JP4104784B2 - 真空処理装置の基板取り外し方法および真空処理装置 - Google Patents

真空処理装置の基板取り外し方法および真空処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、液晶ディスプレイパネル或いは太陽電池などの製造における被処理基板に対する薄膜形成工程または微細加工工程などに用いられる表面処理装置において、表面処理が終了したときに基板保持台に静電吸着している被処理基板を基板保持台から剥がして取り外す基板取り外し方法およびその基板取り外し方法に適し、且つ機能性および信頼性などが格段に向上する構成を備えた真空処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、被処理基板にドライエッチング、CVDまたはスパッタリングなどの表面処理を施すプラズマ処理装置では、デバイスの高機能化とその処理コストの低減化を図るために、高精度化、高速化、大面積化および低ダメージ化を実現するための取り組みが盛んに行われている。なかでも、基板への成膜工程においては基板内の膜質の均一化を得るために、また、微細加工に用いられるドライエッチング工程においては寸法精度を確保するために、真空容器内での反応ガスの流れを被処理基板の処理面に対してシンメトリックにすることと、被処理基板の温度をその面内全体にわたり均一に、且つ精密に制御することが特に要求されている。反応ガスの流れに対しは、真空容器のガス導入口と排気口との相対位置を基板処理面に対し反応ガスの流れが均等になるような配置とするよう考慮されている。また、基板温度を制御する手段としては、メカクランプまたは静電吸着電極を使用したプラズマ処理装置(例えば、特開昭63-72877号公報、特開平2-7520号公報、特開平3-102820号公報、特開平4-100257号公報参照)が使用され始めている。
【0003】
図5は、従来の一般的なプラズマ処理装置を示す断面構成図である。このプラズマ処理装置の真空容器1は、内部を真空に排気するための真空排気手段2と、反応ガスを内部に導入するための反応ガス供給手段3とを備えている。真空容器1の内部には被処理基板4を上面に載置して保持する基板保持台7が設けられており、この基板保持台7は静電吸着型のものであって、一対の静電吸着用を兼ねる下部電極である内部電極8,9が内蔵されている。
【0004】
この一対の内部電極8,9には、対応する正極の直流電源10および負極の直流電源11からそれぞれ個別の高周波フイルタ12を介して正,負電圧が印加されるようになっているとともに、高周波電源13から直流カット用コンデンサ14を介して高周波電力が印加されるようになっている。一方、真空容器1の外部には、シリンダなどの駆動源19により上下動される突き上げ機構17が設けられており、この突き上げ機構17には、4本の突き上げピン18が基板保持台7の内部を下方から上方へ貫通できるように設けられている。
【0005】
つぎに、上記プラズマ処理装置の作用について簡単に説明する。外部から真空容器1の内部に搬入された被処理基板4が、突き上げ機構17の上昇および下降によって基板保持台7の上面に載置されると、一対の内部電極8,9には直流電源10,11から高周波フイルタ12を介して正,負の直流電圧が印加される。これにより、被処理基板4は基板保持台7の上面に静電吸着して強固に保持される。一方、真空容器1の内部は真空排気手段2により真空排気される。
【0006】
つぎに、被処理基板4と基板保持台7との隙間には、伝熱ガス供給機構20によってヘリウムなどの不活性の伝熱ガスが導入され、且つガス圧力調整機構21によって所定圧力に調圧される。これと同時に、真空容器1内には反応ガス供給手段3によって反応ガスが導入され、且つ調圧される。この状態において、一対の内部電極8,9には、高周波電源13から高周波電力が直流カット用コンデンサ14を介し供給されて、一対の内部電極8,9と上部電極22との間にはプラズマが発生し、被処理基板4に対して所望の表面処理(この場合にはドライエッチング)が施される。このとき、極めて流動性の良い伝熱ガスは、被処理基板4から熱を吸収して基板保持台7に対し伝熱し、基板保持台7は、内部の冷却水路(図示せず)を常時流れる冷媒により冷却される。これにより、被処理基板4は所定温度に保持される。
【0007】
被処理基板4の表面処理が終了すると、高周波電力、反応ガスおよび伝熱ガスの供給をそれぞれ停止したのちに、真空排気手段2によって真空容器1の内部を真空排気しながら直流電源10,11の出力を停止する。この表面処理が終了した時点では、直流電源10,11を上述のように遮断しているが、被処理基板4自体のプラズマからの帯電や、絶縁性の被処理基板4と基板保持台7との間の残留電荷により、被処理基板4が基板保持台7に対し静電的に吸着された状態を維持している。したがって、この状態で被処理基板4を突き上げ機構17で突き上げて基板保持台7から強制的に剥離しようとすると、被処理基板4の破損や被処理基板4が基板保持台7から飛び跳ねて次工程への搬送が不能になるなどのトラブルが発生してしまう。
【0008】
そこで、上記プラズマ処理装置では、上述のような不具合の発生を防止して被処理基板4を破損させることなく安定に基板保持台7から取り外すために、以下のようにして被処理基板4を基板保持台7から剥離させる方法が採用されている。すなわち、表面処理の終了後に、電源切換機構23によって両直流電源10,11から内部電極8,9への印加電圧の極性を反転させて、被処理基板4と基板保持台7との間の残留電荷を打ち消したのちに、駆動源19により突き上げ機構17を上昇させて突き上げピン18で被処理基板4を基板保持台7から離脱させる。そののちに、紫外線ランプ24からの紫外線を石英ガラス27を通して基板保持台7に照射し、基板保持台7の表面の残留電荷を消滅させるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の内部電極8,9に印加する直流電圧の極性を反転させて除電する方式では、残留電荷を過不足なく完全に除去することが困難で、残留電荷が残存したり、逆極性の直流電圧の印加時間が長過ぎた場合には逆極性に帯電させてしまったりして、被処理基板4を基板保持台7から確実に剥離できないことがある。このような状態で突き上げ機構17により被処理基板4を突き上げてしまうと、被処理基板4には、損傷、次工程への搬送不能、搬送姿勢の不良、脱落および次工程への受渡し不能といった搬送トラブルが発生することがあり、信頼性に欠ける。
【0010】
また、上述のプラズマ処理装置には以下のような種々の問題がある。すなわち、このプラズマ処理装置では、真空容器1内での反応ガスの流れを被処理基板4の処理面に対してシンメトリックにするために、真空容器1の上部一端側(図の上方左側)から反応ガスを供給して下部他端側(図の下部右側)から排気するようにしているが、このような構造では反応ガスを被処理基板4の処理面全体に均等に供給するのが難しく、被処理基板4の処理面全体に均一な膜質の薄膜処理をすることができない。
【0011】
また、突き上げ機構17の基板保持台7を貫通する部分は、その外気側においてベローズ28単体で、またはケーシング29と共同で大気からシールする構成としているが、摺動シールであるベローズ28を用いた真空シール構造では耐久性に限界があり、しかも、ベローズ28のばね力の経時変化によって上述の残留静電力と突き上げ機構17の突き上げ力とのバランスが崩れることがあり、これが表面処理終了済みの被処理基板4を基板保持台7からスムーズに剥離できない新たな要因となる。
【0012】
さらに、ベローズ28などを用いた突き上げ機構17では、ケーシング29とベローズ28などで構成される伝熱ガスの貯溜室が大容量となり、伝熱ガスに対する調圧や排気に時間がかかり過ぎる欠点もある。また、突き上げ機構17の駆動源19は、突き上げ機構に対しその下方位置で直結されて、その駆動力が突き上げ機構17に直接的に伝達されるから、突き上げ機構17による突き上げ力を被処理基板4が破損しないように精密に調節するのが困難である。しかも、突き上げ機構17と駆動源19とが上下方向に直列配置の構成になっていることから、装置全体が大型化する問題もある。したがって、上記プラズマ処理装置は、その機能性および信頼性に大きな問題がある。
【0013】
一方、上記の残留電荷を除去する手段としては、除電プラズマを用いて、例えば、印加電圧を徐々に低下させながら残留電荷を減少させる方法も採用されているが、この方法では、残留吸着力の減少度合いを監視できないことから、時間的リスクを考慮してプラズマ放電時間をどうしても長めに設定してしまい、スループットを悪化させる問題がある。
【0014】
そこで本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、基板保持台上に静電吸着している被処理基板を損傷や破損させることなく安定、且つスムーズに剥離させることのできる基板取り外し方法およびその取り外し制御方法に適した構成を備えるとともに機能性および信頼性などが格段に向上した真空処理装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空処理装置の基板取外し制御方法は、真空容器内の基板保持台の上面に保持された被処理基板に対し表面処理を行ったのち、その表面処理に伴って生じた帯電により前記基板保持台に静電吸着されている前記被処理基板を前記基板保持台から剥離して取り外すに際して、駆動源の回転力を、磁気カップリングにおける互いに磁気的に吸着した一対の輪のうちの一方の輪に伝達して、この輪との磁気吸着力によって回転する他方の輪の回転力を、前記被処理基板を裏面から突き上げるための突き上げ力に変換し、前記駆動源によって一方の輪を所定の回転角度に回転させて、前記両輪が互いにずれる回転角度に応じた突き上げ力で前記被処理基板を突き上げるようにし、かつ磁気カップリングの両輪が互いにずれるときの一方の輪に発生するトルクを測定し、その測定トルク値に応じて駆動源による一方の輪の回転角度を制御して、被処理基板への突き上げ動作を行うようにすることを特徴としている。
【0016】
この真空処理装置の基板取り外し方法では、駆動源の回転力を、磁気カップリングの磁気的に互いに吸着している一対の輪を介して突き上げ力に変換するので、駆動源により回転される一方の輪に対して他方の輪がずれる角度にほぼ比例した一次関数的な突き上げ力を突き上げ機構に発生させることができる。したがって、従来装置のように突き上げ機構に対しこれに直結された駆動源によって突き上げ力を伝達する場合と異なり、突き上げ機構の突き上げ力を精密に調整することが可能となり、突き上げ機構からは、被処理基板に対してこれを無理に撓ませるような突き上げ力が付与されることがない。
【0018】
さらに、被処理基板と基板保持台との間の残存する静電吸着力を測定トルク値に基づき監視しながら、突き上げ機構に対して、静電吸着力の減少に応じて被処理基板を無理に撓ませない範囲内で最大の突き上げ力を伝達することができる。
【0019】
上記発明において、測定トルク値が所定の上限値に達したときに、駆動源の回転による突き上げ動作を一旦停止して、一方の輪を元の位置に戻すよう前記駆動源を回転制御したのちに、前記突き上げ動作を繰り返し行うようにすることが好ましい。
【0020】
これにより、被処理基板は、断続的な突き上げ動作によって突き上げられる部分から徐々に基板保持台から剥離されていき、被処理基板の基板保持台との接触面積が徐々に減少することから、被処理基板と基板保持台との静電吸着力が効果的に減少する。そのため、突き上げ機構による過大な突き上げ力による被処理基板の損傷や破損を確実に未然に防止しながら、被処理基板を無理なく円滑に、且つ可及的迅速に基板保持台から剥離することができる。
【0021】
上記発明において、駆動源の回転による突き上げ動作を、測定トルク値が所定の下限値以下になるまで繰り返し行い、測定トルク値が下限値以下になったときに、前記駆動源を回転制御して、被処理基板を基板保持台から剥離できる所定の突き上げ力と速度とで前記被処理基板を突き上げて前記基板保持台から剥離させ、且つ前記被処理基板をそのまま次工程へ搬送できる高さまで持ち上げるようにすることが好ましい。
【0022】
これにより、残留吸着力が、突き上げ機構による突き上げ動作によって被処理基板を破損や搬送トラブルが生じない程度まで低下した時点で、被処理基板を基板保持台から一気に剥離して基板搬送位置まで上昇させるので、被処理基板を、破損や損傷を招くことなく、可及的迅速に基板保持台から剥離して安定に搬送することができ、スループットが格段に向上する。
【0029】
本発明の真空処理装置は、被処理基板の基板保持台、内部を真空排気する真空排気手段および反応ガスを内部に導入する反応ガス供給手段を有する真空容器と、前記被処理基板の表面処理の終了時に前記基板保持台の上面に静電吸着している前記被処理基板を裏面から突き上げる突き上げ機構と、前記突き上げ機構に突き上げ力を伝達する駆動機構とを備え、前記駆動機構は、互いに磁気的に吸着した一対の輪を有する磁気カップリングと、一方の輪に回転力を伝達する駆動源と、他方の輪が同心状に固着され、この他方の輪の一方の輪との磁気吸着力によって回転される回転シャフトと、前記回転シャフトの回転力を前記突き上げ機構に対しこれの上下方向の直線運動に変換して伝達する運動変換伝達部とを備えて構成されている。
【0030】
これにより、駆動機構の駆動源の回転力を、磁気カップリングにおける磁気的に互いに吸着している一対の輪を介して回転シャフトに伝達し、この回転シャフトの回転力を、運動変換伝達部を介し突き上げ機構に対しこれの上下方向の直線運動に変換して伝達しているので、本発明の基板取り外し方法を忠実に具現化して、基板取り外し方法と同様に、被処理基板に対してこれを無理に撓ませるような突き上げ力を付与せずに、被処理基板を基板保持台から可及的迅速に剥がして取り外すことができるという効果を確実に得ることができる。
【0031】
また、駆動機構が、突き上げ機構に対し直交して水平方向に配置され、前記直交する箇所に設けられた運動変換伝達部が、回転シャフトに同心状に固着されたピニオンと、突き上げ機構の昇降シャフトに形成されて前記ピニオンに噛み合うラックとにより構成されている。
【0032】
これにより、従来装置のように突き上げ機構の真下位置に駆動機構を直結状態に連設する構成とは異なり、駆動機構を水平に配置したことと、ピニオンとラックからなる小型の運動変換伝達機構を用いたこととにより、装置全体の高さを従来装置に比較して大幅に縮小化できる。
【0033】
また、上面に基板保持台を載置して支持するステージが、真空容器内部の反応室内の中央部に位置して、前記反応室の周壁から水平方向に突出した複数本の支持腕部により支持され、前記真空容器の上面中央部に、反応ガス供給手段から供給される反応ガスを前記反応室内に導入するガス導入口が設けられ、前記ステージの下方中央部に、真空排気手段が配置されている。
【0034】
これにより、駆動機構を水平に配置したことによって真空容器の下方中央部に排気手段を設けることが可能となり、ステージを真空容器内部の反応室内の中央部で複数本の支持腕部で支持したことにより、各支持碗部の各間を反応ガスの通路として利用することが可能となり、真空容器の上面中央部にガス導入口を設けることができる。その結果、反応ガスは、真空容器の上面中央部のガス導入口から供給されて、各支持腕部の各間を均等に通過して下方中央部に向けて流れるから、被処理基板に対しシンメトリックな流れとなって、被処理基板の全表面に対し正確に均等な分布で供給される。これにより、被処理基板には、その全表面に均一な膜質の薄膜を高精度に処理することができる。
【0035】
さらに、ステージのガス供給部および基板保持台のガス供給部を介して前記基板保持台と被処理基板との間に基板温度制御用の伝熱ガスを供給するとともに、伝熱ガスのガス貯溜空間と接続されている伝熱ガス供給手段を備え、突き上げ機構が、複数本の突き上げピンが立設されたピン受け部材と、このピン受け部材を支持する昇降シャフトとからなり、1本の特定の支持腕部が、真空容器の外部に向け開口する中空部を有する筒状に形成され、伝熱ガスのガス貯溜空間が、前記基板保持台に設けられた前記各突き上げピンの挿通孔と、前記ステージに互いに連通して設けられた前記ピン受け部材のガイド孔と運動変換伝達部の収納空間とこの収納空間に連通状態で前記特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定されて前記真空容器の外部に対し気密状態に封止し、前記収納空間との間に駆動機構の少なくとも一部が収納された筒状の隔壁部材とにより構成されている。
【0036】
これにより、突き上げ機構の真下位置は、これの駆動機構を設けられていないことから、伝熱ガスのガス貯溜空間に利用して、極めて小さな容積のガス貯溜空間を形成でき、伝熱ガスの調圧および排気を短時間で行うことができる。
【0037】
上記真空処理装置において、収納空間に連通状態で特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定された有底筒状の隔壁部材が、その底板部により真空容器の外部に対し気密にシールするよう配設され、前記収納空間と前記隔壁部材の内部にわたり配置されて回転自在に支持された駆動機構の回転シャフトの一端部に、ラックに噛み合うピニオンが固着され、駆動源により回転される磁気カップリングの一方の輪が、前記真空容器の外部において前記隔壁部材の底板部の外面に近接配置され、前記回転シャフトの他端部に固着された前記磁気カップリングの他方の輪が、前記隔壁部材の前記底板部の内面に近接配置されて、前記底板部を介して一方の輪に磁気的に吸着されている構成とすることができる。
【0038】
これにより、ガス貯溜空間の大気に対するシールは、隔壁部材により行えるから、従来装置におけるベローズなどの摺動シールのような摺動などに伴う磨耗箇所が存在しないので、真空シールの耐久性が格段に向上する。しかも、隔壁部材によるシール構造には経時変化などが極めて少ないことから、被処理基板と基板保持台との残留吸着力と突き上げ機構の突き上げ力とのバランスを長期間にわたり一定に保持することが可能となり、機能性および信頼性が向上する。また、隔壁部材により大気からシールする構造であるにも拘わらず、駆動機構の駆動源を真空容器の外部に配置して、この駆動源の回転力を隔壁部材の内部に対して磁気カップリングを介して円滑に伝達できるようになっており、これによっても機能性および信頼性が一層向上する。
【0039】
上記真空処理装置において、磁気カップリングの両輪のずれに応じて一方の前記輪に発生するトルクを測定するトルク測定部と、前記トルク測定部のトルク測定値に基づき基板保持台と被処理基板との間の残留吸着力を演算して、その演算値に応じて駆動機構の駆動源をフィードバック制御する制御手段とを有している構成とすることができる。
【0040】
これにより、被処理基板と基板保持台との間の静電吸着力を測定トルク値に基づき監視しながら駆動機構の駆動源をフィードバック制御するので、突き上げ機構に対して、静電吸着力の減少に応じて被処理基板を無理に撓ませない範囲内で最大の突き上げ力を伝達できるように効果的、且つ効率的に制御することができる。
【0041】
上記真空処理装置において、制御手段は、被処理基板が基板保持台に対し静電吸着していない状態でのトルク測定器のトルク測定値である初期設定値と、被処理基板が突き上げ機構の突き上げ力で破断しないための剪断応力限界値とが記憶登録された記憶部を有するとともに、前記トルク測定器から入力される前記トルク測定値から前記初期設定値をオフセットした値が前記剪断応力限界値に近い所定値になった時点で、駆動源を制御して前記突き上げ機構による突き上げ動作を停止させるよう構成されていることが好ましい。
【0042】
これにより、被処理基板と基板保持台との間の静電吸着力を、初期設定値と測定トルク値とに基づく演算を行うことにより正確に検知することができ、被処理基板に対する突き上げ力を一層効果的、且つ効率的に制御することができる。
【0043】
上記真空処理装置において、トルク測定部として、駆動源と磁気カップリングの一方の輪との間に配置して一方の輪に固定された回転式トルクセンサを用いることができる。
【0044】
これにより、回転式トルクセンサは、真空容器の外部つまり大気側に配設するので、真空内に配置する場合に比較してセンサとしての精度の信頼性を保持でき、且つその寿命を確保でき、さらに、配線引回しや交換作業の簡便性が得られ、調整も容易に行え、しかも、高周波電力印加部である基板保持台に対し離間した配置であることから、ノイズによる各機器の誤動作の発生を防止できるとともに、高周波電力の効率低下を招くこともない。
【0045】
また、上記真空処理装置において、筒状の隔壁部材が、一端開口部を収納空間に気密に連通する状態で特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定され、前記収納空間と前記隔壁部材の内部とにわたり配置されて回転自在に支持された回転シャフトの一端部に、ラックに噛み合うピニオンが固着され、駆動源から回転力を伝達される磁気カップリングの一方の輪が、前記隔壁部材における前記真空容器の外部に突出した端部に、その外周面回りに回転自在に支持され、前記回転シャフトの他端部に固着された前記磁気カップリングの他方の輪が、前記隔壁部材の周壁を介在して一方の輪に磁気的に吸着するよう配置され、前記隔壁部材の他端開口部がカバーにより気密に閉塞されている構成とすることもできる。
【0046】
これにより、ガス貯溜空間の大気に対するシールは隔壁部材とカバーとにより行えるから、有底筒状の隔壁部材を設ける場合と同様に、従来装置におけるベローズなどの摺動シールに比較して摺動などに伴う磨耗箇所が存在しないので、真空シールの耐久性が格段に向上するとともに、経時変化などが極めて少ないことから、被処理基板と基板保持台との残留吸着力と突き上げ機構の突き上げ力とのバランスを長期間にわたり一定に保持することが可能となり、機能性および信頼性が向上する。また、隔壁部材により大気からシールする構造であるにも拘わらず、駆動機構の駆動源を真空容器の外部に配置して、この駆動源の回転力を隔壁部材の内部に対して磁気カップリングを介して円滑に伝達できるようになっており、これによっても機能性および信頼性が一層向上する。
【0047】
上記構成において、駆動機構の駆動源が、真空容器の外部において隔壁部材に対し側方近傍箇所に配置され、前記駆動源により回転駆動される伝動側歯車と、前記隔壁部材の外周面に回転自在に支持されて前記伝動側歯車に噛み合った受動側歯車とを備え、磁気カップリングの一方の輪が、前記受動側歯車に一体回転するよう連結されている構成とすることもできる。
【0048】
これにより、駆動機構を、真空容器の外方への突出長さが小さいコンパクトな構成とすることができる。
【0049】
上記構成において、磁気カップリングの近接位置に配置されて前記磁気カップリングの両輪間のずれ量を測定するずれ量測定部と、このずれ量測定部が測定ずれ量に基づき基板保持台と被処理基板との間の残留吸着力を演算して、その演算値に応じて駆動機構の駆動源をフィードバック制御する制御手段とを有している構成とすることもできる。
【0050】
これにより、トルク測定値に基づく制御の場合と同様に、被処理基板と基板保持台との間の静電吸着力を測定ずれ量に基づき監視しながら駆動機構の駆動源をフィードバック制御するので、突き上げ機構に対して、静電吸着力の減少に応じて被処理基板を無理に撓ませない範囲内で最大の突き上げ力を伝達するよう効果的、且つ効率的に制御することができる。
【0051】
上記構成において、ずれ量測定器のずれ量測定値と突き上げ機構の突き上げ力とは一次関数の関係にあり、前記制御手段は、被処理基板が基板保持台に対し静電吸着していない状態でのずれ量測定器のずれ量測定値である初期設定値と、被処理基板が突き上げ機構の突き上げ力で破断しないための剪断応力限界値とが記憶登録された記憶部を有し、前記ずれ量測定器から入力される前記ずれ量測定値から前記初期設定値をオフセットした値が前記剪断応力限界値に近い所定値になった時点で、駆動源を制御して前記突き上げ機構による突き上げ動作を停止させる構成とすることができる。
【0052】
これにより、被処理基板と基板保持台との間の静電吸着力を、カップリングにおける一対の輪のずれ量測定値に基づく演算を行うことによって正確に検知することができ、被処理基板に対する突き上げ力を一層効果的、且つ効率的に制御することができる。
【0053】
上記構成において、隔壁部材の他端開口部の周縁部に連通状態に固着されて前記開口部を気密に封止する透光性透明カバーと、この透光性透明カバーの内部において回転シャフトの他端部に固着された円板ドグとを有し、ずれ量測定部として、前記透明カバーを介在して相対向する配置で磁気カップリングの一方の輪に一体回転するよう取り付けられた投光部と受光部とからなり、前記投光部からの出射光が前記透明カバーを透過して前記円板ドクの切欠きを通過したのちに前記受光部に受光される受光量に基づき前記磁気カップリングの両輪のずれ量を検出する透過型変位計を用いることができる。
【0054】
これにより、突き上げ機構の駆動機構における静電吸着力の測定手段として、透過型変位計を用いたので、駆動機構の駆動源を磁気カップリングの側方に並置した配置とすることが可能となり、真空容器の側方への突出長さを一層小さくしてコンパクトな構造とすることができる。
【0055】
上記真空処理装置において、隔壁部材に、ガス貯溜空間内の伝熱ガスを外部に排出するためのガス排出部が設けられ、このガス排出部に、基板保持台と被処理基板との間の伝熱ガスの圧力を一定値に調圧するガス圧力調整制御機構部を設ける構成とすることが好ましい。
【0056】
これにより、伝熱ガスを、ガス貯溜空間に充満して所定圧に迅速に調圧できるとともに、隔壁部材を介して円滑、且つ迅速に排出することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る基板取り外し方法を具現化した真空処理装置を示す概略断面構成図を示し、図2はその切断平面図、図3はその概略縦断面図をそれぞれ示す。これらの図には、シリコンウェハを被処理基板4として、これに反応性イオンエッチング型のプラズマドライエッチングを行う真空処理装置を例示してある。真空容器30は、矩形箱形の外形を有するとともに、円板状の被処理基板4に対応して内部に横断面円形の反応室31が設けられている。この真空容器30の上面には、図3に明示するように、その中央部にガス導入口32が設けられ、反応室31内にはガス供給手段33からガス導入口32を通じて反応ガスGが供給される。
【0058】
真空容器30の内部には、図2に明示するように、反応室31の周壁から等間隔の配置で内方に突設した4本の支持腕部34と、この各支持腕部34により支持されたステージ37とが一体形成されている。ステージ37上には、図3に示す絶縁支台38が載置固定され、この絶縁支台38上には、被処理基板4を載置して保持する基板保持台7が設けられている。なお、図1には絶縁支台38の図示を省略してある。
【0059】
基板保持台7は、静電吸着型のものであって、図3に示すように、例えば、厚さが5mm程度のアルミナ誘電体部39と、図示しない冷却水路を内部に有したアルミニウム製のベース部40とで構成されている。アルミナ誘電体部39には、その表面から500 μmの内部にタングステンからなる一対の静電吸着用を兼ねる下部電極である内部電極8,9が内蔵されている。また、図1に示すように、一対の内部電極8,9の各接続端子8a,9aには、対応する正極の直流電源10および負極の直流電源11からそれぞれ個別の高周波フィルタ12を介して正、負電圧が印加されるようになっている。正極および負極の直流電圧印加回路の高周波フィルタ12よりも内部電極8,9側の部分には、13.56 MHzの高周波電源13がそれぞれ個別の直流カット用コンデンサ14を介して接続されており、前記一対の内部電極8,9には、コンデンサ14および両電極8,9の接続端子8a,9aを介して高周波電力を印加できるようになっている。
【0060】
図3に示すように、真空容器30内の上部には、基板保持台7の内部電極8,9と対向する上部電極22が設けられて接地されており、双方の電極8,9、22間での高周波電圧の印加により、真空容器30内に供給された反応ガスGがプラズマ化する。
【0061】
ステージ37の内部には、基板保持台7が保持している被処理基板4をその表面処理終了後に突き上げて基板保持台7から剥離させるための突き上げ機構41が設けられている。この突き上げ機構41は、下部にラック50を有する昇降用リニアシャフト42が開放型リニアブッシュ51により上下動自在に保持され、昇降用リニアシャフト42の上端部に十字形状のピン受け部材43が固着され、ピン受け部材43の十字形状の各先端部に突き上げピン44がそれぞれ立設された構成になっている。ピン受け部材43は、ステージ37に設けられた十字形状のガイド孔47内に上下動可能に収納されており、4本の突き上げピン44は、それぞれ絶縁支台38の挿通孔48および基板保持台7の挿通孔49を挿通して基板保持台7の内部を下方から上方へ貫通できるように設けられている。また、開放型リニアブッシュ51は、ステージ37の下方内部に各ガイド孔47に連通して形成された収納空間52内に配設されている。
【0062】
各突き上げピン44は、通常時に図3に図示するように基板保持台7内に没しているが、処理すべき被処理基板4が搬送アーム(図示せず)によって外部から真空容器30内に搬入されたときに、基板保持台7の上方へ突出されて被処理基板4を受け取ったのちに、再び基板保持台7内に没して、被処理基板4を基板保持台7上に載置する。また、突き上げ機構41は、表面処理終了後にも上昇して、基板保持台7上に静電吸着している被処理基板4の裏面を4本の突き上げピン44の先端で突き上げ、被処理基板4を基板保持台7から剥離する。
【0063】
上記突き上げ機構41の駆動機構53は、4本の支持腕部34,34Aのうちの特定の1本の支持腕部34Aを介して水平方向に配置されている。すなわち、特定の1本の支持腕部34Aは、真空容器30の外部に開放する筒状になっており、その特定の支持腕部34Aの中空内部には、開口部にフランジ54を一体に有する有底筒状の隔壁部材57が、フランジ54により収納空間52との間を気密に封止した状態で嵌め込まれている。収納空間52と隔壁部材57の内部とにそれぞれ配置された軸受58,59により両端側を回転自在に支持された回転シャフト60の一端部には、ピニオン61が軸着されており、このピニオン61が昇降用リニアシャフト42のラック50に噛み合っている。また、回転シャフト60の外方側端部には、磁気カップリング62の受動輪62aが、隔壁部材57の底板部内面に接触状態で固着されている。
【0064】
一方、真空容器30の外部における隔壁部材57の底板部に対向する位置には、駆動機構53の駆動源のモータ63が配置されている。このモータ63のモータ軸63aは、カップリング67を介して伝動軸64に連結されており、この伝動軸64にはトルクセンサ68が軸着され、さらに、トルクセンサ68には、上記磁気カップリング62の伝動輪62bが隔壁部材57の底板部外面に接触した状態で固定されている。したがって、磁気カップリング62の伝動輪62bと受動輪62aとは、隔壁部材57の底板部を介在して磁気的に互いに吸着している。
【0065】
突き上げ機構41の駆動機構53は、突き上げ機構41に直交して水平方向に配置されているとともに、この水平方向に配置した駆動機構53の回転力が、ピニオン61とラック50とを用いた小型の運動変換伝達機構によって突き上げ機構41の上下方向の直線運動に変換されている。したがって、この真空処理装置では、図5の従来装置のように突き上げ機構17の真下位置に駆動機構を連設する構成とは異なり、駆動機構41を水平に配置したことと、ピニオン61とラック50からなる小型の運動変換伝達機構を用いたことにより、装置全体の高さを従来装置に比較して大幅に縮小化できる利点がある。しかも、突き上げ機構41の真下位置は、これの駆動機構53が設けられていないことから、後述の伝熱ガスのガス貯溜空間に利用して、極めて小さな容積のガス貯溜空間を形成できるとともに、反応ガスGを、突き上げ機構41の真下位置、つまり反応室31の下方中心部から排出することが可能となる。これに対応して反応ガスGのガス導入口32は、図3に示したように反応室31の中心部上方に設けることが可能となっている。これらの詳細については後述する。
【0066】
また、図3に示すように、ステージ37の収納空間52の下方は、ステージ37の下面に固着されたケーシング69により密閉されており、隔壁部材57は、ステージ37における四つの各ガイド孔47と収納空間52とを真空容器30の外部の大気に対しシールするよう機能する。すなわち、各ガイド孔47、収納空間52および隔壁部材57の内部空間は、後述する伝熱ガスのガス貯溜空間を形成しており、このガス貯溜空間は、上述のように突き上げ機構41の駆動機構53を水平方向に配置したことによって突き上げ機構41の真下位置に配設されているから、図5の従来装置のように突き上げ機構17の真下位置にベローズ28などを用いて構成したガス貯溜空間に比較して格段に小さな容積になっている。
【0067】
また、ガス貯溜空間の大気に対するシールは、隔壁部材57により行っているから、従来装置におけるベローズ28などの摺動シールに比較して摺動などに伴う磨耗箇所が存在しないので、真空シールの耐久性が格段に向上するとともに、経時変化などが極めて少ないことから、被処理基板4と基板保持台7との残留吸着力と突き上げ機構41の突き上げ力とのバランスを長期間にわたり一定に保持することが可能となり、機能性および信頼性が向上する。また、隔壁部材57により大気からシールする構造であるにも拘わらず、駆動機構53の駆動源であるモータ63等を真空容器30の外部に配置して、この駆動源のモータ63の回転力を隔壁部材57の内部に対して磁気カップリング62を介して円滑に伝達できるようになっており、これによっても機能性および信頼性が一層向上する。
【0068】
図1に示すように、被処理基板4と基板保持台7との隙間には、ガス供給源(図示せず)から伝熱ガス供給機構70を介して、例えば、ヘリウムガスのような伝熱ガスが供給され、極めて流動性の良い伝熱ガスは、被処理基板4から熱を吸収して基板保持台7に対し伝熱し、基板保持台7は、内部の冷却水路(図示せず)を常時流れる冷却水により冷却される。この伝熱ガス供給機構70は、流量コントローラ71およびバルブ72などにより構成されており、ステージ37のガス供給孔73、絶縁支台38のガス供給孔(図示せず)、基板保持台7の下面のガス供給溝74を介して中心部のガス供給孔75から基板保持台7と被処理基板4との隙間における中心部に伝熱ガスを供給する。また、供給された伝熱ガスは、基板保持台7の挿通孔49、絶縁支台38の挿通孔48、四つの各ガイド孔47、収納空間52および隔壁部材57の内部で構成されるガス貯溜空間内に充満し、所定の圧力に調圧される。
【0069】
上記伝熱ガス供給機構70に対応して、被処理基板4と基板保持台7との間の伝熱ガスの圧力を監視して制御するためのガス圧力調整制御機構部77が設けられている。このガス圧力調整制御機構77は、圧力調整器78および圧力調整バルブ79などにより構成されており、ガス導入側が、上述のガス貯溜空間を構成する隔壁部材57から導出されたガス排気管80と、図3に示す排気ポンプ81とに両端側をそれぞれ配管接続されている。なお、排気ポンプ81は反応ガスGの真空排気手段をも兼ねている。
【0070】
図1に示す制御手段82は、トルクセンサ68のトルク測定値に基づきモータ63の駆動をフィードバック制御しながら、突き上げ機構41を介して被処理基板4を基板保持台7から円滑、且つ迅速に剥離するよう制御する。また、制御手段82は、伝熱ガス供給機構70、ガス圧力調整制御機構77、供給用短絡バルブ83および排出用短絡バルブ84をそれぞれ制御するが、この制御については後述する。
【0071】
つぎに、上記真空処理装置の作用について説明する。外部から真空容器30の内部に被処理基板4が搬入されると、駆動機構53のモータ63が正回転し、このモータ63の回転が磁気カップリング62および回転シャフト60を介してピニオン61に伝達され、このピニオン61に自体のラック50が噛み合っている昇降用リニアシャフト42が開放型リニアブッシュ51に保持されながら上動する。4本の突き上げピン44は、昇降用リニアシャフト42により上昇されて基板保持台7の上方に突き出た状態で被処理基板4を受け取り、そののちに、モータ63の逆回転により下降して基板保持台7内に没することにより、被処理基板4を基板保持台7上に載置する。
【0072】
上述のようにして被処理基板4のセットが終了すると、一対の内部電極8,9には直流電源10,11から高周波フィルタ12を介して正,負の直流電圧1kVが印加される。これにより、被処理基板4は基板保持台7の上面に静電吸着して強固に保持される。一方、真空容器30の内部は、排気ポンプ81などからなる真空排気手段により真空排気される。
【0073】
続いて、被処理基板4と基板保持台7との隙間には、伝熱ガス供給機構70によって伝熱ガスが10cc/minで導入されるとともに、ガス圧力調整制御機構77によって10Torrに調圧される。このとき、各ガイド孔47、収納空間52および隔壁部材57の内部空間により構成されるガス貯溜空間内は、上述のように格段に小さな容積に構成されているので、極めて短時間で所要の10Torrに調圧される。しかも、この実施の形態では、制御手段82が伝熱ガスの供給時に供給用短絡バルブ83を開け、且つ排出用短絡バルブ84を閉じるよう制御する。これにより、伝熱ガスは、伝熱ガス供給機構70から分岐して供給用短絡バルブ83およびガス排気管80を通る経路を介して隔壁部材57側からも同時に供給され、調圧時間が一層短縮する。
【0074】
さらに、真空容器30の反応室31内には、反応ガス供給手段33によって反応ガスGが同時に導入されるとともに、所定圧力に調圧される。このとき、反応ガスGは、反応室31内における流れを図3の矢印で示すように、断面円形の反応室31に対しその中心上方部のガス導入口32から供給されて、4本の支持腕部34の各間を均等に通過してガス導入口32に対向する中心下方部の排出口に向けて流れ、反応室31内を所定の一定圧力に調圧して排気される。したがって、反応ガスGは、被処理基板4に対しシンメトリックな流れとなり、被処理基板4の全表面に対し正確に均等な分布で供給されることになる。
【0075】
上記のように反応室31内の反応ガスGの圧力が一定値に調圧された状態になると、一対の内部電極8,9には、高周波電源13から高周波電力を2分岐させたのちに直流カット用コンデンサ14を通して供給される。これにより、一対の内部電極8,9と上部電極22との間にはプラズマが発生して、被処理基板4に対して伝熱ガスにより効率良く冷却しながら所望の表面処理(この実施の形態ではドライエッチング)が施される。この表面処理では、上述のように被処理基板4の全表面に対し反応ガスGが均等に供給されるので、全体に均一な膜質の薄膜を高精度に処理できる。
【0076】
被処理基板4の表面処理が終了すると、高周波電力、反応ガスGおよび伝熱ガスの供給をそれぞれ停止したのちに、真空排気手段である排気ポンプ81の駆動によって反応室31内を一旦真空排気しながら直流電源10,11の出力を停止する。ここで、上述のように伝熱ガスのガス貯溜空間が小さな容積に構成されていることから、伝熱ガスをガス圧力調整制御機構77の制御によってガス排気管80を介し迅速に排出できる。しかも、この実施の形態では、制御手段82が伝熱ガスの排出時に供給用短絡バルブ83を閉じ、且つ排出用短絡バルブ84を開くよう制御するので、特に、被処理基板4と基板保持台7との隙間に存在する伝熱ガスを、ガス供給溝74、絶縁支台38のガス供給孔およびステージ37のガス供給孔73を通じて一層迅速に排出することができる。
【0077】
上記の表面処理が終了した時点では、被処理基板4自体のプラズマからの帯電と、被処理基板4と基板保持台7の絶縁層表面との間に存在する残留電荷とにより、被処理基板4が基板保持台7に対し未だ静電吸着された状態を維持している。したがって、この状態で被処理基板4を突き上げ機構41で突き上げて基板保持台7から強制的に剥離しようとすると、被処理基板4の破損や搬送トラブルを起こしてしまう。特に、被処理基板4が絶縁材である場合には、上記の不具合が発生し易い。
【0078】
そこで、残留電荷による静電吸着を解消する工程をつぎのように行う。先ず、実稼働に先立って、被処理基板4を基板保持台7上に単に載置して静電吸着が発生しない状態において、突き上げ機構41を作動させて各突き上げピン44により被処理基板4を突き上げて、このときにトルクセンサ68に加わる外力を測定して、そのデータを初期設定値として制御手段82の記憶部82aに予め記憶設定しておく。このとき、トルクセンサ68には、反応室31内が真空であることから、突き上げ機構41の重量と被処理基板4の重量とによる再現性のあるトルクが磁気カップリング62を介して加わる。この記憶登録した初期設定値は、再現性が高いため、突き上げ機構41を解体および再組み立てするまで変更する必要がない。
【0079】
そして、実稼働時において、被処理基板4の表面処理が終了すると、駆動機構53の駆動によって上昇する突き上げ機構41の各突き上げピン44の先端が基板保持台7上の被処理基板4に接触したとき、被処理基板4が静電吸着している場合には、磁気カップリング62における互いに磁気吸着している伝動輪62bと受動輪62aとの間に、初期設定値以上の外力が加わることより、両輪62a,62b間に回転方向のずれが生じ、このずれ分のトルク、つまり発生するずれ分だけ伝動輪62bを元に戻そうとするトルクがトルクセンサ68により測定される。
【0080】
上記のトルクセンサ68は、磁気カップリング62の伝動輪62bに一体的に固定して配設されており、隔壁部材57を介して吸着されている受動輪62aに対する伝動輪62bのトルク変化量、つまり静電吸着力を含む全ての外力のみを極めて良好に検出できるので、制御手段82は、トルクセンサ68の測定トルク値から初期設定値をオフセットすることにより、静電吸着力のみを極めて正確に算出する。
【0081】
なお、上記のトルクセンサ68は、真空容器30の外部つまり大気側に配設されているため、真空内に配置する場合に比較してセンサとしての精度の信頼性を保持でき、且つその寿命を確保でき、さらに、配線引回しや交換作業の簡便性が得られ、調整も容易に行なえ、しかも、高周波電力印加部である基板保持台7に対し離間した配置であることから、ノイズによる各機器の誤動作の発生を防止できるとともに、高周波電力の効率低下を招くこともないという利点がある。
【0082】
また、制御手段82の記憶部82aには、被処理基板4を突き上げ機構41による突き上げ力によって破断しないための剪断応力限界値が予め設定記憶されている。制御手段82は、トルクセンサ68の測定トルク値が剪断応力限界値に近い所定値になった時点で、モータ63の回転を停止して突き上げ動作を停止させ、突き上げ機構41を一旦下降させる。このとき、磁気カップリング62の伝動輪62bの回転角度は、上述のようにトルクセンサ68の測定トルク値に基づいて制御手段82により制御されるモータ63の回転角度と同一であり、この伝動輪62bに対して受動輪62aがずれる角度にほぼ比例した一次関数的な突き上げ力を突き上げ機構41に発生させることができる。したがって、突き上げ機構41からは、従来装置のように突き上げ機構17が駆動源19に直結された構造と異なり、被処理基板4に対してこれを無理に撓ませるような突き上げ力が付与されることがない。
【0083】
この実施の形態では、実測に基づいて、トルクセンサ68が0.5 kgmの負荷トルクを検出した時点で突き上げ動作を停止させ、突き上げ機構41を一旦下降させたのち、再び突き上げ機構41を上昇させて突き上げピン44で被処理基板4の裏面を突き上げさせ、この断続的な突き上げ動作を継続するよう制御するようになっている。この場合、制御手段82は、トルクセンサ68の測定トルク値に基づいてモータ63をフィードバック制御して、剪断応力限界値に近い所定値になった時点毎にモータ63の回転を停止させる。したがって、突き上げ機構41には、突き上げ動作の継続により減少する静電吸着力の減少に対応して、その都度、被処理基板4を破損させない範囲内での最大の突き上げ力が伝達されることになる。
【0084】
上記の断続的な突き上げ動作により、被処理基板4は各突き上げピン44により突き上げられる部分から徐々に基板保持台7から剥離されていき、被処理基板4の基板保持台7との接触面積が徐々に減少することから、基板保持台7表面のアルミナ誘電体部39と被処理基板4との間の残留電荷は、被処理基板4の裏面に存在する伝熱ガスを媒体として電気的に中和されていく。この結果、被処理基板4と基板保持台7との静電吸着力が効果的に減少する。
【0085】
そして、制御手段82は、これの判定部82bがトルクセンサ68の測定トルク値から残留吸着力が所定値以下まで低下したと判定したときに、突き上げ機構41を所定の突き上げ力と速度とで上昇させて、被処理基板4を基板保持台7から一気に剥離させて、そのまま基板搬送位置まで上昇させるよう制御する。上記の残留吸着力の所定値は、突き上げピン44により被処理基板4を一気に突き上げても被処理基板4に破損や搬送トラブルが生じない値に設定され、上記の所定の上昇速度は、突き上げピン44で被処理基板4を突き上げたときに被処理基板4に位置ずれが生じない範囲内での最速の速度に設定される。実測値を示すと、最速の速度は20mm/sに設定するのが好ましい。
【0086】
このように、被処理基板4と基板保持台7との間の静電吸着力を効果的に減少させて解消したのちに、残留吸着力が突き上げピン44による突き上げ力で被処理基板4を破損や搬送トラブルが生じない程度まで低下した時点で、被処理基板4を基板保持台7から一気に剥離して基板搬送位置まで上昇させるので、被処理基板を、破損や損傷を招くことなく、可及的に迅速に基板保持台7から剥離して安定に搬送することができるから、スループットが格段に向上する。
【0087】
また、この実施の形態では、除電プラズマを用いず、また、真空容器30の反応室31内にコロナ放電用の高電圧電極を有しないため、真空容器30からのマイクロスパッタによる発塵や電極材料からの不純物による汚染または発塵は生じない。さらに、この実施の形態では、突き上げ機構41による突き上げ力を被処理基板4の剪断応力限界値以下に制限しているので、例えば、MOSトランジスタのしきい値電圧のシフトなどのデバイスダメージや発塵の発生を招くおそれがない。
【0088】
なお、上記実施の形態では、静電吸着力の検出手段として、トルクセンサ68を用いる場合を例示して説明したが、駆動源のモータ63としてサーボモータを用いる場合には、サーボモータに組み込まれているトルク検出装置を用いて静電吸着力を検出する構成とすることもできる。
【0089】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る真空処理装置を示す一部の斜視図である。この実施の形態の真空処理装置が第1の実施の形態の装置と相違する点は、突き上げ機構41の駆動機構87のみである。同図において、回転シャフト60は第1の実施の形態のものと同一であり、この回転シャフト60の外方側が挿入されている隔壁部材89は、底部のない円筒状であって、その外方側(図の右側)開口端部は、石英などの透光性を有する素材からなる中空円板状の透明カバー88に対しその内部に連通する状態に連結されて、この透明カバー88で気密に封止されている。したがって、伝熱ガスのガス貯溜空間は透明カバー88によって大気からシールされている。
【0090】
回転シャフト60の外方側端部は、隔壁部材89から透明カバー88内に挿入されて、透明カバー88内に収納された円板ドグ90が同心状の配置で固着されている。円板ドグ90には一部に切欠き90aが形成されている。また、回転シャフト60の隔壁部材89内に位置する箇所には、磁気カップリング91の受動輪91aが外嵌固定されている。
【0091】
一方、この駆動機構87の駆動源であるモータ63は、回転シャフト60に対し側方に位置して平行に配置され、そのモータ軸63aには伝動側平歯車93が外嵌固定されている。この伝動側平歯車93は、隔壁部材89の外周面に軸受部材94を介して回転自在に支持された受動側平歯車97に噛み合っている。この受動側平歯車97には、磁気カップリング91の受動輪91aに対し同心状の配置で隔壁部材89の外周面に摺接自在に設けられた磁気カップリング91の伝動輪91bが、図示しない連結環を介して一体回転するよう連結されている。上記伝動輪91bには、透明カバー88を挟むように配置されたほぼU字形状の支持ブラケット98が取り付けられており、支持ブラケット98の両端部には、透過型変位計99の投光部99aと受光部99bとが、円板ドグ90の切欠き90aを光学的に検出できる位置関係で相対向した配置で固着されている。
【0092】
この駆動機構87では、モータ63の回転が伝動側平歯車93、受動側平歯車97を介して磁気カップリング91の伝動輪91bに伝達され、さらに、伝動輪91bに隔壁部材89を介在して磁気吸着している受動輪91aに伝達され、この受動輪91aが軸着されている回転シャフト60に伝達され、この回転シャフト60に固着された図1のピニオン61が回転して突き上げ機構41を昇降させる。
【0093】
この駆動機構87は、定常状態、つまり磁気カップリング91の両輪91a,91bが所定の相対位置で対向している状態において、透過型変位計99の投光部99aの発光の殆どが円板ドグ90の切欠き90aを通って受光部99bに受光される。そして、被処理基板4の表面処理が終了して、駆動機構87の駆動によって上昇する突き上げ機構41の各突き上げピン44の先端が基板保持台7上の被処理基板4に接触したとき、被処理基板4が静電吸着している場合には、磁気カップリング91の伝動輪91bと受動輪91aとの間に、静電吸着力によって初期設定値以上の外力が加わることより、回転差方向のずれが生じる。このずれ分のトルク、つまり伝動輪91bにずれ分だけ元に復帰しようとする回転力によるトルクが生じる。
【0094】
上記の磁気カップリング91に加わるトルクは、透過型変位計99により検出される。すなわち、トルクが加わらないことによって磁気カップリング91の両輪91a,91bが一体に回転している場合には 円板ドグ90と透過型変位計99とが、投,受光部99a,99bと切欠き90aとが正確に相対向する配置で一体的に回転するが、磁気カップリング91にトルクが加わると、伝動輪91bに対し受動輪91aが遅れる状態に回転差が生じて、透過型変位計99が切欠き90aからずれて投光部99aの発光の一部が円板ドグ90に遮光され、受光部99bの受光量が減少する。透過型変位計99では、円板ドク90の切欠き90aからの変位量を受光部99bの受光量として測定する。
【0095】
この透過型変位計99の測定データは図1の制御手段82に入力される。制御手段82は、入力された測定データに基づきモータ63をフィードバック制御して、第1の実施の形態と同様に、被処理基板4を基板保持台7から円滑に剥離させる。この実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得られるのに加えて、突き上げ機構41の駆動機構87における静電吸着力の検出手段として、透過型変位計99を用いたことにより、駆動源のモータ63を磁気カップリング91の側方に並置した配置とすることができる。そのため、第1の実施の形態の駆動機構53では、その構造上、各部材を一列に配列して真空容器30の側方への突出長さが大きくなるのに対して、その突出長さを小さくしてコンパクトな構造とできる利点がある。
【0096】
なお、上記実施の形態では、真空処理装置として、反応性イオンエッチング型のドライエッチング装置を例示して説明したが、プラズマの発生手段はこれに限られるものではなく、誘導結合型、ECR型、ヘリコン型または表面波型などのプラズマ発生手段を備えたものにも適用できる。
【0097】
また、ドラエッチング装置に代えて、プラズマCVD装置やスパッタリング装置あるいはアッシング装置などにも本発明を有効に適用できる。さらに、被処理基板4を静電吸着する基板保持台7の静電吸着電極は、正極および負極を用いる双極型のものを例示したが、これに代えて、単極型のものを用いることもできる。
【0098】
また、伝熱ガスとしては、ヘリウムガス以外の不活性ガス或いは他のガスを用いることもできる。さらに、伝熱ガスの配管系統は上記実施の形態の系統に限られるものではなく、被処理基板4と基板保持台7との間にガスを供給できる配管系統であればよい。さらにまた、上記実施の形態では、静電吸着型の基板保持台7を用いた場合について説明したが、接地或いは高周波電力が印加される基板保持台であっても、絶縁材料の被処理基板の場合には特に残留電荷による吸着に起因する搬送トラブルが発生するので、このような場合にも本発明を適用して同様の効果を得ることができる。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明の真空処理装置の基板取り外し方法によれば、駆動源の回転力を、磁気カップリングの磁気的に互いに吸着している一対の輪を介して突き上げ力に変換するので、駆動源により回転される一方の輪に対して他方の輪がずれる角度にほぼ比例した一次関数的な突き上げ力を突き上げ機構に発生させることができる。したがって、従来装置のように突き上げ機構が駆動源に直結された構造と異なり、突き上げ機構からは、被処理基板に対してこれを無理に撓ませるような突き上げ力が付与されることがない。さらに、被処理基板と基板保持台との間の残存する静電吸着力を測定トルク値に基づき監視しながら、突き上げ機構に対して、静電吸着力の減少に応じて被処理基板を無理に撓ませない範囲内で最大の突き上げ力を伝達することができる。
【0100】
また、本発明の真空処理装置によれば、駆動機構の駆動源の回転力を、磁気カップリングの磁気的に互いに吸着している一対の輪を介して回転シャフトに伝達し、この回転シャフトの回転力を、運動変換伝達部を介し突き上げ機構に対しこれの上下方向の直線運動に変換する構成としたので、本発明の基板取り外し方法を忠実に具現化して、基板取り外し方法と同様に、被処理基板に対してこれを無理に撓ませるような突き上げ力を付与することがないという効果を得ることができる。また、突き上げ機構の駆動機構を水平に配置する構成としたので、装置の上下方向の高さを格段に縮小できるとともに、突き上げ機構の真下位置を利用して容積の小さい伝熱ガスのガス貯蔵空間を構成できる。また、従来装置のように突き上げ機構の真下位置に駆動機構を直結状態に連設する構成とは異なり、駆動機構を水平に配置したことと、ピニオンとラックからなる小型の運動変換伝達機構を用いたこととにより、装置全体の高さを従来装置に比較して大幅に縮小化できる。また、駆動機構を水平に配置したことによって真空容器の下方中央部に排気手段を設けることが可能となり、ステージを真空容器内部の反応室内の中央部で複数本の支持腕部で支持したことにより、各支持碗部の各間を反応ガスの通路として利用することが可能となり、真空容器の上面中央部にガス導入口を設けることができる。その結果、反応ガスは、真空容器の上面中央部のガス導入口から供給されて、各支持腕部の各間を均等に通過して下方中央部に向けて流れるから、被処理基板に対しシンメトリックな流れとなって、被処理基板の全表面に対し正確に均等な分布で供給される。これにより、被処理基板には、その全表面に均一な膜質の薄膜を高精度に処理することができる。さらに、突き上げ機構の真下位置は、これの駆動機構を設けられていないことから、伝熱ガスのガス貯溜空間に利用して、極めて小さな容積のガス貯溜空間を形成でき、伝熱ガスの調圧および排気を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板取り外し方法を具現化した真空処理装置を示す概略断面構成図。
【図2】同上真空処理装置の切断平面図。
【図3】同上真空処理装置の概略縦断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る基板取り外し方法を具現化した真空処理装置を示す一部の斜視図。
【図5】従来の一般的なプラズマ処理装置を示す断面構成図。
【符号の説明】
4 被処理基板
30 真空容器
31 反応室
33 反応ガス供給手段
34 支持腕部
34A 特定の支持腕部
37 ステージ
41 突き上げ機構
42 昇降用シャフト
43 ピン受け部材
44 突き上げピン
47 ガイド孔
50 ラック
52 収納空間
57 隔壁部材
60 回転シャフト
61 ピニオン
62 磁気カップリング
62a 受動輪(他方の輪)
62b 伝動輪(一方の輪)
63 モータ(駆動源)
68 トルクセンサ
70 伝熱ガス供給機構
77 ガス圧力調整制御機構部
81 排気ポンプ(真空排気手段)
82 制御手段
82a 記憶部
87 駆動機構
88 透明カバー
89 隔壁部材
90 円板ドグ
90a 切欠き
91 磁気カップリング
91a 受動輪(他方の輪)
91b 伝動輪(一方の輪)
99 透過型変位計

Claims (14)

  1. 真空容器内の基板保持台の上面に保持された被処理基板に対し表面処理を行ったのち、その表面処理に伴って生じた帯電により前記基板保持台に静電吸着されている前記被処理基板を前記基板保持台から剥離して取り外す基板取り外し方法において、
    駆動源の回転力を、磁気カップリングにおける互いに磁気的に吸着した一対の輪のうちの一方の輪に伝達して、この輪との磁気吸着力によって回転する他方の輪の回転力を、前記被処理基板を裏面から突き上げるための突き上げ力に変換し、
    前記駆動源によって一方の輪を所定の回転角度に回転させて、前記両輪が互いにずれる回転角度に応じた突き上げ力で前記被処理基板を突き上げるようにし、
    かつ磁気カップリングの両輪が互いにずれるときの一方の輪に発生するトルクを測定し、その測定トルク値に応じて駆動源による一方の輪の回転角度を制御して、被処理基板への突き上げ動作を行うようにした
    ことを特徴とする真空処理装置の基板取り外し方法。
  2. 測定トルク値が所定の上限値に達したときに、駆動源の回転による突き上げ動作を一旦停止して、一方の輪を元の位置に戻すよう前記駆動源を回転制御したのちに、前記突き上げ動作を繰り返し行うようにした請求項1に記載の真空処理装置の基板取り外し方法。
  3. 駆動源の回転による突き上げ動作を、測定トルク値が所定の下限値以下になるまで繰り返し行い、測定トルク値が下限値以下になったときに、前記駆動源を回転制御して、被処理基板を基板保持台から剥離できる所定の突き上げ力と速度とで前記被処理基板を突き上げて前記基板保持台から剥離させ、且つ前記被処理基板をそのまま次工程へ搬送できる高さまで持ち上げさせるようにした請求項2に記載の真空処理装置の基板取り外し方法。
  4. 被処理基板の基板保持台、内部を真空排気する真空排気手段および反応ガスを内部に導入する反応ガス供給手段を有する真空容器と、
    前記被処理基板の表面処理の終了時に前記基板保持台の上面に静電吸着している前記被処理基板を裏面から突き上げる突き上げ機構と、
    前記突き上げ機構に突き上げ力を伝達する駆動機構とを備え、
    前記駆動機構は、互いに磁気的に吸着した一対の輪を有する磁気カップリングと、一方の輪に回転力を伝達する駆動源と、他方の輪が同心状に固着され、この他方の輪の一方の輪との磁気吸着力によって回転される回転シャフトと、前記回転シャフトの回転力を前記突き上げ機構に対しこれの上下方向の直線運動に変換して伝達する運動変換伝達部とを備え、
    かつ、前記駆動機構が、突き上げ機構に対し直交して水平方向に配置され、前記直交する箇所に設けられた運動変換伝達部が、回転シャフトに同心状に固着されたピニオンと、突き上げ機構の昇降シャフトに形成されて前記ピニオンに噛み合うラックとにより構成され、
    前記真空容器内部の反応室内の中央部に位置して、上面に基板保持台を載置して支持するステージが、前記反応室の周壁から水平方向に突出した複数本の支持腕部により支持され、
    前記真空容器の上面中央部に、反応ガス供給手段から供給される反応ガスを前記反応室内に導入するガス導入口が設けられ、前記ステージの下方中央部に、真空排気手段が配置され、
    さらに前記ステージのガス供給部および基板保持台のガス供給部を介して前記基板保持台と被処理基板との間に基板温度制御用の伝熱ガスを供給するとともに、伝熱ガスのガス貯溜空間と接続されている伝熱ガス供給手段を備え、
    前記突き上げ機構が、複数本の突き上げピンが立設されたピン受け部材と、このピン受け部材を支持する昇降シャフトとからなり、
    1本の特定の支持腕部が、真空容器の外部に向け開口する中空部を有する筒状に形成され、
    前記ガス貯溜空間が、
    前記基板保持台に設けられた前記各突き上げピンの挿通孔と、
    前記ステージに互いに連通してそれぞれ設けられた前記ピン受け部材のガイド孔と運動変換伝達部の収納空間と、
    この収納空間に連通状態で前記特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定されて前記真空容器の外部に対し気密状態に封止し、前記収納空間との間に駆動機構の少なくとも一部が収納された筒状の隔壁部材とにより構成されている
    ことを特徴とする真空処理装置。
  5. 収納空間に連通状態で特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定された有底筒状の隔壁部材が、その底板部により真空容器の外部に対し気密にシールするよう配設され、
    前記収納空間と前記隔壁部材の内部にわたり配置されて回転自在に支持された駆動機構の回転シャフトの一端部に、ラックに噛み合うピニオンが固着され、
    駆動源により回転される磁気カップリングの一方の輪が、前記真空容器の外部において前記隔壁部材の底板部の外面に近接配置され、
    前記回転シャフトの他端部に固着された前記磁気カップリングの他方の輪が、前記隔壁部材の前記底板部の内面に近接配置されて、前記底板部を介して一方の輪に磁気的に吸着されている請求項4に記載の真空処理装置。
  6. 磁気カップリングの両輪のずれに応じて一方の輪に発生するトルクを測定するトルク測定部と、
    前記トルク測定部のトルク測定値に基づき基板保持台と被処理基板との間の残留吸着力を演算して、その演算値に応じて駆動機構の駆動源をフィードバック制御する制御手段とを有している請求項に記載の真空処理装置。
  7. 制御手段は、被処理基板が基板保持台に対し静電吸着していない状態でのトルク測定器のトルク測定値である初期設定値と、被処理基板が突き上げ機構の突き上げ力で破断しないための剪断応力限界値とが記憶登録された記憶部を有するとともに、前記トルク測定器から入力される前記トルク測定値から前記初期設定値をオフセットした値が前記剪断応力限界値に近い所定値になった時点で、駆動源を制御して前記突き上げ機構による突き上げ動作を停止させるよう構成されている請求項に記載の真空処理装置。
  8. トルク測定部は、駆動源と磁気カップリングの一方の輪との間に配置して一方の輪に固定された回転式トルクセンサである請求項またはに記載の真空処理装置。
  9. 筒状の隔壁部材が、一端開口部を収納空間に気密に連通する状態で特定の支持腕部の中空部内に嵌め込み固定され、
    前記収納空間と前記隔壁部材の内部とにわたり配置されて回転自在に支持された回転シャフトの一端部に、ラックに噛み合うピニオンが固着され、
    駆動源から回転力を伝達される磁気カップリングの一方の輪が、前記隔壁部材における前記真空容器の外部に突出した端部に、その外周面回りに回転自在に支持され、
    前記回転シャフトの他端部に固着された前記磁気カップリングの他方の輪が、前記隔壁部材の周壁を介在して一方の輪に磁気的に吸着するよう配置され、
    前記隔壁部材の他端開口部がカバーにより気密に閉塞されている請求項に記載の真空処理装置。
  10. 駆動機構の駆動源が、真空容器の外部において隔壁部材に対し側方近傍箇所に配置され、
    前記駆動源により回転駆動される伝動側歯車と、前記隔壁部材の外周面に回転自在に支持されて前記伝動側歯車に噛み合った受動側歯車とを備え、
    磁気カップリングの一方の輪が、前記受動側歯車に一体回転するよう連結されている請求項に記載の真空処理装置。
  11. 磁気カップリングの近接位置に配置されて前記磁気カップリングの両輪間のずれ量を測定するずれ量測定器と、このずれ量測定器の測定ずれ量に基づき基板保持台と被処理基板との間の残留吸着力を演算して、その演算値に応じて駆動機構の駆動源をフィードバック制御する制御手段とを有している請求項または10に記載の真空処理装置。
  12. ずれ量測定器のずれ量測定値と突き上げ機構の突き上げ力とは一次関数の関係にあり、前記制御手段は、被処理基板が基板保持台に対し静電吸着していない状態でのずれ量測定器のずれ量測定値である初期設定値と、被処理基板が突き上げ機構の突き上げ力で破断しないための剪断応力限界値とが記憶登録された記憶部を有し、前記ずれ量測定器から入力される前記ずれ量測定値から前記初期設定値をオフセットした値が前記剪断応力限界値に近い所定値になった時点で、駆動源を制御して前記突き上げ機構による突き上げ動作を停止させるよう構成されている請求項11に記載の真空処理装置。
  13. 隔壁部材の他端開口部の周縁部に連通状態に固着されて前記開口部を気密に封止する透光性透明カバーと、この透光性透明カバーの内部において回転シャフトの他端部に固着された円板ドグとを有し、
    ずれ量測定部が、
    前記透明カバーを介在して相対向する配置で磁気カップリングの一方の輪に一体回転するよう取り付けられた投光部と受光部とからなり、前記投光部からの出射光が前記透明カバーを透過して前記円板ドクの切欠きを通過したのちに前記受光部に受光される受光量に基づき前記磁気カップリングの両輪のずれ量を検出する透過型変位計である請求項11または12に記載の真空処理装置。
  14. 隔壁部材に、ガス貯溜空間内の伝熱ガスを外部に排出するためのガス排出部が設けられ、このガス排出部に、基板保持台と被処理基板との間の伝熱ガスの圧力を一定値に調圧するガス圧力調整制御機構部が設けられている請求項13の何れかに記載の真空処理装置。
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