JP4097974B2 - 微粒子状のゴム粉末の製造方法および易流動性のゴム/充填剤のバッチ - Google Patents
微粒子状のゴム粉末の製造方法および易流動性のゴム/充填剤のバッチ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機溶剤中で製造される、および/または有機溶剤中に存在するゴムを使用して、有機ケイ素化合物により変性され、シラノール基を有する充填剤を含有するゴム粉末を製造する方法、こうして製造される粉末およびゴム加工工業におけるその使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉末ゴムを使用する目標および目的に関して、ならびに粉末ゴムを製造するための可能な方法に関しては、数多くの刊行物[1〜3]が出版されている。
【0003】
粉末状のゴムに対する関心については、ゴム工業の加工技術から自ずと説明される。この場合、ゴム混合物は、時間、エネルギーおよび人員における高いコストによって製造される。その主要な理由は、原料であるゴムがベール状で存在し、かつ加硫性混合物のその他の成分をゴム相に混入しなくてはならないからである。
【0004】
ベールの粉砕、充填剤、鉱油軟化剤および加硫助剤との十分な混合は、ローラ上で、または密閉式混合機中で複数の工程段階を経て行われる。工程段階の間では、混合物を一般に分取(Batch-off)装置上で冷却し、シートとしてパレット上に載せ、かつ中間貯蔵する。密閉式混合もしくはロール掛けの後には相応して押出成形工程またはカレンダリング工程が続く。
【0005】
この極めて高価なゴム加工技術からは、全く新しい加工技術を導き出すことができるにすぎない。
【0006】
従って以前から流動性のゴム粉末の使用は議論されており、というのも、これによってゴム混合物を熱可塑性プラスチック粉末もしくは粒状物と同様に容易かつ迅速に加工することができる可能性が生じるからである。
【0007】
一般にゴム工業で使用されるゴムの種類は、その製造(種々のモノマーの重合法)において、2つの基本的に異なった方法に分けられる:
a)水中での重合(乳化重合)
すでに表題が示しているように、この方法の場合、出発モノマー(たとえばスチレン、ブタジエンまたはアクリロニトリル)を水中で、適切なスターター分子を用いてラジカル重合して高分子の単位が得られる。その際、特に使用されるモノマー成分、モノマー成分同士の比率、ならびに選択される反応条件(たとえば温度、圧力)が、組成、ならびにポリマーの分子構造ひいては完成ゴム混合物のその後の適用技術上の特性プロファイルを決定する。重合後のゴム分子は、乳化剤の存在下で水中に微細に分散した滴として存在する。このことと関連してゴムラテックスまたはゴムエマルジョンが話題になる。これは水相から粉末ゴムを製造するためのゴム原料を形成し、ここから充填剤(たとえば工業用カーボンブラックもしくは沈降ケイ酸の充填剤)の添加後に通例、酸性触媒によるゴムエマルジョンと充填剤との共沈によって粉末ゴムが生じる。
【0008】
水中に存在するか、または水中で製造される、最もよく知られているゴムの種類は、天然ゴム(NR)、乳化重合スチレン・ブタジエンゴム(E−SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)である。ゴムエマルジョンと充填剤との間で水相中で実施される共沈から粉末ゴムを製造するための1つの方法が、DE2822148に記載されている。
【0009】
この特許文献によれば、ゴムラテックス(たとえば天然ゴム)または合成ゴムの水性エマルジョン(たとえばE−SBR)に、水性の充填剤懸濁液を添加し、かつ所望のゴム粉末が沈澱する。
【0010】
この方法により得られる、粒径に依存した充填剤含有率を回避するために、DE3723213およびDE3723214として従来技術に属する変法が出願されている。
【0011】
水中で充填剤とゴムエマルジョンとを共沈することによりゴム粉末を製造するための比較的新しい刊行物は、従来、ゴム工業において使用されるそれぞれの充填剤の種類および経路とはいっそう明らかに異なっている。このための背景は、異なった充填剤クラスが、ゴム粉末を規格通りに製造するための異なった方法も必要とするという認識を得たことである。
【0012】
DE19816972.8ははじめて、これらの物質を含有するゴム粉末を製造する際の、オルガノシランの使用およびこの化合物による経路を記載している。
【0013】
該特許文献は、いわゆる前シラン処理された充填剤を出発点としており、該充填剤の製造はたとえばEP0442143B1およびEP−A0126871に記載されている。これは、充填剤、たとえばケイ酸をまず混合工程においてオルガノシランと均質化し、かつ引き続き高めた温度で反応させる方法であると理解される。この均質化工程は、乾燥した充填剤を使用して(乾式)または水性懸濁液中で(湿式)行うことができる。ゴム粉末を製造するために、充填剤とオルガノシランとからなるこの完成した反応生成物をあらためて水中に懸濁させ、この懸濁液をゴムエマルジョンと合し、かつ酸を用いてラテックス/ゴムエマルジョンを凝固させる。
【0014】
このために必要とされる、先に実施した原料処理の数多くの方法工程によってゴム粉末の製造はコストが高くなり、ひいては高価な方法となる。前記の乾燥シラン処理工程はさらに、安価で、かつ適用技術的に興味が持たれるケイ酸製造の前駆物質、たとえばケイ酸フィルターケーキまたは沈澱懸濁液を使用する場合には限界に来ている。この場合、オルガノシランをゴム粉末の製造工程において直接添加する、ゴム粉末製造法を適用できるにすぎない。DE19843301.8(ケイ酸のフィルターケーキから出発)およびDE10056696.0(ケイ酸沈澱懸濁液から出発)は、これらの方法およびこのために必要とされる実施法を記載している。
【0015】
b)有機溶剤中での重合
ゴムの第二の大きなグループは、有機溶剤中で通例はアニオン重合され、ひいては重合後に通例、この溶剤中に存在する生成物である。従って液状ポリマー(有機溶剤中に溶解)および充填剤からゴム粉末を製造するための工程は、この全く異なった種類のゴム出発形状を考慮に入れなくてはならない。
【0016】
有機溶剤中で製造される重要なゴムの種類は、特に溶液重合に基づいたスチレン−ブタジエン−ゴム(S−SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチル−およびハロゲンブチルゴム、ならびに共重合されたター成分を有する(三元共重合)エチレン−プロピレン−ゴム(EPDM)および共重合されたター成分を有していないエチレン−プロピレン−ゴム(EPM)である。
【0017】
ゴム溶液から充填剤を含有するゴム粉末を製造することもまた、特許文献中ですでに詳細に記載されている。この場合、原則として2つの異なった方法が選択された。これはこの分野の従来技術である。DE2135266、DE2214121、公開公報2324009、2325554、2332796、DE2654358およびDE2439237に記載された方法であり、これらの場合、有機ゴム溶液をまず大量の乳化剤を用いて水性エマルジョンにする。水はさらに沈澱剤、通例は硫酸を含有している。このエマルジョンに、水中に懸濁させた充填剤、通例はカーボンブラックを添加し、かつ全エマルジョンを熱いナトリウム−水ガラス−溶液に流し込む。この場合、ゴムと充填剤との間での共沈が起こり、その際同時に溶剤が除去される。従ってこの製造方法は水性ポリマー系を使用し、かつ酸の添加による凝固の原理に基づいた、極めて狭い範囲のゴム粉末の製造方法を教示している。大量の乳化剤は、有機ポリマー溶液と水性の充填剤懸濁液との間の相の非相容性を解消するために使用されている。該特許文献はほぼ、カーボンブラックで充てんされた系のみに関する。ケイ酸含有生成物は、周辺において言及されているのみであるが、しかしケイ酸で充てんされた系の、少なくとも要求の高いゴム混合物におけるその後の適用のためには必要不可欠なオルガノシランを用いた経路は、該特許には採用されていない。オルガノシランは、その分子構造を破壊することなく、[4]による全ての経験に関して選択される方法および激しい試験条件(硫酸、熱いケイ酸のアルカリ金属塩溶液)を耐えることができないであろう。
【0018】
公開公報2260340は、明らかに異なった方法を記載しており、この場合、ゴム溶液を充填剤と混合し、かつ引き続き溶剤を放圧により迅速に蒸発させる。使用される温度は285℃にまで達し、実施例においても温度は150℃を下回ることがない。
【0019】
従って該方法は、明らかにカーボンブラック充填剤の使用に合わせたものである。オルガノシランと組み合わせたケイ酸の使用はこの方法では、シランの熱安定性の理由から不可能である。
【0020】
高度にケイ酸で充てんされた/オルガノシラン含有のゴム混合物は、タイヤのころがり抵抗を低下させ、ひいては燃料の消費量を低減するために、90年代の初頭から乗用車のトレッド混合物においてますます使用されている[5〜7]。同時にこの混合物は、明らかに改善されたウエットスリップ抵抗ならびにより有利な冬季走行特性を有している。付加的にさらにタイヤの摩耗抵抗の改善ひいてはタイヤの寿命の向上をもたらす、これらの所望のタイヤ特性の組合せは、今日の認識水準によれば、高度にケイ酸で充てんされた充填剤/シラン系と、ブタジエンゴムを含有する混合物中の、高ビニル含有率のS−SBR−タイプをベースとする新規のゴムタイプの使用とを組み合わせることにおいて達成されるにすぎない。特にS−SBRもしくはBR/ケイ酸/シランをベースとするこの系を、所望のタイヤ特性を有するゴム粉末の形で製造することができるためには、従来の特許文献には記載されていなかった新規の開発および製造方法が必要である。
【0021】
ベール状のゴムおよびケイ酸充填剤から出発する今日のゴム工業の加工プロセスにおいて使用者が通例、混練工程におけるシランの直接添加において使用し、加工する粒状のケイ酸/シラン系は、配合業者に数多くの、今日でも部分的にまだ満足に解決されない問題をもたらす[8〜10]。
【0022】
配合業者はまず、その本来の課題、つまり種々の混合成分の混入および完全な混合ならびに後の価値像のために必要な、ゴムと充填剤との相互作用の向上という課題とは異なって密閉式混合機を使用するのではなく、1種の化学反応器として使用する。混合プロセスでは、大量のエタノールの分離および放出下にケイ酸とオルガノシランとを反応させなくてはならない[10]。しかしこの反応を正確に実施することは、完成ゴム製品の後の特性像にとって重要である。理論的および実用的な試験[8、9、11]は、充填剤とオルガノシランとの間のこの反応が、それぞれの化学反応と同様に、特定の反応時間を必要とすることを示しており、この時間は、動力学的なパラメータ、たとえば反応速度および活性化エネルギーにおいて示すことができる[9]。今日、密閉式混合機の条件下で両方の反応相手を完全に反応させる(ケイ酸表面上でのシランの結合)ための反応時間は、さらに通常通りに必要とされる、ゴムマトリックスへ充填剤を配合し、かつその後、分散させる工程よりも明らかに長い時間を必要とすることは、ケイ酸/シラン系の適用者に公知である。換言すれば、ケイ酸とシランとの間のより長い反応時間に基づいて、混合プロセスを著しく延長しなくてはならない。今日、実地ではケイ酸/シラン充てんされたゴム系の混合時間は12〜15分であり、その一方でカーボンブラック充てんした標準系の混合時間は、長くても約5分と見積もることができる。これにより本発明による特許の対象のもう1つの重要な目標が明らかになる。ゴム溶液およびケイ酸塩充填剤、特に高活性の沈降ケイ酸からのゴム粉末の純粋な製造以外に、この充填剤の規格通りの使用およびケイ酸とオルガノシランとの反応にも注意が向けられる。換言すれば、完成ゴム粉末は、最終的なシラン化反応を伴うケイ酸/シラン系を含んでいなくてはならない。使用者はその場合にのみ、この製品クラスに対する自身の適用技術的な要求に相応する、粉末状のゴム/ケイ酸/シラン−複合材の形の製品が得られる。この場合、これらの要求の中で最も重要なものは、加工の側面からは、満足のいく搬送性およびシラン処理の可能性、容易な加工性、短い混合時間および少ない混合工程数ひいては低減されたエネルギー使用および高められた混合能力である。
【0023】
作業所の衛生の側面からは、今日なお従来技術に属している、低減されたダスト排出量およびシラン化反応の間のエタノールの発生の回避が挙げられるであろう。
【0024】
さらにゴム技術上の特性値は、少なくとも今日の標準と比較可能な価値像を生じなくてはならない。
【0025】
溶液重合法により製造されるゴム、ケイ酸塩充填剤、特に高活性沈降ケイ酸およびトリアルコキシシリル基を有し、ひいてはケイ酸反応性のオルガノシランからなる複合材系としての本発明によるゴム粉末の製造は、3つの個々の成分が異なった極性を有し、ひいては異なった相の相容性を有するか、もしくはこれらの極性の違いおよび非相容性を部分的にさらに強める媒体(有機溶剤もしくは水)中に存在するという事実によって、複雑かつ煩雑である。
【0026】
溶液ゴム、たとえばS−SBR、BR、EPDMおよびHal−ブチルは、通例、無極性溶剤、たとえばシクロヘキサンまたはヘプタン中で、あるいはまたトルエンもしくはベンゼン中で重合される。ゴムはそれぞれの有機溶剤と共に無極性の単相系を形成する。
【0027】
ゴム粉末を製造するために使用されるケイ酸塩充填剤、特に沈降ケイ酸は、その表面上にシラノール基を有する。従って生成物は極性である。さらに、全てのケイ酸は程度の差はあるものの、大部分が吸着によって結合した水を表面上に含有している。ケイ酸を製造する前の前駆物質、たとえば塩不含の洗浄されたフィルターケーキもしくは沈澱懸濁液から出発する場合、水の割合は相当な量である。
【0028】
乾燥したケイ酸は、シランによって前変性されていてもいなくても、通例、吸着によって結合した水を4〜8%含有している。
【0029】
ケイ酸乾燥前の前駆物質である、塩不含の洗浄されたフィルターケーキの場合、水の割合は約80%であり、その大部分がケイ酸構造中に存在する。
【0030】
ケイ酸沈澱懸濁液、つまりフィルターケーキの前駆物質を使用する場合の含水率の値は90〜95%である。粉末状のゴム/充填剤−複合材を製造するための出発点である、上記のゴム溶液とケイ酸懸濁液との混合物は、常に2相の混合物であることが一覧によって明らかになる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、上記の欠点を有していない、新規の微粒子状ゴム粉末の製造方法および易流動性のゴム/充填剤のバッチを提供することである。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明によるゴム粉末は、一般式
[Rn−(RO)3 - nSi−(Alk)m−(Ar)p]q[B] (I)
R1 n−(RO)3 - nSi−(アルキル) (II)
または
R1 n−(RO)3 - nSi−(アルケニル) (III)
[式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH2(q=1の場合)または−Sx−(q=2の場合)を表し、
RおよびR1は、1〜4個の炭素原子を有する分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のアルキル基、フェニル基を表し、その際、全ての基RおよびR1は、それぞれ同一であるか、または異なっていてもよく、
nは、0、1または2を表し、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を表し、
mは、0または1を表し、
Arは、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を表し、
pは、0または1を表し、ただしその際、pおよびnは同時に0を表すことはなく、
xは、2〜8の数を表し、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、有利には2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を表し、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、有利には2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和炭化水素基を表す]の有機ケイ素化合物1種以上を使用して製造される。
【0033】
今日ゴム工業で使用される最も重要な代表例、たとえばビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラ−もしくはジスルファン[12]、またはメルカプトプロピルトリアルコキシシランもしくはチオシアナトプロピルトリエトキシシランは、程度の差はあるものの無極性であり、従ってほぼ水不溶性である。他方では、シランは化学的に、または吸着によって、水中に懸濁して存在しているケイ酸上に結合すべきであり、これはシランとケイ酸との間の相の非相容性に基づいて水中ではこのように可能ではない。
【0034】
従来技術の欠点は、特許請求の範囲に記載の本発明による方法によって克服された。この方法は、1種以上のケイ酸塩充填剤、1種以上の二官能性オルガノシランおよび溶液重合法により製造される1種以上のゴムまたは有機溶剤中に存在するゴムからなる微粒子状のゴム粉末を製造するために使用し、この方法は
a)ケイ酸塩充填剤および有機ケイ素化合物を直接または前変性して、場合により表面活性物質および/または場合により1種以上のケイ酸表面活性化物質の存在下に水中で乳化させ、
b)こうして製造した、pH値5〜10、有利には6〜8の範囲の懸濁液に場合によりゴムエマルジョンを添加し、場合により混合物のpH値をブレンステッド酸またはルイス酸を用いて2〜7、有利には4〜5の値に調整し、
c)場合によりa)で、またはa)およびb)で製造された混合物を温度30〜90℃、有利には50〜80℃で5〜120分、有利には20〜40分加熱し、
d)引き続き、a)場合によりb)およびc)で製造された充填剤懸濁液に、有機溶剤中に存在するポリマーを添加し、
e)引き続き、有機溶剤を化学で通例の方法により分離し、
f)引き続き水中に存在するゴム粉末から、通常の固−液分離の方法により大部分の水を除去し、
g)場合により生成物を適切な造粒技術により粒状の形にし(このために市販されている装置が存在する)、
h)通例の乾燥法を用いて残留水分を0〜5%、特に2%以下に調整する
ことを特徴とする。
【0035】
本発明による方法を、それぞれが所望の質量比の液状のゴム(Loesungskautschuk)、ケイ酸塩充填剤およびオルガノシランからなる易流動性のゴム粉末を製造するために使用し、この場合、相が非相容性であるか、または相容性のない原料出発形を完成ゴム粉末中で、シランが本発明によるゴム粉末を製造する間にまずケイ酸上に均質に分散し、製造プロセスの過程で化学的に反応し、かつ同時にポリマーがこのケイ酸/シラン−複合材上へ吸着によって、同様に必要とされる均質さで結合するように順序立てる。ベール状のゴム、ケイ酸粉末(またはその他のケイ酸塩充填剤)もしくは顆粒およびオルガノシランから出発して、充填剤とシランとの反応させ(エタノールを分離するシラン化反応)、ならびにゴム相へケイ酸を混合し、かつ分散させる、ニーダー中での今日の混合プロセスの調整を、たとえばゴム粉末製造プロセスにおいて使用される化学的な反応器に移すことができる場合にのみ、本発明によるゴム粉末によって達成することができるゴム工業上の価値像を、少なくとも通例の、上記の混合法に相応させることが可能である。
【0036】
本発明の対象は、ケイ酸/シラン懸濁液または水中のその他のケイ酸充填剤と有機溶剤中のゴム溶液とからなる微粒子状のゴム粉末を製造するための方法である。
【0037】
本方法は、本発明によるゴム/ケイ酸塩充填剤/オルガノシラン複合材を、2相系から単相系にすることによって製造することを特徴とする。
【0038】
本方法は、ケイ酸塩充填剤およびオルガノシランを別々に、ゴム粉末製造プロセスへ導入することを特徴とする。
【0039】
本方法は、ケイ酸塩充填剤およびオルガノシランを場合により表面活性物質、有利には非イオン性、カチオン性およびアニオン性の界面活性剤の存在下に、充填剤の割合に対して、エマルジョン中のその濃度0.1〜2%、有利には0.2〜1%で、水中で完全に均質化することを特徴とする。
【0040】
この種の界面活性剤の例は、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、ポリグリコール、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルヒドロゲンスルフェート、アルキルスルフェートである。
【0041】
本方法は、場合によりケイ酸の架橋構造を不安定にし、かつ水素の結合を弱くする物質を充填剤懸濁液に、充填剤に対して0.3〜9%、有利には3.5〜6.5%の量で添加することを特徴とする。この物質を充填剤活性剤と呼ぶことができる。
【0042】
これらの化合物の公知の代表例は、ポリアルコールおよびアミンのクラスに存在する。
【0043】
ゴム工業においてしばしば、ケイ酸含有混合物における二次的な促進剤として使用される典型的な代表例は、ジエチレングリコール(DEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリワックス、トリエタノールアミン(TEA)、ジフェニルグアニジン(DPG)およびジ−o−トリルグアニジン(DOTG)である。
【0044】
本方法は、充填剤/オルガノシラン懸濁液を上記の添加剤の存在下または不在下で、場合により温度30〜90℃、有利には50〜80℃で、5〜120分、有利には20〜40分加熱することを特徴とする。
【0045】
本方法は、充填剤/シラン懸濁液に、場合により少量のゴムエマルジョンを添加することを特徴とする。しかし全ゴムにおけるその割合は、15phrを越えることはなく、かつ通例、5phr以下である。
【0046】
本方法は、水性のゴムエマルジョンを添加した後で、場合によりpH値を2〜7、有利には4〜5の値に低下させて凝固させる。このために通例のブレンステッド酸またはルイス酸、有利にはAl2(SO4)3を使用する。
【0047】
ゴムエマルジョンの添加およびその凝固は、加熱の前またはその後に行うことができるが、有利には充填剤/シラン懸濁液を加熱する前に行う。
【0048】
本方法は、ケイ酸塩充填剤とオルガノシランとの化学反応を、ゴム粉末の製造プロセス中にアルコールの放出下で行うことを特徴とする。
【0049】
本方法は、1つの変法では、オルガノシランがすでにケイ酸塩充填剤と化学的に反応していわゆる前シラン処理した充填剤となっており、かつ反応生成物としてゴム粉末製造プロセスへ組み込むことを特徴とする。
【0050】
本方法は、ゴム/充填剤/シランの複合材の製造を、2相系から単相系への変換により、本来有機溶剤中に存在しているゴムおよび水中に存在している充填剤/シランの懸濁液の共通の酸性触媒による凝固を経由しないで行うことを特徴とする。
【0051】
本方法は、本来のゴム/ケイ酸塩充填剤/オルガノシラン−複合材を水相中で形成させることを特徴とする。
【0052】
本方法は、通常、完成ゴム混合物中で使用される別の混合成分を、ゴム粉末の製造プロセスに添加することができることを特徴とする。この場合、特に鉱油軟化剤、種々の表面積(ヨウ素吸収量)および構造(DBP吸収量)を有する工業用カーボンブラック、明色の、ケイ酸塩以外の充填剤(たとえばチョーク)、加工助剤、活性剤、老化防止剤および架橋剤が挙げられ、これを適用技術的に通例の濃度で添加する。
【0053】
本方法は、水中に存在するゴム/ケイ酸塩充填剤/オルガノシラン−複合材は、固−液分離の適切な方法によりプロセス水の大部分を除去することを特徴とする。
【0054】
本方法は、湿った生成物ケーキを場合により一般に公知の、粘土状の付着性生成物を形状付与する技術によって、粒状の、特に乾燥後に易流動性の搬送可能で、シラン化することができる形にすることを特徴とする。
【0055】
本方法は、生成物を形状付与した後に、通例の乾燥法を使用して残留水分約2%に乾燥させることを特徴とする。
【0056】
本方法は、ケイ酸シラン懸濁液の製造を、原料の種類に応じて2つの異なった一般的な方法によって実施することを特徴とする。従ってこれらについて詳細に説明する。
【0057】
a)前シラン処理したケイ酸塩充填剤の使用
予めケイ酸塩充填剤とオルガノシランとの化学的な反応から得られた、シラン変性された反応生成物を、撹拌装置を用いて温度10〜60℃、有利には室温で水中に懸濁させる。その際、懸濁液の濃度は0.5〜15%の間で、有利には5〜12%の間で変動し、かつ全体としては、上限は懸濁液のポンプ輸送性により、および下限は、製造技術および価格技術的に認容可能な空時収率によって限定される。こうして製造した充填剤懸濁液を、15phr以下で、有利には5phr以下でゴム−(ラテックス)−エマルジョンに添加し、かつブレンステッド酸またはルイス酸によって凝固させる。薄いゴム層の施与は、本発明によるゴム粉末の後の製造過程における液状ポリマーのより良好な結合につながる。この措置がどの程度必要であるかは第一に、充填剤上に結合したシランの量に依存する。シランの量が比較的多い場合、表面上での凝固生成物は必要でないか、または少量必要とするのみであり、シランの量が比較的少ない場合は相応してより多く必要となる。最終的に液状ポリマーを受容するための充填剤表面は、一定の度合いまで疎水化されている。これはシランと凝集ゴムにより行う。従って一方または他方の薬剤の量は、常に他方の量に依存する。しかしオルガノシランの量は後のゴム工業の価値像にとって重要であるので、これはまず、凝集ゴムの量に合わせた規定である。
【0058】
この疎水化工程のために特に有利なエマルジョンゴムからはE−SBRおよびNRが挙げられる。というのも、これらは通例、後に充填剤上に施与すべき最も重要な液状のゴムとの良好な相容性を有しているからである。
【0059】
この充填剤/シラン−表面変性工程において調整されるpH値は、2〜7、有利には4〜5である。
【0060】
こうして製造した、もしくは準備した、ケイ酸塩充填剤および該充填剤と予め反応したオルガノシランとからなる充填剤懸濁液に、大気圧または高めた圧力下で、有機溶剤中に溶解したゴムを一度に、もしくは段階的に添加する。その際、充填剤懸濁液は、10〜100℃、有利には20〜60℃の温度範囲にある。室温よりも高い温度の場合、充填剤懸濁液を予め、通例の措置により所望の温度にしなくてはならない。
【0061】
持続的な撹拌下で最終的に有機溶剤を留去し、その際、反応混合物の温度はもちろん、圧力に依存した溶剤の沸点に合わせなくてはならない。特別な実施態様では、付加的に真空を適用することにより促進して溶剤を反応容器から除去する。通例の蒸留法を使用することができる。
【0062】
この方法工程において重要なことは、上記の通り、溶液ポリマーを連続的に、準備した充填剤懸濁液がその中に存在する水相へと変換することである。本来、溶剤中に存在する溶液ポリマーは充填剤上に移行し、かつその際、粒状の構造が得られ、これは特に充填剤の粒径により、あるいはまた別の製造パラメータ、たとえば導入される攪拌機のエネルギーおよび撹拌機の形状により決定される。
【0063】
溶剤を除去した後、全生成物を含有する、残留する水相から濾過工程により大部分の水を除去する。固−液分離は、公知の方法により実施することができる。
【0064】
例を挙げるとすれば、ブフナー漏斗による濾過、ならびに遠心分離器またはフィルタープレスの使用である。固−液分離の後、粒子の形状をさらに最適化して、その後に易流動性のゴム粉末にすることが必要な場合もある。これは通例の造粒技術を使用して行う。最後に、生成物を公知の乾燥法により、特に有利にはこの場合、対流形乾燥機もしくは接触形乾燥機を使用して乾燥させる。その際、生成物に適用する温度が、オルガノシランもゴムも熱的に損傷しないことが重要である。従って80〜140℃、特に100〜120℃の範囲の乾燥温度が特に好適であることが判明した。
【0065】
b)ケイ酸塩充填剤およびオルガノシランの使用方法
充填剤/シラン懸濁液の製造は、以下の点でa)とは異なる:
ケイ酸塩充填剤、オルガノシラン、充填剤に対して0.3〜9%、有利には3.5〜6.5%の量のケイ酸活性化剤、充填剤割合に対して0.1〜2%、有利には0.2〜1%の界面活性剤を水中に懸濁させ、かつその際、懸濁液濃度を0.5〜15%、有利には5〜12%に調整する。
【0066】
場合により引き続きアルカリ、有利にはNaOHの添加下に、懸濁液のpH値を5〜10、有利には6〜8に調整する。引き続き、懸濁液に場合によりゴム−(ラテックス)−エマルジョンを添加するが、全ゴム量におけるその割合は、15phr以下、有利には5phr以下を越えない。引き続き、酸、有利にはAl2(SO4)3を用いて懸濁液をpH値2〜7、有利には4〜5に調整し、かつ全混合物を温度30〜90℃、有利には50〜80℃で、約5〜120分、有利には20〜40分加熱する。
【0067】
引き続き、有機溶剤中に溶解したポリマーを懸濁液に添加し、かつさらにa)に記載の製造工程および後処理を実施する。オルガノシランはこの場合、本発明によるゴム粉末を乾燥させる間に、ケイ酸塩充填剤のシラノール基と反応する。
【0068】
本発明によるゴム粉末中に含有されている天然および沈降ケイ酸塩充填剤(特にケイ酸充填剤)は、2種以上のこれらの充填剤の混合物であってもよく、自体ゴム技術において公知の充填剤である。その適正に関する本質的な前提条件は、充填剤粒子上でのシラノール基の存在であり、該基は有機ケイ素化合物のアルコキシ基と反応することができる。これはゴムと相容性であり、かつこの使用のために必要かつ公知の微粉度を有する酸化物およびケイ酸塩の充填剤である。
【0069】
天然のケイ酸塩は特にカオリンおよびクレーが適切である。しかしまたシリカゲルまたはケイ藻土もまた使用することができる。
【0070】
ケイ酸塩充填剤は、通例、その活性の尺度である、窒素表面積(ISO5794/1Dによる)により、およびASTM D2412によるその構造(DBP吸収量)により調整される。
【0071】
使用される充填剤は、1〜1000m2/g、有利には100〜250m2/gの範囲の表面積、および150〜400ml/100g、有利には200〜300ml/100gの範囲のDBP吸収量の構造を有する生成物である。
【0072】
本発明によるゴム粉末は、ケイ酸塩充填剤を純粋な形で、または複数の生成物の混合物として5〜300phr、有利には20〜85phrの量で含有している。
【0073】
本発明によるゴム粉末は、一般式I〜III
[Rn−(RO)3 - nSi−(Alk)m−(Ar)p]q[B] (I)
R1 n−(RO)3 - nSi−(アルキル) (II)
または
R1 n−(RO)3 - nSi−(アルケニル) (III)
[式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH2(q=1の場合)または−Sx−(q=2の場合)を表し、
RおよびR1は、1〜4個の炭素原子を有する分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のアルキル基、フェニル基を表し、その際、全ての基RおよびR1は、それぞれ同一であるか、または異なっていてもよく、
nは、0、1または2を表し、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を表し、
mは、0または1を表し、
Arは、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を表し、
pは、0または1を表し、ただしその際、pおよびnは同時に0を表すことはなく、
xは、2〜8の数を表し、
アルキルは、1〜20個の炭素原子、有利には2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和炭化水素基を表し、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子、有利には2〜8個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を表す]
の1種以上の有機ケイ素化合物を使用して製造される。
【0074】
有利に使用されるオルガノシランの例は、たとえばBE787691により製造することができるビス(トリアルコキシシリル−アルキル)オリゴスルフィド、たとえばビス−(トリメトキシ−、トリエトキシ−、−ジメトキシ−エトキシ−、−トリプロポキシ−、−トリブトキシ−、−トリ−i−プロポキシ−および−トリ−i−ブトキシ−シリルメチル)−オリゴスルフィドおよび特にジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィド、ペンタスルフィド、ヘキサスルフィドなど、さらにビス−(2−トリメトキシ−、−トリエトキシ−、−ジメトキシ−エトキシ−、−トリプロポキシ−および−トリ−n−および−i−ブトキシ−エチル)−オリゴスルフィドおよび特にジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィド、ペンタスルフィド、ヘキサスルフィドなど、さらにビス−(3−トリメトキシ−、−トリエトキシ−、−ジメトキシ−エトキシ−、−トリプロポキシ−および−トリ−n−および−i−ブトキシ−エチル)−オリゴスルフィドおよび特にふたたびジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィドなどないしオクタスルフィド、さらに相応するビス−(3−トリアルコキシシリルイソブチル)−オリゴスルフィド、相応するビス−(4−トリアルコキシシリルブチル)−オリゴスルフィドである。これらから選択される、比較的簡単に構成されている一般式Iのオルガノシランは、ふたたび有利にはビス−(3−トリメトキシ−、トリエトキシ−およびトリプロポキシシリルプロピル)オリゴスルフィド、および特にジスルフィド、トリスルフィド、テトラスルフィドおよびペンタスルフィド、特に2、3もしくは4の硫黄原子を有するトリエトキシ化合物およびこれらの混合物である。特に以下の構造式
【0075】
【化1】
【0076】
を有するシランが適切である。
【0077】
シランはすでに化学的に充填剤と反応させて、または遊離のシランとしてプロセスに供給することができる。後者の場合、シランはゴム粉末の乾燥の間にアルコールを分離しながらケイ酸塩充填剤と反応する。
【0078】
純粋な形で、または複数のオルガノシランの混合物としての使用されるオルガノシランの量は、一方では使用されるケイ酸塩充填剤の種類と量に依存し、かつ他方では、所望の適用技術上の価値像に依存する。これはケイ酸塩充填剤100部に対して0.5〜15%、特に5〜10%である。
【0079】
ゴムとして有機溶剤中での重合後に以下のタイプが単独で、または混合物として使用することができることが判明した:
スチレン含有率10〜30%、ならびに1,2−ビニルブタジエン20〜55%を含有するスチレンブタジエンゴム、およびイソプレンゴム、特に3,4−ポリイソプレン。さらに、1,4−シス−立体配置を90%以上含有するブタジエンゴム、ポリペンテナマーゴム、ポリオクテナマーゴム、およびポリノルボルネンゴム、ブチルゴムおよびハロゲン原子として塩素もしくは臭素を含有するハロブチルゴム、エチレンとプロピレンの含有率に関して通例の組成を有するエチレン−プロピレン(EPM)およびエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)−ゴム。EPDMの場合にもター成分の種類と量に関して、水素化されたニトリルブタジエンゴム(H−NBR)ならびにエチレン−ビニルアセテート−コポリマーに関して同じことが該当する。本発明による方法は、その他の媒体中で製造されたゴムの種類(たとえば水中または気相中)を引き続き適切な有機溶剤中に溶解することも適切である。
【0080】
本発明によるゴム粉末は、すでに記載したケイ酸塩充填剤以外に、場合により別の充填剤を含有していてもよい。これは特に、ゴム工業において通例の、異なった表面積および構造の全ての工業用カーボンブラックである。さらに、通例はケイ酸塩の群を表面に有していない別の天然充填剤、たとえばチョークを使用することができる。
【0081】
本発明による製造方法に関して、付加的に、ゴム工業において通例使用される別の添加剤および助剤を本発明によるゴム粉末に導入することができる。
【0082】
これは特にゴム工業で通例の濃度の鉱油軟化剤、加工助剤および加硫助剤、たとえば酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、樹脂および難燃剤、たとえばAl(OH)3およびMg(OH)2、顔料、種々の架橋剤および硫黄である。
【0083】
本発明によれば微粒子状の、有機ケイ素化合物で変性されたケイ酸塩充填剤を含有するゴム粉末を製造することができ、該ゴム粉末は流動性であり、かつ機械的な負荷(たとえば搬送、包装)後にも流動性を保持する。従って該ゴム粉末は、容易に加工することができ、かつその際、改善された特性を有する加硫物が生じる微粒子状のゴム粉末につながる。
【0084】
以下の実施例では、本発明の実現可能性および利点を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
【実施例】
本発明によるゴム粉末を製造するために使用される化学薬品
シクロヘキサン中のBuna VSL 5025、
液状スチレン−ブタジエンゴム(バイエル社)。
【0086】
シクロヘキサン中のBuna CB 24、
ブタジエンゴム(バイエル社)。
【0087】
E−SBR−ラテックス、
水中のエマルジョン−スチレン−ブタジエンゴム(DOW)。
【0088】
Coupsil 8113、
シラン変性されたケイ酸(Ultrasil VN3/Si 69 11.4%)(デグッサ社)。
【0089】
Coupsil 8108、
シラン変性されたケイ酸(Ultrasil VN3/Si 69 7.25%)(デグッサ社)。
【0090】
Ultrasil 7000、
N2−表面積180m2/gを有する高分散性の沈降ケイ酸(デグッサ社)。
【0091】
Ultrasil 7000フィルターケーキ、
フィルターケーキの形のN2−表面積180m2/gの高分散性の沈降ケイ酸(デグッサ社)。
【0092】
Ultrasil 7000沈澱懸濁液、
沈澱懸濁液の形の、N2−表面積180m2/gを有する高分散性の沈降ケイ酸(デグッサ社)。
【0093】
Si 69、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ゴム工業用のオルガノシラン(デグッサ社)。
【0094】
Si 75、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ゴム工業用のオルガノシラン(デグッサ社)。
【0095】
DGE、
ジエチレングリコール。
【0096】
Marlipal 1618/25、
脂肪アルコールポリエチレングリコールエーテル(Condea)。
【0097】
1.BRおよびCoupsil 8113 80gをベースとするゴム粉末の製造
撹拌下にCoupsil 8113を水中に懸濁させた。その際、懸濁液の濃度は約6%であった。引き続きE−SBR−ラテックス(固体含有率21.9%)22.8gを該懸濁液に添加し、かつE−SBR/Coupsil−混合物をAl2(SO4)3溶液(10%濃度)によりpH値を4まで低下させた。
【0098】
攪拌を継続しながらポリブタジエンゴム溶液(シクロヘキサン中、5%濃度)1900gを充填剤懸濁液に添加し、かつ引き続き有機溶剤(シクロヘキサン)を約80℃で大気圧下に留去した。
【0099】
反応の終了後に水中に残留するBR/Coupsil−中間生成物から、濾過工程(たとえばブフナー漏斗)によって水の大部分を除去し、引き続きふるいによって粒状にし、かつ実験室用の乾燥機中で含水率約2%になるまで乾燥させた。
【0100】
乾燥した生成物の熱重量分析によればケイ酸に分類すべき残留物41.56%が生じ、これは充填度約73phr(理論値72phr)に相応する。この値は、シラン化されたケイ酸は完全にBR−ゴムマトリックス中に取り込まれたことを示している。従ってゴム/ケイ酸/シラン−複合系をゴム粉末の形で製造することができた。
【0101】
2.S−SBRおよびCoupsil 8113をベースとするゴム粉末の製造
実施法は試験1に相応する。今回は次のものを使用した:
水中に懸濁したCoupsil 8113 40g、
ラテックスとしてのE−SBR(固体含有率23.4%) 12.4g、
シクロヘキサン中に溶解したS−SBR(5%濃度) 950g。
【0102】
乾燥させたゴム粉末のTGAは、ケイ酸に関して40.41%の値を、ひいては充填剤含有率71phr(理論値72phr)を生じた。
【0103】
従って、ケイ酸は完全にS−SBR−マトリックス中に結合しており、かつ易流動性のゴム粉末が得られた。
【0104】
3.BRおよびCoupsil 8108をベースとするゴム粉末の製造
実施法は試験1に相応する。次のものを使用した:
水中に懸濁したCoupsil 8113 43.2g、
ラテックスとしてのE−SBR(固体含有率23.4%) 12.4g、
シクロヘキサン中に溶解したBR(5%濃度) 950g。
【0105】
乾燥させたゴム粉末のTGAは、ケイ酸に関して42.36%の値、ひいては79phr(理論値80phr)の充填度を生じる。
【0106】
ケイ酸に対して低減したシラン量(比較的低いシラン化度)の場合、規格通りのゴム粉末を製造することができた。ケイ酸は完全にポリマー中に結合した。
【0107】
4.S−SBR、Ultrasil 7000およびSi 69をベースとするゴム粉末の製造
撹拌下にUltrasil 7000の粉末40g、Si 69 3.25g、Marlipal 1618/250.1gおよびジエチレングリコール1.5gを水中に懸濁させた。
【0108】
E−SBR 1500ラテックス(固体含有率20.6%)10.2gの添加後にAl2(SO4)3−溶液(10%)によりpH値を4に調整し、かつ引き続き混合物を撹拌下に80℃で40分加熱した。
【0109】
その後、シクロヘキサン中に溶解したS−SBR(5%の溶液)950gを充填剤懸濁液に添加し、かつ撹拌下で有機溶剤を留去した。
【0110】
水中に存在する残留物を濾別し、ふるいにより形状付与し、かつ引き続き実験室用乾燥機中で水分約2%に乾燥させた。
【0111】
本発明によるゴム粉末のTG−分析により、固体含有率に関して41.16gの値が生じ、これは72phr(理論値72phr)の充填度に相応する。
【0112】
生成物中で結合しているシランの割合を反映する硫黄分析は、0.81%(理論値0.83%)の値を生じる。
【0113】
従って結果は、本発明による方法を用いて、S−SBR−溶液、ケイ酸粉末およびオルガノシランからゴム粉末を製造することができることを示しており、その際、生成物中の全ての充填剤および全ての使用されたシラン量を再度判明させることができる。
【0114】
5.S−SBR、Ultrasil 7000フィルターケーキおよびSi 69をベースとするゴム粉末の製造
実施法は試験4に相応する。
【0115】
使用した原料は次のものである:
Ultrasil 7000フィルターケーキ 237.3g(固体22.9%)、
シクロヘキサン中のS−SBR 1425g(5%溶液として)、
ラテックスとしてのE−SBR 1500 15.7g(固体23.8%)、
DEG 2.25g、
Si 69 4.56g、
Marlipal 1618/25 0.14g。
【0116】
乾燥させたゴム粉末は、42.47%のTGA値を示し、これは充填度74phr(理論値72phr)に相応する。硫黄分析は、0.84%(理論値0.83%)を生じた。結果は、ケイ酸フィルターケーキから出発しても、規格にあったゴム粉末を製造することができることを示している。
【0117】
6.BR、Ultrasil 7000フィルターケーキおよびSi 75を使用したゴム粉末の製造
実施法は試験4に相応する。以下の原料を使用した:
Ultrasil 7000フィルターケーキ 236g(固体23.0%)、
シクロヘキサン中のポリブタジエンゴム 1425g(5%溶液として)、
ラテックスとしてのE−SBR 1500 15.75g(固体23.8%)、
DEG 2.25g、
Si 75 4.5g、
Marlipal 1618/25 0.14g。
【0118】
生成物のTG−分析は、41.42%の値を示す。これは73phr(理論値72phr)の充填度に相応する。
【0119】
硫黄分析は、0.51%(理論値0.52%)の値を生じた。
【0120】
本方法は、Si 75を使用した場合にも規格にあった生成物につながった。
【0121】
7.S−SBR、Ultrasil 7000沈澱懸濁液およびSi 75の使用下でのゴム粉末の製造
撹拌下に、そのpH値を予め約6〜7の値に調整したUltrasil 7000沈澱懸濁液(固体含有率8.5%)670.6g、Si 75 4.5g、DEG 2.25gおよびMarlipal 0.14gを懸濁させた。引き続き混合物のpH値を2NのNaOHを用いて約10.0の値に調整した。その後、E−SBRラテックス(固体含有率20.6%)18.2gを添加し、引き続き、pH値を4の値に低下させた(Al2(SO4)3の添加)。次いで混合物を80℃で約40分加熱し、かつ次いでシクロヘキサン中5%のS−SBR−溶液1250gを添加した。
【0122】
熱の供給および撹拌下でシクロヘキサンを留去し、かつ水中に存在する残留物をブフナー漏斗に移した。
【0123】
フィルターケーキを数回洗浄した後、生成物をふるいにより粒状にし、かつ引き続き実験室用の流動層乾燥機中で乾燥させた。
【0124】
TG−分析は、41.48%の値を示し、従って72phr(理論値72phr)のケイ酸充填度を有している。
【0125】
硫黄測定は、0.50%(理論値0.52%)を示し、従ってシランは完全に生成物中に含有されていた。
【0126】
従って本発明による方法によれば、ケイ酸沈澱懸濁液によってもまた、規格にあったゴム粉末を製造することができた。
【0127】
8.BR、Ultrasil 7000沈澱懸濁液およびSi 69をベースとするゴム粉末の製造
実施法は試験7に相応する。
【0128】
以下の原料を使用した:
Ultrasil 7000沈澱懸濁液 670.6g(固体8.5%)、
シクロヘキサン中のポリブタジエンゴム 1250g(5.0%溶液として)、
E−SBR 1500 18.2g(固体20.6%)、
DEG 2.25g、
Si 69 4.9g、
Marlipal 1618/25 0.14g。
【0129】
ゴム粉末のTG−分析は、40.6%の値を示し、これは71phr(理論値72phr)の充填度に相応する。
【0130】
硫黄分析は、0.82%(理論値0.83%)の値を生じた。
【0131】
従って所望の生成物は、規格に合うように製造することができた。
【0132】
本発明によるゴム粉末の適用技術的な試験
● 使用される原料
Buna VSL 5025、
溶液重合に基づいたスチレンブタジエンゴム(バイエル社)。
【0133】
Buna CB24、
96%を上回るシス−1,4の割合を有するブタジエンゴム(バイエル社)。
【0134】
Ultrasil 7000、
N2−表面積180m2/gを有する高分散性の沈降ケイ酸(デグッサ社)。
【0135】
Si 69、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ケイ酸含有のゴム混合物のためのカップリング剤(デグッサ社)。
【0136】
Si 75、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、ケイ酸含有のタイヤトレッドのためのカップリング剤(デグッサ社)。
【0137】
Naftolen ZD、
芳香族の鉱油軟化剤。
【0138】
Protector G35、
オゾン保護ワックス。
【0139】
Vulkacit D、
ジフェニルグアニジン(バイエル社)。
【0140】
Vulkacit CZ、
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド。
【0141】
● ゴム工業上の試験方法
ムーニー粘度ML1+4[ME] DIN53523/3、
引張強さ[MPa] DIN53504、
弾性率300%[MPa] DIN53504、
破断点伸び[%] DIN53504、
ショアー硬度[−] DIN53505、
摩耗[mm3] DIN53516、
粘弾性[−] DIN53513、
分散(トポグラフィー)[%]。
【0142】
1.ケイ酸フィルターケーキを含有する混合物中のS−SBRおよびBRをベースとする本発明による2種のゴム粉末の比較
以下のゴム粉末を従来技術と比較して使用した:
【0143】
* 溶液−SBR 5025−0、
** ブタジエンゴムCB 24。
【0144】
生成物の製造は、例5および6の記載を比較にして同様に行った。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
【表3】
【0148】
本発明によるゴム粉末は、短縮された混合時間にも係わらず、強度の値における利点および明らかに改善された充填剤の分散を示す。
【0149】
2.ケイ酸フィルターケーキおよびSi 75を用いた混合物中のS−SBRもしくはBRをベースとする2種のゴム粉末の比較
以下のゴム粉末を従来技術と比較して使用した:
【0150】
* 溶液−SBR 5025−0、
** ブタジエンゴムCB 24。
【0151】
生成物の製造は、例6の記載を比較にして同様に行った。
【0152】
【表4】
【0153】
2b.混合規定
1bと同様、Si 69の代わりにSi 75を使用した。
【0154】
【表5】
【0155】
本発明によるゴム粉末は短縮された混合時間にも係わらず、強度の値における利点および充填剤の明らかに改善された分散を示す。
【0156】
3.ケイ酸沈澱懸濁液およびSi 75を用いた混合物中のS−SBRおよびBRをベースとする本発明による2種のゴム粉末の比較
以下のゴム粉末を従来技術と比較して使用した:
【0157】
* 溶液−SBR 5025−0、
** ブタジエンゴムCB 24。
【0158】
生成物の製造は、例7の記載を比較にして同様に行った。
【0159】
【表6】
【0160】
3b.混合規定
例2bを参照のこと。
【0161】
【表7】
【0162】
本発明によるゴム粉末は強度の値および分散における利点を示す。
【0163】
文献
【0164】
【外1】
Claims (17)
- 1種以上のケイ酸塩充填剤、1種以上の二官能性オルガノシランおよび溶液重合法により製造される1種以上のゴムおよび/または有機溶剤中に存在するゴムからなる微粒子状のゴム粉末を製造する方法において、
a)ケイ酸塩充填剤およびオルガノシランを直接または前変性して、場合により表面活性物質および/または場合により1種以上のケイ酸表面活性化物質の存在下に水中で乳化させ、
b)こうして製造した、pH値5〜10の範囲の懸濁液に15phr以下のゴムエマルジョンを添加し、場合により混合物のpH値をブレンステッド酸またはルイス酸を用いて2〜7の値に調整し、
c)a)で、またはa)およびb)で製造された混合物を温度30〜90℃で5〜120分加熱し、
d)引き続き、a)およびb)およびc)で製造された充填剤懸濁液に、有機溶剤中に存在するゴムを添加し、
e)引き続き、有機溶剤を分離し、
f)引き続き水中に存在するゴム粉末から、固−液分離の方法により大部分の水を除去し、
g)生成物を適切な造粒技術により粒状の形にし、
h)乾燥法を用いて残留水分を2%以下に調整する
ことを特徴とする、微粒子状のゴム粉末の製造方法。 - 液状のゴムとして、スチレン含有率10〜30%ならびに1,2−ビニルブタジエン20〜55%の含有率を有するスチレン・ブタジエンゴム、イソプロペンゴム、シス−1,4−立体配置を90%以上有するブタジエンゴム、ポリペンテナマー、ポリオクテナマー、ポリノルボルネンゴム、ブチルゴムおよび塩素もしくは臭素をハロゲン原子として有するハロブチルゴム、エチレン−プロピレン(EPM)およびエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴムを使用する、請求項1記載の方法。
- 一般式IおよびII
[Rn−(RO)3−nSi−(Alk)m−(Ar)p]q[B] (I)
R1 n−(RO)3−nSi−(アルキル) (II)
または
R1 n−(RO)3−nSi−(アルケニル) (III)
[式中、
Bは、−SCN、−SH、−Cl、−NH2(q=1の場合)または−Sx−(q=2の場合)を表し、
RおよびR1は、1〜4個の炭素原子を有する分枝鎖状もしくは非分枝鎖状のアルキル基、フェニル基を表し、その際、全ての基RおよびR1は、それぞれ同一であるか、または異なっていてもよく、
nは、0、1または2を表し、
Alkは、1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を表し、
mは、0または1を表し、
Arは、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を表し、
pは、0または1を表し、ただしその際、pおよびnは同時に0を表すことはなく、
xは、2〜8の数を表し、
アルキルは、1〜20個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を表し、
アルケニルは、2〜20個の炭素原子を有する一価の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和炭化水素基を表す]のオルガノシラン1種以上を使用する、請求項1または2記載の方法。 - オルガノシランを結合していない遊離のシランとして、ケイ酸塩充填剤100部に対して0.5〜15部の量で充填剤と一緒に、またはすでに前シラン処理した充填剤の変種として水中に懸濁させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 充填剤懸濁液が、非イオン性、カチオン性もしくはアニオン性の界面活性剤を、充填剤の割合に対して0.1〜2%の量で含有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 充填剤懸濁液が、二価アルコールおよび多価アルコールおよび/またはアミンのクラスからのケイ酸活性化剤を、充填剤に対して0.3〜9%の量で含有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 1種以上のゴムエマルジョンを充填剤/シラン懸濁液に添加し、ただしその際、全ゴムにおけるその割合は15phr(ゴム100部に対する重量比)を越えない、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 水中で製造された混合物のpH値をブレンステッド酸またはルイス酸を用いて2〜7に調整する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 物質混合物を水中で温度30〜90℃において5〜120分加熱する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 窒素表面積(ISO3505794/1Dによる)1〜1000m2/gおよび構造範囲[DBP吸収量(ASTM D2415−92)]150〜400ml/100gを有するケイ酸塩充填剤1種以上を5〜300phrの量で使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- 製造された水中の混合物に、有機溶剤中のゴム1種以上からなるゴム溶液を添加し、かつ引き続き溶剤を、通例は溶剤の沸点に依存する温度および圧力で除去する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- 本発明によるゴム/充填剤/シラン−複合材を水相中で形成させる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
- ケイ酸塩充填剤以外に、別の充填剤、加工助剤および化学薬品を添加する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
- 生成物を含有する水の大部分を機械的な分離工程により除去する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
- 脱水後の生成物を形状付与して粒状にする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
- ゴム、シラン処理されたケイ酸塩充填剤、別の充填剤および混合成分を含有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法により得られる易流動性のゴム/充填剤−バッチ。
- ゴム、シラン処理されたケイ酸塩充填剤、別の充填剤および混合成分を含有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法により得られる易流動性のゴム/充填剤−バッチの、加硫性ゴム混合物を製造するための使用。
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