JP4097676B2 - 容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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本発明は、長期飲用しても体内での過酸化水素の発生を抑制することのでき、かつ、風味が良好である容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法に関する。
活性酸素の一つである過酸化水素は、変異原性、癌原性等の他、動脈硬化症、虚血性心疾患等の循環器系疾患、消化器疾患、アレルギー疾患、眼疾患など多くの疾患に深く関与しているといわれている(非特許文献1)。一方、コーヒーには、焙煎によって自然発生する過酸化水素が含まれており(非特許文献2)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、抗酸化剤(特許文献1〜4)等を添加することにより、コーヒー中の過酸化水素を除去する技術が報告されている。
栄養―評価と治療 19,3 (2002) Mutat. Res. 16,308(2) (1994) 特公平4−29326号公報 特開平3−127950号公報 特開平11−266842号公報 特開2003−81824号公報
本発明者らが、過酸化水素を除去したコーヒーをラットに飲用させたところ、体内で過酸化水素が生成し、尿中過酸化水素濃度が上昇することが判明した。すなわち、従来の、コーヒー飲料中の過酸化水素除去技術によっては、コーヒー飲用後に体内での過酸化水素生成を抑制することはできなかった。
本発明の目的は、飲用後に体内で過酸化水素を生成させない容器詰コーヒー飲料を提供することにある。
本発明者は、コーヒー中の何らかの成分が生体内において過酸化水素を生成させるのではないかとの仮説に基づき、種々検討した結果、コーヒー中に含まれるヒドロキシヒドロキノンに、生体内で過酸化水素を生成させる作用があること、及びヒドロキシヒドロキノンの含有量を通常含まれる量より十分に少ない0〜0.00009質量%に制御すれば、生体内で過酸化水素生成を増加させないコーヒー組成物が得られることを見出した。
しかし、コーヒー組成物を容器詰飲料とした場合、ヒドロキシヒドロキノン含量を低下させても、加熱殺菌処理工程でヒドロキシヒドロキノンが再生成してしまうことが判明した。併せて、コーヒー自体の酸味の増加、アロマ感の減少が認められた。そこで更に検討した結果、殺菌条件を限定することで、加熱殺菌処理によるヒドロキシヒドロキノンの生成を抑制でき、飲用後に体内で過酸化水素を生成を促進しない、かつ、風味の良好な容器詰ブラックコーヒー飲料を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、ヒドロキシヒドロキノン含有量が0〜0.00003質量%であるコーヒー組成物を用いて、ヒドロキシヒドロキノン含有量が0〜0.000032質量%である容器詰ブラックコーヒー飲料を製造する方法において、殺菌温度130〜150℃、殺菌時間20分以内、F0値12〜40の条件で加熱殺菌処理することを特徴とするヒドロキシヒドロキノンの再生成抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、飲用後に生体内で過酸化水素が増加せず、風味が良好な容器詰ブラックコーヒー飲料を得ることができる。
本発明方法に用いられるコーヒー組成物は、生体内での過酸化水素の生成の点から、ヒドロキシヒドロキノン含有量が0〜0.00003質量%であり、更に好ましくは0〜0.00001質量%である。
当該ヒドロキシヒドロキノン含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。HPLCにおける検出手段としては、UV検出が一般的であるが、CL(化学発光)検出、EC(電気化学)検出、LC−Mass検出等により更に高感度で検出でき、特にEC(電気化学)検出が極微量のヒドロキシヒドロキノンを測定できる点で好ましい。なお、HPLCによるヒドロキシヒドロキノン含量の測定にあたっては、コーヒー飲料又はコーヒー組成物を濃縮した後に測定することもできる。
更にヒドロキシヒドロキノン含量は、HPLCで直接測定することもできるが、本発明により得られた容器詰飲料又はコーヒー組成物から、各種クロマトグラフィーによりヒドロキシヒドロキノンを濃縮して、その濃縮画分の量を測定することによっても定量できる。
ヒトが通常の市販のインスタントコーヒー2杯(280g)を飲用すると、尿中過酸化水素量は有意に増加する(図1)。一方、通常のコーヒー及び過酸化水素除去コーヒーを摂取したラットの尿中過酸化水素増加は同程度であった(図2)。このことから、コーヒー中に含まれる過酸化水素により、飲用後の尿中過酸化水素量が増加しているのではなく、コーヒー中に含まれる何らかの成分が生体内で過酸化水素を生成させていることは明らかである。
そこで本発明者は、コーヒー中に含まれる種々の成分の体内での過酸化水素生成能について検討した。その結果、ヒドロキシヒドロキノンは通常、市販のコーヒー中に0.2〜3mg/190g含まれているが、極めて少量の摂取でも体内過酸化水素生成を増加させる作用を有し(図3、4)、ヒドロキシヒドロキノン含有量を0.00009質量%以下に調整したコーヒーを摂取した場合には、体内での過酸化水素の増加が抑制されることが判明した(図7)。
また本発明の容器詰ブラックコーヒー飲料又はコーヒー組成物は、H22(過酸化水素)の含有量が1ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下、更に0.05ppm以下、特に0.01ppm以下であるのがコーヒー本来の風味の点で好ましい。過酸化水素の測定は通常用いられる過酸化水素計を用いて行うことができ、例えば、セントラル科学社製の高感度過酸化水素計スーパーオリテクターモデル5(SUPER ORITECTOR MODEL5)等を用いることができる。特にH22は開缶前は殺菌処理により失われているものの、開缶によって空気に触れると時間経過と共に徐々に増加する傾向があることから、特許第3732782号、特許第3706339号に記載の測定条件に則り、開缶後迅速かつ速やかに分析する。
本発明方法に用いられるコーヒー組成物は、コーヒー豆からの抽出物、インスタントコーヒーの水溶液などから調製することができる。
本発明において、コーヒー組成物を得るのに用いるコーヒー豆の種類は、例えばブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等が挙げられる。コーヒー豆種としては、アラビカ種、ロブスタ種などがある。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。コーヒー豆を焙煎により焙煎コーヒー豆とする方法については、特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても制限はないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、更に好ましくは150〜250℃である。好ましい焙煎方法としては直火式、熱風式、半熱風式があり、回転ドラムを有している形式が更に好ましい。また、風味の観点より焙煎後1時間以内に0〜100℃まで冷却することが好ましく、さらに好ましくは10〜60℃である。
焙煎コーヒー豆の焙煎度としては、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンがあり、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティが好ましい。焙煎度を色差計で測定したL値としては、10から30が好ましく、さらに好ましくは15から25である。尚、焙煎度の違うコーヒー豆を混合しても良い。
コーヒー豆からの抽出方法については、例えば焙煎コーヒー豆又はその粉砕物から水〜熱水(0〜100℃)などの抽出溶媒を用いて10秒〜30分抽出する方法が挙げられる。粉砕度合いとしては、極細挽き(0.250-0.500μm)、細挽き(0.300-0.650μm)、中細挽き(0.530-1.000μm)、中挽き(0.650-1.500μm)、中粗挽き、粗挽き(0.850-2.100μm)、極粗挽き(1.000-2.500μm)や平均粒径3mmや同5mm、同10mm程度のカット品が挙げられる。抽出方法は、ボイリング式、エスプレッソ式、サイホン式、ドリップ式(ペーパー、ネル等)等が挙げられる。
抽出溶媒としては、水、アルコール含有水、ミルク、炭酸水などが挙げられる。抽出溶媒のpHは通常4−10であり、風味の観点からは5−7が好ましい。尚、抽出溶媒の中にpH調整剤、例えば重炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アルコルビン酸Naを含有させ、pHを適宜調整しても良い。
抽出器としては、ペーパードリップ、不織布ドリップ、サイフォン、ネルドリップ、エスプレッソマシン、コーヒーマシン、パーコレーター、コーヒープレス、イブリック、ウォータードリップ、ボイリング、コーヒーカップへ実質的に懸架可能なペーパー又は不織布の袋状構造体、上部にスプレーノズル下部に実質的にコーヒー豆の固液分離可能な構造体(メッシュやパンチングメタルなど)を有するドリップ抽出器、上部及び下部に実質的にコーヒー豆の固液分離可能な構造体(メッシュやパンチングメタルなど)を有するカラム抽出器等が挙げられる。抽出器は加熱又は冷却可能な構造(例えば、電気ヒーター、温水や蒸気、冷水が通液可能なジャケット)を有していても良い。
抽出方法としてはバッチ式抽出法、半バッチ式抽出法、連続式抽出法が挙げられる。バッチ式抽出法又は半バッチ式抽出法の抽出時間は風味の観点より10秒〜120分が好ましく30秒〜30分が更に好ましい。
本発明方法により製造される容器詰ブラックコーヒー飲料は、飲料100gあたりコーヒー豆を生豆換算で1g以上、好ましくはコーヒー豆を2.5g、更に好ましくはコーヒー豆を5g以上使用しているものである。また、本発明の容器詰ブラックコーヒー飲料はいわゆる微糖、加糖も含み、砂糖、人工甘味料などの甘味料を使用したものも含まれる。また甘味料の他、安定化剤を加えても良い。
本発明方法に用いられるコーヒー組成物は、コーヒー抽出液を含む液を吸着剤処理してヒドロキシヒドロキノン量を低減させる方法(吸着剤処理法)、コーヒー抽出液を含む液中の酵素処理によりヒドロキシヒドロキノン含量を低減させることにより得られる方法などによりヒドロキシヒドロキノン量を調整することができる。吸着剤処理法に用いる吸着剤としては、活性炭、逆相クロマトグラフ担体、白土(活性白土、酸性白土)などが挙げられ、これら2種以上の混合物であってもよい。吸着剤の平均粒径は、通常1μm〜20mmが好ましく、さらに好ましくは50μm〜5mmである。吸着剤処理方法は、バッチ法であってもカラム通液方法であっても良い。
バッチ法としては、例えばコーヒー抽出液を含む液に吸着剤を加え−10〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、吸着剤を除去すればよい。処理時の雰囲気としては、空気下、不活性ガス下(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素、炭酸ガス)が挙げられるが、風味の観点より不活性ガス下が好ましい。
カラム通液法としては、例えば吸着カラム内に吸着剤を充填し、コーヒー抽出液を含む液をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させ、必要に応じて吸着剤を除去する。吸着剤のカラム内への充填量は、通液前に吸着カラムに充填できる量であれば良い。吸着カラムの上段又は下段の少なくとも1つにメッシュ(網)又はパンチングメタルなど有し実質的に吸着剤が漏れ出さない分離構造体を有していれば良い。
吸着剤量は、コーヒー抽出液中のコーヒー豆由来可溶性固形分に対して、0.01〜100倍が好ましい。風味の観点より、活性炭の場合は、0.02〜1.0倍、逆相クロマトグラフ担体の場合は2〜100倍用いるのが好ましい。
活性炭としては、ミクロ孔領域における平均細孔半径が5オングストローム(Å)以下、更には、2〜5オングストロームの範囲であることが好ましく、特に3〜5オングストロームの範囲であることが好ましい。本発明におけるミクロ孔領域とは、10オングストローム以下を示し、平均細孔半径は、MP法により測定して得た細孔分布曲線のピークトップを示す細孔半径の値とした。MP法とは、文献(Colloid and Interface Science, 26, 46(1968))に記載の細孔測定法であり、株式会社住化分析センター、株式会社東レリサーチセンターにて採用されている方法である。また、活性炭の種類としては、ヤシ殻活性炭が好ましく、更に水蒸気賦活化ヤシ殻活性炭が好ましい。活性炭の市販品としては、白鷺WH2C、WH2CL、W2CL、W2C、EH(日本エンバイロケミカルズ)、太閣CW(二村化学)、クラレコールGW(クラレケミカル)等を用いることができる。
白土は、5%のサスペンジョンのpHが5〜10である酸性白土が好ましい。酸性白土の市販品としては、ミズカエース等を用いることができる。
逆相クロマトグラフ担体としては、YMC・ODS−A(YMC)、C18(GLサイエンス)等が挙げられる。
これらの吸着剤処理法のうち、活性炭を用いた吸着剤処理法は選択的にヒドロキシヒドロキノン含量を低減させることができるだけでなく、風味も良く工業的にも有利である。
尚、吸着剤処理工程は、コーヒー抽出液のみで処理をおこなうのが好適であるが、副原料を混合し処理をおこなっても良い。またコーヒー組成物を殺菌する前に吸着剤処理工程をおこなうのが好適であるが、殺菌後充填前に吸着剤処理工程を導入しても良い。
本発明方法に用いられるコーヒー組成物は、高速液体クロマトグラフィーによる分析における、没食子酸を標準物質とした場合の没食子酸に対する相対保持時間が0.54〜0.61の時間領域に実質的にピークを有しないことが好ましい。当該時間領域に実質的にピークを有しないことを確認するには、一般的なHPLCを使用することができ、例えば溶離液として0.05M酢酸水溶液と0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液のグラジエントを用い、ODSカラムを用いて、紫外線吸光光度計等により検出することで確認することができる。
本発明において没食子酸に対する相対保持時間が0.54〜0.61の時間領域に実質的にピークを有しないとは、没食子酸の1ppm溶液を分析時の面積値をS1とし、同条件でコーヒー組成物を分析した時の前記特定の領域に溶出する成分に由来するピーク面積の総和をS2としたとき、S2/S1<0.01であることを意味する。
本発明方法に用いられるコーヒー組成物には、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液、糖アルコール等の糖分、抗酸化剤、pH調整剤、乳化剤、香料等を添加することができるが、実質的に乳成分を含まないコーヒー飲料、いわゆるブラックである。コーヒー組成物のpHは、飲料の安定性の面で3〜7、更に4〜6.5、特に5〜6が好ましい。
容器詰コーヒー飲料のpHとしては5〜7.5が好ましく、特に5.4〜7が好ましい。また、本発明により得られる容器詰コーヒー飲料中のモノカフェオイルキナ酸の構成比としては、4−カフェオイルキナ酸/3−カフェオイルキナ酸質量比が0.6〜1.2であり、5−カフェオイルキナ酸/3−カフェオイルキナ酸質量比が0.01〜3であることが好ましい。
本発明方法により製造される容器詰コーヒー飲料は、コーヒー組成物をPETボトル、缶(アルミニウム、スチール)、紙、レトルトパウチ、瓶(ガラス)等の容器に詰めて製造することができる。この場合、コーヒー組成物をそのまま容器に詰めて50〜2500mLの容器詰コーヒー飲料とすることができる。飲みやすさの点から好ましくは150〜350mL、更に好ましくは180〜280mLの容器である。容器詰コーヒー飲料は、シングルストレングスであることが好ましい。ここでシングルストレングスとは、容器詰飲料を開封した後、常態として薄めずにそのまま飲めるものをいう。
容器としては、コーヒー中の成分の変化を防止する観点から、酸素透過度の低い容器が好ましく、例えば、アルミニウムや、スチールなどの缶、ガラス製のビン等を用いるのが良い。缶やビンの場合、リキャップ可能な、リシール型のものも含まれる。ここで酸素透過性とは、20℃、相対湿度50%の環境下で測定した酸素透過度(cc・mm/m2・day・atm)である。容器の酸素透過度は、容器・フィルム酸素透過率測定器で5以下が好ましく、更に3以下、特に1以下が好ましい。
本発明方法により製造される容器詰コーヒー飲料は、前記のコーヒー組成物を、殺菌時間20分以内で加熱殺菌処理を行うことにより製造される。
また本発明において、殺菌時間は、ヒドロキシヒドロキノンの再生成を効果的に抑制する点及び風味の点で、20分以内であり、好ましくは1秒〜1分、より好ましくは3秒〜1分、更に好ましくは15秒〜1分である。バッチ式殺菌機においての殺菌時間は、風味の観点より好ましくは1〜20分、更に好ましくは3〜15分である。連続式殺菌機においての殺菌時間は、風味の観点より好ましくは10〜90秒、更に好ましくは20〜80秒である。
また、殺菌温度は、微生物学的安定性の点で110℃以上が好ましく、さらに112〜150℃、特に115〜145℃が好ましい。比較的短時間で殺菌可能である連続式殺菌機においての殺菌温度は、風味の観点より130〜150℃が好ましい
殺菌器はバッチ式殺菌機又は連続式殺菌機が使用可能である。バッチ式殺菌機としては、レトルト釜がある。連続式殺菌機としては、チューブ式殺菌機、プレート式殺菌機、HTSTプレート式殺菌装置、UHT殺菌機などがある(改訂版ソフトドリンクス、頁546−558、頁633−638、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳)。風味の観点より、連続殺菌機が好ましく。特に、連続加熱殺菌後無菌下で充填する技術が好ましい。
また、殺菌時間及び殺菌温度はF0値を管理することにより行うのが好ましい。F0値は、微生物学的安定性及びヒドロキシヒドロキノンの再生成を効果的に抑制する点で、12〜40、好ましくは15〜30、特に好ましくは14〜25である。ここで、F0値とは、容器詰コーヒー飲料を加熱殺菌した場合の加熱殺菌効果を評価する値で、基準温度(121.1℃)における加熱時間(分)を示す。F0値は、容器内温度に対する致死率(121.1℃で1)に、加熱時間(分)を乗じて算出される。致死率は致死率表(藤巻正生ら、「食品工業」、恒星社厚生閣、1985年、1049頁)から求めることができる。F0値を算出するには、一般的に用いられる面積計算法、公式法等を採用することができる(例えば谷川ら《缶詰製造学》頁220、厚生閣参照)。
当該加熱殺菌処理は、上記条件の他、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で行われる。PETボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ食品衛生法に定められた条件と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻す等の操作も可能である。
得られる容器詰コーヒー飲料は、風味が良好であり、かつ、虚血性心疾患等の循環器系疾患、消化器系疾患、アレルギー疾患、眼疾患など多くの疾患に深く関与していると考えられる過酸化水素の生体内での生成を抑制することができる。
参考例A
中焙煎度のコーヒー豆に対して8倍量のイオン交換水(95℃)で抽出し、コーヒー抽出液を得た。次に本コーヒー抽出液中のBrixを測定し、Brixに対して50重量%の量の活性炭(白鷺WH2C)を充填したカラム(内径45mm、長さ150mm)を準備した。その後、活性炭を充填したカラムに温度25℃、SV8[1/容量[m3]/流量[m3/hr]]の条件下でコーヒー抽出液を通液し、活性炭処理してヒドロキシヒドロキノンを除去したコーヒー組成物を得た。
こうして得られたヒドロキシヒドロキノンを除去したコーヒー組成物中のクロロゲン酸類量を測定し、イオン交換水で希釈し、重曹にてpH調整を行った。加熱殺菌前のヒドロキシヒドロキノンは、検出限界以下であった(HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法)。次にこうして得られたコーヒー組成物を190g缶に充填後、密封し、表1に示す殺菌条件に従いレトルト殺菌処理を施し、容器詰コーヒー飲料を得た。また加熱殺菌後のヒドロキシヒドロキノンは、HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法を用いた。
参考例B〜D、実施例1、2
表1に示す殺菌条件にそれぞれ制御した以外参考例Aと同様に容器詰コーヒー飲料を製造した。
実施例3
中焙煎度のコーヒーエキスのBrixに対して、50重量%の活性炭(白鷺WH2C)を充填したカラム(内径45mm,長さ150mm)に、温度25℃,SV8[1/容量[m3]/流量[m3/hr]]の条件下でコーヒーエキスを通液した。
上記活性炭処理コーヒーエキスを、重曹を溶解した水溶液を用いてpH調整を行った後、クロロゲン酸類量が170mg/100gとなるようにイオン交換水で希釈した。
得られた、コーヒー組成物を190g缶に充填後、密封し、131℃で100秒間のレトルト殺菌を行った。
実施例4
中焙煎度、及び低焙煎度のコーヒー混合エキスのBrixに対して、50重量%の活性炭(白鷺WH2C)を充填したカラム(内径45mm,長さ150mm)に、温度25℃,SV8[1/容量[m3]/流量[m3/hr]]の条件下でコーヒーエキスを通液した。
上記活性炭処理コーヒーエキスを、重曹を溶解した水溶液を用いてpH調整を行った後、クロロゲン酸類量が350mg/100gとなるようにイオン交換水で希釈した。
得られた、コーヒー組成物を190g缶に充填後、密封し、131℃で100秒間のレトルト殺菌を行った。
比較例1
中焙煎度のコーヒー豆に対して8倍量のイオン交換水(95℃)で抽出し、コーヒー抽出液を得た。活性炭処理を実施しないこと以外は実施例1と同様の操作で、表1の示す殺菌条件に従い、容器詰コーヒー飲料を製造した。
比較例2
活性炭未処理の高焙煎度コーヒーエキスを、重曹を溶解した水溶液を用いてpH調整を行った後、クロロゲン酸類量が170mg/100gとなるようにイオン交換水で希釈した。
得られた、コーヒー組成物を190g缶に充填後、密封し、123℃で10分間のレトルト殺菌を行った。
結果
表1に示したように、殺菌時間を20分以内に制御することで加熱殺菌後のヒドロキシヒドロキノンの再生成が抑制されることが判った。またHHQ低減処理によってすっきり感が出てきていた。しかしながら殺菌時間が長すぎると風味劣化の一因になることも判った。
HPLC−電気化学検出器によるヒドロキシヒドロキノンの分析方法
容器詰コーヒー飲料又はコーヒー組成物のヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、カラムオーブン:505。カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm粒子径5μm((株)資生堂)。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、電気化学検出器の印加電圧:0mV、カラムオーブン設定温度:40℃、溶離液A:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、溶離液B:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。
溶離液A及びBの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
<ヒドロキシヒドロキノンの測定前処理の具体例>
容器詰ミルクコーヒーを開缶後、直ちに5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を含有する5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートJR SCX(固相充填量:500mg、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約1.0mLを除いて、通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
<過酸化水素の測定具体例>
過酸化水素分析計SUPER ORITECTOR MODEL 5(セントラル科学(株))を使用し、標準校正液(過酸化水素1ppm)で校正した後、分析計測定セル内に、0.5%臭素酸カリウム配合の0.2Mリン酸バッファー(pH7.0)を1mL入れた。窒素送付によりセル内の溶存酸素がゼロになった時点で30℃恒温槽に静置しておいた市販缶コーヒーならびに試験サンプルを開缶し1mLを速やかに抜き取り、測定セル内に加える。後は、装置の測定手順に従い、発生した酸素濃度をプリンターから読み取った。尚、外そうする場合には、以後、15分毎に測定し、得られた1時間後までのデータを用いて最小二乗法で直線を引き、求めた。ここでMODEL5の検出限界は0.1mg/kgであった。
<風味の評価>
25℃にてパネラー3名で開缶後すぐに飲用して評価した。
風味の評価は、◎風味が良い、○特に問題ない、○△やや風味が劣る、△明らかに風味が劣る、の4段階で行った。
参考例1
(焙煎コーヒーが体内過酸化水素量に与える影響)
(a)焙煎コーヒーの調製
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)4gをミネラルウォーター280mLに溶解した。この時コーヒー280mL中のクロロゲン酸量は210mg、HHQ量は2.6mgとなる。
(b)得られたコーヒー280mLを健常男性6名に飲用させ、その後1〜5時間後に尿中過酸化水素量を測定した。なお、尿中過酸化水素量は、FOX(ferrous ion oxidation-xylenol orange)アッセイにより測定した。
その結果、図1に示すように、焙煎コーヒーの飲用により、ヒトの尿中過酸化水素量は増加することがわかる。
参考例2
(過酸化水素除去コーヒーが体内過酸化水素量に与える影響)
(a)焙煎コーヒー
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)10gを26mLの蒸留水に溶解した。
(b)過酸化水素除去コーヒー
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)10gを23mLの蒸留水に溶解し、3mLのカタラーゼ溶液(セントラル科学)を添加した。
(c)上記(a)及び(b)で得られたコーヒーを、6週齢のSD系雄性ラット(n=4)に強制経口投与(10mL/kg)した。投与後3時間目に採尿し、尿中過酸化水素量を測定した。なお、尿中過酸化水素量はFOX(ferrous ion oxidation-xylenol orange)アッセイにより測定した。
その結果、図2に示すように、焙煎コーヒーの摂取により尿中過酸化水素量は増加し、その増加率は焙煎コーヒーから過酸化水素を除去してもほとんど変化しなかった。このことから、焙煎コーヒーを摂取することにより体内で新たに過酸化水素が生成することがわかる。
参考例3
(体内で過酸化水素を生成させる成分)
(a)焙煎コーヒー
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)を下記の溶離液Aに溶解し、20mg/mLのコーヒー溶液を作製した。
ヒドロキシヒドロキノンの定量:分析方法A
この焙煎コーヒー中のヒドロキシヒドロキノン量を定量したところ、0.0013質量%であった。ここで焙煎コーヒー中のヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。以下の分析条件を分析条件Aとする。分析機器はHPLC(島津製作所(株))を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。ディテクター:SPD−M10A、オーブン:CTO−10AC、ポンプ:LC−10AD、オートサンプラー:SIL−10AD、カラム:Inertsil ODS−2 内径4.6mm×長さ250mm。
分析条件は次の通り。サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、紫外線吸光光度計検出波長:290nm、溶離液A:0.05M酢酸3%アセトニトリル溶液、溶離液B:0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0分 100% 0%
20分 80% 20%
35分 80% 20%
45分 0% 100%
60分 0% 100%
70分 100% 0%
120分 100% 0%
ヒドロキシヒドロキノンのリテンションタイム:5.5分。ここで求めたエリアからヒドロキシヒドロキノンを標準物質とし、質量%を求めた。
ヒドロキシヒドロキノンの定量:分析方法B
また、コーヒー組成物中のヒドロキシヒドロキノンは以下の分析法によっても測定できる。以下の分析条件を分析条件Bとする。分析機器はHPLC(日立製作所(株))を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。ディテクター:L−7455、オーブン:L−7300、ポンプ:L−7100、オートサンプラー:L−7200、カラム:Inertsil ODS−2 内径4.6mm×長さ250mm。
分析条件は次の通り。サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、紫外線吸光光度計検出波長:258又は288nm、溶離液A:0.05M酢酸水溶液、溶離液B:0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0分 100% 0%
15分 100% 0%
15.1分 0% 100%
25分 0% 100%
25.1分 100% 0%
30分 100% 0%
ヒドロキシヒドロキノンの保持時間:6.8分。ここで求めたエリアからヒドロキシヒドロキノンを標準物質とし、質量%を求めた。同様に測定した没食子酸の保持時間は11.5分であった。
(b)インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)2.4g/kg(ヒドロキシヒドロキノンとして1.6mg/kg)、ヒドロキシヒドロキノン1.6mg/kgを、7週齢のSD系雄性ラット(n=4)に強制経口投与した。投与前及び投与後3時間、6時間目に採尿し、実施例2と同様にして尿中過酸化水素量を測定した。
その結果、図3に示すように、ヒドロキシヒドロキノン及び焙煎コーヒー摂取群では摂取後3時間目の尿中過酸化水素量が有意に増加し、増加した尿中過酸化水素量はヒドロキシヒドロキノン及び焙煎コーヒー摂取群で同程度であった。これにより、コーヒー中の体内過酸化水素生成物質がヒドロキシヒドロキノンであることが判明した。
参考例4
7週齢のSD系雄性ラット(n=3)に、ヒドロキシヒドロキノン(0.1、0.3、1及び3mg/kg)を強制経口投与した。投与前及び投与後3時間、6時間目に採尿し、参考例2と同様にして尿中過酸化水素量を測定した。
その結果、図4に示すように、0.3mg/kg以上のヒドロキシヒドロキノンの摂取によって、用量依存的に体内の過酸化水素が増加することが判明した。
参考例5
コーヒー組成物Qを次の方法で製造した。
活性炭処理コーヒーの製造
市販インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)ゴールドブレンド赤ラベル)20gを、蒸留水1400mLに溶解したのち(このコーヒーをコーヒー組成物Pという)、活性炭白鷺WH2C 28/42(日本エンバイロケミカルズ)を30g加え、1時間攪拌したのち、メンブレンフィルター(0.45μm)を用いてろ過し、ろ液を得た(このコーヒーをコーヒー組成物Qという)。得られたろ液を、凍結乾燥し、褐色粉末15.8gを得た。この褐色粉末を蒸留水に溶解し、参考例1と同様にしてHPLC分析により、クロロゲン酸及びHHQの定量を行なったところ、クロロゲン酸は4.12質量%含まれ、HHQは検出限界以下(分析条件Bによる)であった。また、ICP発光分光分析法でカリウム含量を測定したところ、原料インスタントコーヒー及び活性炭処理コーヒーのいずれも約4.2質量%であった。コーヒー組成物P、コーヒー組成物Q、及び没食子酸をHPLCを用いて分析すると図5及び6に示すチャートが得られた。コーヒー組成物Qにおいては保持時間6.8分付近のピークが消失し実質的にピークを有していない。図5におけるaはコーヒー組成物Pのチャートを、bはコーヒー組成物Qのチャートを、cは没食子酸のチャートを示す。図6におけるbはコーヒー組成物Pのチャートを、cはコーヒー組成物Qのチャートを、aは没食子酸のチャートを示す。
また、コーヒー組成物Q中のヒドロキシヒドロキノン(HHQ)量の測定は以下の方法でも行った。
ヒドロキシヒドロキノンの測定:HPLC−電気化学検出器による
コーヒー組成物Qのヒドロキシヒドロキノンの分析法は次の通りである。分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、開発・製造:米国ESA社、輸入・販売:エム・シー・メディカル(株))を使用した。装置の構成ユニットの名称・型番は次の通りである。
アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー、クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A、溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー、オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー、デガッサー:Degasys Ultimate DU3003、カラムオーブン:505。カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm 粒子径5μm((株)資生堂)。
分析条件は次の通りである。
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、電気化学検出器の印加電圧:0mV、カラムオーブン設定温度:40℃、溶離液A:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液、溶離液B:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、50(V/V)%メタノール溶液。
溶離液A及びBの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学(株))、高速液体クロマトグラフィー用メタノール(関東化学(株))、リン酸(特級、和光純薬工業(株))、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業(株))を用いた。
濃度勾配条件
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
分析試料の調製は、試料5gを精秤後、0.5(W/V)%リン酸、0.5mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、5(V/V)%メタノール溶液にて10mLにメスアップし、この溶液について遠心分離を行い上清を得た。この上清について、ボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス(株))に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過し、速やかに分析に供した。
上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は、6.38分であった。得られたピークの面積値から、ヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業(株))を標準物質とし、質量%を求めた。
尚、コーヒー組成物Q中の過酸化水素量を高感度過酸化水素計を用いて測定したところ、過酸化水素量は検出限界以下であり検出されなかった。
参考例6
ラットにおける焙煎コーヒーと参考例5で製造した活性炭処理コーヒー(コーヒー組成物Q)の体内過酸化水素量に対する影響
(a)焙煎コーヒーの調製
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)8gを12mLの蒸留水に溶解した。
(b)活性炭処理コーヒーの調製
参考例5で製造した活性炭処理コーヒー8gを12mLの蒸留水に溶解した。
(c)上記(a)及び(b)で得られたコーヒーを、7週齢のSD系雄性ラット(n=8)に強制経口投与(10mL/kg)した。投与前及び投与後3時間、6時間目に採尿し、参考例2と同様にして尿中過酸化水素量を測定した。
その結果、図7に示すように、焙煎コーヒー摂取群では摂取後3時間目の尿中過酸化水素量が蒸留水摂取群に比べて有意に増加するが、活性炭処理コーヒー摂取群では蒸留水摂取群と同等であることがわかる。
参考例7
ヒトにおける焙煎コーヒーと活性炭処理コーヒー(コーヒ組成物Q)の体内過酸化水素量に対する影響
(a)焙煎コーヒーの調製
インスタントコーヒー(ネスカフェ(登録商標)カフェインレス)4.5gをミネラルウォーター280mLに溶解した。
(b)活性炭処理コーヒーの調製
参考例5で製造した活性炭処理コーヒー4.5gをミネラルウォーター280mLに溶解した。
(c)上記(a)及び(b)で得られたコーヒー280mLを健常男性7名に飲用させ、その後1〜5時間後に尿中過酸化水素量を測定した。また試験はクロスオーバーを行った。参考例2と同様にして尿中過酸化水素量を測定した。
その結果、図8に示すように、焙煎コーヒーの飲用により、ヒトの尿中過酸化水素量は増加するが、コーヒー組成物Q(活性炭処理コーヒー)をミネラルウォーターに溶解したコーヒーでは増加しないことがわかった。
焙煎コーヒーが体内過酸化水素に与える影響(ヒト)を示す図である。 過酸化水素除去コーヒーが体内過酸化水素量に与える影響を示す図である。 体内で過酸化水素を生成させるコーヒー中の成分を示す図である。 ヒドロキシヒドロキノンが体内過酸化水素生成に及ぼす作用を示す図である。 コーヒーQのHPLCチャート(検出波長258nm)を示す図である。 コーヒーQのHPLCチャート(検出波長288nm)を示す図である。 活性炭処理コーヒーがラットの体内過酸化水素量に与える影響を示す図である。 活性炭処理コーヒーがヒトの体内過酸化水素量に与える影響を示す図である。

Claims (2)

  1. ヒドロキシヒドロキノン含有量が0〜0.00003質量%であるコーヒー組成物を用いて、ヒドロキシヒドロキノン含有量が0〜0.000032質量%である容器詰ブラックコーヒー飲料を製造する方法において、殺菌温度130〜150℃、殺菌時間20分以内、F0値12〜40の条件で加熱殺菌処理することを特徴とするヒドロキシヒドロキノンの再生成抑制方法
  2. コーヒー組成物のヒドロキシヒドロキノン含有量が0質量%である、請求項1記載のヒドロキシヒドロキノンの再生成抑制方法
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