Vrが入力される。コンパレータ15は、電圧Vaと基準電圧Vrとを比較して、スイッチング素子4のターンオフタイミングを決定する。
【0026】
次に、上記のように構成された実施の形態1のスイッチング電源装置における過電流保護回路の動作について説明する。
制御回路10からのオンオフ信号である制御信号により、スイッチング素子4がオン状態となると、カレントトランス3の1次巻線3aとスイッチング素子4を介してインダクタンス素子6に入力電圧Vinが印加される。この時、スイッチング素子4とカレントトランス3の1次巻線に3aには、インダクタンス素子6に流れる電流と同じ電流値の電流が流れる。このとき、カレントトランス3の2次巻線3bに電圧が生じ、ダイオード12はターンオンする。この結果、カレントトランス3の2次巻線3bの電流は、ダイオード12を通して第2の抵抗13に流れる。なお、第1の抵抗11は第2の抵抗13に対して十分大きな抵抗値に設定されており、第1の抵抗11には第2の抵抗13に比して十分小さな電流しか流れないよう構成されている。
このときカレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流をIp、カレントトランス3の巻数比を1次巻線(3a):2次巻線(3b)=1:Ncとすると、第2の抵抗13(抵抗値Rs)に発生する電圧Vsは、次の式(3)により示される。
【0027】
【数3】
【0028】
式(3)において、巻数比Ncを十分に大きくし、かつ抵抗値Rsを小さく設定すると、カレントトランス3の1次巻線3aに発生する電圧は入力電圧Vinに対して十分に小さくなる。このため、インダクタンス素子6には、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差電圧(Vin−Vout)が印加される。このとき、インダクタンス素子6(インダクタンス値:Lf)を流れる電流は(Vin−Vout)/Lfの傾きで増加する。
次に、制御回路10の制御信号によりスイッチング素子4がオフ状態となると、インダクタンス素子6を流れていた電流により整流ダイオード5がオン状態となり、インダクタンス素子6には出力電圧Voutが印加される。この状態において、インダクタンス素子6を流れる電流は、Vout/Lfの傾きで減少する。この時、カレントトランス3の1次巻線3aには電流が流れず、カレントトランス3の励磁電流は第1の抵抗11を流れて、励磁エネルギーを消費し、エネルギーゼロの状態にリセットされる。スイッチング素子4のオン期間をTon、オフ期間をToffとするとインダクタンス素子6のオン期間に増加する電流量とオフ期間に減少する電流量とを等しいとすることにより、次式(4)が成立する。
【0029】
【数4】
【0030】
従って、出力電圧Voutは次式(5)のようにスイッチング素子4のオンオフ比で算出される。
【0031】
【数5】
【0032】
インダクタンス素子6を流れる電流のピーク値Ipは、前述の従来の技術の欄において説明したように、次式(6)で示される。
【0033】
【数6】
【0034】
式(6)において、インダクタンス素子6に流れる電流の平均値Iavは出力電流Ioutと等価であるので、式(6)は次の式(7)により示される。
【0035】
【数7】
【0036】
式(6)を参照すると、過電流領域においては、出力電流を一定に保つために、入力電圧Vinと出力電圧Voutの変化にしたがって、制限すべき電流のピーク値Ipを式(6)のように変化させれば良いことが分かる。
即ち、式(6)の第2項の補正関数を過電流の基準電圧に加えるか、または、実際に検出した電流波形に式(7)の第2項の値との差を取れば良いことが分かる。
図1に示した過電流保護回路における補正電圧発生回路29では、検出された出力電圧Voutに補正関数出力の差を取っている。式(6)の第2項から補正量を得るには、出力電圧Voutの検出とデューティ比Dが必要であることが理解できる。
【0037】
図1に示した補正電圧発生回路29において、出力電圧Voutは出力端子8a,8bに接続された第3の抵抗16と第4の抵抗17により分割されて検出している。デューティ比Dは制御回路10の制御信号を平均化することにより求められる。補正電圧発生回路29では、第5の抵抗18と第6の抵抗19とコンデンサ20とにより、制御回路10の制御信号を分割平均化している。式(6)の第2項に示す補正量は、デューティ比Dと出力電圧Voutとを積算し、その積算値と出力電圧Voutとの差により求められている。このため、実施の形態1における補正電圧発生回路29においては、掛け算器21により積算し、複数の抵抗22,23,24,25とオペアンプ26とによって構成される差動増幅回路によって補正量を算出する構成である。
【0038】
図2は本発明に係る実施の形態1のスイッチング電源装置の補正電圧発生回路29の過電流垂下特性を示す波形図である。図2は、入力電圧Vinと出力電圧Voutが変化し、過電流保護回路が動作したとき、出力電流が増加することなく、一定に制御されることを示している。
【0039】
図3は本発明に係る実施の形態1の別のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図3に示した過電流保護回路の構成において、前述の図1の過電流保護回路と異なる点は、ピーク保持回路28が設けられている点と、制御回路210においてピーク保持回路28の出力と補正電圧発生回路29の出力との和が一定になるよう制御されている点である。図3に示す過電流保護回路において、符号215はエラーアンプであり、210は制御回路である。この過電流保護回路においては、ピーク保持回路28の出力と補正電圧発生回路29の出力の和と、基準電源14の基準電圧とがエラーアンプ215において誤差増幅されて制御回路210に入力される。制御回路210は、その誤差増幅信号を基にしてピーク保持回路28の出力と補正電圧発生回路29の出力との和が一定になるよう制御する。図3の過電流保護回路におけるその他の構成は、図1に示した過電流保持回路の構成と同じであるためその説明は省略する。
図3において、第1の抵抗11はカレントトランスの2次巻線3bに並列に接続されており、スイッチング素子4のオフの期間にカレントトランス3の2次巻線3bに励磁電流を流して、カレントトランス3の励磁エネルギーを消費する。ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流し、第2の抵抗13はカレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧を発生する。
【0040】
図3に示すようにピーク保持回路28は、ダイオード281、コンデンサ282、抵抗283により構成されている。このように構成されたピーク保持回路28は、第2の抵抗13の後段に接続されて、カレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧のピーク電圧を保持する。ピーク保持回路28の出力は、加算器27の一方の端子に入力される。加算器27の他方の端子には補正電圧発生回路29からの電圧が入力される。図3に示した過電流保護回路においては、第2の抵抗13の両端電圧に表れたカレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧のピーク充電により得られたピーク電圧に対して補正量を加えて過電流保護の制御を行っている。このため、図3の過電流保護回路は、出力電流を確実に一定に保持することができる。
図1に示した過電流保護回路は、コンパレータ15やスイッチング素子4のターンオフ遅れ時間などで、ターンオフ信号を受けてから、実際にオフするまでにスイッチング電流が増加する。このため、図1の過電流保護回路は出力電流が多くなる。しかし、図3に示した過電流保護回路では、エラーアンプ215を用いることにより、負帰還により確実に出力電流を一定にできる。
【0041】
《実施の形態2》
次に、本発明に係る実施の形態2のスイッチング電源装置の過電流保護回路について添付の図4を参照して説明する。図4は実施の形態2のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図4において、前述の実施の形態1の過電流保護回路における部品と同じ機能、構成を示すものは同じ符号を付してその説明は省略する。なお、以下の各実施の形態の説明において、過電流保護回路における各抵抗素子は機能的に同じものには同じ符号を付し、その名称における番号は各実施の形態においてのみ統一する。
図4において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成され、入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランス3の1次巻線3aの他端には複数のスイッチング素子群36、37,38,39とトランス40で構成されたスイッチング回路31に接続されている。
【0042】
カレントトランス3の2次巻線3bには並列に第1の抵抗11が接続されており、ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流し、第2の抵抗13の両端にはカレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧が生じるよう構成されている。
スイッチング回路31には、第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37の直列回路、及び第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子39の直列回路を有している。それぞれの直列回路は、カレントトランス3の1次巻線3aを介して、入力端子2a,2bに接続されている。第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37は、交互にオンオフ動作を繰り返すよう構成されている。また、第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子39は、交互にオンオフ動作を繰り返すよう構成されている。
カレントトランス3の1次巻線3aの一端は、入力端子2aに接続されており、他端は第1のスイッチング素子36と第3のスイッチング素子38との接続点に接続されている。
【0043】
トランス40は、1次巻線40aと第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cを有している。1次巻線40aの一端は第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37の接続点に接続されており、1次巻線40aの他端は第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子39の接続点に接続されている。トランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cは直列に接続されている。
トランス40の第1の2次巻線40bの一端には第1の整流ダイオード41のアノードが接続されている。トランス40の第2の2次巻線40cの一端には第2の整流ダイオード42のアノードが接続されている。第1の整流ダイオード41と第2の整流ダイオード42のそれぞれのカソードは互いに接続されて整流回路が構成されている。
【0044】
また、トランス40の2次側には、インダクタンス素子43と平滑コンデンサ44の直列回路が設けられている。インダクタンス素子43と平滑コンデンサ44の直列回路により平滑回路が構成されている。この平滑回路の一端はトランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cとの接続点に接続されており、平滑回路の他端は第1の整流ダイオード41と第2の整流ダイオード42との接続点に接続されている。平滑コンデンサ44の両端は出力端子8a,8bに接続されている。出力端子8a,8bからは平滑コンデンサ44により平均化された電圧が出力される。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
【0045】
図4において、制御回路45はスイッチング回路31における各スイッチング素子36,37,38,39のオンオフ動作を決定する制御信号を出力する。制御回路45から出力される制御信号は、出力端子8a,8bの電圧を一定にするか、過電流のターンオフ信号に基づいてオンオフ比が決定される。
実施の形態2において、補正電圧発生回路30には第3の抵抗46、第4の抵抗47、第5の抵抗48、第1のコンデンサ49が設けられている。第3の抵抗46と第5の抵抗48の直列回路の一端は、第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37との接続点に接続されている。また、その直列回路の他端は、第2のスイッチング素子37と第4のスイッチング素子39との接続点に接続されている。第1のコンデンサ49の一端は第2のスイッチング素子37と第4のスイッチング素子39との接続点に接続されており、第1のコンデンサ49の他端は第4の抵抗47に接続されている。
【0046】
第4の抵抗47の一端は第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子39との接続点に接続されている。第4の抵抗47の他端は第3の抵抗46と第5の抵抗48との接続点に接続されている。第1のコンデンサ49は第5の抵抗48に並列に接続されている。第1のコンデンサ49の両端には、第2のスイッチング素子37と第4のスイッチング素子39のそれぞれの両端電圧を分圧して平均化した電圧が生じるよう構成されている。
また、実施の形態2における補正電圧発生回路30には、第6の抵抗50、第7の抵抗51、及び第8の抵抗52が設けられている。第6の抵抗50と第8の抵抗52の直列回路の一端は、制御回路45の第1の出力端子45aに接続されており、その直列回路の他端は第2のスイッチング素子37と第4のスイッチング素子39との接続点に接続されている。第7の抵抗51の一端は制御回路45の第2の出力端子45bに接続されており、第7の抵抗51の他端は第6の抵抗50と第8の抵抗52との接続点に接続されている。第2のコンデンサ53は第8の抵抗52に並列に接続されている。第2のコンデンサ53の両端には、制御回路45の第1の出力端子45aと第2の出力端子45bとの出力電圧が分割平均化されて、制御回路45の出力のオンオフ比Dに比例した電圧が生じる。
【0047】
掛け算器21は第1のコンデンサ49に生じる電圧Voと第2のコンデンサ53に生じる電圧Vdとの積である電圧Vmを算出する。
また、実施の形態2における補正電圧発生回路30には、前述の実施の形態1と同様に、複数の抵抗22,23,24,25とオペアンプ26が設けられており、電圧Vmと電圧Voとの差を算出する。実施の形態2においては、オペアンプ26に接続されたこれらの抵抗を第9の抵抗22、第10の抵抗23、第11の抵抗24、第12の抵抗25と称する。
加算器27は、第2の抵抗13の両端に生じた電圧Vsと補正電圧発生回路30からの電圧との和を出力する。コンパレータ15には基準電源14の基準電圧と、加算器27から出力された和電圧とが入力されて比較される。その比較により過電流状態と判断されたとき、オペレータ15は制御回路45にターンオフ信号を出力する。
【0048】
以上のように構成された、実施の形態2のスイッチング電源装置について、図4及び図5を用いてその動作を説明する。図5は実施の形態2におけるスイッチング電源装置の動作を示す波形図である。
制御回路45(図4)は、出力端子8a,8bの電圧を検出して、出力電圧が一定になるようPWM信号を出力する。この時の制御信号であるオンオフ信号は、それぞれ180度の位相差で動作し最大デューティ比は50%と設定されている。制御回路45のPWM信号は第1の駆動回路54と第2の駆動回路55に出力される。第1の駆動回路54は、入力された第1のPWM信号のオンオフのタイミングに同期して第1のスイッチング素子36をオンオフ動作するよう駆動信号を出力する。同時に、第1の駆動回路54は、第2のスイッチング素子37が第1のPWM信号と相補的にオンオフ動作を繰り返すよう駆動信号を出力する。同様に、第2の駆動回路55は第3のスイッチング素子38が第2のPWM信号に同期してオンオフ動作するよう駆動信号を出力し、第4のスイッチング素子39が第2のPWM信号と相補的にオンオフ動作を繰り返すよう駆動信号を出力する。
【0049】
上記のように制御回路45が第1の駆動回路54と第2の駆動回路55とを駆動制御することにより、第2のスイッチング素子37の印加電圧V2と第4のスイッチング素子39の印加電圧V4は図5の(5)と(6)に示すような波形となる。従って、第1のスイッチング素子36がオンしている時(図5の(1)に示す[T0−T1]期間)は、同時に第4のスイッチング素子39がオン状態となり(図5の(4)参照)、トランス40の1次巻線40aに入力電圧Vinが印加される。このとき、トランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cにはトランス40の巻数比Nに応じてVin/Nの電圧が発生する。トランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cとに発生する電圧により、第1の整流ダイオード41はオン状態となり、第2の整流ダイオードはオフ状態となる。この結果、インダクタンス素子43には出力電圧との差電圧Vin/N−Voutが印加される。
【0050】
図5に示すように、第1のスイッチング素子36(図5の(1))と第3のスイッチング素子38(図5の(3))が共にオフ状態の時は、第2のスイッチング素子37(図5の(2))と第4のスイッチング素子39(図5の(4))は共にオン状態である。これにより、第2のスイッチング素子37の印加電圧V2と第4のスイッチング素子39の印加電圧V4は共に0Vとなり、トランス40の1次巻線40aは短絡され印加電圧は0となる。この結果、トランス40の2次巻線40b、40cには電圧が生じない。インダクタンス素子43を流れる電流は、第1の整流ダイオード41と第2の整流ダイオード42を分流して流れるのでインダクタンス素子43に印加される電圧は出力電圧Voutとなる。
【0051】
第3のスイッチング素子38がオン状態の時(図5の(3)に示す[T2−T3]期間)は第2のスイッチング素子37がオン状態となるため、トランス40の1次巻線40aには期間[T0−T1]とは逆向きに入力電圧Vinが印加される。これにより、トランス40の2次巻線40b、40cには逆向きにVin/Nが発生し、第1の整流ダイオード41がオフ状態となり、第2の整流ダイオード42がオン状態となり、インダクタンス素子43にはVin/N−Voutが印加される。
従って、第1のスイッチング素子36のオン期間と第3のスイッチング素子38のオン期間を等しくTonになるように制御した時、第1のスイッチング素子36と第3のスイッチング素子38が共にオフとなる2つの期間[T1−T2]、[T3−T4]は等しくToffとなる。定常状態ではインダクタンス素子43の励磁電流の増加と減少分が等しくなるので以下の式が成り立つ。
【0052】
【数8】
【0053】
従って、出力電圧Voutは以下のようになる。
【0054】
【数9】
【0055】
一方、第2のスイッチング素子37の印加電圧V2は、第1のスイッチング素子36がオンである期間のみ入力電圧が印加されるので、印加電圧V2の平均電圧V2avは以下のようになる。
【0056】
【数10】
【0057】
従って、入力電圧Vinや出力電圧Voutが変化したとしても、出力電圧Voutと平均電圧V2avは常に比例する。同様に印加電圧V4の平均電圧V4avも出力電圧Voutに比例する。従って印加電圧V2と印加電圧V4を第3の抵抗46と第4の抵抗47と第5の抵抗48と第1のコンデンサ49で分割平均化して得られる電圧Voは、出力電圧Voutに比例する。
また制御回路45のPWM出力の平均値はオンオフ比に比例するので、第6の抵抗50と第7の抵抗51と第8の抵抗52と第2のコンデンサ53によって分割平均化して得られる電圧はPWM信号のオンオフ比に比例する。
【0058】
実施の形態2のスイッチング電源装置の過電流保護回路において、インダクタンス素子43のインダクタンス値が小さい時、出力電流Ioutとインダクタンス素子43を流れる電流のピーク値Ipとは異なり、入力電圧Vinと出力電圧Voutによって出力電流Ioutとピーク値Ipとの関係は変化する。インダクタンス素子43を流れる電流は、トランス40を介して1次巻線40aへ伝達され、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる。従って、トランス40の存在を除くと、前述の実施の形態1に記載した内容とほぼ等価になり、この影響を補正するには、出力電圧Voutに比例した電圧と、オンオフ比Dに比例した電圧によって、前述の実施の形態1に記載したように補正を行うことで垂下特性を定電流にすることが可能である。
上記のように、実施の形態2の過電流保護回路では、第1のコンデンサ49に出力電圧Voutに比例した電圧が形成され、第2のコンデンサ53にオンオフ比Dに比例した電圧が形成される。これにより、図4に示した実施の形態2の過電流保護回路では、出力電圧Voutとオンオフ比Dを考慮した補正量を算出することにより、過電流状態においても出力電流Ioutを定電流にすることが可能である。
なお、実施の形態2では、フルブリッジコンバータを例に取って説明したが、実施の形態2におけるインダクタンス素子43と平滑コンデンサ44に相当する構成要素の平滑回路を有し、矩形波電圧を平均化して出力電圧を形成する構成の装置であれば、上記実施の形態2と同様の効果が得られる。また、実施の形態2においては、図4に示した印加電圧V2とV4を平均化して出力電圧に比例する電圧を得る構成で説明した。本発明はこのような構成に限定されるものではなく、トランスに補助巻き線を追加して、補助巻き線に発生する電圧を整流し、インダクタンス素子と平滑コンデンサで平滑することにより出力電圧に比例する電圧を得て、その電圧を補正に用いても良い。
【0059】
《実施の形態3》
次に、本発明に係る実施の形態3のスイッチング電源装置の過電流保護回路について添付の図6を参照して説明する。図6は実施の形態3のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図6において、前述の実施の形態1の過電流保護回路における部品と同じ機能、構成を示すものは同じ符号を付してその説明は省略する。
【0060】
図6において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成され、入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランス3の1次巻線3aの他端には複数のスイッチング素子群36、37,38,39と絶縁型のトランス40で構成されたスイッチング回路31に接続されている。
第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37との直列回路は、カレントトランス3の1次巻線3aを介して入力端子2aに接続され、交互にオンオフ動作を繰り返すよう構成されている。第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子39との直列回路は、カレントトランス3の1次巻線3aを介して入力端子2aに接続され、交互にオンオフ動作を繰り返すよう構成されている。
【0061】
絶縁型のトランス40は、1次巻線40aと第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cとを有している。1次巻線40aの一端は第1のスイッチング素子36と第2のスイッチング素子37の接続点(第1の接続点)に接続されており、1次巻線40aの他端は第3のスイッチング素子38と第4のスイッチング素子の接続点(第2の接続点)に接続されている。トランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cは直列に接続されている。第1のダイオード41のアノードはトランス40の第1の2次巻線40bに接続されており、第2の整流ダイオード42のアノードはトランス40の第2の2次巻線40Cに接続されている。第1の整流ダイオード41のカソードと第2の整流ダイオード42のカソードは互いに直接的に接続されている。
【0062】
インダクタンス素子43と平滑コンデンサ44は直列に接続されており、インダクタンス素子43と平滑コンデンサ44の直列回路により平滑回路が構成されている。この平滑回路の一端は、トランス40の第1の2次巻線40bと第2の2次巻線40cとの接続点に接続されている。平滑回路の他端は第1の整流ダイオード41と第2の整流ダイオード42との接続点に接続されている。平滑コンデンサ44の両端は出力端子8a,8bに接続されており、平滑コンデンサ44の両端の電圧が出力されるよう構成されている。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
上記のように、実施の形態3のスイッチング電源装置は、絶縁型のトランス40を用いており、複数のスイッチング素子を有するフルブリッジコンバータで構成されている。
【0063】
カレントトランス3の2次巻線3bには並列に第1の抵抗11が接続されており、ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流し、第2の抵抗13の両端にはカレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧が生じるよう構成されている。
以上の説明した実施の形態3における構成は、前述の実施の形態2のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成と実質的に同じである。
【0064】
第2の抵抗13の両端には、第3の抵抗60と第4の抵抗61の直列回路が接続されており、第2の抵抗13に発生する電圧を分圧している。第1のコンデンサ62は、第4の抵抗61に並列に接続されており、第2の抵抗13に発生するスパイク電圧を吸収する。
第5の抵抗63の一端は第1の接続点に接続され、第6の抵抗64の一端は第2の接続点に接続されている。それぞれの抵抗63,64の他端は互いに直接接続されている。第5の抵抗63、第6の抵抗64、及び第2のコンデンサ65により、第1の接続点と第2の接続点の電圧を平均化して、出力電圧Voutに比例した電圧NVout/2が第2のコンデンサ65の両端に発生するよう構成されている。
【0065】
第1の接続点には第7の抵抗66の一端が接続されており、第7の抵抗66の他端には第2のダイオード67が接続されている。また、第2のダイオード67と第3のダイオード68と第4のダイオード69と第8の抵抗70は直列に接続されている。第1のスイッチング素子36がオン状態の時に第1の接続点に発生する入力電圧Vinが第7の抵抗66と第8の抵抗70で分割されている。第2〜4のダイオード67〜69は後述するトランジスタとダイオードの順方向電圧を補正するために設けられている。
【0066】
第1のトランジスタ71は、第7の抵抗66と第8の抵抗70で分割された電圧を低インピーダンス化して出力する。第1のトランジスタ71のエミッターに接続された第5のダイオード72は、第1のスイッチング素子36がオフ状態の時、逆バイアスされ逆流電流を阻止する。第5のダイオード72のカソードに接続された第9の抵抗73は、第2のトランジスタ74のエミッタに接続されている。そして、第1のスイッチング素子36がオン状態の時、分割された電圧と出力電圧に比例した電圧NVout/2の差電圧を第9の抵抗73により電流に変換して、第2のトランジスタ74のコレクタより出力する。
【0067】
ここで、各第2〜5のダイオード67、68、69、72における電圧降下と第1のトランジスタ71の順バイアスのベース−エミッタ間電圧と第2のトランジスタ74の順バイアスベース−エミッタ間電圧はそれぞれ等しく、その電圧をVpnとし、第1のトランジスタ71と第2のトランジスタ74の電流増幅率が十分に大きいと仮定する。このように仮定すると、第1のトランジスタ71のベース電圧は、Vin/2+3Vpnとなり、第9の抵抗73に印加される電圧は、VpnがキャンセルされてVin/2−NVout/2となる。従って、第1のスイッチング素子36がオン状態の期間だけ、(Vin−NVout)/2Rxの電流が第2のトランジスタ74のコレクタを流れる。ここで、第9の抵抗73の抵抗値をRxとする。
【0068】
上記と同様の回路構成が、第2の接続点にも接続されている。第2の接続点に第10の抵抗75が接続されており、この第10の抵抗75には第6のダイオード76と第7のダイオード77と第8のダイオード78と第11の抵抗79が直列に接続されている。第3のトランジスタ80のエミッタには第9のダイオード81が接続されており、この第9のダイオード81のカソードは第12の抵抗82を介して第4のトランジスタ83のエミッタに接続されている。第3のスイッチング素子38がオン状態の期間に、第4のトランジスタ83のコレクタには、前述説明したように(Vin−NVout)/2Rxの電流が流れる。但し、ここで第12の抵抗82の抵抗値を、第9の抵抗73の抵抗値と同じくRxとする。
【0069】
第2のトランジスタ74と第4のトランジスタ83のコレクタに接続された第13の抵抗84と第3のコンデンサ85は、第2のトランジスタ74と第4のトランジスタ83のコレクタ電流を加算して、平均化している。このようにコレクタ電流を平均化することにより、第1のスイッチング素子36と第3のスイッチング素子38のオン期間のデューティ比Dに応じた電圧D・Ry(Vin−NVout)/2Rxが得られる。但し、ここでRyは第13の抵抗84の抵抗値を示す。
上記のように得られた電圧D・Ry(Vin−NVout)/2Rxは、その電圧に比例した電流を第5のトランジスタ86と第14の抵抗87により形成して、第2の抵抗13で発生した電流信号に対して補正を加えるよう構成されている。
【0070】
図6に示すように、実施の形態3のスイッチング電源装置の過電流保護回路には、制御回路88が設けられている。制御回路88は、通常動作時において、出力端子8a,8bに発生する出力電圧を一定にするよう、第1の駆動回路54と第2の駆動回路55にPWM信号を出力している。そして、制御回路88は出力端子8a,8bの電圧が一定電圧以上になると瞬時に第1の駆動回路54と第2の駆動回路55を駆動制御して第1〜第4のスイッチング素子36,37,38,39をターンオフする。
【0071】
第1の駆動回路54は制御回路88のPWM信号に応じて、第1のスイッチング素子36のオンオフ動作を制御し、また第1のスイッチング素子36と相補的にオフオン動作するよう第2のスイッチング素子37のオンオフ動作を制御する。第2の駆動回路55は、制御回路88のオンオフ比により第3のスイッチング素子38のオンオフ動作を制御し、また第3のスイッチング素子38と相補的にオフオンする第4のスイッチング素子のオンオフ動作の制御を行う。
以上のように構成された実施の形態3のスイッチング電源装置の過電流保護回路は、検出された電流ピーク値に対して、デューティ比Dに応じた電圧D・Ry(Vin−N・Vout)/2Rxの値に比例した電流値によって補正することができるので、前述の実施の形態1及び2と同様の効果が得られる。
【0072】
《実施の形態4》
次に、本発明に係る実施の形態4のスイッチング電源装置の過電流保護回路について添付の図7を参照して説明する。図7は実施の形態4のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図7において、前述の実施の形態1の過電流保護回路における部品と同じ機能、構成を示すものは同じ符号を付してその説明は省略する。
実施の形態4のスイッチング電源装置の過電流保護回路において、前述の図1に示した実施の形態1の過電流保護回路と異なる点は、実施の形態4の基本回路構成が絶縁形のフライバックコンバータであること、出力電圧の検出方法が異なること、及び補正方法が異なることである。
【0073】
図7において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成され、入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランス3の1次巻線3aの他端はトランス100の一方の1次巻線100aに接続されている。トランス100は1次巻線100aと2次巻線100bと補助巻線100cとを有する。トランス100の1次巻線100aは、スイッチング素子4を介して他方の入力端子2bに接続されている。トランス100の2次巻線100bには第1の整流ダイオード101と平滑コンデンサ7の直列回路が接続されている。平滑コンデンサ7の両端は出力端子8a,8bにそれぞれ接続されている。
図8はトランス100の1次巻線100aに流れる電流I1と2次巻線100bに流れる電流I2を示す波形図である。
【0074】
スイッチング素子4がオン状態の時、入力電圧Vinがカレントトランス3の1次巻線3aを通して、トランス100の1次巻線100aに印加され、励磁エネルギーが蓄積される。スイッチング素子4がオフ状態の時、蓄積された励磁エネルギーはトランス100の2次巻線100b及び整流ダイオード101を通して、平滑コンデンサ7において放電される。このときカレントトランス3の1次巻線3aに発生する電圧は、前述の実施の形態1に示すように十分低くなるように設定してある。
【0075】
平滑コンデンサ7の両端は出力端子8a,8bに接続されており、平滑コンデンサ7の両端の電圧が出力されるよう構成されている。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
カレントトランス3の2次巻線3bには並列に第1の抵抗11が接続されており、ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流し、第2の抵抗13の両端にはカレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧が生じるよう構成されている。
第2の抵抗13には、第3の抵抗16、第4の抵抗17、第5の抵抗18、第6の抵抗19、コンデンサ20、及び演算回路106で構成される補正電圧発生回路が接続されている。この補正電圧発生回路には、コンパレータ15及び基準電源14が接続されている。
【0076】
トランス100の補助巻線100cには、第2の整流ダイオード102、第2の平滑コンデンサ103、及び第2の負荷104が接続されている。第2の整流ダイオード102は、スイッチング素子4がオフ状態のとき、トランス100の補助巻線100cに発生する電圧を第2の平滑コンデンサ103に蓄積する。第2の負荷104は、例えば制御回路105の電力消費を模擬するものである。制御回路105は出力端子8a,8bに接続されており、出力状態を検出してスイッチング素子4のオンオフ制御を行っている。
【0077】
上記のように構成された過電流保護回路において、整流ダイオード101がオン状態の時、トランス100の2次巻線100bに出力電圧Voutが印加され、トランス100の補助巻線100cには出力電圧Voutに比例した電圧が発生する。第2の平滑コンデンサ103に充電されるので、第2の平滑コンデンサ103に発生する電圧は、出力電圧Voutに比例した電圧になる。このように第2の平滑コンデンサ103に生じた電圧は、第3の抵抗16と第4の抵抗17で分割されて、出力電圧Voutに比例した電圧Voを形成している。
【0078】
図7に示した補正電圧発生回路において、演算回路106は、後述する理論式に基づいて、出力電圧Voutに比例した電圧Voとデューティ比Dに比例した電圧Vdとを用いて第2の抵抗13により発生する電圧Vsを変換する。演算回路106の出力信号は、変換された後の電圧のピーク値が一定となるように、コンパレータ15に入力される。
通常状態において、制御回路105は出力端子8a,8bの電圧を安定化するようスイッチング素子4のオンオフ比を決定し、オンオフ信号をスイッチング素子4に出力する。過電流時において、制御回路105はコンパレータ15からの出力に応じてオンオフ信号を発生し、スイッチング素子4へ出力する。
【0079】
次に、上記のように構成された実施の形態4における過電流保護回路の動作を説明する。まず、スイッチング素子4を流れる電流のピーク値Ipと出力電流Ioutとの関係を導出する。出力電流Ioutは整流ダイオード101がオン状態のときのトランス100の励磁電流の平均値Imで与えられ、以下の式(11)により示される。
【0080】
【数11】
【0081】
即ち、平均値Imは式(12)となる。
【0082】
【数12】
【0083】
トランス100の励磁電流における変動幅ΔImは、以下の式(13)により示される。式(13)において、Vinは入力電圧であり、Tonはスイッチング素子4のオン期間であり、Lmはトランス100のインダクタンス値である。
【0084】
【数13】
【0085】
従って、励磁電流のピーク値、即ちスイッチング素子4を流れる電流のピーク値Ipは、次の式(14)により示される。
【0086】
【数14】
【0087】
従って、出力電流Ioutは次の式(15)のように示される。
【0088】
【数15】
【0089】
但し、フライバックコンバータの入出力変換比は以下の式(16)で表される。
【0090】
【数16】
【0091】
従って、基準電圧を式(14)に従って変更するか、又はスイッチング電流の検出波形に対して式(15)に示す演算を行い、そのピーク値を一定にするように制限することにより、定電流特性の過電流保護回路を構成することができる。実施の形態4において用いた過電流保護回路の補正方法は、スイッチング素子4のオン期間Tonに磁性部品(トランス100)に入力電圧を印加してエネルギーを蓄積し、オフ期間Toffに磁性部品からエネルギーを取り出す構成では、式(15)で示された補正式により補正可能である。
以上のように構成された実施の形態4のスイッチング電源装置の過電流保護回路は、検出された電流のピーク値Ipに対して適正に補正することができるので、前述の実施の形態1、2、及び3と同様の効果を有する。
【0092】
《実施の形態5》
次に、本発明に係る実施の形態5のスイッチング電源の過電流保護回路について添付の図9を参照して説明する。図9は実施の形態5のスイッチング電源の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図9において、前述の実施の形態1の過電流保護回路における部品と同じ機能、構成を示すものは同じ符号を付してその説明は省略する。
実施の形態5のスイッチング電源装置の過電流保護回路において、前述の図1に示した実施の形態1の過電流保護回路と異なる点は、実施の形態5において用いる補正式が異なるために、補正を行う回路構成が異なることである。
【0093】
図9において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成されている。この入力直流電源1は入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランスの1次巻線3aの他端にはスイッチング素子4の一端が接続されている。スイッチング素子4の他端は、整流ダイオード5のカソードと、インダクタンス素子6の一端に接続されている。このように接続されたスイッチング素子4は、後述する制御回路10からの制御信号によりオンオフ動作が繰り返えされる。整流ダイオード5のアノードは、他方の入力端子2bに接続されている。
【0094】
図9に示すように、インダクタンス素子6と平滑コンデンサ7は直列に接続されて直列回路が構成され、この直列回路が整流ダイオード5の両端に接続されて平滑回路が構成されている。この平滑回路は、整流ダイオード5の両端に発生する矩形波電圧を平均化して直流電圧を形成する。
図9に示した実施の形態5のスイッチング電源装置の過電流保護回路の出力端子8a,8bからは平滑コンデンサ7による平均化された電圧が出力される。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
【0095】
制御回路10は、出力端子8a,8bの電圧を検出して安定な電圧を出力するようにスイッチング素子4のオンオフ比を制御する制御信号を発生する。第1の抵抗11は、カレントトランスの2次巻線3bに並列に接続されており、スイッチング素子4がオフの期間にカレントトランス3の2次巻線3bに励磁電流を流して、カレントトランス3の励磁エネルギーを消費する。
ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流する。第2の抵抗13は、カレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧をリアルタイムに発生する。
【0096】
スイッチング素子4がオン状態の時、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流は、カレントトランス3の巻数比に応じた電流に変換されて、ダイオード12を通して第2の抵抗13に流される。これにより、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流に比例した電圧Vsが第2の抵抗13の両端に発生する。
第2の抵抗13の両端に発生する電圧Vsは、後述する補正電圧発生回路94からの電圧が加算されてコンパレータ15の一方の端子に入力される。コンパレータ15の他方の端子には基準電源14からの基準電圧が入力される。補正電圧発生回路94により補正された電圧と基準電圧がコンパレータ15において比較される。補正された電圧が基準電圧に達すると制御回路10を通してスイッチング素子4がターンオフされる。
【0097】
次に、実施の形態5における補正電圧発生回路94の構成について説明する。補正電圧発生回路94において、第3の抵抗16と第4の抵抗17により出力電圧Voutが分割され、電圧Voを形成している。また、第5の抵抗18と第6の抵抗19とコンデンサ20により、制御回路10のオンオフ信号である制御信号を平均化してオンオフ比(デューティ比)Dに比例した電圧Vdを形成している。
また、第9の抵抗89と第10の抵抗90により、入力電圧Vinが分割され電圧Viを形成している。
また、第7の抵抗22と第8の抵抗25と第11の抵抗91と第12の抵抗92とオペアンプ26により差動増幅回路を構成し、電圧(Vi−Vo)を形成する。
【0098】
掛け算器21には電圧Vdと差動増幅回路の出力(Vi−Vo)が入力され、その積Vd×(Vi−Vo)が算出される。
加算器93は、第2の抵抗13に発生する電圧Vsと掛け算器21から出力された電圧の符号反転信号のとの和を算出して、コンパレータ15へ出力する。コンパレータ15には、加算器93の出力と、基準電源14の基準電圧Vrが入力される。コンパレータ15は、電圧Vaと基準電圧Vrとを比較して、スイッチング素子4のターンオフタイミングを決定する。
【0099】
次に、上記のように構成された実施の形態5のスイッチング電源装置における過電流保護回路の動作について説明する。
スイッチング素子4のオンオフ動作により、入力電圧Vinが出力電圧Voutに変換される動作は実施の形態1のスイッチング電源装置と同じであるので、動作説明は省略する。同様に第2の抵抗13の両端の電圧によって、スイッチング素子を流れる電流をリアルタイムに検出できる。
この時、出力電流Ioutとスイッチング電流のピーク電流の関係は式(7)のように表されることは前述の実施の形態1で説明した。ここで、式(7)は、式(5)を用いると以下のような式(17)と等価になることが分かる。
【0100】
【数17】
【0101】
即ち、出力電圧は、式(17)の第2項の補正関数で得られる補正電流に相当する補正電圧を基準電圧Vrに加えるか、または、実際に検出した電流波形に比例する電圧Vsと式(17)の第2項の補正電流の値に相当する補正電圧との差を取れば良いことが分かる。
図9に示した過電流保護回路における補正電圧発生回路94で得られる補正信号は、式(17)の第2項に示される補正値を表しており、必要な補正量が得られることが分かる。このような回路構成で補正量を計算しても、式(17)で得られる補正量は本質的に、式(6)で得られる補正量と同じになり実施の形態1と同様の効果が得られる。
なお、実施の形態5においては、降圧型のコンバータを例にとって説明したが、本発明は前述の実施の形態2で示したフルブリッジコンバータに代表されるフォワードコンバータ等の絶縁型コンバータで構成することもできる。すなわち、インダクタンス素子と平滑コンデンサに相当する構成要素の平滑回路を有し、矩形波電圧を平均化して出力電圧を形成する構成であれば、トランスの巻数比をNとしたとき、補正式でVoutに相当する項をN×Voutにすることにより補正が可能となる。このような構成は上記実施の形態5と同様の効果を有する。
【0102】
《実施の形態6》
次に、本発明に係る実施の形態6のスイッチング電源の過電流保護回路について添付の図10を参照して説明する。図10は実施の形態6のスイッチング電源の過電流保護回路の構成を示す回路図である。図10において、前述の実施の形態1の過電流保護回路における部品と同じ機能、構成を示すものは同じ符号を付してその説明は省略する。
実施の形態6のスイッチング電源装置の過電流保護回路において、前述の図1に示した実施の形態1の過電流保護回路と異なる点は、実施の形態6において用いる補正式が異なるために、補正を行う回路構成が異なることである。
【0103】
図10において、入力直流電源1は商用電源を整流平滑する回路若しくは電池で構成されている。この入力直流電源1は入力端子2a,2bに接続されている。カレントトランス3は1次巻線3aと2次巻線3bを有し、1次巻線3aの一端が入力端子2a,2bの一方(2a)に接続されている。カレントトランスの1次巻線3aの他端にはスイッチング素子4の一端が接続されている。スイッチング素子4の他端は、整流ダイオード5のカソードと、インダクタンス素子6の一端に接続されている。このように接続されたスイッチング素子4は、後述する制御回路10からの制御信号によりオンオフ動作が繰り返えされる。整流ダイオード5のアノードは、他方の入力端子2bに接続されている。
図10に示すように、インダクタンス素子6と平滑コンデンサ7は直列に接続されて直列回路が構成され、この直列回路が整流ダイオード5の両端に接続されて平滑回路が構成されている。この平滑回路は、整流ダイオード5の両端に発生する矩形波電圧を平均化して直流電圧を形成する。
【0104】
図10に示した実施の形態6のスイッチング電源装置の過電流保護回路の出力端子8a,8bからは平滑コンデンサ7による平均化された電圧が出力される。出力端子8a,8bには負荷9が接続され、スイッチング電源装置の過電流保護回路からの電力を消費する。
制御回路10は、出力端子8a,8bの電圧を検出して安定な電圧を出力するようにスイッチング素子4のオンオフ比を制御する制御信号を発生する。第1の抵抗11は、カレントトランスの2次巻線3bに並列に接続されており、スイッチング素子4がオフの期間にカレントトランス3の2次巻線3bに励磁電流を流して、カレントトランス3の励磁エネルギーを消費する。
ダイオード12はカレントトランス3の2次巻線3bに誘起される電流を整流する。第2の抵抗13は、カレントトランス3の1次巻線3aを流れる電流に比例した電圧をリアルタイムに発生する。
【0105】
スイッチング素子4がオン状態の時、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流は、カレントトランス3の巻数比に応じた電流に変換されて、ダイオード12を通して第2の抵抗13に流される。これにより、カレントトランス3の1次巻線3aに流れる電流に比例した電圧Vsが第2の抵抗13の両端に発生する。
第2の抵抗13の両端に発生する電圧Vsは、後述する補正電圧発生回路95からの電圧との差を計算しコンパレータ15の一方の端子に入力される。コンパレータ15の他方の端子には基準電源14からの基準電圧が入力される。補正電圧発生回路95により補正された電圧と基準電圧がコンパレータ15において比較される。補正された電圧が基準電圧に達すると、制御回路10を通してスイッチング素子4がターンオフする。
【0106】
次に、実施の形態6における補正電圧発生回路95の構成について説明する。実施の形態6の補正電圧発生回路95は、基本的に、前述の実施の形態1の補正電圧発生回路と同じである。補正電圧発生回路95においては、第3の抵抗16と第4の抵抗17により出力電圧Voutが分割され、電圧Voを形成している。また、第5の抵抗18と第6の抵抗19とコンデンサ20により、制御回路10のオンオフ信号である制御信号を平均化してオンオフ比(デューティ比)Dに比例した電圧Vdを形成している。図10において、第11の抵抗89と第12の抵抗90を除くと図1の補正電圧発生回路と同じであるので、式(7)に示した補正信号が補正電圧発生回路95において形成される。
実施の形態6では、第11の抵抗89と第12の抵抗90により、入力電圧Vinが分割され電圧Viを形成している。
また、第9の抵抗24の抵抗値を調整することにより、ViとVoをオペアンプ26に印加することで、電圧Vi−Voに比例した信号を誤差信号として印加することができる。
【0107】
次に、上記のように構成された実施の形態6のスイッチング電源装置における過電流保護回路の動作について説明する。
スイッチング素子4のオンオフ動作により、入力電圧Vinが出力電圧Voutに変換される動作は前述の実施の形態1のスイッチング電源装置と同じであるので、ここではその動作説明を省略する。実施の形態1と同様に第2の抵抗13の両端の電圧によって、スイッチング素子を流れる電流をリアルタイムに検出できる。
実施の形態1において説明したように、この時、スイッチング電流のピーク電流は式(6)の第2項に示される。
【0108】
これまでの各実施の形態においては、コンパレータ15と制御回路10とスイッチング手段4の遅れ時間は、スイッチング周期と比較して十分に小さく無視できるとして説明してきた。しかし、この遅れ時間が無視できない時は、補正された電流信号が基準電圧に達しても、瞬時にスイッチング手段4を流れる電流をオフできないので、遅れ時間Tdに対応して、スイッチング電流のピーク値は、Td×(Vin−Vout)/Lfの分だけ増加する。このピーク電圧の増加に対応するために、実施の形態6では、予め増加する電流分だけ補正量を増加させて過電流レベルを下げておくことで対応している。すなわち、オペアンプ26の正入力端子に抵抗を介して入力電圧Vinを印加し、同時に負入力端子に抵抗を介して出力電圧Voutを印加することで(Vin−Vout)の値に比例する補正量を得ることができる。このようにすることで、一定の遅れ時間を考慮しても、過電流制限特性を一定にすることが可能になる。
【0109】
図11は本発明に係る実施の形態6の他の構成のスイッチング電源の過電流保護回路を示す回路図である。このスイッチング電源の過電流保護における補正電圧発生回路940には、倍率器300と加算器301がオペアンプ26の出力側に設けられている。
図11に示す補正電圧発生回路940の構成について説明する。
補正電圧発生回路940においては、図10の補正電圧発生回路95と同様に、第3の抵抗16と第4の抵抗17により出力電圧Voutが分割され、電圧Voを形成している。また、第5の抵抗18と第6の抵抗19とコンデンサ20により、制御回路10のオンオフ信号である制御信号を平均化してオンオフ比(デューティ比)Dに比例した電圧Vdを形成している。
また、第9の抵抗89と第10の抵抗90により、入力電圧Vinが分割され電圧Viを形成している。第7の抵抗22と第8の抵抗25と第11の抵抗91と第12の抵抗92とオペアンプ26により差動増幅回路を構成し、電圧(Vi−Vo)が形成されている。
【0110】
掛け算器21には電圧Vdと差動増幅回路の出力(Vi−Vo)が入力され、その積Vd×(Vi−Vo)が算出される。また、差動増幅回路の出力(Vi−Vo)は倍率器300に入力され、定数倍されて加算器301に出力される。この加算器301には掛け算器21からのVd×(Vi−Vo)が入力され、(Vi−Vo)に加算される。
加算器93は、第2の抵抗13に発生する電圧Vsと加算器301から出力された電圧の符号反転信号のとの和を算出して、コンパレータ15へ出力する。コンパレータ15には、加算器93の出力と、基準電源14の基準電圧Vrが入力される。コンパレータ15は、電圧Vaと基準電圧Vrとを比較して、スイッチング素子4のターンオフタイミングを決定する。
上記のように構成された図11のスイッチング電源装置における過電流保護回路において、スイッチング素子4のオンオフ動作により、入力電圧Vinが出力電圧Voutに変換される動作は実施の形態1のスイッチング電源装置と同じである。したがって、この実施の形態においても、入力電圧Vinと出力電圧Voutが変化し、過電流保護回路が動作したとき、出力電流が増加することなく、一定に制御される効果を有する。
なお、前述の実施の形態5において示したが、実施の形態6においても、フルブリッジコンバータに代表されるフォワードコンバータ等の絶縁型コンバータで構成することもできる。すなわち、インダクタンス素子と平滑コンデンサに相当する構成要素の平滑回路を有し、矩形波電圧を平均化して出力電圧を形成する構成であれば、トランスの巻数比をNとしたとき、補正式でVoutに相当する項をN×Voutにすることにより補正が可能となる。このような構成は上記実施の形態6と同様の効果を有する。
【0111】
【発明の効果】
以上、実施の形態について詳細に説明したところから明らかなように、本発明は次の効果を有する。
本発明によれば、入力電圧Vin及び出力電圧Voutの変化に係らず、過電流保護回路の動作時の出力電流を一定にできるので、安全で安定したスイッチング電源装置を提供することができる。
本発明は、従来の過電流保護回路における種々の問題を解決するものであり、特に回路素子のインダクタンスが小さい回路において、入力電圧や出力電圧が変化した場合であっても出力電流を一定に制限し、安定して確実に過電流保護を行うことができる安全性の高いスイッチング電源装置の過電流保護回路を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態1におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図2】実施の形態1の過電流保護回路における過電流垂下特性を示す説明図である。
【図3】実施の形態1の他の構成の過電流保護回路を示すの回路図である。
【図4】本発明に係る実施の形態2におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図5】実施の形態2の過電流保護回路における動作波形を示す説明図である。
【図6】本発明に係る実施の形態3におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明に係る実施の形態4におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図8】実施の形態4の過電流保護回路における動作波形を示す説明図である。
【図9】本発明に係る実施の形態5におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図10】本発明に係る実施の形態6におけるスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図11】本発明に係る実施の形態6におけるスイッチング電源装置の他の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図12】従来のスイッチング電源装置の過電流保護回路の構成を示す回路図である。
【図13】従来のスイッチング電源装置の過電流保護回路における動作波形を示す説明図である。
【図14】従来のスイッチング電源装置の過電流保護回路における垂下特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 入力直流電源
2a 入力端子
2b 入力端子
3 カレントトランス
4 スイッチング素子
5 整流ダイオード
6 インダクタンス素子
7 平滑コンデンサ
8a 出力端子
8b 出力端子
9 負荷
10 制御回路
11 第1の抵抗
12 ダイオード
13 第2の抵抗
14 基準電源
15 コンパレータ
16 第3の抵抗
17 第4の抵抗
18 第5の抵抗
19 第6の抵抗
20 コンデンサ
21 掛け算器
22 第7の抵抗
23 第8の抵抗
24 第9の抵抗
25 第10の抵抗
26 オペアンプ
27 加算器
Claims (15)
- 入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力電圧(Vout)を形成する平滑回路と、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)及びスイッチング手段のオンオフ比(D)に比例する電圧とを用いて、検出されたピーク電流値を、(Vout−D×Vout)の値に比例した誤差信号により補正するよう構成されたスイッチング電源装置。 - 誤差信号を形成するために掛け算器を用いて構成された請求項1記載のスイッチング電源装置。
- 前記過電流保護手段がピーク電圧保持手段をさらに有する請求項1記載のスイッチング電源装置。
- 入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記スイッチング手段が接続された1次巻線と出力端子に接続された2次巻線とを有し、巻数比がN:1である絶縁形のトランスと、
前記2次巻線に接続され、整流手段とインダクタンス素子とコンデンサとにより整流平滑して出力電圧を形成する出力電圧形成手段と、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)及びスイッチング手段のオンオフ比(D)を用いて、検出されたピーク電流値を、(Vout−D×Vout)の値に比例した誤差信号により補正するよう構成されたスイッチング電源装置。 - 誤差信号を形成するために掛け算器を用いて構成された請求項4記載のスイッチング電源装置。
- スイッチング電源装置が絶縁型のトランスを有し、フルブリッジコンバータで構成された請求項4記載のスイッチング電源装置。
- 交互にオンオフを繰り返す第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを有し、第1の接続点により直列に接続された第1の直列回路と、
交互にオンオフを繰り返す第3のスイッチング手段と第4のスイッチング手段とを有し、第2の接続点により直列に接続された第2の直列回路と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に接続された1次巻線を有するトランスと、
前記トランスの1次巻線に矩形波電圧を印加する矩形波電圧印加手段と、
前記トランスの2次巻線に誘起される電圧を整流する整流手段と、
前記整流手段からの矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力する平滑回路と、
前記第1の接続点の電圧を平均化して出力電圧に比例した電圧を形成する回路と、を有する請求項6記載のスイッチング電源装置。 - 交互にオンオフを繰り返す第1のスイッチング手段と第2のスイッチング手段とを有し、第1の接続点により直列に接続された第1の直列回路と、
交互にオンオフを繰り返す第3のスイッチング手段と第4のスイッチング手段とを有し、第2の接続点により直列に接続された第2の直列回路と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間に接続された1次巻線を有するトランスと、
前記トランスの1次巻線に矩形波電圧を印加する矩形波電圧印加手段と、
前記トランスの2次巻線に誘起される矩形波電圧をインダクタンス素子とコンデンサにより平滑して出力する平滑回路と、
前記第1の接続点の電圧と前記第2の接続点の電圧とをそれぞれ平均化して出力電圧に比例した電圧を形成する平均化回路と、
前記第1のスイッチング手段又は前記第3のスイッチング手段がオン状態のとき前記入力電圧と出力電圧との差電圧を平均化することにより得られる誤差信号を形成する誤差信号形成回路と、を有する請求項7記載のスイッチング電源装置。 - 検出されたピーク電流を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−Vout)}の値により補正する請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- 検出されたピーク電流を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−N×Vout)}の値により補正する請求項4に記載のスイッチング電源装置。
- 検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)に比例する値と、(Vin−Vout)に比例する値の両方で補正することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- 検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)に比例する値と、(Vin−N×Vout)に比例する値の両方で補正することを特徴とする請求項4に記載のスイッチング電源装置。
- 検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−Vout)}に比例する値と、(Vin−Vout)に比例する値の両方で補正することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
- 検出されたピーク電圧を(Vout−D×Vout)の値に代えて{D×(Vin−N×Vout)}に比例する値と、(Vin−N×Vout)に比例する値の両方で補正することを特徴とする請求項4に記載のスイッチング電源装置。
- 入力電圧(Vin)をオンオフ動作により矩形波電圧に形成するスイッチング手段と、
前記スイッチング手段がオン状態のとき入力電圧が印加されて励磁エネルギーが蓄積され、前記スイッチング手段がオフ状態のとき蓄積された励磁エネルギーを出力するインダクタンス素子と、
前記出力された励磁エネルギーを整流平滑し出力電圧(V out )を得る整流ダイオードと平滑コンデンサと、
前記スイッチング手段に流れる電流のピーク電流(Ip)を検出して、出力電流の制限を行う過電流保護手段と、を具備し、
前記過電流保護手段において、検出されたピーク電流(Ip)、前記出力電圧(V out )、及び前記スイッチング手段のオンオフ比(D)に対して、Kを定数として、{(1−D)×(Ip+K×Vout)}の演算を行い、その算出値を一定にするよう前記スイッチング手段のオン期間を決定するよう構成されたスイッチング電源装置。
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