JP2003013215A - スパッタリング装置 - Google Patents

スパッタリング装置

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JP2003013215A JP2001193352A JP2001193352A JP2003013215A JP 2003013215 A JP2003013215 A JP 2003013215A JP 2001193352 A JP2001193352 A JP 2001193352A JP 2001193352 A JP2001193352 A JP 2001193352A JP 2003013215 A JP2003013215 A JP 2003013215A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロードロックチャンバーのベントや排気に要
する全体の時間を短縮するとともに、成膜後の要因によ
る基板の変性等の問題を効果的に解決する。 【解決手段】 スパッタチャンバー1と連通したロード
ロックチャンバー2は、排気系23、ベントガス導入系
24、成膜前に基板9を加熱して脱ガスさせる脱ガス機
構21、成膜後に基板9を冷却する冷却機構25とを備
え、ロック内ステージ22に面接触して保持されて1枚
のみの基板9が内部に滞留する。脱ガス機構21は基板
9を輻射加熱するランプヒータ212により構成され、
冷却機構25はロック内ステージ22に冷媒を供給する
機構により構成される。基板9は、静電吸着機構26に
よりロック内ステージ22に静電吸着される。コントロ
ーラにより、脱ガスか冷却のいずれか一方が選択され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、薄膜作成装置
の一種であるスパッタリング装置に関するものであり、
特に大気側とスパッタチャンバーとの間に設けられるロ
ードロックチャンバーの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スパッタリングは、対象物の表面に薄膜
を作成する技術として産業の各分野で多用されている。
特に、LSI(大規模集積回路)等の電子デバイスや液
晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置の製造において
は、各種導電膜や絶縁膜の作成にスパッタリング装置が
頻繁に使用されている。このような基板処理装置には、
大きく分けて、複数の基板を一括して処理するバッチ式
の装置と、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の装置があ
る。バッチ式装置は、加熱炉を使用した酸化装置等でよ
く見られるが、スパッタリング装置では、基板相互の処
理の均一性や再現性を考慮して枚葉式の装置が多い。
【0003】枚葉式装置の最も単純な構成は、所定の処
理を行う処理チャンバーがあり、この処理チャンバーに
対して基板を1枚ずつ搬入して成膜処理し、1枚ずつ取
り出す構成である。しかしながら、この構成では、基板
の出し入れの際に処理チャンバーの内部が外部の雰囲気
に晒されてしまい、処理の品質を損ねるという問題があ
る。特に、処理チャンバーが真空を利用する真空チャン
バーである場合が多く、基板の出し入れの際に大気に開
放されると、処理の度に真空排気を行わなければなら
ず、生産性が悪いという問題がある。このような問題の
ため、通常は、基板の出し入れの際に基板が一時的に滞
留するロードロックチャンバーを設け、このロードロッ
クチャンバーを処理チャンバーに対して気密に接続する
ようにする。処理チャンバーとロードロックチャンバー
との間のゲートバルブが開いている時は、ロードロック
チャンバーの大気側のゲートバルブは閉じられ、処理チ
ャンバーは直接大気に晒されない構成とされる。
【0004】このようなロードロックチャンバーを備え
たスパッタリング装置では、通常、複数枚の基板をロー
ドロックチャンバー内に収容可能に構成される。具体的
には、ロードロックチャンバー内には、基板を10〜2
0数枚程度収容可能なカセットが設けられている。ま
た、ロードロックチャンバーの外には、ロードロックチ
ャンバー内のカセット(以下、ロック内カセット)と同
様の構造のカセット(以下、外部カセット)が設けられ
ている。そして、外部カセットとロック内カセットとの
間で基板の搬送を行う機構としてオートローダと呼ばれ
る機構が設けられている。オートローダは、未処理の基
板を外部カセットから1枚ずつ取り出してロック内カセ
ットに収容するとともに、処理済みの基板を1枚ずつロ
ック内カセットから取り出して外部カセットに収容する
ようになっている。オペレータは、所定数の未処理の基
板を収容した外部カセットを装置のロードステーション
にセットし、所定数の処理済みの基板が収容されている
外部カセットを回収する作業を行う。尚、処理済みの基
板をロードロックチャンバーから取り出す際には、ロー
ドロックチャンバー内にベントガスを導入して大気圧に
戻すベントの動作が行われる。ベントの後、ロードロッ
クチャンバーの大気側のゲートバルブが開けられ、処理
済みの基板が取り出される。また、未処理の基板を搬入
した場合、ロードロックチャンバーの大気側のバルブ及
び処理チャンバー側のバルブを閉じ、ロードロックチャ
ンバー内を所定の真空圧力まで排気する排気動作が行わ
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の装置に
おいて、ロードロックチャンバー内のカセットの基板収
容枚数が多くなる傾向にある。これは、ロードロックチ
ャンバーのベント及び排気の頻度をなるべく少なくした
いという事情がある。ベントや排気の頻度が多くなる
と、装置全体の生産性が低下する恐れがある。このた
め、従来の装置では、ロードロックチャンバー内の基板
収容枚数を多くし、ベント及び排気の動作のインターバ
ルを長くするようにしている。しかしながら、基板収容
枚数が多くなると、必然的にロック内カセットが大型化
する。これに伴い、ロードロックチャンバー自体も大型
化する傾向がある。ロードロックチャンバーが大型化す
ると、真空に排気すべき空間が大きくなるから、所定の
到達圧力まで排気するのに要する時間が長くなってしま
う。従って、せっかく多数の基板を収容できるようにし
て排気動作の頻度を少なくしても、一回の排気動作の所
要時間が長くなってしまい、生産性の向上にあまり貢献
できない。また、ロードロックチャンバー内のパーティ
クル(基板を汚損する微粒子の総称)の舞い上がり等を
防止するため、ベントガスの流量は、ある程度以下に抑
える必要がある。従って、ロードロックチャンバーが大
きくなると、大気圧に戻すまでに必要なベントガス導入
に要する時間(ベント時間)が長くなり、やはり生産性
が低下する。さらに、スパッタリング装置では、基板は
高温状態で成膜処理されるため、処理チャンバーから搬
出された基板は室温より高い高温である。基板は、ロー
ドロックチャンバーを経由することで、室温程度まで降
温するが、従来の装置では、降温の仕方が基板によって
ばらついたり、降温が不充分なためにベント時に基板の
表面が変性したりする問題が生ずることがあった。本願
の発明は、このような課題を解決するためになされたも
のであり、ロードロックチャンバーのベントや排気に要
する全体の時間を短縮するとともに、成膜後の要因によ
る基板の変性等の問題を効果的に解決する技術的意義を
有する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願の請求項1記載の発明は、内部で基板に対しス
パッタリングによる成膜処理が行われるスパッタチャン
バーと、スパッタチャンバーと大気側との間で基板が搬
送される際に基板が一時的に滞留する真空チャンバーで
あるロードロックチャンバーとよりなるスパッタリング
装置であって、スパッタチャンバーとロードロックチャ
ンバーとは内部空間が気密に連通するようにして接続さ
れており、前記ロードロックチャンバーは、1枚又は2
枚のみの基板が内部に滞留するものであって、内部を所
定の真空圧力に排気する排気系及び内部を大気圧に戻す
ベントガス導入系を備えるとともに、前記ロードロック
チャンバーは、成膜処理に先立ち基板を加熱して脱ガス
を行う脱ガス機構と、成膜処理後に基板を冷却する冷却
機構とを備えているという構成を有する。また、上記課
題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項
1の構成において、前記脱ガス機構による加熱及び前記
冷却機構による冷却のいずれか一方のみが行われるよう
制御するコントローラが設けられているという構成を有
する。また、上記課題を解決するため、請求項3記載の
発明は、前記請求項2の構成において、前記脱ガス機構
は、基板を輻射加熱するランプヒータによって構成され
ているとともに、前記冷却機構は、面接触して基板を保
持するロック内ステージに冷媒を供給する機構によって
構成されており、前記コントローラは、脱ガス時には基
板をロック内ステージから離間させた位置で保持しなが
らランプヒータからの輻射線が基板に到達するように
し、冷却時には基板をロック内ステージに面接触させる
ようにする制御を行うものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明
は、内部で基板に対しスパッタリングによる成膜処理が
行われるスパッタチャンバーと、スパッタチャンバーと
大気側との間で基板が搬送される際に基板が一時的に滞
留する真空チャンバーであるロードロックチャンバーと
よりなるスパッタリング装置であって、スパッタチャン
バーとロードロックチャンバーとは内部空間が気密に連
通するようにして接続されており、前記ロードロックチ
ャンバーは、1枚又は2枚のみの基板が内部に滞留する
ものであって、内部を所定の真空圧力に排気する排気系
及び内部を大気圧に戻すベントガス導入系を備えるとと
もに、前記ロードロックチャンバーは、表面に面接触し
て基板を保持するロック内ステージを内部に有してお
り、前記ロック内ステージは、面接触部分を介して基板
を加熱して脱ガスを行う脱ガス機構又は成膜処理後に面
接触部分を介して基板を冷却する冷却機構と、脱ガス機
構による加熱又は冷却機構による冷却の際に基板をステ
ージに静電吸着する静電吸着機構とを備えているという
構成を有する。また、上記課題を解決するため、請求項
5記載の発明は、内部で基板に対しスパッタリングによ
る成膜処理が行われるスパッタチャンバーと、スパッタ
チャンバーと大気側との間で基板が搬送される際に基板
が一時的に滞留する真空チャンバーである一対のロード
ロックチャンバーとよりなるスパッタリング装置であっ
て、スパッタチャンバーと一対のロードロックチャンバ
ーとは、内部空間が気密に連通するようにして接続され
ており、前記一対のロードロックチャンバーは、1枚又
は2枚のみの基板が内部に滞留するものであって、内部
を所定の真空圧力に排気する排気系及び内部を大気圧に
戻すベントガス導入系を備えるとともに、一方のロード
ロックチャンバーは成膜処理に先立ち基板を加熱して脱
ガスを行う脱ガス機構を備え、他方のロードロックチャ
ンバーは、成膜処理後に基板を冷却する冷却機構を備え
ているという構成を有する。また、上記課題を解決する
ため、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成にお
いて、前記一対のロードロックチャンバーは、滞留する
基板と平行な方向に沿って積層されたものであり、両者
の境界部分には、断熱部又は前記一方のロードロックチ
ャンバーからの熱を除去して前記他方のロードロックチ
ャンバーに伝わらないようにする冷却部が設けられてい
るという構成を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態(以
下、実施形態)について説明する。まず、図1及び図2
を用いて本願発明の第一の実施形態について説明する。
図1は、本願発明の第一の実施形態のスパッタリング装
置の構成を示す平面概略図であり、図2は、図1の装置
のX−Xでの断面概略図である。図1に示す装置は、内
部で基板9に対してスパッタリングによる成膜処理がな
されるスパッタチャンバー1と、スパッタチャンバー1
に対して気密に連続しているロードロックチャンバー2
と、ロードロックチャンバー2を経由して大気側とスパ
ッタチャンバー1との間で基板9の搬送を行う搬送機構
とを備えている。
【0008】本実施形態の装置は、マルチチャンバータ
イプの装置の一種であり、真ん中に搬送チャンバー3が
設けられ、その周囲にスパッタチャンバー1やロードロ
ックチャンバー2が気密に接続されている。本実施形態
では、二つのロードロックチャンバー2が設けられてお
り、いずれもアンロードロックチャンバーに兼用されて
いる。また、スパッタチャンバー1以外の他の処理チャ
ンバー4,5が同様に搬送チャンバー3の周囲に気密に
接続されている。他の処理チャンバーの一つ4は、成膜
前に基板9をエッチングする前処理エッチングチャンバ
ーである。各チャンバー1,2,3,4,5は、専用の
排気系(図1中不図示)を備えた気密な真空容器であ
る。尚、搬送チャンバー3と各チャンバー1,2,4,
5の接続箇所にはゲートバルブ8が設けられている。ま
た、「スパッタチャンバーに対して気密に連続している
ロードロックチャンバー」とは、この実施形態のように
搬送チャンバー等の他のチャンバーが介在している場合
と、スパッタチャンバーに対してロードロックチャンバ
ーが直接接続されている場合とも含む概念である。
【0009】搬送機構としては、本実施形態では、二つ
の機構が設けられている。一つは、大気側と各ロードロ
ックチャンバー2内との間で基板9を搬送するオートロ
ーダ61である。他の一つは、搬送チャンバー3内に設
けられた搬送ロボット62である。搬送ロボット62
は、搬送チャンバー3を経由し、各ロードロックチャン
バー2と各処理チャンバー1,4,5との間、又は、各
処理チャンバー1,4,5の間で基板9の搬送を行うよ
う構成されている。
【0010】次に、本実施形態の装置の大きな特徴点を
成すロードロックチャンバー2の構成について詳説す
る。まず、前述したように従来は大気開放回数を少なく
するためにロードロックチャンバー2内の基板9収容枚
数が増加する傾向があったが、本実施形態では、この傾
向から180度転換し、ロードロックチャンバー2は、
1枚の基板9のみを収容可能なものとした。このため、
ロードロックチャンバー2を極限までに小型化すること
が可能となり、占有面積を小さくすることができてい
る。そして、内部空間の小さいロードロックチャンバー
2であるため、各ロードロックチャンバー2内を排気系
23によって排気する際の所要時間(以下、排気時間)
は、従来に比べて格段に短くなっている。また、図1及
び図2から分かるように、搬送チャンバー3は多角筒状
のものであり、その側面に二つのロードロックチャンバ
ー2が接続されている。二つのロードロックチャンバー
2は、上下に積層させて設けてもよい。積層すると、さ
らに占有面積の低減が図れる。
【0011】また、本実施形態では、ロードロックチャ
ンバー2の排気系23は、いわゆる二段階排気を行うも
のとなっている。具体的には、排気系23は、排気管に
よってロードロックチャンバー2につながれた真空ポン
プ231と、排気管上に設けられた開閉バルブ232及
び排気速度調整器233から構成されている。本実施形
態の装置は、装置の各部を制御する不図示のコントロー
ラを有している。コントローラは、排気速度調整器23
3を制御して、最初は低い排気速度で排気し、その後
は、高い排気速度で排気するようにする。
【0012】このような制御は、ロードロックチャンバ
ー2内でのパーティクルの舞い上がり等を防止する技術
的意義を有する。前述したように、ロードロックチャン
バー2は、大気に開放されるチャンバーである。従っ
て、排気系23による排気を開始した当初は、ロードロ
ックチャンバー2内の圧力は高い。従って、当初から高
い排気速度で排気すると、ロードロックチャンバー2内
に大きな気流が生じやすく、これが原因で、パーティク
ルの舞い上がりが生じやすい。この場合のパーティクル
は、大気側からロードロックチャンバー2内に進入した
塵や埃、スパッタチャンバー1からロードロックチャン
バー2内に進入したスパッタ粒子の塊等である。パーテ
ィクルの舞い上がりが生ずると、パーティクルが基板9
の表面に付着する可能性が高くなり、回路の断線やショ
ート、パーティクルの薄膜中への混入による膜質低下、
膜の付着力低下等の問題を生ずることになる。
【0013】このようなことを考慮し、本実施形態で
は、上記のように、当初は低い排気速度で排気し、その
後、高い排気速度で排気するようにしている。このた
め、パーティクルの舞い上がり等を防止しつつ、比較的
短時間に所定の真空圧力まで排気できるようになってい
る。高い排気速度で排気するのは、パーティクルの舞い
上がり等がない程度の真空圧力に達してからであり、こ
の圧力は100〜200Pa程度である。排気速度の値
は、ロードロックチャンバー2の内寸が前述した程度で
ある場合、当初は1000〜1500リットル/分程
度、その後は20000〜30000リットル/分程度
である。
【0014】また、ロードロックチャンバー2が備える
ベントガス導入系24の構成も、同様にパーティクルの
舞い上がり等を防止したものとなっている。ベントガス
導入系24は、ベントガス導入管上に設けられた主ベン
トバルブ241と、ベントガスの流量を調整する可変コ
ンダクタンスバルブ242等から構成されている。ベン
トガスとしては、例えば乾燥空気が導入される。
【0015】コントローラは、可変コンダクタンスバル
ブ242を制御し、当初は少ない流量でベントガスを導
入し、その後、大きな流量で導入するようにする。具体
的には、当初のベントガスの流量は、10〜100cc
/分程度、その後は1000〜2000cc/分程度に
する。ベントガスの流量を大きくするタイミングとして
は、ロードロックチャンバー2内の圧力が100〜20
0Pa程度になった時点とする。このような二段階ベン
トにより、パーティクルの舞い上がり等を防止しつつ、
比較的短時間にロードロックチャンバー2内を大気圧に
戻すことができるようになっている。尚、ロードロック
チャンバー2内が大気圧に近づくに従いベントガスの流
量は再び小さくなり、大気圧に一致した時点で実質的に
ゼロになる。
【0016】本実施形態におけるロードロックチャンバ
ー2の別の特徴点は、ロードロックチャンバー2が、成
膜前に基板9に脱ガス即ち吸蔵ガスの放出を行わせる脱
ガス機構21を備えている点である。脱ガス機構21
は、基板9を所定温度に加熱して脱ガスを行わせる機構
である。脱ガス機構21は、ロードロックチャンバー2
内を仕切る隔壁211と、隔壁211を通して基板9を
輻射加熱するランプヒータ212と、ランプヒータ21
2の背後に設けられた反射ミラー213から主に構成さ
れている。隔壁211は、ロードロックチャンバー2内
を気密に仕切るものであり、ランプヒータ212が配置
された側の空間は大気圧、基板9が配置される側の空間
は真空に排気される空間である。ランプヒータ212
は、赤外線ランプ等であり、隔壁211は、ランプヒー
タ212からの光を効率よく透過させる石英ガラス等で
形成されている。
【0017】また、各ロードロックチャンバー2内の基
板9が配置される側の空間には、1枚のみの基板9を面
接触して保持するロック内ステージ22が設けられてい
る。ロック内ステージ22は、上面に基板9を載置して
保持する台状の部材である。ロック内ステージ22の上
面は、基板9より少し大きい。ロック内ステージ22に
は、基板9の受け渡しの際に昇降する昇降ピン221が
設けられている。昇降ピン221は、例えば正方形を成
す位置関係になるように四つ設けられている。各昇降ピ
ン221は、ロック内ステージ22に設けられた貫通穴
に挿通されている。ロードロックチャンバー2の下方に
は、小型のソレノイド又はエアシリンダ等の直線駆動源
222が設けられており、各昇降ピン221はこの直線
駆動源222によって所定の短い距離だけ昇降するよう
になっている。尚、昇降ピン211はロードロックチャ
ンバー2の底板部分を貫通しているが、この部分にはメ
カニカルシールのような真空シール又はベローズ等が設
けられており、ロードロックチャンバー2内の真空のリ
ークが防止されている。
【0018】本実施形態におけるロードロックチャンバ
ー2のさらに別の特徴点は、ロードロックチャンバー2
が、成膜後に基板9を冷却する冷却機構25を備えてい
る点である。冷却機構25は、ロック内ステージ22に
設けられた空洞に冷媒を供給する機構であり、空洞に接
続された冷媒供給管251及び冷媒排出管252と、冷
媒排出管252を通して排出された冷媒を所定温度に冷
却しながら冷媒供給管251を通して空洞内に供給する
サーキュレータ253等から構成されている。冷媒とし
ては、例えばガルデンが使用され、サーキュレータによ
って0〜10℃程度の低温に維持されて空洞に送られ
る。
【0019】尚、コントローラは、各ロードロックチャ
ンバー2の機能として、脱ガスを行うのか、冷却を行う
のかを正しく選択するようになっている。脱ガスを行う
場合、ランプヒータ212を動作させるのに併せて、冷
却機構25による冷却を解除する制御が行われる。具体
的には、冷媒をロック内ステージ22から回収してお
き、ランプヒータ212からの熱によって冷媒が加熱さ
れないようにする。そして、冷却を行う場合、ランプヒ
ータ212を動作させないようにしながら、冷媒をロッ
ク内ステージ22の空洞に供給する。
【0020】次に、ロードロックチャンバー2以外の構
成について説明する。まず、ロードロックチャンバー2
の外の大気側には、外部カセット63を配置するロード
ステーション64が設けられている。ロードステーショ
ン64は、所定数の基板9を収容した外部カセット63
を所定位置に保持するためのものである。そして、オー
トローダ61は、外部カセット63から基板9を1枚取
り出して一つのロードロックチャンバー2のロック内カ
セットに搬送することが可能となっている。このオート
ローダ61には、アームの先端に基板9を載せて搬送す
る多関節ロボットが採用されている。オートローダ61
は、アームを水平面内で移動させることが可能であると
ともにアームを上下動させることが可能となっている。
【0021】また、搬送チャンバー3内に設けられた搬
送ロボット62には、オートローダ61と同様に、アー
ムの先端に基板9を載せて搬送する多関節ロボットが採
用されている。この多関節ロボットも、水平面内でのア
ームの移動が可能であるとともにアームを上下動させる
ことが可能となっている。但し、搬送チャンバー3内は
真空雰囲気なので、真空中で動作するものが採用されて
いる。また、搬送ロボット62は、オートローダ61と
は異なり、同時に二枚の基板9を搬送できるよう二つの
アームを備えている。二つのアームは、独立又は連動し
て移動することが可能となっている。
【0022】また、図1に示すように、本実施形態では
二つのスパッタチャンバー1が設けられている。二つの
スパッタチャンバー1は、全く同一の構成とされる場合
もあるし、プロセスの内容に応じて異なった構成とされ
る場合もある。同一の構成は、一つの成膜工程を二つに
分けて行うことでタクトタイムを短縮する場合等に採用
される。また、異なる構成は、例えばチタンと窒化チタ
ンとを積層するバリア膜の作成のように、異種薄膜を積
層する場合等に採用される。
【0023】各スパッタチャンバー1は、図2に示すよ
うに、内部を排気する排気系11と、内部にプロセスガ
スを導入するプロセスガス導入系12と、被スパッタ面
がスパッタチャンバー1内に露出したターゲット131
を含むカソード13と、カソード13に対向する位置に
基板9を保持する基板ホルダー14等を備えている。タ
ーゲット131は、作成される薄膜の材料から成る。カ
ソード13には、カソード13に負の直流電圧又は高周
波電圧を印加してスパッタ放電を生じさせるスパッタ電
源15が接続されている。
【0024】プロセスガス導入系12によってアルゴン
のようなプロセスガスが所定の流量で導入されている状
態でスパッタ電源15を動作させると、スパッタ放電が
生じてターゲット131がスパッタされ、基板ホルダー
14上の基板9の表面に所定の薄膜が作成される。尚、
成膜時に基板ホルダー14に高周波電圧を印加してスパ
ッタ放電によるプラズマと高周波との相互作用により基
板9の表面に自己バイアス電圧を与えるよう構成される
場合がある。自己バイアス電圧は負の直流分の電圧であ
り、プラズマ中から正イオンを引き出して基板9に入射
させるよう働く。
【0025】また、前処理エッチングチャンバー4は、
スパッタエッチングにより基板9の表面の保護膜又は自
然酸化膜を除去するチャンバーである。保護膜や自然酸
化膜が表面に形成されたままでスパッタリングによる成
膜を行うと、薄膜の密着性や付着性が悪くなったり、導
通性等の電気的性質が不充分になったりする問題があ
る。前処理エッチングチャンバー4は、高周波放電を生
じさせて基板9の表面をスパッタエッチングする構成と
される。具体的には、上面に載せて基板9を保持する基
板ホルダーを介して高周波電界を設定する高周波電源を
設ける。高周波電源と基板ホルダーとの間に、自己バイ
アス電圧用のキャパシタンスを設ける。アルゴン等の不
活性ガスを前処理エッチングチャンバー4内に導入し、
高周波電源によって高周波電界を設定して高周波放電を
生じさせる。高周波放電によりプラズマが形成されると
ともに、基板9に自己バイアス電圧が与えられる。自己
バイアス電圧により、プラズマからイオンが引き出され
て基板9の表面に入射し、基板9の表面の保護膜又は自
然酸化膜がスパッタエッチングされて除去される。
【0026】次に、図1及び図2に示す第一の実施形態
の装置の全体の動作について説明する。まず、一方のロ
ードロックチャンバー2の大気側のゲートバルブ8が開
き、オートローダ61が外部カセット63から1枚の基
板9を取り出して一方のロードロックチャンバー2に搬
送する。一方のロードロックチャンバー2内では、予め
昇降ピン221が上昇して所定の上昇位置に位置してお
り、搬入された基板9はこの昇降ピン221上に載せら
れる。そして、直線駆動源222が動作して昇降ピン2
21が所定距離下降する。この結果、基板9がロック内
ステージ22の上面に載置される。
【0027】その後、大気側のゲートバルブ8は閉じら
れ、ロードロックチャンバー2内は、前述したように排
気系23により二段階排気される。排気と並行して、ラ
ンプヒータ212が動作し、基板9が輻射加熱される。
この結果、基板9の脱ガスが行われる。尚、ロック内ス
テージ22には、必要に応じて熱電対のような温度セン
サが設けられる。温度センサからの信号は、ランプヒー
タ212の電源に送られ、基板9の加熱温度が負帰還制
御される。
【0028】また、他方のロードロックチャンバー2の
大気側のゲートバルブ8が開き、オートローダ61が次
の基板9を外部カセット63から取り出し、他方のロー
ドロックチャンバー2に搬送する。基板9が上昇位置の
昇降ピン221の上に載せられる。そして、同様にして
昇降ピン221の下降により基板9がロック内ステージ
22に載置され、ロードロックチャンバー2内の排気と
脱ガスが行われる。
【0029】次に、一方のロードロックチャンバー2の
搬送チャンバー3側のゲートバルブ8が開き、搬送ロボ
ット62によって基板9が一方のロードロックチャンバ
ー2から前処理エッチングチャンバー4に搬送される。
そして、前処理エッチングチャンバー4で、前述した通
り前処理エッチングが行われた後、この基板9は、スパ
ッタチャンバー1に搬送される。スパッタチャンバー1
での処理の間、次の基板9が前処理エッチングチャンバ
ー4に搬送され、前処理エッチングが行われる。空にな
ったロードロックチャンバー2には、次の未処理の基板
9が順次搬送される。
【0030】スパッタリングによる成膜処理が終了した
基板9は、搬送ロボット62によりいずれかのロードロ
ックチャンバー2に戻される。基板9は、同様に昇降ピ
ン221によってロック内ステージ22に受け渡され
る。この際、コントローラは、ランプヒータ212によ
る加熱が停止状態になっているのを確認するとともに、
予め冷媒をロック内ステージ22の空洞に供給してロッ
ク内ステージ22を冷却しておく。成膜後の基板9は、
100℃〜200℃程度であるが、ロック内ステージ2
2に載置されることで、30〜60秒程度の間に室温程
度まで冷却される。冷却と並行して、ロードロックチャ
ンバー2のベントが行われる。コントローラは、主ベン
トバルブ241を開けた後、可変コンダクタンスバルブ
242を制御し、前述した通り、二段階ベントを行う。
ベントが終了してロードロックチャンバー2内が大気圧
になった後、ロードロックチャンバー2の大気側のゲー
トバルブ8が開き、処理済みの基板9はオートローダ6
1により外部カセットに搬出される。
【0031】このような動作を繰り返し、いずれかのロ
ードロックチャンバー2を経由して前処理エッチングチ
ャンバー4及びスパッタチャンバー1に基板9を1枚ず
つ搬送して枚葉処理を行い、いずれかのロードロックチ
ャンバー2を経由して外部カセットに戻す。外部カセッ
ト63に当初収容されていた最後の基板9が処理されて
元の位置に戻ると、外部カセット63に当初収容されて
いたすべての基板9に対する処理が終了したことにな
る。
【0032】上述した本実施形態の装置の動作におい
て、各ロードロックチャンバー2が1枚の基板9を収容
するのみであり、各ロードロックチャンバー2が充分に
小型化されているので、従来に比べて大気から所定の真
空圧力までの排気する回数は増えるものの、一回の排気
に要する時間が格段に短くなっている。また同様に、ベ
ントの回数は増えるものの、一回のベントに要する時間
が格段に短くなっている。このため、装置の生産性は全
体として大きく向上している。
【0033】また、ロードロックチャンバー2が脱ガス
機構を備えているので、別途脱ガス用の処理チャンバー
を設ける必要がない。このため、処理チャンバーの数が
少なくて済み、装置コストの低減、装置の専有面積の低
減等が図れる。また、ロードロックチャンバー2が冷却
機構25を備えていることは、成膜後の要因による膜質
の劣化や不安定化等の問題を防止するという技術的意義
をもたらす。以下、この点について説明する。 前述し
たように、成膜済みの基板9は、ベントされたロードロ
ックチャンバー2内で大気に触れる。この際、基板9の
温度が高いと、作成された薄膜の表面酸化のような変性
が生じることがある。図3は、この点を確認した実験の
結果について示した図である。
【0034】図3に示す実験では、基板9の表面にスパ
ッタリングによりアルミ膜を作成し、その後、ロードロ
ックチャンバー2に戻した。この際、前述したようにロ
ック内ステージ22に載置して冷却した後にロードロッ
クチャンバー2をベントした場合と、昇降ピン221へ
の載置のみでロック内ステージ22には載置しないまま
放置して冷却せずにベントした場合とで、膜質がどのよ
うに変わるかを比較した。膜質の比較は、シート抵抗値
を図ることにより行った。
【0035】図3の横軸は、成膜処理された基板9の枚
数、縦軸は、各基板9におけるシート抵抗値(相対値)
である。図3中、実線は冷却を行った後ベントした場
合、点線は冷却を行わずにベントした場合である。図3
に示すように、冷却を行わずにベントした場合、冷却を
行った場合に比べるとシート抵抗値は30〜40%程度
高い。この結果は、高温状態で大気に触れる結果、薄膜
の表面が酸化し、これが原因で抵抗値が増したものと推
測される。
【0036】このようなシート抵抗値の増加が生ずる
と、製作される素子の動作特性を悪化させたりことがあ
る。また、従来の装置では、成膜された基板9は1枚ず
つロードロックチャンバー2に搬送され、所定枚数の基
板9が溜まった後、ベントが行われる。この構成では、
成膜後にベントされるまでの時間が基板9毎に異なるた
め、ベント時の基板9の温度も基板9毎に異なる。この
結果、上述した膜質の劣化がばらついて生じてしまう。
一方、本実施形態の装置によれば、1枚のみ基板9を収
容して冷却後にベントを行う構成なので、膜質の劣化や
バラツキ等がなく、高品質の薄膜を高い再現性で作成す
ることができる。
【0037】次に、本願発明の第二の実施形態について
説明する。図4は、第二の実施形態の装置の主要部を示
したものであり、第二の実施形態の装置におけるロード
ロックチャンバー2の断面概略図である。第二の実施形
態の装置では、脱ガス機構21は、ロック内ステージ2
2に設けられたジュール発熱ヒータ214と、ジュール
発熱ヒータ214に接続されたヒータ電源215とから
主に構成されている。ロック内ステージ22には、不図
示の熱電対等の温度センサが設けられており、温度セン
サからの信号によりヒータ電源215は負帰還制御され
る。尚、本実施形態におけるロードロックチャンバー2
も、同様の排気系及びベントガス導入系を備えている
が、図4では図示が省略されている。
【0038】また、本実施形態の装置では、基板9をロ
ック内ステージ22に静電吸着する静電吸着機構26が
設けられている。ロック内ステージ22は、金属製のス
テージ本体223と、ステージ本体223の上側に設け
られた誘電体ブロック224とよりなる。ジュール発熱
ヒータ214は、ステージ本体223内に設けられてい
る。
【0039】静電吸着機構26は、誘電体ブロック22
4内に設けられた吸着電極261と、吸着電極261に
接続された吸着電源262とから主に構成されている。
吸着電極261は一対のものであり、吸着電源262は
互いに極性の異なる直流電圧を各吸着電極261に印加
するものである。吸着電極261に印加された電圧によ
り誘電体ブロック224に誘電分極が生じ、表面に静電
気が誘起される。これにより、基板9が静電吸着され
る。
【0040】本実施形態の構成によると、脱ガス機構2
1がロック内ステージ22に設けられているので、第一
の実施形態のロードロックチャンバー2内を仕切る必要
がなく、ロードロックチャンバー2内の構造がシンプル
になる。また、基板9がロック内ステージ22に静電吸
着されるので、加熱の効率が高く、脱ガスを短時間に行
うことができる。
【0041】尚、本実施形態においても、ロードロック
チャンバー2が成膜後の基板9の冷却の機能を備えるよ
うにすることは可能である。具体的には、ステージ本体
223内に第一の実施形態の同様の空洞を設け、冷媒を
供給するようにする。この場合も、コントローラからの
指示により、ロック内ステージ22で脱ガスを行うの
か、成膜後の冷却を行うのかが選択され、脱ガス機構2
1又は冷却機構25がいずれか一方のみが動作する。
【0042】次に、本願発明の第三の実施形態について
説明する。図5は、第三の実施形態のスパッタリング装
置の断面概略図である。図5に示す装置も、ロードロッ
クチャンバー2の構成が第一の実施形態と異なってい
る。この実施形態では、二つの上下に積層されたロード
ロックチャンバー2が一組となり、これが左右に二組設
けられた構造となっている。従って、本実施形態では、
四つのロードロックチャンバー2が設けられた構成とな
っている。そして、上側のロードロックチャンバー2は
装置への搬入用、下側のロードロックチャンバー2は装
置からの搬出用となっている。尚、各ロードロックチャ
ンバー5は、それぞれ独立して動作する排気系及びベン
トガス導入系を備えているが、図5では図示が省略され
ている。
【0043】上側の搬入用のロードロックチャンバー
(以下、搬入用チャンバー)2は、第一の実施形態にお
けるものと同様に内部が隔壁211によって気密に仕切
られている。隔壁211の上側の空間には、第一の実施
形態と同様にランプヒータ212及び反射ミラー213
が設けられている。また、隔壁211の下側の空間は、
第一の実施形態と同様に真空に排気される空間である。
第一の実施形態とは異なり、この空間にはピン27が設
けられたのみであり、ロック内ステージ22は設けられ
ていない。ピン27は、第一の実施形態における昇降ピ
ン221と同様に四本程度均等に設けられている。
【0044】一方、下側の搬出用のロードロックチャン
バー(以下、搬出用チャンバー)2内には、ロック内ス
テージ22が設けられている。このロック内ステージ2
2は、第一の実施形態におけるものとほぼ同様であり、
冷却機構25を備えた台状の部材である。尚、各ロード
ロックチャンバー2は、それぞれ独立して真空排気とベ
ントとが可能となっている。排気とベントは、前述した
ように二段階の制御が行われる。
【0045】また、図5に示すように、搬入用チャンバ
ー2と搬出チャンバー2とは、内部に滞留する基板9と
平行な方向に沿って積層された状態となっている。これ
は、各ロードロックチャンバー2が基板9に平行な方向
に延びる薄い(高さの低い)ものであることに鑑み、そ
れらを平行に積層することによって占有スペースの低減
を図るものである。
【0046】そして、両ロードロックチャンバー2の境
界部分には、冷却部28が設けられている。冷却部28
は、銅のような熱伝導性の高い冷却ブロック内に冷媒を
流通させて冷却するものである。冷却部28により、搬
入用チャンバーからの熱が除去されて搬出用チャンバー
2に伝わらないようになっており、この結果、搬出用チ
ャンバー2における冷却が不充分になることが防止され
ている。冷却部28に代え、断熱材を充填した構成の断
熱部が設けられることもある。断熱部は、搬入用チャン
バー2と搬出用チャンバー2とを断熱する。
【0047】この実施形態の装置によれば、脱ガス機構
21と冷却機構25とが別々のロードロックチャンバー
2に設けられているので、エネルギーの利用効率が高い
という長所がある。第一の実施形態のように、脱ガスと
冷却とが同じロードロックチャンバー2で行われる場
合、エネルギー効率的に無駄な点がある。つまり、脱ガ
ス時にランプヒータ212からの熱によってロック内ス
テージ22は加熱される。このため、冷却時には、ロッ
ク内ステージ22が室温にある場合により多く冷却しな
ければならない。そして、冷却後に同一ロードロックチ
ャンバー2で脱ガスを行う場合、ロック内ステージ22
が室温にある場合よりも多く加熱しなければならない。
【0048】一方、本実施形態によれば、脱ガスと冷却
とは別々のロードロックチャンバー2で行われるように
なっているので、上記のようなエネルギー効率の悪さは
ない。場合によっては、搬出用チャンバー2における冷
却機構25は、冷媒を常時ロック内ステージ22に供給
する構成としても良い。また、脱ガスと冷却とが別々の
ロードロックチャンバー2で行われるので、いずれか遅
い方の工程に律速されることがない。このため、リード
タイムが最短となるよう基板9の搬送経路を適宜選定す
ることが可能となる。
【0049】次に、本願発明の第四の実施形態について
説明する。図6は、第四の実施形態のスパッタリング装
置の主要部を示したものであり、第四の実施形態の装置
におけるロードロックチャンバー2の断面概略図であ
る。この実施形態の装置では、ロードロックチャンバー
2が2枚のみの基板9を収容する構造となっている。
【0050】ロードロックチャンバー2内には、二つの
ロック内ステージ22が上下に積層して設けられてい
る。上側のロック内ステージ22は、フレーム225に
よって支持されている。各ロック内ステージ22は、図
3に示す第二の実施形態のものとほぼ同様である。この
実施形態では、昇降ピン221を駆動する直線駆動源2
22は、各ロック内ステージ22に設けられている。
尚、本実施形態においても、ロック内ステージ22に
は、静電吸着機構及び脱ガス機構が設けられているが、
図6においてはそれらの図示は省略されている。また、
排気系及びベントガス導入系についても、図示が省略さ
れている。
【0051】本実施形態の装置では、未処理の基板9は
オートローダにより1枚ずつロードロックチャンバー2
に搬入され、昇降ピン221を介して各ロック内ステー
ジ22に載置される。そして、不図示の排気系による排
気及び不図示の脱ガス機構による脱ガスの後、搬送ロボ
ットにより1枚ずつ搬出され、前述したのと同様に成膜
処理される。成膜処理後は、1枚ずつロードロックチャ
ンバー2に戻され、各ロック内ステージ22に基板9が
載置された後、ベントされる。その後、1枚ずつオート
ローダにより外部カセットに搬出される。尚、外部カセ
ットとロードロックチャンバー2間の搬送には、二枚の
基板9を同時に保持して搬送する構成が採られることも
ある。
【0052】上記各実施形態において、ロードロックチ
ャンバー2における脱ガスは、排気と並行して行われる
と説明したが、これには、脱ガスの開始と排気の開始と
が同じである場合、排気を開始した後に脱ガスを行う場
合等が含まれる。つまり、排気を開始した後、所定の真
空圧力になった後にランプヒータ212の点灯を開始し
たり、ジュール発熱ヒータ214を内蔵したロック内ス
テージ22に基板9の載置したりすることがある。圧力
が高い状態での加熱による基板9の酸化が抑制された
り、真空状態での加熱により脱ガスが促進される効果が
より高くなったりする。また、ベントについても、冷却
の開始とベントとが同時の場合の他、冷却を開始した後
に所定時間経過後又は基板9の温度が所定温度に降下し
た後にベントを開始する場合もある。このようにする
と、基板9の温度が充分に低下してから基板9が大気に
触れるようにすることができるため、前述した成膜後の
膜の酸化等の問題がさらに抑制できる。
【0053】
【発明の効果】以上説明した通り、本願の請求項1又は
2記載の発明によれば、ロードロックチャンバーが基板
を1枚又は2枚のみ収容するものであるため、排気やベ
ントに要する時間が短くて済み、装置の全体の生産性が
向上する。加えて、ロードロックチャンバーが脱ガス機
構と冷却機構とを備えているので、脱ガス用の処理チャ
ンバーや冷却用の処理チャンバーを別途設ける必要がな
く、装置コストが安価になり、また装置の占有スペース
も低減する。また、請求項3記載の発明によれば、上記
効果に加え、ロック内ステージに対する接触時に冷却を
行い、非接触時に輻射線による加熱が行われるので、脱
ガスと冷却の切り替えが容易である。また、請求項4記
載の発明によれば、基板をロック内ステージに静電吸着
させる静電吸着機構が設けられているので、脱ガス又は
冷却がより効率的に行える。また、請求項5記載の発明
によれば、脱ガス機構と冷却機構とが別々のロードロッ
クチャンバーに設けられているので、両者の所要時間に
差異がある場合でもそれらに律速されることなく、全体
のリードタイムが最短になるよう基板の搬送経路を適宜
選定することが可能となる。また、請求項6記載の発明
によれば、上記効果に加え、一対のロードロックチャン
バーの境界部分に断熱部又は冷却部が設けられているの
で、冷却機構による冷却が不充分になることが防止され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第一の実施形態のスパッタリング装
置の構成を示す平面概略図である。
【図2】図1の装置のX−Xでの断面概略図である。
【図3】成膜後に高温のままベントされると膜質が劣化
する点を確認した実験の結果について示した図である。
【図4】第二の実施形態の装置の主要部を示したもので
あり、第二の実施形態の装置におけるロードロックチャ
ンバーの断面概略図である。
【図5】第三の実施形態のスパッタリング装置の断面概
略図である。
【図6】第四の実施形態のスパッタリング装置の主要部
を示したものであり、第四の実施形態の装置におけるロ
ードロックチャンバーの断面概略図である。
【符号の説明】
1 スパッタチャンバー 11 排気系 12 プロセスガス導入系 13 カソード 131 ターゲット 14 基板ホルダー 2 ロードロックチャンバー 21 脱ガス機構 211 隔壁 212 ランプヒータ 213 反射ミラー 214 ジュール発熱ヒータ 22 ロック内ステージ 221 昇降ピン 223 ステージ本体 224 誘電体ブロック 23 排気系 232 排気速度調整器 24 ベントガス導入系 242 可変コンダクタンスバルブ 25 冷却機構 26 静電吸着機構 261 吸着電極 262 吸着電源 27 ピン 3 搬送チャンバー 4 前処理エッチングチャンバー 5 処理チャンバー 61 オートローダ 62 搬送ロボット 8 ゲートバルブ 9 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊谷 晴治 東京都府中市四谷5丁目8番1号アネルバ 株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA24 DA08 FA06 GA00 JA05 KA09 5F103 AA08 BB42 BB60 RR02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部で基板に対しスパッタリングによる
    成膜処理が行われるスパッタチャンバーと、スパッタチ
    ャンバーと大気側との間で基板が搬送される際に基板が
    一時的に滞留する真空チャンバーであるロードロックチ
    ャンバーとよりなるスパッタリング装置であって、スパ
    ッタチャンバーとロードロックチャンバーとは内部空間
    が気密に連通するようにして接続されており、 前記ロードロックチャンバーは、1枚又は2枚のみの基
    板が内部に滞留するものであって、内部を所定の真空圧
    力に排気する排気系及び内部を大気圧に戻すベントガス
    導入系を備えるとともに、前記ロードロックチャンバー
    は、成膜処理に先立ち基板を加熱して脱ガスを行う脱ガ
    ス機構と、成膜処理後に基板を冷却する冷却機構とを備
    えていることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記脱ガス機構による加熱及び前記冷却
    機構による冷却のいずれか一方のみが行われるよう制御
    するコントローラが設けられていることを特徴とする請
    求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 前記脱ガス機構は、基板を輻射加熱する
    ランプヒータによって構成されているとともに、前記冷
    却機構は、面接触して基板を保持するロック内ステージ
    に冷媒を供給する機構によって構成されており、前記コ
    ントローラは、脱ガス時には基板をロック内ステージか
    ら離間させた位置で保持しながらランプヒータからの輻
    射線が基板に到達するようにし、冷却時には基板をロッ
    ク内ステージに面接触させるようにする制御を行うもの
    であることを特徴とする請求項2記載のスパッタリング
    装置。
  4. 【請求項4】 内部で基板に対しスパッタリングによる
    成膜処理が行われるスパッタチャンバーと、スパッタチ
    ャンバーと大気側との間で基板が搬送される際に基板が
    一時的に滞留する真空チャンバーであるロードロックチ
    ャンバーとよりなるスパッタリング装置であって、スパ
    ッタチャンバーとロードロックチャンバーとは内部空間
    が気密に連通するようにして接続されており、 前記ロードロックチャンバーは、1枚又は2枚のみの基
    板が内部に滞留するものであって、内部を所定の真空圧
    力に排気する排気系及び内部を大気圧に戻すベントガス
    導入系を備えるとともに、前記ロードロックチャンバー
    は、表面に面接触して基板を保持するロック内ステージ
    を内部に有しており、 前記ロック内ステージは、面接触部分を介して基板を加
    熱して脱ガスを行う脱ガス機構又は成膜処理後に面接触
    部分を介して基板を冷却する冷却機構と、脱ガス機構に
    よる加熱又は冷却機構による冷却の際に基板をステージ
    に静電吸着する静電吸着機構とを備えていることを特徴
    とするスパッタリング装置。
  5. 【請求項5】 内部で基板に対しスパッタリングによる
    成膜処理が行われるスパッタチャンバーと、スパッタチ
    ャンバーと大気側との間で基板が搬送される際に基板が
    一時的に滞留する真空チャンバーである一対のロードロ
    ックチャンバーとよりなるスパッタリング装置であっ
    て、スパッタチャンバーと一対のロードロックチャンバ
    ーとは、内部空間が気密に連通するようにして接続され
    ており、 前記一対のロードロックチャンバーは、1枚又は2枚の
    みの基板が内部に滞留するものであって、内部を所定の
    真空圧力に排気する排気系及び内部を大気圧に戻すベン
    トガス導入系を備えるとともに、一方のロードロックチ
    ャンバーは成膜処理に先立ち基板を加熱して脱ガスを行
    う脱ガス機構を備え、他方のロードロックチャンバー
    は、成膜処理後に基板を冷却する冷却機構を備えている
    ことを特徴とするスパッタリング装置。
  6. 【請求項6】 前記一対のロードロックチャンバーは、
    滞留する基板と平行な方向に沿って積層されたものであ
    り、両者の境界部分には、断熱部又は前記一方のロード
    ロックチャンバーからの熱を除去して前記他方のロード
    ロックチャンバーに伝わらないようにする冷却部が設け
    られていることを特徴とする請求項5記載のスパッタリ
    ング装置。
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