JPH1150153A - 磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH1150153A
JPH1150153A JP20810897A JP20810897A JPH1150153A JP H1150153 A JPH1150153 A JP H1150153A JP 20810897 A JP20810897 A JP 20810897A JP 20810897 A JP20810897 A JP 20810897A JP H1150153 A JPH1150153 A JP H1150153A
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sheet
sheet bar
rolling
magnetic flux
flux density
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Ryutaro Kawamata
竜太郎 川又
Takeaki Wakizaka
岳顕 脇坂
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁束密度の極めて高い方向性電磁鋼板の製造
方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、0.010%≦C≦0.14% 、0.010%
≦酸可溶性Al≦0.050%、0.0030% ≦N≦0.0150% を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、加
熱し、粗圧延と仕上熱延とを含む熱間圧延をした後、1
回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭焼鈍後、Ac
1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向性電磁鋼板の
製造法において、熱間圧延工程でスラブを粗圧延して得
られたシートバーを下記式を満足するように巻き取
り、次いで巻き取ったシートバーを巻きもどして仕上熱
延に供するとともに、最終冷延の圧下率を75%超とする
ことを特徴とする磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板
の製造方法。 1.20≦log(ωt/R)+2≦4.00・・・・ 但し、ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度、t
(mm):シートバー板厚、R(mm):巻取り半径

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁束密度が極めて高い
方向性電磁鋼板の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は二次再結晶により鋼板
の結晶粒を特定方位に高度に結晶粒を配向させた成品で
あることが特徴であり、圧延面に{110}面、圧延方
向に<100>軸を有するゴス方位を持つ結晶粒により
構成されている。また、方向性電磁鋼板の用途として
は、軟磁性材料として主にトランスその他の電気機器の
鉄心材料に使用されるもので、近年省エネルギー、省資
源への社会的要求がますます厳しくなっている事から、
一方向性電磁鋼板の鉄損低減、磁化特性改善への要求も
厳しくなってきている。このため磁気特性、特に良好な
励磁特性と鉄損特性が求められるようになってきてい
る。
【0003】方向性電磁鋼板の励磁特性を示す指標とし
ては、通常磁束密度B8 (磁場の強さ800A/mにお
ける磁束密度)が用いられている。また鉄損特性を示す
指標としては、W17/50 (50Hzで1.7Tまで磁化
させたときの単位重量あたりの鉄損)等が用いられてい
る。鉄損は渦電流損とヒステリシス損からなり、渦電流
損は鋼板の電気抵抗率、板厚、結晶粒度、磁区の形態、
鋼板表面の皮膜張力等の因子により支配されている。一
方、ヒステリシス損は磁束密度を支配する鋼板の結晶方
位、純度、内部歪等により支配される。
【0004】これらの因子を制御することによる鉄損を
低減させるために、鋼板の電気抵抗を大きくするために
Si含有量を高めることが行われてきた。しかしなが
ら、これに伴い飽和磁束密度が低下するため、これを従
来技術では二次再結晶方位の集積度を上昇させることで
補って高磁束密度方向性電磁鋼板を製造してきた。この
ために、従来技術では二次再結晶を安定して発現させる
とともにその方位集積度を高め、磁束密度を向上させる
因子として、インヒビターの役割が重要である。この目
的のため、従来技術ではMnS、AlN、MnSe等が
インヒビターとして用いられてきている。
【0005】従来の方向性電磁鋼板の製造法は、二次再
結晶方位制御に用いられるインヒビターの種類により大
きく3種類に大別される。まず第一に、M.F.Lit
tmannにより特公昭30−3651号公報に開示さ
れた製造法がある。この製造法はインヒビターにMnS
を用い、二回冷延法で製造することが特徴である。次
に、特公昭40−15644号公報に田口、坂倉らによ
り開示された、MnSに加えてAlNをインヒビターと
する製造方法である。このインヒビターにAlNを用い
る方法により、方向性電磁鋼板の磁束密度は1.870
T以上に向上し、磁気特性の改善による省エネルギーに
多大な貢献を果たした。第3に、特公昭51−1346
9号公報に今中等により開示されたMnSとSbもしく
はMnS、MnSeとSbを用い、二回冷延法により製
造する方法である。
【0006】これらの製造法においては本質的あるいは
良好な磁束密度を得るためにはインヒビターの析出制御
を目的として、高温スラブ加熱により一旦インヒビター
を構成する析出物を溶体化し、これを熱延工程あるいは
特公昭46−23820号公報に開示されているように
熱延板焼鈍時に微細に析出させることが必要である。こ
のように従来法では製鋼段階での成分調整と熱延の段階
でほぼ製品の特性が決定されるため、上工程での材質造
り込みの安定性確立が重要な課題であった。
【0007】この目的のために方向性電磁鋼板の熱延工
程においては析出物制御をより安定的に行う観点から、
粗圧延後のシートバーへの保熱カバー使用、ランアウト
テーブル上での冷却制御等の対策により、コイル長手方
向の析出物制御に多大の努力が払われてきた。しかしな
がら依然として方向性電磁鋼板の熱延条件の変動が製品
の磁気特性に与える影響は大きく、熱延条件の安定性、
歩留まりの点で課題を残していた。
【0008】しかしながら近年では、ヨーク材料や、磁
気シールド材料のように、従来のトランス鉄心用途の方
向性電磁鋼板とは異なり、鉄損よりも高磁束密度を重視
する用途の方向性電磁鋼板の要求が高まってきており、
その製造技術の確立が急がれていた。高磁束密度を得る
ためには従来技術で重視されたように方位集積度を上げ
ることの他に、鉄そのものの材料中の含有量を高め、飽
和磁束密度を上げることが有効である。
【0009】本発明者等は、この目的で、これまでに、
特公平7−122093号公報、特開平4−30105
3号公報等でその高磁束密度の方向性電磁鋼板製造法で
開示してきた。しかしながら、これらの製造法よる高磁
束密度方向性電磁鋼板によっても、ヨーク材料等に要求
されるような高磁場での磁束密度に対して、更に高い磁
束密度の要求が需要家から出ているのが現状であり、従
来技術の高磁束密度方向性電磁鋼板の特性を上回る製品
の開発が急がれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような要
請に応え、磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造
法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。 (1) 重量%で、 0.010% ≦ C ≦0.14%、 0.010%≦酸可溶性Al≦0.050%、 0.0030%≦ N ≦0.0150% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
ブを、加熱し、粗圧延と仕上熱延とを含む熱間圧延をし
た後、1回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭焼鈍
後、Ac1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向性電
磁鋼板の製造法において、熱間圧延工程でスラブを粗圧
延して得られたシートバーを下記式を満足するように
巻き取り、次いで巻き取ったシートバーを巻きもどして
仕上熱延に供するとともに、最終冷延の圧下率を75%
超とすることを特徴とする磁束密度が極めて高い方向性
電磁鋼板の製造方法。 1.20≦log(ωt/R)+2≦4.00・・・・ 但し、ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度 t(mm) :シートバー板厚 R(mm) :巻取り半径 (2) 巻き取ったシートバーを巻きもどした後、シー
トバーの先端部を先行するシートバーの後端部と接合し
て複数のシートバーを一体とし、この一体とした複数の
シートバーを連続的に仕上熱延に供することを特徴とす
る上記(1)記載の磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼
板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来技術での検討
の主眼とされたインヒビター制御技術の一貫として、熱
間圧延における粗圧延および仕上圧延技術、および冷間
圧延率に注目して検討を行った。その結果、熱間の粗圧
延後のシートバーをコイル状に巻取る際の、シートバー
板厚、巻取り回転速度、巻取り半径により新規に定義さ
れるパラメータと成品の磁気特性の間に密接な関係があ
ることを見出し、単にシートバーを温度、巻取り半径の
みを制御して巻取るばかりでなく、シートバー巻取り時
に、シートバー板厚、巻取り回転速度、巻取り半径との
間に定義したパラメータこのパラメーターを適切に制御
するとともに、一回以上の冷間圧延のうち、最終板厚に
する最終冷間圧延において、その圧下率を75%超とす
ることで、磁気特性の優れた方向性電磁鋼板を極めて安
定して製造することを可能としたものである。
【0013】また、操業上の観点からは、本発明のよう
に粗圧延後の巻き取ったシートバーを順次巻きもどして
仕上げ熱延に供する際には、巻きもどしたシートバーが
仕上げ圧延機への咬み込みの際に蛇行を生じやすいとい
うことから、好ましくは巻きもどした粗圧延後のシート
バーを先行するシートバーに接合し、2本以上のシート
バーを連続して仕上熱延に供することが好ましい。
【0014】以下に本発明を詳細に説明する。まず、ス
ラブの成分系について説明する。Cはその含有量が0.
010%未満になると二次再結晶が不安定となり、磁束
密度が著しく低下するので0.010%以上とする。一
方、0.14%を超えると、脱炭焼鈍に要する時間が長
くなりすぎ、不経済であるので0.14%以下とする。
【0015】酸可溶性AlはNと化合してインヒビター
であるAlNを形成する。その含有量が0.010%未
満であるとインヒビター析出量が不足し二次再結晶が不
安定となるので0.010%以上とする。一方、その含
有量が0.050%超となると析出状態が粗大化し、イ
ンヒビター効果が損なわれ磁束密度が低下するので、
0.050%以下とする。
【0016】Nは0.0030%以上0.0150%以
下にする必要がある。0.0150%を超えるとブリス
ターと呼ばれる鋼板表面の膨れが発生するとともに、一
次再結晶組織の調整が困難となるので0.0150%以
下とする。一方、N含有量が0.0030%未満である
と、インヒビターであるAlNの形成が不足し二次再結
晶の発現が困難になるのでN含有量は0.0030%以
上とする。
【0017】次に、本発明のプロセスについて説明す
る。本発明の電磁鋼スラブは、転炉または電気炉等の溶
解炉で鋼を溶製し、必要に応じて真空脱ガス処理し、次
いで連続鋳造により、あるいは造塊後分塊圧延すること
によって得られる。その後、熱間圧延に先立ちスラブ加
熱が行われる。本発明のプロセスにおいては、スラブの
加熱温度は適切に制御して主要インヒビターであるAl
Nを鋼中に再固溶させることが肝要である。このスラブ
を熱間にて粗圧延し、仕上圧延して所定の厚みの熱延板
とする。
【0018】粗圧延後のシートバーの巻取条件の成品磁
気特性に対する影響を調査するため下記の様な実験を行
った。表1に示す成分の及び残部Fe及び不可避不純物
からなる鋼を溶製し、連鋳機により200mm厚みのスラ
ブとした。次にこれを粗圧延によりシートバーに加工し
て、その後コイル状に巻き取った。巻取り実施時のシー
トバーの温度は1000℃であった。
【0019】
【表1】
【0020】シートバー巻取り時のパラメータの値を変
化させるために、シートバー厚みt(mm)、シートバー巻
取り回転速度ω(rpm) 、シートバー巻取り半径R(mm)を
種々変更して試験を行った。巻取り後のシートバーは再
度巻きもどして、先行するシートバーに接合して連続的
に熱間仕上熱延を施し、2.50mmし仕上げた。仕上熱
延終了温度は900℃とし、仕上熱延最終スタンド通過
後冷却し、550℃で巻き取った。
【0021】得られた熱延板に825℃×2分間の焼鈍
を施し、その後酸洗した後、圧下率84.0%の冷間圧
延により0.40mmまで冷延し、次いで830℃×5分
間の脱炭焼鈍を湿水素雰囲気中で実施した。その後89
0℃×10時間の仕上焼鈍を行った。得られた製品から
エプスタイン試料を切り出し、歪取り焼鈍を施した後、
磁界強度10000A/mでの磁束密度の値B100 を測
定した。
【0022】以上のようにして得られた製品の磁束密度
と、シートバー巻取り条件から算出されるパラメータ:
log(ωt/R)+2との関係を図1に示す。ここ
で、ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度、t
(mm):シートバー板厚、R(mm):巻取り半径であ
る。
【0023】なお巻取半径R(mm)とは、シートバー巻
取機中心とシートバー厚みの中心の間の距離をいうもの
とする。すなわち、巻き取ったシートバーの内径をr
(mm)、シートバーの厚みをt(mm)とすると、R=r
+t/2である。また、シートバーの巻取り速度が巻取
り中に変化する場合には、シートバーがコイル状に半径
Rに巻き取られ始めた時点での巻取り速度を用いて上記
パラメータを算出した。
【0024】図1より、粗圧延終了後のシートバーを特
定の条件で巻取ることにより、製品の磁気特性が改善さ
れることがわかる。この実験結果より本発明ではシート
バー巻取時の条件を1.20≦log(ωt/R)+2
とした。一方、4.00<log(ωt/R)+2とし
たのでは、巻取り速度もしくはシートバー厚が過大とな
り、巻取り時にシートバーの耳割れが生じやすくなるた
め、log(ωt/R)+2≦4.00とした。
【0025】また、巻き取ったシートバーを巻きもどし
て仕上熱延に供する際に、巻き戻したシートバーが仕上
げ熱延機入り口で蛇行して噛み混みが困難となり、圧延
が停止になる場合が生じる。この課題を解決する方法と
して、シートバーを先行するシートバーに接合して仕上
熱間圧延を連続的に行うことが特に有効である。
【0026】先行シートバーと後行シートバーを接合す
る方法としては、先行シートバーの後端部と後行シート
バーの先端とを突き合わせ、突き合わせ部に押圧力を加
えて圧接する方法や、更に突き合わせ部に押圧力を加え
つつレーザー溶接する方法、更に突き合わせ部に押圧力
を加えつつ誘導加熱しながら圧接する方法等がある。
【0027】シートバーの巻取り温度については規定し
ないが、巻取り温度が800℃未満だと、シートバーを
巻きもどして仕上圧延を実施する際の圧延反力が大きく
なりすぎ、圧延が不可能となるから下限温度は800℃
以上であることが好ましい。一方、シートバー巻取温度
の上限は、巻取り温度が1100℃を上回るようである
と巻き取った際にシートバー自身の剛性が不足して、自
重によりクリープ変形が生じ、シートバーの形状が不良
となるので1100℃以下が好ましい。従って、シート
バーの巻取り温度は800℃以上1100℃以下とする
のが好ましい。
【0028】巻き取ったシートバーの保持時間について
は特に規定しないが、巻取りによる磁気特性改善の効果
を促進するためには、5秒以上であることが好ましい。
逆に、保持時間が2時間を超えるようであると巻き取っ
たシートバーの表面に酸化物が形成されるとともに温度
分布にむらが生じてかえってコイル長手方向の磁気特性
が安定しなくなるので2時間以下であることが好まし
い。生産性とのかねあいからさらに好ましいシートバー
巻取り時間は、30秒以上10分以内である。
【0029】本発明で規定するシートバー巻取パラメー
ターを制御するためには、シートバー板厚、巻取回転速
度、シートバーコイルの最内周および最外周の径をそれ
ぞれ適切に制御するなどの方法がある。
【0030】式(1)で規定されるパラメータをシート
バー巻取時に制御することが本発明の磁束密度向上効果
をもたらすことについてその詳細な理由は定かでない
が、熱延鋼板中のAlNの析出状態に影響を与える事が
原因ではないかと推測される。
【0031】熱延以降の行程については、析出物制御を
目的として熱延板焼鈍を行っても良い。この熱延板を酸
洗後、1回若しくは中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延
により最終板厚とする。
【0032】ここで、以下の実験を行い、最終板厚を得
る最終冷間圧延の圧下率と製品磁束密度との関係を調査
した。表2の成分を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなるスラブを加熱後、粗圧延機により60mm厚
のシートバーとした。その後、このシートバーを仕上圧
延機により1.80mmの厚みの熱延板とした。
【0033】
【表2】
【0034】その際、このシートバーをlog (ωt/
R)+2の値を1.45以上3.50以下の範囲として
巻取った。巻取り時のシートバーの温度は1000℃と
し、巻取り後のシートバーは60秒経過後、板状に巻き
もどして仕上げ熱延を行った。この時、熱延仕上げ温度
は900℃とし、水冷して550℃で巻き取った。
【0035】得られた熱延板に830℃の湿水素雰囲気
中で脱炭焼鈍を施した。その後冷延率を変えて一回の冷
間圧延で最終板厚に仕上げ、次いで脱炭焼鈍を湿水素雰
囲気中で実施した。その後890℃×10時間の仕上焼
鈍を行った。
【0036】エプスタイン試料は連続して圧延した中間
の一本のシートバーのに相当する製品コイル長手方向中
心部で採取し、切り出したエプスタイン試料に歪取り焼
鈍を施した後、磁界強度10000A/mでの磁束密度
の値B100 を測定した。
【0037】最終冷延率と仕上焼鈍後の磁気特性との関
係を表3に示す。表3より、最終冷延率が75%以上の
範囲において高磁場での磁束密度B100 の値が2.10
T以上と高くなっていることがわかる。
【0038】
【表3】
【0039】従って、本発明では、高磁束密度を得るた
めに、最終冷延率を75%超と定める。75%以下では
本発明が目的とする超高磁束密度が得られないので、最
終冷延率は75%超であることが必要である。
【0040】次に湿水素雰囲気などの雰囲気中で脱炭焼
鈍をする。次いで焼鈍分離材を塗布し仕上げ焼鈍を行
い、二次再結晶および引き続いて純化を行う。本発明の
鋼はαγ変態を有するため、良好な二次再結晶方位を維
持するために仕上げ焼鈍温度はαγ変態点以下で行う。
二次再結晶完了後の純化焼鈍は水素雰囲気中で実施す
る。
【0041】
【実施例】
[実施例1]表4の成分を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧延機により7
0mm厚のシートバーとした。その後、このシートバーを
仕上圧延機により2.50mmの厚みの熱延板とした。
【0042】
【表4】
【0043】その際、このシートバーをlog (ωt/
R)+2の値を種々変化させて巻取り、磁気特性との関
係を調べた。巻取り時のシートバーの温度は1000℃
とし、巻取り後のシートバーは60秒経過後、板状に巻
きもどして仕上げ熱延を行った。この際、巻きもどした
シートバーを安定して仕上げ熱延機に噛み込ませるため
に、粗圧延後のシートバーを先行するシートバーに溶接
し、仕上熱間圧延を連続して行った。この時、熱延仕上
げ温度は900℃とし、水冷して550℃で巻き取っ
た。
【0044】得られた熱延板に825℃2分の熱延板焼
鈍を施し、その後酸洗し冷延率84.0%の一回の圧延
により0.40mmまで冷延し、次いで830℃5分の脱
炭焼鈍を湿水素雰囲気中で実施した。その後890℃×
10時間の仕上焼鈍を行った。
【0045】切り出したエプスタイン試料に歪取り焼鈍
を施した後、磁界強度10000A/mでの磁束密度の
値B100 を測定した。
【0046】仕上熱延時のシートバー巻取りパラメータ
ーと仕上焼鈍後の磁気特性との関係を表5に示す。表5
より、式(1)で規定されるパラメーターの値が1.2
0以上の場合に磁束密度が高くなっていることがわか
る。
【0047】
【表5】
【0048】[実施例2]表6の成分を含有し、残部F
eおよび不可避的不純物からなるスラブを加熱後、粗圧
延機により70mm厚のシートバーとした。その後、この
シートバーを仕上圧延機により3.00mmの厚みの熱延
板とした。
【0049】
【表6】
【0050】その際、このシートバーをlog (ωt/
R)+2の値を1.50以上3.50以下の範囲として
巻取った。巻取り時のシートバーの温度は1000℃と
し、巻取り後のシートバーは60秒経過後、板状に巻き
もどして仕上げ熱延を行った。この際、巻きもどしたシ
ートバーを安定して仕上げ熱延機に噛み込ませるため
に、粗圧延後のシートバーを先行するシートバーに溶接
し、仕上熱間圧延を連続して行った。この時、熱延仕上
げ温度は900℃とし、水冷して550℃で巻き取っ
た。
【0051】得られた熱延板に830℃の湿水素雰囲気
中で脱炭焼鈍を施した。その後冷延率を変えて一回の冷
間圧延で最終板厚に仕上げ、次いで脱炭焼鈍を湿水素雰
囲気中で実施した。その後890℃×10時間の仕上焼
鈍を行った。
【0052】エプスタイン試料は連続して圧延した中間
の一本のシートバーのに相当する製品コイル長手方向中
心部で採取し、切り出したエプスタイン試料に歪取り焼
鈍を施した後、磁界強度10000A/mでの磁束密度
の値B100 を測定した。
【0053】最終冷延率と仕上焼鈍後の磁気特性との関
係を表7に示す。表7より、最終冷延率が75%以上の
範囲において高磁場での磁束密度B100 の値が2.10
T以上と高くなっていることがわかる。
【0054】
【表7】
【0055】
【発明の効果】このように本発明によれば、磁束密度が
極めて高い方向性電磁鋼板を製造することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品の磁束密度と、シートバー巻取り条件から
算出されるパラメータ:log(ωt/R)+2との関
係を示す図表である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 0.010% ≦ C ≦0.14%、 0.010%≦酸可溶性Al≦0.050%、 0.0030%≦ N ≦0.0150% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラ
    ブを、加熱し、粗圧延と仕上熱延とを含む熱間圧延をし
    た後、1回以上の冷延を行って最終板厚とし、脱炭焼鈍
    後、Ac1 変態点以下の温度域で最終焼鈍する方向性電
    磁鋼板の製造法において、熱間圧延工程でスラブを粗圧
    延して得られたシートバーを下記式を満足するように
    巻き取り、次いで巻き取ったシートバーを巻きもどして
    仕上熱延に供するとともに、最終冷延の圧下率を75%
    超とすることを特徴とする磁束密度が極めて高い方向性
    電磁鋼板の製造方法。 1.20≦log(ωt/R)+2≦4.00・・・・ 但し、ω(rpm):シートバー巻取りの回転速度 t(mm) :シートバー板厚 R(mm) :巻取り半径
  2. 【請求項2】 巻き取ったシートバーを巻きもどした
    後、シートバーの先端部を先行するシートバーの後端部
    と接合して複数のシートバーを一体とし、この一体とし
    た複数のシートバーを連続的に仕上熱延に供することを
    特徴とする請求項1記載の磁束密度が極めて高い方向性
    電磁鋼板の製造方法。
JP20810897A 1997-08-01 1997-08-01 磁束密度が極めて高い方向性電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JPH1150153A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8366836B2 (en) 2009-07-13 2013-02-05 Nippon Steel Corporation Manufacturing method of grain-oriented electrical steel sheet
US8409368B2 (en) 2009-07-17 2013-04-02 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Manufacturing method of grain-oriented magnetic steel sheet

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