JP4103060B2 - スプリンクラヘッドカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天井面等に設置されたスプリンクラヘッドを外的衝撃から守るスプリンクラヘッドカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天井面等に取り付けられたスプリンクラヘッドが外的衝撃を受けて暴発するのを防止すると共に、スプリンクラヘッド取付部の隙間を塞いで意匠的にもよくするためのスプリンクラヘッドカバーが例えば実公平7−37638号公報に開示されている。図24は同公報に記載されたスプリンクラヘッド用ガード(同公報に言う「スプリンクラヘッド用ガード」は、本明細書に言うところのスプリンクラヘッドカバーに相当するものである。)を取り付けた状態の説明図、図25はスプリンクラヘッド用ガードの分解斜視図である。
【0003】
ガードは、取り付け体61、ばね材62、蓋部材63および低融点合金64から構成されている。取り付け体61は円環状であり、周囲に複数の突出部65が形成され,その中に木ねじを通すことのできる穴66が穿設されている。この取り付け体61にはL字形の複数の脚67が設置されており、脚67は低融点合金64がはんだ付けできるような材料からできている。低融点合金64はスプリンクラーヘッドの作動温度よりも低い融点をもつようなものにする。
【0004】
ばね材62は前述した取り付け体61とほぼ同一大の皿ばねであり、取り付け体61の脚67と一致するところには切欠68が形成されている。
蓋部材63は凹状となっており、上部周囲には取り付け体61とほぼ同一大のフランジ69が形成されている。このフランジ69は取り付け体61の脚67と低融点合金64で接合するため、はんだ付けできる材料でなければならない。また、蓋部材の周囲には複数の開口70が設けられている。
【0005】
ガードの組立は、ばね材62の切欠68に取り付け体61の脚67を入れ,蓋部材63のフランジ69上に脚67を置いてから、脚67とフランジ69とを低融点合金64で接着する。このようにして組立てられたガードは、スプリンクラーヘッド55が取り付けられた天井50の穴53とほぼ同芯にして取り付ける。この取り付けは、取り付け体61の穴66に木ねじ74を通して天井50に直接取り付ける。
【0006】
次に上記のように構成された従来のガードの作用について説明する。火災が発生するとガードが熱せられ、取り付け体61と蓋部材63を接着していた低融点合金64が溶ける。このとき、蓋部材63に蓋部材63を落下させるようなばね力が作用しているため蓋部材63の自重に加えてばね力で蓋部材63が落下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の実公平7−37638号公報に開示されたスプリンクラヘッド用ガードにおいては、低融点合金64が火災の熱で溶けることによって蓋部材63が取り付け体61から外れる構造であるため、原則として4箇所の低融点合金64の全てが溶解しなければ、蓋部材63が取り付け体61から外れない。このため、スプリンクラヘッドが作動するまでに長時間を要するという問題がある。
【0008】
なお、低融点合金64による4箇所の接着を比較的弱くしておき、4箇所のうちのいずれか1箇所が外れれば他の3箇所はばね材62の付勢力に抗しきれずに、蓋部材63が外れるようにすることも考えられるが、そのような構成にすると、蓋部材63の取付が不安定となり、長期間に亘る径年変化あるいは取付前の輸送中の振動等により接着部が外れてしまうことが考えられ、信頼性のある構造とは言えなくなってしまう。
【0009】
また、このスプリンクラヘッド用ガードの場合には、低融点合金64が外気に触れる状態にあるので、例えば駐車場などに設置した場合には、排気ガスに含まれる腐食性のある亜硫酸ガスによって低融点合金64の性状が変化してしまい、接着強度が低下してカバーが外れてしまうという問題があった。
【0010】
さらに、蓋部材63には複数の開口70が設けられており、スプリンクラーヘッド55の感知部が外気に触れる構造になっている。このため、上記と同様に、感知部に腐食性のあるガスが触れることによって、腐食生成物が層をなすことになり、感知遅れが発生するという問題もあった。
【0011】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、通常時には簡単に外れることはなく、火災の際には確実に作動して落下するスプリンクラヘッドカバーを提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスプリンクラヘッドカバーは、スプリンクラヘッド又は天井材等に取付けられた取付部材のフランジに係止する内側に折り曲げられた複数の係止部を有し、常時は該係止部の係止を解除するように外側に広がる方向に付勢された第1の付勢部材と、内面側に設けられた前記第1の付勢部材の付勢を規制すると共に、前記スプリンクラヘッドの一部をカバーするカバー部材と、該カバー部材を前記第1の付勢部材に固定する低融点合金とを備え、前記カバー部材の内面中心部に前記低融点合金により取付けられたフックを有し、該フックにより前記第1の付勢部材をかしめて前記カバー部材に固定したものである。
また、上記の第1の付勢部材は、前記カバー部材を下方にも付勢する。
【0013】
また、本発明に係るスプリンクラヘッドカバーは、スプリンクラヘッド又は天井材等に取付けられた取付部材のフランジに係止する内側に折り曲げられた複数の係止部を有し、常時は該係止部の係止を解除するように外方に広がる方向に付勢された第2の付勢部材と、内面側に設けられた前記第2の付勢部材の付勢を規制すると共に、前記スプリンクラヘッドの一部をカバーするカバー部材と、前記スプリンクラヘッドとカバー部材との間に設けられ、前記第2の付勢部材が外周に設けられて前記スプリンクラヘッドの一部を保護するプロテクタと、該プロテクタの下部に設けられるストッパ板と、前記カバー部材を前記ストッパ板に固定する低融点合金とを備え、前記カバー部材の内面中心部に前記低融点合金により取付けられたフックを有し、該フックにより前記ストッパ板をかしめて前記カバー部材に固定したものである。
【0014】
上記のプロテクタとカバー部材との間に第3の付勢部材を介装し、該第3の付勢部材により前記カバー部材を下方に付勢した。
【0015】
上記の取付部材は、前記フランジの上面外周に該フランジの外径より大きい当接部が一体に形成されており、前記カバー部材の上端が前記当接部の下面に当接する。
【0016】
上記の取付部材の下部に係止段部を設けると共に、前記プロテクタの上部に前記係止段部に係合する係止突部を設けた。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るスプリンクラヘッドカバーの設置状態を示す縦断面図である。
図において、50は天井板であり、スプリンクラヘッドを設置するための開口部53が設けられている。55は開口部53に臨ませて設置され、その感知部55aが天井板50から室内等に突出したスプリンクラヘッド、1はスプリンクラヘッド55に装着されたスプリンクラヘッドカバーである。なお、80は開口部53のスプリンクラヘッドカバー1の外周を閉塞するシーリングプレートである。
【0018】
スプリンクラヘッドカバー1は、スプリンクラヘッド55に装着される取付部材2、取付部材2の下端部に後述するばね材20を介して取付部材2と離脱可能に装着され、スプリンクラヘッド55の感知部55aを覆うカバー部材10、カバー部材10の内面側において取付部材2の下端部に接合されたプロテクタ15、取付部材2とカバー部材10との間に設けられ、カバー部材10を外方及び下方に付勢する付勢部材としてのばね材20等から構成されている。以下、これら各構成部材について詳細に説明する。
【0019】
図2、図3は取付部材2の縦断面図及び平面図である。取付部材2は例えば合成樹脂によりほぼ円筒状に形成されて下端部外周にはフランジ3が設けられており、フランジ3の上面には等間隔(図には120°の場合が示してある)で、下方に向ってほぼ45°の角度で傾斜した複数の係止凹部4が設けられている。5はフランジ3の下面に設けられた係止段部である。そして、上端側内周面には段部6が形成されてそれより上の部分は拡径されており、その内周面にはスプリンクラヘッド55のおねじにねじ込むためのめねじ7が設けられている。
【0020】
ここで、取付部材2の上端側内周面に段部6を設けた理由を説明する。スプリンクラヘッド55には、取付部材2の上端内周面に形成したねじに螺合するねじ部55bが形成されているが、このねじ部55bにはスプリンクラヘッド55を配管に取りつける際に工具を係合させるための溝55cが設けられている(図1参照)。このため、段部6が無い場合には取付部材2をスプリンクラヘッド55に取りつけた際に、取付部材2とスプリンクラヘッド55との間で溝55cの部分が隙間となってしまい、その間隙から腐食性の気体が流入してしまう。
そこで、溝55cの深さよりも幅の大きい段部6を形成することによって、取付部材2をスプリンクラヘッド55に取りつけた際に段部6が溝55cの底よりも内側に位置することになり、取付部材2とスプリンクラヘッド55との間に隙間ができるのを防止するようにしたものである。
また、この段部6はスプリンクラヘッドカバー1にかかる垂直方向の力を受け止めて、スプリンクラヘッド55を保護する機能も備えている。
【0021】
カバー部材10は、熱伝導率の高い銅、アルミニウムなどの薄い材料をほぼ椀状に形成して構成したものである。
また、プロテクタ15は図4の側面図及び図5の縦断面図に示すように、例えば合成樹脂製でリング状に形成された上枠16、この上枠16より小径でリング状の下枠17、及びこれら上枠16と下枠17を連結する複数のリブ18とを一体成形したもので、上枠16の上面には取付部材2の係止段部5に係合する係止突部19が設けられている。プロテクタ15に複数のリブ18を設けたのは、プロテクタ15自体の容量を小さくして熱容量を小さくすると共に、カバー体10との接触面積を小さくすることによって、カバー部材10の熱をプロテクタ15が奪うのを極力防止し、後述のはんだの溶融を促進し、スプリンクラヘッドカバー1の作動遅れを防止するためである。
【0022】
さらに、プロテクタ15には、リブ18の間に開口部が形成されているので、カバー部材10が落下したのち、仮にプロテクタ15が取付部材2に固着して落下しなくても開口部から熱気流が流入するため、スプリンクラヘッド55が作動遅れを生じることはない。なお、スプリンクラヘッド55の作動に伴い、放水圧力によってプロテクタ15は確実に落下する。
【0023】
ばね材20は、図6の斜視図、図7の平面図に示すように、板ばねからなり、120°の間隔で張出した支持腕22a,22b,22cからなるほぼY字状の本体部21と、各支持腕22a〜22cからほぼ90°の方向に分岐した分岐板23a,23b,23cとからなり、各支持腕22a〜22cはほぼカバー部材10の内縁に沿う状態で上方に円弧状に折曲げられ、先端部はそれぞれほぼ45°の角度で内側に折曲げられて係止部24a,24b,24cが形成されている。なお、この状態では、各支持腕22a〜22cを結ぶ円周の半径r2 は、カバー部材10の上端部の内周の半径r1 より大きく、r2 >r1 に形成されている(図9参照)。また、各分岐板23a〜23cは下方に向って円弧状に折曲げられている。
【0024】
次に、図1、図8及び図9を参照して本実施の形態の組立手順の一例について説明する。なお、カバー部材10の内面中心部には、図10(a)に示すように、ばね材20を固定するためのほぼコ字状のフック12が、スプリンクラヘッド55の作動温度より低い融点をもつ低融点合金であるはんだ11によりあらかじめ取付けられている。
【0025】
先ず、取付部材2の下端部に設けた係止段部5にプロテクタ15の上面に設けた係止突部19を嵌合し、ついで、プロテクタ15の下面に、支持腕22a〜22cを取付部材2の係止凹部4の位置とそれぞれ一致させてばね材20を当接し、この3部品を治具を使用するなどしてカバー部材10内に押し込む。
これにより、ばね材20の支持腕22aがカバー部材10の底部に設けたフック12の腕13a,13bの間に挿入され、また、各支持腕22a〜22cは、カバー部材10に押圧されて内側に弾性変形し、係止部24a〜24cが取付部材2の係止凹部4にそれぞれ係止する。
【0026】
すなわち、ばね材20の各支持腕22a〜22cの先端を結ぶ円周の半径r2 と、カバー部材10の上端部内周の半径r1 とは、前述のようにr2 >r1 の関係にあるので、3部品をカバー部材10内に押し込むと、ばね材20はカバー部材10内に圧入された状態になって、各支持腕22a〜22cの上部はカバー部材10に押圧されて弾性変形し、取付部材2のフランジ3及びプロテクタ15の上枠16に圧接されると共に、係止部24a〜24cが取付部材2の係止凹部4にそれぞれ係止する。
【0027】
この状態で、図10(b)に示すように、フック12の腕13a,13bを互いに内側に折り曲げて支持腕22aをかしめ、固定する。このとき、ばね材20の各分岐板23a〜23cはカバー部材10の底面に圧接されてカバー部材10を下方に付勢し、また、支持腕22a〜22cは外側に広がる方向に付勢されている。
【0028】
このようにして組立てられた本実施の形態に係るスプリンクラヘッドカバーにおいては、ばね材20の本体部21はフック12によりカバー部材10に固定されており、また、支持腕22a〜22cはカバー部材10により取付部材2に圧接され、かつ、その係止部24a〜24cが取付部材2の係止凹部4に係止している。このため、スプリンクラヘッド55の感知部55aを覆うカバー部材10は、ばね材20の分岐板24a〜24cによる下方への付勢力に打勝って、その位置に保持される。
【0029】
このスプリンクラヘッドカバー1の取付部材2は、天井材50の下から開口部53に挿入され、スプリンクラヘッド55に嵌合してそのめねじ7をスプリンクラヘッド55のねじ部55bに螺合して固定し、装着される。このように、スプリンクラヘッド55へのカバー部材10の取付けは、ねじ部55bへの回転作業だけで行えるので、カバー部材10の着脱作業がきわめて容易である。このとき、カバー部材10はスプリンクラヘッド55の感知部55aを覆って保護し、その上端部はシーリングプレート80の下面に当接するので、スプリンクラヘッド55を完全に密閉し、腐食性の気体及び液体が侵入しないようになる。
【0030】
また、スプリンクラヘッド55は、プロテクタ15を介してカバー部材10により覆われ、かつ、プロテクタ15と取付部材2とは、互いに段部を備えた係止段部5と係止突部19とによって係止しているので、スプリンクラヘッド55を外力から確実に保護することができる。すなわち、カバー部材10の下方又は側方から作用する外力は、プロテクタ15を介して取付部材2に吸収され、その外力がスプリンクラヘッド55に加わることはない。
【0031】
次に、図11、図12により本実施の形態の作用を説明する。図1における監視状態から、火災時の火炎又は熱気流によってカバー部材10が加熱されると、フック12を取付けているはんだ11が溶けてカバー部材10とばね材20とが分離し、拘束が解除されてフリー状態となり、カバー部材10はばね材20の分岐板23a〜23cのばね力によって下方に押し出される。
これにより、カバー部材10の上部がばね材20の支持腕22a〜22cから外れて押圧力がなくなるため、各支持腕22a〜22cはそのばね力によって外方に変位し、係止部24a〜24cが取付部材2の係止凹部4から離脱する。
【0032】
この結果、図12に示すように、カバー部材10がばね材20のばね力及び自重により取付部材2から外れて落下し、これに続いてばね材20及びプロテクタ15も自重により落下して、スプリンクラヘッド55の感知部55aが露出する。これにより、火災による火炎又は熱気流が直接感知部55aに作用し、スプリンクラヘッド55が作動する。
【0033】
以上のように、本実施の形態は、取付部材2への係止機能及びカバー部材10への付勢機能を有するばね材20をカバー部材10内に圧入し、火災時の熱により溶解するはんだ11を介してカバー部材10に固定するようにしたので、部品が少なく組立がきわめて容易であり、監視時には、カバー部材10によりスプリンクラヘッド55の感知部55aを確実に保護することができる。
【0034】
また、カバー部材10は火災時に火炎又は熱気流の当り易い底部の1か所に設けたはんだ11を介してばね材20に固定されており、火災時には確実にはんだ11が溶解して早期に取付部材2側と分離することができるので、感度がよく信頼性の高いスプリンクラヘッドカバー1を得ることができる。また、輸送時や監視時などにおいて、カバー部材10が不用意に外れることもない。
【0035】
さらに、取付部材2を熱伝導率の低い合成樹脂で構成したので、火災時に熱が取付部材2に奪われることが少なく、スプリンクラヘッド55の感度を向上することができる。
なお、上記の説明では、スプリンクラヘッドカバー1を、取付部材2、プロテクタ15、ばね材20、カバー部材10等によって構成した場合を示したが、プロテクタ15は省略してもよい。
【0036】
[実施の形態2]
図13は本発明の実施の形態2に係るスプリンクラヘッドカバーをスプリンクラヘッドに装着した状態を示す縦断面図である。
図において、55は天井板に設けた開口部(図1参照)に臨ませて設置されたスプリンクラヘッド、1は本実施の形態に係るスプリンクラヘッドカバーで、スプリンクラヘッド55に装着された取付部材2、スプリンクラヘッド55の感知部55aを覆うカバー部材10、カバー部材10の内側において取付部材2の下端部に接合されたプロテクタ15、プロテクタ15の下端部に設けられたストッパ板31、プロテクタ15の外周に設けられ外側に広がるように付勢された付勢手段であるばねフック35、プロテクタ15とカバー部材10との間に介装された付勢手段であるコイルばね41等からなっている。
【0037】
取付部材2は、図14、図15に示すように、実施の形態1の取付部材2とほぼ同じ構造のものであるが、フランジ3の上面外周にフランジ3の外径より大きい当接部8が一体に形成されており、フランジ3にはほぼ等間隔(図には、120°間隔の場合が示してある)で、当接部8の上面からフランジ3にかけて、底部がほぼ45°の角度で下方に向って傾斜した係止凹部4が設けられている。なお、この取付部材2は、実施の形態1にも使用することができる。
【0038】
カバー部材10は実施の形態1のカバー部材10と同じ構造のもので、内面中心部には、図10で説明したように、はんだ11によりコ字状のフック12が取付けられている。
【0039】
プロテクタ15は図16の縦断面図、図17の下面図に示すように、例えば合成樹樹脂製でリング状の上枠16、この上枠16より小径でリング状の下枠17、及びこれら上枠16と下枠17を連結する複数のリブ18とを一体成形してなり、上枠16の上面には、取付部材2の係止段部5に係合する係止突部19が設けられている。
そして、下枠17の直径方向には、下面がカバー部材10の底部の形状に対応して弧状に形成され、両端部が、例えば下枠17にインサートされて一体成形された帯状の金属板からなるストッパ板31が設けられている。
【0040】
また、複数のリブ18のうち、120°間隔で設けられたリブ(例えば、18a,18b,18c)は、外側面の上下方向に凹部18dが設けられており、この凹部18dの下端部には、先端部がほぼ45°に折り曲げられて係止部36が形成された板ばねからなるばねフック35の基端部が例えばインサートされて一体成形されている。なお、17aは下枠17の外周に形成された段部で、コイルばね41のばね座を形成する。
【0041】
次に、図13及び図18、図19を参照して本実施の形態の組立手順の一例について説明する。
先ず、取付部材2の下端部に設けた係止段部5にプロテクタ15の上面に設けた係止突部19を嵌合させる。このとき、各ばねフック35の位置を、取付部材2の係止凹部4の位置に整合させる。そして、プロテクタ15の段部17aにコイルばね41を嵌合し、この状態で治具を使用するなどして、これら3部品をカバー部材10内に、取付部材2の当接部8がカバー部材10の上端部に当接するまで押込む。
【0042】
これにより、ストッパ板31はカバー部材10の底部に設けたフック12の腕13a,13bの間に挿入され、コイルばね41はプロテクタ15とカバー部材10との間に圧縮されて介装される。また、ばねフック35はカバー部材10に押圧されて凹部18d内に折り曲げられて収容され、圧入状態で押し込まれて先端部に設けた係止部36が取付部材2の係止凹部4に係止する。この状態で、フック12の腕部13a,13bを互いに内側に折り曲げてかしめ、ストッパ板31をフック12、ハンダ11を介してカバー部材10に固定する。このときの状態を図13に示す。
【0043】
このスプリンクラヘッドカバー1の組立てにあたっては、ばねフック35がプロテクタ15にあらかじめ取付けられているので、取付部材2とプロテクタ15の位置決めが容易である。また、プロテクタ15にばねフック35が取付けられているため、実施の形態1の場合と異なり、プロテクタ15はカバー部材10内で全く動かないので、感知部55aに接触することはない。
【0044】
このようにして組立てられた本実施の形態においては、カバー部材10はプロテクタ15との間に介装されたコイルばね41により、常時下方に向う付勢力を受けているが、カバー部材10とプロテクタ15とはストッパー板31とフック12とにより一体に固定されており、さらに、プロテクタ15に設けたばねフック35は、カバー部材10を外方に付勢する反力によりその係止部36が取付部材2の係止凹部4に係止しているので、スプリンクラヘッド55の感知部55aを覆うカバー部材10は、コイルばね41の付勢力に打勝ってその位置に保持される。このとき、カバー部材10の上端部は、取付部材2の当接部8の下面に密着するので、内部機構を密封することができ、腐食性の気体及び液体の流入を防止できる。
このように構成したスプリンクラヘッドカバー1は、実施の形態1の場合と同様にスプリンクラヘッド55にねじ嵌合され、感知部55aを保護する。
【0045】
次に、図20により本実施の形態の作用を説明する。図13における監視状態から、火災時の熱によってカバー部材10が加熱されると、フック12を取付けているはんだ11が溶けてカバー部材10とストッパー板31とが分離し、カバー部材10はプロテクタ15による拘束が解除されてフリー状態になるので、コイルばね41のばね力によって下方に押出される。
これにより、カバー部材10の上部がばねフック35から外れてその押圧力がなくなるので、各ばねフック35はそのばね力によって外方に変位し、係止部36が取付部材2の係止凹部4から離脱する。
【0046】
この結果、カバー部材10が取付部材2から外れて落下し、これに続いてコイルばね41及びプロテクタ15も自重により落下して、スプリンクラヘッド55の感知部55aが露出する。そして、感知部55aに加えられた火災の熱によりスプリンクラヘッド55が作動する。
【0047】
上記の説明では、ストッパー板31及びばねフック35をプロテクタ15にインサートして一体成形した場合を示したが、両者又は何れか一方をねじによりプロテクタ15に固定するようにしてもよく、あるいは、プロテクタ15にスリット状の溝を設けて、この溝にストッパー板31及びばねフック35の両者又は何れか一方の端部を挿入するようにしてもよい。
【0048】
また、図21(a)に示すように、ストッパー板31の両端部を上方に折曲げたのち先端部を僅かに外方に折曲げて係止部32を形成すると共に、プロテクタ15の下枠17の内壁に段部17bを設ける。そして、ストッパー板31をフック12によりあらかじめカバー部材10に取付けておき、コイルばね41、プロテクタ15及び取付部材2をカバー部材10内に押込んだ際に、図21(b)に示すように、ストッパー板31の係止部32をプロテクタ15の段部17bに自動的に係止させるようにしてもよい。
さらに、プロテクタ15の下枠17の直径方向に、プロテクタ15と同じ材料でストッパー板31を一体成形して形成してもよい。
【0049】
また、ばねフック35の先端部を内側に折曲げて、取付部材2の係止凹部4に係止する係止部36を形成した場合を示したが、図22(a)に示すように、ばねフック35の先端部に設けた係止部36に、断面ほぼ三角形状の樹脂部材37をインサートして一体化してもよく、あるいは、図22(b),(c)に示すように、ばねフック35のセンタ部をほぼ7字状に折曲げた折曲げ部36aを、取付部材2のフランジ3に設けた係止溝4a内に挿入するようにしてもよい。このように構成することにより、ばねフック35の先端部を取付部材2に確実に係止させることができる。
【0050】
さらに、図23に示すように、取付部材2とプロテクタ15との接合部に、例えば板ばねの如き弾性材42を介装しておけば、火災時におけるプロテクタ15の落下をさらに促進することができ、若しプロテクタ15が取付部材2に固着しても、カバー部材10の落下時に確実にプロテクタ15も落下させることができる。なお、本例は、実施の形態1にも実施することができる。
【0051】
上述のように、本実施の形態は、取付部材2への係止機能を有するばねフック35を備えたプロテクタ15を、コイルばね41を介してカバー部材10内に圧入し、このプロテクタ15を火災時の熱により溶解するはんだ11を介してカバー部材10に固定するようにしたので、監視時にはカバー部材10によりスプリンクラヘッド55の感知部55aやはんだ11を密封して、外力や腐食性ガス等から確実に保護することができる。また、火災時にはカバー部材10が早期かつ確実に落下して感知部55aを露出させ、スプリンクラヘッド55を作動させるようにしたので、感度がよく信頼性の高いスプリンクラヘッドを得ることができる。また、輸送時や監視時などにおいて、カバー部材10が不用意に外れることもない。
【0052】
上記の各実施の形態においては、取付部材2をスプリンクラヘッド55に取付けた場合を示したが、天井材等に直接取付けるようにしてもよく、あるいは、シーリングプレートと一体成形して天井材等に取付けるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係るスプリンクラヘッドカバーは、スプリンクラヘッド又は天井材等に取付けられた取付部材に係止し、常時は該係止を解除する方向に付勢された付勢部材と、該付勢部材の付勢を規制すると共に、前記スプリンクラヘッドの一部をカバーするカバー部材と、該カバー部材を前記スプリンクラヘッド側に固定する低融点合金とを備え、火災時には低融点合金が溶解して早期かつ確実にカバー部材を落下させるようにしたので、簡単な構造で信頼性の高いスプリンクラヘッドを得ることができる。
【0054】
また、上記のカバー部材を、低融点合金により付勢部材に固定したので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0055】
上記のスプリンクラヘッドとカバー部材との間に前記スプリンクラヘッドの一部を保護するプロテクタを設け、前記カバー部材を低融点合金により前記プロテクタに固定したので、上記と同様の効果が得られると共に、スプリンクラへッドの感知部をより確実に保護することができる。
【0056】
上記のプロテクタとカバー部材との間に付勢部材を介装し、該付勢部材により前記カバー部材を下方に付勢したので、火災時により早期にかつ確実にカバー部材を落下させることができる。
【0057】
上記の付勢部材をプロテクタと一体的に構成したので、プロテクタの製作及びスプリンクラヘッドカバーの組立が容易である。
【0058】
また、上記のスプリンクラヘッドカバーは、スプリンクラヘッドに取り付けられ、ほぼ円筒状に形成されて下端外周にフランジが設けられた取付部材と、該取付部材に取り付けられ、前記スプリンクラヘッドを下方から覆うほぼ椀状に形成されたカバー部材とを備え、該カバー部材の上端が前記フランジの下面に当接されてスプリンクラヘッドを密閉するようにしたので、腐食性の気体や液体が侵入するのを防止できる。
【0060】
上記の取付部材の下部に係止段部を設けると共に、プロテクタの上部にこの係止段部に係合する係止突部を設けたので、両者は一体的に結合されてスプリンクラヘッドを外力からより確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスプリンクラヘッドカバーの設置状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の取付部材の縦断面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図1のプロテクタの正面図である。
【図5】図4の縦断面図である。
【図6】図1の付勢部材(ばね材)の斜視図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】実施の形態1の組立手順の説明図である。
【図9】図8の組立状態を示す平面図である。
【図10】付勢部材のカバー部材への固定手順を示す説明図である。
【図11】実施の形態1の作用説明図である。
【図12】実施の形態1の作用説明図である。
【図13】本発明の実施の形態2に係るスプリンクラヘッドカバーの取付状態を示す縦断面図である。
【図14】図13の取付部材の縦断面図である。
【図15】図14の平面図である。
【図16】図13のプロテクタの縦断面図である。
【図17】図16の下面図である。
【図18】実施の形態2の組立手順の説明図である。
【図19】図18の組立状態を示す平面図である。
【図20】実施の形態2の作用説明図である。
【図21】実施の形態2のストッパ板の他の例を示す説明図である。
【図22】実施の形態2のばねフックの他の例を示す説明図である。
【図23】取付部材とプロテクタの他の接合例を示す図である。
【図24】従来のスプリンクラヘッドカバーの一例の説明図である。
【図25】図24の要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 スプリンクラヘッドカバー
2 取付部材
4 係止凹部
10 カバー部材
11 低融点合金(はんだ)
12 フック
15 プロテクタ
20 ばね材
31 ストッパ板
35 ばねフック
41 コイルばね
55 スプリンクラヘッド
55a 感知部

Claims (6)

  1. スプリンクラヘッド又は天井材等に取付けられた取付部材のフランジに係止する内側に折り曲げられた複数の係止部を有し、常時は該係止部の係止を解除するように外側に広がる方向に付勢された第1の付勢部材と、
    内面側に設けられた前記第1の付勢部材の付勢を規制すると共に、前記スプリンクラヘッドの一部をカバーするカバー部材と、
    該カバー部材を前記第1の付勢部材に固定する低融点合金とを備え、
    前記カバー部材の内面中心部に前記低融点合金により取付けられたフックを有し、該フックにより前記第1の付勢部材をかしめて前記カバー部材に固定することを特徴とするスプリンクラヘッドカバー。
  2. 前記第1の付勢部材は、前記カバー部材を下方にも付勢することを特徴とする請求項1記載のスプリンクラへッドカバー。
  3. スプリンクラヘッド又は天井材等に取付けられた取付部材のフランジに係止する内側に折り曲げられた複数の係止部を有し、常時は該係止部の係止を解除するように外方に広がる方向に付勢された第2の付勢部材と、
    内面側に設けられた前記第2の付勢部材の付勢を規制すると共に、前記スプリンクラヘッドの一部をカバーするカバー部材と、
    前記スプリンクラヘッドとカバー部材との間に設けられ、前記第2の付勢部材が外周に設けられて前記スプリンクラヘッドの一部を保護するプロテクタと、
    該プロテクタの下部に設けられるストッパ板と、
    前記カバー部材を前記ストッパ板に固定する低融点合金とを備え、
    前記カバー部材の内面中心部に前記低融点合金により取付けられたフックを有し、該フックにより前記ストッパ板をかしめて前記カバー部材に固定することを特徴とするスプリンクラへッドカバー。
  4. 前記プロテクタとカバー部材との間に第3の付勢部材を介装し、該第3の付勢部材により前記カバー部材を下方に付勢したことを特徴とする請求項3記載のスプリンクラへッドカバー。
  5. 前記取付部材は、前記フランジの上面外周に該フランジの外径より大きい当接部が一体に形成されており、前記カバー部材の上端が前記当接部の下面に当接することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスプリンクラヘッドカバー。
  6. 前記取付部材の下部に係止段部を設けると共に、前記プロテクタの上部に前記係止段部に係合する係止突部を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載のスプリンクラヘッドカバー。
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