JP4091673B2 - 磁束密度が高い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器の鉄心材料として用いられる、磁束密度が高い無方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動きの中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。このため使用時のエネルギーロスである鉄損を少しでも低くして高効率化を図るため、需要家の低鉄損電磁鋼板への要求は増してきている。
【0003】
一方で、回転機では鉄心を小型化して同一出力を得るためには動作磁束密度を高める必要があり、このためには高磁束密度の無方向性電磁鋼板が求められている。このように回転機の小型化はそれ自身が架装される移動体である自動車、電車等の軽量化につながるため、それら自身が消費するエネルギーの節約にもつながるという利点がある。このため昨今では需要家から低鉄損かつ磁束密度の高い無方向性電磁鋼板が強く求められるようになっている。
【0004】
また、世界的な大競争時代に突入している現代にあって、無方向性電磁鋼板への需要家のコストダウンの要求は厳しく、先述の電気機器の高効率化のすう勢と相まって、価格が同一であれは磁気特性が少しでも優れた無方向性電磁鋼板が需要家に選択されるのが実情である。
【0005】
ところで、無方向性電磁鋼板においては、従来、低鉄損化の手段として一般に、電気抵抗増大による渦電流損低減の観点からSiあるいはAl等の含有量を高める方法がとられてきた。しかし、この方法では反面、磁束密度の低下は避け得ないという問題点があった。このような問題点の克服のために、熱延板結晶粒径を粗大化することで主として磁束密度を改善させる方法が行われてきた。
【0006】
従来、Si含有量が高い無方向性電磁鋼板においては、仕上熱延後の結晶組織の成長が不十分であり、高磁束密度低鉄損の材料を提供するためには、仕上熱延終了後、何らかの方法で熱延板焼鈍を施し、結晶組織の粗大化を図ることが必須とされてきた。しかしながら熱延板焼鈍を施すことによって、多少の製品の磁気特性改善が可能となったとしても、前記の高磁束密度低鉄損材に対する需要家の要求に応えるには不十分であった。
【0007】
このような問題点に鑑み、高Si系無方向性電磁鋼板の磁気特性を改善する手段として、特開昭59−74224号公報にはSi含有量が2.5%〜4.0%である鋼において、一回冷延法において不純物であるS≦15ppm 、O≦20ppm 、N≦25ppm に制限することに加えて熱延板焼鈍条件を規定し、かつ冷間圧延率を65%以上にする技術が、特開昭59−74225号公報には二回冷延法においてS≦15ppm 、O≦20ppm 、N≦25ppm にすることに加えて中間焼鈍条件を規定し、かつ二回目の冷間圧延率を70%以上で行う技術がそれぞれ開示されている。
【0008】
しかしながらこれらの先行発明のように、鋼の高純化を中心とする技術では、鉄損が改善されても磁束密度の向上が十分でないという高Si系無方向性電磁鋼板特有の問題の解決に至らなかった。
【0009】
また、特開昭54−76422号公報には、無方向性電磁鋼板の冷延前結晶組織を安価に粗大化し磁束密度を高める技術として、仕上熱延後の熱延板を700℃から1000℃の高温で巻取り、これをコイルの保有熱で焼鈍する自己焼鈍法が、また、特公昭62−61644号公報には、熱延終了温度を1000℃以上の高温として無注水時間を設定し、いわゆるランアウトテーブル上で巻取前に熱延組織を再結晶・粒成長を図る方法が開示されている。
【0010】
しかしながらこの技術によって、熱延組織の結晶粒成長をはかっても、やはり磁束密度の向上が十分でないという高Si系無方向性電磁鋼板特有の問題は解決に至らなかった。
【0011】
また、再結晶および粒成長の進行の緩慢な高Si系成分のハイグレード無方向性電磁鋼板の磁気特性を制御熱延により改善する技術として、特開昭59−74222号公報には、仕上熱延最終スタンドの圧下率を20%以上として、熱延板の巻取温度を700℃以上とする技術が開示されている。この先行発明においては、最終スタンド圧下率を高めて巻取温度を上昇させることにより熱延終了後の熱延組織の再結晶および粒成長を促進し、結果として磁気特性を改善することを狙っている。しかしながら鋼板中のSi含有量が高い場合、その後の粒成長が不十分であり、やはり磁束密度の向上が十分でないという高Si系無方向性電磁鋼板特有の問題は解決に至らなかった。
【0012】
一方で、特開昭56−38420号公報には、変態を有するローグレード無方向性電磁鋼板の磁気特性改善を目的として、αγ2相域の中間温度以下かつ750℃以上の温度で仕上げ熱延を終了する制御熱延技術が公開されている。しかしながら、熱延終了温度を高めるだけでは需要家の要求する高磁束密度無方向性電磁鋼板を供給するに至らないのが現状であった。
【0013】
以上のように、従来技術では、Si含有量の低いローグレード、およびSi含有量の高いハイグレード無方向性電磁鋼板の何れにおいても磁束密度が十分に高く、かつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板を製造できるには至らず、無方向性電磁鋼板に対する前記の需要家の要請に応えることは出来なかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術で行われてきた制御熱延に見られるような、熱延終了温度の管理ならびにこの観点からのパススケジュール管理の思想とは異なり、無方向性電磁鋼板の仕上熱延において、最終スタンドからコイラ間の張力を一定以上に制御することにより、成品の磁束密度を高めることを可能とし、さらに、粗圧延後のシートバーを仕上熱延前に先行するシートバーに接合し、当該シートバーを連続して仕上熱延に供することでより最終スタンドからコイラ間の張力制御を容易とし、高張力下での仕上熱延を安定して実施しうる磁束密度の高い無方向性電磁鋼板の製造方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 鋼中に重量%で、
2.00%<Si≦7.00%、 0.10%≦Mn≦1.50%、
C≦0.0050%、 N≦0.0050%、
S≦0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを用い、熱間圧延し熱延板とし、一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し次いで仕上焼鈍を施し、絶縁皮膜を施すか、或いは施さずに最終製品とする無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力σ(kgf/mm2)を仕上げ熱延終了温度T(℃)との関係で、下記(1)式かつ(2)式を同時に満足し、熱延板をコイルに巻取ることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
σ(kgf/mm2)≧2−T0.3+lnT ・・・・(1)
0.97≦σ( kgf/mm 2 )<1.7 ・・・・ ( 2 )
(2) スラブ成分として、さらに重量%で、0.10〜1.00%のAlを含有せしめたことを特徴とする ( 1 )記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0016】
(3)重量%で、
0.10%<Si≦2.00%、 0.10%≦Mn≦1.50%、
C≦0.0050%、 N≦0.0050%、
S≦0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施して冷延板とし、次いで仕上焼鈍を施し、絶縁皮膜を施すか、あるいは施さない工程を含んで最終製品とする無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱延終了温度が700℃以上(Ar3+Ar1)/2以下で、かつ仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力σ(kgf/mm2)を仕上げ熱延終了温度T(℃)との関係で、下記(1)式かつ(2)式を同時に満足し、熱延板をコイルに巻取ることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
σ(kgf/mm2)≧2−T0.3+lnT ・・・(1)
0.97≦σ( kgf/mm 2 )<1.7 ・・・・ ( 2 )
(4)スラブ成分として、さらに重量%で、0.10〜1.00%のAlを含有させ、かつ(Si+2Al)≦2.5%を満足させることを特徴とする(3)記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0017】
(5)仕上熱延終了後、冷間圧延前に、鋼板に850℃以上1150℃以下の温度で20秒以上5分未満の連続焼鈍で熱延板焼鈍を行うことを特徴とする(1)乃至(4)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(6)仕上熱延終了後、冷間圧延前に、鋼板に750℃以上850℃以下の温度で5分以上30時間未満の箱焼鈍で熱延板焼鈍を行うことを特徴とするする(1)乃至(4)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0018】
(7)仕上熱延終了後、750℃以上1000℃以下の温度でコイルに巻き取り、5分以上5時間以下コイル自身の保有熱で自己焼鈍することを特徴とする(1) 乃至(4)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(8)下記(3)式の範囲で行う仕上熱延終了温度T(℃)との関係で、熱延終了後下記(4)式で規定される時間tの間注水を行わず、コイルに巻き取ることを特徴とする、(1)乃至(7)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
950≦T(℃)≦1150 ・・・(3)
9.6−8×10−3T≦t(秒)≦15.6−8×10−3T・・・(4)
【0019】
(9)粗圧延後のシートバーを仕上熱延前に先行するシートバーに接合し、当該シートバーを連続して仕上熱延に供することを特徴とする(1)乃至(8)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(10)仕上焼鈍を施した後、さらに、圧下率2%以上20%以下のスキンパス圧延工程を実施することを特徴とする、(1)乃至(9)の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
[成分規定の理由について]
Siは鋼板の固有抵抗を増大させ渦流損を低減させ、鉄損値を改善するために添加される。Si含有量が0.10%以下であると固有抵抗が十分に得られないので0.10%を上回る量を添加する必要がある。
一方、Si含有量が7.00%を超えると圧延時の耳割れが著しく増加し、圧延が困難になるとともにコスト増ともなるので7.00%以下とする必要がある。
【0021】
Alは、Siと同様に、鋼板の固有抵抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。このため、0.10%以上添加する必要がある。一方、Al含有量が1.00%を超えると、磁束密度が低下し、コスト高ともなるので1.00%以下とする。
なお、Alは必要に応じて添加するものであり、Al含有量が0.10%未満であっても本発明の効果はなんら損なわれるものではない。
【0022】
Mnは、Al,Siと同様に鋼板の固有抵抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。この目的のため、Mn含有量は0.10%以上とする必要がある。
一方、Mn含有量が1.50%を超えると熱延時の変形抵抗が増加し熱延が困難となるとともに、熱延後の結晶組織が微細化しやすくなり、磁気特性が悪化するので、Mn含有量は1.50%以下とする必要がある。
また、Mn添加量は仕上げ熱延前の高温のシートバー接合部の強度確保の点からもきわめて重要である。なぜなら、低融点の硫化物が結晶粒界に存在することによるシートバー接合部の熱間脆化を防止するために、MnとSとの重量濃度の比であるMn/Sの値を20以上とすることが必要であるからである。本発明に規定する成分範囲では、Mn含有量が0.1%以上であり、S含有量は0.0050%以下であるので、Mn/Sの値は20以上に保たれ、この観点からは問題がない。
【0023】
C含有量が0.0050%を超えると使用中の磁気時効により鉄損が悪化して使用時のエネルギーロスが増加するため、0.0050%以下、好ましくは0.0030%以下に制御することが必要である。
【0024】
S,Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS等の硫化物、AlN等の窒化物を形成する。これらが存在することにより熱延組織の粒成長を妨げ鉄損が悪化するのでSは0.0050%、Nは0.0050%以下にする必要がある。
【0025】
また、製品の機械的特性の向上、磁気的特性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P,B,Ni,Cr,Sb,Sn,Cuの1種または2種以上を鋼中に含有させても本発明の効果は損なわれない。
【0026】
[プロセス条件の規定について]
次に本発明のプロセス条件について説明する。
前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続鋳造あるいは造塊−分塊圧延により製造される。鋼スラブは公知の方法にて加熱される。このスラブに熱間圧延を施し所定の厚みとする。
【0027】
このスラブを粗圧延によりシートバー状に圧延し、仕上熱延に供する。仕上熱延終了後、仕上熱延終了温度T(℃)との関係で式(1)と(2)で定める張力σを最終スタンドとコイラ間に付与することにより、製品磁束密度を向上させることが可能である。
σ(kgf/mm2)≧2−T0.3+lnT・・・・(1)
0.97≦σ( kgf/mm 2 )<1.7 ・・・・ ( 2 )
【0028】
熱延板の形状制御性から、最終スタンドとコイラ間の張力の上限は自ずから決まる。すなわち、最終スタンドとコイラ間の張力を大きくすればコイルの巻取りは容易となるが、クリープによる鋼板の幅変化が生じ、これを補償するためにスラブ幅を広める必要がある。また、この変形により鋼板幅方向の板厚偏差が大きくなるという問題点が生じる。無方向性電磁鋼板は積層して使用に供されるため、板幅方向および長手方向の板厚偏差に対しては厳しい管理が必要であり、熱延板の段階においても板幅方向および長手方向の板厚偏差に対しては厳しい管理が必要である。これらの観点からは最終スタンドとコイラ間の張力は1.7kgf/mm2 が限界である。
【0029】
また、本発明では最終スタンドとコイラ間の張力制御が無方向性電磁鋼板の磁気特性向上に重要な役割を果たすことを見いだしたのであるが、一般的に単一のスラブの圧延を一本のシートバーに粗圧延し、これを一本毎に圧延する際には、一つのシートバーの圧延が終わりに近づくにつれ、最終スタンドとコイラ間の張力を徐々に下げねばならない。なぜなら、コイルの最終端が仕上熱延機最終スタンドを抜けた瞬間(いわゆる仕上抜け時)に、無張力状態となり鋼板に負荷される張力の変動が極めて大きくなるばかりでなく、高張力を負荷した状態で仕上抜けに至ると、鋼板終端部が冷却帯上で波打ち、鋼板の巻取時の形状が著しく悪化する。
【0030】
このような問題点を解決し、高張力下での巻取を連続して安定的に行うために、粗圧延後のシートバーを、先行するシートバーに接合し、仕上熱間圧延を連続的に行うことが特に有効である。すなわち、連続熱延により仕上抜け部が消失し、仕上げ熱延中の熱延板に負荷される張力の変動を抑制することが可能になる。さらに、ピンチロールをコイラの前に複数設置しその間で高速剪断を行い、順番にコイルを巻き取ってゆくことで、仕上げ熱延中の熱延板に負荷される張力の変動を最小限に抑制することが可能となる。これにより鋼板長手方向の張力変動による磁束密度の変化を最小限に押さえることが可能である。
【0031】
以上の方法により得られた熱延板は一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し次いで仕上焼鈍を施すか、またはさらなる磁気特性の改善を図ることを目的に、最初の冷間圧延前に、連続焼鈍もしくは箱焼鈍により熱延板焼鈍を施すか、あるいは高温でコイルを巻取りその保有熱で自己焼鈍を行うか、高温で仕上げ熱延を終了し一定以上の無注水時間を設定し、その後冷却し巻き取り、冷間圧延に供しても良い。
【0032】
冷間圧延後の鋼板には、仕上焼鈍を行った後絶縁皮膜を施すか、あるいは施さずに最終製品とする。
またさらに仕上焼鈍した鋼板にはスキンパス圧延工程を施して製品としても良い。スキンパス圧延工程を付加する場合は、スキンパス圧延率が2%未満ではその効果が得られず、20%超では磁気特性が悪化するため2%以上から20%未満とする。
【0033】
[変態を有する成分系の制御熱延プロセスについて]
0.10%<Si≦2.00%かつ(Si+2Al)≦2.5%を満たす成分系あるいはMn含有量が多い成分系の鋼ではα−γ変態を有する。このような成分系の無方向性電磁鋼板の場合、仕上熱延終了温度を過度に上昇させ、仕上げ熱延終了時のγ相率が過度に高いと熱延終了後の冷却時にγ相からα相への変態に伴い熱延板の結晶組織が微細となり、圧延、再結晶後の磁気特性が著しく悪化する。このため、熱延終了温度は(Ar3+Ar1)/2以下とする。一方で、熱延終了温度が700℃を下回ると鋼板の圧延反力が増大して圧延が困難になり、ロール原単位も著しく低下して生産性が悪化するとともに、熱延鋼板において、熱延時に導入された歪が回復および再結晶により解放される比率が激減し、製品の磁気特性が著しく悪化するので、仕上熱延終了温度は700℃以上とする。
【0034】
なお、得られた熱延板を一回の冷延を施し最終板厚とし、仕上げ焼鈍を施すか、あるいは一回目の冷延後、仕上げ焼鈍を施し、スキンパス圧延を施す工程の場合、熱延終了温度は(Ar3+Ar1)/2を上限として高い方が冷延前の結晶組織がより粗大化して製品磁束密度が向上する。反対に、仕上げ熱延終了後連続焼鈍もしくは箱焼鈍で熱延板焼鈍を施す場合は、逆に熱延終了温度は低い方が熱延板焼鈍時の粒成長が促進され、製品の磁束密度がより高くなる。このように変態を有する無方向性電磁鋼板の制御熱延では後工程によりその熱延終了温度をきめ細かく制御することがより好ましい。
【0035】
[熱延以降のプロセスについて]
酸洗後の熱延板には、連続焼鈍もしくは箱焼鈍により熱延板焼鈍を行っても良い。また、熱延後のコイルを、750℃以上1000℃以下の温度で巻き取り、5分以上5時間以下コイル自身の保有熱で自己焼鈍を行っても良い。あるいは、熱延終了後特定の式で規定される時間の間注水を行わず、コイルを巻き取っても良い。
【0036】
このようにして得られた熱延板は1回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施すか、あるいは中間焼鈍をはさみ2回以上の冷間圧延を施した後、仕上げ焼鈍を施しても良い。また、この最終板厚に仕上げるための圧延は、公知の冷延技術で行っても良いが、高Si成分系の場合、圧延中の破断や耳割れを防止するために鋼板の温度をSi含有量に応じ上昇させ、温間圧延を行っても良い。
【0037】
また、上記仕上焼鈍の後さらにスキンパス圧延工程を施して製品としても良い。スキンパス圧延工程を付加する場合は、スキンパス圧延率が2%未満ではその効果が得られず、20%超では磁気特性が悪化するため2%以上から20%未満とする。
【0038】
以下に、本発明が規定する各プロセスの規定理由について説明する。
まず、熱延板焼鈍省略プロセスで仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力が磁気特性にどのような影響を与えるかを説明する。
【0039】
熱延板焼鈍を省略する場合、仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力の成品磁束密度に対する影響を調査するため下記のような実験を行った。表1に示す成分の鋼を溶製しスラブとし、仕上げ熱延を実施した。
【0040】
【表1】
【0041】
仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力を変更して試験を行い、熱延仕上げ温度、製品磁束密度との関係を詳細に調査した。鋼AのAr3点は904℃であり、Ar1点は870℃であるため、熱延仕上げ温度は(Ar3+Ar1)/2の887℃以下で700℃以上の範囲で変化させた。また、鋼Bは750℃から1050℃の範囲で熱延終了温度を変化させ、両者とも2.5mm厚に仕上げ、水冷して550℃で巻き取った。
【0042】
その後、酸洗、冷延し0.50mm厚とし、脱脂した後、鋼Aは750℃、30秒焼鈍しエプスタイン試料を切断して磁気特性を測定した。また、鋼Bは酸洗、冷延し0.50mm厚とし、脱脂した後、950℃、30秒焼鈍し、エプスタイン試料を切断して磁気特性を測定した。
【0043】
鋼Aの実験結果による仕上熱間圧延時の熱延終了温度、および最終スタンドとコイラ間の張力との関係を図1に、鋼Bの実験結果による仕上熱間圧延時の熱延終了温度、および最終スタンドとコイラ間の張力との関係を図2に示す。図1,図2によれば式(1)、(2)で示される境界線以上の張力を有する場合に、鋼A,鋼Bとも成品磁束密度が上昇することがわかる。
【0044】
なお、ここでの最終スタンドとコイラ間の張力とは、一般的には最終スタンドからコイラまでの間の張力をさして言うが、コイラの直前に巻取を安定して行うためのピンチロール等を設置している場合は、最終スタンドとピンチロール間の張力を示して言う。
また、シートバー最後端が仕上熱延機を通過した後の仕上抜け後の場合、最終スタンドとピンチロール間には張力は作用しないので、ピンチロールとマンドレル間の張力あるいはマンドレル自身が熱延板を引き込む力を指して言う。
【0045】
以上の実験から示されるように、仕上熱延において、仕上熱間圧延終了後の最終スタンドとコイラ間の張力、および熱延終了温度との関係が式(1)、(2)を満たしていれば、成品磁束密度が上昇することがわかる。
【0046】
次に連続焼鈍もしくは箱焼鈍による熱延板焼鈍を含むプロセスの場合について説明する。
冷間圧延前に熱延板焼鈍を施す場合において、最終スタンドとコイラ間の張力の成品磁気特性に対する影響を調査するため下記のような実験を行った。表2に示す成分の鋼を溶製し仕上げ熱延を実施した。
【0047】
【表2】
【0048】
仕上熱間圧延終了温度および最終スタンドとコイラ間の張力を変更して試験を行い、製品磁束密度との関係を詳細に調査した。熱延板は2.5mm厚に仕上げ水冷して550℃で巻き取った。
この熱延コイルを連続焼鈍炉で鋼Cを950℃で90秒の焼鈍を行った。これを酸洗、冷延し0.35mm厚とし、脱脂した後、950℃30秒焼鈍しエプスタイン試料を切り出して磁気特性を測定した。
【0049】
仕上熱間圧延時の熱延終了温度、および最終スタンドとコイラ間の張力との関係を図3に示す。図3によれば式(1)、(2)で示される境界線以上の張力を有する場合に、熱延板焼鈍を施した鋼Cの成品磁束密度が上昇することがわかる。
【0050】
以上の実験から示されるように、仕上熱延において、仕上熱間圧延終了後の最終スタンドとコイラ間の張力、および熱延終了温度との関係が式(1)、(2)を満たしていれば、成品磁束密度が上昇することが明らかである。
【0051】
次に、連続焼鈍による熱延板焼鈍時間、熱延板焼鈍温度が磁束密度に与える影響を調査するため、以下のような実験を行った。表2の成分の鋼Cを溶製し仕上げ熱延を実施した。連続焼鈍による熱延板焼鈍時間の製品磁束密度に対する影響を図4に示した。図4に示される通り、焼鈍時間が20秒以下では熱延板焼鈍による磁束密度向上効果が得られず、焼鈍時間が5分以上では鋼板表面に深いスケールが生成し酸洗不良が発生し、鋼板表層に著しい肌荒れが生じた。このため、本発明では連続焼鈍による熱延板焼鈍時間は20秒以上5分以下とする。焼鈍の効果、および経済性からみた好ましい連続焼鈍による熱延板焼鈍時間は30秒以上3分以下である。
【0052】
連続焼鈍による熱延板焼鈍温度の製品磁束密度に対する影響を図5に示した。図5に示される通り、焼鈍温度が850℃未満では連続焼鈍での熱延板焼鈍による磁束密度向上効果が得られず、焼鈍温度が1150℃以上では深いスケールの生成により酸洗不良が発生し、鋼板表層に著しい肌荒れが生じた。このため、本発明では連続焼鈍による熱延板焼鈍温度は850℃以上1150℃以下とする。焼鈍の効果、および酸洗性等の経済性からみた好ましい連続焼鈍による熱延板焼鈍温度は850℃以上1000℃以下である。
【0053】
本発明では熱延板焼鈍を箱焼鈍により行っても良い。その際、熱延板焼鈍温度が750℃未満であると製品磁気特性の改善に必要な焼鈍時間が著しく長くなり、不経済である。また、焼鈍温度が850℃以上であると炉の設備投資に多額の費用を要するとともに、焼鈍時にコイルが焼き付く現象が発生する。以上の理由で箱焼鈍による熱延板焼鈍を実施する場合は、焼鈍温度の下限を750℃、上限は850℃とする。その際、箱焼鈍での熱延板焼鈍時間が5分以下であると製品磁気特性の改善に必要な焼鈍温度が著しく高くなり炉そのものの設備投資が過大となり不経済であるので焼鈍時間の下限は5分以上とする。また、熱延板焼鈍時間が30時間を超えると焼鈍温度が過度に高い場合と同様にコイルの焼き付きが生じるので箱焼鈍での熱延板焼鈍時間は30時間以内とする。
【0054】
このようにして熱延板焼鈍を施した熱延板は1回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施すか、その後さらにスキンパス圧延工程を施して製品としても良い。
仕上焼鈍は連続焼鈍により施すが、その際に特開昭61−231120号公報に開示されているごとく、前段で950℃〜1100℃の温度範囲で5秒〜1分間の短時間焼鈍し、後段で800℃〜950℃で10秒〜2分間保定するなどの方法により仕上げ焼鈍を行っても良い。
【0055】
さらに、自己焼鈍法プロセスを採用する場合について説明する。
熱延コイルの保有熱により自己焼鈍行うプロセスにおいて、仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力が成品磁気特性に対する影響を調査するため下記のような実験を行った。表3に示す成分の鋼を溶製し仕上げ熱延を実施した。
【0056】
【表3】
【0057】
熱延終了温度は1000℃とし、水冷して860℃で巻取り、直ちに保熱カバーをかぶせてガス加熱による補助加熱を施し、コイルの保有熱により850℃1時間の自己焼鈍を施した。この場合、式(1)、(2)から規定さ
れる最終スタンドとコイラ間の張力の張力は、0.97kgf/mm2以上となる。
【0058】
これを酸洗、冷延し0.50mm厚とし、脱脂した後、鋼Dは900℃で、鋼Eは980℃で45秒焼鈍しエプスタイン試料を切断して磁気特性を測定した。仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力に対する製品磁束密度の依存性を図6に示した。図6より、最終スタンドとコイラ間の張力が0.97kgf/mm2以上であると成品磁束密度が上昇し、0.97kgf/mm2 未満であると成品磁束密度が低下する。
【0059】
自己焼鈍を行う際のコイルの巻取温度は750℃未満では磁気特性の改善が不十分であるので、750℃以上とする。一方1000℃を上回るとコイルの巻きずれが発生しやすくなり、鋼板表層の酸化も激しくなるため1000℃以下とする。
自己焼鈍の時間は、5分未満では磁気特性改善が不十分であるので、5分以上行う。また、5時間を超えると鋼板の酸化が激しくなり酸洗不良が発生しやすくなるので、5時間以下とする。焼鈍の効果、および経済性からみた好ましい自己焼鈍時間は30分から120分である。
本発明では自己焼鈍中のコイルの酸化を防止するため水素を含有する還元性雰囲気、あるいは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、あるいは減圧下で自己焼鈍を行っても良い。
【0060】
このようにして自己焼鈍を施した熱延板は1回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施すか、その後さらにスキンパス圧延工程を施して製品としても良い。スキンパス圧延の圧延率は2%未満ではその効果が得られず、20%超では磁気特性が悪化するため2%から20%とする。
【0061】
本発明は、熱延終了後一定時間の無注水を設けるプロセスを採用することができる。
仕上熱延終了後一定時間の無注水を設けるプロセスにおいて、最終スタンドとコイラ間の張力が成品磁気特性に対する影響を調査するため下記のような実験を行った。表4に示す成分の鋼Fを溶製し仕上げ熱延を実施した。
【0062】
【表4】
【0063】
仕上熱延終了温度は1050℃で一定とした。この時、式(1)、(2)から規定される最終スタンドとコイラ間の張力の張力は、0.97kgf/mm2以上となる。また、式(3)および式(4)より、無注水時間は3.5秒とし、その後冷却して680℃で巻き取った。
これを酸洗、冷延し0.50mm厚とし、脱脂した後、900℃、30秒焼鈍しエプスタイン試料を切断して磁気特性を測定した。
【0064】
仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力に対する製品磁束密度の依存性を図7に示した。図7より、仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力が0.97kg/mm2以上であると成品磁束密度が上昇することがわかる。
【0065】
以上の実験から示されるように、仕上熱延において、仕上熱間圧延終了後の最終スタンドとコイラ間の張力、および熱延終了温度との関係が式(1)、(2)を満たしていれば、成品磁束密度が上昇することがわかる。
コイルの巻取温度については規定を設けていないが、高温で熱延を終了した鋼板表面に過度の酸化層が生じ、酸洗性が悪化することを防止するため、750℃以下で巻き取ることが好ましい。
【0066】
熱延終了後の無注水設定時間は熱延終了温度T℃との関係で下記のように定める。
本発明では最終スタンドとコイラ間の張力を熱延終了温度との関係で調査するとともに、仕上熱延において熱延終了温度T(℃)、熱延終了後注水開始までの時間t(秒)と磁気特性との関係を発明者等は詳細に検討を行った結果、
950≦T(℃)≦1150 ・・・(3)
9.6−8×10−3T≦t(秒)≦15.6−8×10−3T・・(4)
にて定められる範囲内において、酸洗性、通板速度、磁気特性を満足する良好な条件を定めることが可能となった。また、熱延終了後注水開始までが式( 4 )で定めた時間を超えると、鋼板を冷却する時間が不足し、高温でコイルを巻き取るか、冷却を十分に施すために圧延速度を低下させねばならず、生産性が悪化する。高温でのコイル巻取りは巻きずれの発生や酸洗性の悪化等の弊害を招くので好ましくない。このため無注水時間は式(4)で定めた上限時間以下とする。式(4)で定められる時間よりも無注水時間が短くなると磁気特性の改善が不十分である。熱延終了温度T(℃)が950℃を下回った場合も同様に、磁気特性の改善が不十分である。また、熱延終了温度を1150℃超にするためには、通常の粗圧延、仕上圧延を有する熱延工程ではスラブの加熱温度を著しく高める必要があり、スラブ加熱中に再固溶した析出物が熱延中に微細に析出し、磁気特性を著しく悪化させるので熱延終了温度は1150℃以下とする。
【0067】
本発明では1回の冷間圧延工程を施し次いで仕上げ焼鈍を施すか、その後さらにスキンパス圧延工程を施して製品としても良い。
スキンパス圧延工程を付加する場合はスキンパス圧延率は2%未満ではその効果が得られず、20%超では磁気特性が悪化するため2%以上から20%以下とする。
【0068】
【実施例】
次に、本発明の実施例について述べる。
[実施例1]
表5に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み40mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.5mmに仕上げた。
本発明では、最終スタンドとコイラ間の張力を安定して制御するために、粗圧延後のシートバーを先行するシートバーに溶接し、仕上熱間圧延を連続して行った。
【0069】
鋼GのAr3点は901℃であり、Ar1点は872℃であるため、熱延仕上げ温度は(Ar3+Ar1)/2以下で700℃以上である860℃とし、水冷して700℃で巻き取った。
なお、熱延終了温度が860℃の場合、式(1)、(2)から計算できる最終スタンドとコイラ間の張力の最低値は1.17kgf/mm2である。
比較例として、同じ成分の鋼をそれぞれ最終スタンドとコイラ間の張力以外は同一条件として仕上熱延に供した。
【0070】
これらの鋼を酸洗後、鋼Gは750℃、鋼Hは830℃、鋼Iは950℃でそれぞれ30秒焼鈍を行い、エプスタイン試料を切り出して磁束密度を測定した。 試料は圧延中の鋼板長手方向の張力を測定し、試料採取位置の張力が特定できるようにした。表6に本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0071】
このように最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)、(2)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
[実施例2]
表7に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み40mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.0mmに仕上げた。仕上熱延終了温度は900℃とし、熱延終了後直ちに水冷して550℃で熱延板を巻き取った。
なお、熱延終了温度が900℃の場合、式(1)から計算できる最終スタンドとコイラ間の張力の最低値は1.11kgf/mm2である。
【0075】
得られた熱延板に熱延板焼鈍を連続焼鈍炉で鋼Jは900℃、鋼Kは1000℃でそれぞれ2分間施した。
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて鋼Jは900℃で、鋼Kは980℃でそれぞれ30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。
【0076】
さらに、鋼Kを熱延板焼鈍、酸洗までは同一条件とし、その後冷間圧延の仕上板厚を0.55mmにした。これを連続焼鈍炉にて900℃で30秒間焼鈍した。その後、スキンパス圧延を施し0.50mmに仕上げ、エプスタイン試料に切断し、750℃2時間の歪取り焼鈍を施し、磁気特性を測定した。表8に鋼J,鋼Kの本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0077】
このように最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)、(2)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
[実施例3]
表9に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて1200℃に加熱し、粗圧延機により厚み30mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により1.8mmに仕上げた。
熱延終了温度は1000℃とし、圧延終了後冷却して650℃で巻き取った。 なお、熱延終了温度が1000℃の場合、式(1)、(2)から計算できる最終スタンドとコイラ間の張力の最低値は0.97kgf/mm2である。
【0081】
その後、板温を300℃として0.85mmまで圧延し、さらにこれを980℃、30秒の中間焼鈍を施し、その後200℃の温間圧延により0.25mmに仕上げ、酸洗した。これを連続焼鈍炉にて850℃で30秒保定し焼鈍し、8%のスキンパス圧延により、0.23mmに仕上げた。その後、エプスタイン試料に切断し、800℃2時間の歪取り焼鈍後、磁気特性を測定した。表10に本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0082】
表10に示されるように、最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
[実施例4]
表11に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み40mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.0mmに仕上げた。仕上熱延終了温度は900℃とし、圧延終了後冷却して650℃で巻き取った。
なお、熱延終了温度が900℃の場合、式(1)、(2)から計算できる最終スタンドとコイラ間の張力の最低値は1.11kgf/mm2である。
【0086】
得られた熱延板に熱延板焼鈍を箱焼鈍炉で800℃、5時間施した。
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて鋼Mは900℃で30秒間、鋼Nは980℃で30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表12に本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0087】
このように、最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)、(2)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0088】
【表11】
【0089】
【表12】
【0090】
[実施例5]
表13に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み50mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.5mmに仕上げた。仕上熱延終了温度は1000℃とし、圧延終了後冷却して875℃で巻き取り、直ちにコイルを保熱炉に装入し850℃で1時間の自己焼鈍を施した。
なお、熱延終了温度が1000℃の場合、式(1)、(2)から計算できる最終スタンドとコイラ間の張力の最低値は0.97kgf/mm2である。
【0091】
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて鋼Oは950℃で30秒間、鋼Pは975℃で30秒間、鋼Qは850℃で30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表14に本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0092】
このように、最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)、(2)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
[実施例6]
表15に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み50mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.5mmに仕上げた。
仕上熱延終了温度は1020℃とし、無注水時間を3.5秒とし、640℃で巻き取った。この時、式(1)、(2)から定まる最終スタンドとコイラ間の張力は0.97kgf/mm2以上である。
【0096】
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて鋼Rは950℃で、鋼Sは980℃でそれぞれ30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表16に本発明と比較例の張力と磁気測定結果をあわせて示す。
【0097】
このように、最終スタンドとコイラ間の張力を式(1)、(2)に従って制御することにより、磁束密度の値が高い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0098】
【表15】
【0099】
【表16】
【0100】
[実施例7]
表17に示した成分を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、粗圧延機により厚み50mmの粗バーに仕上げ、その後、仕上げ熱延機により2.5mmに仕上げた。
熱延終了温度は1050℃とし、無注水時間を変化させ、巻取温度は680℃で一定とした。この場合、式(1)、(2)で規定される最終スタンドとコイラ間の張力は0.97kgf/mm2以上である。このため、最終スタンドとコイラ間の張力は1.35〜1.45kgf/mm2に保って熱延板を巻き取った。さらに、最終スタンドとコイラ間の張力を安定させるために、先行するシートバーの後端に、後続のシートバーを圧接しながら溶接し、連続して熱延を行った。
また、式(3)および式(4)で規定される無注水時間は1.2秒以上7.2秒以下である。
【0101】
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上げた。これを連続焼鈍炉にて900℃で30秒間焼鈍した。その後、エプスタイン試料を切り出し、磁気特性を測定した。表18に熱延条件と磁気測定結果をあわせて示す。
表18に示されるように、無注水時間が1.2秒以上であれば良好な磁気特性が得られていることがわかる。
【0102】
このように、最終スタンドとコイラ間の張力の適切な制御とともに、熱延終了後の冷却条件を適切に制御することにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の低い磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0103】
【表17】
【0104】
【表18】
【0105】
【発明の効果】
このように本願発明によれば、磁束密度が高い無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 0.3%Si系成分の熱延板焼鈍省略一回冷延法における仕上熱延時の熱延終了温度、最終スタンドとコイラ間の張力と成品磁束密度の関係を示す図。
【図2】 2%Si系成分の熱延板焼鈍省略一回冷延法における仕上熱延時の熱延終了温度、最終スタンドとコイラ間の張力と成品磁束密度の関係を示す図。
【図3】 2%Si系成分の熱延板焼鈍一回冷延法における仕上熱延時の熱延終了温度、最終スタンドとコイラ間の張力と成品磁束密度の関係を示す図。
【図4】 2%Si系成分の連続焼鈍による熱延板焼鈍一回冷延法における熱延板焼鈍時間と製品磁束密度との関係を示す図。
【図5】 2%Si系成分の連続焼鈍による熱延板焼鈍一回冷延法における熱延板焼鈍温度と製品磁束密度との関係を示す図。
【図6】 2%Siおよび3%Si系成分の熱延後自己焼鈍プロセス一回冷延法における仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力と成品磁束密度の関係を示す図。
【図7】 2.5%Si成分系の熱延終了後無注水時間設定プロセス一回冷延法における仕上熱延時の最終スタンドとコイラ間の張力と成品磁束密度の関係を示す図である。
Claims (10)
- 重量%で、
2.00%<Si≦7.00%、
0.10%≦Mn≦1.50%、
C≦0.0050%、
N≦0.0050%、
S≦0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施して冷延板とし、次いで仕上焼鈍を施し、絶縁皮膜を施すか、或いは施さない工程を含んで最終製品とする無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力σ(kgf/mm2)を仕上げ熱延終了温度T(℃)との関係で、下記(1)式かつ(2)式を同時に満足し、熱延板をコイルに巻取ることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
σ(kgf/mm2)≧2−T0.3+lnT ・・・(1)
0.97≦σ( kgf/mm 2 )<1.7 ・・・・ ( 2 ) - スラブ成分として、さらに重量%で、0.10〜1.00%のAlを含有せしめたことを特徴とする請求項1記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 重量%で、
0.10%<Si≦2.00%、
0.10%≦Mn≦1.50%、
C≦0.0050%、
N≦0.0050%、
S≦0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるスラブを熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施して冷延板とし、次いで仕上焼鈍を施し、絶縁皮膜を施すか、あるいは施さない工程を含んで最終製品とする無方向性電磁鋼板の製造方法において、仕上熱延終了温度が700℃以上(Ar3+Ar1)/2以下で、かつ仕上熱間圧延終了後、最終スタンドとコイラ間の張力σ(kgf/mm2)を仕上げ熱延終了温度T(℃)との関係で、下記(1)式かつ(2)式を同時に満足し、熱延板をコイルに巻取ることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
σ(kgf/mm2)≧2−T0.3+lnT ・・・(1)
0.97≦σ( kgf/mm 2 )<1.7 ・・・・ ( 2 ) - スラブ成分として、さらに重量%で、0.10〜1.00%のAlを含有させ、かつ(Si+2Al)≦2.5%を満足させることを特徴とする請求項3記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 仕上熱延終了後、冷間圧延前に、鋼板に850℃以上1150℃以下の温度で20秒以上5分未満の連続焼鈍で熱延板焼鈍を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 仕上熱延終了後、冷間圧延前に、鋼板に750℃以上850℃以下の温度で5分以上30時間未満の箱焼鈍で熱延板焼鈍を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 仕上熱延終了後、750℃以上1000℃以下の温度でコイルに巻き取り、5分以上5時間以下コイル自身の保有熱で自己焼鈍することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 下記(3)式の範囲で行う仕上熱延終了温度T(℃)との関係で、熱延終了後下記の(4)式で規定される時間tの間注水を行わず、コイルに巻き取ることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
950≦T(℃)≦1150 ・・・(3)
9.6−8×10−3T≦t(秒)≦15.6−8×10−3T・・・(4) - 粗圧延後のシートバーを仕上熱延前に先行するシートバーに接合し、当該シートバーを連続して仕上熱延に供することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
- 仕上焼鈍を施した後、さらに、圧下率2%以上20%以下のスキンパス圧延工程を実施することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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