JP4087920B2 - 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の鉄心材料として用いられる、磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動きの中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。このため使用時のエネルギーロスである鉄損を少しでも低くして高効率化を図るため、需要家の低鉄損電磁鋼板への要求は増してきている。
一方で、回転機では鉄心を小型化して同一出力を得るためには動作磁束密度を高める必要があり、このためには高磁束密度の無方向性電磁鋼板が求められている。このように回転機の小型化はそれ自身が架装される移動体である自動車、電車等の軽量化につながるため、それら自身が消費するエネルギーの節約にもつながるという利点がある。このため昨今では需要家から低鉄損かつ磁束密度の高い無方向性電磁鋼板が強く求められるようになっている。
また、世界的な大競争時代に突入している現代にあって、無方向性電磁鋼板への需要家のコストダウンの要求は厳しく、先述の電気機器の高効率化のすう勢と相まって、価格が同一であれは磁気特性が少しでも優れた無方向性電磁鋼板が需要家に選択されるのが実情である。
【0003】
熱延プロセスの改善による無方向性電磁鋼板の磁気特性改善技術については、特開昭56−130425号公報、特開昭56−38420号公報に、低Si系無方向性電磁鋼板熱延プロセスにおいて熱延終了温度を変態点との関係により制御することにより、熱延結晶組織の粗大化を図り、磁気特性の改善をはかる技術が公開されている。
しかしながら熱延終了温度を上昇させるだけでは磁束密度の改善は不十分であり、また鉄損特性の改善には上記公報記載の技術では顕著な効果が見られなかった。
【0004】
上述のような昨今の需要家のコストダウンに対する厳しい要求に対して、無方向性電磁鋼板分野における低コスト製造方法の取り組みについては、特公昭56−33451号公報に、連続鋳造したスラブを低温まで冷却することなく、高温のまま再加熱し、直ちに仕上げ熱延に供する技術が開示されている。これによりスラブ再加熱の熱原単位を節約し、熱延のコストを低減することが可能である。
しかしながら、αγ変態を有する成分系の無方向性電磁鋼板の場合、連続鋳造後のスラブをαγ変態点以下に冷却することなく、仕上圧延した場合、鋼板中の析出物が十分に粗大化せず、結果として製品の鉄損が10%程度悪化するという問題点があった。
【0005】
さらにこの点について、特開平5−71652号公報には、粗圧延後のシートバーを一定温度、一定時間ディレイ処理を行うことで析出物の粗大化を図り、磁気特性の改善を図る技術が開示されている。しかしながらこの公報に記載の技術において、粗圧延後のシートバーを一定時間ディレイすることは、熱延の生産性の低下を招く問題点があった。またシートバーをディレイする間に保熱カバー等を用いて温度保持を図ったとしても、シートバー両端部およびエッジ部の温度低下を避けることが容易でなく、シートバーのディレイ中にその温度分布が不均一となり、コイル長手方向、幅方向の鉄損値が大きく変動するという問題点があり、これらの問題点により現実の操業においては直送圧延の低コストメリットが相殺されるため、実施が不可能であった。
【0006】
この様なシートバーディレイの熱延生産性の低下を解決する方法として、特開平8−92643号公報には、粗圧延後のシートバーをコイル状に巻取る技術が公開されている。しかしながら、この技術においてはシートバーの巻取り条件に対して成品磁気特性の変動が大きく、その影響については未解明であり、成品磁気特性に対するシートバーの巻取り条件の影響因子の解明が待たれていた。このようにシートバー巻取りを前提とする熱延技術では、磁気特性の改善ははかれるものの、安定した成品磁気特性を得ることが困難であり、大きな課題を残していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無方向性電磁鋼板に対する需要家の低コスト低鉄損化の強い要請に応え、低鉄損な磁気特性を有する無方向性電磁鋼板の低コスト製造法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)質量%で、
0.10%<Si≦2.50%、 0.10%≦Mn≦1.50%、
C≦0.0050%、 N≦0.0050%、
S≦0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるαγ変態を有する成分系のスラブを、熱間圧延して熱延板とした後、1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を行い、次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、連続鋳造後のスラブを特定の温度域にて保熱または再加熱することなく、直ちに粗圧延に供してシートバーとした後、下記(1)〜(4)式を満足する条件で粗圧延後のシートバーを巻取り、次いで巻き取ったシートバーを巻きもどして仕上熱延に供することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
150≦R(mm)≦1500 ・・・(1)
900≦T(℃)≦ 1150 ・・・(2)
1.20≦log (ωt/R)+2≦4.00 ・・・(3)
90−10×log (Mn/S)≦τ(秒)≦900 ・・・(4)
ここで、R(mm) :シートバー巻取り半径
T(℃) :シートバー巻取温度
ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度
t(mm) :シートバー板厚
τ(秒) :シートバー巻取保持時間
【0010】
)仕上げ焼鈍を施した後、さらに2%以上20%以下のスキンパス圧延を施すことを特徴とする前記(1)記載の無方向性電磁鋼板の製造法。
【0011】
)巻き取ったシートバーを巻きもどした後、シートバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合して複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは前述した課題を解決するべく検討を重ねた結果、粗圧延後のシートバーをコイル状に巻取る際に、シートバー板厚、巻取り速度、巻取り半径により新規に定義されるパラメータと成品の磁気特性の間に密接な関係があることを見出した。本発明によれば、単にシートバーを温度、巻取り半径を制御して巻取るばかりでなく、シートバー巻取り時にこのパラメーターを適切に制御することで、磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を極めて安定して製造することが可能である。
【0013】
さらに本発明者らは、析出物制御をの観点からは、直送圧延における鉄損悪化の原因が主としてMnSの微細析出にあることを見出だした。本発明では、析出物制御の観点から、巻き取ったシートバーを{Mn/S}をパラメータとする式(4)により定められる時間保持することで、仕上圧延の生産性の低下、および製品鉄損の悪化を招くことなく変態成分系の無方向性電磁鋼板の直送圧延を行うことが可能である。
【0014】
さらに本発明によれば、巻き取ったシートバーを巻きもどした後、シートバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合して複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供することで、コイル毎の磁気特性のバラツキを抑制することができる。すなわち、連続熱延によりコイルのトップ、ミドル、ボトム部の磁気特性の変動が消失し、より安定した磁気特性の無方向性電磁鋼板の製造が可能である。
【0015】
まず、成分について説明する。
Siは鋼板の固有抵抗を増大させ渦流損を低減させ、鉄損値を改善するために添加される。Si含有量が0.10%以下であると本発明が目的とする低鉄損無方向性電磁鋼板に必要な固有抵抗が十分に得られないので0.10%を超える量を添加する必要がある。一方、Si含有量が2.50%を越えるとコスト高となるので2.50%以下とする必要がある。
【0017】
Mnは、Siと同様に鋼板の固有抵抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。この目的のため、Mn含有量は0.10%以上とする必要がある。一方、Mn含有量が1.50%を超えると熱延時の変形抵抗が増加し熱延が困難となるとともに、熱延後の結晶組織が微細化しやすくなり、製品の磁気特性が悪化するので、Mn含有量は1.50%以下とする必要がある。
【0018】
また、Mn添加量は仕上げ熱延前の高温のシートバー接合部の強度確保の点からもきわめて重要である。なぜなら、低融点の硫化物が結晶粒界に存在することによるシートバー接合部の熱間脆化を防止するために、MnとSとの重量濃度の比であるMn/Sの値を20以上とすることが必要であるからである。本発明に規定する成分範囲では、Mn含有量が0.1%以上であり、S含有量は0.0050%以下であるので、Mn/Sの値は20以上に保たれ、この観点からは問題がない。
【0019】
また、製品の機械的特性の向上、磁気的特性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P、B、Ni、Cr、Sb、Sn、Cuの1種または2種以上を鋼中に含有させても本発明の効果は損なわれない。
【0020】
C含有量が0.0050%を越えると使用中の磁気時効により鉄損が悪化して使用時のエネルギーロスが増加するため、0.0050%以下、さらに好ましくは0.0020%以下に制御することが必要である。
S、Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS等の硫化物、AlN等の窒化物を形成する。これらが存在することにより熱延組織の粒成長を妨げるとともに仕上げ焼鈍時の結晶粒成長を妨げ鉄損が悪化するのでSは0.0050%以下、さらに好ましくは0.0020%以下、Nは0.0050%以下、さらに好ましくは0.0020%以下にする必要がある。
【0021】
次に本発明のプロセス条件について説明する。
前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続鋳造により製造され、直ちに仕上げ熱延に供される。スラブ再加熱の熱原単位を節約し、熱延のコストを低減するためである。
【0022】
粗圧延後のシートバーの巻取条件の成品磁気特性に対する影響を調査するため下記の様な実験を行った。表1に示す成分の鋼を溶製し、連鋳機により200mm厚みのスラブとし、直ちに熱間圧延工程に供した。すなわち、まずスラブを粗圧延によりシートバーに加工して、その後コイル状に巻き取った。その際、シートバー厚み、シートバー巻取り速度、シートバー巻取り半径を種々変更して試験を行った。巻取り実施時のシートバーの温度は1000℃で一定とし、シートバーの保持時間は式(4)に従うと72秒以上必要であるので90秒で一定とした。
【表1】
Figure 0004087920
【0023】
巻取り後のシートバーは再度巻きもどして、シートバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合して複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供した。仕上熱延終了温度は860℃で2.5mm厚に仕上げ水冷して650℃で巻き取った。これを酸洗、冷延し0.50mm厚とし、脱脂した後、750℃、30秒焼鈍し、エプスタイン試料を切断して磁気特性を測定した。
【0024】
以上のようにして得られた製品の磁束密度とシートバー巻取り条件から算出されるパラメータ:log (ωt/R)+2との関係を図1に、製品の鉄損値と前記パラメーターとの関係を図2にそれぞれ示す。ここで、ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度、t(mm):シートバー板厚、R(mm):巻取り半径である。
【0025】
なお巻取半径R(mm)とは、シートバー巻取機中心とシートバー厚みの中心の間の距離をいうものとする。すなわち、巻き取ったシートバーの内径をr(mm)、シートバーの厚みをt(mm)とすると、R=r+t/2である。また、シートバーの巻取り速度が巻取り中に変化する場合には、シートバーがコイル状に半径Rに巻き取られ始めた時点での巻取り速度を用いて上記パラメータを算出した。さらに、シートバー巻取保持時間とは、シートバーを巻取終了してから、巻きもどしを開始するまでの時間をいう。
【0026】
図1および図2より、粗圧延終了後のシートバーを特定の条件で巻取ることにより、製品の磁気特性が改善されることがわかる。すなわち、これらの実験結果より本発明ではシートバー巻取時の条件を1.20≦log (ωt/R)+2とした。一方、4.00<log (ωt/R)+2としたのでは、巻取り速度もしくはシートバー厚が過大となり、巻取り時にシートバーの耳割れが生じやすくなるため、log (ωt/R)+2≦4.00とした。
【0027】
次に、Mn/S比とシートバーコイル保持時間、磁気特性との関係を調べるために以下の実験を行った。S含有量以外は表1と同一の成分の鋼を溶製し、連鋳機により200mm厚みのスラブとした。S含有量は0.0005%から0.0050%の範囲で変化させ、Mn/S比の値を240.0から24.0の間で変化させた。
【0028】
次にこれを直ちに粗圧延により40mmのシートバーに加工して、その後コイルボックス内にコイル状に巻き取り保温した。巻取り実施時のシートバーの温度は1000℃であった。シートバーの巻取半径は内径200mm、外径1200mmとし、巻取速度を調整することでlog (ωt/R)+2の値は1.64から3.16とした。
【0029】
コイルボックス内でのシートバーコイル保持時間を変えてMn/S比、磁気特性との関係を調べた。巻きほどいたシートバーは仕上げ熱延を行い、2.5mm厚に仕上げ、熱延仕上げ温度は860℃とし、水冷して650℃で巻き取った。 その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて750℃で30秒間焼鈍した。製品よりエプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。
【0030】
シートバー巻取保持時間とMn/S比と製品磁束密度との関係を図3に、シートバー巻取保持時間とMn/S比と鉄損との関係を図4に示した。
図3、図4から分かるように、式(4)で規定される範囲において、磁束密度、鉄損とも特性が改善されることが分かる。なお、図では150秒以上の領域については示していないが、磁束密度、鉄損ともシートバーコイルの保持時間の増加とともにより良好な特性を示した。
【0031】
巻き取ったシートバーは外面部分の温度低下を抑制するために保熱カバーに装入して保温や加熱を行っても良い。また、シートバーを直接コイルボックス内に巻取保持するようにしても良い。そして、巻き取ったシートバーを巻取保持する間の仕上熱延停止を避け、仕上熱延の生産性を確保するために、シートバーのコイルボックスを複数設置し、順次巻取ったシートバーを格納して巻取保持を行い、巻取保持終了後また順次これを巻きもどして仕上げ熱延に供することが好ましい。
【0032】
本発明のごとき条件でシートバーを巻取保持することにより、無方向性電磁鋼板の磁気特性が改善することの詳細な理由は明らかではないが、一定の条件でシートバーの巻取を実施し、これを保持することにより従来法よりも更に析出物の粗大化が進行し、無方向性電磁鋼板の磁気特性に対し無害化することが原因と推測できる。
【0033】
また、コイル毎の磁気特性のバラツキを抑制するために、粗圧延後のシートバーを、先行するシートバーに接合し、仕上熱間圧延を連続的に行うことが特に有効である。すなわち、連続熱延によりコイルのトップ、ミドル、ボトム部の磁気特性の変動が消失し、より安定した磁気特性の無方向性電磁鋼板の製造が可能である。また、シートバーを接合して仕上熱間圧延を連続的に行うことによって、巻きもどしたシートバーを仕上熱延機に噛み込ませる際に発生しやすい蛇行を防止して、仕上熱延を安定して行うことができるという効果もある。
【0034】
ここで、先行シートバーと後行シートバーを接合する方法としては、先行シートバーの後端部と後行シートバーの先端とを突き合わせ、突合せ部を溶接する方法や、突合せ部に押圧力を加えて圧接する方法や、突合せ部を溶接した後に圧接する方法等がある。また、突合せ部に押圧力を加えつつ溶接するようにしてもよい。なお、突合せ部を溶接する方法としては、例えばレーザ溶接法、誘導加熱による方法等があげられる。
【0035】
シートバーの巻取半径については、150mm未満であると巻取り時の端部の割れが生じやすくなるため、150mm以上に定める。一方、1500mm超であるとコイル外周が大きくなりすぎ、温度分布にむらが生じやすくなり、磁気特性の変動が大きくなるので1500mm以下に定める。
【0036】
シートバーの巻取り温度については、900℃以上1150℃以下と定める。その理由は、巻取り温度が900℃を下回ると巻取り時にシートバーの端部に亀裂が生じやすくなるからであり、1150℃を上回るようであると巻き取った際にシートバー自身の剛性が不足して、自重によりクリープ変形が生じ、シートバーの形状が不良となる。このためシートバーの巻取り温度は900℃以上1150℃以下が好ましい。
【0037】
上述したように、シートバー巻取保持時間については鋼中のMn、S量との関係で式(4)に規定する。式(4)で定めたシートバー巻取保持時間の下限を下回るようであると磁気特性、特に析出物粗大化による鉄損に改善が不十分であり、逆に、シートバー巻取保持時間が900秒を超えるようであると、巻き取ったシートバーの表面に酸化物が形成され、酸洗歩留まりの低下を招くとともに、生産性確保のために装備すべきシートバー巻取機の数を増やさなければならず、多大の設備費の投資を必要とするので900秒以下であることが好ましい。生産性、磁気特性改善とのかねあいからさらに好ましいシートバー巻取保持時間は、30秒以上10分以内である。
【0038】
熱延板は一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延と連続焼鈍により製品とするが、さらにスキンパス圧延を付加して製品としてもよい。スキンパス圧延率は2%未満ではその効果が得られず、20%超では磁気特性が悪化するため2%以上から20%以下とする。また、絶縁性の確保、また打ち抜き性の改善、鉄心加工時の溶接性改善の目的のために製品の表面に絶縁皮膜を塗布してもよい。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の実施例について述べる。
[実施例1]
表2に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブ連続鋳造機にて鋳造後、直ちに粗圧延機に搬送し厚み45mmのシートバーに仕上げた。その後このシートバーをlog (ωt/R)+2の値を種々変化させて巻取り、製品磁気特性との関係を調べた。シートバーの巻取半径は内径は内径200mm、外径1000mmとした。巻取り時のシートバーの温度は1000℃とした。
【0040】
【表2】
Figure 0004087920
【0041】
Mn、S含有量から式(4)により定まるシートバー巻取保持時間は73秒以上900秒以下である。このため、シートバー巻き取り後、コイル状で80秒保持した後に、巻きもどして仕上げ熱延を行った。この際、シートバーを安定して仕上熱延するために、巻きもどしたシートバーを先行するシートバーに溶接し、仕上熱間圧延を連続して行った。この時、熱延仕上温度は860℃とし、2.5mm厚に仕上げ、水冷して650℃で巻き取った。
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて750℃で30秒間焼鈍した。製品よりエプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表3に本発明と比較例の成分と磁気測定結果をあわせて示す。
【0042】
【表3】
Figure 0004087920
【0043】
このように仕上げ熱延時にlog (ωt/R)+2の値を1.20以上4.00以下とすることにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0044】
[実施例2]
表4に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブ連続鋳造機にて鋳造後、直ちに粗圧延機に搬送し厚み50mmの粗バーに仕上げた。シートバーはコイルボックス内に巻取り、そのまま保温を行った。シートバーの巻取半径は最内側で200mm、最外径1200mmとした。巻取り時のシートバーの温度は1000℃とした。巻取速度を調整することでlog (ωt/R)+2の値は1.84から3.20とした。この際、シートバー巻取保持時間を変えて製品磁気特性との関係を調べた。なお、Mn、S含有量から式(4)により定まるシートバーコイル保持時間は73秒以上900秒以下である。
【0045】
【表4】
Figure 0004087920
【0046】
次いで巻きもどしたシートバーは仕上げ熱延を行い、2.5mm厚に仕上げ、熱延仕上げ温度は865℃とし、水冷して650℃で巻き取った。その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて750℃で30秒間焼鈍した。製品よりエプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。
さらに、鋼Cを酸洗までは同一条件とし、その後冷間圧延の仕上板厚を0.55mmにした。これを連続焼鈍炉にて720℃で30秒間焼鈍し、その後スキンパス圧延を施し0.50mmに仕上げ、エプスタイン試料に切断し、750℃2時間の歪取り焼鈍を施し、磁気特性を測定した。表5に本発明と比較例の成分と磁気測定結果をあわせて示す。
【0047】
【表5】
Figure 0004087920
【0048】
このように粗圧延後のシートバーをコイル状に巻取り、式(4)に従って保持時間を設定することにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0049】
[実施例3]
表6に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブ連続鋳造機にて鋳造後、直ちに粗圧延機に搬送し厚み60mmのシートバーに仕上げた。その後このシートバーをlog (ωt/R)+2の値を種々変化させて巻取り、製品磁気特性との関係を調べた。シートバーの巻取半径は内径は内径200mm、外径1250mmとした。巻取り時のシートバーの温度は1000℃とした。
【0050】
【表6】
Figure 0004087920
【0051】
ここで、Mn、S含有量から式(4)により定まるシートバー巻取保持時間は67秒以上900秒以下である。このため、シートバー巻取後、コイル状で120秒保持した後に、巻きもどして仕上熱延を行った。この際、シートバーを安定して仕上熱延するために、巻きもどしたシートバーを先行するシートバーに溶接し、仕上熱間圧延を連続して行った。この時、熱延仕上げ温度は860℃とし、2.7mm厚に仕上げ、水冷して680℃で巻き取った。
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて750℃で30秒間焼鈍した。製品よりエプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表7に本発明と比較例の成分と磁気測定結果をあわせて示す。
【0052】
【表7】
Figure 0004087920
【0053】
このように仕上げ熱延時にlog (ωt/R)+2の値を1.20以上4.00以下とすることにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本願発明によれば、磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】粗バー巻取り時の制御パラメーターと成品磁束密度の関係を示す図表である。
【図2】粗バー巻取り時の制御パラメーターと成品鉄損の関係を示す図表である。
【図3】シートバー巻取保持時間、Mn/S比と製品磁束密度との関係を示す図表である。
【図4】シートバー巻取保持時間、Mn/S比と製品鉄損との関係を示す図表である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    0.10%<Si≦2.50%、
    0.10%≦Mn≦1.50%、
    C≦0.0050%、
    N≦0.0050%、
    S≦0.0050%
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるαγ変態を有する成分系のスラブを、熱間圧延して熱延板とした後、1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を行い、次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法において、連続鋳造後のスラブを特定の温度域にて保熱または再加熱することなく、直ちに粗圧延に供してシートバーとした後、下記(1)〜(4)式を満足する条件で粗圧延後のシートバーを巻取り、次いで巻き取ったシートバーを巻きもどして仕上熱延に供することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
    150≦R(mm)≦1500 ・・・(1)
    900≦T(℃)≦ 1150 ・・・(2)
    1.20≦log (ωt/R)+2≦4.00 ・・・(3)
    90−10×log (Mn/S)≦τ(秒)≦900 ・・・(4)
    ここで、R(mm) :シートバー巻取り半径
    T(℃) :シートバー巻取温度
    ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度
    t(mm) :シートバー板厚
    τ(秒) :シートバー巻取保持時間
  2. 仕上げ焼鈍を施した後、さらに2%以上20%以下のスキンパス圧延を施すことを特徴とする請求項1記載の無方向性電磁鋼板の製造法。
  3. 巻き取ったシートバーを巻きもどした後、シートバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合して複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供することを特徴とする請求項1又は2記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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