以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る基板処理システム及び基板搬送方法について説明する。
図1は、本実施の形態に係る基板処理システムの概略構成を示す断面図である。
図1において、基板処理システム1は、基板としての半導体ウエハWに対して枚葉毎に成膜処理、拡散処理、エッチング処理等の各種処理を施す基板処理装置(Process Module)(以下「P/M」という。)2と、所定枚数の半導体ウエハWを格納するウエハカセット40から半導体ウエハWを取り出す大気系搬送装置3と、大気系搬送装置3及びP/M2の間に配置され、大気系搬送装置3からP/M2、若しくはP/M2から大気系搬送装置3へ半導体ウエハWを搬出入するロードロック室(以下「L/L」という。)4とを備える。
P/M2及びL/L4の内部は真空引き可能に構成され、大気系搬送装置3の内部は常時大気圧に維持される。また、P/M2及びL/L4、並びにL/L4及び大気系搬送装置3はそれぞれゲートバルブ5,6によって接続される。ゲートバルブ5,6は開閉自在であり、P/M2及びL/L4、並びにL/L4及び大気系搬送装置3の間を連通し、若しくは遮断する。また、L/L4の内部及び大気系搬送装置3の内部は、途中に開閉自在なバルブ7が配置された連通管8によっても接続される。
図2は、図1におけるP/Mの概略構成を示す断面図である。
図2において、半導体ウエハWにエッチング処理を施すエッチング処理装置として構成されるP/M2は、金属製、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼製の円筒型チャンバ10を有し、チャンバ10内に、例えば、直径が300mmの半導体ウエハWを載置するステージとしての円柱状のサセプタ11が配置されている。
チャンバ10の側壁とサセプタ11との間には、サセプタ11上方の気体をチャンバ10の外へ排出する流路として機能する排気路12が形成される。この排気路12の途中には環状のバッフル板13が配置され、排気路12のバッフル板13より下流の空間は、可変式バタフライバルブである自動圧力制御弁(Automatic Pressure Control Valve)(以下「APC」という)14に連通する。APC14は、真空引き用の排気ポンプであるターボ分子ポンプ(以下「TMP」という)15に接続され、さらに、TMP15を介して排気ポンプであるドライポンプ(以下「DP」という)16に接続されている。APC14、TMP15及びDP16によって構成される排気流路を以下「本排気ライン」と称するが、この本排気ラインは、APC14によってチャンバ10内の圧力制御を行うだけでなくTMP15及びDP16によってチャンバ10内をほぼ真空状態になるまで減圧する。
また、上述した排気路12のバッフル板13より下流の空間は、本排気ラインとは別の排気流路(以下「粗引きライン」という)に接続されている。この粗引きラインは、上記空間とDP16とを連通させる、直径が例えば、25mmである排気管17と、排気管17の途中に配置されたバルブV2とを備える。このバルブV2は、上記空間とDP16とを遮断することができる。粗引きラインはDP16によってチャンバ10内の気体を排出する。
サセプタ11には高周波電源18が整合器19を介して接続されており、高周波電源18は、所定の高周波電力をサセプタ11に印加する。これにより、サセプタ11は下部電極として機能する。また、整合器19は、サセプタ11からの高周波電力の反射を低減して高周波電力のサセプタ11への入射効率を最大にする。
サセプタ11の内部上方には、半導体ウエハWを静電吸着力で吸着するための導電膜からなる円板状の電極板20が配置されている。電極板20には直流電源22が電気的に接続されている。半導体ウエハWは、直流電源22から電極板20に印加された直流電圧により発生するクーロン力又はジョンソン・ラーベック(Johnsen-Rahbek)力によってサセプタ11の上面に吸着保持される。また、サセプタ11の上方にはシリコン(Si)等から成る円環状のフォーカスリング24が配置され、フォーカスリング24はサセプタ11の上方に発生したプラズマを半導体ウエハWに向けて収束させる。
サセプタ11の内部には、例えば、円周方向に延在する環状の冷媒室25が設けられている。この冷媒室25には、チラーユニット(図示せず)から配管26を介して所定温度の冷媒、例えば、冷却水が循環供給され、冷媒の温度によってサセプタ11上の半導体ウエハWの処理温度が制御される。
サセプタ11の上面において半導体ウエハWが吸着される部分(以下、「吸着面」という)には、複数の伝熱ガス供給孔27及び伝熱ガス供給溝(図示せず)が配されている。これらの伝熱ガス供給孔27等は、サセプタ11内部に配置された伝熱ガス供給ライン28を介して伝熱ガス供給部29に接続され、伝熱ガス供給部29は伝熱ガス、例えば、Heガスを、吸着面と半導体ウエハWの裏面との間隙に供給する。この伝熱ガス供給部29は吸着面と半導体ウエハWの裏面との間隙を真空引き可能にも構成されている。
また、吸着面には、サセプタ11の上面から突出自在なリフトピンとしての複数のプッシャーピン30が配置されている。これらのプッシャーピン30は、モータ(図示せず)の回転運動がボールねじ等によって直線運動に変換されることにより、図中上下方向に移動する。半導体ウエハWが吸着面に吸着保持されるときには、プッシャーピン30はサセプタ11に収容され、エッチング処理が施される等してプラズマ処理が終了した半導体ウエハWをチャンバ10から搬出するときには、プッシャーピン30はサセプタ11の上面から突出して半導体ウエハWをサセプタ11から離間させて上方へ持ち上げる。
チャンバ10の天井部には、シャワーヘッド33が配置されている。シャワーヘッド33は接地(アース)されているため、シャワーヘッド33は接地電極として機能する。
シャワーヘッド33は、多数のガス通気孔34を有する下面の電極板35と、電極板35を着脱可能に支持する電極支持体36とを有する。また、電極支持体36の内部にバッファ室37が設けられ、このバッファ室37には処理ガス供給部(図示せず)からの処理ガス導入管38が接続されている。この処理ガス導入管38の途中にはMFC(Mass Flow Controller)39が配置されている。このMFC39は、バッファ室37を介して、所定のガス、例えば、処理ガスやN2ガスをチャンバ10へ供給すると共に、ガスの流量を制御してチャンバ10の圧力を上述したAPC14と協働して所望の値に制御する。ここで、サセプタ11及びシャワーヘッド33の間の電極間距離Dは例えば、35±1mm以上に設定される。
チャンバ10の側壁には、半導体ウエハWの搬入出口31を開閉するゲートバルブ5が取り付けられている。このP/M2のチャンバ10内では、上述したように、サセプタ11に高周波電力が印加され、印加された高周波電力によってサセプタ11及びシャワーヘッド33の間の空間Sにおいて処理ガスから高密度のプラズマが発生し、イオンやラジカルが生成される。
このP/M2では、エッチング処理の際、先ずゲートバルブ5を開弁し、加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入してサセプタ11の上に載置する。そして、シャワーヘッド33より処理ガス(例えば、所定の流量比率のC4F8ガス、O2ガス及びArガスから成る混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、APC14等によりチャンバ10内の圧力を所定値にする。さらに、高周波電源18より高周波電力をサセプタ11に印加し、直流電源22より直流電圧を電極板20に印加して、半導体ウエハWをサセプタ11上に吸着する。そして、シャワーヘッド33より吐出された処理ガスは上述したようにプラズマ化する。このプラズマにより生成されるラジカルやイオンは、フォーカスリング24によって半導体ウエハWの表面に収束され、半導体ウエハWの表面を物理的又は化学的にエッチングする。
図1に戻り、大気系搬送装置3は、ウエハカセット40を載置するウエハカセット載置台41とローダモジュール(以下「L/M」という。)42とを有する。
ウエハカセット載置台41は上面が平面を呈する台状物であり、ウエハカセット40は、例えば、25枚の半導体ウエハWを等ピッチで多段に載置して収容する。また、L/M42は、直方体状の箱状物であり、内部において半導体ウエハWを搬送するスカラタイプの搬送アーム43を有する。
また、L/M42のウエハカセット載置台41側の側面には、ウエハカセット載置台41に載置されたウエハカセット40に対向してシャッタ(図示しない)が設けられる。シャッタはウエハカセット40とL/M42の内部を連通させる。
搬送アーム43は、屈伸可能に構成された多関節状の搬送アーム腕部44と、搬送アーム腕部44の先端に取り付けられたピック45とを有し、ピック45は半導体ウエハWを直接的に載置するように構成されている。また、搬送アーム43は、屈伸可能に構成された多関節腕状のマッピングアーム46を有しており、マッピングアーム46の先端には、例えば、レーザ光を発して半導体ウエハWの有無を確認するマッピングセンサ(図示せず)が配置されている。これらの搬送アーム腕部44とマッピングアーム46との各基端は、搬送アーム43の基部47から立設されたアーム基端部支柱48に沿って昇降する昇降台49に連結されている。また、アーム基端部支柱48は旋回可能に構成されている。ウエハカセット40に収容されている半導体ウエハWの位置及び数を認識するために行うマッピング操作では、マッピングアーム46が延伸された状態で、マッピングアーム46が上昇或いは下降することにより、ウエハカセット40内における半導体ウエハWの位置及び枚数を確認する。
搬送アーム43は、搬送アーム腕部44によって屈曲自在であり、アーム基端部支柱48によって旋回自在であるため、ピック45に載置した半導体ウエハWを、ウエハカセット40及びL/L4の間において自在に搬送することができる。
L/L4は、屈伸及び旋回自在になされた移載アーム50が配置されたチャンバ51と、チャンバ51内にN2ガスを供給するN2ガス供給系52と、チャンバ51内を排気するL/L排気系53とを有する。
移載アーム50は複数の腕部からなるスカラタイプの搬送アームであり、その先端に取り付けられたピック54を有する。ピック54は半導体ウエハWを直接的に載置するように構成されている。
半導体ウエハWが大気系搬送装置3からP/M2へ搬入される場合、ゲートバルブ6が開放されたとき、移載アーム50はL/M42内の搬送アーム43から半導体ウエハWを受け取り、ゲートバルブ5が開放されたとき、移載アーム50はP/M2のチャンバ10内のへ進入し、サセプタ11の上面から突出したプッシャーピン30の上端に半導体ウエハWを載置する。また、半導体ウエハWがP/M2から大気系搬送装置3へ搬入される場合、ゲートバルブ5が開放されたとき、移載アーム50はP/M2のチャンバ10内のへ進入し、サセプタ11の上面から突出したプッシャーピン30の上端に載置された半導体ウエハWを受け取る。ゲートバルブ6が開放されたとき、移載アーム50はL/M42内の搬送アーム43へ半導体ウエハWを受け渡す。
なお、移載アーム50は、スカラタイプに限られず、フロッグレッグタイプやダブルアームタイプであってもよい。
N2ガス供給系52は、チャンバ51の外部からチャンバ51の内部へ貫通するN2ガス導入管55と、N2ガス導入管55の途中に配置された制御バルブ56と、N2ガス導入管55のチャンバ51内部側先端に配置されたN2ガスを噴出する一対のブレークフィルタ(Break Filter)100と、N2ガス導入管55のチャンバ51外部側先端に接続されたN2ガス供給装置(図示せず)とを有する。N2ガス供給系52は、所定のタイミングでN2ガスをチャンバ51に供給し、チャンバ51の内部の圧力を制御する。
ブレークフィルタ100は、その長さが、例えば200mmに設定された網状の金属製フィルタであり、N2ガスの噴出面積を大きくすることができるので、噴出するN2ガスの流れを減速することができ、広範囲に亘って均一にN2ガスを噴出してチャンバ51の内部の圧力を均一に上昇させる。
従来の基板処理システムにおけるL/Lでは、ブレークフィルタの長さが、例えば100mmであり、N2ガスの噴出面積が小さいため、N2ガスを供給する際、ブレークフィルタから噴出するN2ガスの流れの速度が速くなり、チャンバ51内においてパーティクルを巻き上げる要因となっていた。これに対応して、従来のL/LではN2ガス導入管の途中にSSV(Slow Start Valve)が配置され、SSVはN2ガスの流れを減速していた。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理システムにおけるL/L4では、上述したように、ブレークフィルタ100においてN2ガスの流れが減速されるため、SSVを必要とすることなく、パーティクルの巻き上げを防止することができる。また、ブレークフィルタ100のN2ガスの噴出面積が大きく設定されるため、所望の体積のN2ガスをチャンバ51内へ迅速に供給することができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
L/L排気系53は、チャンバ51の内部へ貫通する排気管57と、排気管57の途中に配置された制御バルブ58と有し、上述したN2ガス供給系52と協働してチャンバ51の内部の圧力を制御する。
これらの基板処理システム1を構成するP/M2、大気搬送装置3及びL/L4の各構成要素の動作は、本実施の形態に係る基板処理方法を実行する後述のプログラムに従って基板処理システム1が備える制御装置としてのコンピュータ(図示しない)や、基板処理システム1に接続された制御装置としての外部サーバ(図示しない)等によって制御される。
上述した基板処理システム1においてL/L4に接続されるP/M2では、下部電極としてのサセプタ11がチャンバ10に対して移動することがないが、L/L4に接続されるP/Mはこれに限られず、例えば、下部電極がチャンバに対して移動するものであってもよい。
図3は、図1の基板処理システムにおいてL/Lに接続可能な他のP/Mの概略構成を示す断面図である。
図3において、エッチング処理装置として構成されるP/M60は、例えば、アルミニウム製の円筒型チャンバ61と、チャンバ61内に配置された、例えば、直径が200mmの半導体ウエハWを載置する下部電極62を絶縁材63を介して支持する昇降自在な支持体64と、下部電極62に対向してチャンバ61内の上方に配置された上部電極としてのシャワーヘッド65とを備える。
チャンバ61は、上部が小径の上室66として形成され、下部が大径の下室67として形成されている。上室66の周囲にはダイポールリング磁石68が配置され、ダイポールリング磁石68は、上室66内に一方向に指向する一様な水平磁界を形成する。下室67の側面上部には 半導体ウエハWの搬入出口を開閉するゲートバルブ5が取り付けられている。P/M60はゲートバルブ5を介してL/L4と接続されている。
下部電極62には高周波電源69が整合器70を介して接続されており、高周波電源69は、所定の高周波電力を下部電極62に印加する。これにより、下部電極62は下部電極として機能する。
下部電極62の上面には、半導体ウエハWを静電吸着力で吸着するための静電チェック(ESC)71が配置されている。静電チャック71の内部には、導電膜からなる円板状の電極板72が配置され、電極板72には直流電源73が電気的に接続されている。半導体ウエハWは、直流電源73から電極板72に印加された直流電圧により発生するクーロン力等によって静電チャック71の上面に吸着保持される。静電チャック71の周囲には円環状のフォーカスリング74が配置され、フォーカスリング74は下部電極62の上方に発生したプラズマを半導体ウエハWに向けて収束させる。
上室66の側壁と下部電極62との間には、下部電極62上方の気体をチャンバ61の外へ排出する排気路が形成され、排気路の途中には環状のバッフル板75が配置されている。排気路のバッフル板75より下流の空間(下室67の内部空間)は、APC、TMP及びDPを有する本排気ラインと、下室67の内部空間及びDP間のバイパス通路である粗引きラインとからなる排気系76に連通する。排気系76は、チャンバ61内の圧力制御を行うだけでなくチャンバ61内をほぼ真空状態になるまで減圧する。
下部電極62の下方には、支持体64の下部から下方に向けて延設されたボールねじ77からなる下部電極昇降機構が配置されている。下部電極昇降機構は、支持体64を介して下部電極62を支持し、不図示のモータ等によってボールねじ77を回転させることによってGAPとしての下部電極62を昇降させる。この下部電極昇降機構は、その周囲に配置されたベローズ78、及びベローズ78の周囲に配置されたベローズカバー79によってチャンバ61内の雰囲気から遮断される。
また、下部電極62には、静電チャック71の上面から突出自在な複数のプッシャーピン80が配置されている。これらのプッシャーピン80は、図1におけるプッシャーピン30と同様に、図中上下方向に移動する。
このP/M60では、L/L4の移載アーム50によって半導体ウエハWが搬出入される場合、下部電極62が半導体ウエハWの搬出入位置まで下降すると共に、プッシャーピン80が静電チャック71の上面から突出して半導体ウエハWを下部電極62から離間させて上方へ持ち上げる。また、半導体ウエハWにエッチング処理が施される場合、下部電極62が半導体ウエハWの処理位置まで上昇すると共に、プッシャーピン80が下部電極62内に格納されて、静電チャック71が半導体ウエハWを吸着保持する。
また、下部電極62の内部には、例えば、円周方向に延在する環状の冷媒室81が設けられている。この冷媒室81には、チラーユニット(図示せず)から配管82を介して所定温度の冷媒、例えば、冷却水が循環供給され、冷媒の温度によって下部電極62上の半導体ウエハWの処理温度が制御される。
静電チャック71の上面には、複数の伝熱ガス供給孔及び伝熱ガス供給溝(図示せず)が配されている。これらの伝熱ガス供給孔等は、下部電極62内部に配置された伝熱ガス供給ライン83を介して伝熱ガス供給部84に接続され、伝熱ガス供給部84は伝熱ガス、例えば、Heガスを、静電チャック71と半導体ウエハWとの間隙に供給する。この伝熱ガス供給部84は静電チャック71と半導体ウエハWとの間隙を真空引き可能にも構成されている。
チャンバ61の天井部に配置されているシャワーヘッド65は接地(アース)されており、シャワーヘッド65は接地電極として機能する。また、シャワーヘッド65の上面にはバッファ室85が設けられ、このバッファ室85には処理ガス供給部(図示せず)からの処理ガス導入管86が接続されている。この処理ガス導入管86の途中にはMFC87が配置されている。このMFC87は、バッファ室85及びシャワーヘッド65を介して、所定のガス、例えば、処理ガスやN2ガスをチャンバ61内へ供給すると共に、ガスの流量を制御してチャンバ61の圧力を上述したAPCと協働して所望の値に制御する。
このP/M60のチャンバ61内では、上述したように、下部電極62に高周波電力が印加され、印加された高周波電力により、下部電極62及びシャワーヘッド65の間において処理ガスから高密度のプラズマが発生し、イオンやラジカルが生成される。
P/M60では、エッチング処理の際、先ずゲートバルブ5を開状態にし、加工対象の半導体ウエハWをチャンバ61内に搬入する。そして、シャワーヘッド65より処理ガス(例えば、所定の流量比率のC4F8ガス、O2ガス及びArガスから成る混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ61内に導入し、APC等によりチャンバ61内の圧力を所定値にする。さらに、高周波電源69より高周波電力を下部電極62に印加し、直流電源73より直流電圧を電極板72に印加して、半導体ウエハWを下部電極62上に吸着する。そして、シャワーヘッド65より吐出された処理ガスを上述したようにプラズマ化させる。このプラズマにより生成されるラジカルやイオンは、フォーカスリング74によって半導体ウエハWの表面に収束され、半導体ウエハWの表面を物理的又は化学的にエッチングする。
次に、本実施の形態に係る基板処理方法について説明する。この基板処理方法は上述した基板処理システム1において実行される。
図4は、本実施の形態に係る基板処理方法が適用されるウエハ処理を示すフローチャートである。以下、基板処理システム1においてL/L4にP/M2が接続された場合について説明する。
図4において、まず、大気系搬送装置3の搬送アーム43及びL/L4の移載アーム50がウエハカセット40からダミーウエハをP/M2のチャンバ10内に搬送し、P/M2が搬送されたダミーウエハによってチャンバ10内の処理環境を整えるダミー処理を行う(ステップS41)。
次いで、基板処理システム1に接続された制御装置がカウンタnを1に設定し(ステップS42)、大気系搬送装置3の搬送アーム43及びL/L4の移載アーム50がウエハカセット40から未処理の半導体ウエハWをP/M2のチャンバ10内に搬入し(ステップS43)、P/M2は、APC14及びMFC39によってチャンバ10内の圧力をエッチング処理前における半導体ウエハWの吸着圧力(以下「プロセス圧力」という。)に到達させるための処理であるステップ0を行う(ステップS44)。
チャンバ10内の圧力がプロセス圧力に到達すると、P/M2は、電極板20によって半導体ウエハWをサセプタ11の上面に吸着保持し、伝熱ガス供給部29によってHeガスを、サセプタ11の吸着面と半導体ウエハWの裏面との間隙に供給する、安定化処理としてのステップ1を行う(ステップS45)。
その後、P/M2が、サセプタ11に印加された高周波電力によって空間Sにおいて処理ガスから高密度のプラズマを発生させてイオンやラジカルが生成し、イオン等によって半導体ウエハWにエッチング処理を施すステップ2を行う(ステップS46)。
次いで、P/M2が、後のウエハ除電において半導体ウエハWのサセプタ11からの跳ね上がりを防止するために、伝熱ガス供給孔27や伝熱ガス供給ライン28を真空引きしてHeガスを除去する裏面真空引きを行い(ステップS47)、その後、電極板20に逆電位を印加し、若しくは後述するようにプラズマを半導体ウエハWに接触させて半導体ウエハWが帯電した静電気を除去するウエハ除電を行う(ステップS48)。
次いで、大気系搬送装置3の搬送アーム43及びL/L4の移載アーム50がエッチング処理が施された半導体ウエハWをチャンバ10から搬出してウエハカセット40内へ搬入する(ステップS49)。
その後、制御装置が、カウンタnの値が所定の処理枚数を示す設定値Nより大きいか否かを判別し(ステップS50)、カウンタnの値が設定値N以下の場合はステップS43に戻り、カウンタnの値が設定値Nより大きい場合は本処理を終了する。
このウエハ処理におけるステップS43及びS49(基板搬送ステップ)、並びにステップS44乃至S48(基板処理ステップ)における各ステップは、複数の動作からなる。例えば、ステップS43では、ゲートバルブ5が開弁するゲートバルブ開弁動作、プッシャーピン30がサセプタ11の上面から突出するプッシャーピン突出動作、移載アーム50がチャンバ10内に進入する移載アーム伸長動作、APC14を全開するパージ動作、及びMFC39がN2ガスのチャンバ10への供給を停止するN2ガス供給停止動作等からなる。
従来の基板処理方法では、各ステップを構成する複数の動作をシーケンシャルに実行するのに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、図4の処理における各ステップを構成する複数の動作のうち、少なくとも2つの動作を並行して実行する。例えば、上述したステップS43では、パージ動作、N2ガス供給停止動作及びプッシャーピン突出動作を並列して実行する。
なお、基板処理システム1においてL/L4にP/M60が接続された場合においても上述した図4の処理と同様の処理が実行される。
本実施の形態に係る基板処理方法によれば、図4の処理における各ステップを構成する複数の動作のうち、少なくとも2つの動作が並行して実行されるので、P/M2、大気搬送装置3及びL/L4の構成要素のうち或る1つの構成要素が或る動作を実行するとき、動作の実行に関係のない他の構成要素が他の動作を実行することにより、半導体ウエハWのエッチング処理に要する時間を短縮してスループットを飛躍的に向上させることができる。
また、本実施の形態に係る基板処理装置によれば、図4の処理における各ステップのうち少なくとも1つのステップにおいて、P/M2、大気搬送装置3及びL/L4の構成要素のうち少なくとも2つの構成要素が同時に作動するので、半導体ウエハWのエッチング処理に要する時間を短縮してスループットを飛躍的に向上させることができる。
以下、基板処理システム1においてL/L4にP/M2が接続された場合における本実施の形態に係る基板処理方法の具体例について説明する。なお、以下の図では本実施の形態に係る基板処理方法における動作を実線で示し、従来の基板処理方法における動作を点線で示す。
図5は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバ10に半導体ウエハWを搬入する場合、まず、伝熱ガス供給部が伝熱ガス供給ラインの真空引き(VACCUM)を行い、真空引きの終了後(OFF)、移載アームがチャンバ内に進入(EXTEND)して半導体ウエハWをプッシャーピンの上端に載置し、さらに、移載アームがチャンバ内から退出する(RETRACT)が、本実施の形態に係る基板処理方法では、伝熱ガス供給部29が伝熱ガス供給ライン28の真空引きを開始すると同時に、移載アーム50がチャンバ10内に進入し、真空引きの終了と同時に移載アーム50がチャンバ10内から退出する。
これにより、伝熱ガス供給ライン28の真空引きと、半導体ウエハWの搬入が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
また、従来のP/Mでは移載アームが停止する際に慣性力に起因するブレが発生するため、移載アームが停止した後、次の動作、例えば、半導体ウエハWの受け取りを実行するまでに所定の遅れ時間を設定していた。これに対して、P/M2では移載アーム50の移動制御におけるゲインを最適化することにより、所定の遅れ時間を設定する必要を無くすことができる。これにより、さらにスループットを飛躍的に向上させることができる。
図6及び図7(A)は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第2の具体例を示すシーケンス図である。
従来、プッシャーピンの設定位置は、サセプタに収容される収容位置(DOWN)と移載アームから半導体ウエハWを受け取るための受け取り位置(UP)の2つであったが、本実施の形態に係る基板処理方法では、さらに、移載アーム50の進入を待ち受ける待機位置(WAIT)が追加される。
また、従来、チャンバに半導体ウエハWを搬入する場合、移載アームの伸長が終了した後、プッシャーピンが収容位置から受け取り位置まで突出したが、本実施の形態に係る基板処理方法では、収容位置に存在する(図6(A))プッシャーピン30が、移載アーム50が伸長してチャンバ10内に進入し始めると、待機位置まで突出し(図6(B))、さらに、ピック54に載置された半導体ウエハWがサセプタ11の上方に搬送されるまで、そのまま待機する(図6(C))。そして、プッシャーピン30は、移載アーム50の伸長が終了すると、受け取り位置まで突出し、半導体ウエハWを受け取る(図6(D))。
これにより、プッシャーピン30の突出と、半導体ウエハWの搬入が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
また、移載アーム50の伸長が終了した後、プッシャーピン30は待機位置から受け取り位置までの短距離だけ上昇すればよいので、半導体ウエハWの受け取りを短時間で行うことができ、もってスループットをより飛躍的に向上させることができる。
さらに、従来のP/Mではプッシャーピンの昇降速度が15mm/secであったが、P/M2ではプッシャーピン30の昇降速度が25mm/secに設定される。これにより、さらにスループットを飛躍的に向上させることができる。
図7(B)は、図4のウエハ搬出ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバから半導体ウエハWを搬出する場合、移載アームの退出が終了した後、プッシャーピンが受け取り位置から収容位置まで下降したが、本実施の形態に係る基板処理方法では、まず、収容位置に存在するプッシャーピン30が受け取り位置まで突出して半導体ウエハWを持ち上げ、そのまま待機する。そして、プッシャーピン30は、移載アーム50の伸長が終了すると、プッシャーピン30が待機位置まで下降し、その後、半導体ウエハWを受け取った移載アーム50が退出し始めると、プッシャーピン30はさらに収容位置まで下降する。
これにより、プッシャーピン30の下降と、半導体ウエハWの搬出が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図8は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第3の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバに半導体ウエハWを搬入する場合、搬入出口を閉鎖していた(CLOSE)ゲートバルブが開弁し(OPEN)、チャンバに半導体ウエハWを搬入した移載アームがチャンバから退出した後に、APCが全開してチャンバ内をパージするOPENモードから、チャンバ内の圧力をサセプタを除電するための圧力(ESC除電圧)に維持するESC除電圧モードに切り替わる。これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、搬入出口31を閉鎖していたゲートバルブ5が開弁し、半導体ウエハWを載置した移載アーム50がチャンバ10に進入し始めると、APC14が、OPENモードから、ESC除電圧モードに切り替わる。
これにより、半導体ウエハWの搬入と、APC14のOPENモードからESC除電圧モードへの切替とが並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図9は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第4の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバに半導体ウエハWを搬入する場合、直流電源(HV)が、電極板に逆電位を印加してサセプタを除電するHV逆印加モード(−)から電極板に電位を印加しない無印加モード(0)に切り替わり、さらに、APCがESC除電圧モードからOPENモードに切り替わり、P/Mの本排気系等の真空引きを開始すると、直流電源の無印加モードへの切り替わりから所定の時間、例えば、10秒経過した後、MFCが、チャンバ内に最大流量でN2ガスを供給する最大供給モード(max流量)からチャンバ内にガスを供給しない無供給モード(0)に切り替わる。その後、APCがOPENモードから、チャンバ内の圧力をプロセス圧力まで急激に上昇させるためのSTEP0圧モードに切り替わり、P/Mの本排気系等の真空引きを終了する。なお、ゲートバルブは、MFCが無供給モードに切り替わり前に、搬入出口を閉鎖する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、ゲートバルブ5による搬入出口の閉鎖後、チャンバ10内の圧力がモニタされ、モニタされた圧力が所定の圧力を下回ると、MFC39が、最大供給モードから無供給モードに切り替わり、その後、APC14がOPENモードからSTEP0圧モードに切り替わり、P/M2の本排気系等の真空引きを終了する。
これにより、チャンバ10内の圧力に応じてP/M2の本排気系等の真空引きを終了するので、余分な真空引きを行うことがなく、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図10は、図4の裏面真空引きステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWの裏面を真空引きする場合、高周波電源(RF)が、サセプタに高周波電力を印加している高周波電力印加モード(ON)からサセプタに高周波電力を印加しない無印加モード(OFF)に切り替わると共に、MFCが、チャンバ内にプロセス圧力を維持するために所定の流量で処理ガスを供給する処理ガス設定流量モード(PRO GASの設定流量)から無供給モードに切り替わった後、MFCが、無供給モードからチャンバ内のN2パージのためのN2ガスを所定の流量でチャンバ内に供給するN2ガス設定流量モード(N2 GASの設定流量)へ切り替わり、さらに、伝熱ガス供給部が伝熱ガス供給ラインの真空引きを行う。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では高周波電源18が高周波電力印加モードから無印加モードに切り替わり、MFC39が処理ガス設定流量モードから無供給モードに切り替わると共に、伝熱ガス供給部29が伝熱ガス供給ライン28の真空引きを行う。その後、MFC39がN2ガス設定流量モードへ切り替わる。
これにより、高周波電源18の高周波電力印加モードから無印加モードへの切替、MFC39の処理ガス設定流量モードから無供給モードへの切替、及び、伝熱ガス供給部29の伝熱ガス供給ライン28の真空引きが並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図11は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第5の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバに半導体ウエハWを搬入する場合、まず、直流電源がHV逆印加モードから無印加モードに切り替わり、さらに、プッシャーピンが収容位置から受け取り位置まで突出した後、APCがESC除電圧モードからOPENモードに切り替わると共に、MFCがN2ガス設定流量モードから無供給モードへ切り替わり、さらに所定の時間経過後、再びN2ガス設定流量モードへ切り替わる。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、直流電源22がHV逆印加モードから無印加モードに切り替わると、プッシャーピン30が収容位置からサセプタ11表面から0.5mmだけ下降した第1の待機位置(ESC位置(-0.5mm))まで上昇し、さらに所定の時間の経過後、プッシャーピン30が第1の待機位置からサセプタ11表面から0.5mmだけ突出した第2の待機位置(ESC位置(+0.5mm))まで上昇し始めると、APC14がESC除電圧モードからOPENモードに切り替わると共に、MFC39がN2ガス設定流量モードから無供給モードへ切り替わる。
これにより、プッシャーピン30の上昇、APC14のESC除電圧モードからOPENモードへの切替、及びMFC39のN2ガス設定流量モードから無供給モードへの切替が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図12は、図4のステップ0に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバ内の圧力をプロセス圧力に到達させる場合、まず、ゲートバルブが搬入出口を閉鎖し、MFCが最大供給モードから無供給モードに切り替わる。次いで、MFCが無供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替わると共に、APCがOPENモードからSTEP0圧モードに切り替わり、所定の時間経過後、直流電源が無印加モードから電極板に直流電圧を印加するHV印加モードに切り替わる。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、MFC39が最大供給モードから無供給モードに切り替わった後、次いで、MFC39が無供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替わると共に、STEP0圧モードの目標圧力がステップ1における設定圧、すなわちプロセス圧力以下のときには、APC14がOPENモードからチャンバ内の圧力をプロセス圧力に維持するためのプロセス圧モードに切り替わり、STEP0圧モードの目標圧力がプロセス圧より大きいときには、APC14がOPENモードからSTEP0圧モードに切り替わり、所定の時間経過後、APC14がSTEP0圧モードからプロセス圧モードに切り替わる。
これにより、STEP0圧モードの目標圧力に応じてAPC14が好適なモードを選択するので、余分な圧力上昇を行うことがなく、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図13は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第6の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバに半導体ウエハWを搬入する場合、まず、半導体ウエハWがチャンバに搬入される前に、APCがOPENモードからESC除電圧モードに切り替わり、次いで、直流電源が無印加モードからHV逆印加モードへ、さらにHV逆印加モードから無印加モードに切り替わってサセプタを除電し、処理基板としての半導体ウエハWの搬入後、ゲートバルブが搬入出口を閉鎖し、その後、APCがESC除電圧モードからOPENモードに切り替わる。このとき、APCのESC除電圧モードからOPENモードへの切替に要する時間は、ゲートバルブの閉鎖に要する時間より長いので、ゲートバルブの閉鎖後、APCはOPENモードへの移行を継続する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、直流電源22がHV逆印加モードから無印加モードに切り替わった直後に、APC14がESC除電圧モードからOPENモードに切り替わり、APCのOPENモードへの移行が終了した後に、ゲートバルブ5が搬入出口31を閉鎖する。
これにより、ゲートバルブ5が閉鎖した後、APC14がOPENモードへの移行を継続することがないので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図14は、L/L及び大気搬送装置の間において半導体ウエハWを搬出入する場合の具体例を示すシーケンス図である。
従来の基板処理システムにおけるL/L及び大気搬送装置の間において、半導体ウエハWを搬出入する場合、まず、N2ガス供給系がL/Lのチャンバ内へN2ガスを設定流量で供給し、L/LのPSW(Pressure Switch)がOFFからONに切り替えられ大気圧モードに移行した後、連通管のバルブが開弁してチャンバとL/Mが連通し、さらに、PSWのONへの切替から所定の時間が経過した後、ゲートバルブが開弁する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、L/L4のPSW(図示しない)がOFFからONに切り替えられ大気圧モードに移行した後、連通管のバルブが開弁してチャンバとL/Mが連通する。また、PSWのONへの切替後、搬送アーム43がL/M42を移動してゲートバルブ6の前に移動したときに、ゲートバルブ6が開弁する。
これにより、搬送アーム43がゲートバルブ6の前に移動した後、搬送アーム43がゲートバルブ6の前で待機する時間が発生しないので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図15は、図4のウエハ搬出ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第2の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバから半導体ウエハWを搬出する場合、APCがESC除電圧モードからOPENモードに切り替わる前に、粗引きラインがチャンバ内の排気を開始し、チャンバ内の圧力が、例えば、133Pa(100Torr)まで低下すると、APCがOPENモードに切り替わり、本排気ラインがチャンバ内の排気を開始する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、粗引きラインがチャンバ内の排気を開始し、チャンバ内の圧力が、例えば、666Pa(500Torr)まで低下すると、APC14がOPENモードに切り替わり、本排気ラインがチャンバ内の排気を開始する。
これにより、早期に本排気ラインによってチャンバ内を排気するので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
また、従来の大気搬送装置では、搬送アーム43が下降しながら、延伸されたマッピングアーム46によってウエハカセット40内における半導体ウエハWの位置及び枚数を確認した後、まず、昇降台49がアーム基端部支柱48に沿って上昇し、アーム基端部支柱48の上端に到達すると、マッピングアーム46が短縮する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、昇降台49がアーム基端部支柱48に沿って上昇し始めると共に、マッピングアーム46が短縮する。
これにより、昇降台49の上昇及びマッピングアーム46の短縮が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図16は、図4のステップ2に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWにエッチング処理を施す前には、直流電源が無印加モードからHV印加モードに切り替わり、その後、高周波電源が無印加モードから高周波電力印加モードに切り替わる。また、半導体ウエハWにエッチング処理を施した後には、高周波電源が高周波電力印加モードから無印加モードに切り替わり、その後、直流電源がHV印加モードから無印加モードに切り替わる。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、半導体ウエハWのサセプタ11への静電吸着に必要なチャンバ10内圧力の減圧代を低減すると共にHV逆印加の時間を短縮するため、プラズマによって半導体ウエハWに電荷を与え、半導体ウエハWとサセプタ11の間の静電吸着力を増大させる。また、半導体ウエハWの除電を促進するため、プラズマによって半導体ウエハWの電荷を除去する。すなわち、本実施の形態に係る基板処理方法では、従来の基板処理方法に比較して高周波電源18の高周波電力印加モードを長時間実行する。
具体的には、半導体ウエハWにエッチング処理を施す前において、高周波電源18が無印加モードから高周波電力印加モードに切り替わり、その後、直流電源22が無印加モードからHV印加モードに切り替わる。また、半導体ウエハWにエッチング処理を施した後において、直流電源22がHV印加モードから無印加モードに切り替わり、その後、高周波電源18が高周波電力印加モードから無印加モードに切り替わる。
これにより、半導体ウエハWのサセプタ11への静電吸着に必要なチャンバ10内圧力の減圧代を低減し、且つ半導体ウエハWの除電が促進することができ、スループットを飛躍的に向上させることができる。
また、従来のP/Mにおける伝熱ガス供給部では、サセプタ上面に載置された半導体ウエハWの裏面における中心部及び周辺部に対向する伝熱ガス供給孔のそれぞれが、1つのバルブを有する配管、並びに他の1つのバルブ及びオリフィスを有する他の配管を介してDPに接続される。この伝熱ガス供給部は、配管及び他の配管におけるバルブが開弁して伝熱ガス供給孔とDPとを連通することによって、半導体ウエハWの裏面を真空引きする。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理システムでは、図17に示すように、P/M2における伝熱ガス供給部29において、サセプタ11上面に載置された半導体ウエハWの裏面における中心部(CENTER)及び周辺部(EDGE)に対向する伝熱ガス供給孔27のそれぞれが、バルブV65,V66のそれぞれを介してPCV(Pressure Control Valve)(図示しない)に接続される。
また、上記中心部や周辺部に対向する伝熱ガス供給孔27のそれぞれは、バルブV67,V68をそれぞれ有する第1の配管101a,101b、並びにバルブV45,V46及びオリフィス(ORIFICE)をそれぞれ有する第2の配管102a,102bを介してDP16に接続されるだけでなく、バルブV61,V62をそれぞれ有する第3の配管103a,103bを介してチャンバ10及びAPC14の間の配管105に接続される。したがって、半導体ウエハWの裏面における中心部や周辺部に対向する伝熱ガス供給孔27のそれぞれは、第3の配管103a,103b及びAPC14を介してTMP15に接続される。
これにより、半導体ウエハWの裏面をTMP15によって真空引きすることができ、半導体ウエハWの裏面の真空引き、さらには伝熱ガス供給ライン28の真空引きを迅速に行うことができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
図18は、図17の伝熱ガス供給部のバルブ制御を示すシーケンス図である。
図4のステップ2において半導体ウエハWにエッチング処理が施された後、ステップ2において開弁されたバルブV45,V46,V65,V66が開弁状態を継続して、PCVを介して半導体ウエハWの裏面へHeガスを供給すると共に、余剰のHeガスをDP16によって伝熱ガス供給ライン28から排除する。
次いで、図4の裏面真空引きステップにおいて、まず、バルブV67,V68が開弁して伝熱ガス供給ライン28内のHeガスをDP16によって排除し、所定時間経過後、さらに、バルブV61,V62が開弁し、次いで、バルブV67,V68が閉弁して伝熱ガス供給ライン28内のHeガスをTMP15によって排除する。その後、バルブV61,V62が閉弁し、さらに、バルブV45,V46,V65,V66も閉弁する。
バルブV61,V62が開弁した際、第3の配管103a,103bの両端はチャンバ10内に連通するため、伝熱ガス供給ライン28に残留するHeガスの圧力が高いと、Heガスがチャンバ10内へ流入し、チャンバ10内の圧力が低下しない場合がある。図18のシーケンスでは、これに対応して、TMP15によるHeガスの排除に先立って、DP16による伝熱ガス供給ライン28内のHeガスの排除を行い、伝熱ガス供給ライン28におけるHeガスの圧力を低下させ、バルブV61,V62が開弁した際に、Heガスがチャンバ10内へ流入するのを防止することができる。
図19は、図4のステップ2に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第2の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWにエッチング処理を施す場合、高周波電源が高周波電力印加モードと無印加モードとの切替を繰り返すが、本実施の形態に係る基板処理方法では、これに対して高周波電源18が、高周波電力印加モードと、サセプタに印加している高周波電力を漸減させる高周波電力漸減モードとの切替を繰り返す。
これにより、或るステップ2と次のステップ2との間において、サセプタ11上に若干量のプラズマを残留させ、次のステップ2において所望の量のプラズマを迅速に発生させることができ、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図20は、図4のステップ1に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第1の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWを静電吸着する場合、MFCが無供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替わった後、直流電源が無印加モードからHV印加モードに切り替わる。ここで、処理ガス設定流量モードにおける処理ガスの供給流量としては、チャンバ内の圧力を高めて、サセプタの吸着面に帯電した余剰の電荷を放電し易くすると共に半導体ウエハWがサセプタに吸着するために十分な流量が設定されている。また、直流電源は、半導体ウエハWの吸着に必要なだけ半導体ウエハWの表面と裏面の差圧が拡大したとき、HV印加モードに切り替わり、半導体ウエハWを静電吸着する。
本実施の形態に係る基板処理方法では、MFC39が無供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替わった後、直流電源22が無印加モードからHV印加モードに切り替わるのは従来の基板処理方法と同じであるが、MFC39の処理ガス設定流量モードにおける処理ガスの供給流量を従来の供給流量より多く、例えば、最大供給モードにおけるN2ガスの供給流量と同じ流量に設定する点で異なる。
これにより、チャンバ内の圧力がサセプタの吸着面における余剰電荷を放電可能な圧力に迅速に到達し、直流電源22が早期にHV印加モードに切り替わることができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
図21は、図4のステップ1に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第2の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWの裏面にHeガスを供給する場合、直流電源が無印加モードからHV印加モードに切り替った後、所定の安定時間、例えば2秒をおいて、伝熱ガス供給部が伝熱ガス供給ラインを介して半導体ウエハWの裏面にHeガスを供給するが、本実施の形態に係る基板処理方法では、上記所定の安定時間を、例えば、0.5秒に短縮する。
これにより、早期に半導体ウエハWの裏面へのHeガスの供給を行うことができ、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図22は、図4の裏面真空引きステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第2の具体例を示すシーケンス図である。
従来、チャンバ内をESC除電圧に昇圧する場合、APCのバタフライバルブの開度(角度)をフィードバック制御等によって変化させてチャンバ内の圧力を制御する。このとき、APCは自動制御(AUTO)され、チャンバ内の圧力が安定するまで、バタフライバルブの角度が変動するが、バタフライバルブは微妙な角度変更が困難であり、チャンバ内の圧力はオーバーシュート及びアンダーシュートを繰り返す。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、チャンバ10内の圧力を制御する際、チャンバ10内の圧力が所定値より小さいときは、APCは自動制御されてバタフライバルブの角度は変動する。次いで、チャンバ10内の圧力が上昇して所定値を上回ると、APCは自動制御を解除されてバタフライバルブの角度が固定される(SET ANGLE)。その後、チャンバ10内の圧力はMFC39の処理ガス供給量によって制御される。
これにより、チャンバ10内の圧力が所定値を上回ると、APCのバタフライバルブの角度が固定されるため、チャンバ10内の圧力のオーバーシュート及びアンダーシュートの繰り返しを防止することができ、もってチャンバ10内の圧力を早期に所望の値に安定させることができる。したがって、スループットを飛躍的に向上させることができる。
また、従来のP/Mでは、APCやMFCによってチャンバ内の圧力制御の際、ステップにかかわらず、装置停止モードであるインターロックが発動する圧力変動閾値を一様に設定したが、本実施の形態に係る基板処理方法では、圧力変動閾値を図4における各ステップに応じて変更して設定する。具体的には、ステップ1やステップ2における圧力変動閾値を小さく設定するが、チャンバ内における若干の圧力変動が許容されるウエハ搬入ステップ、裏面真空引きステップ、及びウエハ除電ステップ等における圧力変動閾値を大きく設定する。
これにより、ウエハ搬入ステップ、裏面真空引きステップ、及びウエハ除電ステップ等における不必要なインターロックの発生回数を削減することができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
図23は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第7の具体例及びウエハ搬出ステップにおける第3の具体例を示すシーケンス図である。
従来、プッシャーピンが突出する場合、収容位置に存在するプッシャーピンは、まず、サセプタ表面から0.5mmだけ下降した第1の待機位置まで上昇し、所定の時間だけ待機した後、サセプタ表面から0.5mmだけ突出した第2の待機位置まで上昇し、さらに所定の時間だけ待機した後、受け取り位置まで上昇する。また、プッシャーピンが下降する場合、上述したプッシャーピンの突出手順と反対の手順で下降する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、プッシャーピン30の待機位置の設定が廃止される。具体的には、収容位置に存在するプッシャーピン30は、突出し始めると、そのまま受け取り位置まで上昇する。また、受け取り位置に存在するプッシャーピン30は、下降し始めると、そのまま収容位置まで下降する。
これにより、プッシャーピン30の昇降において待機時間を無くすことができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
従来、ウエハ入れ換え処理では、ゲートバルブが開弁している間、L/LのチャンバとP/Mのチャンバの圧力差に起因してL/Lのチャンバ内のN2ガスがP/Mのチャンバ内に流入するため、サセプタの除電を行うとき以外は、APCはOPENモードを維持し、チャンバ内をパージしていた。したがって、ゲートバルブが開弁している間、MFCによって処理ガスをチャンバ内に供給することができず、これにより、処理ガスの供給によるチャンバ内のプロセス圧力への移行を早期に行うことが困難であった。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法におけるウエハ入れ換え処理では、L/L4のN2ガス供給系52及びL/L排気系53の動作をL/L4のチャンバ51とP/M2のチャンバ10の圧力差に応じて制御し、ゲートバルブ5の開弁前に圧力差を解消する。これにより、L/L4のチャンバ51内のN2ガスがP/M2のチャンバ10内に流入するのを防止して、処理ガスの供給によるチャンバ内のプロセス圧力への移行を早期に実現する。
図24は、本実施の形態に係るウエハ入れ換え処理を示すフローチャートである。
図24において、まず、N2ガス供給系52及びL/L排気系53の動作を制御してL/L4のチャンバ51とP/M2のチャンバ10の圧力差を解消し(ステップS241)、ゲートバルブ5が開弁し(ステップS242)、移載アーム50が半導体ウエハWをチャンバ10内から搬出する(ステップS243)。
次いで、APC14がOPENモードからESC除電圧モードに切り替わり、MFC39が無供給モードから最大供給モードに切り替わり、さらに、直流電源22が無印加モードからHV逆印加モードに切り替わってサセプタ11の除電(ESC除電)を行う(ステップS244)。
その後、MFC39が最大供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替わると共に、APC14がESC除電圧モードからOPENモードに切り替わり(ステップS245)、所定の時間経過後、APC14がOPENモードからプロセス圧モードに切り替わり、チャンバ10内はプロセス圧力へ移行する(ステップS246)。
次いで、移載アーム50が次の半導体ウエハWをチャンバ10内へ搬入し(ステップS247)、ゲートバルブ5が閉弁して(ステップS248)、本処理を終了する。
図24の処理によれば、ゲートバルブ5が開弁する前に、L/L4のチャンバ51とP/M2のチャンバ10の圧力差が解消されるので、L/L4のチャンバ51内のN2ガスがP/M2のチャンバ10内に流入することがない。
従来は、図25の点線に示すように、ESC除電後も、長期間に亘って、L/Lのチャンバから流入するN2ガスをパージするためにAPCをOPENモードに維持し、且つパージの効率を向上するためにMFCを最大供給モードに維持する必要があったが、上述したように、図24の処理によれば、L/L4のチャンバ51内のN2ガスがP/M2のチャンバ10内に流入することがないため、ESC除電後において長期間に亘ってAPC14をOPENモードに維持する必要もなく、さらに、MFC39を最大供給モードに維持する必要もない。したがって、図24の処理では、図25に示すように、ESC除電後、直ちにMFC39を最大供給モードから処理ガス設定流量モードに切り替えると共に、APC14をESC除電圧モードからOPENモードに切り替え、さらに、APC14をプロセス圧モードに切り替えることにより、チャンバ10内の圧力を早期にプロセス圧力へ移行させることができ、もってスループットを飛躍的に向上させることができる。
次に、基板処理システム1においてL/L4にP/M60が接続された場合における本実施の形態に係る基板処理方法の具体例について説明する。なお、以下の図でも本実施の形態に係る基板処理方法における動作を実線で示し、従来の基板処理方法における動作を点線で示す。
図26は、図4のウエハ搬入ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第8の具体例及びウエハ搬出ステップにおける第4の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWがチャンバ内に搬入される場合、搬出入位置に存在する下部電極(GAP)上の静電チャックの上面からプッシャーピンが突出し、半導体ウエハWの受け取り位置まで上昇する。半導体ウエハWを受け取ったプッシャーピンは収容位置まで下降することによって半導体ウエハWを静電チャックに載置する。半導体ウエハWを載置した静電チャックは下部電極と共に処理位置まで上昇する。
また、半導体ウエハWがチャンバ内から搬出される場合、半導体ウエハWを載置した静電チャックは下部電極と共に搬出入位置まで下降し、その後、プッシャーピンが静電チャックの上面から突出し、静電チャック上の半導体ウエハWを受け取り位置まで持ち上げる。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、半導体ウエハWがチャンバ61内に搬入される場合、搬出入位置に存在する下部電極(GAP)62上の静電チャック71の上面からプッシャーピン80が突出し、半導体ウエハWの受け取り位置まで上昇する(図26(A))。半導体ウエハWを受け取ったプッシャーピン80はそのまま受け取り位置に待機する。その後、静電チャック71が下部電極62と共に上昇し始める。静電チャック71は上昇の途中においてプッシャーピン80から半導体ウエハWを受け取り、さらに、処理位置まで上昇する(図26(B))。
また、半導体ウエハWがチャンバ61内から搬出される場合、半導体ウエハWにエッチング処理が施された後、半導体ウエハWを載置した静電チャック71は下部電極62と共に下降し始める。静電チャック71は下降の途中において受け取り位置に待機するプッシャーピン80に半導体ウエハWを受け渡し、搬出入位置まで下降する(図26(C))。その後、移載アーム50に半導体ウエハWを受け渡したプッシャーピン80は収容位置まで下降する。
これにより、半導体ウエハWがチャンバ61内に搬入される場合において、プッシャーピン80が受け取り位置から収容位置まで下降することがなく、また、半導体ウエハWがチャンバ61内から搬出される場合、プッシャーピン80が収容位置から受け取り位置まで上昇することがないので、半導体ウエハWの受け渡しを迅速に行うことができ、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図27は、図4のステップ1に適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第3の具体例を示すシーケンス図である。
従来、静電チャックを下部電極と共に処理位置まで上昇させる場合、まず、ゲートバルブが閉弁すると共に、プッシャーピンが受け取り位置から収容位置まで下降する。その後、APCがOPENモードからプロセス圧モードに切り替わり、直流電源が無印加モードからHV印加モードに切り替わり、さらに、静電チャックが下部電極とともに搬出入位置から処理位置まで上昇する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、まず、ゲートバルブ5が閉弁し、その後、プッシャーピン80が受け取り位置から収容位置まで下降し、APCがOPENモードからプロセス圧モードに切り替わり、且つ静電チャック71が下部電極62とともに搬出入位置から処理位置まで上昇する。次いで、直流電源73が無印加モードからHV印加モードに切り替わる。
これにより、APCのOPENモードからプロセス圧モードへの切替と、静電チャック71の搬出入位置から処理位置までの上昇が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図28は、図4のウエハ搬出ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第5の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWをチャンバ内から搬出する場合、まず、伝熱ガス供給部が伝熱ガス供給ラインの真空引きを終了した後、静電チャックが下部電極とともに処理位置から搬出入位置まで下降し、その後、APCがプロセス圧モードからOPENモードに切り替わる。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、下部電極62の昇降において処理位置と搬出入位置との間に中間位置(MIDDLE)を設定する。そして、半導体ウエハWをチャンバ61内から搬出する場合、まず、伝熱ガス供給部84が伝熱ガス供給ライン83の真空引きを終了した後、静電チャック71が下部電極62と共に処理位置から中間位置まで下降し、所定の時間経過後、さらに、静電チャック71が下部電極62と共に中間位置から搬出入位置まで下降すると共に、APCがプロセス圧モードからOPENモードに切り替わる。
これにより、静電チャック71の中間位置から搬出入位置までの下降と、APCのプロセス圧モードからOPENモードへの切替が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
図29は、図4のウエハ搬出ステップに適用される本実施の形態に係る基板処理方法の第6の具体例を示すシーケンス図である。
従来、半導体ウエハWをチャンバ内から搬出する場合、まず、プッシャーピンが収容位置から受け取り位置まで上昇して半導体ウエハWを持ち上げる。その後、ゲートバルブが開弁した後、移載アームがチャンバ内に進入して半導体ウエハWを受け取り、さらに、チャンバ内から退出する。
これに対して、本実施の形態に係る基板処理方法では、半導体ウエハWをチャンバ61内から搬出する場合、まず、プッシャーピン80が収容位置から受け取り位置まで上昇して半導体ウエハWを持ち上げると共に、ゲートバルブ5が開弁する。その後、移載アーム50がチャンバ61内に進入して半導体ウエハWを受け取り、さらに、チャンバ61内から退出する。
これにより、プッシャーピン80の収容位置から受け取り位置までの上昇と、ゲートバルブ5の開弁が並行して実行されるので、スループットを飛躍的に向上させることができる。
なお、上述した各具体例は、基板処理システム1に単独で適用されてもよく、複数の具体例を適宜組み合わせて適用してもよい。
また、基板処理システム1に接続されたホストコンピュータや外部サーバが、基板処理システム1の構成装置、例えば、P/M2、大気搬送装置3やL/L4のメンテナンス周期を監視し、メンテナンス周期に該当する場合、ホストコンピュータ等は基板処理システム1のコンピュータ上のソフトウェアにメンテナンスコマンドを送信する。メンテナンスコマンドを受信したソフトウェアは、P/M2、大気搬送装置3やL/L4がメンテナンス状態に移行可能であるか否かを判断する。P/M2等がアイドル状態であってメンテナンス状態に移行可能である場合、ソフトウェアは、P/M2のチャンバ10内の圧力やL/L4のチャンバ51内の圧力を大気圧まで昇圧させる大気開放シーケンスを実行する。
これにより、管理者等が直ちにメンテナンス作業を行うことができるので、基板処理システム1の稼働率を向上することができる。
また、本発明の目的は、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、基板処理システム1或いはP/M2等に供給し、その基板処理システム1或いはP/M2等が有する制御装置、例えば、コンピュータ(またはCPUやMPU)、又は基板処理システム1に接続された制御装置、例えば、外部サーバが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることはいうまでもない。
また、コンピュータ等が読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ等で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ又は外部サーバに挿入された機能拡張カードやコンピュータ又は外部サーバに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
また、上記プログラムコードは、上述した実施の形態の機能をコンピュータ又は外部サーバで実現することができればよく、その形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態を有するものでもよい。
プログラムコードを供給する記録媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、MO、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムコードを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムコードは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給されてもよい。
また、基板処理システム1に接続されたホストコンピュータや外部サーバが、基板処理システム1の各構成装置、例えば、P/M2、大気搬送装置3やL/L4の構成要素の作動状況や半導体ウエハWの処理状況を監視し、監視結果に基づいて、並行して実行可能な動作を抽出し、抽出された動作を組み合わせることによって最適基板処理シーケンスを構築してもよい。この場合、基板処理システム1を構成するP/M2、大気搬送装置3及びL/L4の各構成要素の動作は、最適基板処理シーケンスに応じて制御される。これにより、スループットの向上を効率的に行うことができる。
また、基板処理システム1が複数のP/M2を備え、複数の半導体ウエハWが複数のP/M2によって順に処理される場合、ホストコンピュータや外部サーバが、複数の半導体ウエハWの処理手順を定義するウエハ処理順リストを作成し、基板処理システム1はウエハ処理順リストに基づいて各半導体ウエハWを処理する。また、ホストコンピュータや外部サーバは、ウエハ処理順リストにおける1つの半導体ウエハWの処理が実行される際、P/M2、大気搬送装置3やL/L4の構成要素の作動状況や半導体ウエハWの処理状況を監視し、監視結果に基づいて、処理が施されている途中の半導体ウエハWの最適基板搬送シーケンスや、ウエハ処理順リストにおける次の半導体ウエハWの最適基板処理シーケンスを構築してもよい。これにより、ウエハ処理順リストにおける次の半導体ウエハWのスループットの向上だけでなく、処理が施されている途中のスループットの向上行うことができる。
上述した実施の形態では、基板処理システムにおける基板処理装置がエッチング処理装置の場合について説明したが、本発明が適用可能な基板処理システムにおける基板処理装置はこれに限られず、例えば、塗布現像装置、基板洗浄装置、熱処理装置、蝕刻装置等であってもよい。
また、上述した実施の形態では、搬送される基板が半導体ウエハであったが、搬送される基板はこれに限られず、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等、FPD(Flat Panel Display)のガラス基板であってもよい。